JP6124015B2 - ペンタフルオロスルファニル安息香酸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はペンタフルオロスルファニル安息香酸の製造方法に関する。
ペンタフルオロスルファニル安息香酸は、医農薬品等の中間原料として有用な化合物である(例えば、特許文献1および2)。従来、ペンタフルオロスルファニル安息香酸の製法として、4−ニトロペンタフルオロスルファニルベンゼンを還元して4−アミノペンタフルオロスルファニルベンゼンを得る工程、当該化合物と亜硝酸ブチルとを反応させてジアゾ化し、次いで臭化銅(II)で臭素化して4−ブロモペンタフルオロスルファニルベンゼンを得る工程、当該化合物をt−ブチルリチウムを用いてリチオ化した後にホルミル化して4−ペンタフルオロスルファニルベンズアルデヒドを得る工程、当該化合物を酸化銀を用いて酸化して4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸を得る工程、を備える方法が知られている(非特許文献1)。
またペンタフルオロスルファニル安息香酸の製法として、4−ブロモペンタフルオロスルファニルベンゼンに金属マグネシウムおよびヨウ化メチルを作用させてGrignard反応試薬を調製し、当該試薬と二酸化炭素を反応させて4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸を得る方法が知られている(非特許文献2)。
この他に、4−アミノペンタフルオロスルファニルベンゼンから4−ヨードペンタフルオロスルファニルベンゼンを合成した後、トリブチルビニルスズおよびパラジウム触媒を用いて、4−ビニルペンタフルオロスルファニルベンゼンとし、過ヨウ素酸ナトリウムおよびルテニウム触媒を用いて4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸を得る方法も知られている(特許文献1)。
米国特許第7622500号明細書 国際公開第2010/063767号
Journal of Fluorine Chemistry 2007, 128, 1449-1453. Journal of the American Chemical Society 1962, 84, 3064-3072.
非特許文献1に記載の方法は反応工程が多く、かつ安全性の低いジアゾ化合物を経由する必要があり、さらには空気中で容易に発火するt−ブチルリチウムを使用する必要がある等の理由から、工業的に適した方法ではない。また、非特許文献2に記載の方法はGrignard反応試薬の調製が煩雑であり、かつ収率が低い等の問題があった。さらに、特許文献1に記載の方法は高価な触媒および処理が煩雑な有機スズを用いる必要があり、かつ収率が低い等の問題があった。
ペンタフルオロスルファニル安息香酸を簡便かつ安全に工業的に製造したいという要求があったが、未だ満足の行く方法はなかった。この状況を鑑み、本発明は、簡便で安全な工業的に好適なペンタフルオロスルファニル安息香酸の製法を提供すること、また本製造方法に用いる好適な新規なトリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンを提供することを課題とする。
前記課題は、以下の本発明により解決される。
[1](A)一般式(1)で表されるトリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンを準備する準備工程、
(B1)カルボン酸以外の酸存在下で、当該トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンと、カルボン酸、水、または一般式(b)で表されるジシロキサンとを反応させて、一般式(2a)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物を生成する工程、ならびに
(B2)当該ペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物から一般式(2)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸を得る工程、を含む、ペンタフルオロスルファニル安息香酸の製造方法。
[2](A)一般式(1)で表されるトリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンを準備する準備工程、
(B1)カルボン酸以外の酸存在下で、当該トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンと、カルボン酸、水、または一般式(b)で表されるジシロキサンとを反応させて、一般式(2a)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物を生成する工程、
(C1)当該ペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物をアルコールと反応させて、一般式(2c)で表されるエステルを生成する工程、ならびに
(C2)当該ペンタフルオロスルファニル安息香酸エステルから一般式(2)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸を得る工程、を含む、ペンタフルオロスルファニル安息香酸の製造方法。
簡便で安全な工業的に好適なペンタフルオロスルファニル安息香酸の製法ならびに本製造方法に用いる好適な新規なトリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンを提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書において「〜」はその両端の値を含む。
1.製造方法
1−1.第一の製造方法
第一の製造方法は、
(A)一般式(1)で表されるトリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンを準備する準備工程、
(B1)カルボン酸以外の酸存在下で、当該トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンと、一般式(b)で表されるジシロキサン、カルボン酸、または水、とを反応させて、一般式(2a)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物を生成する工程、ならびに
