JP6734801B2 - 固体電解質含有シートの製造方法および全固体二次電池の製造方法 - Google Patents
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Description
このような状況下、有機電解液に代えて、無機固体電解質を用いた全固体二次電池が注目されている。全固体二次電池は負極、電解質および正極のすべてが固体からなり、有機電解液を用いた電池の課題とされる安全性ないし信頼性を大きく改善することができ、また長寿命化も可能になるとされる。さらに、全固体二次電池は、電極と電解質を直接並べて直列に配した構造とすることができる。そのため、有機電解液を用いた二次電池に比べてエネルギーの高密度化が可能となるので、電気自動車や大型蓄電池等への応用が期待されている。
<1>
下記工程(1)及び(2)を含む固体電解質含有シートの製造方法。
工程(1):
下記式(I)を満たす混合量で、無機固体電解質粒子(A)とバインダー(C)とを混合する工程、
工程(2):
下記式(I)を満たす混合量で、工程(1)で得た混合物と、無機固体電解質粒子(A)の平均粒子径よりも平均粒子径の小さな無機固体電解質粒子(B)と、下記式(I)を満たすバインダー(D)とを混合する工程。
式(I):
無機固体電解質粒子(A)の混合量/バインダー(C)の混合量<無機固体電解質粒子(B)の混合量/バインダー(D)の混合量
ただし、工程(1)において無機固体電解質粒子(A)の混合量とバインダー(C)の混合量との合計に占めるバインダー(C)の混合量の割合は0.3〜10質量%であり、前記工程(2)におけるバインダー(D)の混合量は工程(1)におけるバインダー(C)の混合量未満である。
混合量の単位は、質量部である。
<2>
分散媒(E)中で、工程(1)を行う<1>に記載の固体電解質含有シートの製造方法。
<3>
工程(2)が、工程(1)で得た分散液と無機固体電解質粒子(B)とバインダー(D)とを混合する工程である、<2>に記載の固体電解質含有シートの製造方法。
<4>
無機固体電解質粒子(B)が、無機固体電解質粒子(A)を微細化したものである<1>〜<3>のいずれか1つに記載の固体電解質含有シートの製造方法。
<5>
無機固体電解質粒子(A)の平均粒子径が、1μm〜15μmである<1>〜<4>のいずれか1つに記載の固体電解質含有シートの製造方法。
無機固体電解質粒子(B)の平均粒子径が1μm未満である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の固体電解質含有シートの製造方法。
<7>
工程(1)及び(2)を経て得た混合物を基材上に適用し、厚さが10μm〜100μmの固体電解質層を形成する工程を含む<1>〜<6>のいずれか1つに記載の固体電解質含有シートの製造方法。
<8>
無機固体電解質粒子(A)及び/又は無機固体電解質粒子(B)が、硫化物系無機固体電解質粒子である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の固体電解質含有シートの製造方法。
<9>
工程(1)において、無機固体電解質粒子(A)の混合量とバインダー(C)の混合量との合計に占めるバインダー(C)の混合量が、0.5〜5質量%である<1>〜<8>のいずれか1つに記載の固体電解質含有シートの製造方法。
<10>
工程(1)における無機固体電解質粒子(A)の混合量と、工程(2)における無機固体電解質粒子(B)の混合量との合計に占める、無機固体電解質粒子(B)の混合量が10〜50質量%である<1>〜<9>のいずれか1つに記載の固体電解質含有シートの製造方法。
<11>
バインダー(C)及び/又は(D)が、粒子状である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の固体電解質含有シートの製造方法。
正極活物質層と負極活物質層と固体電解質層とを具備する全固体二次電池の製造方法であって、固体電解質層を下記工程(1)及び(2)を経て形成することを含む、全固体二次電池の製造方法。
工程(1):
下記式(I)を満たす混合量で、無機固体電解質粒子(A)とバインダー(C)とを混合する工程、
工程(2):
下記式(I)を満たす混合量で、工程(1)で得た混合物と、無機固体電解質粒子(A)の平均粒子径よりも平均粒子径の小さな無機固体電解質粒子(B)と、下記式(I)を満たすバインダー(D)とを混合する工程。
式(I):
無機固体電解質粒子(A)の混合量/バインダー(C)の混合量<無機固体電解質粒子(B)の混合量/バインダー(D)の混合量
ただし、工程(1)において無機固体電解質粒子(A)の混合量とバインダー(C)の混合量との合計に占めるバインダー(C)の混合量の割合は0.3〜10質量%であり、前記工程(2)におけるバインダー(D)の混合量は工程(1)におけるバインダー(C)の混合量未満である。
混合量の単位は、質量部である。
<13>
工程(1)及び(2)を経て形成した固体電解質層を正極活物質層上及び/又は負極活物質層上に転写する工程を含む、<12>に記載の全固体電池二次電池の製造方法。
