JP2017111875A - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】高エネルギー密度と高入出力密度と高耐久性とを兼ね備えた非水電解質二次電池を提供すること。【解決手段】本発明により、正極と負極と非水電解質とを備える非水電解質二次電池が提供される。上記正極は、正極活物質と導電材とを含む正極合剤層を備える。上記正極活物質は、レーザー回折法に基づくD50粒径が4.5〜6.5μmであり、DBP吸油量が25〜35ml/100gである。上記導電材は、電子顕微鏡観察に基づく一次粒子の平均粒径が50nm以上であり、DBP吸油量が175ml/100g以上であり、上記正極合剤層の全質量を100質量%としたときの質量割合が4.0質量%以下である。上記正極合剤層は、密度が2.9〜3.1g/cm3である。上記正極合剤層中の、有効電気伝導度と有効イオン伝導度との積が0.04〜0.065S2/m2である。【選択図】図1
Description
本発明は、非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池では、更なる電池性能の向上が検討されている。例えば特許文献1の実施例等には、DBP吸油量が21.5〜32.5ml/100gの正極活物質と、正極合剤層の全質量の6質量%の割合で導電材とを含み、正極密度が2.6〜3.0g/cm3である正極を備えた非水電解質二次電池が開示されている。特許文献1には、正極密度を上記範囲とすることで、正極内に良好な導電パスを確保し得、電気抵抗の増大を抑制し得る旨等が記載されている。またその他、正極用の導電材の性状や含有割合に関する先行技術文献として、特許文献2,3が挙げられる。
しかしながら、高エネルギー密度や高入出力密度、高耐久性を一層高いレベルでバランスしようとすると、上記技術には更なる改善の余地が認められた。例えば、正極の電気伝導性を向上する目的で導電材の割合を高めると、エネルギー密度が低下したり、充放電時に導電材の表面でガスが発生する等の副反応を生じて耐久性が低下したりすることがある。また、正極のイオン伝導性を向上する目的で正極密度を低くすると、やはりエネルギー密度が低下したり、充放電時に電荷担体イオンの濃度ムラに起因する反応ムラが生じて入出力特性が低下したりすることがある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高エネルギー密度と高入出力密度と高耐久性とを兼ね備えた非水電解質二次電池を提供することにある。
本発明者は種々検討を重ねた結果、正極内の導電パス(電子の通り道)と電荷担体イオンの拡散パス(電荷担体イオンの通り道)とを、より良くバランスさせることに想到した。そして、更なる鋭意検討の末に本発明を完成させた。
本発明により、正極と負極と非水電解質とを備える非水電解質二次電池が提供される。上記正極は、正極活物質と導電材とを含む正極合剤層を備える。上記正極活物質は、レーザー回折法に基づくD50粒径が4.5〜6.5μmであり、DBP吸油量が25〜35ml/100gである。上記導電材は、電子顕微鏡観察に基づく一次粒子の平均粒径が50nm以上であり、DBP吸油量が175ml/100g以上であり、上記正極合剤層の全質量を100質量%としたときの質量割合が4.0質量%以下である。上記正極合剤層は、密度が2.9〜3.1g/cm3である。上記正極合剤層中の、有効電気伝導度と有効イオン伝導度との積が0.04〜0.065S2/m2である。
本発明により、正極と負極と非水電解質とを備える非水電解質二次電池が提供される。上記正極は、正極活物質と導電材とを含む正極合剤層を備える。上記正極活物質は、レーザー回折法に基づくD50粒径が4.5〜6.5μmであり、DBP吸油量が25〜35ml/100gである。上記導電材は、電子顕微鏡観察に基づく一次粒子の平均粒径が50nm以上であり、DBP吸油量が175ml/100g以上であり、上記正極合剤層の全質量を100質量%としたときの質量割合が4.0質量%以下である。上記正極合剤層は、密度が2.9〜3.1g/cm3である。上記正極合剤層中の、有効電気伝導度と有効イオン伝導度との積が0.04〜0.065S2/m2である。
上記構成の正極では、有効電気伝導度と有効イオン伝導度との積が上記範囲にあり、正極内の電気伝導性とイオン伝導性が高いレベルでバランスされている。また、導電材の含有割合が低く抑えられ、高容量が確保されている。これにより、ハイレート充放電を繰り返しても抵抗の増大が少なく、高エネルギー密度と高入出力密度と高耐久性とを兼ね備えた非水電解質二次電池を実現することができる。
