JP6734059B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

この発明は、非水電解質二次電池に関するものである。
非水電解質二次電池は、その高いエネルギー密度から携帯電話やノートパソコンなど民生機器だけではなく、電動自転車や電力貯蔵用途など産業用途にも広く展開されてきている。近年では、ドローンやロボットといった用途においても、需要が大きく伸びつつある。これらドローンやロボットに関連した用途では、高エネルギー密度のみならずと高入出力性能との両立が求められており、特に重量当たりのエネルギー密度と放電時の負荷特性の向上が必要な状況となっている。さらに、大電流放電時の発熱抑制も重要な課題となっている。
特許文献1では負極が2以上の集電タブを有することで電池の負荷特性を高めることが開示されている。特許文献2で正極板の長方向の中央部に正極活物質の未塗工部が設けてあり、未塗工部に正極リードを接続することで、正極板の集電抵抗を低くすることが開示されている。
特開2014−132516号公報 特開2008−234855号公報
しかしながら、特許文献1のように複数本の電極タブを設けると、重量エネルギー密度が下がる上、作業効率が下がってしまう。また、特許文献1および2のようにすることで電池の負荷特性が改善され、大電流放電時の発熱もある程度は抑制される。しかしながら、高負荷充放電で一気に大電流が流れることによる電極の温度上昇を完全に抑制することは困難であり、電極は高温下でダメージを受けて劣化が進んでしまう。
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は高いエネルギー密度を維持しつつ、高負荷での充放電特性に優れた非水電解質二次電池を提供することである。
この発明の実施の形態によれば、非水電解質二次電池は、正極、負極、セパレータおよび非水電解液を有し、前記正極は、正極集電体上に、正極活物質を含む正極合剤層を塗工されおり、前記正極活物質の粒子の表面がAl含有酸化物で被覆されてなる正極材料を用いており、前記Al含有酸化物の平均被覆厚みが5〜50nmであり、前記正極と前記負極は、それぞれ正極集電タブ、負極集電タブを有し、前記セパレータを介して積層されて渦巻き状に巻回されており、前記正極集電タブは、前記正極の長さ方向における前記正極合剤層の一方の端から他方の端までの間の距離の30〜70%の位置に配置されており、前記負極集電タブは、前記負極の長さ方向の端部に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、高いエネルギー密度を維持しつつ、且つ高負荷充放電特性にも優れた非水電解質二次電池を提供できる。
本発明の実施態様の一例である正極を表す。 本発明の実施態様の一例である負極を表す。 本発明の実施態様の一例である非水電解質二次電池を表す。 本発明の比較例である正極を表す。 本発明の比較例である負極を表す。
長尺の正極・負極を渦巻き状に巻回する電極体では、充放電時に電流が集電体を介して集電タブへ集中するが、この時に電子の移動距離が長ければ長いほど高抵抗となり、発熱しやすい。本発明では正極集電タブを正極の長さ方向(巻回軸方向と垂直方向)のほぼ中央部に配置することで、電子の移動距離を短くして抵抗を減らし、発熱を抑制する。これにより、高負荷での充放電による電池内の温度の上昇を抑えることが出来る。
更に、正極は正極活物質の粒子の表面がAl含有酸化物で被覆されてなる正極材料を使用する。正極集電タブを長さ方向中央部に配置しても、高負荷充放電で一気に大電流が流れることによる電極の温度上昇を完全に抑制することは困難であり、電池内の温度の上昇によって高負荷での充放電特性が低下する。そこで正極活物質の粒子表面がAl含有酸化物で被覆されていると、これらの特性低下を抑制することが出来る。
〔正極〕
本発明の非水二次電池は正極と負極がセパレータを介して積層されて渦巻き状に巻回される性質上、正極と、後述する負極もセパレータも、巻回軸方向と垂直方向に長尺のものが使用される。
図1は本発明の一例の正極を示す。本発明の正極1は、長尺の正極集電体11の片面又は両面上に正極合剤層12を設けており、正極合剤層12は正極活物質、バインダ、および導電助剤等を溶媒に分散させた正極合剤スラリーを、正極集電体11上に塗工し乾燥させることで形成される。この時、正極集電体11の少なくとも片面の長さ方向中央部Cには、正極集電タブ13を配置するための正極合剤層が無い部分、すなわち未塗工部Nを設ける。未塗工部Nには正極集電タブ13を正極集電体11に電気的に接続するよう、例えば超音波溶接、抵抗溶接等の手段により配置する。図1では両面に正極合剤層を設け、両面の未塗工部のうち、一方の未塗工部に正極集電タブを配置している。
正極合剤層の長さ方向の長さが同一で長さ方向の一端にのみ正極集電タブを設けた正極の場合は、電子の最大移動距離は正極合剤層の長さ方向の一端から他端までの距離である。一方、本発明の態様では電子の最大移動距離は正極合剤層全体長さの約半分の距離になる。つまり、本発明の態様は、電子の移動距離を短くすることで抵抗を減らすことが出来る。そのため、大電流での充放電を行っても、発熱を抑制することが可能になる。
正極集電タブ13の位置Tは、正極の長さ方向における正極集電体における正極合剤層の一方の端から他方の端までの距離(両面で正極合剤層の塗工長さが異なる場合は距離が長い方を採用。図1におけるS〜Eまでの距離)の30%〜70%の間に配置される。より好ましくは40〜60%である。
未塗工部は上記の位置に正極集電タブ13を配置できるように、中央部に設ければよい。
正極集電タブは、長さ方向中央部に1本のみを配置しても良いし、複数本配置しても良い。電池内での充放電に寄与しない部材の重量を少しでも軽くして重量エネルギー密度を向上させることが出来るので、1本のみを配置するのが好ましい。
正極集電タブ1本あたりの断面積は、0.1〜1.5mmが好ましく、特に0.15〜1.0mmが好ましい。0.15mmよりも小さくなると、正極集電タブに由来する抵抗が大きくなり、集電タブを増やしても高負荷特性を得るのが難しいためである。1.0mmよりも大きくなると、集電タブの幅や厚みが大きくなりすぎ、溶接性など生産性に問題が発生するためである。
<正極活物質>
本発明の正極活物質は、正極活物質の粒子の表面がAl含有酸化物で被覆されてなる正極材料を用いる。
正極集電タブを上述した位置に配置することで、正極の発熱を抑制することが出来るが、高負荷での充放電を繰り返すと完全に発熱の抑制をすることは困難で、電池内の温度は80℃程には上昇してしまう。このような温度下では非水電解液と正極活物質の粒子表面との間の副反応、すなわちガス発生や反応生成物の堆積が加速される。ガス発生によって正極と負極との対向距離が不均一になり、これが高負荷での充放電特性を低下させる。また、反応生成物が正極活物質上に多量に堆積した場合、活物質表面での充放電反応が著しく阻害され、高入出力性能が低下する。
そこで本発明では正極活物質の粒子表面がAl含有酸化物で被覆されている正極材料を用いることで、電池内の温度が上昇した場合の粒子表面と電解液との間の副反応によるガス発生や反応生成物の堆積を抑制することができ、繰り返し使用した場合においても、高入出力性能の劣化を抑制できる。
本発明において、Al含有酸化物で表面を被覆する正極活物質は、高温下で非水電解液と副反応を起こす正極活物質であれば本願の課題を解決することが出来る。例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルトアルミ含有複合酸化物、ニッケルマンガンコバルト含有複合酸化物等がある。
中でも、リチウムイオン電池として汎用的で、高容量化が可能であるコバルト酸リチウムを採用するのが好ましい。
正極材料が含有する正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いる場合、コバルト酸リチウムは、CoおよびMgと、Ni、Mn、TiおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種の元素M、並びに、更に含有してもよい他の元素を纏めて元素群Mmとしたときに、組成式Li1+nMmO(−0.05≦n≦0.05)で表されるものを用いると好ましい。
正極材料を特定の平均粒子径を有する粒子群を組み合わせて構成することによって特定の粒度分布とすると、正極材料を用いた正極の製造過程において、正極材料粒子が割れることによる電解液との副反応を抑制し、Al含有酸化物での被覆による作用をより良好に発揮できるようになり、好ましい。特に、正極材料(a)と、前記正極材料(a)よりも平均粒子径が小さい正極材料(b)とを含んでいると、特定の粒度分布としやすいため好ましい。
特定の平均粒子径を有する正極材料(a)の正極活物質はコバルト酸リチウム(A)、正極材料(a)よりも平均粒子径が小さい正極材料(b)の正極活物質をコバルト酸リチウム(B)として、以下説明する。
コバルト酸リチウム(A)は、Co、Mg、Zrおよび元素M、並びに、更に含有してもよい他の元素を纏めて元素群Maとしたときに、組成式Li1+xMaO(−0.05≦x≦0.05)で表されるものである。また、コバルト酸リチウム(B)は、Co、Mgおよび元素M、並びに、更に含有してもよい他の元素を纏めて元素群Mbとしたときに、組成式Li1+yMbO(−0.05≦y≦0.05)で表されるものを用いると好ましい。
コバルト酸リチウム(A)およびコバルト酸リチウム(B)において、Mg、元素Mおよび元素Mは、コバルト酸リチウム(A)およびコバルト酸リチウム(B)の高電圧領域での安定性を高め、Coイオンの溶出を抑制する作用を有しており、また、コバルト酸リチウム(A)およびコバルト酸リチウム(B)の熱安定性を高める作用も有している。更に、元素Mおよび元素Mは、電池の連続充電特性(電池の充電を継続しても、微小な短絡が発生する時間が非常に長い特性)を高める作用も有している。
コバルト酸リチウム(A)およびコバルト酸リチウム(B)において、Mgの量は、前記の作用をより有効に発揮させる観点から、Coとの原子比Mg/Coが、0.002以上であることが好ましく、0.005以上であることがより好ましい。また、コバルト酸リチウム(A)において、元素M1の量は、前記の作用をより有効に発揮させる観点から、Coとの原子比M1/Coが、0.001以上であることが好ましく、0.003以上であることがより好ましい。そして、コバルト酸リチウム(B)において、元素M2の量は、前記の作用をより有効に発揮させる観点から、Coとの原子比M2/Coが、0.001以上であることが好ましく、0.003以上であることがより好ましい。