(B2)当該ペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物から一般式(2)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸を得る工程を備える。
本製造方法のスキームを以下に示す。
Figure 0006124015
スキーム中、Xはハロゲン原子であり、nは1≦n≦3の整数である。合成の容易性からnは1であることが好ましい。ベンゼン環上の水素原子は酸素原子を含む基、窒素原子を含む基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい。ベンゼン環上の水素原子とは、FS基が結合しているベンゼン環を構成している炭素原子に直接結合している水素原子である。
以下、各工程について説明する。
(1)準備工程(A)
本工程では、一般式(1)で表されるトリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンを準備する。トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンとは、ベンゼン環上にペンタフルオロスルファニル基とトリハロメチル基とを有する化合物の総称である。トリハロメチル基は1〜3個存在してよい。しかしながら、トリハロメチル基は電子吸引性であり、また当該基の数が多いと立体障害を引き起こすので、製造容易性等を考慮すると、当該基の数は1〜2個であることが好ましく、1個であることがより好ましい。トリハロメチル基におけるハロゲン原子は限定されないが、原料入手容易性等を考慮するとフッ素原子または塩素原子が好ましい。特に、ハロゲン原子が塩素原子でありnが1〜3であるトリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンは新規物質である。
トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン中のベンゼン環は、ペンタフルオロスルファニルおよびトリハロメチル基以外に置換基を有してもよいが、製造容易性の観点からは有さないことが好ましい。トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンの好適な具体例としては、4−トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン、3−トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン等のモノトリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン;3,4−ビストリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン、3,5−ビストリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン等のビストリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン;2,4,5−トリストリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン、3,4,5−トリストリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン等のトリストリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンが挙げられる。
トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンのベンゼン環上の水素原子は、酸素原子を含む基、窒素原子を含む基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子としては特に限定されない。置換基としてのハロゲン原子は1〜4個の範囲であればよく、二種以上であってもよい。
トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンのベンゼン環上の水素原子は、酸素原子を含む基で置換されていてもよい。このような基としては、ヒドロキシ基;オキソカルボニルメチル基、オキソカルボニルエチル基等のオキソカルボニルアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基等のアルコキシル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等のアリールオキシル基等が挙げられる。オキソカルボニルアルキル基の炭素数は2〜5が好ましく、2〜3がより好ましい。アルコキシル基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜7がより好ましい。アリールオキシル基の炭素数は、6〜15が好ましく、6〜10がより好ましい。
トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンのベンゼン環上の水素原子は、窒素原子を含む基で置換されていてもよい。このような基としては、アミノ基、モノメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、モノベンジルアミノ基、フェニルアミノ基等の一級アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、メチルエチルアミノ基、フェニルメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等の二級アミノ基;N−アセチルアミド基、N−ベンゾイルアミド基、N−メタンスルホニル基等の一級アミド基または一級スルホンアミド基;N−メチル−N−アセトアミド基、N−メチル−N−メタンスルホニル基等の二級アミド基または二級スルホンアミド基等が挙げられる。一級アミノ基の炭素数は、0〜10が好ましく、0〜7がより好ましい。二級アミノ基の炭素数は、2〜20が好ましく、2〜14がより好ましい。一級アミド基またはスルホンアミド基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。二級アミド基または二級スルホンアミド基の炭素数は、2〜5が好ましく2〜3がより好ましい。
