JP4340858B2 - 5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法 - Google Patents

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本発明は、2−メチル安息香酸をヨウ素化して5−ヨード−2−メチル安息香酸を高収率且つ高選択的に製造する方法に関する。5−ヨード−2−メチル安息香酸は医薬、農薬の他、機能化学品の原料として有用な化合物である。
5−ヨード−2−メチル安息香酸の合成法としては、亜硝酸ナトリウムと発煙硫酸の共存下でヨウ素と2−メチル安息香酸を反応させる方法(例えば、非特許文献1参照)、或いはタリウム(III)トリフルオロ酢酸塩の共存下でヨウ化カリウムと2−メチル安息香酸を反応させる方法(例えば、非特許文献2参照)等が知られている。非特許文献1の方法では収率が18%と極めて低く、また反応試剤として強力な酸化剤である亜硝酸ナトリウムと発煙硫酸の混合物を多量に扱うため、その安全な取扱いが問題となる。また、非特許文献2の方法では収率が33%と低い上に毒性の強いタリウム塩を使用するため、工業的な5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法としては不適当なものである。
上記の他に、一般に芳香族化合物のヨウ素化技術として知られている、芳香族アミンを脱ジアゾ−ヨウ素化させる所謂ザンドマイヤー法(例えば、非特許文献3参照)、一旦塩素化又は臭素化した後にヨウ素交換反応を行うハロゲン交換法(例えば、非特許文献4参照)、一塩化ヨウ素を作用させる方法(例えば、非特許文献5参照)、酸触媒と共にヨウ素と過ヨウ素酸ナトリウムを作用させる方法(例えば、非特許文献6、特許文献1参照)等の適用が考えられる。
ザンドマイヤー法で5−ヨード−メチル安息香酸を合成する場合には、ニトロ化、還元、ジアゾ化、脱ジアゾ−ヨウ素化といった多段階の反応を必要とする上、ニトロ化やジアゾ化等の工程は安全面での問題もあるため、極めて複雑なプロセスとなる。またハロゲン交換法の場合も反応に2工程必要とするため精製工程なども含めるとプロセスが複雑となり、しかもヨウ素交換反応にヨウ化ナトリウムやヨウ化カリウム等を大過剰に使用し、反応終了後にこれら過剰分を分離・回収するのは困難であるため、コスト高な製法となる。
一塩化ヨウ素を用いる方法は反応を一段階の簡便なプロセスで実施できる特徴を有するが、安息香酸類の様な電子吸引基のついた芳香族化合物との反応では、反応活性が低く、高い反応成績が得られていない。例えば、非特許文献5では安息香酸のヨウ素化反応を行っているが、生成物の3−ヨード−安息香酸の収率は43%程度に止まっており、2−メチル安息香酸のヨウ素化に適用しても高収率は期待し難い。
また従来からヨウ素とヨウ素酸及び/又は過ヨウ素酸などの酸化剤を用いるヨウ素化法が知られている。例えば、酸触媒と共にヨウ素と過ヨウ素酸ナトリウムを作用させる方法についてみると(例えば、非特許文献6参照)、電子吸引基のついた芳香族化合物についても高い反応成績が得られているが、硫酸を多量に使用しているため反応終了後の廃酸処理の負荷が大きく、工業的製造方法としては現実的では無い。また、非特許文献6と同様の反応系であるが、特許文献1にはメチル安息香酸のモノヨード体を得る方法として、酸触媒と共にヨウ素と過ヨウ素酸を用いて2−メチル安息香酸と反応させる方法が開示されている。しかしながら、その実施例によれば収率は52〜65%程度にとどまっており、また、製品の純度も95%程度と低いため、高純度品を得るには更なる精製工程が必要となり、プロセスは複雑となる。また製品回収後の母液にも製品は多く溶解しているが、触媒である硫酸や高沸物等も共存しているため、その分離・回収は困難である。特許文献1で母液を反応系にリサイクルする方法が示されているが、実施例によると製品純度が90%に低下する結果となっており、適当な方法とは言えない。以上の様に特許文献1の方法は改良された面はあるものの、工業的に実施するには依然問題が多く、プロセスの経済性には疑問が残る。
5−ヨード−2−メチル安息香酸製造に際しては、異性体である3−ヨード−2−メチル安息香酸が副生し、5−ヨード−2−メチル安息香酸との分離・精製
