JP6739568B2 - ヨウ化エステル化合物の製造方法 - Google Patents

ヨウ化エステル化合物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6739568B2
JP6739568B2 JP2019053270A JP2019053270A JP6739568B2 JP 6739568 B2 JP6739568 B2 JP 6739568B2 JP 2019053270 A JP2019053270 A JP 2019053270A JP 2019053270 A JP2019053270 A JP 2019053270A JP 6739568 B2 JP6739568 B2 JP 6739568B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
iodine
ester compound
less
compound
selectivity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019053270A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020011945A (ja
Inventor
秀司 江端
秀司 江端
由樹 星野
由樹 星野
尚人 阿部
尚人 阿部
Original Assignee
株式会社 東邦アーステック
株式会社 東邦アーステック
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社 東邦アーステック, 株式会社 東邦アーステック filed Critical 株式会社 東邦アーステック
Publication of JP2020011945A publication Critical patent/JP2020011945A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6739568B2 publication Critical patent/JP6739568B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は、ヨウ化エステル化合物の製造方法に関する。
芳香環の所定の位置にヨウ素が導入された芳香族エステル化合物のヨウ化物(芳香族ヨウ化エステル化合物)は、例えば、医薬品中間体、農薬中間体、電子材料中間体等の用途で、広く利用されている。
従来においては、芳香族化合物のヨウ素化反応は、例えば、硫酸を用いた条件で行われていた(例えば、非特許文献1参照)。
Liebigs Ann. Chem., 634, 84 (1960)
しかしながら、このような反応を芳香族エステル化合物のヨウ化物の製造に適用しようとすると、一般に、ヨウ素化反応以外の目的としない反応による生成物を多く生じ、また、ヨウ素の導入位置の選択性が低くなってしまうという問題点があることを本発明者は見出していた。また、原料である芳香族エステル化合物(反応基質)の種類によって、このような問題が顕著に発生していた。
本発明の目的は、ヨウ素の導入位置の位置選択性が高く、目的とするヨウ化エステル化合物を高い収率で得ることができるヨウ化エステル化合物の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法は、多孔質物質の存在下、下記式(2)で示されるエステル化合物と、ヨウ素と、ヨウ素系酸化物とを反応させ、下記式(3)で示されるヨウ化エステル化合物を得るヨウ素化工程を有することを特徴とする。
Figure 0006739568
(ただし、式(2)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
Figure 0006739568
(ただし、式(3)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法は、カルボン酸およびその酸無水物を含む溶液中にて、下記式(1)で示されるアルコール化合物をエステル化させ、下記式(2)で示されるエステル化合物を得るエステル化工程と、
多孔質物質の存在下、前記エステル化合物と、ヨウ素と、ヨウ素系酸化物とを反応させ、下記式(3)で示されるヨウ化エステル化合物を得るヨウ素化工程を有することを特徴とする。
Figure 0006739568
(ただし、式(1)中、nは、1以上5以下の整数である。)
Figure 0006739568
(ただし、式(2)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
Figure 0006739568
(ただし、式(3)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法は、カルボン酸およびその酸無水物を含む溶液中にて、下記式(1)で示されるアルコール化合物をエステル化させ、下記式(2)で示されるエステル化合物を得るエステル化工程を行い、得られた反応混合物を用いて、
前記エステル化合物と、ヨウ素系酸化物とを反応させ、下記式(3)で示されるヨウ化エステル化合物を得るヨウ素化工程を行うことを特徴とする。
Figure 0006739568
(ただし、式(1)中、nは、1以上5以下の整数である。)
Figure 0006739568
(ただし、式(2)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
Figure 0006739568
(ただし、式(3)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法では、前記エステル化工程に用いる前記カルボン酸に対する前記酸無水物のモル比は、0.2以上1.0以下であることが好ましい。
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法では、前記エステル化工程に用いる前記アルコール化合物に対する前記酸無水物のモル比は、1.2以上5.0以下であることが好ましい。
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法では、前記エステル化工程は、前記多孔質物質の存在下で行うことが好ましい。
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法では、前記エステル化工程は、前記ヨウ素の存在下で行うことが好ましい。
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法では、前記ヨウ素系酸化物は、ヨウ素酸、過ヨウ素酸もしくはこれらの塩から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法では、前記ヨウ素系酸化物が酸性化合物であることが好ましい。
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法では、前記ヨウ素系酸化物は、水溶液の状態で反応系内に供給されることが好ましい。
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法では、前記ヨウ素化工程は、前記ヨウ素系酸化物を含む分散質がカルボン酸を含む有機溶液を分散媒として分散した分散液中で行うものであることが好ましい。
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法では、前記多孔質物質の平均細孔径は、5.0Å以上9.0Å以下であることが好ましい。
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法では、前記多孔質物質は、ゼオライトであることが好ましい。
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法では、前記ゼオライト中におけるSiO/Al比(モル比)は、4以上90以下であることが好ましい。
本発明によれば、ヨウ素の導入位置の位置選択性が高く、目的とするヨウ化エステル化合物を高い収率で得ることができるヨウ化エステル化合物の製造方法を提供することができる。
このようなアルコール化合物を原料として用いて製造されるヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)は、医薬品中間体、農薬中間体、電子材料中間体等の各種の用途での有用性が特に高い化合物である。
図1は、本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法の好適な実施形態を示すフローチャートである。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
[ヨウ化エステル化合物の製造方法]
まず、本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法について説明する。
図1は、本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法の好適な実施形態を示すフローチャートである。
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法は、多孔質物質の存在下、下記式(2)で示されるエステル化合物と、ヨウ素系酸化物とを反応させ、下記式(3)で示されるヨウ化エステル化合物を得るヨウ素化工程を有することを特徴とする。
Figure 0006739568
(ただし、式(2)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
Figure 0006739568
(ただし、式(3)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
このような構成により、ヨウ素の導入位置の位置選択性が高く、目的とするヨウ化エステル化合物を高い収率で得ることができるヨウ化エステル化合物の製造方法を提供することができる。
このような優れた効果は、多孔質物質とヨウ素系酸化物とを組み合わせることにより得られるものであって、これらのうちの少なくとも一方を用いなかったり、他の物質で置換したりした場合には、満足のいく結果が得られない。
例えば、多孔質物質を用いなかった場合には、ヨウ素化反応がほとんど進行しない。
また、ヨウ素系酸化物を用いなかった場合には、ヨウ素化反応がほとんど進行しない。
また、多孔質物質の代わりに、硫酸を用いた場合には、ヨウ素の導入位置の選択性(p−選択性)が著しく低下する。
また、ヨウ素系酸化物の代わりに、塩素酸や塩素酸の塩を用いた場合には、エステル化合物の転化率が低下するとともに、ヨウ素の導入位置の選択性(p−選択性)も著しく低下する。また、反応系内における塩素酸や塩素酸の塩の含有率を高めると、ヨウ化エステル化合物の生成よりもクロロ化体の生成が優先して進行してしまう。
また、ヨウ素系酸化物の代わりに、過塩素酸や過塩素酸の塩を用いた場合には、ヨウ素化反応が進行しない。
また、ヨウ素系酸化物の代わりに、硫酸や過硫酸塩を用いた場合には、ヨウ素化反応が進行しない。
また、ヨウ素系酸化物の代わりに、硝酸を用いた場合には、ヨウ素の導入位置の選択性(p−選択性)が低下するとともに、ニトロ化体が多量に生成してしまう。
また、ヨウ素系酸化物は、酸性化合物であることが好ましい。ヨウ素酸、過ヨウ素酸を用いた場合には、ヨウ素の導入位置の選択性(p−選択性)が高くなる。