置換基としての酸素原子を含む基および窒素原子を含む基の合計の数は1〜4個であってよい。
これらのトリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンは、任意の方法で準備してよいが、一般式(1a)で表されるメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンと、ハロゲン化剤とを反応させて準備することが好ましい。この反応のスキームを以下に示す。
Figure 0006124015
スキーム中、nは前述のとおり定義される。ベンゼン環上の水素原子は前述の基または原子で置換されていてもよい。一般式(1)のXはハロゲン原子である。
ハロゲン化剤とは、水素をハロゲンに置換する作用を有する化合物であり、本工程においては、例えば、塩素分子、臭素分子、ヨウ素分子等のハロゲン分子;塩化スルフリル、臭化スルフリル、ヨウ化スルフリル等のハノゲノスルフリル;N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミド等のN−ハロゲノスクシンイミド;1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、1,3−ジヨード−5,5−ジメチルヒダントイン等の1,3−ジハロゲノ−5,5−ジメチルヒダントイン等を使用できる。中でも安価であるため塩素分子または臭素分子が好ましく、特に塩素分子が好ましい。
これらのハロゲン化剤としては、同じハロゲン原子を有する二種以上のハロゲン化剤を併用できる。ハロゲン化剤の使用量は、メチルペンタフルオロスルファニルベンゼンのメチル基1モルに対して好ましくは0.1〜30モル、さらに好ましくは3〜20モルである。
本反応は紫外線照射下において実施することが好ましい。紫外線照射下で反応を実施するとは、自然光または紫外線を含む光線を照射した状況で本反応を実施することである。紫外線によりハロゲンラジカルが発生し、円滑に反応が進行する。
本反応は溶媒を特に必要としないが、反応を阻害しない範囲で溶媒を使用できる。このような溶媒としては、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素や塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化アルキル等不活性な溶媒が挙げられる。
本反応は触媒を用いずに実施できるが、触媒を使用してもよい。触媒を用いる場合、例えば過酸化ジベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤;塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛等のハロゲン化金属;塩化ホウ素、臭化ホウ素、ヨウ化ホウ素等のハロゲン化ホウ素、三塩化リン、五塩化リン、三臭化リン、五臭化リン等のハロゲン化リンを使用できるが、安価であり、かつ円滑に反応を促進できることから三塩化リンもしくは五塩化リンがより好ましい。これらの触媒は単独または二種以上を併用してもよい。触媒の使用量は、メチルペンタフルオロスルファニルベンゼン1モルに対して好ましくは0.001〜10モル、好ましくは0.005〜1.0モル、さらに好ましくは0.01〜0.3モルである。
本反応の反応温度は、室温〜200℃が好ましく、40〜140℃がより好ましい。
本反応によって、一般式(1)で表されるトリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンが得られる。当該化合物は、例えば、中和、抽出、ろ過、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、昇華、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離または精製できる。一般式(1)のXは、前記ハロゲン化剤のハロゲン原子に由来する。
(2)工程(B1)
本工程では、カルボン酸以外の酸存在下において、一般式(1)で表されるトリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンと、ジシロキサン、水、またはカルボン酸を反応させて、一般式(2a)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物を生成する。本工程のスキームを以下に示す。
Figure 0006124015
一般式(1)のXがフッ素原子である場合、一般式(2a)のXはフッ素原子である。一方、一般式(1)のXがフッ素原子以外のハロゲン原子である場合は、一般式(2a)のXはフッ素原子、またはフッ素原子以外のハロゲン原子となる。すなわち、一般式(1)のXがClである場合を例にすると、一般式(2a)のXはFまたはClとなる。この場合のF原子は、生成した一般式(2a)の化合物のXが、一般式(1)の化合物に由来するHFによりフッ素化されることに起因すると考えられる。
カルボン酸以外の酸としては、ブレンステット酸およびルイス酸が使用できるが、反応を効率よく進行させる観点から、ルイス酸が好ましい。中でも、塩化アルミニウム、塩化アンチモン、塩化第二鉄、四塩化チタン、四塩化スズおよび塩化亜鉛等の金属塩化物が好ましく、塩化第二鉄、塩化亜鉛が特に好ましい。触媒の添加量は十分な活性を示す量であればよいが、トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンに対して0.01〜50モル%が好ましく、5〜30モル%がより好ましい。
本工程で使用する水の量は、一般式(1)の化合物に対し、50〜200モル%が好ましい。ただし、反応系中の水の濃度が急激に高くなると、前記カルボン酸以外の酸が失活する恐れがあるので、滴下するなどしてゆっくりと水を添加することが好ましい。水を用いる場合の反応温度は30〜180℃が好ましく、50〜120℃がより好ましい。具体的な反応スキームは以下のとおりである。
Figure 0006124015
本工程においてカルボン酸としては、R”COOHで表される酸を使用できる。R”は炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基である。入手容易であることから、カルボン酸としては酢酸や安息香酸などが好ましく、中でも蒸留分離が容易なため酢酸がより好ましい。カルボン酸の量は一般式(1)の化合物に対して5〜120モル%が好ましい。ただし、反応系中のカルボン酸の濃度が急激に高くなると、酸無水物が副生することがあるので、滴下するなどしてゆっくりとカルボン酸を添加することが好ましい。カルボン酸を用いる場合の反応温度は50〜140℃が好ましい。カルボン酸は、一般式(1)の化合物を溶解させやすいという効果も奏する。具体的な反応スキームは以下のとおりである。
