JP6731151B2 - リチウム二次電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム二次電池の製造方法に関する。
リチウム二次電池では、正極における非水電解液の酸化分解を抑制する目的等で、非水電解液に耐酸化性の高い(酸化電位の高い)フッ素含有非水溶媒を含ませることがある。しかしながら、耐酸化性の高いフッ素含有非水溶媒は、その背反として耐還元性が低い傾向にある。そこで、負極における非水電解液の還元分解を抑制することが必要となる。
負極の耐還元性を向上する技術としては、皮膜形成剤や支持塩として、非水電解液にリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を含ませることが知られている(特許文献1〜3参照)。LiBOBを含む電池では、初回の充放電時にLiBOBが電気的に分解される。そして、負極の表面にLiBOBの分解物を含んだ皮膜が形成される。この皮膜によって、負極の耐還元性が向上し、非水電解液の還元分解が抑制される。
特開2014−239055号公報 特開2005−259592号公報 特開2015−011969号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、フッ素含有非水溶媒を用いた電池では、LiBOBを含有することによる耐還元性向上の効果がうまく発揮されない問題があった。
すなわち、LiBOBはフッ素含有非水溶媒に対する溶解度が低い。このため、フッ素含有非水溶媒に飽和溶解度までのLiBOBを含ませた電池では、負極に形成される皮膜の量が不十分になり、耐還元性向上の効果が小さくなる。また、フッ素含有非水溶媒に溶解度を超える量のLiBOBを含ませた電池では、溶け残ったLiBOBが電池ケースの下方に沈降する。これにより、重力方向の上側と下側とでLiBOBの分布に偏りが生じ、皮膜の形成ムラが生じる。その結果、負極の耐還元性が局所的に低下したり、充放電反応にバラつきが生じたりして、電池特性が低下する問題がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、負極における皮膜の形成ムラが低減され、耐還元性が向上したリチウム二次電池の製造方法を提供することにある。
本発明により、正極と負極と非水電解液とを電池ケースに収容して、組立体を構築する構築工程、ここで、上記非水電解液は、フッ素含有非水溶媒と、上記フッ素含有非水溶媒に対する溶解度を超える量のリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)と、を含有する、および、上記組立体を充放電する初回充放電工程、を包含する、リチウム二次電池の製造方法が提供される。上記初回充放電工程では、上記負極の電位が上記リチウムビスオキサレートボレートの還元電位以下である第1の電位になるまで上記組立体を充電し、上記第1の電位で0.5時間以上5時間以下の時間保持する充電工程と、上記負極の電位が上記リチウムビスオキサレートボレートの還元電位よりも高い第2の電位になるまで上記組立体を放電し、上記第2の電位で0.5時間以上5時間以下の時間保持する放電工程と、を複数回繰り返す。
かかる製造方法によれば、充電工程において、負極の電位がLiBOBの還元電位に達することで、LiBOBが還元分解され、負極の表面にLiBOBの分解物を含んだ皮膜が形成される。これにより、非水電解液中のLiBOBが消費される。また、放電工程において、溶解度を超えて溶け残っていた分のLiBOBが非水電解液中に溶解される。このとき負極の電位はLiBOBの還元電位よりも高いため、LiBOBは、負極で還元分解(消費)されずに、濃度勾配によって重力方向に拡散される。この充電工程と放電工程とを交互に繰り返し行うことにより、負極にLiBOBが行き渡った状態で、複数回に分けてLiBOBを還元分解することができる。その結果、負極の表面に十分な量の皮膜が均質に形成された耐還元性の高いリチウム二次電池を実現することができる。
負極におけるホウ素(B)の分布を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、本明細書において「電位」とは、金属リチウム基準の電位(V(vs. Li/Li+))をいうものとする。また、本明細書において、「A〜B(ただし、A,Bは任意の値)」とは、A,Bの値(下限値および上限値)を包含するものとする。