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る固体電解質含有シートの製造方法により得た固体電解質含有シートを、固体電解質層として有する全固体二次電池(リチウムイオン二次電池)を模式化して示す断面図である。本実施形態の全固体二次電池10は、負極側からみて、負極集電体1、負極活物質層2、固体電解質層3、正極活物質層4、正極集電体5を、この順に有する。各層はそれぞれ接触しており、積層した構造をとっている。このような構造を採用することで、充電時には、負極側に電子(e−)が供給され、そこにリチウムイオン(Li+)が蓄積される。一方、放電時には、負極に蓄積されたリチウムイオン(Li+)が正極側に戻され、作動部位6に電子が供給される。図示した例では、作動部位6に電球を採用しており、放電によりこれが点灯するようにされている。
本発明の固体電解質含有シートの製造方法は、下記工程(1)及び(2)をこの順に含む。
工程(1):
無機固体電解質粒子(A)とバインダー(C)とを混合する工程、
工程(2):
工程(1)で得た混合物と、無機固体電解質粒子(A)の平均粒子径よりも平均粒子径の小さな無機固体電解質粒子(B)と、下記式(I)を満たすバインダー(D)とを混合する工程。
式(I):
無機固体電解質粒子(A)の混合量/バインダー(C)の混合量<無機固体電解質粒子(B)の混合量/バインダー(D)の混合量
式中、混合量の単位は、質量部である。
無機固体電解質粒子(A)と無機固体電解質粒子(B)は、平均粒子径以外は、同じでも異なってもよく、同じことが好ましい。また、バインダー(C)とバインダー(D)は、同じでも異なってもよく、同じことが好ましい。
式(I):
無機固体電解質粒子(A)の混合量/バインダー(C)の混合量<無機固体電解質粒子(B)の混合量/バインダー(D)の混合量
式中、混合量の単位は、質量部である。
バインダー(D)の混合量は、バインダー(C)の混合量未満であることが好ましい。なお、上述のように、工程(2)において、バインダー(D)を混合させなくてもよい。バインダー(D)の混合量が上記式(I)を満たさないと無機固体電解質粒子に対して必要以上にバインダー(D)が工程(2)で得られる混合物に含有されるため、固体電解質含有シートのイオン伝導度が低下してしまう。また、イオン伝導度を向上するためにバインダー量を少なくしすぎると、無機固体電解質粒子(A)同士の結着性、無機固体電解質粒子(B)同士の結着性、無機固体電解質粒子(A)と無機固体電解質粒子(B)との結着性がいずれも不足し、膜強度が低く、短絡が発生しやすくなる。
工程(1)の混合は、例えば、ボールミルを用いて、10〜100℃、回転数100〜500rpm、10〜360分の条件で行うことができる。
一方、工程(2)の混合は、例えば、ボールミルを用いて、10〜100℃、回転数100〜300rpm、5〜120分の条件で行うことができる。
なお、本発明の固体電解質含有シートは、電池性能に影響を与えない範囲内で、上記層中に分散媒(E)を含有してもよく、好ましい含有量は、1ppm以上10000ppm以下である。
なお、本発明の固体電解質含有シートの上記層中の分散媒(E)の含有割合は、以下の方法で測定することができる。
固体電解質含有シートを20mm角で打ち抜き、ガラス瓶中でテトラヒドロフランに浸漬させる。得られた溶出物をシリンジフィルターでろ過して1H−NMRにより定量操作を行う。1H−NMRピーク面積と溶媒の量の相関性は検量線を作成して求める。
本発明の全固体二次電池の製造方法は、正極活物質層と負極活物質層と固体電解質層とを具備する全固体二次電池の製造方法であって、固体電解質層を下記工程(1)及び(2)を経て形成することを含む、全固体二次電池の製造方法。
工程(1):
無機固体電解質粒子(A)とバインダー(C)とを混合する工程、
工程(2):
工程(1)で得た混合物と、無機固体電解質粒子(A)の平均粒子径よりも平均粒子径の小さな無機固体電解質粒子(B)と、下記式(I)を満たすバインダー(D)とを混合する工程。
式(I):
無機固体電解質粒子(A)の混合量/バインダー(C)の混合量<無機固体電解質粒子(B)の混合量/バインダー(D)の混合量
式中、混合量の単位は、質量部である。
例えば、正極集電体である金属箔上に、正極用材料(正極用組成物)として、正極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して正極活物質層を形成し、全固体二次電池用正極シートを作製する。次いで、この正極活物質層の上に、上記本発明の固体電解質含有シートの製造方法により得た固体電解質含有シートの固体電解質層を基材から剥して転写する。さらに、固体電解質層の上に、負極用材料(負極用組成物)として、負極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して、負極活物質層を形成する。負極活物質層の上に、負極集電体(金属箔)を重ねることにより、正極活物質層と負極活物質層の間に固体電解質層が挟まれた構造の全固体二次電池を得ることができる。必要によりこれを筐体に封入して所望の全固体二次電池とすることができる。
また、各層の形成方法を逆にして、負極集電体上に、負極活物質層、固体電解質層及び正極活物質層を形成し、正極集電体を重ねて、全固体二次電池を製造することもできる。
また別の方法として、次の方法が挙げられる。すなわち、上記のようにして、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートを作製する。また、これとは別に、本発明の固体電解質含有シートの製造方法により、工程(1)及び(2)を経て得た混合物ないし固体電解質組成物を基材上に製膜して、固体電解質層からなる固体電解質含有シートを作製する。さらに、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートで、基材から剥がした固体電解質層を挟むように積層する。このようにして、全固体二次電池を製造することができる。