が難しいため、製品純度及び単離収率を損なうという問題があるが、上記に示した従来技術の何れにおいても異性体の副生を低減する方法は示されていない。芳香族化合物を位置選択的にヨウ素化する技術としては、ゼオライト共存下に一塩化ヨウ素を作用させる方法(例えば、非特許文献7参照)やゼオライト共存下でオキシヨウ素化する方法等(例えば、特許文献2、3参照)が知られているが、何れも反応の選択性については必ずしも満足できる水準とは言えず、また、置換基が複数あり、しかも電子吸引基を有する2−メチル安息香酸の様な化合物についての反応例は殆ど知られていない。この様に従来の技術では高選択的に、かつヨウ素基準の収率の高い効果的な5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造法は無かった。
Journal of the Indian Chemical Society,1930,pp503−504 Journal of the Chemical Society. Perkin Transactions I.,1974,pp2405−2409 Organic Syntheses,Collective Volume.II,1943,p351 Organic Syntheses,Collective Volume.V,1973,p478 Russian Journal of Organic Chemistry,34,7,1998,pp997−999 Bulletin of the Chemical Society of Japan.,vol.73,pp951−956(2000) Catalysis Letters,40,1996,p257 特開2003−12597号公報 特開昭59−219241号公報 特表平1−502819号公報
本発明の目的は、原料の2−メチル安息香酸をヨウ素化して5−ヨード−2−メチル安息香酸を製造するに当たり、製造プロセスが簡略で、高純度の製品を高い収率で製造でき、原料ヨウ素を無駄なく使用できる効率的に極めて優れた工業的手段を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、2−メチル安息香酸を原料として、マイクロポーラス化合物、例えばβ型ゼオライトと、ヨウ素、ヨウ素酸等の酸化剤、及び無水酢酸等の脱水剤の共存下でヨウ素化反応を行うことにより反応が高選択的に進行すること、また、このようなヨウ素化条件で反応を行うと、冷却や水添加による晶折等の一段のみの簡単な精製工程を組合わせるだけで、従来の方法では不可能であった高純度の5−ヨード−2−メチル安息香酸を高収率かつ容易に得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の方法によれば、ヨウ素化等の求電子置換反応に対して低活性な基質である2−メチル安息香酸を原料としているにも拘わらず高い転化率で反応が進行し、尚且つ目的とする5−ヨード−2−メチル安息香酸を高選択的に得ることができる。更に反応終了後に得られる結晶の純度が高いため、精製の負荷が小さく、一回の晶析操作だけで高純度の5−ヨード−2−メチル安息香酸を高収率で得ることができる。
即ち、本発明は2−メチル安息香酸をマイクロポーラス化合物、ヨウ素、酸化剤、及び脱水剤の共存下にヨウ素化するヨウ素化反応工程、並びに冷却又は水添加により生成物を析出させる晶析工程の二つを必須工程として有する、(1)から(6)に示す5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法、及び該方法で製造される高純度5−ヨード−2−メチル安息香酸に関する。
(1)原料である2−メチル安息香酸をヨウ素化して5−ヨード−2−メチル安息香酸を製造する工程において、該製造工程がマイクロポーラス化合物、ヨウ素、酸化剤、及び脱水剤の存在下で行うヨウ素化反応工程と、冷却又は水添加により生成物を析出させる晶析工程を必須工程として有することを特徴とする、5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法。
(2)マイクロポーラス化合物としてβ型ゼオライトを用いる、(1)記載の5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法。
