JP6724577B2 - 水晶発振器及び水晶振動子の特性測定方法 - Google Patents

水晶発振器及び水晶振動子の特性測定方法 Download PDF

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Description

本開示は、水晶発振器及び水晶振動子の特性測定方法に関する。
水晶発振器の発振出力を送信アンテナより温度槽内に電波として発射し、該電波を、温度槽内に配置した受信アンテナより受信し、受信アンテナの出力に基づいて水晶発振器の出力周波数を測定する技術が知られている。
特開平1-186003号公報
しかしながら、上記のような従来技術で得られるような水晶発振器の出力周波数の測定結果に基づいて、水晶振動子が出力停止(例えばクロック停止)に至る前の状態を検出することが難しい。かかる水晶振動子の出力停止は、水晶振動子の異常等に起因して突然生じうる。
そこで、1つの側面では、本発明は、水晶振動子が出力停止に至る前の状態を検出することを目的とする。
一局面によれば、筐体と、水晶片と、対の励振電極と、対の前記励振電極の一方に電気的に接続される送信アンテナと、前記送信アンテナからの電波を受信する受信アンテナと、を含む水晶振動子と、
前記受信アンテナで受信される信号の振幅が基準値以下になった場合に、アラームを発生するアラーム発生部とを含む、水晶発振器が提供される。
水晶振動子が出力停止に至る前の状態を検出することが可能となる。
実施例1による水晶振動子を概略的に示す上面図である。 図1AにおけるラインB−Bに沿った断面図である。 送信アンテナ及び受信アンテナの実装例の説明図である。 水晶振動子及びICを含む水晶発振器の回路構成の一例を概略的に示す図である。 反転増幅器の一例を示す図である。 水晶振動子が正常品である場合の特性の説明図である。 異常に起因した水晶振動子の出力停止の説明図である。 異常品の場合にポイントAに現れる信号の時系列波形を示す図である。 異常品の場合にポイントBに現れる信号の時系列波形を示す図である。 異常品の場合にポイントCに現れる信号の時系列波形を示す図である。 異常品の場合に受信アンテナに現れる信号の時系列波形を示す図である。 実施例1による動作例の説明図である。 実施例2による送信アンテナの実装例の説明図である。 受信アンテナの実装例を概略的に示す断面図である。 受信アンテナの他の実装例を概略的に示す断面図である。 受信アンテナの他の実装例を概略的に示す断面図である。
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
図1Aは、実施例1による水晶振動子100を概略的に示す上面図であり、図1Bは、図1AにおけるラインB−Bに沿った概略的な断面図である。図2は、送信アンテナ60及び受信アンテナ69の実装例の説明図であり、水晶片10の2面図(上側表面及び下側表面を示す平面図)である。尚、図1Aでは、内部が見えるように、筐体30の蓋の図示を省略しており、見えない要素(外部電極41等)について破線で示されている。また、図1Aでは、水晶片10の外形線のみが一点鎖線で示される(送信アンテナ60及び受信アンテナ69等は図示されていない)。尚、図1A及び図1Bには、水晶振動子100に加えて、IC200についても図示されている。
以下では、水晶片10の厚み方向(図1Bの上下方向)を上下方向とし、筐体30の蓋のある方を「上側」とする。但し、水晶振動子100の実装状態の向きは任意である。また、以下では、「外表面」とは、筐体30における外部に露出する表面を指し、「内表面」とは、筐体30の内部空間に露出する表面を指す。また、X方向は、図1Aに示すように、水晶振動子100の主振動(厚みすべり振動)方向に対応する方向に定義する。
水晶振動子100は、水晶片10と、励振電極20と、筐体30と、外部電極41乃至44と、送信アンテナ60と、受信アンテナ69とを含む。水晶振動子100は、図1A及び図1Bに示すように、表面実装タイプである。
水晶片10は、例えばATカットされた人工水晶基板であってよい。水晶片10の外形は、任意であり、実施例1では、矩形であるが、他の形状であってもよい。水晶片10の支持構造は、任意であるが、例えば水晶片10は、筐体30に片持ち構造で支持されてよい。図1A及び図1Bに示す例では、水晶片10は、筐体30の土手部31上に片持ち構造で支持される。水晶振動子100の駆動時、水晶片10は、X方向に振動(厚みすべり振動)する。
励振電極20は、水晶片10を励振させる。水晶片10の上側表面に設けられる上側励振電極21と、水晶片10の下側表面に設けられる下側励振電極22とを含む。励振電極20は、上側励振電極21と下側励振電極22との間の電位差により水晶片10を励振させる。尚、励振電極20は、金、銀、アルミニウム等により形成されてよい。
励振電極20は、IC(Integrated Circuit)200に電気的に接続される。励振電極20とIC200との電気的な接続方法は任意である。図1A乃至図2に示す例では、上側励振電極21は、水晶片10の上側表面に形成された導体パターン47(図2参照)、電導性接着剤49、筐体30の下部の内表面に形成された導体パターン471、及びワイヤ473を介して、IC200に電気的に接続される。また、下側励振電極22は、水晶片10の下側表面に形成された導体パターン48(図2参照)、電導性接着剤49B、筐体30の下部の内表面に形成された導体パターン481、及びワイヤ483を介して、IC200に電気的に接続される。尚、ワイヤ473,483(後述のワイヤ493等も同様)は、ワイヤボンディングにより形成されてよい。尚、電導性接着剤49,49B(後述の電導性接着剤49Aも同様)は、水晶片10の縁部(片持ち支持される側の縁部)に設けられてよい。