混合物ないし固体電解質組成物の適用方法は、特に限定されず、適宜に選択できる。例えば、塗布(好ましくは湿式塗布)、スプレー塗布、スピンコート塗布、ディップコート、スリット塗布、ストライプ塗布およびバーコート塗布が挙げられる。
このとき、固体電解質組成物は、それぞれ塗布した後に乾燥処理を施してもよいし、重層塗布した後に乾燥処理をしてもよい。乾燥温度は特に限定されない。下限は30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。上限は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましい。このような温度範囲で加熱することで、分散媒(E)を除去し、固体状態にすることができる。また、温度を高くしすぎず、全固体二次電池の各部材を損傷せずに済むため好ましい。これにより、全固体二次電池において、優れた総合性能を示し、かつ良好な結着性を得ることができる。
また、適用した混合物ないし固体電解質組成物は、加圧と同時に加熱してもよい。加熱温度としては、特に限定されず、一般的には30〜300℃の範囲である。硫化物系無機固体電解質のガラス転移温度よりも高い温度でプレスすることもできる。
加圧は塗布溶媒又は分散媒をあらかじめ乾燥させた状態で行ってもよいし、溶媒又は分散媒が残存している状態で行ってもよい。
なお、混合物ないし各組成物は同時に塗布しても良いし、塗布乾燥プレスを同時および/または逐次行っても良い。別々の基材に塗布した後に、転写により積層してもよい。
プレス時間は短時間(例えば数時間以内)で高い圧力をかけてもよいし、長時間(1日以上)かけて中程度の圧力をかけてもよい。全固体二次電池用シート以外、例えば全固体二次電池の場合には、中程度の圧力をかけ続けるために、全固体二次電池の拘束具(ネジ締め圧等)を用いることもできる。
プレス圧はシート面等の被圧部に対して均一であっても異なる圧であってもよい。
プレス圧は被圧部の面積や膜厚に応じて変化させることができる。また同一部位を段階的に異なる圧力で変えることもできる。
プレス面は平滑であっても粗面化されていてもよい。
正極集電体5及び負極集電体1は、電子伝導体が好ましい。
本発明において、正極集電体及び負極集電体のいずれか、又は、両方を合わせて、単に、集電体と称することがある。
正極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケルおよびチタンなどの他に、アルミニウムまたはステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの(薄膜を形成したもの)が好ましく、その中でも、アルミニウムおよびアルミニウム合金がより好ましい。
負極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケルおよびチタンなどの他に、アルミニウム、銅、銅合金またはステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金およびステンレス鋼がより好ましい。
集電体の厚みは、特に限定されないが、1〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
上記の各層を配置して全固体二次電池の基本構造を作製することができる。用途によってはこのまま全固体二次電池として使用してもよいが、乾電池の形態とするためにはさらに適当な筐体に封入して用いる。筐体は、金属性のものであっても、樹脂(プラスチック)製のものであってもよい。金属性のものを用いる場合には、例えば、アルミニウム合金およびステンレス鋼製のものを挙げることができる。金属性の筐体は、正極側の筐体と負極側の筐体に分けて、それぞれ正極集電体及び負極集電体と電気的に接続させることが好ましい。正極側の筐体と負極側の筐体とは、短絡防止用のガスケットを介して接合され、一体化されることが好ましい。
上記のようにして製造した全固体二次電池は、製造後又は使用前に初期化を行うことが好ましい。初期化は、特に限定されず、例えば、プレス圧を高めた状態で初充放電を行い、その後、全固体二次電池の一般使用圧力になるまで圧力を開放することにより、行うことができる。
無機固体電解質とは、無機の固体電解質のことであり、固体電解質とは、その内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質のことである。主たるイオン伝導性材料として有機物を含むものではないことから、有機固体電解質(ポリエチレンオキシド(PEO)などに代表される高分子電解質、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)などに代表される有機電解質塩)とは明確に区別される。また、無機固体電解質は定常状態では固体であるため、通常カチオンおよびアニオンに解離または遊離していない。この点で、電解液やポリマー中でカチオンおよびアニオンが解離または遊離している無機電解質塩(LiPF6、LiBF4、LiFSI、LiClなど)とも明確に区別される。無機固体電解質は周期律表第1族または第2族に属する金属のイオンの伝導性を有するものであれば特に限定されず電子伝導性を有さないものが一般的である。