「D50粒径」としては、一般的なレーザー回折法に基づく粒度分布測定で測定した体積基準の粒度分布おいて、微粒子側からの累積50%に相当するメジアン径を採用することができる。
「DBP吸油量」としては、一般的な吸油量測定装置を用い、試薬液体としてDBP(ジブチルフタレート)を使用して、JIS K6217−4(2008)「ゴム用カーボンブラック−基本特性−第4部:DBP吸収量の求め方」に準拠して測定した値を採用することができる。
「一次粒子の平均粒径」としては、電子顕微鏡により少なくとも10個(例えば10〜100個)の一次粒子を観察し、得られた粒径の算術平均値を採用することができる。
「DBP吸油量」としては、一般的な吸油量測定装置を用い、試薬液体としてDBP(ジブチルフタレート)を使用して、JIS K6217−4(2008)「ゴム用カーボンブラック−基本特性−第4部:DBP吸収量の求め方」に準拠して測定した値を採用することができる。
「一次粒子の平均粒径」としては、電子顕微鏡により少なくとも10個(例えば10〜100個)の一次粒子を観察し、得られた粒径の算術平均値を採用することができる。
また、上記電池の正極合剤層における「有効電気伝導度」および「有効イオン伝導度」としては、電子顕微鏡観察(典型的には、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope))に基づく各成分の体積割合と、各成分に固有の伝導率(正極合剤層を構成する成分のバルク伝導率や非水電解質の伝導率)とから算出した値を採用することができる。より具体的には、下式(1),(2):
σEC=Σ(V×CE) 式(1)
σIC=Σ(V×CI) 式(2)
(ただし、σECは有効電気伝導度を表し、σICは有効イオン伝導度を表し、Vは電子顕微鏡観察に基づく各成分の体積割合(全算出成分の合計を1とするときの割合)を表し、CEは各成分に固有の電気伝導率(S/m)を表し、CIは各成分に固有のイオン伝導率(S/m)を表す。)
;から各伝導度を算出することができる。より詳細な算出方法については、後述する実施例に示す。
σEC=Σ(V×CE) 式(1)
σIC=Σ(V×CI) 式(2)
(ただし、σECは有効電気伝導度を表し、σICは有効イオン伝導度を表し、Vは電子顕微鏡観察に基づく各成分の体積割合(全算出成分の合計を1とするときの割合)を表し、CEは各成分に固有の電気伝導率(S/m)を表し、CIは各成分に固有のイオン伝導率(S/m)を表す。)
;から各伝導度を算出することができる。より詳細な算出方法については、後述する実施例に示す。
なお、特許文献2,3に記載される技術では、吸油量の高い導電材を正極合剤層の全質量の8質量%以上と高い割合で含有する。そのため、本発明者の検討によれば、これら先行技術では、正極合剤層中の有効電気伝導度と有効イオン伝導度との積(σEC×σIC値)が上記範囲を満たすものは見出されなかった。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、正極合剤層の性状)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない電池の構成要素や一般的な製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において「A〜B(ただし、A,Bが任意の値)」という表現は、特に断らない限りA,Bの値(上限値および下限値)を包含するものとする。
ここに開示される非水電解質二次電池は、正極と負極と非水電解質とを備えている。以下、各構成要素について順に説明する。
正極は、典型的には正極集電体と該正極集電体上に固着された正極合剤層とを備える。正極集電体としては、導電性の良好な金属(例えばアルミニウム)からなる導電性部材を好適に採用し得る。正極合剤層は、少なくとも正極活物質と導電材とを含み、さらに他の任意成分(例えばバインダ等)を含み得る。正極合剤層は多孔質構造であり、微細な空隙を有している。当該空隙部分には、典型的には非水電解質が含浸されている。