(3)酸化剤としてヨウ素酸及び/又は過ヨウ素酸を用いる、(1)又は(2)に記載の5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法。
(4)脱水剤として無水酢酸を用いる、(1)〜(3)の何れかに記載の5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法。
(5)溶媒として酢酸を用いる、(1)〜(4)の何れかに記載の5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法。
(6)5−ヨード−2−メチル安息香酸の純度が99%以上で、不純物として含まれるヨウ素、ヨウ素化合物、無機塩及び遷移金属化合物の総量が500ppm以下である、(1)〜(5)の何れかに記載の方法によって製造される高純度5−ヨード−2−メチル安息香酸。
本発明により、医薬品等の機能化学品用途に於いて有用な5−ヨード−2−メチル安息香酸を、高純度、高収率、かつ容易に得ることができる。また、反応、分離・精製からなる製造工程もプロセス的に簡略であり、精製負荷が小さい等の特長を有しており、工業的に実施する上でその意義は非常に大きい。
本発明に於いて、反応原料として使用する2−メチル安息香酸は工業的に入手可能なものであれば特に制限は無いが、最終製品の純度を高めるためには純度98%以上のものを使用するのが好ましい。
ヨウ素化反応を行う際には、マイクロポーラス化合物の存在下、ヨウ素と共に、ヨウ素酸及び/又は過ヨウ素酸等の酸化剤を共存させて行う。ヨウ素のみでもヨウ素化反応は進行するが、2−メチル安息香酸の様な電子吸引基を持つ化合物は反応性が低いため、ヨウ素酸及び/又は過ヨウ素酸を共存させることで反応性を高める必要がある。
ヨウ素、ヨウ素酸、過ヨウ素酸は何れも常温で固体であるが、反応に供する際には固体のままで良く、また適当な溶媒を用いてこれらを溶解或いは懸濁させて使用しても良い。
本発明ではヨウ素化反応の進行に伴い水が副生するが、脱水剤を加えて生成する水を取除くことで反応を促進し、高い転化率を得ることができる。脱水剤としては水のみに作用し、系中の他の成分とは反応しないものが好ましく、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、及び塩化カルシウム等の無機化合物、並びに無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ピバル酸、及び無水フタル酸等のカルボン酸無水物等が挙げられるが、反応後の分離・精製の容易さを考えると無水酢酸の使用が特に好ましい。
反応時に共存させるマイクロポーラス化合物とは孔径がナノメートルオーダーの細孔を持つ化合物であり、例えばゼオライト等が挙げられる。ゼオライトの具体例を挙げると、IUPACの構造コードで、8員環構造のABW、AEI、AFX、APC、ATN,ATT、ATV、AWW、CHA、DDR、EAB、ERI、GIS、JBW、KFI、LEV、LTA、MER、MON、PAU、PHI、RHO、RTE、RTH、VNI、9員環構造のCHI、LOV、RSN、VSV、10員環構造のDAC、EPI、FER、LAU、MEL、MFI、MFS、MTT、NES、TON、WEI、12員環構造のAFS、AFY、ATO、CAN、GME、MAZ、MEI、MTW、OFF、RON、VET等があり、より詳しくはChabazite、ゼオライトA、X、Y、L、ZSM−5、モルデナイト、ゼオライトβ等があるが、本反応に用いるには細孔径0.5nm以上のものが好ましく、特にゼオライトβを用いるのが好ましい。マイクロポーラス化合物は結晶粉末、圧密後粉砕したもの、押出し成型品、或いは打錠成型品の何れを用いても良い。
本発明を実施するに際しては、回分方式、半回分方式、完全混合流通方式、固定床流通方式等、種々の反応方式が採用できる。反応方式は製品の生産規模によって選択すれば良く、少量生産の場合には回分方式が適当であり、また、大量生産を行う場合には完全混合流通方式や固定床流通方式等で反応を連続的に実施するのがより効率的な生産方法である。
本発明の方法における反応温度は、50〜200℃、好ましくは70〜150℃の範囲である。これより低い場合にも反応は進行するが充分な反応速度が得られず、これより温度が高い場合には高沸物の生成等の副反応が多くなり好ましくない。反応圧力は、絶対圧で0.05〜20気圧、好ましくは0.1〜10気圧の範囲である。