筐体30は、水晶片10を収容する。筐体30は、例えばセラミック材料により形成される。この場合、筐体30は、例えばセラミック材料の層を積層して形成されるセラミックパッケージであってよい。筐体30は、蓋34(図1B等参照)を含み、内部空間(キャビティ)に水晶片10を気密に封入する。例えば、筐体30の内部空間は真空、又は、乾燥窒素で満たされ、蓋34で密封される。尚、蓋34は、金属板やセラミック板であってよい。
外部電極41乃至44は、筐体30に設けられる。図1A及び図1Bに示す例では、外部電極41乃至44は、筐体30の下部の外表面に設けられる。外部電極41乃至44は、IC200に電気的に接続されてよい。外部電極41乃至44とIC200との電気的な接続方法は任意である。図1A及び図1Bに示す例では、外部電極41は、筐体30の下部の外表面に形成された導体パターン411、筐体30に形成されたビア412、及びワイヤ413を介して、IC200に電気的に接続される。また、外部電極44は、同様に、筐体30の下部の外表面に形成された導体パターン441、筐体30に形成されたビア442、及びワイヤ443を介して、IC200に電気的に接続される。図示を省略したが、外部電極42,43とIC200との間も同様に導体パターン等を介して電気的に接続されてよい。
外部電極41乃至44は、筐体30の外部の装置等に電気的に接続されてよい。即ち、外部電極41乃至44は、IC200及び外部の装置に電気的に接続されることで、IC200を外部の装置等に電気的に接続する。図1A及び図1Bに示す例では、外部電極41、44は、IC200のアラーム出力端子222及びクロック出力端子220(図3参照)から各信号を取り出すために利用されてよい。また、図1A及び図1Bに示す例において、外部電極42、43は、IC200をグランド及び電源(共に図示せず)に電気的に接続するために利用されてよい(配線の図示は省略)。
送信アンテナ60及び受信アンテナ69は、線状のアンテナパターンにより形成されてよい。送信アンテナ60は、水晶振動子100の出力波形に対応する電波を送信する。受信アンテナ69は、送信アンテナ60から送信された電波を受信する。送信アンテナ60及び受信アンテナ69は、IC200にそれぞれ電気的に接続される。送信アンテナ60及び受信アンテナ69とIC200との電気的な接続方法は任意である。送信アンテナ60及び受信アンテナ69とIC200との電気的な接続は、例えば、ワイヤボンディング等により実現されてもよい。
図1A乃至図2に示す例では、送信アンテナ60及び受信アンテナ69は、水晶片10の下側表面にそれぞれ形成される。送信アンテナ60及び受信アンテナ69の各パターンは、一端が開放端を形成する。送信アンテナ60及び受信アンテナ69の各パターンの他端は、電極601,691にそれぞれ電気的に接続される。電極601は、下側励振電極22に係る電極と共用である。従って、送信アンテナ60は、下側励振電極22と共に、電極601、電導性接着剤49B、導体パターン481、及びワイヤ483を介して、IC200に電気的に接続される。但し、電極601は、下側励振電極22に係る電極と別に形成されてもよい。電極691は、図1Aに示すように、電導性接着剤49A、筐体30の下部の内表面に形成された導体パターン491、及びワイヤ493を介して、IC200に電気的に接続される。従って、受信アンテナ69は、電極691、電導性接着剤49A、導体パターン491、及びワイヤ493を介して、IC200に電気的に接続される。
尚、図1A乃至図2に示す例では、送信アンテナ60及び受信アンテナ69は、水晶片10の下側表面の双方に形成されるが、水晶片10の上側表面に形成されてもよい。
IC200は、上述のように、水晶振動子100の励振電極20、送信アンテナ60及び受信アンテナ69に電気的に接続される。IC200は、水晶振動子100と共に水晶発振器の一例を形成する。図1A及び図1Bに示す例では、IC200は、筐体30の下部の内表面上に設けられる。即ち、IC200は、筐体30の内部空間内に設けられる。但し、変形例では、IC200は、筐体30の外部に設けられてもよい。この場合、例えば、励振電極20、送信アンテナ60及び受信アンテナ69は、外部電極41乃至44にそれぞれ電気的に接続され、外部電極41乃至44にIC200が電気的に接続されてもよい。
尚、図1A及び図1Bに示す例において、IC200は、下面にバンプ(端子)を備えてよい。この場合、IC200は、ワイヤ413等に代えて、バンプを介してビア412等に電気的に接続されてもよい。
図3は、水晶振動子100及びIC200の回路構成の一例を概略的に示す図である。尚、図3においては、IC200に関して、端子内部の容量、実装基板の配線パターンの浮遊容量、水晶振動子100に流れる電流(図3の矢印i参照)を制限する抵抗等は図示が省略されている。
図3に示す例では、IC200の入力端子202及び出力端子204に水晶振動子100の上側励振電極21及び下側励振電極22がそれぞれ接続される。但し、IC200の入力端子202及び出力端子204に水晶振動子100の下側励振電極22及び上側励振電極21がそれぞれ接続されてもよい。水晶振動子100は、IC200と協動して、任意の機器(例えば基地局装置や中継局装置等のような通信制御装置)で用いられるクロック(基準クロック)を生成する。
水晶振動子100には、マッチングコンデンサ300が電気的に接続される。具体的には、第1コンデンサ302が水晶振動子100の上側励振電極21とグランドの間に電気的に接続され、第2コンデンサ304が水晶振動子100の下側励振電極22とグランドの間に電気的に接続される。マッチングコンデンサ300は、水晶振動子100からIC200の回路を含むすべての容量合計(負荷容量値)を負荷とした時に水晶振動子100の出力周波数(初期値)が所望値(設計値)になるよう調整(マッチング調整)するために設けられる。尚、図3において、点線で囲まれた範囲が発振回路を形成する。