特に、本実施形態では、エステル化合物は、当該エステル化合物を構成する酸成分に対応するカルボン酸(RCOOH)およびその酸無水物((RCO)O)を含む溶液中にて、下記式(1)で示されるアルコール化合物をエステル化させるエステル化工程を経て製造されたものである。本発明における他の形態のヨウ化エステル化合物の製造方法は、エステル化合物を構成する酸成分に対応するカルボン酸(RCOOH)およびその酸無水物((RCO)O)を含む溶液中にて、下記式(1)で示されるアルコール化合物をエステル化させ、下記式(2)で示されるエステル化合物を得るエステル化工程と、多孔質物質の存在下、エステル化合物と、ヨウ素(I)と、ヨウ素系酸化物とを反応させ、下記式(3)で示されるヨウ化エステル化合物を得るヨウ素化工程を有する。
Figure 0006739568
(ただし、式(1)中、nは、1以上5以下の整数である。)
Figure 0006739568
(ただし、式(2)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
Figure 0006739568
(ただし、式(3)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
このような構成により、目的とするエステル化反応を効率よく進行させることができ、目的とするエステル化合物を高い収率で得ることができる。特に、当該反応では、後の工程で問題となったり、最終的なヨウ化エステル化合物中に含まれることで問題となったりする副生成物を実質的に生じないため、中間処理や後処理としての精製処理を省略または簡略化することができる。また、後に詳述するヨウ素化工程を引き続いて行うのに好適である。また、式(2)で示されるエステル化合物に比べて、式(1)で示されるアルコール化合物は入手が容易でかつ安価であるため、式(3)で示されるヨウ化エステル化合物の製造コストの抑制や安定供給の観点から、原料として前記アルコール化合物を用いるのが好ましい。また、エステル化工程およびヨウ素化工程を、ワンポット反応として好適に行うことができる。
すなわち、多孔質物質の存在下、カルボン酸およびその酸無水物を含む溶液中にて、上記式(1)で示されるアルコール化合物をエステル化させ、上記式(2)で示されるエステル化合物を得るエステル化工程を行い、得られた反応混合物を用いて、前記エステル化合物と、ヨウ素(I)と、ヨウ素系酸化物とを反応させ、上記式(3)で示されるヨウ化エステル化合物を得るヨウ素化工程を行うことができる。
エステル化工程およびヨウ素化工程を、ワンポット反応として行うことにより、ヨウ化エステル化合物の生産性をより優れたものとすることができる。
また、共通の成分を、エステル化工程およびヨウ素化工程で有効に利用することができ、材料の使用量の低減に寄与することができ、省資源、生産コストの低減の観点からも好ましい。より具体的には、例えば、酸無水物を、エステル化工程においては水酸基のエステル化剤として利用することができるとともに、ヨウ素化工程では反応により生じる水を除去する脱水剤として機能させることができ、反応をより好適に進行させることができる。
<エステル化工程>
エステル化工程では、カルボン酸(RCOOH)およびその酸無水物((RCO)O)を含む溶液中にて、上記式(1)で示されるアルコール化合物をエステル化させて、上記式(2)で示されるエステル化合物を得る。
基質であるアルコール化合物は、上記式(1)で示されるものであり、式(1)中のnは、1以上5以下であればよいが、1以上4以下であるのが好ましく、2以上4以下であるのがより好ましく、3であるのがさらに好ましい。
これにより、後のヨウ素化工程におけるエステル化合物の転化率(本工程の原料として用いたエステル化合物の物質量をX[mol]、本工程終了時において未反応分として残存するエステル化合物の物質量をXE’[mol]としたとき、[(X−XE’)/X]×100で示される値)やヨウ素の導入位置の選択性(p−選択性)をより高いものとすることができる。
カルボン酸(RCOOH)およびその酸無水物((RCO)O)としては、エステル化合物を構成する酸成分に対応するアルキル基(R)を有するものであればよい。
カルボン酸(RCOOH)としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸が挙げられる。
また、酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸が挙げられる。
中でも、カルボン酸としては、酢酸(R=CH)が好ましく、酸無水物としては無水酢酸(R=CH)が好ましい。
これにより、後のヨウ素化工程におけるエステル化合物の転化率やヨウ素の導入位置の選択性(p−選択性)をより高いものとすることができる。また、ヨウ素化工程における反応速度がより速いものとなり、目的とするヨウ化エステル化合物の生産性をより優れたものとすることができる。また、酢酸、無水酢酸は、各種カルボン酸、各種酸無水物の中でも安価であり、入手が容易なものである。したがって、ヨウ化エステル化合物の生産コストの低減やヨウ化エステル化合物の安定生産等の観点からも有利である。
本工程は、カルボン酸(RCOOH)およびその酸無水物((RCO)O)を含む溶液中にて、アルコール化合物をエステル化させる反応を行えばよく、各成分の使用量は、特に限定されないが、以下の条件を満足するのが好ましい。
すなわち、本工程に用いるカルボン酸に対する酸無水物のモル比(カルボン酸の物質量をXCA[mol]、酸無水物の物質量をXAA[mol]としたときのXAA/XCAの値)は、0.2以上1.0以下であるのが好ましく、0.3以上0.8以下であるのがより好ましく、0.4以上0.7以下であるのがさらに好ましい。
これにより、カルボン酸を溶媒としてより好適に機能させることができ、かつ、酸無水物をエステル化剤としてより好適に機能させることができ、結果として、本工程でのエステル化反応をより好適に進行させることができる。また、エステル化工程およびヨウ素化工程を、ワンポット反応として行う場合、本工程(エステル化工程)の終了時において、適度な割合で酸無水物を残存させることができ、ヨウ素化工程で酸無水物を脱水剤としてより好適に機能させることができる。
また、本工程に用いるアルコール化合物に対する酸無水物のモル比(アルコール化合物の物質量をXAC[mol]、酸無水物の物質量をXAA[mol]としたときのXAA/XACの値)は、1.2以上5.0以下であるのが好ましく、1.5以上4.5以下であるのがより好ましく、1.8以上4.0以下であるのがさらに好ましい。
これにより、酸無水物をエステル化剤としてより好適に機能させることができ、本工程でのエステル化反応をより好適に進行させることができる。また、エステル化工程およびヨウ素化工程を、ワンポット反応として行う場合、本工程(エステル化工程)の終了時において、適度な割合で酸無水物を残存させることができ、ヨウ素化工程で酸無水物を脱水剤としてより好適に機能させることができる。また、必要以上に、酸無水物を用いないことになるため、ヨウ化エステル化合物の生産コストの低減や省資源の観点等からも有利である。
また、本工程は、多孔質物質(特に、ヨウ素化工程でも用いる多孔質物質)の存在下で行うのが好ましい。
ヨウ素化工程において、細孔内で反応が進行することにより、エステル化合物が立体障害を受け、副生成物の生成をより効果的に抑制することができる。また、多孔質物質がゼオライトのような水素イオン(H)の供給源として機能するものである場合、エステル化工程において、当該多孔質物質がエステル化反応の触媒として機能し、別途酸性物質を用いなくても、エステル化反応をより効率よく進行させることができる。多孔質物質(好ましくはゼオライト)を使用した場合、エステル化工程およびヨウ素化工程を、ワンポット反応として好適に行うことができ、ヨウ化エステル化合物の生産性をより優れたものとすることができる。
なお、多孔質物質については、後に詳述する。
また、本発明のエステル化工程は、ヨウ素(I。特に、ヨウ素化工程でも用いるヨウ素)の存在下で行うことができる。
これにより、エステル化工程およびヨウ素化工程を、ワンポット反応として好適に行うことができ、ヨウ化エステル化合物の生産性をより優れたものとすることができる。また、ヨウ素(I)はエステル化反応を阻害せず、先に溶解させておくことが可能であるため、溶解時間を短縮することができ、全体としてのヨウ化エステル化合物の生産性をさらに優れたものとすることができる。なお、エステル化工程は、例えば、系内のヨウ素(I)の大部分が溶解していない状態で行ってもよい。
本工程における反応温度は、特に限定されないが、5℃以上45℃以下であるのが好ましく、10℃以上40℃以下であるのがより好ましく、15℃以上30℃以下であるのがさらに好ましい。
これにより、加熱や冷却等の温度制御を省略または簡略化しつつ、エステル化反応をより好適に進行させることができ、ヨウ化エステル化合物の生産性の向上の観点から有利である。
本工程の処理時間(反応時間)は、特に限定されないが、2分間以上120分間以下であるのが好ましく、5分間以上90分間以下であるのがより好ましく、15分間以上60分間以下であるのがさらに好ましい。
これにより、本工程でのエステル化合物の収率をより優れたものとすることができるとともに、ヨウ化エステル化合物の生産性の向上の観点からも有利である。
<ヨウ素化工程>
ヨウ素化工程では、多孔質物質の存在下、式(2)で示されるエステル化合物と、ヨウ素(I)と、ヨウ素系酸化物とを反応させ、式(3)で示されるヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)を得る。
多孔質物質と、ヨウ素(I)と、ヨウ素系酸化物とを用いることにより、エステル化合物のヨウ素化反応を効率よく進行させることができ、目的とするヨウ化エステル化合物を高い収率で得ることができる。
また、エステル化合物のヨウ素化反応を高い位置選択性(すなわち、p−選択性)で進行させることができ、異性体等の発生を効率よく防止することができる。これにより、後の精製工程を温和な条件で行うことができ、また、精製工程を短時間で効率よく行うことができるとともに、最終的な純度をより高いものとすることができる。
また、ヨウ素系酸化物は、ヨウ素化反応において酸化剤として機能するとともに、ヨウ素(I)源としても機能するので、ヨウ素(I)の使用量を低減することができる。
本実施形態では、エステル化工程の後、ヨウ素系酸化物を反応系内に供給する。
二段階で反応を行うことにより、過度な発熱を抑制できるため、ヨウ素系酸化物の分解や副生成物の生成を抑制でき、より好適に反応を進行させることができる。
ヨウ素系酸化物は、例えば、固体状態で反応系内に供給されるものであってもよいが、水に溶解した水溶液の状態で反応系内に供給されるものであるのが好ましい。
これにより、入手が容易な水溶液(ヨウ素系酸化物水溶液)を反応に好適に用いることができ、目的とするヨウ化エステル化合物の生産コストの抑制や、生産性の向上等の観点から有利である。また、固体状のヨウ素系酸化物は、溶媒としてのカルボン酸等に対する溶解性が低く、反応系中に均一に存在させるのが困難であるが、水溶液を用いることにより、反応系中においてヨウ素系酸化物をより均一に存在させることができ、好適にヨウ素化反応を進行させることができる。
また、エステル化工程の後、ヨウ素系酸化物以外の成分を反応系内に供給してもよい。例えば、カルボン酸、酸無水物、多孔質物質およびヨウ素(I)のうちの少なくとも1種を、エステル化工程の後に反応系内に供給してもよい。この場合、複数種の成分の混合物を反応系内に供給してもよい。
本工程は、カルボン酸を含む有機溶液からなる分散媒中にヨウ素系酸化物を含む分散質が分散した分散液中で行うものであるのが好ましい。
ヨウ素系酸化物は、溶媒としてのカルボン酸等に対する溶解性が低いため、ヨウ素系酸化物を含む分散質を分散させることで、反応系内においてヨウ素系酸化物をより均一に存在させることができ、ヨウ素化反応を好適に進行させることができる。