Figure 0006124015
本工程において使用するジシロキサンは、一般式(b)で表される。
Si−O−SiR (b)
式中Rはアルキル基であるが、入手容易性の観点から、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基またはエチル基がさらに好ましい。ジシロキサンの使用量は、一般式(1)の化合物の50モル%以上であればよく、溶媒量として用いることもできる。ジシロキサンは反応器内の原料を溶かし、反応を円滑に進行させるという利点もある。反応スキームは以下のとおりである。
Figure 0006124015
また、この反応スキームは以下のようにも考えられる。
Figure 0006124015
すなわち、ジシロキサンを用いる場合は、一般式(2a)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物の他に、一般式(2b)で表されるハロゲン化物が生成してもよい。一般式(2b)で表されるハロゲン化物は、一般式(2a)で表されるハロゲン化物の前駆体と考えられる。式中、Xは前述のとおり定義されるが、好ましくは塩素原子である。Rは一般式(b)のジシロキサンのRに由来するアルキル基である。
本工程においては水とカルボン酸は併用してもよい。水は、カルボン酸を反応剤として用いた時に副生する酸無水物を、本発明の目的物であるペンタフルオロスルファニル安息香酸に転化することができる。またカルボン酸は、水に溶解しにくい一般式(1)の化合物を溶解させやすくする。しかし、ジシロキサンと水とは併用しないことが好ましい。ジシロキサンは水との反応性が高いので、
SiOSiR +HO →2RSiOH
の反応が生じてジシロキサンが失活される恐れがあるからである。しかし、RSiOHと上記で生成したRSiXは以下の反応により、一般式(b)のジシロキサンを再生する。
SiOH +RSiX → RSiOSiR +HX
よって、微量であれば水が存在していてもよい。この場合、具体的な水の量は、ジシロキサンに対して70モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましい。
工程(B1)で生成したハロゲン化物は単離または精製せずに次の工程(B2)に供してよい。しかしながら、ハロゲン化物を含む反応混合物を精製工程に供することで、反応混合物中のペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物の純度を向上でき、さらには混合物からハロゲン化物を単離できる。このように精製工程を経て工程(B2)を実施することで純度のより高いペンタフルオロスルファニル安息香酸を得ることができる。精製工程としては蒸留または再結晶が挙げられるが蒸留が好ましい。一般式(2a)で表されるハロゲン化物は、一般式(2)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸に比べて沸点が低いので、容易に蒸留できるからである。従って、一旦、一般式(2a)の化合物を得て精製してから工程(B2)に供すことにより、純度のより高いペンタフルオロスルファニル安息香酸をより効率よく得ることができる。
しかしながら、水やカルボン酸は、非常に反応性が高いので、添加量や添加する速度の変動により反応を制御することが困難となる場合がある。つまり、一般式(2a)で表される中間体生成段階で反応を止めることができず、直ちに一般式(2)で表されるカルボン酸生成段階まで反応を進めてしまうか、あるいは酸無水物を副生することがある。すなわち、水またはカルボン酸を用いる場合は、一般式(1)のトリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンから一般式(2)のペンタフルオロスルファニル安息香酸を、見かけ上、直接合成することもできる。この場合は目的化合物を迅速に得るという利点がある。
一方、ジシロキサンは水やカルボン酸ほど反応性が高くないので、一般式(2a)で表される中間体生成段階で容易に反応を止めることができる。従って、ジシロキサンを用いると、中間体であるハロゲン化物を容易に入手できる。
(3)工程(B2)
本工程では、一般式(2a)のハロゲン化物からペンタフルオロスルファニル安息香酸を得る。本反応のスキームを以下に示す。
Figure 0006124015
本工程では水を使用して一般式(2a)のハロゲン化物を加水分解することにより一般式(2)の目的化合物を得ることができる。水の量はペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物の化学量論量以上であればよく、溶媒量であってもよい。反応系のpHも特に限定されない。反応系がアルカリ性である場合は、ペンタフルオロスルファニル安息香酸塩が得られるので、当該塩を含む反応混合物にブレンステッド酸を添加して酸性とすることによりペンタフルオロスルファニル安息香酸を得ることができる。
本反応は、反応を阻害しない有機溶媒を併用できる。使用できる有機溶媒としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒やアセトニトリル等のニトリル系溶媒、メタノールやエタノール等のアルコール系溶媒が挙げられる。反応温度は特に限定されないが、0〜100℃が好ましい。
前記工程(B1)において、一般式(2b)のハロゲン化物が生成している場合は、工程(B2)において当該化合物からもペンタフルオロスルファニル安息香酸を得ることができる。
得られるペンタフルオロスルファニル安息香酸は、例えば、中和、抽出、ろ過、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、昇華、カラムクロマトグラフィー等の一般的な方法によって単離または精製できる。
1−2.第二の製造方法
第二の製造方法は、
(A)一般式(1)で表されるトリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンを準備する準備工程、
