JP6722363B2 - パック入り焼成魚肉フレークとその製造方法 - Google Patents

パック入り焼成魚肉フレークとその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、パック入りの焼成魚肉フレークとその製造方法に関する。
サケなどの魚の身を焼いてほぐした魚肉フレークは、御飯のおかずとしてはもとより、おにぎりやパスタの具材などとしても重宝されている。魚肉フレークは一般家庭でも比較的簡単に作ることができるが、これを例えばコンビニ等で販売するおにぎりの具材用に大量に製造しようとすると、魚体から頭部や内蔵、骨を取り除く作業、及び魚肉をフレーク状にほぐす作業に手間が掛かるので、魚肉フレークをパック詰めされたパック入りの魚肉フレーク製品として大量に効率良く製造するのは容易ではない。
このため、従来から魚肉フレークの製造方法としては種々の提案が為されており、例えば、特許文献1には、魚肉又は魚肉と調味料その他添加物を二軸エクストルーダーに供給し、混練しながらダイから押し出し、適宜切断することによって魚肉フレークを製造する方法が開示されている。この方法によれば、魚肉を手ほぐしでフレーク状にする手間が省けるので、魚肉フレークを効率良く大量に製造することができる。しかしながら、この方法で得られる魚肉フレークは、魚肉が調味料などとともに混練され、適宜の大きさに切断されたものであるので、焼成した魚の身を手ほぐしして得られる魚肉フレークとは食感や外観形状が異なり、手作り感に欠けるという欠点がある。
また、特許文献2には、予め頭部や鰭部を取り除いた魚肉を、サイレントカッターで破砕することによって魚肉フレークを得る方法が開示されている。この方法においても、魚肉を手ほぐしでフレーク状にする手間が省けるので、魚肉フレークを効率良く大量に製造することができる。しかし、サイレントカッターによって魚肉が一様に切断され、かつ魚肉の繊維も切断されてしまうため、手ほぐしした魚肉フレークに比べると、外観形状や食感が異なるものとなってしまうのは避けられない。
一方、特許文献3には、風味や栄養分の低下を抑え、魚肉が細かくなり難いフレーク状魚肉食品の製造方法として、ラウンドの魚体を加圧蒸煮した後に焙焼し、攪拌機又は手ほぐしでフレーク状にするフレーク状魚肉食品の製造方法が開示されている。この方法において、効率を犠牲にして手ほぐしでフレーク状に加工する場合には、一般家庭で作られる焼成魚肉のフレークとほぼ変わらぬ外観形状及び食感を保持した魚肉フレーク製品を製造することができると考えられる。
ところが、本発明者が独自に得た知見によれば、手ほぐしで魚肉をフレーク状にほぐして製造されたと思われる魚肉フレークであっても、袋詰或いは瓶詰の形態で市場に流通している魚肉フレーク製品は、これを喫食してみると、フレークが軟らかすぎるとともに、フレークが一部身崩れしてエッジ部が立っておらず、焼成した魚肉フレーク本来の食感や外観形状が失われているものが殆どである。また、食味の点でも、一般家庭で魚を焼成し、手ほぐしして得られる魚肉フレークには及ばず、手作り感に欠けるという欠点がある。
特開平7−31428号公報 特開2007−167023号公報 特開2017−136024号公報
本発明は、上記従来の魚肉フレーク製品の問題点に鑑みて為されたもので、一般家庭で魚を焼成し、手ほぐしして得られる手作りの魚肉フレークとほぼ変わらぬ食感、食味、外観形状を有し、しかも、魚肉フレーク製品として市場に流通させることができる焼成魚肉フレークとその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく鋭意研究努力を重ねた結果、本発明者は、手ほぐしでフレーク状に加工された魚肉フレークであっても、現に市場に流通している魚肉フレーク製品が、往々にして、食感、食味、及び外観形状の点で、一般家庭で魚を焼成し、手ほぐしして得られる手作りの魚肉フレークに及ばないのは、加熱殺菌工程に原因があるのではないかとの知見を得るに至った。
すなわち、例えば、特許文献1の段落0002にも記載されているとおり、加熱処理された魚体を手作業でフレーク状にほぐすと、作業工程中に魚肉フレークが細菌で汚染される恐れがある。このため、手でほぐした魚肉フレークを魚肉フレーク製品として市場に流通させるためには、ほぐし工程の後に加熱殺菌工程が不可欠であり、この加熱殺菌工程は、通常、魚肉のフレークを袋に充填し、80℃以上の熱水中で所定時間加熱することによって行われる。
ところが、魚肉フレークを袋に充填したままで熱水中に浸漬すると、フレーク中に含まれていた水分が加熱され、水蒸気或いは熱水となって魚肉から滲み出して袋の中を循環し、魚肉フレークが、袋内で、いわば煮魚状態になってしまう。このため、フレークが過度に軟らかくなり、一部身崩れを起こすとともに、焼成による魚肉表面の熱変性によってせっかく魚肉内に留められていた旨味成分が熱水と共にフレーク外に出てしまい、外観形状や食感のみならず、食味までもが損なわれてしてしまうのではないかと考えられる。
上記知見に基づき、さらに試行錯誤を重ねた結果、本発明者は、上記のような熱水に浸漬する従来の加熱殺菌工程に代えて、手でほぐされた魚肉フレークを、開放状態のまま、過熱水蒸気に曝すことによって殺菌する方法に思い至った。
過熱水蒸気とは、良く知られているとおり、大気中で100℃以上に加熱された水蒸気で、蒸発潜熱に加えて、過熱による顕熱を有しており、食品の加熱等に使用されているものであるが、本発明者が知る限り、これを手ほぐしされた魚肉フレークの殺菌に用いた例は本願出願前、見当たらない。本発明者は、手ほぐしされ、トレイに載せられて上面が覆われておらず、開放状態に保持されている焼成魚肉フレークを、特定の条件下で過熱水蒸気に曝すことによって、魚肉フレークを、その本来の食感、食味、外観形状を損なうことなく、焼成魚肉フレーク製品として市場に流通させることができる程度に十分に細菌汚染のないものとすることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、焼成、ほぐし後に加熱殺菌された魚肉のフレークが密封パックに充填されたパック入りの焼成魚肉フレークであって、パックを開封しパックから取り出した直後に測定される前記焼成魚肉フレークの一般生菌数が100CFU/g以下であり、焼成、ほぐし後に加熱殺菌を受けない焼成魚肉フレークの食感、食味が保持されているパック入り焼成魚肉フレークを提供することによって上記の課題を達成するものである。
パックを開封しパックから取り出した直後に測定される一般生菌数が100CFU/g以下という値は、袋詰状態で熱水浸漬によって加熱殺菌して製造される従来の魚肉フレーク製品におけるパック開封直後の一般生菌数に比べて若干高めであるが、本発明者が得た知見によれば、過熱水蒸気に曝すことによって魚肉フレークが加熱殺菌された場合には、パック開封直後の一般生菌数が100CFU/g以下であれば、パック開封後、25℃で24時間又は48時間保存後も一般生菌数が比較的低く抑えられており、衛生上、まったく問題なく魚肉フレーク製品として市場に流通させることができる。これは従来の袋詰状態での熱水浸漬による加熱殺菌では予想もできなかったことである。
本発明のパック入り焼成魚肉フレークは、好適な場合、パックから取り出した直後に測定される一般生菌数が30CFU/g以下である。パックから取り出した直後に測定される一般生菌数が30CFU/g以下という値は、袋詰状態で熱水浸漬によって加熱殺菌して製造される従来の魚肉フレーク製品と同等若しくはそれ以下のレベルであり、本発明に係るパック入り焼成魚肉フレークが加熱殺菌工程において十分に殺菌されており、魚肉フレーク製品として市場に流通させることができるものであることを意味している。
また、本発明に係るパック入り焼成魚肉フレークは、加熱殺菌工程において、フレークの食感、食味が損なわれることが殆どなく、加熱殺菌前の焼成魚肉フレークの外観形状、食感、食味を保持している。加熱殺菌前の焼成魚肉フレークとは、焼成工程を経た後、例えば手ほぐしでフレーク状に加工された魚肉フレークであり、いわば、一般家庭で魚を焼いて、その身をフレーク状にほぐしてして製造される魚肉フレークに相当するものである。また、好適な場合、本発明に係るパック入り焼成魚肉フレークは、加熱殺菌工程において、フレークの外観形状が損なわれることが殆どなく、加熱殺菌前の焼成魚肉フレークの外観形状を保持している。
したがって、本発明に係るパック入り焼成魚肉フレークが加熱殺菌前の焼成魚肉フレークの食感、食味、好適には外観形状を保持しているということは、本発明に係るパック入り焼成魚肉フレークが、市場に流通することができる程度に一般生菌数を低減された密封パック入りの焼成魚肉フレーク製品であるにもかかわらず、一般家庭において手作りで作られる魚肉フレークと変わらぬ食感、食味、外観形状を有していることを意味している。
好適な一態様において、本発明に係るパック入り焼成魚肉フレークは、パックから取り出した後、25℃で48時間保存後に測定される一般生菌数が10,000CFU/g以下である。本発明に係るパック入り焼成魚肉フレークが、パックから取り出した後、25℃で48時間保存された後も、10,000CFU/g以下という極めて低い一般生菌数を示すということは、本発明に係るパック入り焼成魚肉フレークを購入した購入者が、本発明に係る焼成魚肉フレークをパックから取り出して、例えば、おにぎりの具材として使用し、当該おにぎりを25℃程度の温度環境下でパック開封から数えて48時間に相当する時間まで商品棚に陳列しても、衛生上、全く問題がないことを意味している。
好適な一態様において、本発明に係るパック入り焼成魚肉フレークは、前記加熱殺菌前の焼成魚肉フレーク、すなわち焼成、ほぐし後に加熱殺菌を受けない焼成魚肉フレークを直径20mmの球状プランジャーを用いてフレーク表面から5mm押し下げるのに要する平均荷重をA、パックを開封しパックから取り出した焼成魚肉フレークを同様にフレーク表面から5mm押し下げるのに要する平均荷重をBとしたとき、B/Aが0.65以上であり、より好適な一態様においては0.8以上であり、さらに好適な一態様においては、B/Aが0.9以上である。
フレークを表面から5mm押し下げるのに要する平均荷重とは、前記プランジャーをフレーク表面からそれぞれ1mm、2mm、3mm、4mm、及び5mm押し下げるのに要する荷重の平均値であり、平均荷重B/平均荷重Aが0.65以上、好ましくは0.8以上であるということは、本発明に係るパック入り焼成魚肉フレークが、加熱殺菌前の焼成魚肉フレークと、ほぼ変わらぬ噛み応え、すなわち食感を保持していることを意味している。また、平均荷重B/平均荷重Aが0.9以上であるということは、本発明に係るパック入り焼成魚肉フレークの食感が、加熱殺菌前の焼成魚肉フレークの食感にさらに近く、同じといっても良いほどの食感を保持していることを意味している。なお、上記平均荷重は、パックを開封しパックから取り出した焼成魚肉フレークについては、当該魚肉フレークが冷凍状態にある場合には解凍し、加熱殺菌前の焼成魚肉フレークとほぼ同じ温度にまで戻した状態で測定されるものである。
また、本発明は、焼成された魚肉のフレークを所定時間以上、所定温度以上になるように加熱して加熱殺菌する工程と、加熱殺菌された魚肉フレークを前記所定温度以上に維持したままパックに充填する工程と、前記パックを密封する工程とを含み、前記加熱殺菌する工程が、過熱水蒸気が吹き出す空間内に対象魚肉フレークを存在させることによって行われることを特徴とするパック入り焼成魚肉フレークの製造方法を提供することによって、上記課題を解決するものである。
前記所定時間とは例えば3分であり、前記所定温度とは例えば80℃である。本発明者の知識と経験によれば、魚肉フレークにかかわらず、加熱処理された食品を80℃以上に3分間以上保持すれば、製品として市場に流通させることができるレベルにまで一般生菌数を低減させることができる。