本実施形態の製造方法は、(ステップ1)組立体の構築工程と、(ステップ2)初回充放電工程と、を包含する。以下、各工程について順に説明する。
≪ステップ1;組立体の構築工程≫
本工程は、典型的には、(ステップ1a)電極体の用意工程と、(ステップ1b)収容工程と、を包含する。
(ステップ1a)電極体の用意工程では、正極と負極とを備える電極体を用意する。電極体は、正極と負極とを絶縁した状態で積層することによって作製し得る。正極と負極との絶縁には、例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の樹脂製のセパレータを用いることができる。
正極は、典型的には、正極集電体と、正極集電体上に固着された正極活物質層とを備えている。正極集電体としては、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム)からなる導電性部材が好適である。
正極活物質層は、正極活物質を含んでいる。正極活物質は、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物を含んでいる。正極活物質は、リチウム二次電池の作動電圧の範囲内において、4.5V(vs. Li/Li+)以上の作動上限電位を有する高電位材料を含むことが好ましい。正極活物質の作動上限電位(vs. Li/Li+)は、例えば4.7V以上であって、典型的には5.5V以下、例えば5.3V以下であるとよい。これにより、高エネルギー密度の電池を安定的に実現することができる。このような高電位材料の一好適例として、LiNi0.5Mn1.5等のスピネル構造のリチウムニッケルマンガン系複合酸化物が挙げられる。正極活物質は、平均粒径(レーザー回折・光散乱法に基づく体積基準のD50値。以下同じ。)が、概ね1〜20μm、例えば5〜10μm程度であるとよい。
正極活物質層は、正極活物質以外の成分、例えば、導電材、バインダ、無機リン酸化合物等を含んでもよい。導電材としては、例えば、アセチレンブラック等の炭素材料が例示される。バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂が例示される。無機リン酸化合物としては、例えば、LiPO等のアルカリ金属元素を含むリン酸塩が例示される。
負極は、典型的には、負極集電体と、負極集電体上に固着された負極活物質層とを備えている。負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば銅)からなる導電性材料が好適である。
負極活物質層は、負極活物質を含んでいる。負極活物質は、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、非晶質コート黒鉛等の黒鉛系炭素を含んでいる。黒鉛系炭素は、黒鉛の占める割合が概ね50質量%以上、典型的には80質量%以上である。負極活物質は、典型的には正極活物質よりも平均粒径が大きく、概ね2〜50μm、例えば5〜20μm程度であるとよい。
負極活物質層は、負極活物質以外の成分、例えば、増粘剤やバインダ等を含んでもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース類が例示される。バインダとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類や、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂が例示される。
好適な一態様において、電極体は、帯状の正極シートと帯状の負極シートとを、帯状のセパレータシートを介して重ね合わせ、長尺方向に捲回してなる捲回電極体である。捲回電極体では、非水電解液の浸透(含浸)が、概ね捲回方向に直交する幅方向の側面(端部)に限定される。つまり、負極活物質層の面積に対して、非水電解液の出入りする間口の領域が狭い。そのため、捲回電極体の重力方向のみならず、幅方向にも皮膜の形成ムラが生じ易い。したがって、ここに開示される技術の適用がとりわけ効果的である。
(ステップ1b)収容工程では、上記用意した電極体と、非水電解液とを、電池ケースの内部に収容する。非水電解液は、典型的には電池の使用環境下(例えば−20〜+60℃の温度環境下)で液状を呈する。電池ケースの材質としては、比較的軽量な金属(例えば、アルミニウム)が好適である。ここに開示される技術において、非水電解液は、フッ素含有非水溶媒と、リチウムビスオキサレートボレート(Li[B(C];LiBOB)と、を含んでいる。