(B1)カルボン酸以外の酸存在下で、当該トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンと、一般式(b)で表されるジシロキサン、カルボン酸、または水、とを反応させて、一般式(2a)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物を生成する工程、
(C1)当該ペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物をアルコールと反応させて、一般式(2c)で表されるエステルを生成するエステル化工程、ならびに
(C2)当該エステルから、一般式(2)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸を得る工程、を備える。
工程(A)および(B1)は既に述べたとおりである。本製造方法の工程(B1)においても前述の一般式(2b)で表される化合物が生成していてもよい。この場合も工程(C1)において、当該ハロゲン化物をアルコールと反応させて、一般式(2c)で表されるエステルを得る。
Figure 0006124015
式中、R’は炭素数1〜5の直鎖状または分岐状アルキル基である。nは1≦n≦3の整数であり、n=1が好ましい。ベンゼン環上の水素原子は酸素原子を含む基、窒素原子を含む基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい。
アルコールとしては、炭素数1〜5の直鎖状または分岐状アルキル基を有するアルコールが好ましく、その具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールなどの低級アルコールが挙げられる。中でも取扱性等からメタノール、エタノールが好ましい。
エステル化反応は、前記ペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物と過剰のアルコールとを反応させて実施することが好ましい。生成したエステルは、蒸留または再結晶等によって精製することで単離できる。特に、前記ハロゲン化物中に過剰のアルコールを添加して蒸留に供すると容易にペンタフルオロスルファニル安息香酸エステルを単離できる、すなわちエステルの合成と精製を同時に行なえるので好ましい。このようにエステルを工程(C2)に供することで純度のより高いペンタフルオロスルファニル安息香酸を得ることができる。また、この方法は、反応性および腐食性が高い一般式(2a)の化合物を精製する必要が無いため、簡便な装置で実施できるという利点もある。
工程(C2)は、工程(C1)で得たエステルを水と反応させて加水分解することで実施できる。加水分解の条件は第一の製造方法で説明したとおりである。本工程のスキームを以下に示す。
Figure 0006124015
2.ペンタフルオロスルファニル安息香酸
ペンタフルオロスルファニル安息香酸は、一般式(2)で表される化合物である。
Figure 0006124015
前述のとおり、Xはハロゲン原子であり、nは1≦n≦3の整数である。合成の容易性から、nは1であることが好ましい。式中のベンゼン環状上の水素原子は酸素原子を含む基、窒素原子を含む基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい。この化合物は、医薬品、農薬品の中間体として有用である。
3.モノトリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン
モノトリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンは式(5)で示される新規な物質である。
Figure 0006124015
ベンゼン環上の水素原子は、前述の基または原子で置換されていてもよい。モノトリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンは、ペンタフルオロスルファニル安息香酸の中間体として有用である。
この他、ビストリクロロメチル−ペンタフルオロスルファニルベンゼンおよびトリストリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンも新規な物質である。
[実施例1]4−トリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成
撹拌装置を備える100mLフラスコ準備し、内部をNガスで置換した後、フラスコ内にPCl 1.4g(0.10mol)(Sigma−Aldrich社製)、続いて4−メチルペンタフルオロスルファニルベンゼン44.1g(0.20mol)(ウベアメリカ社製)を仕込んだ。フラスコ内容物を攪拌しながら油浴で130℃に加熱し、白熱灯(100W)(ACE GLASS社製)を用いて反応容器に光を照射した。
フラスコ内へ塩素ガス(LINWELD社製)の供給を開始し、120L(5.3mol)供給した時点で塩素ガスの供給を停止した。油浴の温度を50℃に設定し、撹拌しながら2−プロパノール100gをゆっくりと添加した。フラスコ内容物を200mLのナスフラスコに移した後、氷浴を用いて冷却しながら、水50gを加えて撹拌した。水を添加すると直ちに白色の沈殿物が得られた。ナスフラスコを氷浴に浸したまま、30分間内容物を撹拌した後、ろ過した。ろ過物を30gの冷却した2−プロパノールと水の混合物(重量比2:1)で洗浄した。これにより結晶物を得た。結晶物を減圧乾燥しNMR分析を行ない、当該結晶物が4−トリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンであることを確認した。収量は42.5g、収率は62%であった。
NMR分析結果(日本電子株式会社製、ECX−300、300MHz)を以下に示す。
1H-NMR (CDCl3):7.84(2H, d, J=9Hz), 8.04(2H, d, J=9Hz)
19F-NMR (CDCl3):62.77(4F, d, J=147Hz), 82.78(1F, quin, J=147Hz)
13C-NMR (CDCl3): 95.9(s), 126.3(s), 126.4(t, JCF=5Hz), 49.2(quin, JCF=20Hz), 147.2(s), 154.8(quin, JCF=18.7Hz)
4−トリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンの融点は68.6〜69.4℃であった。4−トリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンは新規な化合物である。