本発明に係る製造方法においては、過熱水蒸気による加熱殺菌は、過熱水蒸気が吹き出す空間内に対象魚肉フレークを存在させることによって行われる。加熱殺菌工程を経ることによって、例えば3分という所定時間以上、80℃という所定温度以上にされた魚肉フレークは、上記所定温度以上に維持されたままの状態で、パックに充填され、密封される。つまり、前記所定時間の中には、対象魚肉フレークが、過熱水蒸気が吹き出す空間内において前記所定温度に達してから所定温度以上を維持したまま前記空間内から取り出されるまでの時間と、前記空間内から取り出されてから前記所定温度以上を維持したままパックに充填、密封されるまでの時間が含まれており、その両者の合計が所定時間以上あれば良いということになる。
また、好適な一態様において、本発明に係る製造方法においては、前記加熱殺菌工程の前後で、対象魚肉フレークの質量変化が+4質量%以下に抑制されている。過熱水蒸気を用いた加熱殺菌工程において、対象魚肉フレークの質量増加は、主として、用いた過熱水蒸気が凝縮水となって対象魚肉フレークに付着することによってもたらされる。質量変化が質量比で+5%以上になると、凝縮水の付着が多くなりすぎて、魚肉フレークが焼成魚肉フレークであるにもかかわらず、濡れて湿ったような状態となるので好ましくない。前記加熱殺菌工程の前後で、対象魚肉フレークの質量変化は+4質量%以下であるのが好ましく、より好ましくは+2質量%以下、さらに好ましくは+1質量%以下である。
一方、過熱水蒸気を用いた加熱殺菌工程において、対象魚肉フレークの質量減少は、主として、加熱によりフレーク内部の水分が蒸発してしまうことによってもたらされると考えられる。製品としての歩留まりという観点からは、前記加熱殺菌工程の前後で、対象魚肉フレークの質量変化は−2質量%以下であることが好ましく、−1質量%以下であればより好ましく、質量が減少しないのがさらに好ましい。
好適な一態様において、本発明に係る製造方法においては、前記空間内に吹き出す過熱水蒸気の温度は200℃〜280℃であり、過熱水蒸気の量は70kg/h〜170kg/h(ただし、過熱水蒸気の温度が200℃及び280℃のときには過熱水蒸気の量が70kg/hの場合を除く)である。過熱水蒸気の温度及び量が上記範囲内にある場合には、過熱水蒸気による加熱殺菌工程を経ることによって、魚肉フレークを、魚種にかかわらず、安定して、3分以上、80℃以上にすることができるとともに、加熱殺菌工程前後での、対象魚肉フレークの質量変化を−2質量%〜+4質量%の範囲内に納めることができる。
なお、本発明が対象とする魚は、焼成してフレーク状に加工することができる魚であれば良く、魚の種類に特段の制限はないが、例えば、代表的なものとしては、紅サケ、アトランティックサーモンなどのサケ類、サバ、イワシ、アジ、サンマなどの青魚類、カツオ、マグロ等を挙げることができる。
また、本発明において、焼成魚肉フレークが充填されるパックは密封できるものであれば良く、パックの材質や種類、大きさには特段の制限はない。パックは柔軟な材料で構成されたパックのみならず、例えば、ガラス、プラスチック、又は金属などの硬質な材料で構成されたものであっても良い。また、パックは、その内部が真空に引かれた真空パックであっても良いし、若干の空気が残っているものであっても、不活性ガスが注入されているものであっても良い。
本発明のパック入り焼成魚肉フレークとその製造方法によれば、密封状態で市場に流通させることができる程度に一般生菌数が低減された魚肉フレーク製品でありながら、フレーク状に加工した後に加熱殺菌工程を経ない、いわゆる一般家庭で製造される手作りの焼成魚肉フレークと同様の食感、食味、好ましくは外観形状を備えた魚肉フレーク製品を提供することができるという利点が得られる。
また、本発明の製造方法によれば、魚肉フレークが高温の過熱水蒸気に曝されるので、フレーク表面がいわば二度焼きに近い状態に加熱され、焼き上げ感が向上するとともに、表面に形成された蛋白質の乾燥皮膜によって外側がカリッとし、内側がジューシーな食感が実現できる。さらに、本発明の製造方法によれば、加熱殺菌時間を従来の熱水浸漬殺菌に比べて大幅に短縮できるので、加熱殺菌工程中にフレーク内の旨味成分が失われることが防止できるとともに、パック入りの魚肉フレークの製造効率が大幅に改善されるという利点が得られる。
従来の製造方法(A)と本発明による製造方法(B)とを対比して示す工程図である。 一般家庭における製造方法を再現して得られた焼サケフレークの外観写真である。 過熱水蒸気温度200℃、過熱水蒸気量130kg/hの条件下で加熱殺菌して得られた焼サケフレークの外観写真である。 過熱水蒸気温度250℃、過熱水蒸気量130kg/hの条件下で加熱殺菌して得られた焼サケフレークの外観写真である。 過熱水蒸気温度280℃、過熱水蒸気量130kg/hの条件下で加熱殺菌して得られた焼サケフレークの外観写真である。 加熱殺菌を熱水浸漬(湯煎)で行う従来の製造方法で製造された焼サケフレークの外観写真である。
以下、本発明に係るパック入り焼成魚肉フレークとその製造方法について説明する。なお、以下、主としてサケ、カツオ、サバのフレークについて説明するが、本発明の魚肉フレークやその製造方法が、これらサケ、カツオ、サバのフレークに限られないことはいうまでもなく、カツオと身質が似ているマグロや、サバと同じく青魚と呼ばれるアジ、イワシ、サンマのフレークも当然に包含される。
図1は、パック入り焼成魚肉フレークについて、サケを例に、従来の製造方法(A)と本発明による製造方法(B)とを対比して示す工程図である。図1の左側の工程図に示すとおり、従来の製造方法(A)においては、原料として搬入されたサケの冷凍品は、解凍され、工程3においてセンターカット又は三枚卸しにされる。続く工程4においては、ピンボーンも含めて骨取り、皮取りが為され、工程5において柵取りされると、工程6で振り塩された後、なじませるために熟成され、その後、工程7において焼成される。
焼成を終えたサケの身は、続く工程8において、人手によってフレーク状にほぐされた後、工程9において適宜の調味液が添加、混合される。通常、この調味液には、適宜の調味料に加えて、静菌剤としてpH調整剤(例えば、酢酸ナトリウム)が添加される。
調味液との混合が完了したフレークは、工程10において真空包装され、次いで、工程11において加熱殺菌される。工程11の加熱殺菌工程は、通常、85〜89℃に保持された熱水中に真空包装されたサケのフレークを真空包装ごと45分間浸漬することによって行われる。加熱殺菌が完了すると、熱水から真空包装を取り出し、冷却し、凍結、梱包して、パック入りの焼サケフレーク製品とする。
一方、本発明の製造方法は図1の右側に示すとおりであり、工程1〜9、及び工程12〜14は、左側に示す従来の製造方法と同じであるが、工程10の「真空包装」及び工程11の「加熱殺菌(湯煎)」に代えて、工程αの「加熱殺菌(過熱水蒸気)」及び工程βの「ホットパック(脱気・密封)」を備えている点が従来の製造方法とは異なっている。
以下、実験によって本発明をさらに詳細に説明する。
A:紅サケ
<実験A1:過熱水蒸気による加熱殺菌試験>
原料として、紅サケの冷凍品を用い、図1の右側に示される工程1〜9までを行った後、工程αの「加熱殺菌(過熱水蒸気)」において、過熱水蒸気の温度、及び供給量を変えて、サケのフレークの芯温の変化を測定するとともに、「加熱殺菌(過熱水蒸気)」の前後におけるサケフレークの質量変化を測定した。
過熱水蒸気の発生装置としては、市販の過熱水蒸気オーブン(型式「BSCE−100−80−A01」、アサヒ装設株式会社製、有効長:920mm、有効幅:800mm)を用い、過熱水蒸気の温度を150℃、200℃、250℃、又は280℃に設定し、過熱水蒸気の供給量を70kg/h、100kg/h、130kg/h、150kg/h、又は170kg/hに変えて、加熱殺菌実験を行った。
試料となる対象サケフレークは、上述したとおり、図1の右側の「(B)本発明の製造方法」に示される工程1〜9に従って製造された。工程8の「ほぐし」は作業員による手作業で行い、工程9の「調味液添加・混合」においては、従来の製造方法におけると同様に、適宜の調味料に加えて、サケフレーク質量に対し0.6質量%の酢酸ナトリウムをpH調整剤として添加したものを使用した。
調味液の添加、混合を終えたサケフレークは、各1kgずつを耐熱性のトレイに載せて、1kg/トレイの試験体とした。各試験体を、トレイに載せたまま、蓋やフィルムでサケフレーク表面を覆うことなく開放状態で過熱水蒸気オーブンの回転ベルト上に載置し、3分15秒掛けて過熱水蒸気オーブン内を通過させることにより、過熱水蒸気が吹き出す空間内にサケフレークを存在させ、過熱水蒸気による加熱を行った。
過熱水蒸気の温度と供給量の組合せを異ならせて、温度4種×供給量5種類=計20種類パターンについて、各パターンごとに9試験体を試験した。各試験体は過熱水蒸気オーブンに入る前、及び過熱水蒸気オーブンを出た後に質量を測定し、加熱殺菌前後の質量変化を調べるとともに、9試験体中、任意に選択した3試験体につき、トレイ上に載せられたサケフレークの山の中にデータ記憶機能付の温度センサーを埋設し、サケフレークの芯温に近いと思われる温度変化を測定した。結果を表1に示す。なお、質量変化に関しては9試験体の平均値を1トレイ(1T)当たりの質量変化量及び元の試験体質量に対する百分率で示した。また、温度変化に関しては測定した3試験体中、80℃以上となった時間が最も短い試験体の時間を示してある。また、好適と思われる範囲から逸脱している数値には下線を引き、芯温80℃以上の時間と質量変化とに基づいて判定した「×」(不適)、「○」(適)、「◎」(より適)、及び「◎◎」(最適)の区別を併せて示した。
表1に示すとおり、過熱水蒸気オーブン内に吹き出す過熱水蒸気の温度が150℃の場合には、吹き出す過熱水蒸気量が70kg/h〜150kg/hの範囲では、各パターンにおいて温度測定を行った3試験体中、サケフレークの芯温が80℃以上になった時間が最も短いものは0.0分(70kg/h及び100kg/hの場合)又は2.0分(130kg/h及び150kg/hの場合)となり、目標とする3分以上には至らなかった。これは、過熱水蒸気温度150℃、過熱水蒸気供給量70kg/h〜150kg/hの条件下では、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできないことを示している。
一方、過熱水蒸気オーブン内に吹き出す過熱水蒸気の温度が150℃の場合であっても、吹き出す過熱水蒸気量が170kg/hになると、サケフレークの芯温が80℃以上になった時間は、最も短くても7.0分となり、3分を超えた。温度測定を行った3試験体中、サケフレークの芯温が80℃以上である時間が最も短いものでも3分を超えたということは、当該条件下でサケフレークを加熱すると、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできることを示している。
しかし、過熱水蒸気温度が150℃、過熱水蒸気量が170kg/hに場合には、サケフレークの質量は、加熱殺菌前後で実に5.8質量%も増加し、全体的に濡れてべちゃついた感じのするものとなった。また、質量変化に関しては、過熱水蒸気量が100kg/h〜150kg/hの場合にも同様の傾向となった。これは、過熱水蒸気の温度が150℃では低すぎて、顕熱だけではサケフレークを80℃以上に加熱することができず、過熱水蒸気が潜熱を奪われ、凝縮水となってサケフレーク表面に付着したためと思われる。以上の結果から、過熱水蒸気温度が150℃の場合には、いずれの蒸気量についても「×」(不適)と判定された。