フッ素含有非水溶媒は、フッ素原子を含んだ耐酸化性の高い(酸化電位の高い)非水溶媒である。フッ素含有非水溶媒の一好適例として、カーボネート類、エーテル類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等のフッ素化物が挙げられる。なかでも、フッ素化カーボネート、例えば、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)等のフッ素化環状カーボネートや、メチル(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート(MTFEC)等のフッ素化鎖状カーボネートが好適である。フッ素含有非水溶媒を用いることにより、正極活物質として作動上限電位の高い高電位材料を使用する場合にあっても、正極における非水電解液の酸化分解をより良く抑制することができる。
好適な一態様において、フッ素化環状カーボネートとフッ素化鎖状カーボネートとの混合比は、体積基準で20:80〜40:60である。
LiBOBは、負極の表面に皮膜を形成する、所謂、皮膜形成剤として機能する。LiBOBは、中心原子としてのホウ素(B)に2つのシュウ酸イオン(C 2−)が配位した4配位の構造を有する化合物である。
ここに開示される技術において、非水電解液中には、フッ素含有非水溶媒に対する溶解度を超える量のLiBOBが含まれている。言い換えれば、LiBOBの一部はフッ素含有非水溶媒に溶けきらずに、未溶解のまま固体状で非水電解液の下方に沈降している。なお、「溶解度」とは、常温(典型的には25℃)において、フッ素含有非水溶媒に可溶なLiBOBの最大溶解量をいう。溶解度を超える量のLiBOBを非水電解液に含ませることで、負極の表面に十分な量の皮膜を形成することができる。
LiBOBの濃度は、フッ素含有非水溶媒に対する溶解度よりも大きければよく特に限定されないが、典型的には溶解度の概ね10倍以上、好ましくは50倍以上、例えば100倍以上であるとよい。これにより、ここに開示される技術の効果をより効果的に発揮することができる。また、コストとの兼ね合い等から、LiBOBの濃度は、フッ素含有非水溶媒に対する溶解度の概ね500倍以下、典型的には200倍以下、例えば150倍以下であるとよい。より具体的には、LiBOBの濃度は、典型的には0.05mol/L以上、例えば0.1mol/L以上であって、概ね0.5mol/L以下、例えば0.3mol/L以下であるとよい。
なお、非水電解液は、フッ素含有非水溶媒とLiBOB以外の成分、例えば、支持塩や各種添加剤を含んでもよい。支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF等のLiBOB以外のリチウム塩が例示される。支持塩は、非水溶媒中で解離して電荷担体を生成する。支持塩の濃度は、典型的には皮膜形成剤としてのLiBOBの濃度よりも高く、概ね0.7〜1.3mol/L、例えば0.9〜1.1mol/Lであるとよい。支持塩の濃度は、皮膜形成剤としてのLiBOBの濃度の概ね2倍以上、例えば5倍以上であって、概ね10倍以下であるとよい。各種添加剤としては、LiBOB以外の皮膜形成剤や、過充電ガス発生剤等が例示される。
≪ステップ2;初回充放電工程≫
ここに開示される技術において、本工程は、(ステップ2a)充電工程と、(ステップ2b)放電工程とを、交互に繰り返す。充電工程と放電工程とを繰り返す回数は、2回以上の複数回であればよい。ここに開示される技術の効果をより良く発揮する観点と、作業効率を向上させる観点との兼ね合いからは、充電工程と放電工程とを繰り返す回数を、概ね2〜100回、典型的には3〜50回、例えば4〜40回程度とするとよい。
なお、本工程は典型的には常温(典型的には25℃)の温度環境下で行われるが、例えば全部あるいは一部の工程において温度を異ならせることもできる。例えば、全部あるいは一部の工程を、40℃以上(例えば40〜60℃)の温度環境下で行うこともできる。また、充電工程と放電工程とは必ずしも連続的に行う必要はなく、充電工程の後であって放電工程の前、および/または、放電工程の後であって充電工程の前には、電流を流さずに所定の時間(例えば0.5時間以内)放置する放置工程を含んでもよい。