[実施例2]4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸の合成(ジシロキサン使用)
撹拌装置を備えた100mLフラスコに、実施例1で得た4−トリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン40.0g(111mmol)、ヘキサメチルジシロキサン18.6g(114mmol)(Sigma−Aldrich社製)、FeCl 0.89g(5mol%)(Sigma−Aldrich社製)を仕込んだ。N雰囲気下、バス温度を70℃とし、2日間、内容物を加熱撹拌した。内容物を室温まで冷却した後、減圧蒸留を行い、沸点87〜94℃(9mmHg)の蒸留物24gを得た。これをGC(Agilent製、6890シリーズ)で分析したところ、4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸クロリドと4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸フルオリドの混合物(74:24(面積比))であることが分かった。
200mLフラスコに水酸化ナトリウム8.4g(210mmol)、水30mL、メタノール40mlを仕込み、前述のペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物の混合物23.7gを添加した。室温で一晩撹拌後、水300mLを添加し、トルエンで水相を洗浄した。水相に、0.5M塩酸50mLを加えた後、酢酸エチルを用いて水相から有機物を抽出した。有機相(酢酸エチル相)を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相をろ過した後、ろ液を濃縮し、4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸22.0gを白色固体として得た(収率80%)。
4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸のNMR分析結果を以下に示す。
1H-NMR(CD3CN): 7.91(2H, d, J=8.9Hz), 8.11(2H, d, J=7.9Hz), 9.56(1H, brs, OH)
19F-NMR(CD3CN): 61.78(4F, d, J=147Hz), 82.83(1F, quin, 148Hz)
[実施例3]4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸の合成(水使用)
撹拌装置を備えた50mLフラスコに、実施例1で得た4−トリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン16.08g(50mmol)、FeCl 406mg(5mol%)を仕込んだ。バス温度を70〜75℃に昇温し、水900mg(50mmol)を2時間以上かけてゆっくり滴下した。滴下に従い、HClガスが発生した。滴下終了後、内容物を1時間、加熱撹拌した。得られた反応混合物を200mLフラスコに移し、水100mLを添加し、油浴温度を90℃にして一晩撹拌した。放冷後、濾過し、水20mLを用いて3回固体を洗浄した。ろ過物をフラスコに移し、1MのNaOH 100mLを添加し、トルエン50mlを加えて撹拌した。分液し、水相を再度、トルエン50mLで洗浄した。水相に6MのHCl 20mLを添加した後、酢酸エチル50mLに析出物を溶かし、さらに分液した。水相から有機物を酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄した後、無水MgSOで乾燥した。ろ過後、ろ液を濃縮し、4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸10.1gを白色固体として得た(収率81%)。
[実施例4]4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸の合成(エステル経由)
撹拌装置を備えた500mLフラスコに、実施例1で得た4−トリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン105.8g(329mmol)、ヘキサメチルジシロキサン80.13g(494mmol)、FeCl 5.34g(10mol%)を仕込んだ。バス温度を70〜75℃に昇温し、3時間加熱撹拌した。反応混合物にFeCl 5.34g(10mol%)を加え、さらに16時間加熱撹拌した。得られた反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル26mlを加えた。500mlフラスコにエタノール 170mlを仕込み、氷冷した。これに反応混合物を滴下した。滴下終了後、室温で1時間、加熱還流で2時間撹拌した。室温まで冷却後、ヘキサン106mlを添加し、氷冷した。これに水 212mlを添加してよく撹拌した後、分液した。水相をヘキサンで抽出し、有機相と合わせ20%食塩水で洗浄した。さらに飽和重曹水で洗浄した後、減圧濃縮した。得られた褐色油状物を減圧蒸留し、沸点106℃(6mmHg)の蒸留物77gを得た。これをGC分析したところ、エチル4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸エステルであった(収率85%)。
撹拌装置を備えた500mlフラスコに、エチル4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸エステル 76g(275mmol)、メタノール138ml、45%水酸化カリウム水溶液41.2g(330mmol)を仕込んだ。室温で4時間撹拌後、減圧濃縮を行った。水 83ml、トルエン83mlを加えてよく撹拌した後、分液した。水相を氷冷し、酢酸エチル 152ml、6M塩酸 64mlを添加した。よく撹拌した後、分液し、水相を酢酸エチルで抽出した。有機相と合わせ、20%食塩水で洗浄し、減圧濃縮した。得られた濃縮物にヘプタンを添加して、再結晶を行った。減圧乾燥後、4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸47gを白色固体として得た(収率81%)。
[実施例5]4−トリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンの合成(触媒無)