これに対し、過熱水蒸気の温度が200℃になると、過熱水蒸気量が100kg/h、130kg/h、150kg/h、及び170kg/hの場合には、サケフレークの芯温が80℃以上となった時間は最低でも3.5分となり、3分を超えた。これは、この条件下で加熱すれば、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできることを示している。
なお、80℃以上の温度を維持していた3分を超える上記時間のうち、過熱水蒸気オーブンを出てからの時間は、温度測定を行ったいずれの試験体においても、1分を超えていた。これは、80℃以上という温度を維持したままの状態で、サケフレークをパックに充填できることを示している。このように、過熱水蒸気オーブンを出てからも試験体が1分以上も高い温度水準を維持しているのは、過熱水蒸気による加熱が蓄熱効果が大きく、試験体であるサケフレークを芯から加熱しているためではないかと考えられる。
また、過熱水蒸気温度200℃、過熱水蒸気量100kg/h〜170kg/hの場合には、加熱殺菌前後の質量変化は+2.4質量%〜+3.4質量%の範囲にあり、湿った感じもなく、焼成サケフレークとしての外観は維持されていた。過熱水蒸気温度が200℃の場合のこの結果と、過熱水蒸気温度が150℃の場合の上記結果を総合すると、湿った感じがなく、焼成サケフレークとしての外観を維持するには、加熱殺菌前後の質量変化は4.0質量%以下であるのが好ましいと判断された。
一方、過熱水蒸気の温度が200℃であっても過熱水蒸気量が70kg/hと少ない場合には、温度測定を行った3試験体のうち、80℃以上になる時間が最も短いものは0.0分という結果となり、過熱水蒸気量が不足していると判断された。
以上の結果から、過熱水蒸気温度が200℃の場合には、70kg/hの蒸気量については「×」(不適)、その他の蒸気量については「○」(適)と判定された。
過熱水蒸気の温度が250℃になると、試験したいずれの過熱水蒸気量においても、試験体であるサケフレークの芯温が80℃以上となった時間は最低でも3.0分となり、3分以上となった。これは、この条件下で加熱すれば、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできることを示している。なお、この場合にも、80℃以上の温度を維持していた3分を超える時間のうち、過熱水蒸気オーブンを出てからの時間は、温度測定を行ったいずれの試験体においても、1分を超えていた。
また、加熱殺菌前後の質量変化は+0.4質量%から+1.3質量%という狭い範囲内に収まり、湿った感じは皆無で、焼成サケフレークとしての外観は十分に維持されていた。特に、過熱水蒸気量が70kg/hから130kg/hの範囲にある場合には、加熱殺菌前後の質量変化は+1.0質量%以下となり、凝縮水が極めて少なく、焼成サケフレークの乾いた感じが十分に保持されていた。
以上の結果から、過熱水蒸気温度が250℃の場合には、150kg/h及び170kg/hの蒸気量については「◎」(より適)、70kg/h〜130kg/hの蒸気量については「◎◎」(最適)と判定された。
過熱水蒸気の温度が280℃の場合には、試験したいずれの過熱水蒸気量においても、試験体であるサケフレークの芯温が80℃以上となった時間は最低でも4.5分となり、3分以上となった。これは、この条件下で加熱すれば、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできることを示している。なお、この場合にも、80℃以上の温度を維持していた3分を超える時間のうち、過熱水蒸気オーブンを出てからの時間は、温度測定を行ったいずれの試験体においても、1分を超えていた。
ところが、加熱殺菌前後の質量変化は、−0.7質量%から−1.8質量%となり、加熱殺菌前後での質量変化はプラス(増加)からマイナス(減少)に転じた。これは、過熱水蒸気が極めて高温であったため、サケフレーク内の水分が蒸発し、外部に散逸したためではないかと思われる。サケフレークの外観が極めて乾いた感じとなっただけで、製品的には不都合は感じられなかったけれども、サケフレークの質量が加熱殺菌によって減少するのでは歩留まりが低下するので経済的に好ましいことではない。
以上の結果から、過熱水蒸気温度が280℃の場合には、いずれの蒸気量についても「○」(適)と判定されるに留まった。
以上をまとめると、サケフレークの芯温が80℃以上である時間が安定して3分以上となり、かつ、凝縮水による質量増加が+4.0質量%以下となるようにサケフレークを加熱するには、過熱水蒸気の温度が200℃で過熱水蒸気の量が70kg/hの場合を除いて、過熱水蒸気の温度を200℃〜280℃、過熱水蒸気の量を70kg/h〜170kg/hとするのが良く、好ましくは、過熱水蒸気の温度を225℃(=(200℃+250℃)/2)〜265℃(=(250℃+280℃)/2)、過熱水蒸気量を70kg/h〜170kg/hとするのが良く、さらに好ましくは、過熱水蒸気の温度を250℃、過熱水蒸気量を70kg/h〜170kg/hとするのが良く、最も好ましくは、過熱水蒸気の温度を250℃、過熱水蒸気量を70kg/h〜130kg/hとするのが良いと判断された。
<実験A2:一般生菌数試験−その1−>
工程αの「加熱殺菌(過熱水蒸気)」を、実験A1において「○」(適)以上と判定された過熱水蒸気温度と過熱水蒸気量に限定し、工程αに続いて工程β及び工程12〜14(冷却、凍結、梱包)を実施した以外は実験A1と同様にして、パック入りの焼成サケフレークを製造した。なお、製造したサケフレークは、過熱水蒸気温度と過熱水蒸気量の組み合わせ一組に対し、1試験体(サケフレーク量:1kg)であった。
製造したパック入りの焼成サケフレークを適宜の時間をおいて解凍し、常温に戻した後、開封し、パックからサケフレークを取り出して3つのトレイに分けた。一つ目のトレイに取り出されたサケフレークついては直ちに、二つ目及び三つ目のトレイについては、25℃で、それぞれ24時間及び48時間保存後に一般生菌数を測定した。結果を表2に示す。なお、保存中、トレイの上面は蓋やフィルムで覆うことなく開放状態のままとした。
一般生菌数の測定は「食品衛生検査指針 2015年」に記載された一般生菌数の測定方法に準じて行った。サケフレークは、各トレイから25gを秤取り、これを225mlの滅菌希釈水に混合した後、混合液をフィルターで濾過して濾液を取得し、これを測定に供した。
並行して、図1右側における工程α「加熱殺菌(過熱水蒸気)」及び工程β「ホットパック(脱気・密封)」を図1の左側の「(A)従来の製造方法」における工程10「真空包装」及び工程11「加熱殺菌(湯煎)」に代えた以外は同様にして、対照1となるパック入りのサケフレークを製造し、上記と同様に一般生菌数を測定した。結果を表3に示す。なお、工程11の「加熱殺菌(湯煎)」は、サケフレークを真空包装したままの状態で、85〜89℃の熱水に45分浸漬することによって行った。
表2に示すとおり、実験A1において「○」(適)以上と判定された過熱水蒸気温度及び過熱水蒸気量の組み合わせで加熱殺菌して製造されたパック入りの焼サケフレークは、いずれも、パックを開封し、取り出した直後に測定された初発の一般生菌数は100CFU/g以下、より詳細には30CFU/g以下となり、一般生菌数が極めて低減されていた。また、25℃で24時間保存後の一般生菌数は60CFU/g以下、25℃で48時間保存後の一般生菌数は10,000CFU/g以下である100CFU/g以下に留まり、室温をやや上回る25℃という条件下で保存されても、一般生菌数は極めて低いレベルのままであった。
一方、加熱殺菌を熱水への浸漬で行う従来の製造方法で製造されたパック入りの焼サケフレークの同様に測定された一般生菌数は表3に示すとおりであり、これと表2に示された本発明の製造方法で製造されたパック入りの焼サケフレークの一般生菌数を比較すると、初発、並びに25℃24時間及び25℃48時間保存のいずれにおいてほぼ変わらない。この結果は、本発明の製造方法で製造されたパック入りの焼サケフレークが、従来の製造方法で製造されているパック入りの焼サケフレークと同様に市場に流通させることができる衛生的な製品であることを如実に示している。
なお、上記一般生菌数の測定時に、対照1も含めて、各試験体について、大腸菌群数及び黄色ブドウ球菌数を測定したが、いずれの試験体も、初発、25℃24時間保存後、25℃48時間保存後も検出レベル以下という結果が得られた。なお、大腸菌群数及び黄色ブドウ球菌数の測定は、「食品衛生検査指針 2015年」に記載された大腸菌群数及び黄色ブドウ球菌数の測定方法に準じ、MPN法で行った。
<実験A3:一般生菌数試験−その2−>
一般家庭での焼サケフレークの製造方法を再現すべく、対照2として、工程を図1の左側の「(A)従来の製造方法」における工程9「調味液添加・混合」までで止めて、手ほぐし後に加熱殺菌工程を経ない焼サケフレーク(対照2)を製造するとともに、さらに、対照3として、一般家庭での焼サケフレークの製造方法をより忠実に再現すべく、工程9「調味液添加・混合」において、調味液にpH調整剤を添加しない点以外は対照2と同様にして手ほぐし後に加熱殺菌工程を経ず、しかもpH調整剤を添加しない焼サケフレーク(対照3)を製造し、実験A2におけると同様にして一般生菌数を測定した。ただし、対照2及び対照3については、真空包装及び凍結工程がないので、製造直後に一般生菌数を測定して、それを初発の一般生菌数とするとともに、製造後、25℃で24時間又は48時間保存後の一般生菌数を測定した。
また、本発明の製造方法におけるpH調整剤の影響を調べるべく、過熱水蒸気温度250℃、過熱水蒸気量130kg/hの条件下で、工程9「調味液添加・混合」において、調味液にpH調整剤を添加しない点以外は実験A2におけると同様にして、図1右側の「(B)本発明の製造方法」に基づいて、パック入りの焼サケフレーク(発明品1)を製造し、実験A2におけると同様にして一般生菌数を測定した。結果を表4に示す。
表4に示すとおり、一般家庭における焼サケフレークの製造方法を再現して得られた対照2及び対照3は、製造直後の初発から一般生菌数が2.2〜2.3×10と高いレベルにあり、25℃での24時間保存後、及び48時間保存後には、それぞれ2.8〜4.2×10及び2.2〜8.8×10という高い値になった。この事実は、やはり、手ほぐしでフレーク状に加工した場合、焼サケフレークを製品として市場に流通させるには、手ほぐし工程後に加熱殺菌工程が不可欠であることを物語っている。なお、対照2と対照3を比べると、両者は初発の一般生菌数ではほぼ同じであり、24時間又は48時間保存後には、pH調整剤を添加しない対照3よりもpH調整剤を添加した対照2の方が、一般生菌数レベルは若干低くなるものの、それでも尚、両者ともに一般生菌数は高い値となった。この結果は、pH調整剤を添加しても、手ほぐし工程後の加熱殺菌工程を省略することはできないことを物語っている。
一方、表4に見られるとおり、pH調整剤を添加しないで製造された本発明1の一般生菌数は、表2に示したpH調整剤を添加して製造されたものと変わらない。このことは、本発明のパック入り焼成魚肉フレーク及びその製造方法における一般生菌数の低減がpH調整剤によるものではないことを示している。なお、pH調整剤を添加しないで製造された本発明のパック入り焼サケフレークの大腸菌群数及び黄色ブドウ球菌数を、上記と同様にして測定したところ、共に検出限界以下であった。
<実験A4:テクスチャー試験>
製造された焼サケフレークの食感を調べるべく、クリープメータ(型式「RE3305S」、株式会社山電製、使用ロードセル:20N)を用いて、直径20mmの球状プランジャーをサケフレークの表面に押し当て、サケフレーク表面を1mm、2mm、3mm、4mm、及び5mm押し下げるのに要する荷重(N)(1Nは約100gに相当)をそれぞれ測定した。さらに、測定された各押し下げ距離における荷重の平均値を対象とした焼サケフレークごとに求め、後述する対照3の平均値を100%として相対値を算出した。結果を表5に示す。