(ステップ2a)充電工程では、負極の電位がLiBOBの還元電位以下である第1の電位になるまで、典型的には所定の充電レートで定電流充電(CC充電)を行って、上記構築した組立体を充電する。そして、上記第1の電位で組立体を所定の時間保持する。言い換えれば、定電圧充電(CV充電)を所定の時間行う。これによって、LiBOBが還元分解され、LiBOBの分解物(例えば、Li、B3+、B(C、C 2−、COO等)を含んだ皮膜が負極の表面に形成される。このように、充電工程では、非水電解液中のLiBOBが消費される。
充電工程における充電条件は特に限定されないが、負極の表面に短時間でより緻密な皮膜を形成する観点からは、充電レートを、概ね1/20〜2C(1Cは、1時間で電池を満充電することができる電流の値である。)、例えば1/10〜1Cとするとよい。充電は、負極の電位がLiBOBの還元電位以下である第1の電位になるまで行う。なお、LiBOBの還元電位(従来公知のリニアスイープボルタンメトリー(LSV)の測定に基づく値。)は、1.7〜1.8V(vs. Li/Li+)である。このため、本実施形態では、負極の電位が1.8V(vs. Li/Li+)以下になるまで、組立体を充電するとよい。一好適例では、負極の電位が0.1〜0.2V(vs. Li/Li+)になるまで、組立体を充電する。他の一好適例では、正負極間の電圧が4.5〜5.5Vになるまで、組立体を充電する。
組立体を第1の電位で保持する時間(CV充電の時間)は、0.5〜5時間とすることができる。これによって、負極の表面に良質な皮膜を安定的に形成することができる。
(ステップ2b)放電工程では、負極の電位がLiBOBの還元電位よりも高い第2の電位になるまで、典型的には所定の放電レートで定電流放電(CC放電)を行って、上記構築した組立体を放電する。そして、上記第2の電位で組立体を所定の時間保持する。言い換えれば、定電圧放電(CV放電)を所定の時間行う。これによって、溶解度を超えて溶け残っていたLiBOBが、新たに非水電解液中に溶解される。そして、この新たに非水電解液中に溶解されたLiBOBが、CV放電時に、濃度勾配によって負極全体に充分に拡散される。このように、放電工程では、LiBOBが還元分解されない。したがって非水電解液中のLiBOBは消費されない。
放電工程における放電条件は特に限定されない。放電レートは、概ね1/20〜2C、例えば1/10〜1Cとするとよい。放電レートは、充電レートと同じであっても良く、異なっていてもよい。放電は、負極の電位がLiBOBの還元電位よりも高い第2の電位になるまで行う。本実施形態では、負極の電位が1.8V(vs. Li/Li+)よりも高くなるまで、組立体を放電するとよい。一好適例では、負極の電位が2V(vs. Li/Li+)以上となるまで、組立体を放電する。他の一好適例では、正負極間の電圧が3.5V以下となるまで、組立体を放電する。
組立体を第2の電位で保持する時間(CV放電の時間)は、0.5〜5時間とすることができる。これによって、LiBOBを負極の隅々まで拡散させることができる。CV放電の時間は、上記CV充電の時間と同じであっても良く、異なっていてもよい。また、放電工程の全部あるいは一部では、LiBOBの拡散を促進するような操作、例えば組立体を加温することや、組立体を揺動すること、組立体に対して超音波を照射すること等、を行うこともできる。
以上のように、初回充放電工程では、まず充電工程によって負極の電位をLiBOBの還元電位以下として、LiBOBを還元分解させる。次に、放電工程によって負極の電位をLiBOBの還元電位よりも高くして、溶け残っているLiBOBを非水電解液中に溶解、拡散させる。このことにより、重力方向におけるLiBOBの分布の片寄りが低減され、LiBOBが負極に行き渡る。これにより、負極にLiBOBが行き渡った状態でLiBOBを還元分解することができ、均質な皮膜を形成することができる。また、この工程を繰り返すことで、負極の表面に十分な量の皮膜を形成することができる。そして、例えば、重力方向において、負極の上側から下側に向かって直線上に等間隔で複数の測定位置を定め、皮膜中のホウ素原子を測定したときに、ホウ素原子の平均検出量が0.4mg以上、好ましくは0.5mg以上となるような皮膜を形成することができる。
ここに開示される製造方法によって製造されたリチウム二次電池は、非水電解液中にフッ素含有非水溶媒を含んでいる。このことにより、耐酸化性が高められ、正極における非水電解液の酸化分解がより良く抑制されている。その結果、非水電解液の酸化分解に起因する容量劣化が好適に抑えられている。また、かかるリチウム二次電池は、負極の表面にLiBOB由来の均質な皮膜を適切に備えている。このことにより、耐還元性が高められ、負極における非水電解液の還元分解がより良く抑制されている。その結果、非水電解液の還元分解に起因する容量劣化が好適に抑えられている。
