JP4293515B2 - 5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2−メチル安息香酸をヨウ素化して5−ヨード−2−メチル安息香酸を製造する方法に関するものである。5−ヨード−2−メチル安息香酸は医薬、農薬の他、機能化学品の原料として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
5−ヨード−2−メチル安息香酸の合成法としては、亜硝酸ナトリウムと発煙硫酸の共存下でヨウ素と2−メチル安息香酸を反応させる方法(例えば、非特許文献1参照)、或いはタリウム(III)トリフルオロ酢酸塩の共存下でヨウ化カリウムと2−メチル安息香酸を反応させる方法(例えば、非特許文献2参照)等が知られている。しかしながら、前者の方法では収率が18%と極めて低く、また、後者の方法では収率が33%と低い上に毒性の強いタリウム塩を使用するという問題があり、何れも工業的な5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法としては不適当なものである。
【0003】
5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法としては、上記の他に、一般に芳香族化合物のヨウ素化技術として知られている、芳香族アミンを脱ジアゾ−ヨウ素化させる所謂ザンドマイヤー法(例えば、非特許文献3参照)、一旦塩素化又は臭素化した後にヨウ素交換反応を行うハロゲン交換法(例えば、非特許文献4参照)、一塩化ヨウ素を作用させる方法(例えば、非特許文献5参照)等の適用が考えられる。これらの内、ザンドマイヤー法やハロゲン交換法については多段階の工程を必要とするためプロセスが複雑となり、工業的製造法としては問題が多い。一塩化ヨウ素を用いる方法は反応が一段階の簡便なプロセスでの実施が期待できるが、安息香酸類の様な電子吸引基のついた芳香族化合物との反応では、反応活性が低く、高い反応成績が得られていない。例えば、非特許文献5では安息香酸のヨウ素化反応を行っているが、生成物の3−ヨード−安息香酸の収率は43%程度に止まっており、2−メチル安息香酸のヨウ素化に適用しても高収率は考え難い。
【0004】
5−ヨード−2−メチル安息香酸製造に際しては、異性体である3−ヨード−2−メチル安息香酸が副生し、5−ヨード−2−メチル安息香酸との分離・精製が難しいため、製品純度及び単離収率を損なうという問題があるが、上記に示した従来技術の何れにおいても異性体の副生を低減する方法は示されていない。芳香族化合物を位置選択的にヨウ素化する技術としては、ゼオライト共存下に一塩化ヨウ素を作用させる方法(例えば、非特許文献6参照)やゼオライト共存下でオキシヨウ素化する方法等(例えば、特許文献1、2参照)が知られているが、何れも反応の選択性については必ずしも満足できる水準とは言えず、また、置換基が複数あり、しかも電子吸引基を有する2−メチル安息香酸の様な化合物についての反応例は殆ど知られていない。
【0005】
【非特許文献1】
Journal of the Indian Chemical Society,1930,p503−504
【非特許文献2】
Journal of the Chemical Society. Perkin Transactions I.,1974,p2405−2409
【非特許文献3】
Organic Syntheses,Collective Volume.II,1943,p351
【非特許文献4】
Organic Syntheses,Collective Volume.V,1973,p478
【非特許文献5】
Russian Journal of Organic Chemistry,34,7,1998,p997−999
【非特許文献6】
Catalysis Letters,40,1996,p257
【特許文献1】
特開昭59−219241号公報
【特許文献2】