対象としたサケフレークは、以下のとおりである。なお、発明品2〜4及び対照1は、解凍し、常温に戻した状態でクリープメータに掛けたことはいうまでもない。
・対照3:実験A3で対照3として製造された一般家庭での製造方法を再現して得られた焼サケフレーク(pH調整剤なし)。
・発明品2:実験A2で製造された過熱水蒸気温度200℃、過熱水蒸気量130kg/hの条件下で加熱殺菌された焼サケフレーク。
・発明品3:実験A2で製造された過熱水蒸気温度250℃、過熱水蒸気量130kg/hの条件下で加熱殺菌された焼サケフレーク。
・発明品4:実験A2で製造された過熱水蒸気温度280℃、過熱水蒸気量130kg/hの条件下で加熱殺菌された焼サケフレーク。
・対照1:実験A2で対照1として製造された従来の製造方法による熱水浸漬によって加熱殺菌された焼サケフレーク。
表5に見られるとおり、本発明の製造方法で製造された発明品2〜4の焼サケフレークを表面から5mmまで押し下げるに要する平均荷重の相対値は、一般家庭における焼サケフレークの製造方法を再現して得られた対照3の平均荷重の80%を超え、83%以上にも達した。この結果は、本発明の製造方法で製造された発明品2〜4の焼サケフレークが、一般家庭における製造方法で製造される焼サケフレークと、ほぼ変わらない噛み応え、すなわち食感を有するものであることを示している。中でも、過熱水蒸気温度が250℃の条件下で加熱殺菌して得られた発明品3の平均荷重の相対値は90%を超えて113%にもなり、一般家庭における製造方法で製造される焼サケフレークよりも噛み応えがあると評価されるものであった。
これに対し、従来の製造方法により、熱水浸漬によって加熱殺菌して得られた対照1の焼サケフレークは、表面から5mmまで押し下げるに要する平均荷重の相対値が69%に留まり、70%を下回った。この結果は、従来の製造方法によって得られた対照1の焼サケフレークが、一般家庭における焼サケフレークの製造方法を再現して得られた対照3よりも、明らかに軟らかく、噛み応えのない食感を有するものであることを物語っている。
参考までに、上記クリープメータによる測定時に撮影した対照3、発明品2〜4、及び対照1の外観写真を、それぞれ図2〜図6として示す。
図2に示すとおり、一般家庭における焼サケフレークの製造方法を再現して得られた対照3は、各フレークがしっかりとした明確な形状を保っており、しかもフレークのエッジ(角)が立ち、エッジが明確に見て取れる外観形状を有している。
同様に、図3〜図5に示すとおり、発明品2〜4の焼サケフレークも、各フレークがしっかりとした明確な形状を保っており、しかもフレークのエッジ(角)が立ち、明確にエッジが見て取れる外観形状を有している。このように、本発明の製造方法で製造された発明品2〜4の焼サケフレークは、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照3の焼サケフレークと比べて、ほぼ同等の外観形状を保持しており、手作り感溢れる焼サケフレークである。
これに対し、図6に示すとおり、従来の製造方法によって製造された対照1の焼サケフレークは、フレークのエッジが崩れ、全体として丸みを帯びた形状をしており、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照3の焼サケフレークとは外観形状においても、明らかに異なるものであった。
図2〜図6の写真に示す上記の結果は、クリープメータを用いて得られた平均荷重の結果と軌を一にするものであり、従来の製造方法によって製造された対照1の焼サケフレークが、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照3の焼サケフレークよりも軟らかく、噛み応えのない食感を有していると評価されるのに対し、本発明の製造方法で製造された発明品2〜4の焼サケフレークが、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照3の焼サケフレークとほぼ変わらぬ食感を保持していると評価されるものであることを、外観上からも裏付けるものである。
<実験A5:官能検査>
健康な男女合わせて30名のパネラーに、実験A4で用いたのと同じ対照3、発明品2〜4、及び対照1の焼サケフレークを試食してもらい、その外観、食感、及び食味を評価させた。評価は、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照3の焼サケフレークを基準とし、対照3と比べて、「非常に良い=5」、「良い=4」、「同等=3」、「悪い=2」、「非常に悪い=1」の五段階で行った。結果を外観、食感、食味の順に表6〜表8に示す。
表6〜表8に示すとおり、熱水浸漬による加熱殺菌工程を経て得られた従来の製造方法による対照1の焼サケフレークが、検査された外観、食感、及び食味のいずれの点においても、一般家庭における製造方法を再現して得られた焼サケフレークに比べて、「悪い=2」を下回る平均評価点となったのに対し、過熱水蒸気による加熱殺菌工程を経て得られた本発明の製造方法による発明品2、3、4の焼サケフレークは、検査された外観、食感、及び食味のいずれの点においても、一般家庭における製造方法を再現して得られた焼サケフレークに比べて、平均評価点において、「同等=3」若しくはそれ以上と評価されるものであった。
<実験A7:味覚センサー試験>
実験A4のテクスチャー試験で用いた発明品3(過熱水蒸気温度250℃、過熱水蒸気量130kg/hの条件下で加熱殺菌された焼サケフレーク)、対照1(従来の方法(89℃の熱水に45分浸漬)で加熱殺菌された焼サケフレーク、及び対照3(一般家庭での製造方法を再現して得られた焼サケフレーク)を人工脂質膜型味覚センサーを用いる味認識装置(株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー製)に掛け、対照3(一般家庭製造方法品)を基準として、各サンプルの味質の相対比較を行った。結果を表9に示す。
表9に見られるとおり、発明品3の各味の相対値は、一般家庭での製造方法を再現して得られた対照3の焼サケフレークを基準として、測定された8つの味全てにおいて、±2.0未満の範囲内に収まっていた。味認識装置によって測定される味の相対値が−2以下又は+2以上である場合には、多くの人が基準とした対照品と比べて味に差を感じるといわれているので、上記の結果は、本発明の製造方法で製造された発明品3が、一般家庭での製造方法を再現して得られた対照3の焼サケフレークとほぼ変わらない味を備えているということを示している。
これに対し、従来の熱水に浸漬する方法で加熱殺菌して製造された対照1の焼サケフレークは、酸味と渋味刺激において、測定値が2を上回り、一般家庭での製造方法を再現して得られた対照3の焼サケフレークと比べると明らかに味が異なると評価されるものであった。この味覚センサー試験における結果は、上記官能検査の結果を裏付けるものである。
このように、本発明の製造方法で製造された焼サケフレークは、一般家庭における製造方法を再現して得られた焼サケフレークに比べて勝るとも劣らない外観形状、食感、食味を保持しており、加熱殺菌前の焼サケフレークの外観形状、食感、食味が保持されているといえるものである。
<実験A8:初発一般生菌数の許容限度>
実験A2においては、過熱水蒸気温度が200℃〜280℃、過熱水蒸気量が70kg/h〜170kg/h(ただし、過熱水蒸気温度が200℃で、過熱水蒸気量が70kg/hの場合を除く)の条件下で加熱殺菌を行うと、パック入りの焼サケフレークを開封してパックから取り出した直後に測定された初発の一般生菌数が30CFU/g以下と極めて低く、開封後25℃で48時間保存した後に測定された一般生菌数が100CFU/g以下の極めて低いパック入りの焼サケフレークが得られることが分かったが、果たして過熱水蒸気による加熱殺菌の場合には、許容される初発の一般生菌数がいくらかを調べる実験を行った。
実験A1で用いたと同じ焼サケフレークを用い、過熱水蒸気温度を250℃、過熱水蒸気量を130kg/hに固定して、過熱水蒸気オーブンの通過時間を3分15秒から段階的に短くして加熱殺菌を行い、パック入りの焼成サケフレークを製造した(焼サケフレークの芯温は測定していない)。製造した焼成サケフレークを一旦冷凍後、適宜の時間をおいて解凍し、実験A2におけると同様にして、開封直後、及び25℃24時間、48時間保存後の一般生菌数を測定した。結果を表10に示す。
併せて、湯煎による加熱時間を45分から段階的に短くした以外は実験A2の対照1と同様にして、従来法による焼サケフレークを製造し、て加熱殺菌を行い、一旦冷凍後、適宜の時間をおいて解凍し、実験A2におけると同様にして、開封直後、及び25℃24時間、48時間保存後の一般生菌数を測定した。結果を表11に示す。
表10に見られるとおり、過熱水蒸気によって加熱殺菌を行った場合には、初発の一般生菌数が30CFU/gを超え、80CFU/g、さらには95CFU/gとなっても、25℃24時間保存後の一般生菌数は600CFU/gであり、いずれも1,000CFU/g以下であった。また、25℃48時間保存後の一般生菌数も8,200又は7,800CFU/gであり、いずれも10,000CFU/g以下のレベルに止まった。ところが、初発の一般生菌数が120CFU/gとなり100CFU/gを超えると、25℃24時間保存後の一般生菌数は1,000CFU/g以上となり、48時間保存後には10,000CFU/gを大きく上回る値となった。
この結果は、過熱水蒸気によって加熱殺菌を行う場合、焼成サケフレークをパックから取り出して25℃で48時間保存後も一般生菌数が10,000CFU/g以下のレベルに止まるかどうかの境目が、初発(パックから取り出した直後)の一般生菌数100CFU/gにあることを示している。すなわち、過熱水蒸気によって加熱殺菌を行う場合、初発の一般生菌数が30CFU/gを超えても、30CFU/g超〜100CFU/g以下の範囲にあれば、換言すれば、初発の一般生菌数が100CFU/gであれば、25℃程度の温度環境下でパック開封後48時間は、衛生上全く問題がないことを物語っている。
なお、初発の一般生菌数が80CFU/g及び95CFU/gであったサンプルについては、一般生菌数の測定と併せて大腸菌群数及び黄色ブドウ球菌数も測定したが、いずれも検出限界以下であった。
これに対し、表11に見られるとおり、従来の熱水浸漬による方法で加熱殺菌を行った場合には、初発の一般生菌数が、100CFU/g以下である70CFU/g又は90CFU/gの場合であっても、パック開封後25℃で48時間保存後には、一般生菌数は11,000CFU/g又は15,000CFU/gとなり、いずれも10,000CFU/gを超えた。11,000CFU/g又は15,000CFU/gという一般生菌数は、無加熱摂取冷凍食品の規格基準である10万CFU/gを超えるものではないが、加熱殺菌を過熱水蒸気で行った本発明品と比べて、明らかに高いレベルである。
このように、加熱殺菌を熱水浸漬で行った場合には、パック開封後、25℃で48時間保存後も一般生菌数を10,000CFU/g以下のレベルにとどめるには、初発の一般生菌数を90CFU/gや70CFU/gよりもさらに低いレベルに抑える必要があるが、加熱殺菌を過熱水蒸気で行う場合には、初発の一般生菌数は100CFU/g以下であればよく、加熱殺菌条件が、熱水浸漬の場合よりも大幅に緩和される。