IC200には、上述のように、送信アンテナ60及び受信アンテナ69が電気的に接続される。送信アンテナ60は、水晶振動子100の発振回路内の任意のポイントに電気的に接続される。実施例1では、一例として、上述のように、送信アンテナ60は、水晶振動子100の発振回路内の反転増幅器206と出力バッファ208との間(図3のポイントB参照)に電気的に接続される。図3に示す例では、送信アンテナ60は、下側励振電極22及びポイントBの間のポイントPと、第2コンデンサ304との間に電気的に接続されている。
送信アンテナ60は、水晶振動子100の出力波形に対応する電波を送信する。即ち、水晶振動子100が、ある周波数で発振している状態では、その周波数で送信アンテナ60に電界(定在波による電波)が発生する。即ち、水晶振動子100が発振状態にあるとき、送信アンテナ60には、水晶振動子100の出力に係る電流i(図3参照)に基づいて定在波が形成される。この結果、送信アンテナ60から電波が送信(放射)される。従って、送信アンテナ60から送信される電波は、水晶振動子100の発振レベルに応じた振幅で振動する。受信アンテナ69は、送信アンテナ60から送信される電波を受信する。従って、送信アンテナ60で発生される電波の受信信号の振幅は、水晶振動子100の発振レベルの低下に伴い低下する(図7Dを参照して後述)。
尚、図1A乃至図3に示す例では、送信アンテナ60からの電波の強度を高めるために、送信アンテナ60は、水晶振動子100の出力側に電気的に接続される。これは、上述のように、水晶振動子100の入力側と出力側においては、信号が反転増幅器206で増幅される関係上、水晶振動子100の出力側の方が信号の振幅は大きいためである。しかしながら、送信アンテナ60は、水晶振動子100の入力側に電気的に接続されてもよい。
IC200は、反転増幅器206と、出力バッファ(バッファ回路)208と、アラーム発出回路250(アラーム発生部の一例)と、利得制御回路260(利得制御部の一例)と、基準電圧発生部270とを含む。
反転増幅器206は、上述のように、水晶振動子100の出力(上側励振電極21から入力端子202に入力された信号)を反転増幅する。即ち、上側励振電極21から入力端子202に入力された信号は、反転増幅器206で反転増幅される。反転増幅された信号は、出力バッファ208に入力されると共に、出力端子204を介して下側励振電極22に入力される。
反転増幅器206は、利得(ゲイン)が可変である。尚、反転増幅器206は、自動利得制御(AGC:Automatic Gain Control)で用いられるタイプの反転増幅器(例えば可変抵抗や、電界効果トランジスタを可変抵抗素子として用いるタイプ)であってもよい。但し、実施例1では、以下で説明するように、出力が常に一定になるように反転増幅器206の利得を調整する制御(即ち自動利得制御)は実行されない。即ち、自動利得制御回路は設けられない。これにより、自動利得制御のための回路構成が不要となり、簡易な構成を実現できると共に、省電を図ることができる。
実施例1では、一例として、反転増幅器206は、図4に示すように、オペアンプOPと、抵抗R2(第1抵抗の一例)及び抵抗R3(第2抵抗の一例)とを含む。抵抗R2、R3は、オペアンプOPの出力を反転端子に戻すライン上に並列に設けられる。反転増幅器206は、更にスイッチSWを含む。スイッチSWは、オペアンプOPの反転端子が抵抗R2を介してオペアンプOPの出力端子に電気的に接続される第1状態と、オペアンプOPの反転端子が抵抗R3を介してオペアンプOPの出力端子に電気的に接続される第2状態とを切り替え可能とする。スイッチSWの状態は、利得制御回路260により制御される。第1状態では、入力電圧Viと出力電圧Voとの関係は、Vo=R2/R1×Viであり、R2/R1が増幅率となる。第2状態では、入力電圧Viと出力電圧Voとの関係は、Vo=R3/R1×Viであり、R3/R1が増幅率となる。例えばR3>R2であるとすると、R3/R1>R2/R1であるので、第2状態の方が第1状態よりも増幅率(即ち反転増幅器206の利得)が高くなる。図4に示す例によれば、可変抵抗等を用いるタイプの反転増幅器に比べて、簡易な構成で利得が可変な反転増幅器206を実現できる。
出力バッファ208は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)により形成されてよい。出力バッファ208は、入力信号(反転増幅器206で反転増幅された信号)に基づいて、水晶振動子100の発振状態を表す信号(パルス信号)を生成する。出力バッファ208は、入力信号のレベル(以下、「入力レベル」とも称する)が第1閾値を超えると“電圧VOH”を出力し、入力レベルが第2閾値を下回ると“電圧VOL”を出力する。尚、第1閾値及び第2閾値は、出力バッファ208のCMOSを形成するP型MOSとN型MOSがオン/オフする電圧値(閾値レベル)に依存し、同一に設定されてもよいし、異なるように設定されてもよい。このようにして、図3に示す例では、水晶振動子100の出力は、水晶振動子100から直接的に出力されずに、出力バッファ208を経由してクロック出力端子220に出力される。
アラーム発出回路250は、水晶振動子100が出力停止に至る前の状態(以下、「出力停止前状態」と称する)を検出する機能(以下、「出力停止前状態検出機能」と称する)を有する。尚、水晶振動子100が出力停止に至るとは、発振回路が出力停止に至ることを意味する。発振回路が出力停止に至るとは、後述のように、出力バッファ208から出力のレベルが変化しない状態(水晶振動子100の出力周波数に応じた周期で“VOH”及び“VOL”間で切り替わる正常な出力が得られない状態)への遷移を意味する。