2−メチル安息香酸の融点は105℃であり、融点以上の温度で反応を行う場合には必ずしも反応溶媒を必要としないが、通常、ヨウ素化に不活性な有機溶媒を使用するのが好ましく、酢酸、トリフルオロ酢酸、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロベンゼン、クロロベンゼン等が用いられるが、特に酢酸の使用が好ましい。溶媒の使用量は2−メチル安息香酸1重量部に対して0.5〜100重量部での使用が好ましく、更に好ましくは1〜50重量部の範囲である。
ヨウ素の使用量には特に制限は無いが、2−メチル安息香酸の転化率を高めるためには、2−メチル安息香酸1重量部に対して0.1〜1.5重量部、好ましくは0.5〜1重量部用いるのが適当である。ヨウ素酸及び/又は過ヨウ素酸は、ヨウ素1重量部に対して0.01〜1重量部での使用が好ましく、更に好ましくは0.05〜0.5重量部の範囲である。
脱水剤の使用量は原料の2−メチル安息香酸1重量部に対して0.01〜2重量部、好ましくは0.1〜1.5重量部の範囲である。脱水剤の使用量がこれより少ない場合には充分な反応促進効果が得られず、原料の2−メチル安息香酸やヨウ素の転化率を高めることができない。これより多く使用するのは不経済である上、精製過程での分離・回収の負荷が増大するため好ましくない。
なお、ヨウ素、ヨウ素酸、過ヨウ素酸等を水に溶解あるいは懸濁させて反応器に仕込んだ場合には、上記の使用量に加えて、その際に使用した水を除くのに必要な量の脱水剤を加える必要がある。
マイクロポーラス化合物の使用量は原料の2−メチル安息香酸1重量部に対して0.05重量部以上、好ましくは0.1重量部以上である。マイクロポーラス化合物の使用量がこれより少ない場合には充分な反応活性が得られず、5−ヨード−2−メチル安息香酸を高選択的に得ることができない。マイクロポーラス化合物を懸濁させて反応を行う場合には、反応後の反応液とマイクロポーラス化合物の分離は沈降、遠心分離、濾過等の一般的な方法で容易に行うことができる。分離されたマイクロポーラス化合物は反応系に循環してもよく、その際、空気中での燃焼による付着有機物の除去や適当な溶媒による洗浄等の必要な処理を行った後に循環してもよい。
本発明の方法を実施するに当っては、回分方式、半回分方式、完全混合流通方式等の反応方式が採用されるが、通常、回分方式、半回分方式での反応時間又は完全混合流通方式での滞留時間としては1〜20時間が採用される。固定床流通方式の場合には、通常、2−メチル安息香酸のLHSV(液空間速度)として、0.05〜1h−1が採用される。
5−ヨード−2−メチル安息香酸の工業的な製造プロセスは、ヨウ素化反応工程と、冷却又は水添加により生成物を析出させる晶析工程の二つを必須工程として有する。前述の方法によってヨウ素化反応を行った後、濾過すれば生成液を冷却又は水添加により5−ヨード−2−メチル安息香酸の高純度品を容易に単離することができる。
反応生成液を冷却すると、90℃以下で結晶が析出しはじめ、50℃以下で生成した5−ヨード−2−メチル安息香酸の70%以上が析出する。析出した結晶を濾過により回収する。また水添加によって結晶を得ることもでき、反応生成液1重量部に対して0.3〜2重量部の水を添加すると生成した5−ヨード−2−メチル安息香酸の90%以上が析出する。析出した結晶は濾過により回収する。水を添加した際にヨウ素結晶が析出して5−ヨード−2−メチル安息香酸に混じることがあるが、亜硫酸ナトリウム又はチオ硫酸ナトリムを予め反応生成液に添加しておくことで、ヨウ素の析出を防ぐことができる。亜硫酸ナトリウム又はチオ硫酸ナトリウムの添加量は反応に使用したヨウ素1重量部に対し、0.05重量部以下で充分である。
結晶回収後の母液を蒸留することで溶媒は簡単に回収可能であり、反応系で再使用することができる。また、蒸留後の缶出液には母液中に溶解していた5−ヨード−2−メチル安息香酸が濃縮されており、晶析系にリサイクルすることにより回収できる。缶出液中には製品以外の高沸物も蓄積するため、一部は晶析系にリサイクルせずにパージする必要がある。5−ヨード−2−メチル安息香酸の回収率を上げ、かつ製品純度を損なわないためには、母液中の成分の50〜80%をリサイクルするのが適当である。
