JP2016076411A - 非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐酸化性および耐還元性に優れた非水電解質二次電池の効率的な製造方法を提供すること。【解決手段】本発明により、以下の工程:(1)負極活物質と、オキサラト錯体化合物と、を含む負極を作製すること;(2)上記負極と、正極と、フッ素含有非水溶媒を含む非水電解質と、を用いて組立体を構築すること;(3)上記組立体を初期充電することによって、上記負極の表面に上記オキサラト錯体化合物由来の皮膜を形成すること;を包含する非水電解質二次電池の製造方法が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質を備えた二次電池(非水電解質二次電池)の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池では、作動電圧をより高くすること(例えば4.5V以上にすること)により、更なる高エネルギー密度化が検討されている。このような電池では、従来に比べて正極の電位が高くなるため、正極における電解質の酸化分解を抑制する必要がある。そこで、電解質成分として耐酸化性の高い(酸化分解電位の高い)フッ素含有非水溶媒を用いる技術が知られている。
しかしながら、耐酸化性の高い電解質成分(例えばフッ素含有非水溶媒)は、その背反として耐還元性が低い傾向にある。このため、負極における電解質の還元分解を抑制する必要がある。
電解質の還元分解を抑制する先行技術文献としては、例えば特許文献1,2が挙げられる。例えば特許文献1には、フッ素含有非水溶媒を含まない第1電解質と皮膜形成剤(具体的にはオキサラト錯体化合物)とを用いて前処理を行い、負極の表面に皮膜形成剤由来の安定な皮膜を形成すること;当該負極と、フッ素含有非水溶媒を含有する第2電解質とを用いて、非水電解質二次電池を構成すること;を包含する製造方法が開示されている。
特開2014−022328号公報 特開2014−035951号公報
引用文献1に記載される製造方法では、2種類の電解質を用いて段階的な処理を行う必要がある。このため、生産性や作業効率、コストの観点からは、より簡便な製造方法が求められている。また、本発明者の検討によれば、フッ素含有非水溶媒へのオキサラト錯体化合物の溶解度は、非フッ素系の溶媒への溶解度に比べて極めて低い。このため、電池構築用の電解質にオキサラト錯体化合物を直接添加する方法では、耐還元性向上の効果を十分に引き出すことができない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐酸化性および耐還元性に優れた非水電解質二次電池の効率的な製造方法を提供することにある。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。本発明により、以下の工程:(1)負極活物質と、オキサラト錯体化合物と、を含む負極を作製すること;(2)上記負極と、正極と、フッ素含有非水溶媒を含む非水電解質と、を用いて組立体を構築すること;(3)上記組立体を初期充電することによって、上記負極の表面に上記オキサラト錯体化合物由来の皮膜を形成すること;を包含する非水電解質二次電池の製造方法が提供される。
上記構成によれば、耐酸化性および耐還元性に優れた非水電解質二次電池を効率的に製造することができる。つまり、工数やコストを増加させることなく、電池特性(例えばエネルギー密度や耐久性)の優れた電池を製造することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示される非水電解質二次電池の製造方法は、オキサラト錯体化合物を含む負極と、フッ素含有非水溶媒を含む非水電解質と、を用いて組立体を構築することによって特徴付けられる。具体的には、以下の工程:(1)負極の作製;(2)組立体の構築;(3)初期充電;を包含する。以下、各工程について順に説明する。
≪(1)負極の作製≫
ここで開示される製造方法では、まず、負極活物質とオキサラト錯体化合物とを含む負極を作製する。かかる負極は、例えば、負極集電体上に、負極活物質とオキサラト錯体化合物とを含む組成物を付与することによって作製することができる。あるいは、負極集電体上に負極活物質を含む組成物を付与した後、オキサラト錯体化合物を噴霧(スプレー)等の手法によって付着させることにより、作製することができる。以下では、前者の負極作製方法を例にしてより詳しく説明する。
好適な一態様では、まず、負極活物質とオキサラト錯体化合物とを任意の溶媒中で混練して、組成物を調製する。溶媒は、負極活物質とオキサラト錯体化合物とを均質に溶解または分散し得るものであれば特に限定なく用いることができる。また、混練は従来公知の手法で行うことができる。
負極活物質としては、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)等の炭素材料を好適に用いることができ、なかでも黒鉛系の炭素材料を好適に用いることができる。なお、「黒鉛系の材料」とは、黒鉛のみからなる炭素材料と、材料全体の50質量%以上(典型的には80質量%以上、例えば90質量%以上)を黒鉛が占める材料との総称である。負極活物質の性状は特に限定されないが、典型的には粒子状(粉末状)である。かかる粒子状負極活物質は、優れた電池特性(例えば高出力特性)を発揮する観点から、レーザー回折・光散乱法に基づく体積基準の平均粒子径が、凡そ50μm以下(典型的には30μm以下、例えば10〜25μm)であるとよい。