分散質の平均粒径は、50μm以上10000μm以下であるのが好ましく、80μm以上5000μm以下であるのがより好ましく、100μm以上1000μm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、反応系内においてヨウ素系酸化物をより均一に存在させることができ、より好適にヨウ素化反応を進行させることができる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、特に断りのない限り、体積基準の平均粒径のことを指す。平均粒径は、例えば、マイクロトラックUPA(日機装社製)を用いた測定により求めることができる。
また、ヨウ素系酸化物は、いかなる方法で、分散されたものであってもよいが、逐次添加や分割添加する方法、または、あらかじめ溶媒に分散させたものを添加する方法により、反応系内において、ヨウ素系酸化物を含む分散質が分散した状態とするのが好ましい。
これにより、反応系内においてヨウ素系酸化物をより均一に存在させることができ、より好適にヨウ素化反応を進行させることができる。
ヨウ素系酸化物は、本工程の反応が進行する際に、反応系内に含まれるものであればよいが、エステル化工程の後、反応系を昇温した後に反応系内に添加されるのが好ましい。
これにより、酸無水物((RCO)O)を用いる場合において、当該酸無水物による脱水がより好適に進行し、細かい分散質を形成することができ、反応系内においてヨウ素系酸化物をより均一に存在させることができる。その結果、より好適にヨウ素化反応を進行させることができる。
本工程は、多孔質物質の存在下、式(2)で示されるエステル化合物と、ヨウ素(I)と、ヨウ素系酸化物とを反応させればよいが、前記エステル化合物を構成する酸成分に対応するカルボン酸(RCOOH)およびその酸無水物((RCO)O)を含む溶液中にて行うのが好ましい。
これにより、前記エステル化合物についての目的としないエステル交換反応や加水分解反応を効果的に防止することができ、好ましくない副生成物の生成をより効果的に防止することができる。
カルボン酸および酸無水物を含む溶液中にて本工程を行う場合、本工程に用いる溶液中におけるカルボン酸の含有率に対する酸無水物の含有率(モル比)は、0.05以上0.8以下であるのが好ましく、0.1以上0.6以下であるのがより好ましく、0.2以上0.5以下であるのがさらに好ましい。
これにより、カルボン酸を溶媒としてより好適に機能させることができ、かつ、酸無水物を脱水剤としてより好適に機能させることができる。
また、本工程に用いる溶液中におけるエステル化合物の含有率に対する酸無水物の含有率(モル比)は、0.2以上4.0以下であるのが好ましく、0.5以上3.5以下であるのがより好ましく、0.8以上3.0以下であるのがさらに好ましい。
これにより、酸無水物を脱水剤としてより好適に機能させることができる。また、必要以上に、酸無水物を用いないことになるため、ヨウ化エステル化合物の生産コストの低減や省資源の観点等からも有利である。
本工程に用いる溶液中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比(エステル化合物の物質量をX[mol]、ヨウ素(I)の物質量をX[mol]としたときのX/Xの値)は、0.1以上1.0以下であるのが好ましく、0.2以上0.8以下であるのがより好ましく、0.3以上0.6以下であるのがさらに好ましい。
これにより、必要以上に、ヨウ素(I)を用いないこととなり、ヨウ化エステル化合物の生産コストの低減や省資源の観点等からより有利となる。
本工程に用いる溶液中におけるエステル化合物に対するヨウ素系酸化物のモル比(エステル化合物の物質量をX[mol]、ヨウ素系酸化物の物質量をX[mol]としたときのX/Xの値)は、0.05以上1.0以下であるのが好ましく、0.10以上0.7以下であるのがより好ましく、0.20以上0.5以下であるのがさらに好ましい。
これにより、必要以上に、ヨウ素系酸化物を用いないこととなり、ヨウ化エステル化合物の生産コストの低減や省資源の観点等からより有利となる。
本工程に用いる溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比(ヨウ素系酸化物の物質量をX[mol]、ヨウ素(I)の物質量をX[mol]としたときのX/Xの値)は、0.3以上3.0以下であるのが好ましく、1.0以上2.5以下であるのがより好ましく、1.2以上2.0以下であるのがさらに好ましい。
これにより、必要以上にヨウ素(I)およびヨウ素系酸化物を用いないこととなり、ヨウ化エステル化合物の生産コスト低減や省資源の観点からより有利となる。
また、本工程に用いる溶液中におけるエステル化合物100質量部に対する多孔質物質の含有量は、5質量部以上150質量部以下であるのが好ましく、10質量部以上100質量部以下であるのがより好ましく、15質量部以上70質量部以下であるのがさらに好ましい。
これにより、ヨウ素化反応をより好適に進行させ、エステル化合物の転化率をより高いものとしつつ、本工程終了後に、多孔質物質の細孔内に、ヨウ化エステル化合物が残存し、ヨウ化エステル化合物の回収率が低下することをより効果的に防止することができる。また、ヨウ化エステル化合物の回収が容易となる。
本工程における反応温度は、特に限定されないが、30℃以上80℃以下であるのが好ましく、35℃以上75℃以下であるのがより好ましく、40℃以上60℃以下であるのがさらに好ましい。
これにより、ヨウ素系酸化物が熱分解してしまうことをより効果的に防止しつつ、反応原料のエネルギー状態を高めることができ、ヨウ素化反応をより好適に進行させることができる。
本工程の処理時間(反応時間)は、特に限定されないが、3時間以上48時間以下であるのが好ましく、4時間以上24時間以下であるのがより好ましく、5時間以上12時間以下であるのがさらに好ましい。
これにより、ヨウ化エステル化合物の収率をより優れたものとすることができるとともに、ヨウ化エステル化合物の生産性の向上の観点からも有利である。
以下、本工程で用いるヨウ素系酸化物について説明する。
本発明におけるヨウ素系酸化物は、酸化されたヨウ素原子を含む化合物であり、酸化ヨウ素ならびにヨウ素酸類およびその塩を含む。酸化ヨウ素には、I(x、yは自然数)で表わされる化合物が含まれる。ヨウ素酸類には、次亜ヨウ素酸、ヨウ素酸および過ヨウ素酸が含まれる。次亜ヨウ素酸、ヨウ素酸および過ヨウ素酸のナトリウム、カリウム等の塩も使用できる。本発明におけるヨウ素系酸化物は、好ましくは水素イオンを発生しうる酸性化合物であるヨウ素酸類であり、より好ましくはヨウ素酸および過ヨウ素酸である。
ヨウ素酸は、HIOの組成式で示される化合物である。
過ヨウ素酸としては、メタ過ヨウ素酸(HIO)およびオルト過ヨウ素酸(HIO)の2種類が挙げられる。ヨウ素系酸化物が過ヨウ素酸を含む場合、メタ過ヨウ素酸(HIO)およびオルト過ヨウ素酸(HIO)のうちの一方のみを含んでいてもよいし、両方を含んでいてもよい。
本発明におけるヨウ素系酸化物は、特に、ヨウ素酸を含んでいるのが好ましく、ヨウ素酸を主成分として含んでいる(例えば、全ヨウ素系酸化物中におけるヨウ素酸の含有率が50質量%以上である)のがより好ましく、実質的にヨウ素酸のみからなるものであるのがさらに好ましい。
これにより、エステル化合物の転化率、選択率およびヨウ素の導入位置の選択性(p−選択性)をより高いものとすることができる。
本工程の終了時点におけるエステル化合物の転化率(本工程の原料として用いたエステル化合物の物質量をX[mol]、本工程終了時において未反応分として残存するエステル化合物の物質量をXE’[mol]としたとき、[(X−XE’)/X]×100で示される値)は、60%以上100%以下であるのが好ましく、90%以上100%以下であるのがより好ましく、95%以上100%以下であるのがさらに好ましい。
本工程の終了時点における反応生成物としての全ヨウ化エステル化合物における芳香環へのヨウ素導入位置についてのp−選択率(位置選択性)は、90%以上100%以下であるのが好ましく、94%以上100%以下であるのがより好ましく、96%以上100%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、目的とするヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)の収率が向上するだけでなく、例えば、後の精製工程を行う場合に、当該工程をより温和な条件で行うことができ、また、精製工程を短時間で効率よく行うことができるとともに、最終的な純度をより高いものとすることができる。
<精製工程>
ヨウ素化工程の後に、必要に応じて、反応生成物を含む混合物に対して精製処理を施す精製工程を設けてもよい。
精製処理としては、例えば、ろ過、デカンテーション等による多孔質物質の除去、エバポレーター等を用いた溶媒等の成分の留去、分液処理、再結晶、蒸留、各種クロマトグラフィー等による処理等が挙げられる。
特に、本発明では、ヨウ素化工程後の組成物(反応生成物が溶解した組成物)を冷却することにより、目的とするヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)を好適に析出させることができる。
すなわち、前述したように、本発明によれば、ヨウ素化工程で、目的としない副生成物の生成を抑制しつつ、目的とするヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)を高い選択性でかつ高い転化率で合成することができるため、精製処理の前の段階でも、他の異性体等の含有率に比べて、目的とするヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)の含有率が特に高い。
これにより、目的とするヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)を、他の異性体等や未反応成分(エステル化合物やアルコール化合物)から、比較的温和な条件で、容易かつ効率よく分離することができる。より具体的には、ヨウ素化工程後の組成物(反応生成物が溶解した組成物)を冷却する際に、その冷却温度を極端に低くしなくても、目的とするヨウ化エステル化合物を選択的に効率よく析出させることができる。
目的とするヨウ化エステル化合物を析出させる際の冷却温度は、例えば、−25℃以上−1℃以下であるのが好ましく、−15℃以上−2℃以下であるのがより好ましく、−10℃以上−3℃以下であるのがさらに好ましい。
なお、目的とするヨウ化エステル化合物を析出させる際(再結晶させる際)、再結晶の溶媒(ヨウ化エステル化合物についての貧溶媒)を用いてもよい。
再結晶貧溶媒としては、例えば、n−ヘプタン、n−ヘキサン等の炭化水素系溶媒等を用いることができる。
<多孔質物質>
以下、本発明の製造方法で用いる多孔質物質について詳細に説明する。
本発明の製造方法で用いる多孔質物質は、細孔を有するものであればよく、多孔質物質の平均細孔径は、特に限定されないが、5.0Å以上9.0Å以下であるのが好ましく、5.5Å以上6.8Å以下であるのがより好ましく、5.9Å以上6.5Å以下であるのがさらに好ましい。
これにより、多孔質物質の細孔内に、反応基質としてのエステル化合物が所定の向きで侵入しやすくなり、ヨウ素の導入位置の選択性(p−選択性)が向上するとともに、目的とするヨウ素化反応の反応速度をより高めることができる。また、多孔質物質の劣化をより効果的に防止することができ、例えば、多孔質物質をより好適にリサイクルすることができる。
多孔質物質は、反応基質が侵入できる程度の細孔を有していればよく、例えば、ゼオライト、リン酸アルミニウム、結晶性シリカチタン、スメクタイト等の結晶性層状化合物等を用いることができるが、特に、ゼオライトであるのが好ましい。
