JP6735892B2 - 梱包体 - Google Patents
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Description
〔1〕透明樹脂フィルムと、該透明樹脂フィルムを梱包する梱包フィルムとを含む梱包体であって、前記梱包フィルムの前記透明樹脂フィルムと接する少なくとも1つの面における静摩擦係数は、(株)フロンケミカル製のポリテトラフルオロエチレンフィルム「NR0532−003」に対して測定して0.14以下である、梱包体。
〔2〕前記梱包フィルムの一方の面と他方の面との間の静摩擦係数は0.25以上である、前記〔1〕に記載の梱包体。
〔3〕梱包フィルムの、(株)フロンケミカル製のポリテトラフルオロエチレンフィルム「NR0532−003」に対する動摩擦係数は、0.15以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の梱包体。
〔4〕梱包フィルムが帯電防止機能を有する、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の梱包体。
〔5〕透明樹脂フィルムの弾性率は3GPa以上である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の梱包体。
〔6〕透明樹脂フィルムはポリイミド系樹脂フィルム又はポリアミド系樹脂フィルムである、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の梱包体。
〔7〕透明樹脂フィルムを、巻芯に巻き取られたフィルムロールとして含む、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の梱包体。
〔8〕梱包フィルムで梱包された透明樹脂フィルムをさらに梱包する防湿性フィルムをさらに含む、前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の梱包体。
〔9〕防湿性フィルムは金属蒸着フィルム、金属ラミネートフィルム又は金属箔である、前記〔8〕に記載の梱包体。
本発明の梱包体に含まれる梱包フィルムの、前記透明樹脂フィルムと接する少なくとも1つの面における静摩擦係数は、(株)フロンケミカル製のポリテトラフルオロエチレンフィルム「NR0532−003」に対して測定して、0.14以下である。以下において、前記梱包フィルムの前記透明樹脂フィルムと接する少なくとも1つの面における、(株)フロンケミカル製のポリテトラフルオロエチレンフィルム「NR0532−003」に対する静摩擦係数を「静摩擦係数A」とも称する。静摩擦係数Aが0.14を越える場合、梱包体中の透明樹脂フィルムと梱包フィルムが接触する部分において、透明樹脂フィルムと梱包フィルムとの摩擦によって、透明樹脂フィルムに傷が発生しやすく、その結果、透明樹脂フィルムの光学特性が損なわれる。なお、本明細書において、梱包フィルムは、透明樹脂フィルムを梱包するフィルムであり、透明樹脂フィルムと少なくとも一部において接触するフィルムである。
本発明の梱包体に含まれる透明樹脂フィルムは、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シクロポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂等を含むフィルムであってよい。特に、透明樹脂フィルムは、ポリアミド系樹脂及びポリイミド系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましく、少なくとも1種のポリイミド系樹脂を含有することがより好ましい。なお、本明細書において、ポリイミド系樹脂を含有するフィルムをポリイミド系樹脂フィルムとも称する。その他の樹脂についても同様である。
本発明の一実施形態において、本発明の梱包体に含まれる透明樹脂フィルムは、ポリイミド系樹脂及びポリアミド系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含有する。ポリイミド系樹脂とは、イミド基を含む繰返し構造単位を含有する樹脂(以下、ポリイミド樹脂ということがある)、並びにイミド基及びアミド基の両方を含む繰返し構造単位を含有する樹脂(以下、ポリアミドイミド樹脂ということがある)からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を示す。また、ポリアミド系樹脂とは、アミド基を含む繰り返し構造単位を含有する樹脂を示す。