硫化物系無機固体電解質は、硫黄原子(S)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有する化合物が好ましい。硫化物系無機固体電解質は、元素として少なくともLi、SおよびPを含有し、リチウムイオン伝導性を有しているものが好ましいが、目的または場合に応じて、Li、SおよびP以外の他の元素を含んでもよい。
本発明において、硫化物系無機固体電解質の中でも、イオン伝導性がより良好なため、下記式(1)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質が好ましく用いられる。
La1Mb1Pc1Sd1Ae1 式(1)
式中、LはLi、NaおよびKから選択される元素を示し、Liが好ましい。Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。Aは、I、Br、Cl及びFから選択される元素を示す。a1〜e1は各元素の組成比を示し、a1:b1:c1:d1:e1は1〜12:0〜5:1:2〜12:0〜10を満たす。a1はさらに、1〜9が好ましく、1.5〜7.5がより好ましい。b1は0〜3が好ましく、0〜1がより好ましい。d1はさらに、2.5〜10が好ましく、3.0〜8.5がより好ましい。e1はさらに、0〜5が好ましく、0〜3がより好ましい。
硫化物系無機固体電解質は、例えば硫化リチウム(Li2S)、硫化リン(例えば五硫化二燐(P2S5))、単体燐、単体硫黄、硫化ナトリウム、硫化水素、ハロゲン化リチウム(例えばLiI、LiBr、LiCl)及び上記Mであらわされる元素の硫化物(例えばSiS2、SnS、GeS2)の中の少なくとも2つ以上の原料の反応により製造することができる。
酸化物系無機固体電解質は、酸素原子(O)を含有し、かつ、周期律表第1族または第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有する化合物が好ましい。
なお、本明細書において固形分(固形成分)とは、窒素雰囲気下140℃で6時間乾燥処理を行ったときに、揮発ないし蒸発して消失しない成分をいう。典型的には、後述のヘテロ環化合物(B)及び分散媒体以外の成分を指す。
本発明で使用するバインダーは、有機ポリマーであれば特に限定されない。
本発明に用いることができるバインダーは、特に制限はなく、例えば、以下に述べる樹脂からなるバインダーが好ましい。
炭化水素系熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水素添加スチレンブタジエンゴム(HSBR)、ブチレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレンが挙げられる。
アクリル樹脂としては、各種の(メタ)アクリルモノマー類、(メタ)アクリルアミドモノマー類、およびこれら樹脂を構成するモノマーの共重合体(好ましくは、アクリル酸とアクリル酸メチルとの共重合体)が挙げられる。
また、そのほかのビニル系モノマーとの共重合体(コポリマー)も好適に用いられる。例えば、(メタ)アクリル酸メチルとスチレンとの共重合体、(メタ)アクリル酸メチルとアクリロニトリルとの共重合体、(メタ)アクリル酸ブチルとアクリロニトリルとスチレンとの共重合体が挙げられる。本願明細書において、コポリマーは、統計コポリマーおよび周期コポリマーのいずれでもよく、ブロックコポリマーが好ましい。
その他の樹脂としては例えばポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース誘導体樹脂等が挙げられる。
その中でも含フッ素樹脂、炭化水素系熱可塑性樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース誘導体樹脂が好ましく、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。
これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明に用いられるバインダーは、固体の状態で使用しても良いし、ポリマー粒子分散液またはポリマー溶液の状態で用いてもよい。
本発明においてバインダーの分子量については、特に断らない限り、質量平均分子量をいい、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算の質量平均分子量を計測する。測定法としては、基本として下記条件1又は条件2(優先)の方法により測定した値とする。ただし、バインダー種によっては適宜適切な溶離液を選定して用いればよい。
カラム:TOSOH TSKgel Super AWM−H(商品名)を2本つなげる。
キャリア:10mMLiBr/N−メチルピロリドン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0mL/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
カラム:TOSOH TSKgel Super HZM−H(商品名)、TOSOH TSKgel Super HZ4000(商品名)、TOSOH TSKgel Super HZ2000(商品名)をつないだカラムを用いる。
キャリア:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0mL/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
分散媒(E)の具体例としては下記のものが挙げられる。