正極活物質としては、例えば、リチウム元素と1種または2種以上の遷移金属元素とを含むリチウム遷移金属複合酸化物を採用し得る。リチウム遷移金属複合酸化物の典型例として、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物等が挙げられる。正極活物質は粒子状である。正極活物質のレーザー回折法に基づくD50粒径(二次粒径)は、4.5〜6.5μmである。これにより、電気伝導性とイオン伝導性とが高いレベルでバランスされた正極合剤層を実現することができる。また、正極活物質のDBP吸油量は25〜35ml/100gである。これにより、正極活物質が嵩高くなり過ぎることを抑えつつ、非水電解質との親和性を向上して、低SOC領域においても抵抗を低く抑えることができる。したがって、高エネルギー密度に加えて、優れた入出力特性を実現することができる。
導電材としては、例えば炭素材料を採用し得る。炭素材料の典型例として、アセチレンブラックやケッチェンブラック等のカーボンブラックや、活性炭等が挙げられる。
導電材を構成する一次粒子の平均粒径は、50nm以上である。これにより、正極活物質の粒子間に太くて強固な(良好な)導電パスを形成することができる。また、一般に粒径の小さなものほど嵩高くなる傾向があるので、上記範囲とすることで導電材が嵩高くなり過ぎることを抑制して、高エネルギー密度を実現することができる。
導電材のDBP吸油量は175ml/100g以上である。DBP吸油量は、ストラクチャ(一次粒子の連なり)の発達の程度を示す1つの指標といえる。一般にDBP吸油量の多いものほどストラクチャが発達している傾向がある。このため、上記DBP吸油量を満たす導電材は、少ない使用量で、正極活物質の粒子間に長くて強固な(良好な)導電パスを形成することができる。したがって、抵抗を一層低く抑えて、高エネルギー密度と高入出力密度との両立を実現することができる。
導電材を構成する一次粒子の平均粒径は、50nm以上である。これにより、正極活物質の粒子間に太くて強固な(良好な)導電パスを形成することができる。また、一般に粒径の小さなものほど嵩高くなる傾向があるので、上記範囲とすることで導電材が嵩高くなり過ぎることを抑制して、高エネルギー密度を実現することができる。
導電材のDBP吸油量は175ml/100g以上である。DBP吸油量は、ストラクチャ(一次粒子の連なり)の発達の程度を示す1つの指標といえる。一般にDBP吸油量の多いものほどストラクチャが発達している傾向がある。このため、上記DBP吸油量を満たす導電材は、少ない使用量で、正極活物質の粒子間に長くて強固な(良好な)導電パスを形成することができる。したがって、抵抗を一層低く抑えて、高エネルギー密度と高入出力密度との両立を実現することができる。
任意成分であるバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂を採用し得る。また、適宜、各種添加剤(例えば、過充電時にガスを発生させる無機化合物や、あるいは、分散剤、増粘剤等)も採用し得る。
ここに開示される技術では、上記性状を満たす正極活物質と導電材とを採用することで、正極合剤層中の導電材の割合を低く維持しつつ(導電材を増加させずに)、所望の電気伝導性を適切に確保することができる。そのため、正極合剤層全体に占める導電材の割合は4.0質量%以下に抑えられている。これにより、正極合剤層全体に占める正極活物質の割合を高めることができ、上述した二律背反を回避して、高エネルギー密度や高耐久性を実現することができる。正極合剤層全体に占める正極活物質の割合は、典型的には85質量%以上、例えば90〜96質量%とすることができる。
ここに開示される技術ではまた、正極合剤層の密度を高く維持しつつ(正極合剤層の密度を低下させずに)、所望のイオン伝導性を適切に確保することができる。そのため、正極合剤層の密度は、2.9〜3.1g/cm3と高められている。これにより、上述した二律背反を回避して、高エネルギー密度や高入出力密度を実現することができる。
以上のように、上記構成の正極合剤層では、電気伝導性とイオン伝導性とが高いレベルでバランスされている。具体的には、有効電気伝導度σEC(単位:S/m)と有効イオン伝導度σIC(単位:S/m)との積が、0.04〜0.065S2/m2の範囲に調整されている。つまり、正極合剤層が緻密に形成され、正極活物質と導電材との導電パスが好適に確保されている。また、正極合剤層には適度な空隙が形成され、電荷担体イオンの拡散パスが好適に確保されている。その結果、ハイレート充放電を繰り返しても抵抗の増大が少なく、高エネルギー密度に加えて、高入出力密度と高耐久性とを兼ね備えた非水電解質二次電池を実現することができる。