で表される2価の有機基がより好ましい。なお、式(20)〜式(29)及び式(20’)〜式(29’)における環上の水素原子は、炭素数1〜8の炭化水素基、フッ素置換された炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜6のアルコキシ基、フッ素置換された炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい。
で表されるカルボン酸由来の構成単位をさらに有することが、ワニスの成膜性を高めやすく、光学フィルムの均一性を得やすい観点から好ましい。
で表され、より好ましくは式(3):
Aは、互いに独立に、単結合、−O−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−、−S−、−CO−又は−N(R9)−を表し、R9は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、
mは0〜4の整数であり、
*は結合手を表す]
で表されることが好ましい。
式(3)において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチル−ブチル基、3−メチルブチル基、2−エチル−プロピル基及びn−ヘキシル基等が挙げられる。炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。透明樹脂フィルムの表面硬度及び柔軟性の観点から、R1〜R8は、互いに独立に、好ましくは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、さらに好ましくは水素原子を表す。ここで、R1〜R8に含まれる水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
R9は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表す。炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチル−ブチル基、3−メチルブチル基、2−エチル−プロピル基、n−ヘキシル、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられ、これらはハロゲン原子で置換されていてもよい。前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。本発明の一実施態様であるポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂は、複数種のAを含み得、複数種のAは、同一であっても異なっていてもよい。
*は結合手を表し、
V1、V2及びV3は、互いに独立に、単結合、−O−、−S−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−、−CO−又は−N(Q)−を表す。ここで、Qはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表す。炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、R9について上記に述べた基が挙げられる。
1つの例は、V1及びV3が単結合、−O−又は−S−であり、かつ、V2が−CH2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−又は−SO2−である。V1とV2との各環に対する結合位置、及び、V2とV3との各環に対する結合位置は、互いに独立に、各環に対して好ましくはメタ位又はパラ位であり、より好ましくはパラ位である。ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、式(3)において上記に例示のものが挙げられる。
で表される。式(1)及び式(2)で表される複数の構成単位中の複数のXの少なくとも一部が式(4)で表される基であると、透明樹脂フィルムの表面硬度及び透明性を高めやすい。
*は結合手を表し、
W1は、単結合、−O−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−Ar−、−SO2−、−CO−、−O−Ar−O−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH2−Ar−、−Ar−C(CH3)2−Ar−又は−Ar−SO2−Ar−を表す。Arは、水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基を表し、具体例としてはフェニレン基が挙げられる。