2−メチル安息香酸をマイクロポーラス化合物、ヨウ素、酸化剤、及び脱水剤の存在下にヨウ素化するヨウ素化反応工程、並びに冷却又は水添加により生成物を析出させる晶析工程の二つの必須工程を有する製造方法により得られる5−ヨード−2−メチル安息香酸は、純度が99%以上で、不純物として含まれるヨウ素、ヨウ素化合物、無機塩及び遷移金属化合物の総量が500ppm以下と極めて高純度なものとすることができる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
冷却還流管を備えた200mL三つ口フラスコに酢酸76.5g、無水酢酸23.5g、2−メチル安息香酸20.0g、ヨウ素14.4g、70%ヨウ素酸水溶液8.6g、H−βゼオライト4.6gを仕込み、還流温度(122℃)で4時間反応させた。反応終了後H−βゼオライトを濾過により分離し、濾液を室温まで冷却した。析出した結晶を濾過によって回収して生成物29.3g(乾燥後重量)を得た。回収結晶及び母液をHPLC(高速液体クロマトグラフ)により分析した結果、以下の反応成績が得られた。
2−メチル安息香酸転化率: 97.0%
5−ヨード−2−メチル安息香酸: 収率 92.0%、選択率 94.8%
3−ヨード−2−メチル安息香酸: 収率 0.7%、選択率 0.7%
5−ヨード−2−メチル安息香酸結晶収率:75.9%
結晶中5−ヨード−2−メチル安息香酸純度99.7%
上記で得られた結晶1gをメタノール25mLに溶解し、4%KI水溶液25mL、17%硫酸5mLを加えた後、0.02Mチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定した結果、遊離ヨウ素は5ppmであった。またICP全元素分析によれば、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、In、Si、Sn、Pb、P、Sb、Sは検出されず、1属、及び2属の元素は何れも1ppm以下であった。
実施例2
酢酸を96.0g、無水酢酸を9.2g、ヨウ素を15.6g、ヨウ素酸の代わりに過ヨウ素酸5.5gを使用する以外は実施例1と同様な方法により反応生成物28.5gを得た。分析の結果、以下の反応成績が得られた。
2−メチル安息香酸転化率: 93.0%
5−ヨード−2−メチル安息香酸: 収率 89.3%、選択率 96.0%
3−ヨード−2−メチル安息香酸: 収率 0.2%、選択率 0.2%
5−ヨード−2−メチル安息香酸結晶収率:73.7%
結晶中5−ヨード−2−メチル安息香酸純度99.5%
上記で得られた結晶を分析した結果、遊離ヨウ素は5ppm、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、In、Si、Sn、Pb、P、Sb、Sは検出されず、1属、及び2属の元素は何れも1ppm以下であった。
実施例3
実施例1と同様な条件で反応させ、H−βゼオライトを分離した後、濾液に水50.0gを加えて室温まで冷却した。析出した結晶を濾過により回収し、生成物33.0gを得た。分析の結果、以下の反応成績が得られた。
2−メチル安息香酸転化率 97.0%
5−ヨード−2−メチル安息香酸: 収率 92.0%、選択率 94.8%
3−ヨード−2−メチル安息香酸: 収率 0.7%、選択率 0.7%
5−ヨード−2−メチル安息香酸結晶収率:85.6%
結晶中5−ヨード−2−メチル安息香酸純度99.8%
上記で得られた結晶を分析した結果、遊離ヨウ素は5ppm、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、In、Si、Sn、Pb、P、Sb、Sは検出されず、1属、及び2属の元素は何れも1ppm以下であった。
実施例4
実施例1の結晶回収後の濾液を濃縮・乾固して得られた結晶9.1gの80%(7.3g)を晶析系にリサイクルした。リサイクルする結晶を、実施例1と同様に反応を行いH−βゼオライトを除いた液に溶解させた後晶析した。析出した結晶を濾過により回収し、生成物34.3gを得た。結晶中の5−ヨード−2−メチル安息香酸の純度は99.6%であった。結晶を分析した結果、遊離ヨウ素は5ppm、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、In、Si、Sn、Pb、P、Sb、Sは検出されず、1属、及び2属の元素は何れも1ppm以下であった。実施例1で得られた5−ヨード−2−メチル安息香酸の結晶は29.3gであったが、晶析母液の成分をリサイクルすることにより、製品純度を損なうことなく回収率を上げられることがわかった。