これらの相乗効果により、ここで開示される製造方法によって製造されるリチウム二次電池は、従来品に比べて耐久性に優れる。好適な一態様では、正極活物質の作動上限電位の引き上げによって、さらに高エネルギー密度である。したがって、かかる特徴を活かして、例えばハイブリッド車両や電気車両の動力源(駆動用電源)として好適に利用することができる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<組立体の構築>
先ず、正極を作製した。具体的には、まず、正極活物質としてのNiMnスピネル(LiNi0.5Mn1.5、平均粒径:10μm)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、LiNi0.5Mn1.5:AB:PVdF=87:10:3の質量比となるよう秤量し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)と混合して、正極スラリーを調製した。この正極スラリーを帯状のアルミニウム箔(正極集電体)の表面に塗布し、乾燥させて、正極集電体上に正極活物質層を有する正極シートを作製した。
次に、負極を作製した。具体的には、まず、負極活物質としての天然黒鉛系炭素(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比となるよう秤量し、水と混合して、負極スラリーを調製した。この負極スラリーを帯状の銅箔(負極集電体)の表面に塗布し、乾燥させて、負極集電体上に負極活物質層を有する負極シートを作製した。
次に、上記で作製した正極シートと負極シートとを、セパレータシート(ここでは、ポリプロピレン(PP)の両面にポリエチレン(PE)が積層されたPE/PP/PEの三層構造のものを用いた。)を介在させた状態で積層し、扁平な楕円形状に捲回して、捲回電極体を作製した。
次に、非水電解液を調製した。具体的には、フッ素化環状カーボネートとしてのモノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)と、粘度調整用のフッ素化鎖状カーボネートとしてのメチル(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート(MTFEC)とを、MFEC:MTFEC=30:70の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、ベース電解液を調製した。そして、このベース電解液に、皮膜形成剤としてのLiBOBを0.2mol/Lの濃度で添加して、非水電解液を調製した。なお、25℃の温度環境下において、上記混合溶媒に対するLiBOBの溶解度は0.002mol/Lである。このため、添加したLiBOBの一部は非水電解液中に溶解しきらずに、固体状で非水電解液の下方に沈降している。
そして、上記作製した捲回電極体と、上記調製した非水電解液とを、扁平形状の電池ケースに収容して、電池ケースを封止した。なお、捲回電極体は、捲回方向と直交する幅方向の両端部が重力方向と平行になるよう、電池ケース内に配置されている。これにより、組立体(実施例1〜3、比較例1〜3)を構築した。
<初回充放電>
上記構築した組立体を、25℃の温度環境下において、表1に示す初回充放電条件で充放電した。例えば実施例1の組立体は、正負極間の電圧が4.5Vとなるまで定電流充電(CC充電)した後、電圧が4.5Vの状態で1時間定電圧充電(CV充電)した。次いで、正負極間の電圧が3.5Vとなるまで定電流放電(CC放電)した後、電圧が3.5Vの状態で1時間定電圧放電(CV放電)した。このCCCV充電操作とCCCV放電操作とを1サイクルとして、これを20回繰り返した。
これにより、実施例1〜3、比較例1〜3のリチウム二次電池(設計容量14mAh)を製造した。
<初期容量の確認>
上記製造した電池を、25℃の温度環境下において、正負極間の電圧が4.9Vとなるまで1/5Cの充電レートでCC充電した後、電流値が1/50CとなるまでCV充電して、満充電状態とした。その後、正負極間の電圧が3.5Vとなるまで1/5Cの放電レートでCC放電し、このときのCC放電容量を初期容量とした。
<高温サイクル試験(60℃)>