*は結合手を表す]
で表される。式(1)で表される複数の構成単位中のYの少なくとも一部が式(5)で表される基であると、ポリイミド系樹脂の溶媒への溶解性を高め、ポリイミド系樹脂を含有するワニスの粘度を低減しやすく、透明樹脂フィルムの加工性を向上しやすい。また、透明樹脂フィルムの光学特性を向上しやすい。
ポリイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸化合物及びジアミン化合物を主な原料として製造でき、ポリアミドイミド樹脂は、例えば、テトラカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物及びジアミン化合物を主な原料として製造でき、ポリアミド樹脂は、例えば、ジカルボン酸化合物及びジアミン化合物を主な原料として製造できる。ここで、ジカルボン酸化合物は少なくとも式(3”)で表される化合物を含むことが好ましい。
Aは、単結合、−O−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−、−S−、−CO−又は−N(R9)−を表し、
R9は水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、
mは0〜4の整数であり、
R31及びR32は、互いに独立に、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基又は塩素原子を表す。]
本発明の梱包体に含まれる透明樹脂フィルムは、フィラーを含んでよい。フィラーとしては、例えば有機粒子、無機粒子などが挙げられ、好ましくは無機粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物粒子、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物粒子などが挙げられる。フィラーは、透明樹脂フィルムの耐衝撃性を向上しやすく、透明樹脂フィルムと梱包フィルムとの摩擦による透明樹脂フィルムの傷付きを防止しやすい観点から、好ましくはシリカ粒子、ジルコニア粒子、アルミナ粒子であり、より好ましくはシリカ粒子である。これらのフィラーは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
本発明の梱包体に含まれる透明樹脂フィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば以下の工程:
(a)前記樹脂を含む液(以下、ワニスと記載することがある)を調製する工程(ワニス調製工程)、
(b)ワニスを支持材に塗布して塗膜を形成する工程である塗布工程、及び
(c)塗布された液(塗膜)を乾燥させて、透明樹脂フィルムを形成する工程である透明樹脂フィルム形成工程
を含む製造方法であってよい。
本発明の梱包体に含まれる透明樹脂フィルムの少なくとも一方の面には、1以上の機能層が積層されていてもよい。機能層としては、例えば紫外線吸収層、ハードコート層、プライマー層、ガスバリア層、粘着層、色相調整層、屈折率調整層などが挙げられる。機能層は単独又は二種以上を組合せて使用できる。
本発明の梱包体に含まれる透明樹脂フィルムには、保護フィルムが積層されていてもよい。保護フィルムは、透明樹脂フィルムの片面又は両面に積層されていてもよい。透明樹脂フィルムの片面に機能層が形成されている場合には、保護フィルムは、透明樹脂フィルム側の表面又は機能層側の表面に積層されていてよく、透明樹脂フィルム側と機能層側の両方の表面に積層されていてもよい。透明樹脂フィルムの両面に機能層が形成されている場合には、保護フィルムは、片方の機能層側の表面に積層されていてもよく、両方の機能層の表面に積層されていてもよい。保護フィルムは、透明樹脂フィルム又は機能層の表面を一時的に保護するためのフィルムであり、透明樹脂フィルム又は機能層の表面を保護できる剥離可能なフィルムである限り特に限定されない。保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム;ポリエチレン、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム等が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム及びアクリル系樹脂フィルムからなる群から選択されることが好ましい。場合により機能層が形成された透明樹脂フィルムに、保護フィルムが2つ積層されている場合、各保護フィルムは同一であっても異なっていてもよい。