本発明の固体電解質含有シートの製造方法において、分散剤を混合してもよい。分散剤を添加することで活物質及び硫化物系無機固体電解質のいずれかの濃度が高い場合、並びに、粒子径が細かく表面積が増大する場合においてもその凝集を抑制し、均一な活物質層及び固体電解質層を形成することができる。分散剤としては、全固体二次電池に通常使用されるものを適宜選定して用いることができる。一般的には粒子吸着と立体反発および/または静電反発を意図した化合物が好適に使用される。
本発明の固体電解質含有シートの製造方法において、リチウム塩を混合してもよい。
リチウム塩としては、特に制限はなく、例えば、特開2015−088486号公報の段落0082〜0085記載のリチウム塩が好ましい。
リチウム塩の含有量は、混合される全無機固体電解質粒子100質量部に対して0質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。上限としては、50質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
本発明の全固体二次電池は種々の用途に適用することができる。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車(電気自動車等)、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
無機固体電解質とは、上述した高分子化合物をイオン伝導媒体とする電解質(高分子電解質)とは区別されるものであり、無機化合物がイオン伝導媒体となるものである。具体例としては、上記のLi−P−S系ガラス、LLTおよびLLZが挙げられる。無機固体電解質は、それ自体が陽イオン(Liイオン)を放出するものではなく、イオンの輸送機能を示すものである。これに対して、電解液ないし固体電解質層に添加して陽イオン(Liイオン)を放出するイオンの供給源となる材料を電解質と呼ぶことがある。上記のイオン輸送材料としての電解質と区別する際には、これを「電解質塩」または「支持電解質」と呼ぶ。電解質塩としては、例えばLiTFSIが挙げられる。
本発明において「組成物」というときには、2種以上の成分が均一に混合された混合物を意味する。ただし、実質的に均一性が維持されていればよく、所望の効果を奏する範囲で、一部において凝集や偏在が生じていてもよい。
硫化物系無機固体電解質として、T.Ohtomo,A.Hayashi,M.Tatsumisago,Y.Tsuchida,S.HamGa,K.Kawamoto,Journal of Power Sources,233,(2013),pp231−235およびA.Hayashi,S.Hama,H.Morimoto,M.Tatsumisago,T.Minami,Chem.Lett.,(2001),pp872−873の非特許文献を参考にして、Li−P−S系ガラスを合成した。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを66g投入し、上記混合物全量を投入し、アルゴン雰囲気下で容器を密閉した。フリッチュ社製遊星ボールミルP−7(商品名)に容器をセットし、25℃で、回転数510rpmで20時間メカニカルミリングを行うことで黄色粉体の硫化物系無機固体電解質(Li−P−S系ガラス、LPS)6.20gを得た。
ポリウレタン樹脂を合成するため、まず末端ジオールポリメタクリル酸ドデシルを合成した。
具体的には、500mL3つ口フラスコ中にメチルエチルケトン20mLを仕込み、窒素気流下、75℃に加熱した。一方、500mLメスシリンダーにドデシルメタクリレート(和光純薬工業社製)70gとメチルエチルケトン110gとを仕込み、10分撹拌した。これに連鎖移動剤としてチオグリセロール(和光純薬工業社製)2.9gとラジカル重合開始剤V−601(和光純薬工業社製)3.2gとを加え、さらに10分撹拌した。得られたモノマー溶液を2時間かけて、上記500mL3つ口フラスコに滴下し、ラジカル重合を開始させた。さらに、滴下終了後、75℃で6時間加熱撹拌を続けた。得られた重合液を減圧濃縮し、メチルエチルケトンを留去した後、固形物をヘプタンに溶解して、末端ジオール変性ポリメタクリル酸ドデシルの25質量%ヘプタン溶液292gを得た。得られたポリマーの質量平均分子量は3200であった。
具体的には、末端ジオール変性ポリメタクリル酸ドデシル25質量%のヘプタン溶液260gを、1Lの3つ口フラスコに加え、ヘプタン110gで希釈した。これにイソホロンジイソシアネート(和光純薬工業社製)11.1gとネオスタンU−600(商品名、日東化成社製)0.1gとを加え、75℃で5時間加熱撹拌した。その後、イソホロンジアミン(アミン化合物)0.4gのヘプタン125g希釈液を1時間かけて滴下した。ポリマー溶液は、滴下開始後10分で透明から薄い黄色の蛍光色を有する溶液へと変化した。この変化により、ウレアコロイドが形成したことを確認した。反応液を室温に冷却し、ポリウレアコロイド粒子MM−3の15質量%ヘプタン溶液506gを得た。
ポリウレアコロイド粒子のポリウレアの質量平均分子量は、9,600であった。