ただし、コバルト酸リチウム(A)およびコバルト酸リチウム(B)中のMgや元素M1、元素M2の量が多すぎると、Zr〔コバルト酸リチウム(A)の場合〕やCoの量が少なくなりすぎて、これらによる作用を十分に確保できない虞がある。よって、コバルト酸リチウム(A)およびコバルト酸リチウム(B)において、Mgの量は、Coとの原子比Mg/Coが、0.03以下であることが好ましく、0.015以下であることがより好ましい。また、コバルト酸リチウム(A)において、元素M1の量は、Coとの原子比M1/Coが、0.03以下であることが好ましく、0.015以下であることがより好ましい。更に、コバルト酸リチウム(B)において、元素M2の量は、Coとの原子比M2/Coが、0.03以下であることが好ましく、0.015以下であることがより好ましい。
コバルト酸リチウム(A)において、Zrは、非水電解液中に含まれるF含有のリチウム塩(例えばLiPF)が原因となって発生し得るフッ化水素を吸着し、コバルト酸リチウム(A)の劣化を抑制する作用を有している。
非水二次電池に使用される非水電解液中に若干の水分が不可避的に混入していたり、他の電池材料に水分が吸着していたりすると、非水電解液が含有するF含有のリチウム塩(例えばLiPF)と反応してフッ化水素が生成する。電池内でフッ化水素が生成すると、その作用で正極活物質の劣化を引き起こしてしまう。
ところが、Zrも含有するようにコバルト酸リチウム(A)を合成すると、その粒子の表面にZr酸化物が析出し、このZr酸化物がフッ化水素を吸着する。そのため、フッ化水素によるコバルト酸リチウム(A)の劣化を抑制することができる。
なお、正極活物質にZrを含有させると、電池の負荷特性が向上する。正極材料が含有するコバルト酸リチウム(A)は、コバルト酸リチウム(B)よりも平均粒子径が大きいが、一般に、粒子径が大きい正極活物質を使用すると電池の負荷特性が低下する傾向にある。よって、本発明に係る正極材料を構成する正極活物質のうち、より平均粒子径が大きいコバルト酸リチウム(A)にはZrを含有させる。他方、コバルト酸リチウム(B)は、Zrを含有していてもよく、含有していなくてもよい。
コバルト酸リチウム(A)において、Zrの量は、前記の作用をより良好に発揮させる観点から、Coとの原子比Zr/Coが、0.0002以上であることが好ましく、0.0003以上であることがより好ましい。ただし、コバルト酸リチウム(A)中のZrの量が多すぎると、他の元素の量が少なくなって、これらによる作用を十分に確保できない虞がある。よって、コバルト酸リチウム(A)におけるZrの量は、Coとの原子比Zr/Coが、0.005以下であることが好ましく、0.001以下であることがより好ましい。
コバルト酸リチウム(A)およびコバルト酸リチウム(B)は、Li含有化合物(水酸化リチウム、炭酸リチウムなど)、Co含有化合物(酸化コバルト、硫酸コバルトなど)、Mg含有化合物(硫酸マグネシウムなど)、Zr含有化合物(酸化ジルコニウムなど)および元素Mや元素Mを含有する化合物(酸化物、水酸化物、硫酸塩など)を混合し、この原料混合物を焼成するなどして合成することができる。なお、より高い純度でコバルト酸リチウム(A)およびコバルト酸リチウム(B)を合成するには、Co、Mg、およびZr、更には元素M1や元素M2を含む複合化合物(水酸化物、酸化物など)とLi含有化合物などとを混合し、この原料混合物を焼成することが好ましい。
コバルト酸リチウム(A)およびコバルト酸リチウム(B)を合成するための原料混合物の焼成条件は、例えば、800〜1050℃で1〜24時間とすることができるが、一旦焼成温度よりも低い温度(例えば、250〜850℃)まで加熱し、その温度で保持することにより予備加熱を行い、その後に焼成温度まで昇温して反応を進行させることが好ましい。予備加熱の時間については特に制限はないが、通常、0.5〜30時間程度とすればよい。また、焼成時の雰囲気は、酸素を含む雰囲気(すなわち、大気中)、不活性ガス(アルゴン、ヘリウム、窒素など)と酸素ガスとの混合雰囲気、酸素ガス雰囲気などとすることができるが、その際の酸素濃度(体積基準)は、15%以上であることが好ましく、18%以上であることが好ましい。
正極材料は、コバルト酸リチウム(A)の粒子の表面がAl含有酸化物で被覆されている正極材料(a)と、コバルト酸リチウム(B)の粒子の表面がAl含有酸化物で被覆されている正極材料(b)とを含んでいると好ましい。〔例えば、コバルト酸リチウム(A)およびコバルト酸リチウム(B)の粒子の表面の全面積中の90〜100%以上に、Al含有酸化物が存在している〕。コバルト酸リチウム(A)およびコバルト酸リチウム(B)の粒子の表面を被覆するAl含有酸化物としては、AlO3、AlOOH、LiAlO、LiCo1−wAlO2(ただし、0.5<w<1)などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、例えば後述する方法でコバルト酸リチウム(A)やコバルト酸リチウム(B)の表面をAlで被覆した場合、Al中に、コバルト酸リチウム(A)やコバルト酸リチウム(B)から移行するCoやLi、Alなどの元素を含むAl含有酸化物が一部混在する被膜が形成されるが、正極材料を構成する正極材料(a)に係るコバルト酸リチウム(A)の表面を覆うAl含有酸化物で形成された被膜や、正極材料(b)に係るコバルト酸リチウム(B)の表面を覆うAl含有酸化物で形成された被膜は、このような成分を含む被膜であってもよい。
正極材料を構成する粒子におけるAl含有酸化物の平均被覆厚みは、正極材料に係る正極活物質と非水電解液との反応を良好に抑制する観点から、5nm以上であり、15nm以上であることが好ましい。また、電池の充放電時における正極活物質でのリチウムイオンの出入りをAl含有酸化物が阻害することによる電池の負荷特性低下を抑制する観点から、本発明に係る正極材料を構成する粒子におけるAl含有酸化物の平均被覆厚みは、50nm以下であり、35nm以下であることがより好ましい。
本明細書でいう「正極材料を構成する粒子におけるAl含有酸化物の平均被覆厚み」は、集束イオンビーム法により加工して得られた正極材料の断面を、透過型電子顕微鏡を用いて40万倍の倍率で観察し、500×500nmの視野に存在する正極材料粒子のうち、断面の大きさが正極材料の平均粒子径(d50)±5μm以内の粒子を10視野分だけ任意に選択し、各視野ごとに、Al含有酸化物の被膜の厚みを任意の10か所で測定し、全視野で得られた全ての厚み(100箇所の厚み)について算出した平均値(数平均値)を意味している。
本発明に係る正極材料は、比表面積(正極材料全体の比表面積)が、正極活物質と非水電解液との反応を良好に抑制する観点から、0.4m/g以下が好ましく、より好ましくは0.3m/g以下であることが好ましい。また、電池の充放電時における正極活物質でのリチウムイオンの出入りを阻害せず電池の負荷特性低下を抑制する観点から、本発明に係る正極材料を構成する粒子における比表面積は、0.1m/g以上が好ましく、より好ましくは0.2m/g以上であることがより好ましい。
なお、正極材料を構成する正極活物質粒子の表面をAl含有酸化物で被覆したり、正極活物質粒子の表面にZr酸化物が析出するようにしたりした場合には、通常、正極材料の表面が粗くなって比表面積が増大するが、正極材料を比較的大きな粒径とすることに加えて、正極活物質粒子の表面を被覆するAl含有酸化物の被膜の性状が良好であると、前記のような小さな比表面積の実現を可能としている。
正極材料が、コバルト酸リチウム(A)の粒子の表面がAl含有酸化物で被覆されてなり、平均粒子径が1〜40μmである正極材料(a)と、コバルト酸リチウム(B)の粒子の表面がAl含有酸化物で被覆されてなり、平均粒子径が1〜40μmであり、かつ前記正極材料(a)よりも平均粒子径が小さい正極材料(b)とを少なくとも含んでいると、正極材料は、体積基準の粒度分布において、1〜40μmの粒径範囲内に、2つ以上のピークを有することになる。本明細書でいう「1〜40μmの粒径範囲内に、2つ以上のピークを有する」とは、2つ以上のピークのピークトップの粒径が、1〜40μmの範囲内にあることを意味しており、例えば、2つ以上のピークの裾が完全に分離しているものや、2つ以上のピークの裾が1つ以上に纏まっていてピークトップが2つ以上に分離しているものも含まれ、各ピークの裾は1〜40μmの粒径範囲外に存在していてもよい。
これは、正極材料の全粒子中に、前記粒度分布において、より大粒径側のピークに属する粒子と、より小粒径側のピークに属する粒子、すなわち、比較的大粒径の粒子群と、これらの粒子群よりも粒径が小さい粒子群とが含まれていることを意味している。
正極材料が、前記の粒度分布を有していると、正極合剤層や正極合剤ペレットの形成時に、大粒径の正極材料の隙間に小粒径の正極材料が入り込むことで、その後のプレス処理において、正極合剤層や正極合剤ペレットにかかる応力が全体に分散させることが出来る。これにより、プレス処理の際に個々の正極材料粒子に過度の応力が付加され難く、正極材料粒子の割れが良好に抑制される。そのため、正極の製造途中において、正極材料粒子が割れることによる新生面の発生(Al含有酸化物で被覆されていない部分の発生)が抑制されることから、Al含有酸化物での被覆による作用をより良好に発揮でき、好ましい。
正極材料の粒度分布としては、体積基準の粒度分布において、1〜15μmの粒径範囲内に1つ以上のピークを有し、かつ15〜40μmの粒径範囲内に1つ以上のピークを有しており、前記15〜40μmの粒径範囲内に存在するピークのうちの少なくとも1つのピークトップの粒径が、前記1〜15μmの粒径範囲内に存在するピークのうちの少なくとも1つのピークトップの粒径よりも大きいことが好ましい。正極材料がこのような粒度分布を有する場合には、正極の製造過程での正極材料粒子の割れの抑制効果がより良好となると共に、正極材料の比表面積を前記の値に調整することが容易となる。
正極材料は、平均粒子径が24〜30μmの大粒子〔正極材料(a)〕と、平均粒子径が4〜8μmの小粒子〔正極材料(b)〕とで構成され、正極材料全量中での前記大粒子の割合が、75〜90質量%であることが好ましい。正極材料がこのような構成であれば、正極材料全体の粒度分布を前記のように調整することができる。