撹拌装置を備える100mLフラスコを準備し、内部をNガスで置換した後、フラスコ内に4−メチルペンタフルオロスルファニルベンゼン66.1g(0.30mol)(ウベアメリカ社製)を仕込んだ。フラスコ内容物を攪拌しながら油浴で90℃に加熱し、水銀灯(450W)(ACE GLASS社製)を用いて反応容器に光を照射した。
フラスコ内へ塩素ガス(LINWELD社製)の供給を開始し、24時間かけて38L(1.7mol)を供給した時点で塩素ガスの供給を停止した。冷却後、50mlの塩化メチレンを添加し、飽和炭酸ナトリウム水溶液および飽和亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機相を減圧濃縮し、得られた濃縮物をメタノールと水の混合溶媒から再結晶した。結晶物を減圧乾燥し、4−トリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン 66.7gを得た(収率68%)。
[合成例1]4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸クロリドの合成
撹拌装置を備えた100mLフラスコに、実施例1で得た4−トリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン 30.0g(93mmol)、ヘキサメチルジシロキサン16.7g(103mmol)、FeCl 0.75g(5mol%)を仕込んだ。N雰囲気下、油浴温度を100℃として、2日間、内容物を加熱撹拌した。内容物を室温まで冷却後、減圧蒸留を行った。沸点94℃(6.3mmHg)の蒸留物13.8gを得た。これをGC分析したところ、4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸クロリドであることが分かった(収率59%)。本反応においては下記式(2b’)で表されるクロリドも生成していると考えられる(Journal of the Chemical Society, Chemical Communications 1977, 808-809)。Rはメチル基、Xは塩素原子である。
Figure 0006124015
4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸クロリドのNMR分析結果を以下に示す。
1H-NMR(CDCl3): 7.89(2H, d, J=8.9Hz), 8.21(2H, d, J=8.3Hz)
19F-NMR(CDCl3): 62.16(4F, d, J=147Hz), 81.51(1F, quin, J=150Hz)
[合成例2]4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸クロリドの合成(酢酸使用)
撹拌装置を備えた25mLフラスコに、実施例1で得た4−トリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン 10.0g(31.2mmol)、FeCl 0.15g(3mol%)を仕込んだ。N雰囲気下、油浴温度を70℃として、酢酸 1.87g(31.2mmol)を3時間かけて滴下した。滴下終了後、油浴温度70℃で17時間、内容物を加熱撹拌した。内容物を室温まで冷却後、トリフェニルホスフィン0.49g(6mol%)を添加し、3時間撹拌した。この混合物を減圧蒸留し、4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸クロリド4.67gを得た(収率56%)。
[合成例3]4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸クロリドの合成(水使用)
撹拌装置を備えた50mLフラスコに、実施例1で得た4−トリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン16.08g(50mmol)、FeCl 406mg(5mol%)を仕込んだ。バス温度を70〜75℃に昇温し、水900mg(50mmol)を2時間以上かけてゆっくり滴下した。滴下に従い、HClガスが発生した。滴下終了後、内容物を1時間、加熱撹拌した。この混合物を減圧蒸留し、4−ペンタフルオロスルファニル安息香酸クロリド5.59gを得た(収率42%)。

Claims (10)

  1. (A)一般式(1)で表されるトリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンを準備する準備工程
    Figure 0006124015
    (式中、Xはハロゲン原子であり、nは1≦n≦3の整数であり、ベンゼン環上の水素原子は酸素原子を含む基、窒素原子を含む基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい)、
    (B1)カルボン酸以外の酸存在下で、当該トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンと、カルボン酸、水、または一般式(b)で表されるジシロキサン
    Si−O−SiR (b)(式中はアルキル基を示す)
    とを反応させて、一般式(2a)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物を生成する工程
    Figure 0006124015
    (式中、Xおよびnは前述のとおり定義され、ベンゼン環上の水素原子は前述の基または原子で置換されていてもよい)、ならびに
    (B2)当該ペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物から一般式(2)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸を得る工程
    Figure 0006124015
    (式中、nは前述のとおり定義され、ベンゼン環上の水素原子は前述の基または原子で置換されていてもよい)、
    を含む、ペンタフルオロスルファニル安息香酸の製造方法。
  2. 前記準備工程(A)が、
    一般式(1a)で表されるメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンと
    Figure 0006124015