ゼオライトは、エステル化合物が反応する場としての細孔を有するだけでなく、水素イオン(H)の供給源としても機能し、全体としての反応効率をより優れたものとすることができる。また、ゼオライトは、比較的安価で、容易かつ安定的に入手が可能な多孔質物質であるため、ヨウ化エステル化合物の安定的な生産やヨウ化エステル化合物の生産コストの低減の観点からも有利である。
ゼオライト中におけるSiO/Al比(モル比)は、4以上90以下であるのが好ましく、6以上70以下であるのがより好ましく、10以上45以下であるのがさらに好ましい。
これにより、細孔内の酸点が増加し、反応速度をより高めることができる。
ゼオライトとしては、例えば、A型、L型、Y型、X型、β型、フェリエライト、MCM−22、ZSM−5、モルデナイト等、各種のものを用いることができるが、β型を用いるのが好ましい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法では、前述した工程以外の工程(例えば、前処理工程、中間処理工程、後処理工程等)を有していてもよい。
また、本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法は、前述したヨウ素化工程を有していればよく、その他の工程は、省略してもよい。例えば、原料としてエステル化合物(例えば、市販のエステル化合物)を用いる場合、エステル化工程を省略してもよい。また、ヨウ素化工程の後の精製工程を省略してもよい。
また、本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法においては、前述した以外の成分を用いてもよい。例えば、前述した以外の溶媒成分を用いてもよい。特に、前述した溶媒とともに、助溶媒を用いてもよい。このような助溶媒としては、例えば、酢酸エチル等を用いることができる。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の実施例中の処理、測定で、温度条件を示していないものについては、室温(23℃)で行った。
[反応基質と反応性との関係の検討]
(実施例A1)
まず、市販の下記式(4)で示されるアルコール化合物(式(1)中のnが3である化合物)を用意した。
Figure 0006739568
次に、ナスフラスコに、前記アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、ゼオライトおよび無水酢酸を、所定の割合で入れ、25℃で30分間撹拌することにより、アセチル化反応を進行させた(エステル化工程)。ここで、アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、無水酢酸の使用量は、モル比で、10:4:60:30とした。また、ゼオライトの使用量は、前記アルコール化合物100質量部に対し、37質量部とした。また、ゼオライト(多孔質物質)としては、平均細孔径が6Åで、SiO/Al比(モル比)が18であるH−β型のものを用いた。
その後、ナスフラスコ中の混合物を撹拌しつつ、60℃に昇温した。
その後、所定量の70質量%HIO水溶液を前記ナスフラスコに加え、60℃で22時間撹拌した(ヨウ素化工程)。このとき、エステル化合物に対するHIOのモル比(アルコール化合物に対するモル比と同じ)が0.3となるようにHIO水溶液を添加した。また、HIO水溶液を加えた状態で、反応系は、ヨウ素系酸化物(HIO)を含む分散質が分散した分散液の状態になっていた。
ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.3であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4であった。
ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、1.3であった。
ヨウ素化工程終了直後に、ナスフラスコから混合物の一部を採取し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行い、転化率、選択率(エステル化工程の原料として用いたアルコール化合物の消費量をXA’[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XIE/XA’)×100で示される値)、p−選択率(ヨウ素化工程終了時におけるp−モノヨウ化エステル化合物の物質量をXPIE[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XPIE/XIE)×100で示される値)およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率(選択率とp−選択率の積で示される値)を評価した。
(実施例A2)
アルコール化合物を市販の下記式(5)で示されるもの(式(1)中のnが1である化合物)に変更した以外は、前記実施例A1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
Figure 0006739568
(実施例A3)
アルコール化合物を市販の下記式(6)で示されるもの(式(1)中のnが2である化合物)に変更した以外は、前記実施例A1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
Figure 0006739568
(実施例A4)
アルコール化合物を市販の下記式(7)で示されるもの(式(1)中のnが4である化合物)に変更した以外は、前記実施例A1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
Figure 0006739568
(実施例A5)
アルコール化合物を市販の下記式(8)で示されるもの(式(1)中のnが5である化合物)に変更した以外は、前記実施例A1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
Figure 0006739568
これらの結果を表1にまとめて示す。なお、前記各実施例において、アルコール化合物からのエステル化合物の収率は、いずれも、100%であった。
また、前記各実施例では、いずれも、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.2以上0.3以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0以上2.2以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4以上0.5以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、1.3以上1.4以下であった。
Figure 0006739568
表1から明らかなように、本発明では、高い転化率、p−モノヨウ化エステル化合物選択率で、目的とするヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)を得ることができた。
[多孔質物質と反応性との関係の検討]
(実施例B1)
まず、市販の下記式(4)で示されるアルコール化合物(式(1)中のnが3である化合物)を用意した。
Figure 0006739568
次に、ナスフラスコに、前記アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、ゼオライトおよび無水酢酸を、所定の割合で入れ、25℃で30分間撹拌することにより、アセチル化反応を進行させた(エステル化工程)。ここで、アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、無水酢酸の使用量は、モル比で、10:4:60:30とした。また、ゼオライトの使用量は、前記アルコール化合物100質量部に対し、38質量部とした。また、ゼオライト(多孔質物質)としては、平均細孔径が6Åで、SiO/Al比(モル比)が18であるH−β型のものを用いた。
その後、ナスフラスコ中の混合物を撹拌しつつ、60℃に昇温した。
その後、所定量の70質量%HIO水溶液を前記ナスフラスコに加え、60℃で22時間撹拌した(ヨウ素化工程)。このとき、エステル化合物に対するHIOのモル比(アルコール化合物に対するモル比と同じ)が0.25となるようにHIO水溶液を添加した。また、HIO水溶液を加えた状態で、反応系は、ヨウ素系酸化物(HIO)を含む分散質が分散した分散液の状態になっていた。
ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.3であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4であった。
ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、1.6であった。
ヨウ素化工程終了直後に、ナスフラスコから混合物の一部を採取し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行い、転化率、選択率(エステル化工程の原料として用いたアルコール化合物の消費量をXA’[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XIE/XA’)×100で示される値)、p−選択率(ヨウ素化工程終了時におけるp−モノヨウ化エステル化合物の物質量をXPIE[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XPIE/XIE)×100で示される値)およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率(選択率とp−選択率の積で示される値)を評価した。
(実施例B2、B3)
ゼオライトとして、表2に示すように、SiO/Al比(モル比)の条件が異なるものを用いた以外は、前記実施例B1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率およびp−選択率を評価した。
(実施例B4〜B6)
ゼオライトとして、表2に示すような条件のH−ZSM−5を用いた以外は、前記実施例B1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
(実施例B7)
ゼオライトとして、表2に示すような条件のH−モルデナイトを用いた以外は、前記実施例B1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
(実施例B8〜B10)
ゼオライトとして、表2に示すような条件のH−Y型のものを用いた以外は、前記実施例B1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
(比較例B1)
ゼオライトを用いず、その代わりに硫酸を用いた以外は、前記実施例B1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。本比較例での硫酸の使用量は、前記アルコール化合物100質量部に対し、38質量部となるようにした。
これらの実施例および比較例についての多孔質物質(ゼオライト)の条件および評価結果を表2にまとめて示す。なお、前記各実施例および比較例において、アルコール化合物からのエステル化合物の収率は、いずれも、100%であった。
また、前記各実施例では、いずれも、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.2以上0.3以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0以上2.2以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4以上0.5以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、1.4以上1.6以下であった。