本発明の梱包体に含まれる透明樹脂フィルムは、巻芯に巻き取られたフィルムロールとして、本発明の梱包体に含まれていてもよい。巻芯を構成する材料は、特に限定されないが、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂等の合成樹脂;アルミニウム等の金属;繊維強化プラスチック(FRP:ガラス繊維等の繊維をプラスチックに含有させて強度を向上させた複合材料)等であってよい。巻芯の形状も特に限定されないが、円筒状又は円柱状の形状であることが好ましい。巻芯が円筒状又は円柱状である場合、その外径は、質量に対する耐久性及び取り扱い易さの両立の観点からは、好ましくは80〜200mm、より好ましくは100〜180mm、さらに好ましくは120〜170mmである。また、巻芯の長軸方向の長さは、梱包時の側面への傷付き防止や持ち運び易さの観点からは、巻き取る透明樹脂フィルムの幅方向の長さの好ましくは1.1〜2.0倍、より好ましくは1.2〜1.8倍、さらに好ましくは1.3〜1.6倍である。
本発明の梱包体に含まれる透明樹脂フィルムは、所望の形状に切断されたフィルム片であってもよい。透明樹脂フィルムがフィルム片である場合、本発明の梱包体は、1枚のフィルム片を含んでいてもよいし、2枚以上の複数のフィルム片を含んでいてもよい。フィルム片の形状及び大きさは特に限定されず、透明樹脂フィルムの用途に応じて適宜設定してよい。
本発明の梱包体は、梱包フィルムで梱包された透明樹脂フィルムをさらに外側から梱包する防湿性フィルムをさらに含んでいてもよい。防湿性フィルムの透湿度は、防湿性を有する限り特に限定されないが、好ましくは5.0g/m2・24時間以下、より好ましくは3.0g/m2・24時間以下である。このような防湿性フィルムとしては、例えば金属蒸着フィルム、金属ラミネートフィルム又は金属箔が挙げられる。かかる金属としては、アルミニウムが挙げられる。透明樹脂フィルムを梱包フィルムで梱包後、さらに防湿フィルムで梱包することにより、透明樹脂フィルムの変性を抑制することができる。
本発明の梱包体において、透明樹脂フィルムは梱包フィルムに梱包されている。透明樹脂フィルムが梱包フィルムに梱包されているとは、透明樹脂フィルムが少なくとも一部において梱包フィルムと接触した状態で、梱包フィルムに覆われていることを表す。梱包は、1枚の梱包フィルムで梱包して行ってもよいし、2枚以上の梱包フィルムを重ねて行ってもよいし、少なくとも1枚の梱包フィルムで梱包した後、さらに少なくとも1枚の梱包フィルムで梱包して行ってもよい。梱包方法は特に限定されないが、例えば透明樹脂フィルムが巻芯に巻き取られたフィルムロールの形態である場合、透明樹脂フィルムのロールの上から、さらに梱包フィルムを巻き付けて透明樹脂フィルムを覆った後、梱包フィルムの端部を必要に応じて粘着テープ等で貼り合せて固定してもよいし、透明樹脂フィルムのロールを袋状の梱包フィルムに入れ、必要に応じて開口部を閉じることにより梱包してもよい。透明樹脂フィルムが所望の形状に切断されたフィルム片である場合、1枚又は複数枚のフィルム片を梱包フィルムで包むことにより梱包してもよいし、袋状の梱包フィルムに入れ、必要に応じて開口部を閉じることにより梱包してもよい。なお、市販されている種々の用途のフィルムについて静摩擦係数A等を測定し、上記本発明で特定する範囲内の静摩擦係数Aを有するフィルムを、該静摩擦係数Aを有する面が透明樹脂フィルムと接する面となるようにして、本発明の梱包体における梱包フィルムとして採用してもよい。
次に、本発明を以下の実施形態により詳細に説明する。なお、以下において、図面に表された構成を説明するうえで、「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を示す用語及びそれらを含む別の用語を使用するが、それらの用語を使用する目的は図面を通じて実施形態の理解を容易にすることである。したがって、それらの用語は本発明の実施形態が実際に使用されるときの方向を示すものとは限らないし、それらの用語によって特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲は何ら限定されない。