アラーム発出回路250は、受信アンテナ69に電気的に接続される。アラーム発出回路250は、受信アンテナ69で受信される信号を監視することで、出力停止前状態検出機能を実現する。アラーム発出回路250は、受信アンテナ69で受信される信号の振幅が所定の基準値β以下となった場合に、アラームを発生する。信号の振幅とは、直近の所定周期分の信号のレベルの最大値と平均値との差や、直近の所定周期分の信号のレベルの平均値と最小値との差や、直近の所定周期分の信号のレベルの最大値と最小値との差の半分等に基づくものであってもよい。尚、アラーム発出回路250は、直近の所定周期分の信号のレベルの最大値を、振幅として用いてもよい。これは、例えば直近の1周期分の信号のレベルの最大値は、同周期における同信号の振幅と相関するためである。或いは、同様の観点から、アラーム発出回路250は、直近の所定周期分の信号の振幅値の積算値を、振幅として用いてもよい。
基準値βは、出力バッファ208への入力の振幅が入力下限値となるときの、受信アンテナ69で受信される信号の振幅Bm、よりも大きい値に設定される。例えば、基準値βは、β=1.1×Bm又はβ>1.1×Bmであってよい。出力バッファ208の入力下限値とは、出力バッファ208から出力が得られるときの出力バッファ208に対する入力レベル(例えば入力電圧の大きさ)の下限値に対応する。即ち、出力バッファ208への入力が振動していても、出力バッファ208への入力のレベルが、ある下限値を下回る状態では、CMOSがオン/オフせず、出力バッファ208から有意な出力(クロック源として機能できる出力)が得られなくなる。出力バッファ208の入力下限値とは、該下限値に対応する。尚、基準値βは、出力バッファ208の入力下限値の設計値に基づいて一律に設定されてもよい。或いは、基準値βは、出力バッファ208の個体毎に異なり得る入力下限値等に対応して、個体毎の実測値に基づいて個体別に設定されてもよい。この場合、例えば、基準値βは、水晶振動子100及びIC200を含む製品の出荷時の実測値(例えば振幅Bmの実測値)に基づいて設定されてもよい。
アラーム発出回路250が発生するアラームは、アラーム出力端子222を介して外部に出力されると共に、利得制御回路260に入力される。尚、アラーム出力端子222を介して出力されるアラームは、例えば、外部のユーザ装置(図示せず)に送信されてよい。水晶振動子100の出力が通信制御装置のクロックとして機能する場合、ユーザ装置は、例えば、基地局などを管理する中央管理サーバであってよい。この場合、アラームは、何らかの音声や表示による警報出力を引き起こす信号であってもよいし、現在の発振レベルの低下状態を表す指標値(例えば受信アンテナ69で受信される信号の振幅の現在値)の情報を含んでもよい。かかる警報出力を受けて、例えば通信事業者であるユーザは、アラームが発生した水晶振動子100(出力停止前状態が検出された水晶振動子100)を実装する通信制御装置の修理・交換作業を計画できる。
利得制御回路260は、アラームの発生と同期して反転増幅器206の利得を上げる機能を有する。即ち、利得制御回路260は、アラーム発出回路250からのアラームが入力されると、反転増幅器206の利得を第1の値から第2の値へと上げる。第2の値は、第1の値よりも有意に大きく、例えば可変領域の最大値である。これにより、反転増幅器206からの出力の振幅が増加し、出力バッファ208への入力の振幅を高めることができる。図4に示す例では、利得制御回路260は、アラーム発出回路250からのアラームが入力されると、スイッチSWを制御し、第1状態から第2状態に切り替える(図4の矢印参照)。これにより、反転増幅器206の利得がR2/R1からR3/R1に増加する。
利得制御回路260は、アラーム発出回路250からのアラームが入力されるまでは、反転増幅器206の利得を第1の値に維持し、アラームが入力されると、反転増幅器206の利得を第2の値に変更し、以後、反転増幅器206の利得を第2の値で維持する。この場合、第1の値(R2/R1)<第2の値(R3/R1)である。従って、アラーム発出回路250からのアラームが入力されるまでは、省電を図りつつ、アラーム発出回路250からのアラームが入力された以後は、反転増幅器206の利得を増加した状態を維持できる。
基準電圧発生部270は、アラーム発出回路250で用いられる基準値βに対応する電圧を発生する。例えば、基準電圧発生部270で発生する電圧は、アラーム発出回路250のコンパレータ(図示せず)に入力されてよい。
次に、図5乃至図7Dを参照して、実施例1による効果を説明する。以下では、利得制御回路260を備えていない構成である比較例との対比で実施例1による効果を説明する場合がある。
図5は、水晶振動子100が正常品である場合の特性の説明図である。
図5には、上側に、横軸に時間を取り、縦軸に水晶振動子100の出力周波数を取り、水晶振動子100の出力周波数の時間変化特性を示す周波数特性図が示される。周波数特性図には、水晶振動子100の出力周波数に対する周波数規格下限値が示されると共に、正常品に係る時間変化特性F1が示される。
図5には、下側に、横軸に時間を取り、縦軸に、図3に示す発振回路内の各ポイントA,B,Cにおいて現れる信号の振幅を取り、各ポイントA,B,Cでの振幅の時間変化特性C1a、C1b、C1cを示す出力変化特性図が示される。出力変化特性図には、出力バッファ208の入力下限値が併せて示される。
正常品の場合、図5の上側にて時間変化特性F1に示すように、エージング(経年劣化)に起因して、水晶振動子100の出力周波数は、時間の指数的な増加に比例して初期値f0から低下していく。しかしながら、正常品の場合、水晶振動子100の出力周波数は、設計寿命(例えば6年)前に周波数規格下限値を下回ることはない。尚、周波数変化の主たる原因は水晶振動子100の励振電極20の酸化である。エージングによる周波数変化量は、製造プロセスの管理等である程度コントロールできる。設計通りであれば、図5に示すように、設計寿命前に水晶振動子100の出力周波数が周波数規格下限値を割ることはない。