特表平1−502819号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、2−メチル安息香酸をヨウ素化して5−ヨード−2−メチル安息香酸を製造するにあたり、選択的なヨウ素化を行うことにより、容易に高純度の製品が取得可能で、しかも簡略なプロセスからなる工業的製造手段を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、2−メチル安息香酸を原料として、マイクロポーラス化合物、例えば、β型ゼオライトと、ヨウ素、並びにヨウ素酸及び/又は過ヨウ素酸の共存下でヨウ素化反応を行うことにより反応が高選択的に進行すること、また、水添加や冷却による晶折等の簡単な精製工程を組合わせると高純度の5−ヨード−2−メチル安息香酸が容易に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は2−メチル安息香酸とマイクロポーラス化合物、ヨウ素、並びにヨウ素酸及び/又は過ヨウ素酸の共存下にヨウ素化反応を行うヨウ素化反応工程、水添加又は冷却により生成物を析出させる工程、及び精製工程の三つの必須工程を組合せてなる、(1)から(5)に示す5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法、及び該方法で製造される高純度5−ヨード−2−メチル安息香酸に関する。
(1)2−メチル安息香酸とマイクロポーラス化合物、ヨウ素、並びにヨウ素酸及び/又は過ヨウ素酸の共存下にヨウ素化反応を行うヨウ素化反応工程、水添加又は冷却により生成物を析出させる工程、及び精製工程の三つの必須工程からなることを特徴とする、5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法。
(2)マイクロポーラス化合物としてβ型ゼオライトを用いる(1)記載の製造方法。
(3)精製工程において有機溶媒を用いて反応生成物を晶析する、(1)、(2)に記載の製造方法。
(4)晶析に使用する溶媒が酢酸、酢酸−水混合溶媒、2−プロパノール、2−プロパノール−水混合溶媒の何れかである、(1)から(3)に記載の製造方法。
(5)5−ヨード−2−メチル安息香酸の純度が99%以上で、不純物として含まれるヨウ素、ヨウ素化合物、無機塩及び遷移金属化合物の総量が500ppm以下である、(1)から(4)に記載の方法によって製造される高純度5−ヨード−2−メチル安息香酸。
【0009】
本発明の方法によれば、ヨウ素化等の求電子置換反応に対して低活性な基質である2−メチル安息香酸を原料としているにもかかわらず高い転化率で反応が進行し、尚且つ目的とする5−ヨード−2−メチル安息香酸を高選択的に得ることができる。
更に反応終了後に得られる結晶の純度が高いため、精製の負荷が小さく、一回の晶析操作だけで高純度の5−ヨード−2−メチル安息香酸を高収率で得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に於いて、反応原料として使用する2−メチル安息香酸は工業的に入手可能なものであれば特に制限は無いが、最終製品の純度を高めるためには純度98%以上のものを使用するのが好ましい。
【0011】
ヨウ素化反応を行う際には、マイクロポーラス化合物の存在下、ヨウ素と共に、ヨウ素酸及び/又は過ヨウ素酸を共存させて行う。ヨウ素のみでもヨウ素化反応は進行するが、2−メチル安息香酸の様な電子吸引基を持つ化合物は反応性が低いため、ヨウ素酸及び/又は過ヨウ素酸を共存させることで反応性を高める必要がある。また、硫酸、硝酸等の鉱酸を適宜加えることで更に反応性を上げることができる。
ヨウ素、ヨウ素酸、過ヨウ素酸はいずれも常温で固体であるが、反応に供する際には固体のままで良く、また適当な溶媒を用いてこれらを溶解あるいは懸濁させて使用しても良い。
【0012】
反応時に共存させるマイクロポーラス化合物とは孔径がナノメートルオーダーの細孔を持つ化合物であり、例えばゼオライト等が挙げられる。ゼオライトの具体例を挙げると、IUPACの構造コードで、8員環構造のABW、AEI、AFX、APC、ATN,ATT、ATV、AWW、CHA、DDR、EAB、ERI、GIS、JBW、KFI、LEV、LTA、MER、MON、PAU、PHI、RHO、RTE、RTH、VNI、9員環構造のCHI、LOV、RSN、VSV、10員環構造のDAC、EPI、FER、LAU、MEL、MFI、MFS、MTT、NES、TON、WEI、12員環構造のAFS、AFY、ATO、CAN、GME、MAZ、MEI、MTW、OFF、RON、VET等があり、より詳しくはChabazite、ゼオライトA、X、Y、L、ZSM−5、モルデナイト、ゼオライトβ等があるが、本反応に用いるには細孔径0.5nm以上のものが好ましく、特にゼオライトβを用いるのが好ましい。