Figure 0006739568
表2から明らかなように、本発明では、高いp−モノヨウ化エステル化合物選択率で、目的とするヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)を得ることができた。特に、好ましい条件の多孔質物質(ゼオライト)を用いることにより、非常に優れた結果が得られた。
これに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
[ヨウ素およびヨウ素系酸化物の比率と反応性との関係の検討]
(実施例C1)
まず、市販の下記式(4)で示されるアルコール化合物(式(1)中のnが3である化合物)を用意した。
Figure 0006739568
次に、ナスフラスコに、前記アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、ゼオライトおよび無水酢酸を、所定の割合で入れ、25℃で30分間撹拌することにより、アセチル化反応を進行させた(エステル化工程)。ここで、アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、無水酢酸の使用量は、モル比で、10:4:60:30とした。また、ゼオライトの使用量は、前記アルコール化合物100質量部に対し、37質量部とした。また、ゼオライト(多孔質物質)としては、平均細孔径が6Åで、SiO/Al比(モル比)が18であるH−β型のものを用いた。
その後、ナスフラスコ中の混合物を撹拌しつつ、60℃に昇温した。
その後、所定量の70質量%HIO水溶液を前記ナスフラスコに加え、60℃で22時間撹拌した(ヨウ素化工程)。このとき、エステル化合物に対するHIOのモル比(アルコール化合物に対するモル比と同じ)が0.20となるようにHIO水溶液を添加した。また、HIO水溶液を加えた状態で、反応系は、ヨウ素系酸化物(HIO)を含む分散質が分散した分散液の状態になっていた。
ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.3であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4であった。
ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、2.0であった。
ヨウ素化工程終了直後に、ナスフラスコから混合物の一部を採取し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行い、転化率、選択率(エステル化工程の原料として用いたアルコール化合物の消費量をXA’[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XIE/XA’)×100で示される値)、p−選択率(ヨウ素化工程終了時におけるp−モノヨウ化エステル化合物の物質量をXPIE[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XPIE/XIE)×100で示される値)およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率(選択率とp−選択率の積で示される値)を評価した。
(実施例C2〜C7)
アルコール化合物に対する、ヨウ素(I)およびHIO(ヨウ素系酸化物)の比率を表3に示すように変更した以外は、前記実施例C1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
(比較例C1)
ヨウ素(I)を用いず、アルコール化合物に対するHIO(ヨウ素系酸化物)の比率を表3に示すように変更した以外は、前記実施例C1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
これらの実施例および比較例について、アルコール化合物に対するヨウ素(I)、HIO(ヨウ素系酸化物)の比率および評価結果を表3にまとめて示す。なお、前記各実施例および比較例において、アルコール化合物からのエステル化合物の収率は、いずれも、100%であった。
また、前記各実施例では、いずれも、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.2以上0.3以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0以上2.2以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4以上1.0以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4以上3.3以下であった。
Figure 0006739568
表3から明らかなように、本発明では、高い転化率、p−モノヨウ化エステル化合物選択率で、目的とするヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)を得ることができた。
これに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
[多孔質の使用量と反応性との関係の検討]
(実施例D1)
まず、市販の下記式(4)で示されるアルコール化合物(式(1)中のnが3である化合物)を用意した。
Figure 0006739568
次に、ナスフラスコに、前記アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、ゼオライトおよび無水酢酸を、所定の割合で入れ、25℃で30分間撹拌することにより、アセチル化反応を進行させた(エステル化工程)。ここで、アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、無水酢酸の使用量は、モル比で、10:4:60:30とした。また、ゼオライトの使用量は、前記アルコール化合物100質量部に対し、37質量部とした。また、ゼオライト(多孔質物質)としては、平均細孔径が6Åで、SiO/Al比(モル比)が18であるH−β型のものを用いた。
その後、ナスフラスコ中の混合物を撹拌しつつ、60℃に昇温した。
その後、所定量の70質量%HIO水溶液を前記ナスフラスコに加え、60℃で22時間撹拌した(ヨウ素化工程)。このとき、エステル化合物に対するHIOのモル比(アルコール化合物に対するモル比と同じ)が0.25となるようにHIO水溶液を添加した。また、HIO水溶液を加えた状態で、反応系は、ヨウ素系酸化物(HIO)を含む分散質が分散した分散液の状態になっていた。
ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.3であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4であった。
ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、1.6であった。
ヨウ素化工程終了直後に、ナスフラスコから混合物の一部を採取し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行い、転化率、選択率(エステル化工程の原料として用いたアルコール化合物の消費量をXA’[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XIE/XA’)×100で示される値)、p−選択率(ヨウ素化工程終了時におけるp−モノヨウ化エステル化合物の物質量をXPIE[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XPIE/XIE)×100で示される値)およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率(選択率とp−選択率の積で示される値)を評価した。
(実施例D2〜D4)
ゼオライト(多孔質物質)の使用量を表4に示すように変更した以外は、前記実施例D1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
(比較例D1)
ゼオライト(多孔質物質)を用いなかった以外は、前記実施例D1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
これらの実施例および比較例について、アルコール化合物に対するゼオライトの使用量および評価結果を表4にまとめて示す。なお、前記各実施例において、アルコール化合物からのエステル化合物の収率は、いずれも、100%であった。
また、前記各実施例では、いずれも、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.2以上0.3以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0以上2.2以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4以上0.5以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、1.3以上1.6以下であった。
Figure 0006739568
表4から明らかなように、本発明では、高い転化率、p−モノヨウ化エステル化合物選択率で、目的とするヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)を得ることができた。
これに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
[ヨウ素化工程での反応温度と反応性との関係の検討]
(実施例E1)
まず、市販の下記式(4)で示されるアルコール化合物(式(1)中のnが3である化合物)を用意した。
Figure 0006739568
次に、ナスフラスコに、前記アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、ゼオライトおよび無水酢酸を、所定の割合で入れ、25℃で30分間撹拌することにより、アセチル化反応を進行させた(エステル化工程)。ここで、アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、無水酢酸の使用量は、モル比で、10:4:60:30とした。また、ゼオライトの使用量は、前記アルコール化合物100質量部に対し、37質量部とした。また、ゼオライト(多孔質物質)としては、平均細孔径が6Åで、SiO/Al比(モル比)が18であるH−β型のものを用いた。
その後、ナスフラスコ中の混合物を撹拌しつつ、40℃に昇温した。
その後、所定量の70質量%HIO水溶液を前記ナスフラスコに加え、40℃で22時間撹拌した(ヨウ素化工程)。このとき、エステル化合物に対するHIOのモル比(アルコール化合物に対するモル比と同じ)が0.25となるようにHIO水溶液を添加した。また、HIO水溶液を加えた状態で、反応系は、ヨウ素系酸化物(HIO)を含む分散質が分散した分散液の状態になっていた。
ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.3であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4であった。
ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、1.6であった。