本明細書でいう正極材料の粒度分布は、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置「HRA9320」を用いて、粒度分布の小さい粒子から積分体積を求める方法により得られる粒度分布を意味している。また、本明細書における正極材料や、その他の粒子の平均粒子径は、前記の装置を用いて、粒度分布の小さい粒子から積分体積を求める場合の体積基準の積算分率における50%径の値(d50)を意味している。
なお、正極材料は、例えば、コバルト酸リチウム(A)またはコバルト酸リチウム(B)と同じ組成の正極活物質の表面がAl含有酸化物で被覆されてなり、平均粒子径が正極材料(a)と正極材料(b)との間の値である1種または2種以上の正極材料を含んでいてもよい。
コバルト酸リチウム(A)やコバルト酸リチウム(B)といった正極活物質粒子の表面をAl含有酸化物で被覆して前記正極材料とするには、例えば下記の方法が採用できる。pHを9〜11とし、温度を60〜80℃とした水酸化リチウム水溶液中に、正極活物質粒子を投入し攪拌して分散させ、ここにAl(NO・9HOと、pHの変動を抑えるためのアンモニア水とを滴下して、Al(OH)共沈物を生成させ、正極活物質粒子の表面に付着させる。その後、この反応液からAl(OH)共沈物が付着した正極活物質粒子を取り出し、洗浄してから乾燥させた後に、熱処理して、正極活物質粒子の表面にAl含有酸化物の被膜を形成して、前記正極材料とする。Al(OH)共沈物が付着した正極活物質粒子の熱処理は大気雰囲気中で行うことが好ましく、また、熱処理温度を200〜800℃とし、熱処理時間を5〜15時間とすることが好ましい。この方法で正極活物質粒子の表面をAl含有酸化物で被覆する場合、前記の熱処理温度の調整によって、被膜を構成する主成分となるAl含有酸化物を、Alとしたり、AlOOHとしたり、LiAlOとしたり、LiCo1−wAl(ただし、0.5<w<1)としたりすることができる。
本発明の非水二次電池に係る正極は、例えば、正極活物質(前記正極材料)、導電助剤およびバインダなどを含有する正極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものが挙げられる。また、電池の形態によっては、正極活物質(前記正極材料)、導電助剤およびバインダなどを含有する正極合剤を成形したペレット(正極合剤ペレット)を正極として使用することもできる。
正極活物質には、前記正極材料と共に、他の正極活物質を併用してもよい。前記正極材料と併用し得る他の正極活物質としては、リチウムイオン二次電池などの非水二次電池において、従来から使用されているもの(リチウムイオンを吸蔵放出し得るリチウム含有複合酸化物)が挙げられるが、電池の連続充電特性がより向上すると共に、前記正極材料による非水二次電池の高温下での充放電サイクル特性や貯蔵特性を損なわないことから、NiおよびCoと、Mg、Mn、Ba、W、Ti、Zr、MoおよびAlよりなる群から選択される元素M3とを含有するニッケル酸リチウム(C)が好ましい。
ニッケル酸リチウム(C)は、Ni、Coおよび元素M、並びに、更に含有してもよい他の元素を纏めて元素群Mcとしたときに、化学式Li1+zMcO2(−0.05≦z≦0.05)で表されるものであり、元素群Mcの全原子数100mol%中のNi、Coおよび元素M3の量を、それぞれ、s(mol%)、t(mol%)およびu(mol%)で表したとき、30≦s≦97、0.5≦t≦40、0.5≦u≦40であることが好ましく、70≦s≦97、0.5≦t≦30、0.5≦u≦5であることがより好ましい。
ニッケル酸リチウム(C)は、Li含有化合物(水酸化リチウム、炭酸リチウムなど)、Ni含有化合物(硫酸ニッケルなど)、Co含有化合物(硫酸コバルト、酸化コバルトなど)、および元素M3を含有する化合物(酸化物、水酸化物、硫酸塩など)を混合し、この原料混合物を焼成するなどして製造することができる。なお、より高い純度でニッケル酸リチウム(C)を合成するには、Ni、Coおよび元素Mのうちの複数の元素を含む複合化合物(水酸化物、酸化物など)と、他の原料化合物(Li含有化合物など)とを混合し、この原料混合物を焼成することが好ましい。
ニッケル酸リチウム(C)を合成するための原料混合物の焼成条件も、コバルト酸リチウム(A)やコバルト酸リチウム(B)の場合と同様に、例えば、800〜1050℃で1〜24時間とすることができるが、一旦焼成温度よりも低い温度(例えば、250〜850℃)まで加熱し、その温度で保持することにより予備加熱を行い、その後に焼成温度まで昇温して反応を進行させることが好ましい。予備加熱の時間については特に制限はないが、通常、0.5〜30時間程度とすればよい。また、焼成時の雰囲気は、酸素を含む雰囲気(すなわち、大気中)、不活性ガス(アルゴン、ヘリウム、窒素など)と酸素ガスとの混合雰囲気、酸素ガス雰囲気などとすることができるが、その際の酸素濃度(体積基準)は、15%以上であることが好ましく、18%以上であることが好ましい。
本発明の非水二次電池において、前記正極材料と他の正極活物質〔例えばニッケル酸リチウム(C)〕とを使用する場合には、前記正極材料と他の正極活物質との合計100質量%中の前記正極材料の量が、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい(すなわち、前記正極材料と共に使用される他の正極活物質の量が、前記正極材料と他の正極活物質との合計100質量%中、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい)。なお、前記の通り、本発明の非水二次電池では、前記正極材料以外の正極活物質を使用せずに前記正極材料のみを用いてもよいため、前記正極材料と他の正極活物質との合計100質量%中の前記正極材料の量の好適上限値は、100質量%である。ただし、ニッケル酸リチウム(C)の使用による電池の連続充電特性向上効果をより良好に確保するためには、前記正極材料とニッケル酸リチウム(C)との合計100質量%中のニッケル酸リチウム(C)の量が、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。
<バインダ>
上記正極に用いるバインダとしては、電池内で化学的に安定なものであれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用できる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、又は、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体及びそれら共重合体のNaイオン架橋体等の1種又は2種以上を使用できる。
<導電助剤>
上記正極に用いる導電助剤としては、電池内で化学的に安定なものであればよい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等のグラファイト;アセチレンブラック、ケッチェンブラック(商品名)、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維;アルミニウム粉等の金属粉末;フッ化炭素;酸化亜鉛;チタン酸カリウム等からなる導電性ウィスカー;酸化チタン等の導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、導電性の高いグラファイトと、吸液性に優れたカーボンブラックが好ましい。また、導電助剤の形態としては、一次粒子に限定されず、二次凝集体や、チェーンストラクチャー等の集合体の形態のものも用いることができる。このような集合体の方が、取り扱いが容易であり、生産性が良好となる。
<集電体>
上記正極に用いる集電体としては、従来から知られている非水電解質二次電池の正極に使用されているものと同様のものが使用でき、例えば、厚さが10〜30μmのアルミニウム箔が好ましい。高エネルギー密度の電池を得るために正極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、導電性および機械的強度を確保するために下限は10μmであることが望ましい。
<正極の製造方法>
上記正極は、例えば、前述した正極活物質、導電助剤及びバインダを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を調製し(但し、バインダは溶剤に溶解していてもよい。)、これを集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理を施す工程を経て製造することができる。正極の製造方法は、上記の方法に制限されるわけではなく、他の製造方法で製造することもできる。
<正極合剤層>
上記正極合剤層においては、正極活物質の総量を92〜98重量%とし、導電助剤の量を1〜5重量%とし、バインダの量を1〜3重量%とすることが好ましい。
高負荷での放電特性を向上させるために、正極合剤層の厚みは片面あたり20〜70μmであることが好ましい。
また、正極合剤層を薄くすると、充放電時にリチウムイオンが移動する最大距離を更に短くすることが出来るため、内部抵抗が低く抑えられるからである。
また、正極集電体上の正極合剤層の総面積(正極集電体の一方の面での正極合剤層の占める面積と、他方の面での正極合剤層の占める面積の合計面積)は300〜2000cmであることが好ましく、特に500〜1600cmが好ましい。電極面積が300cmより小さくなると上述した電極厚みとのバランスから容量が低くなり、流れる電流値も小さくなるためである。正極合剤層の総面積が2000cmより大きくなると上述した正極合剤層厚みと容量とのバランスからエネルギー密度が低くなりすぎ、エネルギー密度との両立が困難となるためである。
電池容量を上述した正極合材層の総面積で除した値(本明細書では電流密度と呼ぶ)は、1.5〜3.5が好ましい。電流密度が1.5より小さいとエネルギー密度が低くなりすぎ、3.5より大きいと、高負荷充放電時の分極抵抗が大きくなり、活物質の劣化が進行しやすくなる。
〔負極〕
本発明の非水電解質二次電池に用いる負極には、例えば、負極活物質、バインダ及び必要に応じて導電助剤等を含む負極合剤層を、集電体の片面又は両面に有する構造のものが使用できる。
図2に負極の一例を示す。負極2は、長尺の負極集電体21の片面又は両面上に負極合剤層22を設けており、負極合剤層22は負極活物質、バインダ、および必要に応じて導電助剤等を溶媒に分散させた負極合剤スラリーを、負極集電体21上に塗工し乾燥させることで形成される。負極集電体21の少なくとも片面には、負極集電タブ23を配置するための負極合剤層が無い部分、すなわち未塗工部Nを設ける。未塗工部Nには負極集電タブ23を負極集電体21に電気的に接続するよう、例えば超音波溶接、抵抗溶接等の手段により配置する。