このように、加熱殺菌を過熱水蒸気で行う場合には、許容される初発の一般生菌数レベルが、従来の熱水浸漬によって加熱殺菌を行う場合に比べて大幅に緩和されるということは、本発明者が独自に見出した新たな知見である。なお、加熱殺菌の方法によって、パックから取り出した後の一般生菌数の増殖速度が異なるのは、過熱水蒸気によって加熱殺菌を行った場合には、より乾いた魚肉のフレークが得られるからではないかと考えられる。なお、上記の結果は、焼成サケフレークについてのものであるが、他の魚種のフレークについても当然に妥当すると考えられる。
B:アトランティックサーモン
これまでは天然のサケの代表例である紅サケを用いて本発明を説明したが、同様のことが養殖のサケについてもいえるかどうかを、養殖のサケの代表例であるアトランティックサーモンを用いて検証した。
<実験B1:過熱水蒸気による加熱殺菌試験>
紅サケをアトランティックサーモンに代えた以外は実験A1と同様にして、過熱水蒸気による加熱殺菌試験を行った。結果を表12に示す。
表12に示すとおり、紅サケの場合と同様に、アトランティックサーモンの場合にも、過熱水蒸気オーブン内に吹き出す過熱水蒸気の温度が150℃の場合には、吹き出す過熱水蒸気量が70kg/h〜150kg/hの範囲では、各パターンにおいて温度測定を行った3試験体中、サケフレークの芯温が80℃以上になった時間が最も短いものは0.0分となり、目標とする3分以上には至らなかった。これは、過熱水蒸気温度150℃、過熱水蒸気供給量70kg/h〜150kg/hの条件下では、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできないことを示している。
一方、過熱水蒸気オーブン内に吹き出す過熱水蒸気の温度が150℃の場合であっても、吹き出す過熱水蒸気量が170kg/hになると、アトランティックサーモンフレークの芯温が80℃以上になった時間は、最も短くても3.5分となり、3分を超えた。しかし、過熱水蒸気温度が150℃、過熱水蒸気量が170kg/hに場合には、アトランティックサーモンフレークの質量は、加熱殺菌前後で実に4.2質量%も増加し、全体的に濡れてべちゃついた感じのするものとなった。また、質量変化に関しては、過熱水蒸気量が150kg/hの場合にも同様の傾向となった。これは、過熱水蒸気の温度が150℃では低すぎて、顕熱だけではフレークを十分に加熱することができず、過熱水蒸気が潜熱を奪われ、凝縮水となってフレーク表面に付着したためと思われる。以上の結果から、過熱水蒸気温度が150℃の場合には、いずれの蒸気量についても「×」(不適)と判定された。
これに対し、過熱水蒸気の温度が200℃になると、過熱水蒸気量が100kg/h、130kg/h、150kg/h、及び170kg/hの場合には、アトランティックサーモンフレークの芯温が80℃以上となった時間は最低でも3.0分となった。これは、この条件下で加熱すれば、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできることを示している。
なお、80℃以上の温度を維持していた3分を超える上記時間のうち、過熱水蒸気オーブンを出てからの時間は、温度測定を行ったいずれの試験体においても、1分を超えていた。これは、80℃以上という温度を維持したままの状態で、アトランティックサーモンフレークをパックに充填できることを示している。このように、過熱水蒸気オーブンを出てからも試験体が1分以上も高い温度水準を維持しているのは、過熱水蒸気による加熱が蓄熱効果が大きく、試験体であるフレークを芯から加熱しているためではないかと考えられる。
また、過熱水蒸気温度200℃、過熱水蒸気量100kg/h〜170kg/hの場合には、加熱殺菌前後の質量変化は+1.2質量%〜+2.6質量%の範囲にあり、湿った感じもなく、焼成されたアトランティックサーモンフレークとしての外観は維持されていた。過熱水蒸気温度が200℃の場合のこの結果と、過熱水蒸気温度が150℃の場合の上記結果を総合すると、湿った感じがなく、焼成アトランティックサーモンフレークとしての外観を維持するには、加熱殺菌前後の質量変化は4.0質量%以下であるのが好ましいと判断された。
一方、過熱水蒸気の温度が200℃であっても過熱水蒸気量が70kg/hと少ない場合には、温度測定を行った3試験体のうち、80℃以上になる時間が最も短いものは1.5分という結果となり、過熱水蒸気量が不足していると判断された。
以上の結果から、過熱水蒸気温度が200℃の場合には、70kg/hの蒸気量については「×」(不適)、その他の蒸気量については「○」(適)と判定された。
過熱水蒸気の温度が250℃になると、試験したいずれの過熱水蒸気量においても、試験体であるアトランティックサーモンフレークの芯温が80℃以上となった時間は最低でも3.0分以上となった。これは、この条件下で加熱すれば、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできることを示している。なお、この場合にも、80℃以上の温度を維持していた3分を超える時間のうち、過熱水蒸気オーブンを出てからの時間は、温度測定を行ったいずれの試験体においても、1分を超えていた。
また、加熱殺菌前後の質量変化は+0.0質量%から+1.0質量%という狭い範囲内に収まり、湿った感じは皆無で、焼成されたアトランティックサーモンフレークとしての外観や乾いた感じは十分に維持されていた。以上の結果から、過熱水蒸気温度が250℃の場合には、70kg/h〜170kg/hの蒸気量については、全て「◎◎」(最適)と判定された。
過熱水蒸気の温度が280℃の場合には、試験したいずれの過熱水蒸気量においても、試験体であるサーモンフレークの芯温が80℃以上となった時間は最低でも3.0分以上となった。これは、この条件下で加熱すれば、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできることを示している。なお、この場合にも、80℃以上の温度を維持していた3分を超える時間のうち、過熱水蒸気オーブンを出てからの時間は、温度測定を行ったいずれの試験体においても、1分を超えていた。
ところが、加熱殺菌前後の質量変化は、−0.3質量%から−1.7質量%となり、加熱殺菌前後での質量変化はプラス(増加)からマイナス(減少)に転じた。これは、過熱水蒸気が極めて高温であったため、フレーク内の水分が蒸発し、外部に散逸したためではないかと思われる。フレークの外観が極めて乾いた感じとなっただけで、製品的には不都合は感じられなかったけれども、フレークの質量が加熱殺菌によって減少するのでは歩留まりが低下するので経済的に好ましいことではない。
以上の結果から、過熱水蒸気温度が280℃の場合には、いずれの蒸気量についても「○」(適)と判定されるに留まった。
以上をまとめると、アトランティックサーモンフレークの芯温が80℃以上である時間が安定して3分以上となり、かつ、凝縮水による質量増加が+4.0質量%以下となるようにサケフレークを加熱するには、過熱水蒸気の温度が200℃で過熱水蒸気の量が70kg/hの場合を除いて、過熱水蒸気の温度を200℃〜280℃、過熱水蒸気の量を70kg/h〜170kg/hとするのが良く、好ましくは、過熱水蒸気の温度を225℃(=(200℃+250℃)/2)〜265℃(=(250℃+280℃)/2)、過熱水蒸気量を70kg/h〜170kg/hとするのが良く、さらに好ましくは、過熱水蒸気の温度を250℃、過熱水蒸気量を70kg/h〜170kg/hとするのが良いと判断された。この結果は、先に紅サケの焼成フレークについて示した結果と一致するものである。
<実験B2:一般生菌数試験>
紅サケをアトランティックサーモンに代え、25℃での保存24時間後の一般生菌数は測定しなかった以外は実験A2と同様にして、パック入りの焼成アトランティックサーモンフレークについて一般生菌数を測定した。すなわち、実験B1において、「○」(適)以上と判定された過熱水蒸気温度と過熱水蒸気量の組み合わせに限定し、図1の工程αに続いて工程β及び工程12〜14(冷却、凍結、梱包)を実施した以外は実験B1と同様にして、パック入りの焼成アトランティックサーモンフレークを製造した。
製造したパック入りの焼成アトランティックサーモンフレークを適宜の時間をおいて解凍し、常温に戻した後、開封し、パックからサーモンフレークを取り出して2つのトレイに分けた。一つ目のトレイに取り出されたサーモンフレークついては直ちに、二つ目のトレイについては、25℃で48時間保存後に一般生菌数を測定した。結果を表13に示す。なお、保存中、トレイの上面は蓋やフィルムで覆うことなく開放状態のままとした。
並行して、図1右側における工程α「加熱殺菌(過熱水蒸気)」及び工程β「ホットパック(脱気・密封)」を図1の左側の「(A)従来の製造方法」における工程10「真空包装」及び工程11「加熱殺菌(湯煎)」に代えた以外は同様にして、対照4となるパック入りのアトランティックサーモンフレークを製造し、上記と同様に一般生菌数を測定した。結果を表14に示す。なお、工程11の「加熱殺菌(湯煎)」は、アトランティックサーモンのフレークを真空包装したままの状態で、85〜89℃の熱水に45分浸漬することによって行った。
表13に示すとおり、実験B1において「○」(適)以上と判定された過熱水蒸気温度及び過熱水蒸気量の組み合わせで加熱殺菌して製造されたパック入りの焼成アトランティックサーモンフレークは、いずれも、パックを開封し、取り出した直後に測定された初発の一般生菌数は100CFU/g以下、詳細には30CFU/g以下となり、一般生菌数が極めて低減されていた。また、25℃で48時間保存後の一般生菌数は最大でも10,000CFU/g以下の9.2×10CFU/gに留まり、室温をやや上回る25℃という条件下で48時間保存されても、一般生菌数は衛生上何ら問題とならない低いレベルのままであった。
一方、加熱殺菌を熱水への浸漬で行う従来の製造方法で製造されたパック入りの焼成アトランティックサーモンフレークの一般生菌数は表14に示すとおりであり、これと表13に示された本発明の製造方法で製造されたパック入りの焼成アトランティックサーモンフレークの一般生菌数を比較すると、初発、並びに25℃で48時間保存のいずれにおいてほぼ変わらない。この結果は、本発明の製造方法で製造されたパック入りの焼成アトランティックサーモンフレークが、従来の熱水中への浸漬による加熱殺菌を経て製造される焼成アトランティックサーモンフレークと同様に市場に流通させることができる衛生的な製品であることを如実に示している。
なお、上記一般生菌数の測定時に、対照4も含めて、各試験体について、大腸菌群数及び黄色ブドウ球菌数を測定したが、いずれの試験体も、初発、25℃48時間保存後も検出レベル以下であった。
<実験B3:テクスチャー試験>
製造された焼成アトランティックサーモンフレークの食感を調べるべく、実験A4と同じクリープメータを用い、実験A4におけると同様にして、アトランティックサーモンフレーク表面を1mm、2mm、3mm、4mm、及び5mm押し下げるのに要する荷重(N)(1Nは約100gに相当)をそれぞれ測定した。さらに、測定された各押し下げ距離における荷重の平均値を対象とした焼成アトランティックサーモンフレークごとに求め、後述する対照5の平均値を100%として相対値を算出した。結果を表15に示す。
対象としたサケフレークは、以下のとおりである。なお、発明品5及び対照4は、解凍し、常温に戻した状態でクリープメータに掛けたことはいうまでもない。
・対照5:一般家庭での製造方法を再現して得られた焼成アトランティックサーモンフレーク。(製造工程を図1の左側の「(A)従来の製造方法」における工程9「調味液添加・混合」までで止めて、手ほぐし後に加熱殺菌工程を経ないで製造された焼成アトランティックサーモンフレーク。)