ヨウ素化工程終了直後に、ナスフラスコから混合物の一部を採取し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行い、転化率、選択率(エステル化工程の原料として用いたアルコール化合物の消費量をXA’[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XIE/XA’)×100で示される値)、p−選択率(ヨウ素化工程終了時におけるp−モノヨウ化エステル化合物の物質量をXPIE[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XPIE/XIE)×100で示される値)およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率(選択率とp−選択率の積で示される値)を評価した。
(実施例E2〜E5)
ヨウ素化工程での処理温度(反応温度)を表5に示すように変更した以外は、前記実施例E1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
これらの実施例について、ヨウ素化工程での処理温度(反応温度)および評価結果を表5にまとめて示す。なお、前記各実施例において、アルコール化合物からのエステル化合物の収率は、いずれも、100%であった。
また、前記各実施例では、いずれも、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.2以上0.3以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0以上2.2以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4以上0.5以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、1.3以上1.6以下であった。
Figure 0006739568
表5から明らかなように、本発明では、高い転化率、p−ヨードエステル化合物選択率で、目的とするヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)を得ることができた。
[その他の各種条件と反応性との関係の検討]
(実施例F1)
まず、市販の下記式(4)で示されるアルコール化合物(式(1)中のnが3である化合物)を用意した。
Figure 0006739568
次に、ナスフラスコに、前記アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、ゼオライトおよび無水酢酸を、所定の割合で入れ、25℃で30分間撹拌することにより、アセチル化反応を進行させた(エステル化工程)。ここで、アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、無水酢酸の使用量は、モル比で、10:4:60:30とした。また、ゼオライトの使用量は、前記アルコール化合物100質量部に対し、37質量部とした。また、ゼオライト(多孔質物質)としては、平均細孔径が6Åで、SiO/Al比(モル比)が18であるH−β型のものを用いた。
その後、ナスフラスコ中の混合物を撹拌しつつ、60℃に昇温した。
その後、所定量の70質量%HIO水溶液を前記ナスフラスコに加え、60℃で7時間撹拌した(ヨウ素化工程)。このとき、エステル化合物に対するHIOのモル比(アルコール化合物に対するモル比と同じ)が0.30となるようにHIO水溶液を添加した。また、HIO水溶液を加えた状態で、反応系は、ヨウ素系酸化物(HIO)を含む分散質が分散した分散液の状態になっていた。
ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.3であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4であった。
ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、1.3であった。
ヨウ素化工程終了直後に、ナスフラスコから混合物の一部を採取し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行い、転化率、選択率(エステル化工程の原料として用いたアルコール化合物の消費量をXA’[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XIE/XA’)×100で示される値)、p−選択率(ヨウ素化工程終了時におけるp−モノヨウ化エステル化合物の物質量をXPIE[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XPIE/XIE)×100で示される値)およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率(選択率とp−選択率の積で示される値)を評価した。
(実施例F2)
70質量%HIO水溶液の代わりに30質量%HIO水溶液を用い、エステル化合物に対するHIOのモル比(アルコール化合物に対するモル比と同じ)を0.3とし、ヨウ素化工程における反応温度を40℃に変更した以外は、前記実施例F1と同様の処理を行い、ヨウ素化工終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
(実施例F3)
70質量%HIO水溶液の代わりに固体状(粉末状)のHIOを用い、エステル化合物に対するHIOのモル比(アルコール化合物に対するモル比と同じ)を0.3とした以外は、前記実施例F1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
(実施例F4)
70質量%HIO水溶液の代わりに固体状(粉末状)のオルト過ヨウ素酸(HIO)を用い、エステル化合物に対するオルト過ヨウ素酸のモル比(アルコール化合物に対するモル比と同じ)を0.3とした以外は、前記実施例F1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
(実施例F5)
70質量%HIO水溶液の代わりに固体状(粉末状)のヨウ素酸ナトリウム(NaIO)を用い、エステル化合物に対するヨウ素酸ナトリウムのモル比(アルコール化合物に対するモル比と同じ)を0.3とした以外は、前記実施例F1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
(実施例F6)
70質量%HIO水溶液の代わりに固体状(粉末状)のヨウ素酸ナトリウム(NaIO)を用い、エステル化合物に対するヨウ素酸ナトリウムのモル比(アルコール化合物に対するモル比と同じ)を1.0とした以外は、前記実施例F1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
(実施例F7)
70質量%HIO水溶液の代わりに固体状(粉末状)の過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO)を用い、エステル化合物に対する過ヨウ素酸ナトリウムのモル比(アルコール化合物に対するモル比と同じ)を0.3とした以外は、前記実施例F1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
(比較例F1)
ヨウ素系酸化物を用いず、アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、無水酢酸の使用量を、モル比で、10:11:60:30とした以外は、前記実施例F1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
(比較例F2〜F9)
ヨウ素系酸化物の代わりに表6に示す成分を用いるとともに、各成分の使用量(モル比)を表6に示すようにした以外は、前記実施例F1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
これらの実施例および比較例についてヨウ化エステル化合物の製造に用いた成分(酢酸、無水酢酸、多孔質物質以外の成分)の条件、および、評価結果を表6にまとめて示す。なお、前記各実施例および比較例において、アルコール化合物からのエステル化合物の収率は、いずれも、100%であった。
また、前記各実施例では、いずれも、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.2以上0.3以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0以上2.2以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4以上0.5以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4以上1.4以下であった。
Figure 0006739568
表6から明らかなように、本発明では、高いp−モノヨウ化エステル化合物選択率で、目的とするヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)を得ることができた。特に、ヨウ素系酸化物を好ましい条件(組成、添加時の状態、添加量比)で用いることにより、非常に優れた結果が得られた。
これに対し、比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
[ヨウ素化工程でのHIOとHIOの比率と反応性の検討]
(実施例G1)
まず、市販の下記式(4)で示されるアルコール化合物(式(1)中のnが3である化合物)を用意した。
Figure 0006739568
次に、ナスフラスコに、前記アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、ゼオライトおよび無水酢酸を、所定の割合で入れ、25℃で30分間撹拌することにより、アセチル化反応を進行させた(エステル化工程)。ここで、アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、無水酢酸の使用量は、モル比で、10:4:60:30とした。また、ゼオライトの使用量は、前記アルコール化合物100質量部に対し、37質量部とした。また、ゼオライト(多孔質物質)としては、平均細孔径が6Åで、SiO/Al比(モル比)が18であるH−β型のものを用いた。
その後、ナスフラスコ中の混合物を撹拌しつつ、60℃に昇温した。
その後、所定量の70質量%HIO水溶液およびHIOを前記ナスフラスコに加え、60℃で22時間撹拌した(ヨウ素化工程)。このとき、HIO水溶液およびHIOの添加量は、それぞれ、エステル化合物に対するモル比(アルコール化合物に対するモル比と同じ)で、0.25、0.05であった。また、HIO水溶液を加えた状態で、反応系は、ヨウ素系酸化物(HIOおよびHIO)を含む分散質が分散した分散液の状態になっていた。
ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.3であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4であった。
ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、1.3であった。