比較例1
還流冷却管を備えた100mL三つ口フラスコに30%硫酸25mL、2−メチル安息香酸1.36g(10mmol)を懸濁させ、一塩化ヨウ素2.4g(15mmol)を滴下した。90℃で5時間反応を行い、水90mLの中へ注いだ。沈殿物を濾過し、亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、反応生成物として結晶性固体を得た(収量1.6g)。分析の結果、以下の反応成績が得られた。
2−メチル安息香酸転化率 52.0%
5−ヨード−2−メチル安息香酸: 収率 40.6%、選択率 78.0%
3−ヨード−2−メチル安息香酸: 収率 12.0%、選択率 23.0%
5−ヨード−2−メチル安息香酸結晶収率:23.2%
結晶中5−ヨード−2−メチル安息香酸純度38.0%
この混合物を酢酸、或いはイソプロピルアルコール等を用いて再結晶による精製を行い、5−ヨード−2−メチル安息香酸の単離を試みた。しかし、混合物純度は殆ど向上せず、5−ヨード−2−メチル安息香酸の取得は困難であった。
比較例2
実施例1と同じ装置を用いて、酢酸92mLに2−メチル安息香酸15.0g、ヨウ素12.0g、50%過ヨウ素酸水溶液7.2g、濃硫酸4.7gを仕込み、還流温度(120℃)で7時間反応させた。室温まで冷却後、析出した結晶を濾別により回収し、生成物16.4gを得た。分析の結果、以下の反応成績が得られた。
2−メチル安息香酸転化率 94.0%
5−ヨード−2−メチル安息香酸: 収率 69.0%、選択率 73.4%
3−ヨード−2−メチル安息香酸: 収率 20.0%、選択率 21.3%
5−ヨード−2−メチル安息香酸結晶収率:54.0%
結晶中5−ヨード−2−メチル安息香酸純度95.0%
5−ヨード−2−メチル安息香酸の純度、収率はともに低くかった。
比較例3
ヨウ素酸を使用しない以外は実施例1と同様な方法で行い、生成物5gを得た。分析の結果、以下の反応成績が得られた。
2−メチル安息香酸転化率 15.8%
5−ヨード−2−メチル安息香酸: 収率 9.5%、選択率 60.1%
3−ヨード−2−メチル安息香酸: 収率 2.8%、選択率 18.0%
5−ヨード−2−メチル安息香酸結晶収率: 7.4%
結晶中5−ヨード−2−メチル安息香酸純度57.0%
5−ヨード−2−メチル安息香酸の純度、収率はともに低くかった。
比較例4
無水酢酸を使用しない以外は実施例1と同様な方法で行い、生成物18.5gを得た。分析の結果、以下の反応成績が得られた。 2−メチル安息香酸転化率 65.8%
5−ヨード−2−メチル安息香酸: 収率 60.2%、選択率 91.5%
3−ヨード−2−メチル安息香酸: 収率 2.2%、選択率 3.3%
5−ヨード−2−メチル安息香酸結晶収率:45.8%
結晶中5−ヨード−2−メチル安息香酸純度95.2%
5−ヨード−2−メチル安息香酸の純度、収率はともに低くかった。

Claims (4)

  1. 原料である2−メチル安息香酸をヨウ素化して5−ヨード−2−メチル安息香酸を製造する工程において、該製造工程がβ型ゼオライト、ヨウ素、酸化剤、及び脱水剤の存在下で行うヨウ素化反応工程と、冷却又は水添加により生成物を析出させる晶析工程を必須工程として有することを特徴とする、5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法。
  2. 酸化剤としてヨウ素酸及び/又は過ヨウ素酸を用いる、請求項1に記載の5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法。
  3. 脱水剤として無水酢酸を用いる請求項1又は2に記載の5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法。
  4. 溶媒として酢酸を用いる、請求項1〜の何れかに記載の5−ヨード−2−メチル安息香酸の製造方法。
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