・対照4:従来の熱水浸漬によって加熱殺菌されて製造された焼成アトランティックサーモンフレーク。(実験B2で対照4として製造されたものと同じ。)
・発明品5:本発明の製造方法で製造された焼成アトランティックサーモンフレーク。(実験B2で製造された過熱水蒸気温度250℃、過熱水蒸気量130kg/hの条件下で加熱殺菌されて製造された焼成アトランティックサーモンフレーク。)
表15に見られるとおり、本発明の製造方法で製造された発明品5の焼成アトランティックサーモンフレークを表面から5mmまで押し下げるに要する平均荷重は3.17Nであり、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照5の焼成アトランティックサーモンフレークの平均荷重3.31Nを100%とする相対値で90%を超え、96%にも達した。この結果は、本発明の製造方法で製造された発明品5の焼成アトランティックサーモンフレークが、一般家庭における製造方法で製造される焼成アトランティックサーモンフレークと、ほぼ変わらない噛み応え、すなわち食感を有するものであることを示している。
これに対し、従来の熱水浸漬による加熱殺菌を経て得られた対照4の焼成アトランティックサーモンフレークは、表面から5mmまで押し下げるに要する平均荷重の相対値は対照5のわずか40%にとどまった。この結果は、従来の製造方法によって得られた対照4の焼成サーモンフレークが、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照5の焼成アトランティックサーモンフレークよりも、明らかに軟らかく、噛み応えのない食感を有するものであることを物語っている。
なお、上記のテクスチャー試験の際に、対象とした焼成アトランティックサーモンフレークの外観を観察したところ、発明品5の焼成アトランティックサーモンフレークは、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照5の焼成アトランティックサーモンフレークと同様に、各フレークがしっかりとした明確な形状を保っており、しかもフレークのエッジ(角)が立ち、焼成、ほぐし後に加熱殺菌を受けない焼成アトランティックサーモンフレークの外観形状が十分に保たれていた。
これに対し、従来の熱水に浸漬する方法で加熱殺菌された対照4の焼成アトランティックサーモンフレークは、フレークのエッジが崩れ、全体として丸みを帯びた形状をしており、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照5の焼成アトランティックサーモンフレークとは外観形状において、明らかに異なるものであった。
<実験B4:官能検査>
健康な男女合わせて10名のパネラーに、実験B3で用いたのと同じ対照5、対照4、及び発明品5の焼成アトランティックサーモンフレークを試食してもらい、その外観、食感、及び食味を評価させた。評価は、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照5の焼成アトランティックサーモンフレークを基準とし、対照5と比べて、「非常に良い=5」、「良い=4」、「同等=3」、「悪い=2」、「非常に悪い=1」の五段階で行った。結果を外観、食感、食味の順に表16〜表18に示す。
表16〜表18に示すとおり、熱水浸漬による加熱殺菌工程を経て得られた従来の製造方法による対照4の焼成アトランティックサーモンフレークが、検査された外観、食感、及び食味のいずれの点においても、一般家庭における製造方法を再現して得られた焼成アトランティックサーモンフレークに比べて、「悪い=2」か、それを下回る平均評価点となったのに対し、過熱水蒸気による加熱殺菌工程を経て得られた本発明に係る発明品5の焼成アトランティックサーモンフレークは、検査された外観、食感、及び食味のいずれの点においても、一般家庭における製造方法を再現して得られた焼成アトランティックサーモンフレークに比べて、平均評価点において、「同等=3」若しくはそれ以上と評価されるものであった。
このように、本発明の製造方法で製造された焼成アトランティックサーモンフレークは、一般家庭における製造方法を再現して得られた焼成アトランティックサーモンフレークに比べて勝るとも劣らない外観形状、食感、食味を保持しており、焼成、ほぐし後に加熱殺菌を経ない焼成アトランティックサーモンフレークの外観形状、食感、食味が保持されているといえるものである。
以上のとおり、天然のサケを代表する紅サケと、養殖のサケを代表するアトランティックサーモンにおいて、ほぼ同様の結果が得られたという事実は、天然、養殖を問わず、紅サケ及びアトランティックサーモンと身質を同じくする他のサケ類についても、本発明に係る製造方法が有効であることを物語るものである。
C:カツオ
<実験C1:過熱水蒸気による加熱殺菌試験>
紅サケをカツオに代えた以外は実験A1と同様にして、過熱水蒸気による加熱殺菌試験を行った。結果を表19に示す。
表19に示すとおり、カツオの場合、過熱水蒸気オーブン内に吹き出す過熱水蒸気の温度が150℃の場合には、吹き出す過熱水蒸気量が70kg/h〜100kg/hの範囲では、温度測定を行った3試験体中、カツオフレークの芯温が80℃以上になった時間が最も短いものは0.0分となり、目標とする3分以上には至らなかった。これは、過熱水蒸気温度150℃、過熱水蒸気供給量70kg/h〜100kg/hの条件下では、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできないことを示している。
一方、過熱水蒸気オーブン内に吹き出す過熱水蒸気の温度が150℃の場合であっても、吹き出す過熱水蒸気量が130kg/h、150kg/h、又は170kg/hになると、カツオフレークの芯温が80℃以上になった時間は、最も短くても7.0分となり、3分を超えた。しかし、過熱水蒸気温度が150℃、過熱水蒸気量が130kg/h〜170kg/hに場合には、カツオフレークの質量は、加熱殺菌前後で実に4.0質量%以上も増加し、全体的に濡れてべちゃついた感じのするものとなった。これは、過熱水蒸気の温度が150℃では低すぎて、顕熱だけではカツオフレークを十分に加熱することができず、潜熱を奪われ凝縮水となった過熱水蒸気がフレーク表面に付着するためと思われた。以上の結果から、過熱水蒸気温度が150℃の場合には、いずれの蒸気量についても「×」(不適)と判定された。
これに対し、過熱水蒸気の温度が200℃になると、過熱水蒸気量が70kg/h、100kg/h、130kg/h、150kg/h、及び170kg/hのいずれの場合にも、カツオフレークの芯温が80℃以上となった時間は最低でも3.0分となった。これは、この条件下で加熱すれば、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできることを示している。
なお、80℃以上の温度を維持していた3分を超える上記時間のうち、過熱水蒸気オーブンを出てからの時間は、温度測定を行ったいずれの試験体においても、1分を超えていた。これは、80℃以上という温度を維持したままの状態で、カツオフレークをパックに充填できることを示している。このように、過熱水蒸気オーブンを出てからも試験体が1分以上も高い温度水準を維持しているのは、過熱水蒸気による加熱が蓄熱効果が大きく、試験体であるフレークを芯から加熱しているためではないかと考えられる。
また、過熱水蒸気温度200℃、過熱水蒸気量70kg/h〜170kg/hの場合には、加熱殺菌前後の質量変化は+1.3質量%〜+3.0質量%の範囲にあり、湿った感じもなく、焼成されたカツオフレークとしての外観は維持されていた。過熱水蒸気温度が200℃の場合のこの結果と、過熱水蒸気温度が150℃の場合の上記結果を総合すると、湿った感じがなく、焼成魚肉フレークとしての外観を維持するには、加熱殺菌前後の質量変化は4.0質量%以下であるのが好ましいと判断された。
以上の結果から、過熱水蒸気温度が200℃の場合には、試験した全ての過熱水蒸気量について「○」(適)と判定された。
過熱水蒸気の温度が250℃の場合にも、試験したいずれの過熱水蒸気量においても、試験体であるカツオフレークの芯温が80℃以上となった時間は最低でも3.0分以上となった。これは、この条件下で加熱すれば、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできることを示している。なお、この場合にも、80℃以上の温度を維持していた3分を超える時間のうち、過熱水蒸気オーブンを出てからの時間は、温度測定を行ったいずれの試験体においても、1分を超えていた。
また、加熱殺菌前後の質量変化は+0.4質量%から+0.9質量%という狭い範囲内に収まり、湿った感じは皆無で、焼成されたカツオフレークとしての外観や乾いた感じは十分に維持されていた。以上の結果から、過熱水蒸気温度が250℃の場合には、70kg/h〜170kg/hの蒸気量については、全て「◎◎」(最適)と判定された。
過熱水蒸気の温度が280℃の場合には、試験したいずれの過熱水蒸気量においても、試験体であるカツオフレークの芯温が80℃以上となった時間は最低でも3.0分以上となった。これは、この条件下で加熱すれば、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできることを示している。なお、この場合にも、80℃以上の温度を維持していた3分を超える時間のうち、過熱水蒸気オーブンを出てからの時間は、温度測定を行ったいずれの試験体においても、1分を超えていた。
ところが、加熱殺菌前後の質量変化は、−0.3質量%から−1.4質量%となり、加熱殺菌前後での質量変化はプラス(増加)からマイナス(減少)に転じた。これは、過熱水蒸気が極めて高温であったため、カツオフレーク内の水分が蒸発し、外部に散逸したためではないかと思われる。フレークの外観が極めて乾いた感じとなっただけで、製品的には不都合は感じられなかったけれども、フレークの質量が加熱殺菌によって減少するのでは歩留まりが低下するので経済的に好ましいことではない。よって、過熱水蒸気温度が280℃の場合には、いずれの蒸気量についても「○」(適)と判定されるに留まった。
以上をまとめると、カツオフレークの芯温が80℃以上である時間が安定して3分以上となり、かつ、凝縮水による質量増加が+4.0質量%以下となるようにカツオフレークを加熱するには、過熱水蒸気の温度を200℃〜280℃、過熱水蒸気の量を70kg/h〜170kg/hとするのが良く、好ましくは、過熱水蒸気の温度を225℃(=(200℃+250℃)/2)〜265℃(=(250℃+280℃)/2)、過熱水蒸気量を70kg/h〜170kg/hとするのが良く、さらに好ましくは、過熱水蒸気の温度を250℃、過熱水蒸気量を70kg/h〜170kg/hとするのが良いと判断された。この結果は、過熱水蒸気温度200℃で、過熱水蒸気量70kg/hの場合を除いて、先に紅サケ及びアトランティックサーモンの焼成フレークについて示した結果と軌を一にするものである。
<実験C2:一般生菌数試験>
アトランティックサーモンに代えてカツオを用いた以外は、実験B2と同様にして、パック入りの焼成カツオフレークについて一般生菌数を測定した。すなわち、実験C1において、「○」(適)以上と判定された過熱水蒸気温度と過熱水蒸気量の組み合わせに限定し、図1の工程αに続いて工程β及び工程12〜14(冷却、凍結、梱包)を実施した以外は実験C1と同様にして、パック入りの焼成カツオフレークを製造した。
製造したパック入りの焼成カツオフレークを適宜の時間をおいて解凍し、常温に戻した後、開封し、パックからカツオフレークを取り出して2つのトレイに分けた。一つ目のトレイに取り出されたカツオフレークついては直ちに、二つ目のトレイについては、25℃で48時間保存後に一般生菌数を測定した。結果を表20に示す。なお、保存中、トレイの上面は蓋やフィルムで覆うことなく開放状態のままとした。