ヨウ素化工程終了直後に、ナスフラスコから混合物の一部を採取し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行い、転化率、選択率(エステル化工程の原料として用いたアルコール化合物の消費量をXA’[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XIE/XA’)×100で示される値)、p−選択率(ヨウ素化工程終了時におけるp−モノヨウ化エステル化合物の物質量をXPIE[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XPIE/XIE)×100で示される値)およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率(選択率とp−選択率の積で示される値)を評価した。
(実施例G2、G3)
アルコール化合物に対する、ヨウ素(I)、HIOおよびHIOの比率を表7に示すように変更した以外は、前記実施例G1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
これらの実施例についてヨウ化エステル化合物の製造に用いた成分(酢酸、無水酢酸、多孔質物質以外の成分)の条件、および、評価結果を表7にまとめて示す。なお、前記各実施例において、アルコール化合物からのエステル化合物の収率は、いずれも、100%であった。
また、前記各実施例では、いずれも、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.2以上0.3以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0以上2.2以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4以上0.5以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、1.3以上1.4以下であった。
Figure 0006739568
表7から明らかなように、本発明では、高い転化率、p−モノヨウ化エステル化合物選択率で、目的とするヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)を得ることができた。
[酢酸と無水酢酸の比率と反応性の検討]
(実施例H1)
まず、市販の下記式(4)で示されるアルコール化合物(式(1)中のnが3である化合物)を用意した。
Figure 0006739568
次に、ナスフラスコに、前記アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、ゼオライトおよび無水酢酸を、所定の割合で入れ、25℃で30分間撹拌することにより、アセチル化反応を進行させた(エステル化工程)。ここで、アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、無水酢酸の使用量は、モル比で、10:4:150:30とした。また、ゼオライトの使用量は、前記アルコール化合物100質量部に対し、37質量部とした。また、ゼオライト(多孔質物質)としては、平均細孔径が6Åで、SiO/Al比(モル比)が18であるH−β型のものを用いた。
その後、ナスフラスコ中の混合物を撹拌しつつ、60℃に昇温した。
その後、所定量の70質量%HIO水溶液を前記ナスフラスコに加え、60℃で22時間撹拌した(ヨウ素化工程)。このとき、HIO水溶液の添加量は、エステル化合物に対するモル比(アルコール化合物に対するモル比と同じ)で、0.3であった。また、HIO水溶液を加えた状態で、反応系は、ヨウ素系酸化物(HIO)を含む分散質が分散した分散液の状態になっていた。
ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.1であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4であった。
ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、1.3であった。
ヨウ素化工程終了直後に、ナスフラスコから混合物の一部を採取し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行い、転化率、選択率(エステル化工程の原料として用いたアルコール化合物の消費量をXA’[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XIE/XA’)×100で示される値)、p−選択率(ヨウ素化工程終了時におけるp−モノヨウ化エステル化合物の物質量をXPIE[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XPIE/XIE)×100で示される値)およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率(選択率とp−選択率の積で示される値)を評価した。
(実施例H2〜H5)
アルコール化合物に対する、酢酸および無水酢酸の比率を表8に示すように変更した以外は、前記実施例H1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
(実施例H6)
酢酸を用いず、アルコール化合物に対する無水酢酸の比率を表8に示すように変更した以外は、前記実施例H1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
(実施例H7)
無水酢酸を用いず、アルコール化合物に対する酢酸の比率を表8に示すように変更した以外は、前記実施例H1と同様の処理を行い、ヨウ素化工程終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
これらの実施例についてヨウ化エステル化合物の製造に用いた成分(ヨウ素、ヨウ素系酸化物水溶液、多孔質物質以外の成分)の条件、および、評価結果を表8にまとめて示す。なお、前記各実施例H1からH6において、アルコール化合物からのエステル化合物の収率は、いずれも、100%であった。実施例H7においては、アルコール化合物からのエステル化合物の収率は、57%であった。
また、前記各実施例では、いずれも、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0以上0.6以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0以上4.0以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4以上0.5以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、1.3以上1.4以下であった。
Figure 0006739568
表8から明らかなように、本発明では、高い転化率、p−モノヨウ化エステル化合物選択率で、目的とするヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)を得ることができた。特に、好ましい条件を用いることにより、非常に優れた結果が得られた。
[カルボン酸およびカルボン酸無水物の種類と反応性の関係の検討]
(実施例I1)
まず、市販の下記式(4)で示されるアルコール化合物(式(1)中のnが3である化合物)を用意した。
Figure 0006739568
次に、ナスフラスコに、前記アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、ゼオライトおよび無水酢酸を、所定の割合で入れ、25℃で30分間撹拌することにより、アセチル化反応を進行させた(エステル化工程)。ここで、アルコール化合物、ヨウ素(I)、酢酸、無水酢酸の使用量は、モル比で、10:4:60:30とした。また、ゼオライトの使用量は、前記アルコール化合物100質量部に対し、37質量部とした。また、ゼオライト(多孔質物質)としては、平均細孔径が6Åで、SiO/Al比(モル比)が18であるH−β型のものを用いた。
その後、ナスフラスコ中の混合物を撹拌しつつ、60℃に昇温した。
その後、所定量の70質量%HIO水溶液を前記ナスフラスコに加え、60℃で22時間撹拌した(ヨウ素化工程)。このとき、HIO水溶液の添加量は、エステル化合物に対するHIOのモル比(アルコール化合物に対するモル比と同じ)で、0.25であった。また、HIO水溶液を加えた状態で、反応系は、ヨウ素系酸化物(HIO)を含む分散質が分散した分散液の状態になっていた。
ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中における酢酸の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、0.3であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水酢酸の含有率(モル比)は、2.0であった。
また、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4であった。
ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、1.3であった。
ヨウ素化工程終了直後に、ナスフラスコから混合物の一部を採取し、ガスクロマトグラフィーによる分析を行い、転化率、選択率(エステル化工程の原料として用いたアルコール化合物の消費量をXA’[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XIE/XA’)×100で示される値)、p−選択率(ヨウ素化工程終了時におけるp−モノヨウ化エステル化合物の物質量をXPIE[mol]、ヨウ素化工程終了時における全ヨウ化エステル化合物の物質量(ただし、ヨウ素の導入位置は限定せず、o体、m体も含む)をXIE[mol]としたとき、(XPIE/XIE)×100で示される値)およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率(選択率とp−選択率の積で示される値)を評価した。
(実施例I2)
酢酸の代わりにプロピオン酸を用い、かつ、無水酢酸の代わりに無水プロピオン酸を用いた以外は、前記実施例I1と同様の処理を行い、ヨウ素化工終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
(実施例I3)
酢酸の代わりに酪酸を用い、かつ、無水酢酸の代わりに無水酪酸を用いた以外は、前記実施例I1と同様の処理を行い、ヨウ素化工終了時における転化率、選択率、p−選択率およびp−モノヨウ化エステル化合物選択率を評価した。
これらの実施例についてヨウ化エステル化合物の製造に用いたアルコール化合物、カルボン酸、酸無水物の条件、および、評価結果を表9にまとめて示す。なお、前記各実施例において、アルコール化合物からのエステル化合物の収率は、いずれも、100%であった。
また、前記各実施例では、いずれも、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるカルボン酸の含有率に対する無水カルボン酸の含有率(モル比)は、0.2以上0.3以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物の含有率に対する無水カルボン酸の含有率(モル比)は、2.0以上2.2以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液(エステル化工程終了時点での溶液)中におけるエステル化合物に対するヨウ素(I)のモル比は、0.4以上0.5以下であり、ヨウ素化工程に用いた溶液中におけるヨウ素系酸化物に対するヨウ素(I)のモル比は、1.0以上1.4以下であった。
Figure 0006739568
表9から明らかなように、本発明では、高いp−モノヨウ化エステル化合物選択率で、目的とするヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)を得ることができた。