具体的には、50mLサンプル瓶にm−フェニレンジイソシアネート(東京化成社製)3.2g、ポリエチレングリコール(質量平均分子量400、Aldrich社製)8.0gを加えた。これにポリウレアコロイド粒子の15質量%ヘプタン溶液32.0gを加え、50℃で加温しながらホモジナイザーで30分間分散した。この間、混合液は微粒子化し、薄橙色のスラリーとなった。得られたスラリーを、あらかじめ温度80℃に加熱した200mL3つ口フラスコに投入し、ネオスタンU−600(商品名、日東化成社製)0.1gを加えて、温度80℃、回転数400rpmで3時間加熱撹拌した。スラリーは、白色乳濁状となった。これより、ポリウレタン樹脂からなるバインダー粒子が形成されたことが推定された。白色乳濁状のスラリーを冷却し、ポリウレタン樹脂からなる粒子状バインダー(バインダー粒子)のヘプタン分散液を得た。バインダー粒子の質量平均分子量は、16000であった。
ニッケルマンガンコバルト酸リチウムと、硫化物系無機固体電解質と、アセチレンブラックと、粒子状バインダー(ポリウレタン樹脂)とを、質量比で70:27:1:2になるように混合し、プラネタリーミキサー(TKハイビスク社製)に加えた。このプラネタリーミキサーに、分散媒として、ヘプタンを固形分が濃度40質量%になるように加え、50rpmで、1時間室温で撹拌を行い、正極用組成物を得た。
得られた正極用組成物スラリーを、カーボンコートした、厚み20μmのアルミ箔上に、アプリケータ(商品名:SA−201ベーカー式アプリケーター、テスター産業社製)により塗布し、100℃1時間加熱乾燥することで正極シートを得た。正極活物質層の厚さは、100μmであった。
−工程(1)−
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを160個投入し、硫化物系無機固体電解質4.0g、粒子状バインダーを0.2g、分散媒としてトルエン8.0g添加した後に、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7(商品名)に容器をセットし、室温、回転数150rpmで60分湿式混合を行い、固体電解質組成物のスラリー1を得た。
硫化物系無機固体電解質の体積平均粒子径は7μmであった。硫化物系無機固体電解質の体積平均粒子径は、上述の方法で測定した。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを160個投入し、硫化物系無機固体電解質4.0g、分散媒としてトルエン8.0g添加した後に、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、室温、回転数350rpmで60分湿式分散を行い、固体電解質組成物のスラリー2を得た。
硫化物系無機固体電解質の体積平均粒子径は0.9μmであった。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを160個投入し、スラリー1を6.1g、スラリー2を6g添加した後に、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、室温、回転数150rpmで5分湿式混合を行い、実施例1で使用する固体電解質組成物のスラリーを得た。
工程(2)において、スラリー2を4g用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の固体電解質含有シートを得た。硫化物系無機固体電解質の体積平均粒子径は7μm及び0.9μmであった。固体電解質層の厚さは60μmであった。
工程(a)において、さらに粒子状バインダーを0.1g用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3の固体電解質含有シートを得た。硫化物系無機固体電解質の体積平均粒子径は7μm及び0.9μmであった。固体電解質層の厚さは60μmであった。
工程(1)において粒子状バインダーを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の固体電解質含有シートを得た。硫化物系無機固体電解質の体積平均粒子径は7μm及び0.9μmであった。固体電解質層の厚さは60μmであった。
工程(1)において、粒子状バインダーを0.1g用い、工程(a)において、さらに粒子状バインダーを0.1g用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の固体電解質含有シートを得た。硫化物系無機固体電解質の体積平均粒子径は7μm及び0.9μmであった。固体電解質層の厚さは60μmであった。
工程(a)及び(2)を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例3の固体電解質含有シートを得た。硫化物系無機固体電解質の体積平均粒子径は7μmであった。固体電解質層の厚さは60μmであった。
工程(1)を行わず、工程(a)において、さらに粒子状バインダーを0.2g用いたこと、及び工程(2)を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例4の固体電解質含有シートを得た。硫化物系無機固体電解質の体積平均粒子径は0.9μmであった。固体電解質層の厚さは60μmであった。