負極は、典型的には負極集電体と該負極集電体上に固着された負極合剤層とを備える。負極集電体としては、導電性の良好な金属(例えば銅)からなる導電性部材を好適に採用し得る。負極合剤層は、少なくとも負極活物質を含み、さらに他の任意成分(例えばバインダや増粘剤等)を含み得る。負極活物質としては、黒鉛系の炭素材料(材料全体の50質量%以上を黒鉛が占める炭素材料)を好適に採用し得る。負極活物質としては、例えば、黒鉛(グラファイト)等の炭素材料を採用し得る。バインダとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)等を採用し得る。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を採用し得る。
非水電解質としては、非水溶媒中に支持塩を含有させたもの(非水電解液)が好適である。支持塩としては、例えばLiPF6、LiBF4等のリチウム塩を採用し得る。有機溶媒としては、例えば、カーボネート類、エステル類、エーテル類等の非プロトン性溶媒を採用し得る。非水電解質は、さらに各種添加剤等の任意成分(例えば、皮膜形成剤やガス発生剤等)を含み得る。
ここに開示される非水電解質二次電池は、従来品に比べて、高エネルギー密度と高入出力密度と高耐久性とを高いレベルで兼ね備えるものである。したがって、例えばプラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車等の動力源(モーターの駆動用電源)として好適に用いることができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に限定することを意図したものではない。
正極活物質として、表1に示すD50粒径とDBP吸油量のLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2を準備した。また、正極用の導電材として、表1に示す一次粒径とDBP吸油量のアセチレンブラックを準備した。次に、正極活物質と、導電材と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを混練して正極合剤層形成用組成物を調製した。なお、導電材の添加量は、正極活物質と導電材とバインダとの合計に対して4質量%とした。この組成物を、厚さ12μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布し、乾燥させた後、プレスして、正極集電体上に合剤層密度が3.0g/cm3前後(2.8〜3.1g/cm3)の正極合剤層を備えた正極シートを作製した。
次に、負極活物質としての黒鉛系材料と、バインダとしてのスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを混練して、負極合剤層形成用組成物を調製した。この組成物を、厚さ8μmの銅箔(負極集電体)の両面に塗付し、乾燥させた後、プレスして、負極集電体上に負極合剤層を備えた負極シートを作製した。
次に、上記で作製した正極シートと負極シートとを、セパレータシートと共に捲回して、捲回電極体を作製した。セパレータシートとしては、ポリエチレン層の両側にポリプロピレン層が積層されている総厚み20μmの多孔質樹脂シート(PP/PE/PP)を使用した。
次に、この捲回電極体を直方体形状の電池ケースに収容した後、非水電解液を注液した。非水電解液としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとを、体積比率が30:40:30となるように混合した混合溶媒に、支持塩としてのLiPF6を1.1mol/Lの濃度で溶解させたものを使用した。
このようにして、リチウムイオン二次電池(例1,2、参考例1〜3)を構築した。
次に、上記で作製した正極シートと負極シートとを、セパレータシートと共に捲回して、捲回電極体を作製した。セパレータシートとしては、ポリエチレン層の両側にポリプロピレン層が積層されている総厚み20μmの多孔質樹脂シート(PP/PE/PP)を使用した。
次に、この捲回電極体を直方体形状の電池ケースに収容した後、非水電解液を注液した。非水電解液としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとを、体積比率が30:40:30となるように混合した混合溶媒に、支持塩としてのLiPF6を1.1mol/Lの濃度で溶解させたものを使用した。