また、正常品の場合、図5の下側にて時間変化特性C1bに示すように、エージングに起因して、図3に示す発振回路内のポイントBにおいて現れる信号の振幅は低下する。周波数変化の場合と同様に、振幅変化の主たる原因は水晶振動子100の励振電極20の酸化による質量増加である。しかしながら、正常品の場合、設計寿命前に、図3に示すポイントBにおいて現れる信号の振幅が、出力バッファ208の入力下限値を下回らない。即ち、設計通りであれば、設計寿命前に出力バッファ208への入力の振幅が入力下限値を割ることはない。従って、正常品の場合、図5の下側にて時間変化特性C1cに示すように、図3に示すポイントCにおいて現れる信号の振幅は変化せず、一定である。即ち、正常品の場合、設計寿命に至るまで、図3に示すポイントCにおいて、水晶振動子100の出力周波数に応じた周期で“VOH”及び“VOL”間で切り替わる出力(即ち正常な出力)が得られる。
図6乃至図7Dは、異常に起因した水晶振動子100の出力停止の説明図である。図6において、t1は、水晶振動子100の作動開始時点を表し、t2は、水晶振動子100が出力停止に至る直前の時点を表し、t3は、水晶振動子100が出力停止に至った時点を表し、t4は、設計寿命の時点を表す。
図6には、上側に、横軸に時間を取り、縦軸に水晶振動子100の出力周波数を取り、水晶振動子100の出力周波数の時間変化特性を示す周波数特性図が示される。周波数特性図には、水晶振動子100の出力周波数に対する周波数規格下限値が示されると共に、正常品に係る時間変化特性F1(点線)と、設計寿命前に出力停止に至る異常品に係る時間変化特性F2(実線)とが示される。異常品に係る時間変化特性F2は、一例として、作動開始から約100日後に出力停止に至る場合を示す。
図6には、下側に、横軸に時間を取り、縦軸に振幅を取り、図3に示す各ポイントA,B,Cにおいて現れる信号の振幅の時間変化特性(異常品に係る同特性)C2a、C2b、C2cを示す出力変化特性図が示される。出力変化特性図には、出力バッファ208の入力下限値が併せて示されると共に、正常品に係る時間変化特性C1c(点線)が併せて示される。
図7A乃至図7Dは、異常品の場合に現れる信号の時系列波形を示す図である。図7Aは、図3に示すポイントAにおいて現れる信号の波形を示す。図7Bは、図3に示すポイントBにおいて現れる信号の波形を示す。図7Cは、図3に示すポイントCにおいて現れる信号の波形を示す。図7Dは、受信アンテナ69に現れる信号の波形を示す。図7A乃至図7Dには、上から順に、時点t1から一定時間内、時点t2前の一定時間内、及び時点t3から一定時間内における各波形が示される。図7Bには、入力下限値と同じ大きさの正の電圧値Vminと、入力下限値と同じ大きさの負の電圧値Vminとが併せて示される。また、図7Cには、出力VOHが超えるべき電圧レベル“High”と、出力VOLが下回るべき電圧レベル“Low”とが併せて示される。また、図7Dには、基準値βが併せて示される。
ここで、何らかの製造プロセスの異常や汚染物質の混入などにより水晶振動子100の出力周波数および発振レベルの低下速度が著しくなる場合がある。かかる場合、設計寿命前に出力停止に至る異常品が発生しうる。
具体的には、異常品の場合、図6の上側にて時間変化特性F2に示すように、水晶振動子100の出力周波数は、正常品におけるエージングに起因した低下速度よりも有意に速い速度で初期値f0から低下していく。水晶振動子100の出力がスタンドアロンシステムのクロックとして利用される場合、時刻t2までは、周波数低下が進んだとしても、若干演算スピードが落ちる程度で許容できる可能性もある。しかしながら、時刻t3では、いきなり出力停止となりシステム全体がダウンすることになる。
より具体的には、異常品の場合、図6の下側にて時間変化特性C2a及び図7Aに示すように、図3に示す発振回路内のポイントAにおいて現れる信号の振幅は、正常品におけるエージングに起因した低下量よりも有意に大きい低下量で低下する。これに伴い、異常品の場合、図6の下側にて時間変化特性C2b及び図7Bに示すように、図3に示す発振回路内のポイントBにおいて現れる信号の振幅は、正常品におけるエージングに起因した低下量よりも有意に大きい低下量で低下する。従って、異常品の場合、設計寿命前に、図3に示すポイントBにおいて現れる信号の振幅が、出力バッファ208の入力下限値を下回りうる。
この点、比較例では、図6に示す異常品の場合、図6の下側にて時間変化特性C2b及び図7Bに示すように、時刻t3で、図3に示す発振回路内のポイントBにおいて現れる信号の振幅が、出力バッファ208の入力下限値を下回る。このように、図6に示す異常品の場合、図3に示す発振回路内のポイントBにおいて現れる信号の振幅、即ち、出力バッファ208への入力の振幅は、設計寿命前に入力下限値を割る。出力バッファ208への入力の振幅が出力バッファ208の入力下限値を下回ると、図6の下側にて時間変化特性C2c及び図7Cに示すように、図3に示すポイントCにおいて現れる信号のレベルが一定値0になる。即ち、設計寿命前に、水晶振動子100が発振状態のまま(図7A参照)出力停止に至る。
ところで、水晶振動子100の異常は、異常な周波数変化を起こす場合が多い。水晶振動子100を含む発振回路は、それ自身クロック発生源であることから、水晶振動子100の周波数変化を直接的に検知するには、より精度の高い基準クロックが必要となりうる。従って、簡易的な方法で水晶振動子100の周波数の異常(例えば図6の時間変化特性F2のような特性)を検知することは困難である。
この点、汚染物質の混入などに起因した水晶振動子100の周波数変化は、図5及び図6に示すように、水晶振動子100の発振レベルの変化(低下)に相関する。これは、例えば汚染物質の混入などに起因した励振電極20の質量増加の場合、質量増加に起因して水晶振動子100の出力周波数及び発振レベルが共に低下するためである。従って、水晶振動子100の周波数変化を直接的に検知できない場合でも、水晶振動子100の発振レベルを監視することで、水晶振動子100の周波数変化を間接的に検知できうる。