並行して、図1右側における工程α「加熱殺菌(過熱水蒸気)」及び工程β「ホットパック(脱気・密封)」を図1の左側の「(A)従来の製造方法」における工程10「真空包装」及び工程11「加熱殺菌(湯煎)」に代えた以外は同様にして、対照6となるパック入りのカツオフレークを製造し、上記と同様に一般生菌数を測定した。結果を表21に示す。なお、工程11の「加熱殺菌(湯煎)」は、焼成されたカツオのフレークを真空包装したままの状態で、85〜89℃の熱水に45分浸漬することによって行った。
表20に示すとおり、実験C1において「○」(適)以上と判定された過熱水蒸気温度及び過熱水蒸気量の組み合わせで加熱殺菌して製造されたパック入りの焼成カツオフレークは、いずれも、パックを開封し、パックから取り出した直後に測定された初発の一般生菌数は100CFU/g以下、詳細には30CFU/g以下となり、一般生菌数が極めて低減されていた。また、25℃で48時間保存後の一般生菌数は最大でも10,000CFU/g以下である8.7×10CFU/gに留まり、室温をやや上回る25℃という条件下で48時間保存されても、一般生菌数は衛生上何ら問題とならない低いレベルのままであった。
一方、加熱殺菌を熱水への浸漬で行う従来の加熱殺菌方法で製造されたパック入りの焼成カツオフレークの一般生菌数は表21に示すとおりである。これと表20に示された本発明の製造方法で製造されたパック入りの焼成カツオフレークの一般生菌数を比較すると、初発、並びに25℃で48時間保存のいずれにおいてほぼ変わらない。この結果は、本発明の製造方法で製造されたパック入りの焼成カツオフレークが、従来の熱水中への浸漬による加熱殺菌を経て製造される焼成カツオフレークと同様に市場に流通させることができる衛生的な製品であることを如実に示している。
なお、上記一般生菌数の測定時に、対照6も含めて、各試験体について、大腸菌群数及び黄色ブドウ球菌数を測定したが、いずれの試験体も、初発、25℃48時間保存後も検出レベル以下であった。
<実験C3:テクスチャー試験>
製造された焼成カツオサーモンフレークの食感を調べるべく、実験A4と同じクリープメータを用い、実験A4におけると同様にして、カツオフレーク表面を1mm、2mm、3mm、4mm、及び5mm押し下げるのに要する荷重(N)(1Nは約100gに相当)をそれぞれ測定した。さらに、測定された各押し下げ距離における荷重の平均値を対象とした焼成カツオフレークごとに求め、後述する対照7の平均値を100%として相対値を算出した。結果を表22に示す。
対象としたカツオフレークは、以下のとおりである。なお、発明品6及び対照6は、解凍し、常温に戻した状態でクリープメータに掛けたことはいうまでもない。
・対照7:一般家庭での製造方法を再現して得られた焼成カツオフレーク。(製造工程を図1の左側の「(A)従来の製造方法」における工程9「調味液添加・混合」までで止めて、手ほぐし後に加熱殺菌工程を経ないで製造された焼成カツオフレーク。)
・対照6:従来の熱水浸漬による加熱殺菌を経て製造された焼成カツオフレーク。(実験C2で対照6として製造されたものと同じ。)
・発明品6:本発明の製造方法で製造された焼成カツオフレーク。(実験C2で製造された過熱水蒸気温度250℃、過熱水蒸気量130kg/hの条件下で加熱殺菌されて製造された焼成カツオフレーク。)
表22に見られるとおり、本発明の製造方法で製造された発明品6の焼成カツオフレークを表面から5mmまで押し下げるに要する平均荷重は7.45Nであり、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照7の焼成カツオフレークの平均荷重8.90Nを100%とする相対値で80%を超え、84%にも達した。この結果は、本発明の製造方法で製造された発明品6の焼成カツオフレークが、一般家庭における製造方法で製造される焼成カツオフレークと、ほぼ変わらない噛み応え、すなわち食感を有するものであることを示している。
これに対し、従来の熱水浸漬による加熱殺菌を経て得られた対照6の焼成カツオフレークは、表面から5mmまで押し下げるに要する平均荷重は6.53Nであり、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照7の平均荷重100%とする相対値で80%を下回り、73%に留まった。この結果は、従来の熱水浸漬による加熱殺菌を経て得られた対照6の焼成カツオフレークが、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照7の焼成カツオフレークよりも、明らかに軟らかく、噛み応えのない食感を有するものであることを物語っている。
なお、上記のテクスチャー試験の際に、対象とした焼成カツオフレークの外観を観察したところ、発明品6の焼成カツオフレークは、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照7の焼成カツオフレークと同様に、各フレークがしっかりとした明確な形状を保っており、しかもフレークのエッジ(角)が立ち、焼成、ほぐし後に加熱殺菌を受けない焼成カツオフレークの外観形状が十分に保たれていた。
これに対し、従来の熱水に浸漬する方法で加熱殺菌された対照6の焼成カツオフレークは、フレークのエッジが崩れ、全体として丸みを帯びた形状をしており、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照7の焼成カツオフレークとは外観形状において、明らかに異なるものであった。
<実験C4:官能検査>
健康な男女合わせて10名のパネラーに、実験C3で用いたのと同じ対照7、対照6、及び発明品6の焼成カツオフレークを試食してもらい、その外観、食感、及び食味を評価させた。評価は、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照7の焼成カツオフレークを基準とし、対照7と比べて、「非常に良い=5」、「良い=4」、「同等=3」、「悪い=2」、「非常に悪い=1」の五段階で行った。結果を外観、食感、食味の順に表23〜表25に示す。
表23〜表25に示すとおり、熱水浸漬による加熱殺菌工程を経て得られた対照6の焼成カツオフレークが、検査された外観、食感、及び食味のいずれの点においても、一般家庭における製造方法を再現して得られた焼成カツオフレークに比べて、「同等=3」を下回り、「悪い=2」に近い平均評価点となったのに対し、過熱水蒸気による加熱殺菌工程を経て得られた本発明に係る発明品6の焼成カツオフレークは、検査された外観、食感、及び食味のいずれの点においても、一般家庭における製造方法を再現して得られた焼成カツオフレークに比べて、平均評価点において、「同等=3」若しくはそれ以上と評価されるものであった。
このように、本発明の製造方法で製造された焼成カツオフレークは、一般家庭における製造方法を再現して得られた焼成カツオフレークに比べて勝るとも劣らない外観形状、食感、食味を保持しており、焼成、ほぐし後に加熱殺菌を経ない焼成カツオフレークの外観形状、食感、食味が保持されているといえるものである。
D:サバ
<実験D1:過熱水蒸気による加熱殺菌試験>
紅サケをサバ(マサバ)に代えた以外は実験A1と同様にして、過熱水蒸気による加熱殺菌試験を行った。結果を表26に示す。
表26に示すとおり、サバの場合、過熱水蒸気オーブン内に吹き出す過熱水蒸気の温度が150℃の場合には、吹き出す過熱水蒸気量が70kg/h〜170kg/hの範囲では、サバフレークの芯温が、3分以上、80℃以上になったものはなかった。これは、過熱水蒸気温度150℃、過熱水蒸気供給量70kg/h〜170kg/hの条件下では、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできないことを示している。また、過熱水蒸気量が150kg/h以上になると、サバフレークの質量は、加熱殺菌前後で実に4.0質量%以上も増加し、全体的に濡れてべちゃついた感じのするものとなった。以上の結果から、過熱水蒸気温度が150℃の場合には、いずれの過熱水蒸気量についても「×」(不適)と判定された。
これに対し、過熱水蒸気の温度が200℃になると、過熱水蒸気量が70kg/hの場合には、サバフレークの芯温が80℃以上になった時間は3分未満であったものの、過熱水蒸気量が100kg/h、130kg/h、150kg/h、及び170kg/hの場合には、サバフレークの芯温が80℃以上となった時間は最低でも3.0分以上となった。この結果は、過熱水蒸気の温度が200℃、過熱水蒸気量が100kg/h、130kg/h、150kg/h、又は170kg/hの条件下で加熱すれば、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできることを示している。
なお、80℃以上の温度を維持していた3分を超える上記時間のうち、過熱水蒸気オーブンを出てからの時間は、温度測定を行ったいずれの試験体においても、1分を超えていた。これは、80℃以上という温度を維持したままの状態で、サバフレークをパックに充填できることを示している。このように、過熱水蒸気オーブンを出てからも試験体が1分以上も高い温度水準を維持しているのは、過熱水蒸気による加熱が蓄熱効果が大きく、試験体であるフレークを芯から加熱しているためではないかと考えられる。
また、過熱水蒸気温度200℃、過熱水蒸気量100kg/h〜170kg/hの場合には、加熱殺菌前後の質量変化は+1.7質量%〜+2.8質量%の範囲にあり、湿った感じもなく、焼成されたサバフレークとしての外観は維持されていた。過熱水蒸気温度が200℃の場合のこの結果と、過熱水蒸気温度が150℃の場合の上記結果を総合すると、湿った感じがなく、焼成魚肉フレークとしての外観を維持するには、先に試験したサケやカツオの場合と同様に、加熱殺菌前後の質量変化は4.0質量%以下であるのが好ましいと判断された。
以上の結果から、過熱水蒸気温度が200℃の場合には、過熱水蒸気量が70kg/hの場合については「×」(不適)、その他の過熱水蒸気量については「○」(適)と判定された。
過熱水蒸気の温度が250℃の場合には、試験したいずれの過熱水蒸気量においても、試験体であるサバフレークの芯温が80℃以上となった時間は最低でも3.0分以上となり、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできることが分かった。なお、この場合にも、80℃以上の温度を維持していた3分を超える時間のうち、過熱水蒸気オーブンを出てからの時間は、温度測定を行ったいずれの試験体においても、1分を超えていた。
また、加熱殺菌前後の質量変化は+0.2質量%から+1.0質量%という狭い範囲内に収まり、湿った感じは皆無で、焼成されたサバフレークとしての外観や乾いた感じは十分に維持されていた。以上の結果から、過熱水蒸気温度が250℃の場合には、過熱水蒸気量70kg/h〜170kg/hの全ての場合について「◎◎」(最適)と判定された。
過熱水蒸気の温度が280℃の場合には、過熱水蒸気量が70kg/hと少ないと、サバフレークの芯温が80℃以上になった時間は3分未満であったものの、過熱水蒸気量が100kg/h、130kg/h、150kg/h、及び170kg/hになると、試験体であるサバフレークの芯温が80℃以上となった時間は最低でも4.0分以上となった。これは、この条件下で加熱すれば、80℃以上、3分以上の条件を安定してクリアできることを示している。なお、この場合にも、80℃以上の温度を維持していた3分を超える時間のうち、過熱水蒸気オーブンを出てからの時間は、温度測定を行ったいずれの試験体においても、1分を超えていた。