本発明の第1実施形態の梱包体を図1及び図2に示す。本実施形態の梱包体は、図1及び図2に示すように、透明樹脂フィルム1と、該透明樹脂フィルムを梱包する梱包フィルム2とを含む梱包体5であり、梱包フィルム2における透明樹脂フィルムと接する面の静摩擦係数が、(株)フロンケミカル製のポリテトラフルオロエチレンフィルム「NR0532−003」に対して測定して0.14以下である。図1及び図2に示す第一実施形態において、透明樹脂フィルム1は、巻芯3に巻き取られたフィルムロールとして、梱包体5に含まれている。梱包フィルム2の巻芯3と接する部分の端部(図1及び図2中の左右の端部)は、梱包フィルムを巻き付けた状態では開口している開口部が、粘着テープ4bを巻き付けることによって閉じられている。また、梱包フィルム2の巻き終わり部分の端部2aが図中のフィルムロール上に水平方向に存在する。当該端部2aにおいては、梱包フィルム2の一方の面と他方の面とが接している。当該端部2aも、例えば粘着テープ等(例えば粘着テープ4a)を用いて貼り合せてもよいし、端部2aにおいて、例えば梱包フィルム2の一方の面と他方の面との静摩擦係数が所定の値以上であり、これらの面が十分な密着性を有する場合には、粘着テープ等を用いて貼り合せなくてもよい。
本発明の第2実施形態の梱包体を、図3に示す。本実施形態の梱包体は、図3に示すように、透明樹脂フィルム1は、梱包フィルム2で梱包した後、さらに別の梱包フィルム2で梱包されている。ここで、第1実施形態と同様に、梱包フィルム2における透明樹脂フィルムと接する面の静摩擦係数が、(株)フロンケミカル製のポリテトラフルオロエチレンフィルム「NR0532−003」に対して測定して0.14以下である。梱包フィルム2で梱包された透明樹脂フィルム1は、さらに、防湿性フィルム6で梱包されている。防湿性フィルムの左右の端部は、第1実施形態と同様に、粘着テープ4bで閉じられている。図3に示す第2実施形態において、梱包フィルム2の枚数は2枚であるが、該枚数は少なくとも1枚であれば特に限定されない。また、本実施形態の梱包体5は、防湿性フィルム6を含むが、防湿性フィルム6は任意のフィルムである。また、梱包体5は、その他の機能を有するフィルムを含んでいてもよい。梱包フィルム2及び防湿フィルム6の左右の端部は、粘着テープ4bで固定してもよいし、その他の方法で固定してもよいし、固定しなくてもよい。
本発明の第3実施形態の梱包体を、図4及び図5に示す。本発明の第3実施形態の梱包体は、図4及び図5に示すように、透明樹脂フィルム1と、該透明樹脂フィルム1を梱包する梱包フィルム2とを含む梱包体5であり、梱包フィルム2における透明樹脂フィルムと接する面の静摩擦係数が、(株)フロンケミカル製のポリテトラフルオロエチレンフィルム「NR0532−003」に対して測定して、0.14以下である。図4及び5に示す第3実施形態の梱包体5において、透明樹脂フィルム1は、袋状の梱包フィルム2内に挿入されている。なお、図4及び図5中では、複数枚の透明樹脂フィルム1が挿入されているが、梱包体5に含まれる透明樹脂フィルム1の枚数は特に限定されず、1枚であっても2枚以上であってもよい。
例えば袋状の梱包フィルム2の大きさを、透明樹脂フィルム1のサイズより大きくし、透明樹脂フィルム1が存在しない端部2cにおいて梱包フィルム2の一方の面と他方の面とが接するようにしてもよい。この場合、梱包フィルム2の一方の面と他方の面との静摩擦係数が所定の値以上であり、これらの面が十分な密着性を有する場合には、端部2cにおいて梱包フィルム同士がずれにくいため、梱包体5を輸送等する際に梱包フィルム2内で樹脂フィルム1が動くことを防止することができる。
袋状の梱包フィルム2は、透明樹脂フィルム1と接する側の面の静摩擦係数が前記範囲内である袋状に成形された梱包フィルムであってもよい。袋状の梱包フィルム2は、開口部を有していてよく、透明樹脂フィルム1を挿入後に該開口部を、市販されているシーラー等を用いて熱溶着、接着したり、粘着剤付きのテープやクリップで固定したりして、閉口部としてもよい。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定
(1)前処理方法
試料をγ−ブチロラクトン(GBL)に溶解させて20質量%溶液とした後、DMF溶離液にて100倍に希釈し、0.45μmメンブレンフィルターろ過したものを測定溶液とした。
(2)測定条件
カラム:TSKgel SuperAWM−H×2+SuperAW2500×1(6.0mm I.D.×150mm×3本)
溶離液:DMF(10mMの臭化リチウム添加)
流量:0.6mL/分
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:20μL
分子量標準:標準ポリスチレン