【0013】
本発明を実施するに際しては、回分方式、半回分方式、完全混合流通方式、固定床流通方式等、種々の反応方式が採用できる。反応方式は製品の生産規模によって選択すれば良く、少量生産の場合には回分方式が適当であり、また、大量生産を行う場合には完全混合流通方式や固定床流通方式等で反応を連続的に実施するのがより効率的な生産方法である。
【0014】
本発明の方法における反応温度は、50〜200℃、好ましくは70〜150℃の範囲である。これより低い場合にも反応は進行するが充分な反応速度が得られず、これより温度が高い場合には高沸物の生成等の副反応が多くなり好ましくない。反応圧力は、絶対圧で0.05〜20気圧、好ましくは0.1〜10気圧の範囲である。
【0015】
2−メチル安息香酸の融点は105℃であり、融点以上の温度で反応を行う場合には必ずしも反応溶媒を必要としないが、通常、ヨウ素化に不活性な有機溶媒を使用するのが好ましく、酢酸、トリフルオロ酢酸、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロベンゼン、クロロベンゼン等が用いられる。溶媒の使用量は2−メチル安息香酸1重量部に対して0.5〜100重量部での使用が好ましく、更に好ましくは1〜50重量部の範囲である。
【0016】
ヨウ素の使用量には特に制限は無いが、2−メチル安息香酸の転化率を高めるためには、2−メチル安息香酸1重量部に対して0.5重量部以上、好ましくは1重量部以上用いるのが適当である。ヨウ素酸及び/又は過ヨウ素酸は、ヨウ素1重量部に対して0.01〜1重量部での使用が好ましく、更に好ましくは0.05〜0.5重量部の範囲である。
【0017】
マイクロポーラス化合物の使用量は原料の2−メチル安息香酸1重量部に対して0.05重量部以上、好ましくは0.1重量部以上である。マイクロポーラス化合物の使用量がこれより少ない場合には充分な反応活性が得られず、5−ヨード−2−メチル安息香酸を高選択的に得ることができない。マイクロポーラス化合物を懸濁させて反応を行う場合には、反応後の反応液とマイクロポーラス化合物の分離は沈降、遠心分離、濾過等の一般的な方法で容易に行うことができる。分離されたマイクロポーラス化合物は反応系に循環してもよく、その際、空気中での燃焼による付着有機物の除去や適当な溶媒による洗浄等の必要な処理を行った後に循環してもよい。
【0018】
上記の反応系に硫酸等の鉱酸を添加することで、より反応を促進することもできる。この際、添加する鉱酸の量としては2−メチル安息香酸1重量部に対して0.005〜0.05重量部が適当である。鉱酸の添加量がこの範囲よりも少ない場合には反応促進効果がほとんどなく、多い場合には副反応が起こりやすくなり、目的とする5−ヨード−2−メチル安息香酸への選択率を損なうため好ましくない。
【0019】
本発明の方法を実施するに当っては、回分方式、半回分方式、完全混合流通方式等の反応方式が採用されるが、通常、回分方式、半回分方式での反応時間又は完全混合流通方式での滞留時間としては1〜20時間が採用される。固定床流通方式の場合には、通常、2−メチル安息香酸のLHSV(液空間速度)として、0.05〜1h-1が採用される。
【0020】
5−ヨード−2−メチル安息香酸の工業的な製造プロセスは、ヨウ素化反応工程、水添加または冷却により生成物を析出させる工程、及び精製工程の三つの必須工程を組合せてなる。上記方法によって反応を行った後、生成液への水添加又は生成液の冷却により5−ヨード−2−メチル安息香酸を単離することができ、更に晶析による精製操作を行うことで高純度品を得ることができる。
【0021】
反応生成液1重量部に対して1〜10重量部の水を添加して5−ヨード−2−メチル安息香酸の結晶を析出させ、濾過により回収する。水を添加した際にヨウ素結晶が析出して5−ヨード−2−メチル安息香酸に混じることがあるが、亜硫酸ナトリウム又はチオ硫酸ナトリムを予め反応生成液に添加しておくことで、ヨウ素の析出を防ぐことができる。亜硫酸ナトリウム又はチオ硫酸ナトリウムの添加量は反応に使用したヨウ素1重量部に対し、0.05重量部以下で充分である。結晶の回収は、水添加による方法の他に、反応生成液を90℃以下に冷却することによっても行うことができる。90℃以下に冷却後、析出した結晶を濾過により回収する。
【0022】