他方、水晶振動子100の出力は、上述のように、水晶振動子100を含む発振回路から直接出力することはなく、出力バッファ208を経由する。出力バッファ208は、図6等に示すように、異常品の場合であっても、入力の振幅が出力バッファ208の入力下限値を超えている限り、出力バッファ208の出力は、出力周波数に対応する周波数で出力VOH及び出力VOL間を振動する。出力VOH及び出力VOLの各レベルは、異常品の場合であっても、入力の振幅が出力バッファ208の入力下限値を超えている限り、略一定である。従って、出力バッファ208からの出力に基づいて、発振回路(例えば水晶振動子100)の異常を直接読み取ることができない。そのため、水晶振動子100を含む発振回路の故障は、その出力が規格(例えば周波数規格下限値)を割る、もしくは出力停止に至って初めて判ることが多い。尚、水晶振動子100を含む発振回路の故障の主な原因は、内蔵している水晶振動子100に起因することが多い。
このように、水晶振動子100の異常は、水晶振動子100が出力停止に至って初めて判る場合が多い。これは、水晶振動子100の修理・交換タイミングが突然到来することを意味し、水晶振動子100を含む発振回路からの出力をクロック源とするシステムのユーザにとっては不都合が大きい。特に、高い信頼性が求められるシステムに水晶振動子100が用いられている場合は、システムが突然ダウンしてしまうときの弊害が大きくなり得る。また、人里離れた山中等に設置されている中継局装置などに水晶振動子100が用いられている場合は、修理・交換作業までに時間のかかる場合もあり、システムのダウン期間が長くなり得る。かかる不都合は、冗長系を設けることで、ある程度回避できるが、冗長系を設けることはコストである。
この点、実施例1によれば、上述のように、アラーム発出回路250は、受信アンテナ69で得られる信号の振幅が基準値β以下となった場合に、アラームを発生する。基準値βは、上述のように、出力バッファ208への入力の振幅が入力下限値となるときの、信号の振幅Bm、よりも大きい値に設定される。従って、実施例1によれば、図3に示す発振回路内のポイントBにおいて現れる信号の振幅が出力バッファ208の入力下限値を下回る前に、アラーム発出回路250によりアラームを発生できる。この結果、水晶振動子100を含む発振回路からの出力をクロック源とするシステムのユーザに、アラームによって修理・交換の必要性を事前に知らせることができる。即ち、水晶振動子100が出力停止に至る前に、ユーザに、アラームによって修理・交換の必要性を事前に知らせることができる。この結果、ユーザが適切な修理・交換作業を計画することで、システムが突然ダウンしてしまう事態を回避することが可能となる。
また、実施例1によれば、上述のように、利得制御回路260は、アラームの発生と同期して反転増幅器206の利得を上げる。反転増幅器206の利得が上げられると、反転増幅器206からの出力の振幅(出力バッファ208への入力の振幅)が増加する。従って、実施例1によれば、アラームの発生と同期して、出力バッファ208への入力の振幅を増加でき、その結果、水晶振動子100が出力停止に至るまでの期間を延長できる。即ち、実施例1によれば、異常品である場合でも、アラームの発生に応答して、水晶振動子100が出力停止に至るまでの期間を延長できる。この結果、ユーザは、適切な修理・交換作業を実行するための必要な時間を確保しやすくなる。かかる効果は、特に、人里離れた山中等に設置されている中継局装置などに水晶振動子100が用いられている場合に有用となる。かかる場合は、修理・交換作業までに時間のかかる場合が多いためである。
また、上述した実施例1では、発振状態の水晶振動子100の出力を、送信アンテナ60及び受信アンテナ69を介して監視できるので、発振回路から独立した監視系を形成できる。従って、実施例1によれば、発振回路に影響しない態様で、発振状態の水晶振動子100の出力を監視できる。
図8は、実施例1による動作例の説明図である。図8において、t1は、水晶振動子100の作動開始時点を表し、t5は、出力停止前状態の検出時点を表し、t6は、実施例1において水晶振動子100が出力停止に至った時点を表し、t4は、設計寿命の時点を表す。また、図8には、対比のため、図6の場合における出力停止時点t3が示される。図8には、水晶振動子100が出力停止に至るまで、水晶振動子100の修理・交換がなされない場合が示される。
図8には、前出の図6と同様、上側に、横軸に時間を取り、縦軸に水晶振動子100の出力周波数を取り、水晶振動子100の出力周波数の時間変化特性を示す周波数特性図が示される。周波数特性図には、水晶振動子100の出力周波数に対する周波数規格下限値が示されると共に、正常品に係る時間変化特性F1(点線)と、設計寿命前に出力停止に至る異常品に係る時間変化特性F3(実線)とが示される。図8での異常品は、前出の図6と同様の異常品であるとする。
図8には、前出の図6と同様、下側に、横軸に時間を取り、縦軸に振幅を取り、時間変化特性(異常品に係る同特性)C3a、C3b、C3c、及びC3dを示す出力変化特性図が示される。時間変化特性C3dは、受信アンテナ69に現れる信号の振幅の時間変化特性(異常品に係る同特性)である。出力変化特性図には、出力バッファ208の入力下限値及び基準値βが併せて示されると共に、正常品に係る時間変化特性C1c(点線)が併せて示される。