実施例におけるシリカ粒子の平均一次粒子径はBET法で測定評価した。
JIS K 7136:2000に準拠して、透明樹脂フィルムを30mm×30mmの大きさにカットし、ヘーズコンピュータ(スガ試験機(株)製、「HGM−2DP」)を用いてヘーズ(%)を測定した。
透明樹脂フィルムのYI値を、日本分光(株)製の紫外可視近赤外分光光度計「V−670」を用いて測定した。サンプルがない状態でバックグランド測定を行った後、透明樹脂フィルムをサンプルホルダーにセットして、300〜800nmの光に対する透過率測定を行い、3刺激値(X、Y、Z)を求め、下記式に基づいてYI値を算出した。
YI=100×(1.2769X−1.0592Z)/Y
JIS K 7361−1:1997に準拠して、透明樹脂フィルムを30mm×30mmの大きさにカットし、ヘーズコンピュータ(スガ試験機(株)製、「HGM−2DP」)を用いて、透明樹脂フィルムの全光線透過率(%)を測定した。
透明樹脂フィルム及び梱包フィルムの厚さは、ABSデジマチックインジケーター((株)ミツトヨ製、「ID−C112BS」)を用いて測定した。
透明樹脂フィルムを、ダンベルカッターを用いて10mm×100mmの短冊状にカットし、サンプルを得た。このサンプルの弾性率を(株)島津製作所製の精密万能試験機、「オートグラフAG−IS」を用い、チャック間距離50mm、引張速度20mm/分の条件で応力−歪曲線(S−S曲線)を測定し、5〜20MPaの範囲の傾きから透明樹脂フィルムの弾性率(GPa)を算出した。
(株)フロンケミカル製のポリテトラフルオロエチレンフィルム「NR0532−003」に対する静摩擦係数(静摩擦係数A)及び動摩擦係数(動摩擦係数A)は、新東科学(株)製の表面性測定機TYPE:38を使用して測定した。具体的な測定方法を、図6を参照して説明する。まず、50mm×100mmの梱包フィルム2を測定試料とし、装置の測定台33に密着するように固定した。次に、該梱包フィルム2上に、(株)フロンケミカル製のポリテトラフルオロエチレンフィルム「NR0532−003」(図6中、「ポリテトラフルオロエチレンフィルム31」と記載する。)を試料フォルダ32に固定し、ポリテトラフルオロエチレンフィルム31と梱包フィルム2とを1,000gf(9.8N)の荷重をかけて接触させた。次に、ポリテトラフルオロエチレンフィルム31を取り付けた試料フォルダ32を固定した状態で、梱包フィルム2を測定台33と共に図6中の矢印方向に水平に移動させ、以下の条件で静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。
荷重変換機容量:1,000gf
垂直荷重:1,000gf(9.8N)
移動距離:12mm
移動速度:30mm/分
サンプリング速度:100Hz
測定時間:2.5秒
ポリテトラフルオロエチレンフィルム31と梱包フィルム2との接触面:直径10mmの円形
梱包フィルムの一方の面と他方の面との間の静摩擦係数(静摩擦係数B)は、上記静摩擦係数Aの測定方法において、(株)フロンケミカル製のポリテトラフルオロエチレンフィルム「NR0532−003」(ポリテトラフルオロエチレンフィルム31)に代えて、梱包フィルム2を用い、梱包フィルム2の一方の面と他方の面とが1,000gfの荷重で接するようにして測定を行った。
擦過試験は、スチールウール試験機((株)大栄科学精器製作所製)を使用して行った。具体的な試験方法を図7〜図9を参照して説明する。まず、図7に示す透明樹脂フィルム試験試料40を作成した。具体的には、9cm×9cmのガラス板41に、4.5cm×9cmの透明樹脂フィルム1を置き、テープ42(スリーエムカンパニー製、スコッチ(登録商標)テープ)で、透明樹脂フィルムがガラス板に密着するように固定した。ここで、ガラス板41の透明樹脂フィルム1の載置面とは反対側の面の中央部に、サインペンで、観察位置を示すための1.0cm×1.0cmの正方形のマーキング43を記載した。次に、図8に示す梱包フィルム試験試料50を作成した。図8に、梱包フィルム試験試料50の上面図及び側面図を示す。具体的には、2.5cm×2.5cmの梱包フィルム2をガラス板51に両面テープ521で貼り付けた。また、ガラス板51の梱包フィルム2の載置面とは反対側の面にも、図9中のおもり61の底面に梱包フィルム試験試料50を固定するための両面テープ522を貼り付けた。