工程(1)を行わず、工程(a)において、さらに粒子状バインダーを0.6g用いたこと、及び工程(2)を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例5の固体電解質含有シートを得た。硫化物系無機固体電解質の体積平均粒子径は0.9μmであった。固体電解質層の厚さは60μmであった。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを160個及び上記合成した硫化物系無機固体電解質4.0gを投入し、この容器をフリッチュ社製遊星ボールミルP−7(商品名)にセットし、室温、回転数130rpmで60分乾式ミリングを行い、体積平均粒子径が7μmの硫化物系無機固体電解質粒子を得た。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを160個及び上記合成した硫化物系無機固体電解質4.0gを投入し、この容器をフリッチュ社製遊星ボールミルP−7(商品名)にセットし、室温、回転数350rpmで80分乾式ミリングを行い、体積平均粒子径が0.9μmの硫化物系無機固体電解質粒子を得た。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを160個投入し、さらに、体積平均粒子径が7μmの硫化物系無機固体電解質粒子2.0gと、体積平均粒子径が0.9μmの硫化物系無機固体電解質粒子2.0gを投入した。この容器をフリッチュ社製遊星ボールミルP−7(商品名)にセットし、室温、回転数130rpmで10分乾式ミリングを行い、体積平均粒子径が7μmの硫化物系無機固体電解質粒子と体積平均粒子径が0.9μmの硫化物系無機固体電解質粒子との混合物を得た。
このようにして得た混合物を、縦100mm、横30mm、厚み20μmのアルミ箔上に配置し、プレス圧50MPaをかけて、プレス成型することにより、固体電解質含有シートを得た。固体電解質層の厚さは50μmであった。
固体電解質含有シートを、直径1mm〜10mmまで1mm間隔で用意した棒に、固体電解質層が接するように巻きつけ、剥した後、固体電解質層表面に割れが発生しない、棒の直径の最小値を調べた。なお、割れの有無は目視で判断した。
固体電解質含有シートを直径10mmφの円盤状に2枚打ち抜き、それぞれの固体電解質層を対向させて、SUS製の棒で拘束することで測定セルとした。固体電解質含有シート間に350MPaの圧力をかけた後、固体電解質含有シート間に50MPaの圧力をかけた状態で、30℃の恒温槽中で交流インピーダンス法により、イオン伝導度を求めた。
固体電解質含有シートを、正極シートの上に、固体電解質層が、正極活物質層と対向するにように載せ、積層方向に20MPaでプレス処理を行った。プレス後、固体電解質含有シートのアルミ箔を剥がすと、正極シートに固体電解質層が転写される。
固体電解質層を転写した正極シートの上に、負極として厚さ15μmのインジウム箔と厚さ15μmのリチウム箔を重ね合わせたシート(InLiシート)を固体電解質層とインジウム箔とが接するように載せ、InLiシートの上から、SUSの棒で50MPaの圧力を加えて短絡の有無を、正負間の電圧の確認により行った。圧力を加えた状態で、開放電圧を測定し、正負極間の電位差が0.1V以上あり、この電位差が0.03V以下に低下しない(値が安定している)場合を短絡「無」、電位差が0.03Vを超えて低下する(値が安定していない)場合を短絡「有」と評価した。各固体電解質含有シートについて、10枚のInLiシートを作製し、各InLiシートについて、短絡の有無を確認した。短絡が発生したInLiシートの数が、1枚以下が合格である。
なお、得られた各固体電解質含有シートを転写した正極シートにおける固体電解質層の厚さはいずれも30μmであった。
イオン伝導度は実施例1の固体電解質含有シートのイオン伝導度を1とした相対値を示す。
比較例1及び6における「マンドレル試験×」は、10mmで割れが発生したことを意味する。また、比較例6における、「イオン伝導度×」は、円盤状に打ち抜いた時点で固体電解質層の膜が破損し、測定できなかったことを意味する。
比較例1の固体電解質含有シートは、バインダーを含有しないため、膜強度が低く、電池短絡試験では、全て短絡する結果となった。
比較例2の固体電解質含有シートは、工程(2)において、式(I)を満たさないバインダーを用いたため、平均粒子径の大きい無機固体電解質粒子に対して、強度を確保するためのバインダーの量が不足し、膜の強度が低く、電池短絡試験が不合格であった。
比較例3の固体電解質含有シートは、固体電解質層が、平均粒子径の大きな無機固体電解質粒子のみで構成された膜であるために、膜の充填率が低くなり、電池短絡試験が不合格であった。
比較例4の固体電解質含有シートは、工程(1)を行わず、平均粒子径の小さい無機固体電解質粒子に対して、強度を確保するためのバインダーの量が不足し、電池短絡試験が不合格であった。
比較例5の固体電解質含有シートは、工程(1)を行わず、平均粒子径の小さい無機固体電解質粒子に対して、多量のバインダーを用いたため、イオン伝導度が大きく低下する結果となった。
比較例6の固体電解質含有シートは、工程(1)及び工程(2)において、バインダーを用いなかったため、全ての試験結果が著しく劣った。
工程(a)において、回転数を250rpmとしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の固体電解質含有シートを作製した。
工程(1)における硫化物系無機固体電解質の体積平均粒子径は7μmであった。工程(a)における硫化物系無機固体電解質の体積平均粒子径は、1.8μmであった。固体電解質層の厚さは60μmであった。
工程(1)において、粒子状バインダーを0.1g用い、工程(a)において、粒子状バインダーを0.1g用いたこと以外は、実施例4と同様にして比較例7の固体電解質含有シートを作製した。硫化物系無機固体電解質の体積平均粒子径は7μm及び1.8μmであった。固体電解質層の厚さは60μmであった。