上記電池を60℃の恒温槽内に設置し、高温サイクル試験を行った。具体的には、正負極間の電圧が4.9Vとなるまで2Cの充電レートでCC充電した後、正負極間の電圧が3.5Vとなるまで2Cの放電レートでCC放電する充放電操作を1サイクルとして、これを1000サイクル繰り返した。そして、初期容量と同じようにして、高温サイクル試験後の電池容量(CC放電容量)を測定し、容量維持率(%)を算出した。結果を表1に示す。
表1に基づいて、高温サイクル試験後の容量維持率を比較検討する。
比較例1は、初回充電を1回のみ行った例である。実施例1〜3は、初回充放電において充放電を複数回繰り返し行った例である。実施例1〜3では、比較例1に比べて容量維持率の改善が認められた。この理由として、実施例1〜3では、初回充放電時にLiBOBの還元分解が電解液の幅方向で均一に行われたことで、LiBOB由来の皮膜が均質に形成され、充放電時の反応ムラが抑制されたことが考えられる。
なお、比較例2,3では、比較例1に比べて容量維持率の改善の効果が見られなかった。この理由として、比較例2では、1回あたりの充電保持の時間が長すぎたため、皮膜形成時において、比較例1と同様にLiBOBの供給が不足したことが考えられる。また、比較例3では、充電と放電とを短期間に繰り返したために、負極活物質の膨張・収縮が大きくなり、負極表面への皮膜の形成が阻害されたり、一旦形成された皮膜が破壊されたりしたことが考えられる。
Figure 0006731151
<負極の元素分析>
また、上記電池をSOC0%(3.5V)まで完全放電させた後、解体して電極体を取り出した。取り出した電極体の負極について、電池ケース内で最も上側に位置していた部分から重力方向に沿って下側に10cmの位置まで、等間隔で3点の測定点を設定した。そして、各測定点において、ICP(Inductively Coupled Plasma)分析により、LiBOB由来のホウ素(B)原子の量を測定した。代表例として、実施例1と比較例1,3に係る結果を図1に示す。
図1に示すように、初回充電を1回のみ行った比較例1では、ホウ素原子の検出量が、上側において少なく、下側ほど多くなっていた。この理由としては、溶解度を超えて添加されたLiBOBの一部が重力方向の下方に沈降していたために、電極体の下側ではLiBOBの供給量が多く、上側ではLiBOBの供給量が少なくなったためと考えられる。
これに対して、初回充放電において充放電を複数回繰り返し行った実施例1および比較例3では、比較例1に比べて、負極の上側と下側とでホウ素原子の検出量のバラつきが小さかった。このことから、充放電を複数回繰り返し行うことで、負極における皮膜の形成ムラが小さく抑えられることがわかる。
また、充電と放電とを短期間に繰り返した比較例3では、実施例1に比べて、ホウ素原子の検出量の絶対値が小さかった。このことから、負極における皮膜の量が不十分なことがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (3)

  1. 正極と負極と非水電解液とを電池ケースに収容して、組立体を構築する構築工程、ここで、前記非水電解液は、フッ素含有非水溶媒と、前記フッ素含有非水溶媒に対する溶解度を超える量のリチウムビスオキサレートボレートと、を含有し、前記非水電解液には、前記溶解度を超える前記リチウムビスオキサレートボレートが溶け残っている、および、
    前記組立体を充放電する初回充放電工程、
    を包含し、
    前記初回充放電工程では、
    前記負極の電位が前記リチウムビスオキサレートボレートの還元電位以下である第1の電位になるまで前記組立体を充電し、前記第1の電位で0.5時間以上5時間以下の時間保持する充電工程と、
    前記負極の電位が前記リチウムビスオキサレートボレートの還元電位よりも高い第2の電位になるまで前記組立体を放電し、前記第2の電位で0.5時間以上5時間以下の時間保持する放電工程と、
    を複数回繰り返す、リチウム二次電池の製造方法。
  2. 前記非水電解液に含まれる非水溶媒が、前記フッ素含有非水溶媒からなる、
    請求項1に記載のリチウム二次電池の製造方法。
  3. 前記非水電解液が、前記フッ素含有非水溶媒に対する溶解度の10倍以上の量の前記リチウムビスオキサレートボレートを含有する、
    請求項1または2に記載のリチウム二次電池の製造方法。
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