上記のようにして作製した透明樹脂フィルム試験試料40を、図9に示すように、透明樹脂フィルム1が上面となるように、測定装置の測定台62に固定した。次に、梱包フィルム試験試料50を、梱包フィルム2が下面となるように、おもり61(500g)の底面に貼り付け、透明樹脂フィルム1と梱包フィルム2とを、500gfの荷重をかけて接触させた。梱包フィルム試験試料50を貼り付けたおもり61を、図9中の矢印の方向に1往復/秒の速度で擦り合せた。なお、図9中の矢印の方向は、図7中の矢印の方向に相当し、1往復の移動距離は5cmであった。100往復ごとに、光学顕微鏡((株)キーエンス製、VHX−2000)を用いて30倍の倍率で、透明樹脂フィルム上のマーキング43内を観察し、傷の有無を確認し、次の1〜5の評価基準で評価し、2〜5は良好、1以下の評価は不良とした。
(擦過性評価)
5:500回の往復後に傷が確認されない。
4:400回の往復後には傷が確認されないが500回の往復後に傷が確認される。
3:300回の往復後には傷が確認されないが400回の往復後に傷が確認される。
2:200回の往復後には傷が確認されないが300回の往復後に傷が確認される。
1:100回の往復後には傷が確認されないが200回の往復後に傷が確認される。
0:100回の往復後に傷が確認される。
抵抗率計((株)三菱化学アナリテック製,ハイレスタUP MCP−HT450型)を使用して、JIS K 6911に準拠して梱包フィルムの表面抵抗率(Ω/sq)を測定した。サンプルを50mm×50mmの大きさに切断し、得られたサンプルを23℃、60%RHの下に24時間放置した。その後、光学積層体の機能層側の表面抵抗率を測定した。なお、該装置の測定上限は1.0×1014Ω/sqである。
メタノール分散シリカゾル(平均一次粒子径27nm、シリカ粒子固形分30.5%)100質量部に対し、GBL 68.1質量部を加え、真空エバポレータで45℃の湯浴下、400hPaで1時間、250hPaで1時間メタノールを蒸発させた。さらに250hPa下で70℃まで昇温して30分間加熱し、GBL分散シリカゾルを得た。得られたGBL分散シリカゾルの固形分濃度は28.9%であった。
撹拌機と温度計を備える反応容器を、窒素で置換し、10℃に冷却し、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB)100質量部に対して、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を1708質量部加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAcに溶解させた。次に、フラスコに4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)を42質量部添加し、室温で3時間撹拌した。その後、4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)(OBBC)9.3質量部、次いでテレフタロイルクロリド(TPC)38.4質量部をフラスコに加え、室温で1時間撹拌した。次いで、フラスコに4−メチルピリジン10.3質量部と無水酢酸29.0質量部とを加え、室温で30分間撹拌後、オイルバスを用いて70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノールで6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、100℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミドを得た。得られたポリアミドイミドの重量平均分子量は、400,000であった。
製造例2で得られたポリアミドイミドをGBLに溶解し、上記のGBL分散シリカゾルを加えて十分に混合することで、ポリアミドイミド/シリカ粒子混合ワニスを得た。ポリアミドイミドとシリカ粒子の比率は60:40であった。また、ポリアミドイミド/シリカ粒子濃度(ワニスの質量に対する樹脂とシリカ粒子の総質量)が10質量%となるように調製した。
製造例3で得られたワニスを、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東洋紡(株)製「コスモシャイン(登録商標)A4100」、厚さ188μm、厚さ分布±2μm)上において流涎成形により塗膜を成形した。この時、線速は0.3m/分であった。また、80℃で10分加熱した後、100℃で10分加熱し、次いで90℃で10分加熱し、最後に80℃で10分加熱するという条件で塗膜を乾燥した。その後、PETフィルムから塗膜を剥離し、幅700mm、厚さ58μmの原料フィルムを得た。