異常品の場合、図8の上側にて時間変化特性F3に示すように、前出の図6と同様、水晶振動子100の出力周波数は、正常品におけるエージングに起因した低下速度よりも有意に速い速度で初期値f0から低下していく。しかしながら、実施例1では、上述のように、利得制御回路260が機能することで、前出の図6とは異なり、時刻t3で出力停止となりシステム全体がダウンすることは防止される。即ち、異常品の場合であっても、図8の上側にて時間変化特性F3に示すように、時刻t3よりも後の時刻t6まで、システム全体がダウンするタイミングを遅らせることができる。尚、図8に示す例では、水晶振動子100の出力周波数が周波数規格下限値を下回るタイミングは、システム全体がダウンするタイミング(即ちポイントCにおいて現れる信号のレベルが一定値0になるタイミング)と同じであるが、これに限られない。但し、好ましくは、水晶振動子100の出力周波数が周波数規格下限値を下回るタイミングは、システム全体がダウンするタイミングよりも前に到来しない。
また、異常品の場合、図8の下側にて時間変化特性C3aに示すように、図3に示す発振回路内のポイントAにおいて現れる信号の振幅は、正常品におけるエージングに起因した低下量よりも有意に大きい低下量で低下する。これに伴い、異常品の場合、図8の下側にて時間変化特性C3bに示すように、図3に示す発振回路内のポイントBにおいて現れる信号の振幅は、正常品におけるエージングに起因した低下量よりも有意に大きい低下量で低下する。従って、異常品の場合、前出の図6と同様、設計寿命前に、図3に示すポイントBにおいて現れる信号の振幅が、出力バッファ208の入力下限値を下回りうる。
この点、実施例1によれば、図8の下側にて矢印で模式的に示すように、受信アンテナ69に現れる信号の振幅が基準値β以下となるタイミングである時刻t5で、アラームが発生される。これに伴い、反転増幅器206の利得が上げられ、図8の下側にて時間変化特性C3bに示すように、図3に示す発振回路内のポイントBにおいて現れる信号の振幅(出力バッファ208への入力の振幅)が増加する。尚、これに伴い、水晶振動子100の発振レベルが増加し、図8の下側にて時間変化特性C3aに示すように、図3に示す発振回路内のポイントAにおいて現れる信号の振幅が増加する。このようにして、時刻t5にて、図3に示す発振回路内のポイントBにおいて現れる信号の振幅が増加する。しかし、異常品であるが故に、その後も、図3に示す発振回路内のポイントBにおいて現れる信号の振幅は、正常品におけるエージングに起因した低下量よりも有意に大きい低下量で低下し続ける。そして、設計寿命前に、図3に示すポイントBにおいて現れる信号の振幅が、出力バッファ208の入力下限値を下回りうる。図8に示す異常品の場合、図8の下側にて時間変化特性C3bに示すように、時刻t6で、図3に示す発振回路内のポイントBにおいて現れる信号の振幅が、出力バッファ208の入力下限値を下回る。このように、図8に示す異常品の場合、図3に示す発振回路内のポイントBにおいて現れる信号の振幅、即ち、出力バッファ208への入力の振幅は、設計寿命前に入力下限値を割り、設計寿命前に、発振状態の水晶振動子100が出力停止に至る。しかしながら、実施例1では、図6と対比して分かるように、水晶振動子100が出力停止に至るタイミングt6は、図6における同タイミングt3よりも遅く到来する。即ち、実施例1では、異常品の場合であっても、比較例に比べて、水晶振動子100が出力停止に至るタイミングを遅らせることができている。換言すると、実施例1では、比較例に比べて、時刻t3〜時刻t6の期間だけ、水晶振動子100の修理・交換タイミングを遅らせることができる。尚、図8に示す例において、時刻t3〜時刻t6の期間中に、水晶振動子100の修理・交換作業を行う場合には、時刻t6でシステムが突然ダウンしてしまう事態を回避することが可能となる。
尚、上述した実施例1では、アラーム発出回路250、利得制御回路260、及び基準電圧発生部270の機能は、IC200により実現されているが、これらの少なくとも一部は、コンピューターにより実現されてもよい。例えば、アラーム発出回路250及び利得制御回路260の機能は、コンピューターのCPUがプログラムを実行することで実現され、基準電圧発生部270の機能は、コンピューターのメモリにより実現されてもよい。
[実施例2]
実施例2による水晶発振器は、実施例1による水晶発振器に対して、水晶振動子100が水晶振動子100Cで置換される点が異なる。実施例2による水晶振動子100Cは、上述した実施例1による水晶振動子100に対して、受信アンテナ69の配置が異なる。水晶振動子100Cのうちの他の構成要素は、上述した実施例1による水晶振動子100の構成要素と同一であってよく、説明を省略する。
図9は、実施例2による送信アンテナ60の実装例の説明図であり、水晶片10の2面図(上側表面及び下側表面を示す平面図)である。
図9に示すように、実施例2では、受信アンテナ69は、水晶片10には形成されない。即ち、実施例2では、図9に示すように、水晶片10には、送信アンテナ60が上述した実施例1と同様の態様で形成される。
図10A乃至図10Cは、受信アンテナ69の幾つかの実装例を概略的に示す断面図である。
受信アンテナ69は、送信アンテナ60から送信される電波を受信できる任意の位置に配置されてよい。例えば、受信アンテナ69は、図10Aに示すように、筐体30の蓋34に形成される。図10Aに示す例では、受信アンテナ69は、筐体30の蓋34の下側表面に形成されているが、蓋34の上側表面に形成されてもよい。また、受信アンテナ69は、図10Bに示すように、筐体30のキャビティの側壁部35に形成されてもよい。また、受信アンテナ69は、図10Cに示すように、IC200の上側表面に配置されてもよい。或いは、図示しないが、受信アンテナ69は、筐体30の下部の内表面に形成されてもよい。尚、図10A乃至図10Cにおいて、受信アンテナ69は、送信アンテナ60から送信される電波を受信できる限り任意のパターンで形成されてよい。
実施例2によっても、実施例1と同様の効果が得られる。