負極においても、正極と同様に中央部に設けた未塗工部に負極タブを配置すれば、抵抗を下げるのに寄与するように思える。しかし、正極合剤層の存在する部分には必ず対向する負極合剤層が必要となる。充電時に正極合剤層から離脱したリチウムイオンの受け側がなければ、負極上にリチウムが析出し、リチウムデンドライトが形成されてしまうからである。そのため正極合剤層が存在する箇所に対して面積的にマージンを持たせて対向する負極合剤層を配置する。
つまり、負極においても負極合剤層が存在しない未塗工部を負極の長さ方向中央部に設ければ、対向する箇所に負極の未塗工部よりも広い面積で正極上に未塗工部を設けなければいけなくなる(つまり正極合剤層を配置させることが出来ない範囲が広くなる)ため、電池総重量に対する容量に寄与する活物質の割合が減少し重量当たりのエネルギー密度の低下に繋がる。そのため、負極における負極集電タブは、負極の長さ方向の端部に配置することが好ましい。
負極集電タブは、1本のみを配置しても良いし、複数本配置しても良い。電池内での充放電に寄与しない部材の重量を少しでも軽くして重量エネルギー密度を向上させることが出来るので、1本のみを配置するのが好ましい。
<負極活物質>
上記負極活物質には、従来から知られている非水電解質二次電池に用いられている負極活物質、即ち、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な材料であれば特に制限はない。例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維等の、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素系材料の1種又は2種以上の混合物が負極活物質として用いられる。また、シリコン(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、インジウム(In)等の元素及びその合金、リチウム含有窒化物又はリチウム含有酸化物等のリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、もしくはリチウム金属やリチウム/アルミニウム合金も負極活物質として用いることができる。中でも、負極活物質としては、黒鉛、あるいはシリコンと酸素とを構成元素に含むSiOで表される材料と黒鉛との混合体が好ましい。
SiOは、Siの微結晶又は非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶又は非晶質相のSiを含めた比率となる。即ち、SiOには、非晶質のSiOマトリックス中に、Si(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiOと、その中に分散しているSiを合わせて、上記原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiOマトリックス中に、Siが分散した構造で、SiOとSiのモル比が1:1の材料の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の材料の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
上記SiOは、炭素材料と複合化した複合体であることが好ましく、例えば、SiOの表面が炭素材料で被覆されていることが望ましい。通常、SiOは導電性が乏しいため、これを負極活物質として用いる際には、良好な電池特性確保の観点から、導電性材料(導電助剤)を使用し、負極内におけるSiOと導電性材料との混合・分散を良好にして、優れた導電ネットワークを形成する必要がある。SiOを炭素材料と複合化した複合体であれば、例えば、単にSiOと炭素材料等の導電性材料とを混合して得られた材料を用いた場合よりも、負極における導電ネットワークが良好に形成される。
<バインダ>
上記バインダとしては、例えば、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース等の多糖類やそれらの変成体;ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリアミド等の熱可塑性樹脂やそれらの変成体;ポリイミド;エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド等のゴム状弾性を有するポリマーやそれらの変成体;などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。"
<導電助剤>
上記負極合剤層には、更に導電助剤として導電性材料を添加してもよい。このような導電性材料としては、電池内において化学変化を起こさないものであれば特に限定されず、例えば、カーボンブラック(サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等)、炭素繊維、金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀等の粉末)、金属繊維、ポリフェニレン誘導体(特開昭59−20971号公報に記載のもの)等の材料を、1種又は2種以上用いることができる。これらの中でも、カーボンブラックを用いることが好ましく、ケッチェンブラックやアセチレンブラックがより好ましい。
<集電体>
上記集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル等を用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、導電性および機械的強度を確保するために下限は5μmであることが望ましい。
<負極の製造方法>
上記負極は、例えば、前述した負極活物質及びバインダ、更には必要に応じて導電助剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)や水等の溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の負極合剤含有組成物を調製し、これを集電体の片面又は両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理を施す工程を経て製造することができる。負極の製造方法は、上記の製法に制限されるわけではなく、他の製造方法で製造することもできる。
<負極合剤層>
上記負極合剤層においては、負極活物質の総量を80〜99質量%とし、バインダの量を1〜20質量%とすることが好ましい。また、別途導電助剤として導電性材料を使用する場合には、負極合剤層におけるこれらの導電性材料は、負極活物質の総量及びバインダ量が、上記の好適値を満足する範囲で使用することが好ましい。
高負荷での放電特性を向上させるために、負極合剤層の厚みは片面あたり20〜70μmであることが好ましい。
負極合剤層を薄くすると、充放電時にリチウムイオンが移動する最大距離を短くすることが出来るため、内部抵抗が低く抑えられるからである。SiOで表される材料は負極活物質として最も一般的な黒鉛と比較して、高容量化が可能となる。その為、SiOで表される材料を負極活物質に含有させると、負極活物質の合計量を少なくすることが出来るため、負極合剤層の薄膜化が容易になる。
〔非水電解質〕
本発明の非水電解質二次電池に係る非水電解質としては、リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解液を使用できる。
上記非水電解液に用いるリチウム塩としては、溶媒中で解離してリチウムイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解等の副反応を起こしにくいものであれば特に制限はない。例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF等の無機リチウム塩、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(2≦n≦7)、LiN(RfOSO〔ここで、Rfはフルオロアルキル基〕等の有機リチウム塩等を用いることができる。
このリチウム塩の非水電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/Lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/Lとすることがより好ましい。
上記非水電解液に用いる有機溶媒としては、上記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解等の副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の鎖状カーボネート;プロピオン酸メチル等の鎖状エステル;γ−ブチロラクトン等の環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等の鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル等のニトリル類;エチレングリコールサルファイト等の亜硫酸エステル類等が挙げられ、これらは2種以上混合して用いることもできる。より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒等、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。
〔セパレータ〕
本発明に係るセパレータには、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましく、通常のリチウム二次電池などで使用されているセパレータ、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。
本発明のセパレータは、厚みが6μmより大きく20μmより小さいものが好ましい。正負極の対向電極間距離を小さくし高負荷時の充放電性能を向上させる観点から、16μmより小さいのが更に好ましく、より好ましくは14μmより小さいものである。