原料フィルム(フィルム幅700mm)を把持具としてクリップを用い、テンター式乾燥機を用いて200℃、12分加熱し、溶媒を除去し、厚さ49μmの透明樹脂フィルムを得た。透明樹脂フィルムをロール芯に巻き取り、長さ700mm、直径300mmのフィルムロールを得た。得られた透明樹脂フィルムのヘーズは0.2%、YI値は2.3、全光線透過率は91%、弾性率は7GPaであった。
上記の梱包フィルムA〜Gについて、密着性試験を行った。具体的には、各梱包フィルムから、40mm×50mmの大きさの測定試料を2枚切り出し、それぞれの測定試料の両面をエタノールで拭いて乾燥させた。次に、切り出す前の梱包フィルムにおける一方の面と他方の面とが接するように、2枚の試料を重ね合せた。その際、互いの端が10mmずれるように、言い換えると2枚の試料が40mm×40mmの範囲で重なるように重ね合せた。重ねた試料を抑えて界面の空気を抜いた後、10cm×10cmの底面を有する660gの錘を、重ねた試料上に乗せて、1分間静置させた。錘を取り除いてからすぐに、2枚の試料のうち、上側の試料の、ずらした部分の端をピンセットで挟みゆっくりと持ち上げ、下側の試料も持ち上がった場合に良好(〇)とし、下側の試料が持ち上がらないか、持ち上がったもののすぐに剥がれて落ちた場合には不良(×)とした。梱包フィルムA〜Gについて上記の密着性試験を行った結果、梱包フィルムC〜Fは〇であり、梱包フィルムA、B及びGは×であった。
幅950mm、厚さ50μmの梱包フィルムCを用いて、製造例4で得たフィルムロールを梱包した。具体的には、梱包フィルムCを、フィルムロールに、フィルムロールにおける透明樹脂フィルムの巻き方向と同方向で、フィルムロール全体が覆われるように、巻き付けた。その際、梱包フィルムの静摩擦係数Aが0.10の面が、フィルムロールの透明樹脂フィルムと接するように梱包した。次いで、梱包フィルムの両端部を巻芯にテープで固定し、フィルムロール梱包体を作製した。このフィルムロール梱包体を輸送した後、ロール表面、端面を確認したが、傷は見られなかった。
前記梱包フィルムCと同等の静摩擦係数A、静摩擦係数B、動摩擦係数Aを示し、23℃、60%RHにおける表面のシート抵抗値が8.0×1010Ω/sqである梱包フィルムを用いた以外は、実施例1と同様の方法にてフィルムロール梱包体を作製した。このフィルムロール梱包体を輸送した後、ロール表面、端面を確認したが、傷は見られなかった。また、梱包時や開梱時に塵や埃の吸着はほとんど見られなかった。
2 梱包フィルム
2a〜2c 端部
3 巻芯
4a〜4b 粘着テープ
5 梱包体
6 防湿性フィルム
31 ポリテトラフルオロエチレンフィルム
32 試料フォルダ
33 測定台
41 ガラス板
42 テープ
43 マーキング
40 透明樹脂フィルム試験試料
51 ガラス板
521 両面テープ
522 両面テープ
50 梱包フィルム試験試料
61 おもり
62 測定台
Claims (7)
- ポリイミド系樹脂フィルム又はポリアミド系樹脂フィルムである、透明樹脂フィルムと、該透明樹脂フィルムを梱包する梱包フィルムとを含む梱包体であって、前記ポリイミド系樹脂は、式(1)で表される構成単位を有するポリイミド樹脂であるか、又は、式(1)で表される構成単位及び式(2)で表される構成単位を有するポリアミドイミド樹脂であり、前記ポリアミド系樹脂は、式(2)で表される構成単位を有するポリアミド樹脂であり、
前記梱包フィルムの前記透明樹脂フィルムと接する少なくとも1つの面における静摩擦係数は、(株)フロンケミカル製のポリテトラフルオロエチレンフィルム「NR0532−003」に対して測定して0.05以上0.13以下である、梱包体。 - 前記梱包フィルムの一方の面と他方の面との間の静摩擦係数は0.30以上である、請求項1に記載の梱包体。
- 梱包フィルムが帯電防止機能を有する、請求項1又は2に記載の梱包体。
- 透明樹脂フィルムの弾性率は3GPa以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の梱包体。
- 透明樹脂フィルムを、巻芯に巻き取られたフィルムロールとして含む、請求項1〜4のいずれかに記載の梱包体。
- 梱包フィルムで梱包された透明樹脂フィルムをさらに梱包する防湿性フィルムをさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載の梱包体。
- 防湿性フィルムは金属蒸着フィルム、金属ラミネートフィルム又は金属箔である、請求項6に記載の梱包体。
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