また、前記各実施例では、ゼオライトを濾別した後の濾液を、n−ヘキサンで抽出し、その抽出液を−5℃に冷却することにより、目的の生成物であるヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)を選択的に結晶化させることができ、高い純度で精製することができた。
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法は、多孔質物質の存在下、上記式(2)で示されるエステル化合物と、ヨウ素(I)と、ヨウ素系酸化物とを反応させ、上記式(3)で示されるヨウ化エステル化合物を得るヨウ素化工程を有する。
本発明のヨウ化エステル化合物の製造方法は、ヨウ素の導入位置の位置選択性が高く、目的とするヨウ化エステル化合物を高い収率で得ることができるものであり、産業上の利用可能性を有する。
本発明において製造されるヨウ化エステル化合物(p−モノヨウ化エステル化合物)は、医薬品中間体、農薬中間体、電子材料中間体等の各種の用途での有用性が特に高い化合物である。

Claims (14)

  1. 多孔質物質の存在下、下記式(2)で示されるエステル化合物と、ヨウ素と、ヨウ素系酸化物とを反応させ、下記式(3)で示されるヨウ化エステル化合物を得るヨウ素化工程を有することを特徴とするヨウ化エステル化合物の製造方法。
    Figure 0006739568
    (ただし、式(2)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
    Figure 0006739568
    (ただし、式(3)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
  2. カルボン酸およびその酸無水物を含む溶液中にて、下記式(1)で示されるアルコール化合物をエステル化させ、下記式(2)で示されるエステル化合物を得るエステル化工程と、
    多孔質物質の存在下、前記エステル化合物と、ヨウ素と、ヨウ素系酸化物とを反応させ、下記式(3)で示されるヨウ化エステル化合物を得るヨウ素化工程を有することを特徴とするヨウ化エステル化合物の製造方法。
    Figure 0006739568
    (ただし、式(1)中、nは、1以上5以下の整数である。)
    Figure 0006739568
    (ただし、式(2)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
    Figure 0006739568
    (ただし、式(3)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
  3. カルボン酸およびその酸無水物を含む溶液中にて、下記式(1)で示されるアルコール化合物をエステル化させ、下記式(2)で示されるエステル化合物を得るエステル化工程を行い、得られた反応混合物を用いて、
    前記エステル化合物と、ヨウ素系酸化物とを反応させ、下記式(3)で示されるヨウ化エステル化合物を得るヨウ素化工程を行うことを特徴とするヨウ化エステル化合物の製造方法。
    Figure 0006739568
    (ただし、式(1)中、nは、1以上5以下の整数である。)
    Figure 0006739568
    (ただし、式(2)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
    Figure 0006739568
    (ただし、式(3)中、nは、1以上5以下の整数、Rは、炭素数が1以上3以下のアルキル基である。)
  4. 前記エステル化工程に用いる前記カルボン酸に対する前記酸無水物のモル比は、0.2以上1.0以下である請求項2または3に記載のヨウ化エステル化合物の製造方法。
  5. 前記エステル化工程に用いる前記アルコール化合物に対する前記酸無水物のモル比は、1.2以上5.0以下である請求項2ないし4のいずれか1項に記載のヨウ化エステル化合物の製造方法。
  6. 前記エステル化工程は、前記多孔質物質の存在下で行う請求項2ないし5のいずれか1項に記載のヨウ化エステル化合物の製造方法。
  7. 前記エステル化工程は、前記ヨウ素の存在下で行う請求項2ないし6のいずれか1項に記載のヨウ化エステル化合物の製造方法。
  8. 前記ヨウ素系酸化物は、ヨウ素酸、過ヨウ素酸もしくはこれらの塩から選ばれる少なくとも一種である請求項1ないし7のいずれか1項に記載のヨウ化エステル化合物の製造方法。
  9. 前記ヨウ素系酸化物が酸性化合物である請求項1ないし8のいずれか1項に記載のヨウ化エステル化合物の製造方法。
  10. 前記ヨウ素系酸化物は、水溶液の状態で反応系内に供給される請求項1ないし9のいずれか1項に記載のヨウ化エステル化合物の製造方法。
  11. 前記ヨウ素化工程は、前記ヨウ素系酸化物を含む分散質がカルボン酸を含む有機溶液を分散媒として分散した分散液中で行うものである請求項1ないし10のいずれか1項に記載のヨウ化エステル化合物の製造方法。
  12. 前記多孔質物質の平均細孔径は、5.0Å以上9.0Å以下である請求項1ないし11のいずれか1項に記載のヨウ化エステル化合物の製造方法。
  13. 前記多孔質物質は、ゼオライトである請求項1ないし12のいずれか1項に記載のヨウ化エステル化合物の製造方法。
  14. 前記ゼオライト中におけるSiO/Al比(モル比)は、4以上90以下である請求項13に記載のヨウ化エステル化合物の製造方法。
JP2019053270A 2018-07-05 2019-03-20 ヨウ化エステル化合物の製造方法 Active JP6739568B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018128602 2018-07-05
JP2018128602 2018-07-05

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020011945A JP2020011945A (ja) 2020-01-23
JP6739568B2 true JP6739568B2 (ja) 2020-08-12

Family

ID=69170317

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019053270A Active JP6739568B2 (ja) 2018-07-05 2019-03-20 ヨウ化エステル化合物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6739568B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5603916A (en) * 1995-05-22 1997-02-18 Nano Systems L.L.C. 3 5-bis alkanoyl amino-2 4 6-triiodobenzyl esters
JP4293515B2 (ja) * 2003-02-10 2009-07-08 三菱瓦斯化学株式会社 5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法
JP4332702B2 (ja) * 2003-02-10 2009-09-16 三菱瓦斯化学株式会社 ヨウ素化合物の製造方法
JP2005139078A (ja) * 2003-11-04 2005-06-02 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020011945A (ja) 2020-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2394979B1 (en) Intermediate of cilastatin and preparation method thereof
JP6739568B2 (ja) ヨウ化エステル化合物の製造方法
JP2003192685A (ja) シクロブタンテトラカルボン酸二無水物化合物の製造法
JPH045680B2 (ja)
RU2382767C2 (ru) Способ получения 3-метилтиопропаналя
DE2560629C2 (de) Verfahren zur Herstellung substituierter 2-Hydroxybutensäureester und einige 2-Hydroxybutensäureester als solche
JP2008120695A (ja) ピレン−1,6−ジカルボン酸の製造方法
JP2012507575A (ja) p−ニトロベンジルブロミドの製造の改良法
JP4523324B2 (ja) ペルフルオロアルキル基を有するアルコール誘導体の製造方法
JP2008255050A (ja) クロスカップリング化合物の製造方法
EP0072293A2 (fr) Procédé de préparation de l'acide ursodésoxycholique à partir de l'acide 3 alpha, 7 beta, 12 alpha-trihydroxycholanique et produits intermédiaires utilisés
JP3796781B2 (ja) 芳香族ジアルデヒド類の製造方法
JP4418048B2 (ja) 13−シス−レチノイン酸の製造方法
JP6124015B2 (ja) ペンタフルオロスルファニル安息香酸の製造方法
JPH06157418A (ja) 還元的脱ハロゲン化法
EP0089585B1 (de) Verfahren zur Herstellung von 2-Alkyl-4,4-diacyloxy-2-butenalen
JPH0665140A (ja) 2−フルオロシクロプロパンカルボン酸の製法
KR101393009B1 (ko) 탄소 촉매제를 이용한 2-(4-포르밀페닐)프로피온 산의 제조방법
CN1213990C (zh) 取代的对硝基二苯基醚类的纯化方法
JPS62120327A (ja) フルオロアルキル化方法
JPH0454177A (ja) γ―アルキル―γ―ラクトンの製造方法
WO2021025012A1 (ja) リン含有オレフィン化合物塩の精製方法及びそれにより得た精製物を用いたオレフィン化合物の製造方法
JP2000327658A (ja) 安定化された2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−n−オキシル組成物
US2060623A (en) Process of preparing angelic acid
JP2022156436A (ja) 3-(メタ)アクリロイルスルホランの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200225

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200625

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200626

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200707

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200721

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6739568

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250