本発明に係るセパレータには、融点が140℃以下の樹脂を主体とした多孔質層(I)と、150℃以下の温度で溶融しない樹脂または耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含む多孔質層(II)とを有する積層型のセパレータを使用することが好ましい。ここで、「融点」とはJIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度を意味している。また、「150℃以下の温度で溶融しない」とは、JIS K 7121の規定に準じて、DSCを用いて測定される融解温度が150℃を超えているなど、前記融解温度測定時に150℃以下の温度で融解挙動を示さないことを意味している。更に、「耐熱温度が150℃以上」とは、少なくとも150℃において軟化などの変形が見られないことを意味している。
前記積層型のセパレータに係る多孔質層(I)は、主にシャットダウン機能を確保するためのものであり、リチウム二次電池が多孔質層(I)の主体となる成分である樹脂の融点以上に達したときには、多孔質層(I)に係る樹脂が溶融してセパレータの空孔を塞ぎ、電気化学反応の進行を抑制するシャットダウンを生じる。
多孔質層(I)の主体となる融点が140℃以下の樹脂としては、例えばPEが挙げられ、その形態としては、前述のリチウム二次電池に用いられる微多孔膜や、不織布などの基材にPEの粒子を含む分散液を塗布し、乾燥するなどして得られるものが挙げられる。ここで、多孔質層(I)の全構成成分中において、主体となる融点が140℃以下の樹脂の体積は、50体積%以上であり、70体積%以上であることがより好ましい。例えば、多孔質層(I)を前記PEの微多孔膜で形成する場合は、融点が140℃以下の樹脂の体積が100体積%となる。
前記積層型のセパレータに係る多孔質層(II)は、リチウム二次電池の内部温度が上昇した際にも正極と負極との直接の接触による短絡を防止する機能を備えたものであり、150℃以下の温度で溶融しない樹脂または耐熱温度が150℃以上の無機フィラーによって、その機能を確保している。すなわち、電池が高温となった場合には、喩え多孔質層(I)が収縮しても、収縮し難い多孔質層(II)によって、セパレータが熱収縮した場合に発生し得る正負極の直接の接触による短絡を防止することができる。また、この耐熱性の多孔質層(II)がセパレータの骨格として作用するため、多孔質層(I)の熱収縮、すなわちセパレータ全体の熱収縮自体も抑制できる。
多孔質層(II)を融点が150℃以上の樹脂を主体として形成する場合、例えば、150℃以下の温度で溶融しない樹脂で形成された微多孔膜(例えば、前述のPP製の電池用微多孔膜)を多孔質層(I)に積層させる形態や、150℃以下の温度で溶融しない樹脂の粒子などを含む分散液を多孔質層(I)に塗布し、乾燥して多孔質層(I)の表面に多孔質層(II)を形成する塗布積層型の形態が挙げられる。
150℃以下の温度で溶融しない樹脂としては、PP;架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体架橋物、ポリイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物などの各種架橋高分子微粒子;ポリスルフォン;ポリエーテルスルフォン;ポリフェニレンスルフィド;ポリテトラフルオロエチレン;ポリアクリロニトリル;アラミド;ポリアセタールなどが挙げられる。
150℃以下の温度で溶融しない樹脂の粒子を使用する場合、その粒径は、平均粒子径で、例えば、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、また、10μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。本明細書でいう各種粒子の平均粒子径は、前述のとおり、例えば、堀場製作所製のレーザー散乱粒度分布計「LA−920」を用い、樹脂を溶解しない媒体に、これら微粒子を分散させて測定した平均粒子径D50%である。
多孔質層(II)を耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として形成する場合、例えば、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーなどを含む分散液を、多孔質層(I)に塗布し、乾燥して多孔質層(II)を形成する塗布積層型の形態が挙げられる。
多孔質層(II)に係る無機フィラーは、耐熱温度が150℃以上で、電池の有する非水電解液に対して安定であり、更に電池の作動電圧範囲において酸化還元されにくい電気化学的に安定なものであればよいが、分散などの点から微粒子であることが好ましく、また、アルミナ、シリカ、ベーマイトが好ましい。アルミナ、シリカ、ベーマイトは、耐酸化性が高く、粒径や形状を所望の数値などに調整することが可能であるため、多孔質層(II)の空孔率を精度よく制御することが容易となる。耐熱温度が150℃以上の無機フィラーは、例えば前記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを、前述の150℃以下の温度で溶融しない樹脂と併用しても差し支えない。
多孔質層(II)に係る耐熱温度が150℃以上の無機フィラーの形状については特に制限はなく、略球状(真球状を含む。)、略楕円体状(楕円体状を含む。)、板状などの各種形状のものを使用できる。
また、多孔質層(II)に係る耐熱温度が150℃以上の無機フィラーの平均粒子径は、小さすぎるとイオンの透過性が低下することから、0.3μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。また、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーが大きすぎると、電気特性が劣化しやすくなることから、その平均粒子径は、5μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。
多孔質層(II)において、150℃以下の温度で溶融しない樹脂および耐熱温度が150℃以上の無機フィラーは、多孔質層(II)に主体として含まれるものであるため、これらの多孔質層(II)における量[多孔質層(II)が150℃以下の温度で溶融しない樹脂および耐熱温度が150℃以上の無機フィラーのうちのいずれか一方のみを含有する場合は、その量であり、両者を含有する場合は、それらの合計量。150℃以下の温度で溶融しない樹脂および耐熱温度が150℃以上の無機フィラーの多孔質層(II)における量について、以下同じ。]は、多孔質層(II)の構成成分の全体積中、50体積%以上であり、70体積%以上であることが好ましく、80体積%以上であることがより好ましく、90体積%以上であることが更に好ましい。多孔質層(II)中の耐熱材料を前記のように高含有量とすることで、リチウム二次電池が高温となった際にも、セパレータ全体の熱収縮を良好に抑制することができ、正極と負極との直接の接触による短絡の発生をより良好に抑制することができる。
後述するように、多孔質層(II)には有機バインダも含有させることが好ましいため、150℃以下の温度で溶融しない樹脂および耐熱温度が150℃以上の無機フィラーの多孔質層(II)における量は、多孔質層(II)の構成成分の全体積中、99.5体積%以下であることが好ましい。
多孔質層(II)には、150℃以下の温度で溶融しない樹脂または耐熱温度が150℃以上の無機フィラー同士を結着したり、多孔質層(II)と多孔質層(I)との一体化などのために、有機バインダを含有させることが好ましい。有機バインダとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA、酢酸ビニル由来の構造単位が20〜35モル%のもの)、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、SBR、CMC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられるが、特に、150℃以上の耐熱温度を有する耐熱性のバインダが好ましく用いられる。有機バインダは、前記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記例示の有機バインダの中でも、EVA、エチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、SBRなどの柔軟性の高いバインダが好ましい。このような柔軟性の高い有機バインダの具体例としては、三井デュポンポリケミカル社のEVA「エバフレックスシリーズ」、日本ユニカー社のEVA、三井デュポンポリケミカル社のエチレン−アクリル酸共重合体「エバフレックス−EEAシリーズ」、日本ユニカー社のEEA、ダイキン工業社のフッ素ゴム「ダイエルラテックスシリーズ」、JSR社のSBR「TRD−2001」、日本ゼオン社のSBR「BM−400B」などがある。
前記有機バインダを多孔質層(II)に使用する場合には、後述する多孔質層(II)形成用の組成物の溶媒に溶解させるか、または分散させたエマルジョンの形態で用いればよい。
前記塗布積層型のセパレータは、例えば、150℃以下の温度で溶融しない樹脂の粒子や耐熱温度が150℃以上の無機フィラーなどを含有する多孔質層(II)形成用組成物(スラリーなどの液状組成物など)を、多孔質層(I)を構成するための微多孔膜の表面に塗布し、所定の温度で乾燥して多孔質層(II)を形成することにより製造することができる。
多孔質層(II)形成用組成物は、150℃以下の温度で溶融しない樹脂の粒子および/または耐熱温度が150℃以上の無機フィラーの他、必要に応じて有機バインダなどを含有し、これらを溶媒(分散媒を含む。以下同じ。)に分散させたものである。有機バインダについては溶媒に溶解させることもできる。多孔質層(II)形成用組成物に用いられる溶媒は、150℃以下の温度で溶融しない樹脂の粒子や無機フィラーなどを均一に分散でき、また、有機バインダを均一に溶解または分散できるものであればよいが、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフランなどのフラン類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;など、一般的な有機溶媒が好適に用いられる。これらの溶媒に、界面張力を制御する目的で、アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、または、モノメチルアセテートなどの各種プロピレンオキサイド系グリコールエーテルなどを適宜添加してもよい。また、有機バインダが水溶性である場合、エマルジョンとして使用する場合などでは、水を溶媒としてもよく、この際にもアルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)を適宜加えて界面張力を制御することもできる。