オキサラト錯体化合物としては、少なくとも一つのシュウ酸イオン(C 2−)が中心元素(配位原子ともいう。)と配位結合して形成される錯体化合物を用いることができる。上記中心元素としては、例えば、ホウ素(B)やリン(P)等に代表される半金属元素が例示される。典型例として、中心原子としてのホウ素(B)に少なくとも一つのシュウ酸イオン(C 2−)が配位した4配位の構造部分を有する化合物、例えば、リチウムビス(オキサラト)ボレート(Li[B(C];LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(Li[BF(C)];LiDFOB);中心原子としてのリン(P)少なくとも一つのシュウ酸イオン(C 2−)が配位した6配位の構造部分を有する化合物、例えば、リチウムビス(オキサラト)ホスフェート(Li[P(C])、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート(Li[PF(C];LPFO)等が挙げられる。なかでもLiBOBを好適に用いることができる。
なお、組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて上記以外の成分を含ませることもできる。そのような任意の成分として、バインダ、増粘剤、分散剤等が例示される。バインダとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を用いることができる。また、増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)のセルロース系材料を用いることができる。
組成物の固形分全体に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%以上とすることが適当であり、通常は90〜99.5質量%(例えば95〜99質量%)とすることが好ましい。また、オキサラト錯体化合物は、本来非水電解質に添加したい量と概ね同等の量を上記組成物に含有させればよい。一好適例では、非水電解質に添加した場合の濃度が(非水電解質濃度換算の濃度が)0.01〜0.05mol/L(例えば0.02〜0.03mol/L)となるよう、上記組成物中にオキサラト錯体化合物を添加するとよい。これにより、負極の表面に低抵抗かつ高耐久な皮膜を実現し得、本発明の効果をより高いレベルで奏することができる。
次に、上記調製した組成物を負極集電体上に付与(典型的には塗布)する。負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば銅)からなる導電性材料を好適に用いることができる。また、組成物の付与は従来公知の手法で行うことができる。
好ましくは、負極集電体上に組成物を付与した後、プレス処理を施す。これにより、負極活物質層の厚みや密度を調整することができる。プレス処理は従来公知の手法で行うことができる。
≪(2)組立体の構築≫
ここで開示される製造方法では、次に、上記負極と、正極と、フッ素含有非水溶媒を含む非水電解質と、を用いて組立体を構築する。典型的には、まず、上記作製した負極と、別途用意した正極とを、絶縁した状態で積層し、電極体を作製する。
正極としては、例えば、正極集電体上に、正極活物質を含む正極活物質層を固着させた形態のものを用いることができる。正極集電体としては、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム)からなる導電性部材を好適に用いることができる。
正極活物質としては、4.3V(vs. Li/Li+)以上の作動電位を有する材料を好適に用いることができる。より具体的には、作動電位(vs. Li/Li+)が4.3V以上、典型的には4.5V以上、例えば4.6V以上、好ましくは4.7V以上であって、典型的には5.5V以下、例えば5.3V以下の高電圧正極材料を好適に用いることができる。これにより、高いエネルギー密度を実現することができる。一好適例として、LiNi0.5Mn1.5、LiNi0.5Mn1.45Ti0.05、LiNi0.45Fe0.05Mn1.5、LiNi0.475Fe0.025Mn1.475Ti0.025等のリチウム複合金属酸化物が挙げられる。特にはスピネル構造のものが好ましい。
正極活物質層は、必要に応じて正極活物質以外の成分を含み得る。そのような任意の成分としては、バインダや導電材等が例示される。導電材としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の炭素材料を用いることができる。バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリエチレンオキサイド(PEO)等を用いることができる。
次に、非水電解質を調製する。非水電解質としては、非水溶媒中に少なくとも支持塩を含有させたもの(非水電解液)を好適に用いることができる。あるいは、当該非水電解質にポリマーが添加され、固体状(典型的には、いわゆるゲル状)となったものでもよい。
支持塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩等を好適に用いることができ、なかでもLiPF、LiBF等のリチウム塩を好適に用いることができる。