    (式中、nは1≦n≦3の整数であり、ベンゼン環上の水素原子は酸素原子を含む基、窒素原子を含む基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい)、
    ハロゲン化剤と、を反応させて、前記一般式(1)で表されるトリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンを得る工程である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記準備工程(A)を紫外線照射下で実施する、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記工程(B2)の前に、前記工程(B1)で生成したペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物を含む反応混合物を精製する工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 工程(B1)が、カルボン酸以外の酸存在下で、前記トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンと、一般式(b)で表されるジシロキサンと、を反応させて一般式(2b)で表されるハロゲン化物をさらに生成する工程であり
    Figure 0006124015
    (式中、nは1≦n≦3の整数であり、Xはハロゲン原子であり、Rはアルキル基であり、ベンゼン環上の水素原子は酸素原子を含む基、窒素原子を含む基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい)、かつ
    工程(B2)が、一般式(2a)および(2b)で表されるハロゲン化物から一般式(2)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸を得る工程である、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. (A)一般式(1)で表されるトリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンを準備する準備工程
    Figure 0006124015
    (式中、Xはハロゲン原子であり、nは1≦n≦3の整数であり、ベンゼン環上の水素原子は酸素原子を含む基、窒素原子を含む基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい)、
    (B1)カルボン酸以外の酸存在下で、当該トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンと、カルボン酸、水、または一般式(b)で表されるジシロキサン
    Si−O−SiR (b)(式中Rはアルキル基を示す)
    とを反応させて、一般式(2a)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物を生成する工程
    Figure 0006124015
    (式中、Xおよびnは前述のとおり定義され、ベンゼン環上の水素原子は前述の基または原子で置換されていてもよい)、
    (C1)当該ペンタフルオロスルファニル安息香酸ハロゲン化物をアルコールと反応させて、一般式(2c)で表されるエステルを生成する工程
    Figure 0006124015
    (式中、R’は炭素数1〜5の直鎖状または分岐状アルキル基であり、nは前述のとおり定義され、ベンゼン環上の水素原子は前述の基または原子で置換されていてもよい)、ならびに
    (C2)当該ペンタフルオロスルファニル安息香酸エステルから一般式(2)で表されるペンタフルオロスルファニル安息香酸を得る工程
    Figure 0006124015
    (式中、nは前述のとおり定義され、ベンゼン環上の水素原子は前述の基または原子で置換されていてもよい)、
    を含む、ペンタフルオロスルファニル安息香酸の製造方法。
  7. 前記準備工程(A)が、
    一般式(1a)で表されるメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンと
    Figure 0006124015
    (式中、nは1≦n≦3の整数であり、ベンゼン環上の水素原子は酸素原子を含む基、窒素原子を含む基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい)、
    ハロゲン化剤とを反応させて、前記一般式(1)で表されるトリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンを得る工程である、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記準備工程(A)を紫外線照射下で実施する、請求項6に記載の製造方法。
  9. 工程(B1)が、カルボン酸以外の酸存在下で、前記トリハロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼンと一般式(b)で表されるジシロキサンとを反応させて、一般式(2b)で表されるハロゲン化物をさらに生成する工程であり
    Figure 0006124015
    (式中、nは1≦n≦3の整数であり、Xはハロゲン原子であり、Rはアルキル基であり、ベンゼン環上の水素原子は酸素原子を含む基、窒素原子を含む基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい)、かつ
    工程(C1)が、一般式(2a)および(2b)で表されるハロゲン化物をアルコールと反応させて、一般式(2c)で表されるエステルを得る工程である、請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 式(5):
    Figure 0006124015
    (ベンゼン環上の水素原子は、酸素原子を含む基、窒素原子を含む基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい)
    で示されるモノトリクロロメチルペンタフルオロスルファニルベンゼン。
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