回収した結晶の精製は有機溶媒を用いて晶析することで行う。晶析に使用する有機溶媒は5−ヨード−2−メチル安息香酸を溶解するものであれば何でも良いが、酢酸、酢酸−水混合溶媒、2−プロパノール、2−プロパノール−水混合溶媒等の使用が好適である。溶媒の使用量は結晶1重量部に対して1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部が適当である。回収結晶とこれらの溶媒とを40℃以上で加熱・混合して完全に溶解させた後、冷却して結晶を析出させる。冷却温度は加熱・混合時に結晶が完全に溶解した時の温度よりも20℃以上低い温度に設定する。析出した結晶を濾過により回収し、乾燥後製品とする。
【0023】
2−メチル安息香酸とマイクロポーラス化合物、ヨウ素、並びにヨウ素酸及び/又は過ヨウ素酸の共存下にヨウ素化反応を行うヨウ素化反応工程、水添加又は冷却により生成物を析出させる工程、及び精製工程の三つの必須工程を組合せた製造方法により得られる5−ヨード−2−メチル安息香酸は、純度が99%以上で、不純物として含まれるヨウ素、ヨウ素化合物、無機塩及び遷移金属化合物の総量が500ppm以下と極めて高純度なものとすることができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
実施例1(過ヨウ素酸)
冷却還流管を備えた100mL三つ口フラスコに酢酸50g、2−メチル安息香酸10g、ヨウ素10.4g、過ヨウ素酸3.7g、H−βゼオライト2.2g、硫酸0.12gを仕込み、酢酸の還流温度(115℃)で6時間反応させた。反応終了後H−βゼオライトを濾過により分離し、濾液に10%チオ硫酸ナトリウム水溶液20gと水250mLを加えて室温まで冷却した。析出した結晶を濾過によって回収して生成物15g(乾燥後重量)を得た。回収結晶及び母液をHPLC(高速液体クロマトグラフ)により分析した結果、以下の反応成績が得られた。
2−メチル安息香酸転化率 85%
5−ヨード−2−メチル安息香酸収率 70%
3−ヨード−2−メチル安息香酸収率 7%
5−ヨード体/3−ヨード体比=10
結晶中5−ヨード−2−メチル安息香酸純度 95%
【0025】
実施例2(ヨウ素酸)
過ヨウ素酸の代わりにヨウ素酸4.3gを使用する以外は実施例1と同様な方法により反応生成物13gを得た。分析の結果、以下の反応成績が得られた。
2−メチル安息香酸転化率 80%
5−ヨード−2−メチル安息香酸収率 72%
3−ヨード−2−メチル安息香酸収率 3%
5−ヨード体/3−ヨード体比=24
結晶中5−ヨード−2−メチル安息香酸純度 95%
【0026】
実施例3(冷却晶析)
酢酸を40gとする以外は実施例1と同様な条件で反応させ、H−βゼオライトを分離した後、濾液を室温まで冷却した。析出した結晶を濾過により回収し、生成物10gを得た。分析の結果、以下の反応成績が得られた。
2−メチル安息香酸転化率 88%
5−ヨード−2−メチル安息香酸収率 72%
3−ヨード−2−メチル安息香酸収率 8%
5−ヨード体/3−ヨード体比=9
結晶中5−ヨード−2−メチル安息香酸純度 95%
【0027】
比較例1(ICI法)
還流冷却管を備えた100mL三つ口フラスコに30%硫酸25mL、2−メチル安息香酸1.36g(10mmol)を懸濁させ、酢酸5gに溶解した一塩化ヨウ素2.4g(15mmol)を40分かけて滴下した。90℃で5時間反応を行い、水90mLの中へ注いだ。沈殿物を濾過し、亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、反応生成物として結晶性固体を得た(収量1.6g)。この固体を分析したところ、生成物の分布は以下の割合であった。
2−メチル安息香酸 33%
5−ヨード−2−クロロ安息香酸 13%
3−ヨード−2−クロロ安息香酸 9%
5−ヨード−2−メチル安息香酸 38%
3−ヨード−2−メチル安息香酸 5%
その他 2%
この混合物を酢酸、或いはイソプロピルアルコール等を用いて再結晶による精製を行い、5−ヨード−2−メチル安息香酸の単離を試みた。しかし、混合物純度は殆ど向上せず、5−ヨード−2−メチル安息香酸の取得は困難であった。
【0028】
比較例2(NaI−NaIO4 / 硫酸法・酢酸法)