非水溶媒としては、耐酸化性の高い(すなわち酸化分解電位の高い)フッ素含有非水溶媒を含むものを用いることができる。特には、フッ素含有非水溶媒からなる非水溶媒の使用が好ましい。非水溶媒としてフッ素含有非水溶媒を用いることにより、上記高電圧正極材料(作動電位の高い正極活物質)を使用する場合にあっても、正極における非水電解質の酸化分解をより良く抑制することができ、寿命特性に優れた電池を実現することができる。フッ素含有非水溶媒の具体例として、各種カーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等のフッ素化物が挙げられる。とりわけ、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等のフッ素化環状カーボネート;メチル(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート(MTFEC)等のフッ素化鎖状カーボネート;等のフッ素化カーボネートを好適に用いることができる。特には、フッ素化カーボネートからなる非水溶媒の使用が好ましい。
好ましくは、非水溶媒中にさらにオキサラト錯体化合物を含有させたものを用いる。これにより、本発明の効果をより高いレベルで奏することができる。非水電解質におけるオキサラト錯体化合物の濃度は、オキサラト錯体化合物の溶解度以下であればよく、例えば0.002mol/L以下とすることができる。
そして、正極と負極を含む電極体と、非水電解質とを電池ケース内に収容し、密閉して組立体を構築する。電池ケースとしては、例えばアルミニウム等の軽量な金属材料からなるものを好適に用いることができる。
組立体の内部では、負極と非水電解質とが接触することにより、負極に含ませたオキサラト錯体化合物の一部または全部が非水電解質へと溶出し得る。
≪(3)初期充電≫
ここで開示される製造方法では、次に、上記構築した組立体を初期充電(活性化処理)する。これにより、電池内に含まれるオキサラト錯体化合物(典型的には負極に含ませたオキサラト錯体化合物)が電気的に分解され、負極の表面に上記オキサラト錯体化合物由来の成分を含んだ安定な皮膜が形成される。その結果、非水電解質成分としてフッ素化カーボネートを用いる場合にあっても、負極における非水電解質成分(例えばフッ素化カーボネート)の還元分解をより良く抑制することができ、電池の初期特性や耐久性(例えば、高温サイクル特性)を向上することができる。
初期充電の充電条件は特に限定されないが、均質な皮膜を短時間で形成する観点からは、例えば充電レートを0.1〜10C程度(例えば0.2〜1C)とするとよい。また、正負極端子間の電圧(典型的には最高到達電圧)は、使用する活物質や非水溶媒の種類等にもよるが、例えば4.5〜5.5V程度とすることができる。なお、充電は1回でもよく、例えば放電を挟んで2回以上繰り返し行うこともできる。また、充電状態を保ったまま所定の期間保持(エージング)することもできる。
ここで開示される製造方法では、オキサラト錯体化合物を負極(具体的には負極活物質)に添加する。好ましい一態様では、オキサラト錯体化合物を負極(具体的には負極活物質)および非水電解質に添加する。これにより、非水電解質に対するオキサラト錯体化合物の溶解度が小さい(例えば0.01質量%以下である)場合にあっても、工数やコストを増加させることなく、耐還元性の優れた電池を効率的に製造することができる。
このように製造される非水電解質二次電池には、非水電解質成分としてフッ素含有非水溶媒が含まれている。これにより、正極での非水電解質の酸化分解がより良く抑制されている。また、かかる電池には、非水電解質に対する溶解度を上回る量のオキサラト錯体化合物が含まれている。換言すれば、少なくとも負極にオキサラト錯体化合物が含まれている。これにより、負極での非水電解質の還元分解がより良く抑制されている。
ここで開示される非水電解質二次電池は、これらの相乗効果によって従来品に比べて耐久性や信頼性に優れる。例えば、初期の電池抵抗が低く、充放電を繰り返しても容量低下の少ないものであり得る。好適な一態様では、正極の作動電位の引き上げによって、さらに高エネルギー密度を実現し得る。したがって、かかる特徴を活かして、例えばハイブリッド車両や電気車両の動力源(駆動電源)として好適に利用し得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
ここでは、オキサラト錯体化合物の含有の有無のみが異なる負極および非水電解質を用意し、計4種類の電池を構築してその性能を評価した。
[負極の作製]
まず、2種類の負極a,bを作製した。
負極a(オキサラト錯体化合物を含有しないもの)は、以下の手順で作製した。すなわち、天然黒鉛系材料(C、平均粒子径:20μm、格子定数(C):0.67nm、結晶子サイズ(Lc):27nm)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これら材料の質量比がC:SBR:CMC=98:1:1となるよう混練機に投入し、イオン交換水で粘度を調整しながら混練して、負極活物質層形成用の組成物を調製した。この組成物を銅箔(負極集電体)の表面に塗布し、乾燥後にロールプレスすることによって、負極集電体上に負極活物質層を有する負極を作製した。
また、負極b(オキサラト錯体化合物を含有するもの)は、上述の組成物にオキサラト錯体化合物としてのリチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)を電解質濃度換算の濃度が0.0251mol/Lとなる量添加し、当該組成物を銅箔(負極集電体)の表面に塗布したこと以外、負極aと同様に作製した。