ところが、過熱水蒸気量が100kg/h、130kg/h、150kg/h、及び170kg/hの場合、加熱殺菌前後の質量変化は、−0.6質量%から−1.1質量%となり、加熱殺菌前後での質量変化はプラス(増加)からマイナス(減少)に転じた。これは、過熱水蒸気が極めて高温であったため、サバフレーク内の水分が蒸発し、外部に散逸したためではないかと思われる。フレークの外観が極めて乾いた感じとなっただけで、製品的には不都合は感じられなかったけれども、フレークの質量が加熱殺菌によって減少するのでは歩留まりが低下するので経済的に好ましいことではない。よって、過熱水蒸気温度が280℃の場合には、過熱水蒸気量が70kg/hの場合には「×」(不適)、その他の過熱水蒸気量については「○」(適)と判定されるに留まった。
以上をまとめると、サバフレークの芯温が80℃以上である時間が安定して3分以上となり、かつ、凝縮水による質量増加が+4.0質量%以下となるようにサバフレークを加熱するには、過熱水蒸気の温度を200℃〜280℃、過熱水蒸気の量を70kg/h〜170kg/h(但し、過熱水蒸気温度が200℃又は280℃で過熱水蒸気量が70kg/hである場合は除く)とするのが良く、好ましくは、過熱水蒸気の温度を225℃(=(200℃+250℃)/2)〜265℃(=(250℃+280℃)/2)、過熱水蒸気量を70kg/h〜170kg/hとするのが良く、さらに好ましくは、過熱水蒸気の温度を250℃、過熱水蒸気量を70kg/h〜170kg/hとするのが良いと判断された。この結果は、過熱水蒸気温度280℃で過熱水蒸気量70kg/hの場合を除いて、先に紅サケ及びアトランティックサーモンの焼成フレークについて示した結果と軌を一にするものである。
<実験D2:一般生菌数試験>
アトランティックサーモンに代えてサバ(マサバ)を用いた以外は、実験B2と同様にして、パック入りの焼成サバフレークについて一般生菌数を測定した。すなわち、実験D1において、「○」(適)以上と判定された過熱水蒸気温度と過熱水蒸気量の組み合わせに限定し、図1の工程αに続いて工程β及び工程12〜14(冷却、凍結、梱包)を実施した以外は実験D1と同様にして、パック入りの焼成サバフレークを製造した。
製造したパック入りの焼成サバフレークを適宜の時間をおいて解凍し、常温に戻した後、開封し、パックからサバフレークを取り出して2つのトレイに分けた。一つ目のトレイに取り出されたサバフレークついては直ちに、二つ目のトレイについては、25℃で48時間保存後に一般生菌数を測定した。結果を表27に示す。なお、保存中、トレイの上面は蓋やフィルムで覆うことなく開放状態のままとした。
並行して、図1右側における工程α「加熱殺菌(過熱水蒸気)」及び工程β「ホットパック(脱気・密封)」を図1の左側の「(A)従来の製造方法」における工程10「真空包装」及び工程11「加熱殺菌(湯煎)」に代えた以外は同様にして、対照8となるパック入りのサバフレークを製造し、上記と同様に一般生菌数を測定した。結果を表28に示す。なお、工程11の「加熱殺菌(湯煎)」は、焼成されたサバのフレークを真空包装したままの状態で、85〜89℃の熱水に45分浸漬することによって行った。
表27に示すとおり、実験D1において「○」(適)以上と判定された過熱水蒸気温度及び過熱水蒸気量の組み合わせで加熱殺菌して製造されたパック入りの焼成サバフレークは、いずれも、パックを開封し、パックから取り出した直後に測定された初発の一般生菌数は100CFU/g以下、詳細には30CFU/g以下となり、一般生菌数が極めて低減されていた。また、25℃で48時間保存後の一般生菌数は最大でも10,000CFU/g以下である9.0×10CFU/gに留まり、室温をやや上回る25℃という条件下で48時間保存されても、一般生菌数は衛生上何ら問題とならない低いレベルのままであった。
一方、加熱殺菌を熱水への浸漬で行う従来の加熱殺菌方法で製造されたパック入りの焼成サバフレークである対照8の一般生菌数は表28に示すとおりであり、これと表27に示された本発明の製造方法で製造されたパック入りの焼成サバフレークの一般生菌数を比較すると、初発、並びに25℃で48時間保存のいずれにおいてほぼ変わらない。この結果は、本発明の製造方法で製造されたパック入りの焼成サバフレークが、従来の熱水中への浸漬による加熱殺菌を経て製造される焼成サバフレークと同様に市場に流通させることができる衛生的な製品であることを如実に示している。
なお、上記一般生菌数の測定時に、対照8も含めて、各試験体について、大腸菌群数及び黄色ブドウ球菌数を測定したが、いずれの試験体も、初発、25℃48時間保存後も検出レベル以下であった。
<実験D3:テクスチャー試験>
製造された焼成サバフレークの食感を調べるべく、実験A4で用いたと同じクリープメータを用い、実験A4におけると同様にして、サバフレーク表面を1mm、2mm、3mm、4mm、及び5mm押し下げるのに要する荷重(N)(1Nは約100gに相当)をそれぞれ測定した。さらに、測定された各押し下げ距離における荷重の平均値を対象とした焼成サバフレークごとに求め、後述する対照9の平均値を100%として相対値を算出した。結果を表29に示す。
対象としたサバフレークは、以下のとおりである。なお、発明品7及び対照8は、解凍し、常温に戻した状態でクリープメータに掛けたことはいうまでもない。
・対照9:一般家庭での製造方法を再現して得られた焼成サバフレーク。(製造工程を図1の左側の「(A)従来の製造方法」における工程9「調味液添加・混合」までで止めて、手ほぐし後に加熱殺菌工程を経ないで製造された焼成サバフレーク。)
・対照8:従来の熱水浸漬による加熱殺菌を経て製造された焼成サバフレーク。(実験D2で対照8として製造されたものと同じ。)
・発明品7:本発明の製造方法で製造された焼成サバフレーク。(実験D2で製造された過熱水蒸気温度250℃、過熱水蒸気量130kg/hの条件下で加熱殺菌されて製造された焼成サバフレーク。)
表29に見られるとおり、本発明の製造方法で製造された発明品7の焼成サバフレークを表面から5mmまで押し下げるに要する平均荷重は2.79Nであり、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照9の焼成サバフレークの平均荷重4.20Nを100%とする相対値で66%となり、65%以上となった。これに対し、従来の熱水浸漬による加熱殺菌を経て得られた対照8の焼成サバフレークは、表面から5mmまで押し下げるに要する平均荷重は1.41Nであり、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照9の平均荷重100%とする相対値で34%に留まった。
本発明の製造方法で製造された発明品7の焼成サバフレークが示した66%という平均荷重の相対値は、先に説明した焼成サケフレークやカツオフレークの80%以上又は90%以上という平均荷重の相対値には及ばないものの、従来の熱水浸漬による加熱殺菌を経て得られた対照8の焼成サバフレークの相対値34%に比べると十分に高く、発明の製造方法で製造された発明品7の焼成サバフレークが、対照8の焼成サバフレークよりは噛み応えがあり、焼成、ほぐし後に過熱殺菌を経ない一般家庭における製造方法で製造される焼成サバフレークにより近い噛み応え、すなわち食感を有するものであることを示している。
なお、上記のテクスチャー試験の際に、対象とした焼成サバフレークの外観を観察したところ、発明品7の焼成サバフレークは、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照9の焼成サバフレークと同様に、フレークの各々がしっかりとした明確な形状を保っており、しかもフレークのエッジ(角)が立ち、焼成、ほぐし後に加熱殺菌を受けない焼成サバフレークの外観形状が十分に保たれていた。
これに対し、従来の熱水に浸漬する方法で加熱殺菌された対照8の焼成サバフレークは、フレークのエッジが崩れ、全体として丸みを帯びた形状をしており、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照9の焼成サバフレークとは外観形状において、明らかに異なるものであった。
<実験D4:官能検査>
健康な男女合わせて10名のパネラーに、実験D3で用いたのと同じ対照9、対照8、及び発明品7の焼成サバフレークを試食してもらい、その外観、食感、及び食味を評価させた。評価は、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照9の焼成サバフレークを基準とし、対照9と比べて、「非常に良い=5」、「良い=4」、「同等=3」、「悪い=2」、「非常に悪い=1」の五段階で行った。結果を外観、食感、食味の順に表30〜表32に示す。
表30〜表32に示すとおり、熱水浸漬による加熱殺菌工程を経て得られた対照8の焼成サバフレークが、検査された外観、食感、及び食味のいずれの点においても、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照9の焼成サバフレークに比べて、「悪い=2」を下回る低い平均評価点となったのに対し、過熱水蒸気による加熱殺菌工程を経て得られた本発明に係る発明品7の焼成サバフレークは、検査された外観、食感、及び食味のいずれの点においても、一般家庭における製造方法を再現して得られた対照9の焼成サバフレークに比べて、平均評価点において、「同等=3」それ以上と評価されるものであった。
このように、本発明の製造方法で製造された焼成サバフレークは、一般家庭における製造方法を再現して得られた焼成サバフレークに比べて勝るとも劣らない外観形状、食感、食味を保持しており、焼成、ほぐし後に加熱殺菌を経ない焼成サバフレークの外観形状、食感、食味が保持されているといえるものである。
以上説明したとおり、本発明のパック入り焼成魚肉フレークは、ほぐし工程の後に加熱殺菌処理を受け、製品として市場に流通させることができる程度に一般生菌数が低減されたものであるにも関わらず、ほぐし工程の後に加熱殺菌処理を受けない、いわゆる一般家庭で製造される焼成魚肉フレークの外観形状、食感、食味を保持しているものであり、手作り感があり、これを例えばおにぎるの具材として使用するときには、いわば家庭で作られた魚肉フレーク入りのおにぎりかと思われるほどの満足と感動を喫食者に与えるものである。このように本発明のパック入り焼成魚肉フレーク及びその製造方法は、食を通じて、生活の向上に寄与するものであり、その産業上の有用性は多大である。

Claims (5)

  1. 焼成された魚肉のフレークを所定時間以上、所定温度以上になるように加熱して加熱殺菌する工程と、加熱殺菌された魚肉フレークを前記所定温度以上に維持したままパックに充填する工程と、前記パックを密封する工程とを含み、前記加熱殺菌する工程が、過熱水蒸気が吹き出す空間内に対象魚肉フレークを存在させることによって行われるパック入り焼成魚肉フレークの製造方法。
  2. 前記所定時間が3分であり、前記所定温度が80℃である請求項記載のパック入り焼成魚肉フレークの製造方法。
  3. 前記加熱殺菌工程の前後で、対象魚肉フレークの質量変化が+4質量%以下に抑制されている請求項又は記載のパック入り焼成魚肉フレークの製造方法。
  4. 前記空間内に吹き出す過熱水蒸気の温度が200℃〜280℃である請求項1〜3のいずれかに記載のパック入り焼成魚肉フレークの製造方法。
  5. 前記空間内に吹き出す過熱水蒸気の量が70kg/h〜170kg/h(ただし、過熱水蒸気の温度が200℃及び280℃のときには過熱水蒸気の量70kg/hの場合を除く)である請求項記載のパック入り焼成魚肉フレークの製造方法。
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