実施例1と同じ装置を用いて、酢酸9mLに2−メチル安息香酸1.36gを溶解した。液の温度を85℃に保って濃硫酸11mLを25分かけて滴下した。更に、過ヨウ素酸ナトリウム0.6gを加えた後、ヨウ化ナトリウム1.1gを酢酸5mLに溶解したものを10分かけて滴下した。その後、2時間反応を行い、冷却後90mLの水の中に注いで泥状の混合液を濾過し、亜硫酸ナトリウム1gを加えて未反応のヨウ素を除いた。乾燥後、得られた生成物の分析結果は以下の通りであった。
2−メチル安息香酸 35%
5−ヨード−2−メチル安息香酸 37%
3−ヨード−2−メチル安息香酸 18%
その他 5%
この混合物から同様に5−ヨード−2−メチル安息香酸の取得を試みたが純度は殆ど向上せず、5−ヨード−2−メチル安息香酸の取得は困難であった。
【0029】
比較例3(ゼオライト無し)
H−βゼオライトを使用しない以外は実施例1と同様な方法で行い、生成物15gを得た。分析の結果、以下の反応成績が得られた。
2−メチル安息香酸転化率 85%
5−ヨード−2−メチル安息香酸収率 56%
3−ヨード−2−メチル安息香酸収率 20%
5−ヨード体/3−ヨード体比=2.8
結晶中5−ヨード−2−メチル安息香酸純度 80%
【0030】
比較例4(酸化剤無し)
過ヨウ素酸を使用しない以外は実施例1と同様な方法で行い、生成物8gを得た。分析の結果、以下の反応成績が得られた。
2−メチル安息香酸転化率 5%
5−ヨード−2−メチル安息香酸収率 3%
3−ヨード−2−メチル安息香酸収率 0.9%
5−ヨード体/3−ヨード体比=3.3
結晶中5−ヨード−2−メチル安息香酸純度 75%
【0031】
実施例4(結晶精製 / 水−IPA)
実施例1で得られた5−ヨード−2−メチル安息香酸純度95%の結晶15gを水:2−プロパノール=1:1(重量比)の溶媒210gに70℃で溶解し、室温で一晩放冷した。濾過により析出した結晶10gを回収し、HPLCにより分析した結果、5−ヨード−2−メチル安息香酸純度は99%であった。
上記で得られた純度99%の結晶1gをメタノール25mLに溶解し、4%KI水溶液25mL、17%硫酸5mLを加えた後、0.02Mチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定した結果、遊離ヨウ素は5ppmであった。またICP全元素分析によれば、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、In、Si、Sn、Pb、P、Sb、Sは検出されず、1属、及び2属の元素は何れも1ppm以下であった。
【0032】
実施例5(結晶精製 / 酢酸)
実施例3で得られた5−ヨード−2−メチル安息香酸純度95%の結晶10gを酢酸210gに70℃で溶解し、室温で一晩放冷した。濾過により析出した結晶6gを回収し、HPLCにより分析した結果、5−ヨード−2−メチル安息香酸純度は99%であった。
上記で得られた純度99%の結晶1gを実施例4と同様な方法で分析した結果、遊離ヨウ素は10ppmであった。またICP全元素分析によれば、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru,Co,Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、In、Si、Sn、Pb、P、Sb、Sは検出されず、1属、及び2属の元素は何れも1ppm以下であった。
【0033】
【発明の効果】
本発明により、医薬品等の機能化学品用途に於いて有用な5−ヨード−2−メチル安息香酸を、高純度、高収率、かつ容易に得ることができる。また、反応、分離、精製からなる製造工程もプロセス的に簡略であり、精製負荷が小さい等の特長を有しており、工業的に実施する上でその意義は非常に大きい。
Claims (3)
- 2−メチル安息香酸とβ型ゼオライト、ヨウ素、並びにヨウ素酸及び/又は過ヨウ素酸の共存下にヨウ素化反応を行うヨウ素化反応工程、水添加又は冷却により生成物を析出させる工程、及び精製工程の三つの必須工程からなることを特徴とする、5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法。
- 精製工程において有機溶媒を用いて反応生成物を晶析する、請求項1に記載の製造方法。
- 晶析に使用する溶媒が酢酸、酢酸−水混合溶媒、2−プロパノール、2−プロパノール−水混合溶媒の何れかである、請求項1または2のいずれか1項に記載の製造方法。
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