このようにして、リチウムイオン二次電池(例1,2、参考例1〜3)を構築した。
上記作製した電池を、25℃の環境下において、電圧が3.95Vとなるまで0.4Cのレートで定電流充電(CC充電)した後、電流値が0.02Cとなるまで定電圧充電(CV充電)した。かかる充電状態の電池を、温度60℃の恒温槽内に21時間放置し、エージングを行った。
上記エージング後の電池を、25℃の環境下において、電圧が4.1Vとなるまで1/3CのレートでCC充電した後、電流値が0.02CとなるまでCV充電した。その後、電圧が3Vとなるまで1/3Cのレートで定電流放電(CC放電)し、このときのCC放電容量を初期容量とした。
次に、60℃の温度条件下において、充放電サイクルを100日間繰り返した後、上記初期容量測定と同様にして電池容量(CC放電容量)を測定した。なお、サイクル試験時の1サイクルの充放電条件は、2Cの電流レートでSOC20%〜80%の間を充放電するものとした。次に、100日後の電池容量を上記初期容量で除して100を掛けることにより、容量維持率(%)を求めた。そして、ルート則から容量劣化傾き(%/√(Ah))を算出した。結果を表1の該当欄に示す。
また、上記充放電サイクル後の電池をSOC20%の状態に調整し、この電池に対して200Aの定電流で10秒間の放電を行い、このときの電圧降下量を測定した。かかる電圧降下量(mV)を電流値(200A)で除して、高温ハイレート耐久後のIV抵抗(mΩ)を算出した。結果を表1の該当欄に示す。
また正極シートの一部を切り取り、正極合剤層中の有効電気伝導度と有効イオン伝導度とを算出した。具体的には、まず、正極シートの一部を切り出し、任意の位置に保護膜(カーボン・デポジション)を形成した後、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)加工で観察領域(凡そ25μm×25μm×25μm)を薄層化処理し、観察試料を得た。得られた観察試料について、下記条件でFIBの自動加工とSEM観察とを繰り返し、複数枚のSEM観察画像を取得した。
・FIB加速電圧:40kV ・SEM加速電圧:2kV
・FIB加工ピッチ:約250nm ・SEM観察倍率:2500倍
・スライス数:100枚
・FIB加速電圧:40kV ・SEM加速電圧:2kV
・FIB加工ピッチ:約250nm ・SEM観察倍率:2500倍
・スライス数:100枚
取得したSEM観察画像を、3D可視化解析システム Amira(商標)で解析した。具体的には、SEM観察画像を、250×250×250ボクセルに粗視化した後、正極活物質、導電材、空隙部分の占める体積割合をそれぞれ求めた。次に、下式(3)に示すように、各成分が占める体積割合と当該各成分に固有の伝導率とを掛け合わせ、その値を合算することで、各伝導度σ(有効電気伝導度σECと有効イオン伝導度σIC)を算出した。なお、電池の状態において、正極合剤層の空隙部分には全て非水電解液が含浸されていると仮定して計算した。また、各成分の伝導率としては、一般的な辞典や便覧、文献等に記載されている値を採用した。
σ=(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2の体積割合×LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2のバルク伝導率)+(アセチレンブラックの体積割合×アセチレンブラックのバルク伝導率)+(空隙部分の体積割合×非水電解液の伝導率) 式(3)
そして、有効電気伝導度σECと有効イオン伝導度σICとの積(σEC×σIC値)を算出した。結果を表1の該当欄に示す。
σ=(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2の体積割合×LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2のバルク伝導率)+(アセチレンブラックの体積割合×アセチレンブラックのバルク伝導率)+(空隙部分の体積割合×非水電解液の伝導率) 式(3)
そして、有効電気伝導度σECと有効イオン伝導度σICとの積(σEC×σIC値)を算出した。結果を表1の該当欄に示す。
図1には、正極合剤層のσEC×σIC値と電池性能との関係を示している。