多孔質層(II)形成用組成物は、150℃以下の温度で溶融しない樹脂の粒子および/または耐熱温度が150℃以上の無機フィラー、更には有機バインダなどを含む固形分含量を、例えば10〜80質量%とすることが好ましい。
前記積層型のセパレータにおいて、多孔質層(I)と多孔質層(II)とは、それぞれ1層ずつである必要はなく、複数の層がセパレータ中にあってもよい。例えば、多孔質層(II)の両面に多孔質層(I)を配置した構成としたり、多孔質層(I)の両面に多孔質層(II)を配置した構成としてもよい。但し、層数を増やすことで、セパレータの厚みを増やして電池の内部抵抗の増加やエネルギー密度の低下を招く虞があるので、層数を多くしすぎるのは好ましくなく、前記積層型のセパレータ中の多孔質層(I)と多孔質層(II)との合計層数は5層以下であることが好ましい。
本発明によりセパレータ全体の厚みを薄くすることが出来ることは上述した通りであるが、前記積層型セパレータを用いる場合においては、熱収縮を抑える作用が非常に高いため、更にセパレータの厚みを薄くすることが可能となる。
具体的には、多孔質層(I)の厚みが5〜14μm、多孔質層(II)の厚みが1〜5μmとすることができ、厚みの合計は6〜15μmとすることが出来る。
これにより、更にセパレータの全体の厚みを薄くすることが可能になり、正負極間距離を短くすることができるので、電池の内部抵抗を低く抑えることができる。
セパレータ全体の空孔率としては、電解液の保液量を確保してイオン透過性を良好にするために、乾燥した状態で、30%以上であることが好ましい。一方、セパレータ強度の確保と内部短絡の防止の観点から、セパレータの空孔率は、乾燥した状態で、70%以下であることが好ましい。セパレータの空孔率:P(%)は、セパレータの厚み、面積あたりの質量、構成成分の密度から、下記式(1)を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算できる。
P={1−m/(Σaiρi×t)}×100 (1)
ここで、前記式(1)中、ai:質量%で表した成分iの比率、ρi:成分iの密度(g/cm)、m:セパレータの単位面積あたりの質量(g/cm)、t:セパレータの厚み(cm)である。
また、前記積層型のセパレータの場合、前記式(1)において、mを多孔質層(I)の単位面積あたりの質量(g/cm)とし、tを多孔質層(I)の厚み(cm)とすることで、前記式(1)を用いて多孔質層(I)の空孔率:P(%)を求めることもできる。この方法により求められる多孔質層(I)の空孔率は、30〜70%であることが好ましい。
更に、前記積層型のセパレータの場合、前記式(1)において、mを多孔質層(II)の単位面積あたりの質量(g/cm)とし、tを多孔質層(II)の厚み(cm)とすることで、前記式(1)を用いて多孔質層(II)の空孔率:P(%)を求めることもできる。この方法により求められる多孔質層(II)の空孔率は、20〜60%であることが好ましい。
前記セパレータとしては、機械的な強度の高いものが好ましく、例えば突き刺し強度が3N以上であることが好ましい。例えば、充放電に伴う体積変化の大きなSiOを負極活物質に使用した場合、充放電を繰り返すことで、負極全体の伸縮によって、対面させたセパレータにも機械的なダメージが加わることになる。セパレータの突き刺し強度が3N以上であれば、良好な機械的強度が確保され、セパレータの受ける機械的ダメージを緩和することができる。
突き刺し強度が3N以上のセパレータとしては、前述した積層型のセパレータが挙げられ、特に、融点が140℃以下の樹脂を主体とした多孔質層(I)に、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含む多孔質層(II)を積層したセパレータが好適である。それは、前記無機フィラーの機械的強度が高いため、多孔質層(I)の機械的強度を補って、セパレータ全体の機械的強度を高めることができるからであると考えられる。
前記突き刺し強度は以下の方法で測定できる。直径2インチの穴があいた板上にセパレータをしわやたわみのないように固定し、先端の直径が1.0mmの半円球状の金属ピンを、120mm/分の速度で測定試料に降下させて、セパレータに穴があく時の力を5回測定する。そして、前記5回の測定値のうち最大値と最小値とを除く3回の測定について平均値を求め、これをセパレータの突き刺し強度とする。
前記の正極と前記の負極と前記のセパレータとは、正極と負極との間にセパレータを介在させて重ねた積層電極体や、更にこれを渦巻状に巻回した巻回電極体の形態で本発明の第1のリチウム二次電池に使用することができる。
前記の積層電極体や巻回電極体においては、前記積層型のセパレータ、特に融点が140℃以下の樹脂を主体とした多孔質層(I)に、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含む多孔質層(II)を積層したセパレータを使用する場合、多孔質層(II)が少なくとも正極と面するように配置することが好ましい。この場合、耐熱温度が150℃以上の無機フィラーを主体として含み、より耐酸化性に優れる多孔質層(II)が正極と面することで、正極によるセパレータの酸化をより良好に抑制できるため、電池の高温時の保存特性や充放電サイクル特性を高めることもできる。また、VCやシクロヘキシルベンゼンなど、非水電解液中に添加物を加えた場合、正極側で皮膜形成してセパレータの細孔を詰まらせ、電池特性の低下を引き起こす虞もある。そこで、比較的ポーラスな多孔質層(II)を正極に対面させることで、細孔の目詰まりを抑制する効果も期待できる。
本発明の非水電解質二次電池は、従来の非水電解質二次電池と同様に充電の上限電圧を4.2V程度として使用することもできるが、充電の上限電圧を、これよりも高い4.3V以上に設定して使用することも可能であり、これにより高容量化を図りつつ、長期にわたって繰り返し使用しても、安定して優れた特性を発揮することが可能である。なお、非水電解質二次電池の充電の上限電圧は、4.7V以下であることが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池は、従来から知られている非水電解質二次電池と同様の用途に適用することができる。本発明は特に、高負荷で用いられるような、例えば産業用ロボットやドローン等、高いエネルギー密度と高負荷での充放電特性の両立が求められる用途に適用することが好ましい。
実施例1
<正極の作製>
Li含有化合物であるLiCOと、Co含有化合物であるCoと、Mg含有化合物であるMg(OH)と、Zr化合物であるZrOと、Al含有化合物であるAl(OH)とを適正な混合割合で乳鉢に入れて混合した後、ペレット状に固め、マッフル炉を用いて、大気雰囲気中(大気圧下)で、950℃で24時間焼成し、ICP(Inductive Coupled Plasma)法で求めた組成式がLiCo0.9795Mg0.011Zr0.0005Al0.009のコバルト酸リチウム(A1)を合成した。
次に、pHを10とし、温度を70℃とした水酸化リチウム水溶液:200g中に、前記コバルト酸リチウム(A1):10gを投入し、攪拌して分散させた後、ここにAl(NO・9HO:0.0154gと、pHの変動を抑えるためのアンモニア水とを、5時間かけて滴下して、Al(OH)共沈物を生成させ、前記コバルト酸リチウム(A1)の表面に付着させた。その後、この反応液からAl(OH)共沈物が付着した前記コバルト酸リチウム(A1)を取り出し、洗浄後、乾燥させた後に、大気雰囲気中で、400℃の温度で10時間熱処理することで、前記コバルト酸リチウム(A1)の表面にAl含有酸化物の被膜を形成して、正極材料(a1)を得た。
得られた正極材料(a1)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、27μmであった。
Li含有化合物であるLiCOと、Co含有化合物であるCoと、Mg含有化合物であるMg(OH)と、Al含有化合物であるAl(OH)とを適正な混合割合で乳鉢に入れて混合した後、ペレット状に固め、マッフル炉を用いて、大気雰囲気中(大気圧下)で、950℃で4時間焼成し、ICP法で求めた組成式がLiCo0.97Mg0.012Al0.009のコバルト酸リチウム(B1)を合成した。
次に、pHを10とし、温度を70℃とした水酸化リチウム水溶液:200中gに、前記コバルト酸リチウム(B1):10gを投入し、攪拌して分散させた後、ここにAl(NO・9HO:0.077gと、pHの変動を抑えるためのアンモニア水とを、5時間かけて滴下して、Al(OH)共沈物を生成させ、前記コバルト酸リチウム(B1)の表面に付着させた。その後、この反応液からAl(OH)共沈物が付着した前記コバルト酸リチウム(B1)を取り出し、洗浄後、乾燥させた後に、大気雰囲気中で、400℃の温度で10時間熱処理することで、前記コバルト酸リチウム(B1)の表面にAl含有酸化物の被膜を形成して、正極材料(b1)を得た。
得られた正極材料(b1)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、7μmであった。
そして、正極材料(a1)と正極材料(b1)とを、質量比で85:15の割合で混合して、電池作製用の正極材料(1)を得た。得られた正極材料(1)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、30nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がAlであった。更に、正極材料(1)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(a1)および正極材料(b1)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。
上記のように作製した正極材料100質量部と、バインダであるPVDFを10質量%の濃度で含むNMP溶液20質量部と、導電助剤である人造黒鉛1質量部およびケッチェンブラック1質量部とを、二軸混練機を用いて混練し、更にNMPを加えて粘度を調節して、正極合剤含有ペーストを調製した。