尚、実施例2では、送信アンテナ60が水晶片10に形成され、受信アンテナ69が水晶片10以外の個所に設けられているが、逆であってもよい。即ち、受信アンテナ69が水晶片10に形成され、送信アンテナ60が水晶振動子100Cにおける水晶片10以外の個所に設けられてもよい。また、送信アンテナ60及び受信アンテナ69の双方が、水晶振動子100Cにおける水晶片10以外の個所に設けられてもよい。また、送信アンテナ60及び受信アンテナ69の一方又は双方は、例えばIC200と共に、水晶振動子100Cの筐体30の外部に設けられてもよい。
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
なお、以上の実施例に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
筐体と、
前記筐体内に設けられる水晶片と、
前記水晶片に設けられる対の励振電極と、
対の前記励振電極の一方に電気的に接続される送信アンテナと、
前記送信アンテナからの電波を受信する受信アンテナと、
前記受信アンテナで受信される信号の振幅が基準値以下になった場合に、アラームを発生するアラーム発生部とを含む、水晶発振器。
(付記2)
前記基準値は、前記水晶片を含む発振回路が出力停止に至るときの前記振幅よりも大きい、付記1に記載の水晶発振器。
(付記3)
対の前記励振電極間に電気的に接続される反転増幅器と、
前記振幅が前記基準値以下になった場合に、前記反転増幅器の利得を上げる利得制御部とを更に含む、付記1又は2に記載の水晶発振器。
(付記4)
前記反転増幅器は、オペアンプと、第1抵抗と、前記第1抵抗よりも抵抗値が大きい第2抵抗とを含み、
前記利得制御部は、前記オペアンプの反転端子が前記第1抵抗を介して前記オペアンプの出力端子に電気的に接続される第1状態から、前記反転端子が前記第2抵抗を介して前記出力端子に電気的に接続される第2状態に切り替えることで、前記利得を上げる、付記3に記載の水晶発振器。
(付記5)
前記反転増幅器、前記アラーム発生部、及び前記利得制御部は、前記筐体内に設けられる、付記3又は4に記載の水晶発振器。
(付記6)
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナは、前記水晶片に形成される、付記1〜5のうちのいずれか1項に記載の水晶発振器。
(付記7)
前記送信アンテナは、前記水晶片に形成され、
前記受信アンテナは、前記筐体に形成される、付記1〜5のうちのいずれか1項に記載の水晶発振器。
(付記8)
前記反転増幅器の出力側に設けられ、入力に対する下限値を有する出力バッファを更に含み、
前記基準値は、前記反転増幅器の出力が前記下限値であるときの、前記振幅よりも大きい、付記3に記載の水晶発振器。
(付記9)
発振状態の水晶振動子の対の前記励振電極の一方に電気的に接続される送信アンテナから送信される電波を、受信アンテナで受信し、
前記受信アンテナで受信される信号の振幅に基づいて、水晶振動子の発振レベルを測定することを含む、水晶振動子の特性測定方法。
(付記10)
筐体と、
前記筐体内に設けられる水晶片と、
前記水晶片に設けられる対の励振電極と、
前記筐体又は前記水晶片に設けられ、対の前記励振電極の一方に電気的に接続される送信アンテナと、
前記筐体又は前記水晶片に設けられ、前記送信アンテナからの電波を受信する受信アンテナと、を含む水晶振動子。
10 水晶片
20 励振電極
21 上側励振電極
22 下側励振電極
30 筐体
31 土手部
34 蓋
35 側壁部
41〜44 外部電極
60 送信アンテナ
69 受信アンテナ
100、100C 水晶振動子
200 IC
206 反転増幅器
208 出力バッファ(バッファ回路)
220 クロック出力端子
222 アラーム出力端子
250 アラーム発出回路
260 利得制御回路
270 基準電圧発生部

Claims (6)

  1. 筐体と、
    前記筐体内に設けられる水晶片と、
    前記水晶片に設けられる対の励振電極と、
    対の前記励振電極の一方に電気的に接続される送信アンテナと、
    前記送信アンテナからの電波を受信する受信アンテナと、
    前記受信アンテナで受信される信号の振幅が基準値以下になった場合に、アラームを発生するアラーム発生部とを含み、
    前記送信アンテナは前記水晶片に形成され、前記受信アンテナは前記水晶片または前記筐体に形成されている、水晶発振器。
  2. 前記基準値は、前記水晶片を含む発振回路が出力停止に至るときの前記振幅よりも大きい、請求項1に記載の水晶発振器。
  3. 対の前記励振電極間に電気的に接続される反転増幅器と、
    前記振幅が前記基準値以下になった場合に、前記反転増幅器の利得を上げる利得制御部とを更に含む、請求項1又は2に記載の水晶発振器。
  4. 前記反転増幅器は、オペアンプと、第1抵抗と、前記第1抵抗よりも抵抗値が大きい第2抵抗とを含み、
    前記利得制御部は、前記オペアンプの反転端子が前記第1抵抗を介して前記オペアンプの出力端子に電気的に接続される第1状態から、前記反転端子が前記第2抵抗を介して前記出力端子に電気的に接続される第2状態に切り替えることで、前記利得を上げる、請求項3に記載の水晶発振器。
  5. 前記反転増幅器、前記アラーム発生部、及び前記利得制御部は、前記筐体内に設けられる、請求項3又は4に記載の水晶発振器。
  6. 発振状態の水晶振動子の対の励振電極の一方に電気的に接続される送信アンテナから送信される電波を、受信アンテナで受信し、
    前記受信アンテナで受信される信号の振幅に基づいて、前記水晶振動子の発振レベルを測定し、
    前記振幅が基準値以下になったときに、アラームを発生することを含む、水晶振動子の特性測定方法。
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