表1および図1に示すように、参考例1では、耐久後のIV抵抗値が高かった。この理由として、導電材の一次粒径が小さいために、導電パスの経路が細くなったことが考えられる。また、参考例2も、耐久後のIV抵抗値が高かった。この理由として、導電材のDBP吸油量が小さいために、導電パスが短く、切れやすくなったことが考えられる。また、参考例3も、耐久後のIV抵抗値がやや高かった。この理由として、電極合剤の密度が小さいために、正極活物質と導電材との間の接触が不十分となり、導電パス切れを生じたことが考えられる。
表1および図1に示すように、参考例1では、耐久後のIV抵抗値が高かった。この理由として、導電材の一次粒径が小さいために、導電パスの経路が細くなったことが考えられる。また、参考例2も、耐久後のIV抵抗値が高かった。この理由として、導電材のDBP吸油量が小さいために、導電パスが短く、切れやすくなったことが考えられる。また、参考例3も、耐久後のIV抵抗値がやや高かった。この理由として、電極合剤の密度が小さいために、正極活物質と導電材との間の接触が不十分となり、導電パス切れを生じたことが考えられる。
これら参考例に対して、例1,2では耐久後のIV抵抗値が顕著に低く抑えられていた。この理由として、正極の構成を最適化することで、電気伝導性とイオン伝導性とを高いレベルでバランスできたことが考えられる。つまり、ここに開示される技術によれば、例えば高温ハイレート充放電を繰り返しても抵抗の増大が少なく、高エネルギー密度と高入出力密度と高耐久性とを兼ね備えた非水電解質二次電池を実現することができる。かかる結果は本発明の技術的意義を示している。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここに開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
Claims (1)
- 正極と負極と非水電解質とを備える非水電解質二次電池であって、
前記正極は、正極活物質と導電材とを含む正極合剤層を備え、
前記正極活物質は、
レーザー回折法に基づくD50粒径が4.5μm以上6.5μm以下であり、
DBP吸油量が25ml/100g以上35ml/100g以下であり、
前記導電材は、
電子顕微鏡観察に基づく一次粒子の平均粒径が50nm以上であり、
DBP吸油量が175ml/100g以上であり、
前記正極合剤層の全質量を100質量%としたときの質量割合が4.0質量%以下であり、
前記正極合剤層は、密度が2.9g/cm3以上3.1g/cm3以下であり、
前記正極合剤層中の、有効電気伝導度と有効イオン伝導度との積が0.04S2/m2以上0.065S2/m2以下である、非水電解質二次電池。
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CN115050965A (zh) * | 2022-07-14 | 2022-09-13 | 蜻蜓实验室(深圳)有限公司 | 一种离子电导剂、电极极片组和锂离子电池 |
EP4141986A1 (en) * | 2021-08-31 | 2023-03-01 | Prime Planet Energy & Solutions, Inc. | Positive electrode active material and nonaqueous electrolyte secondary battery including the same |
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2015
- 2015-12-14 JP JP2015243391A patent/JP2017111875A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP4141986A1 (en) * | 2021-08-31 | 2023-03-01 | Prime Planet Energy & Solutions, Inc. | Positive electrode active material and nonaqueous electrolyte secondary battery including the same |
CN115050965A (zh) * | 2022-07-14 | 2022-09-13 | 蜻蜓实验室(深圳)有限公司 | 一种离子电导剂、电极极片组和锂离子电池 |
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