前記正極合剤含有ペーストを、図1に示すように厚みが12μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面および一部片面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、アルミニウム箔の両面に正極合剤層を形成した。その後、プレス処理を行って、正極合剤層の厚さおよび密度を調節した。得られた正極における正極合剤層は、両面の厚みが79μmであった。図1に示すように、中央部のアルミニウム箔露出部(未塗工部)にアルミニウム製の正極集電タブ(幅5mm、厚み0.08mm、断面積0.4mm)を溶接することで、正極集電タブを有する長さ1000mm、幅52mmの帯状の正極を作製した。この時の正極集電タブ位置は、S〜Eの距離が960mm、S〜Tの距離が512mm(S〜Eの距離の53%)であった。
<負極の作製>
負極活物質である平均粒子径D50%が16μmである黒鉛:97.5質量部と、バインダであるSBR:1.5質量部と、増粘剤であるCMC:1質量部とに、水を加えて混合し、負極合剤含有ペーストを調製した。
前記負極合剤含有ペーストを、図2に示すように厚みが8μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、銅箔の両面および一部片面に負極合剤層を形成した。その後、プレス処理を行って、負極合剤層の厚さおよび密度を調節し、図2に示すように銅箔の露出部にニッケル製の負極集電タブを溶接して、長さ980mm、幅53mmの帯状の負極を作製した。得られた負極における負極合剤層は、両面の厚みが92μmであった。
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの体積比3:7の混合溶媒に、LiPFを1.1mol/Lの濃度で溶解させ、ビニレンカーボネート2質量%とフルオロエチレンカーボネート2質量%を、それぞれ添加して非水電解質を調製した。
<セパレータの作製>
板状ベーマイト(平均粒径1μm、アスペクト比10)5kgに、イオン交換水5kgと、分散剤(水系ポリカルボン酸アンモニウム塩、固形分濃度40質量%)0.5kgとを加え、内容積20L、転回数40回/分のボールミルで10時間解砕処理をして分散液を調製した。処理後の分散液の一部を120℃で真空乾燥し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、ベーマイトの形状はほぼ板状であった。また、処理後のベーマイトの平均粒子径は1μmであった。
上記分散液500gに、増粘剤としてキサンタンガムを0.5g、バインダとして樹脂バインダーディスパージョン(変性ポリブチルアクリレート、固形分含量45質量%)を17g加え、スリーワンモーターで3時間攪拌して均一な多孔質層(II)形成用スラリー(固形分比率50質量%)を調製した。
多孔質層(I)であるPE製の微多孔膜(厚み10μm、空孔率40%、平均孔径0.08μm、PEの融点135℃)の片面にコロナ放電処理(放電量40W・分/m)を施し、この処理面に上記多孔質層(II)形成用スラリーをマイクログラビアコーターによって塗布し、乾燥して厚みが2μmの多孔質層(II)をセパレータ上の片面に形成して、積層型セパレータを作製した。
<電池の組み立て>
前記帯状の正極を、上記積層型セパレータ(空孔率:42%)を介して前記帯状の負極に重ね、負極集電タブが巻回体の内周側となるように渦巻状に巻回した後、扁平形状になるように加圧して扁平状巻回構造の巻回電極体とし、この電極巻回体をポリプロピレン製の絶縁テープで固定した。この時の電極体の幅広面寸法は幅方向(巻回軸方向と垂直方向)45mm,高さ方向(巻回軸方向と平行方向)56mmであった。
次に、外寸が厚さ5.1mm、幅47mm、高さ58mmのアルミニウム合金製の角形缶に前記巻回電極体を挿入し、それぞれ集電タブの溶接を行うとともに、アルミニウム合金製の蓋板を角形缶の開口端部に溶接した。その後、蓋板に設けた注入口から前記非水電解質を注入し、注入口を封止して、図3に示す外観の非水電解質二次電池100を得た。
非水電解質二次電池100は、外装缶111と蓋板121を有し、これらは正極端子を兼ねている。外装缶111は一対の側面部112と一対の幅広面113と底面からなる。幅広面113は、電池の内圧が上昇した際に防爆機構として作動する開裂溝114を有している。蓋体121は外装缶111の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、外装缶111の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。蓋体121に非水電解液注入口が設けられており、この非水電解液注入口には、封止部材122が挿入された状態で、例えばレーザー溶接などにより溶接封止されて、電池の密閉性が確保されている。蓋体121にはPP製の絶縁パッキング124を介してステンレス鋼製の端子123が取り付けられ、この端子123は電池内部で絶縁体を介してリード板が取り付けられている。
図示していないが、正極集電タブは蓋体121に直接溶接することによって外装缶111と蓋体121とが正極端子として機能し、負極集電タブは電池内部のリード板に溶接し、そのリード板を介して端子123とを導通させることによって端子123が負極端子として機能するようになっている。
実施例2
Al(NO・9HOの使用量を0.0026gに変更した以外は、正極材料(a1)と同じ方法で正極材料(a2)を作製した。得られた正極材料(a2)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、27μmであった。
また、Al(NO・9HOの使用量を0.013gに変更した以外は、正極材料(b1)と同じ方法で正極材料(b2)を作製した。得られた正極材料(b2)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、7μmであった。
次に、正極材料(a2)と正極材料(b2)とを、質量比で85:15の割合で混合して、電池作製用の正極材料(2)を得た。得られた正極材料(2)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、5nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がAlであった。更に、正極材料(2)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(a2)および正極材料(b2)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(2)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例3
Al(NO・9HOの使用量を0.0256gに変更した以外は、正極材料(a1)と同じ方法で正極材料(a3)を作製した。得られた正極材料(a3)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、27μmであった。
また、Al(NO・9HOの使用量を0.128gに変更した以外は、正極材料(b1)と同じ方法で正極材料(b3)を作製した。得られた正極材料(b3)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、7μmであった。
次に、正極材料(a3)と正極材料(b3)とを、質量比で85:15の割合で混合して、電池作製用の正極材料(3)を得た。得られた正極材料(3)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、50nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がAlであった。更に、正極材料(3)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(a3)および正極材料(b3)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(3)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例4
正極材料(1)とニッケル酸リチウム(組成式LiNi0.85Co0.120Mg0.01Al0.02)との質量比80:20の混合物:96.5質量部と、バインダであるPVDFを10質量%の濃度で含むNMP溶液:20質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:1.5質量部とを、二軸混練機を用いて混練し、更にNMPを加えて粘度を調節して、正極合剤含有ペーストを調製した。
前記の正極合剤含有ペーストを用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例5
正極合剤層の両面の厚みを65μmとし、正極長さを1175mmとした。この時の正極集電タブ位置は、S〜Eの距離が1135mm、S〜Tの距離が591mm(S〜Eの距離の52%)であった。これら以外は実施例1と同様にして正極作製した。
負極合剤層の両面の厚みを75μmとし、負極長さを1150mmとした。これら以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
この正極と負極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例6
正極合剤層の両面の厚みを114μmとし、正極長さを735mmとした。この時の正極集電タブ位置は、S〜Eの距離が693mm、S〜Tの距離が340mm(S〜Eの距離の49%)であった。これら以外は実施例1と同様にして正極作製した。
負極合剤層両面の厚みを135μmとし、負極長さを710mmとした。これら以外は実施例1と同様にして負極を作製した。
この正極と負極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例7
<セパレータの作製>
多孔質層(I)であるPE製の微多孔膜(厚み12μm、空孔率40%、平均孔径0.08μm、PEの融点135℃)の片面にコロナ放電処理(放電量40W・分/m)を施し、この処理面に上記多孔質層(II)形成用スラリーをマイクログラビアコーターによって塗布し、乾燥して厚みが4μmの多孔質層(II)をセパレータ上の片面に形成して、積層型セパレータを作製した。