[組立体の構築]
次に、正極活物質としてスピネル構造のLiNi0.5Mn1.5(LNM)を用意した。このLNMと、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、これら材料の質量比率がLNM:AB:PVdF=87:10:3となるよう混練機に投入し、N−メチルピロリドン(NMP)で粘度を調整しながら混練して、正極活物質層形成用の組成物を調製した。この組成物をアルミニウム箔(正極集電体)の表面に塗布して、乾燥後にロールプレスすることによって、正極集電体上に正極活物質層(電極密度:2.3g/cm)を有する正極を作製した。
次に、上記作製した正極と負極を、電池の設計容量が60mAhとなるように電極の大きさを調整した後、セパレータを介して対向させて電極体a,bを準備した。なお、何れの電極体においても、正極活物質と負極活物質の質量比は2:1となるように調整されている。
次に、2種類の非水電解質A,Bを調製した。
非水電解質A(オキサラト錯体化合物を含有しないもの)としては、フッ素化環状カーボネートとしてのフルオロエチレンカーボネート(FEC)と、フッ素化鎖状カーボネートとしてのメチル(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート(MTFEC)とを、FEC:MTFEC=50:50の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1mol/Lの濃度で溶解させたものを調製した。
非水電解質B(オキサラト錯体化合物を含有するもの)としては、上記非水電解質Aにオキサラト錯体化合物としてのリチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)を溶解度まで最大限溶解させた飽和溶液を調製した。なお、LiBOBの溶解度は極めて低く、凡そ0.002mol/Lしか溶かすことができなかった。
そして、上記電極体と非水電解質とをラミネート製のセルに封入し、4種類の組立体(比較例1,2、実施例1,2)を構築した。
[初期充電]
上記構築した組立体を25℃の恒温槽内に設置し、正負極間の電圧が4.9Vになるまで1/5Cで定電流充電(CC充電)した後、正負極間の電圧が3.5Vになるまで1/5Cで定電流放電(CC放電)する操作を1サイクルとして、これを3サイクル繰り返した。この充電によって、負極上(負極活物質の表面)にSEI膜を形成した。このようにして、4種類の非水電解質二次電池(比較例1,2、実施例1,2)を得た。
次いで、正負極間の電圧が4.9Vになるまで1/5CでCC充電し、続いて電流値が1/50Cになるまで定電圧充電(CV充電)した後、正負極間の電圧が3.5Vになるまで1/5CでCC放電し、このときのCC放電容量を初期容量とした。
[初期抵抗]
25℃の環境下において、初期充電後の電池に対し、1/5Cの電流値で放電後の状態から初期容量の60%に相当する電気容量をCC充電することで、電池のSOCを60%に調整した。SOC60%において、1/3C、1C、3Cの定電流を5秒間流すことで、充電時および放電時の過電圧を測定した。そして、得られた過電圧の値を電流値で除することで抵抗値を算出し、その平均値を初期の直流抵抗とした。結果を表1の該当欄に示す。
[高温サイクル試験(60℃)]
次に、初期抵抗測定後の電池を60℃の恒温槽内に設置し、温度が一定となった後に高温サイクル試験を行った。具体的には、正負極間の電圧が4.9Vになるまで2Cの定電流でCC充電した後、正負極間の電圧が3.5Vになるまで2Cの定電流でCC放電する操作を1サイクルとして、これを200サイクル繰り返した。その後、上記初期容量の測定と同様の手順でCC放電容量を測定し、サイクル試験後の電池容量とした。そして、サイクル試験後の電池容量を初期容量で除して100を掛けることにより、容量維持率(%)を算出した。結果を表1の該当欄に示す。
Figure 2016076411
表1に示すように比較例1,2の比較から、非水電解質にオキサラト錯体化合物(ここではLiBOB)を加えることで、若干ではあるが、初期抵抗が低減し、高温サイクル特性も向上する傾向が見られた。
また、比較例1と実施例1の比較から、非水電解質への溶解限界量の約13倍となるオキサラト錯体化合物(ここではLiBOB)を電池内(ここでは負極)に含有させることで、初期抵抗が大きく減少し、高温サイクル特性も向上した。かかる結果は、本発明の技術的意義を示すものである。
さらに、実施例1,2の比較から、電池内のLiBOB成分が増えたことで、実施例2の方が、初期抵抗がより減少し、高温サイクル特性もより向上した。したがって、非水電解質へのLiBOB添加効果と、負極へのLiBOB添加効果については、加法性があるものと考えられる。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (1)

  1. 非水電解質二次電池を製造する方法であって:
    負極活物質と、オキサラト錯体化合物と、を含む負極を作製すること;
    前記負極と、正極と、フッ素含有非水溶媒を含む非水電解質と、を用いて組立体を構築すること;および、
    前記組立体を初期充電することによって、前記負極の表面に前記オキサラト錯体化合物由来の皮膜を形成すること;
    を包含する、非水電解質二次電池の製造方法。
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