工程(1)において、粒子状バインダーに代えてPVdF(Aldrich社製、質量平均分子量18万)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の固体電解質含有シートを作製した。硫化物系無機固体電解質の体積平均粒子径は7μm及び0.9μmであった。固体電解質層の厚さは60μmであった。
工程(1)において、PVdFを0.1g用い、工程(a)において、さらにPVdFを0.1g用いたこと以外は、実施例5と同様にして比較例8の固体電解質含有シートを作製した。硫化物系無機固体電解質の体積平均粒子径は7μm及び0.9μmであった。固体電解質層の厚さは60μmであった。
2 負極活物質層
3 固体電解質層
4 正極活物質層
5 正極集電体
6 作動部位
10 全固体二次電池
Claims (13)
- 下記工程(1)及び(2)を含む固体電解質含有シートの製造方法。
工程(1):
下記式(I)を満たす混合量で、無機固体電解質粒子(A)とバインダー(C)とを混合する工程、
工程(2):
下記式(I)を満たす混合量で、前記工程(1)で得た混合物と、前記無機固体電解質粒子(A)の平均粒子径よりも平均粒子径の小さな無機固体電解質粒子(B)と、バインダー(D)とを混合する工程。
式(I):
前記無機固体電解質粒子(A)の混合量/前記バインダー(C)の混合量<前記無機固体電解質粒子(B)の混合量/前記バインダー(D)の混合量
ただし、前記工程(1)において前記無機固体電解質粒子(A)の混合量と前記バインダー(C)の混合量との合計に占める前記バインダー(C)の混合量の割合は0.3〜10質量%であり、前記工程(2)における前記バインダー(D)の混合量は前記工程(1)における前記バインダー(C)の混合量未満である。
前記混合量の単位は、質量部である。 - 分散媒(E)中で、前記工程(1)を行う請求項1に記載の固体電解質含有シートの製造方法。
- 前記工程(2)が、前記工程(1)で得た分散液と前記無機固体電解質粒子(B)と前記バインダー(D)とを混合する工程である、請求項2に記載の固体電解質含有シートの製造方法。
- 前記無機固体電解質粒子(B)が、前記無機固体電解質粒子(A)を微細化したものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質含有シートの製造方法。
- 前記無機固体電解質粒子(A)の平均粒子径が、1μm〜15μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体電解質含有シートの製造方法。
- 前記無機固体電解質粒子(B)の平均粒子径が1μm未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体電解質含有シートの製造方法。
- 前記工程(1)及び(2)を経て得た混合物を基材上に適用し、厚さが10μm〜100μmの固体電解質層を形成する工程を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体電解質含有シートの製造方法。
- 前記無機固体電解質粒子(A)及び/又は前記無機固体電解質粒子(B)が、硫化物系無機固体電解質粒子である請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体電解質含有シートの製造方法。
- 前記工程(1)において、前記無機固体電解質粒子(A)の混合量と前記バインダー(C)の混合量との合計に占める前記バインダー(C)の混合量が、0.5〜5質量%である請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体電解質含有シートの製造方法。
- 前記工程(1)における前記無機固体電解質粒子(A)の混合量と、前記工程(2)における前記無機固体電解質粒子(B)の混合量との合計に占める、前記無機固体電解質粒子(B)の混合量が10〜50質量%である請求項1〜9のいずれか1項に記載の固体電解質含有シートの製造方法。
- 前記バインダー(C)及び/又は(D)が、粒子状である請求項1〜10のいずれか1項に記載の固体電解質含有シートの製造方法。
- 正極活物質層と負極活物質層と固体電解質層とを具備する全固体二次電池の製造方法であって、前記固体電解質層を下記工程(1)及び(2)を経て形成することを含む、全固体二次電池の製造方法。
工程(1):
下記式(I)を満たす混合量で、無機固体電解質粒子(A)とバインダー(C)とを混合する工程、
工程(2):
下記式(I)を満たす混合量で、前記工程(1)で得た混合物と、前記無機固体電解質粒子(A)の平均粒子径よりも平均粒子径の小さな無機固体電解質粒子(B)と、下記式(I)を満たすバインダー(D)とを混合する工程。
式(I):
前記無機固体電解質粒子(A)の混合量/前記バインダー(C)の混合量<前記無機固体電解質粒子(B)の混合量/前記バインダー(D)の混合量
ただし、前記工程(1)において前記無機固体電解質粒子(A)の混合量と前記バインダー(C)の混合量との合計に占める前記バインダー(C)の混合量の割合は0.3〜10質量%であり、前記工程(2)における前記バインダー(D)の混合量は前記工程(1)における前記バインダー(C)の混合量未満である。
前記混合量の単位は、質量部である。 - 前記工程(1)及び(2)を経て形成した固体電解質層を正極活物質層上及び/又は負極活物質層上に転写する工程を含む、請求項12に記載の全固体電池二次電池の製造方法。
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