このセパレータを用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
比較例1
Al含有酸化物による被覆を行わなかった以外は正極材料(a1)と同様にして正極材料(c1)を作製した。また、Al含有酸化物による被覆を行わなかった以外は正極材料(b1)と同様にして正極材料(d1)を作製した。正極材料(c1)および正極材料(d1)の平均粒子径は、それぞれ、27μm、7μmであった。
次に、正極材料(c1)と正極材料(d1)とを、質量比で85:15の割合で混合して、電池作製用の正極材料(4)を得た。得られた正極材料(4)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(c1)および正極材料(d1)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(4)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
比較例2
Al(NO・9HOの使用量を0.0513gに変更した以外は、正極材料(a1)と同じ方法で正極材料(c2)を作製した。得られた正極材料(c2)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、27μmであった。
また、Al(NO・9HOの使用量を0.257gに変更した以外は、正極材料(b1)と同じ方法で正極材料(d2)を作製した。得られた正極材料(d2)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、7μmであった。
次に、正極材料(c2)と正極材料(d2)とを、質量比で85:15の割合で混合して、電池作製用の正極材料(5)を得た。得られた正極材料(5)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、100nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がAlであった。更に、正極材料(5)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(c2)および正極材料(d2)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(5)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にして角形非水二次電池を作製した。
比較例3
実施例1と同様にして作製した正極合剤含有ペーストを、図4に示すように厚みが12μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面および一部片面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、アルミニウム箔の両面に正極合剤層を形成した。その後、プレス処理を行って、正極合剤層の厚さおよび密度を調節した。得られた正極における正極合剤層は、両面部の厚みが79μmであった。図4に示すように、集電体の長さ方向の端部にアルミニウム箔露出部(未塗工部)にアルミニウム製の正極集電タブ(幅5mm、厚み0.08mm、断面積0.4mm)を溶接することで、正極集電タブを有する長さ1000mm、幅52mmの帯状の正極を作製した。
この正極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
比較例4
実施例1と同様にして作製した負極合剤含有ペーストを、図5に示すように厚みが8μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、銅箔の両面および一部片面に負極合剤層を形成した。その後、プレス処理を行って、負極合剤層の厚さおよび密度を調節し、図5に示すように、負極集電体の長さ方向中央部に銅箔の露出部(未塗工部)にニッケル製の負極集電タブを溶接して、長さ980mm、幅53mmの帯状の負極を作製した。得られた負極における負極合剤層は、両面の厚みが92μmであった。また、実施例1と同様にして作製した正極合剤含有ペーストを、正極合剤層が存在する箇所に対して面積的にマージンを持たせて対向する負極合剤層を配置するため、負極集電体の長さ方向中央部に負極の未塗工部を設け、これに対向する箇所に正極合剤層が存在しない正極の未塗工部を負極の未塗工部よりも広く設けて、厚みが12μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面および一部片面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、アルミニウム箔の両面に正極合剤層を形成した。その後、プレス処理を行って、正極合剤層の厚さおよび密度を調節した。得られた正極における正極合剤層は、両面部の厚みが79μmであった。
この正極と負極を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例、比較例で作製したそれぞれの電池を、以下の評価方法で評価した。表1には実施例比較例ぞれぞれの電池の構成を示し、表2にはそれぞれの評価結果を示す。
<1C放電時の電池容量>
1Cの電流値で2.75Vまで定電流(以下CCと記す)放電することで、一度完全に放電された状態にした。次に4.35Vまで定電流定電圧(以下CCCVと記す)充電を行った。CC充電の電流値は1Cとし、充電終止電流値は0.05Cとした。続いて1Cの電流値で2.75VまでCC放電を行い、その時の放電容量を測定した。なお、横軸を放電容量、縦軸を放電電圧で放電カーブを描いたときの、放電開始から放電終了までの放電カーブの積分値を電池重量で除した値を重量当たりのエネルギー密度とした。
<5C放電時の電池表面温度>
1Cの電流値で2.75VまでCC放電することで、一度完全に放電された状態にした。次に4.35VまでCCCV充電を行った。CC充電の電流値は1Cとし、充電終止電流値は0.05Cとした。続いて5Cの電流値で2.75VまでCC放電を行い、その際の電池の表面温度を測定した。
<5C放電500サイクル後1C放電時の容量維持率>
1Cの電流値で2.75Vまで定電流(以下CCと記す)放電することで、一度完全に放電された状態にした。次に4.35Vまで定電流定電圧(以下CCCVと記す)充電を行った。CC充電の電流値は1Cとし、充電終止電流値は0.05Cとした。続いて1Cの電流値で2.75VまでCC放電を行い、この時の容量を初回放電容量とした。次に4.35VまでCCCV充電を行った。CC充電の電流値は1Cとし、充電終止電流値は0.05Cとした。続いて5Cの電流値で2.75VまでCC放電を行った。この充放電条件を1サイクルとし、500サイクル繰り返した。その後、4.35Vまで定電流定電圧(以下CCCVと記す)充電を行った。CC充電の電流値は1Cとし、充電終止電流値は0.05Cとした。続いて1Cの電流値で2.75VまでCC放電を行い、その時の放電容量を500サイクル後の放電容量とした。表2では各実施例比較例の容量維持率を、500サイクル後の放電容量を初回放電容量で除した値を百分率で示す。






















Figure 0006734059























Figure 0006734059
この発明は、非水電解質二次電池に適用される。
1 正極
13 正極集電タブ
N 未塗工部
C 中央部
2 負極
23 負極集電タブ
100 非水電解質二次電池

Claims (8)

  1. 正極、負極、セパレータおよび非水電解液を有する非水電解質二次電池であって、
    前記正極は、正極集電体上に、正極活物質を含む正極合剤層を塗工されおり、
    前記正極活物質は、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルトアルミ含有複合酸化物、およびニッケルマンガンコバルト含有複合酸化物からなる群から選択される少なくとも1種であり、
    前記正極活物質の粒子の表面がAl含有酸化物で被覆されてなる正極材料を用いており、
    前記Al含有酸化物の平均被覆厚みが5〜50nmであり、
    前記正極と前記負極は、それぞれ正極集電タブ、負極集電タブを有し、前記セパレータを介して積層されて渦巻き状に巻回されており、
    前記正極集電タブは、前記正極の長さ方向における前記正極合剤層の一方の端から他方の端までの間の距離の30〜70%の位置に配置されており、
    前記負極集電タブは、前記負極の長さ方向の端部に配置されていることを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 前記正極集電タブは、前記正極集電体上に前記正極合剤層が塗工されていない未塗工部に配置されている請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記正極材料が含有する正極活物質は、Co、およびMgと、Ni、Mn、TiおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種の元素Mとを少なくとも含有するコバルト酸リチウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記正極は、NiおよびCoと、Mg、Mn、Ba、W、Ti、Zr、MoおよびAlよりなる群から選択される元素M2とを含有するニッケル酸リチウムを、前記正極材料と共に用いたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記正極集電タブは、前記正極の長さ方向の中央部にある前記正極活物質の未塗工部に1本のみ配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  6. 前記負極集電タブは、前記負極の長さ方向の端部に1本のみ配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  7. 前記正極合剤層の全厚みが60〜120μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
  8. 負極合剤層の全厚みが70〜130μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
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