JP6717386B2 - 流体クロマトグラフ - Google Patents

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Description

本発明は、液体クロマトグラフ(以下、LCという。)や超臨界流体クロマトグラフ(以下、SFCという。)などの流体クロマトグラフに関するものである。
LCでは、通常、ニードルを用いて試料を収容した容器から試料を採取し、採取した試料を移動相の流れる流路中に注入し、分析カラムへ導入するように構成されている。ニードルによって採取した試料を分析カラムに注入する方式には、ニードルにより採取した試料の全てを分析カラムへ導入する全量注入方式(例えば、特許文献1の図1を参照。)のほか、ニードルにより採取した試料のうち所定量の試料のみを分析カラムに導入するループ注入方式がある。
全量注入方式とループ注入方式にはそれぞれ長所と短所がある。例えば、全量注入方式では、ニードルを含めたサンプリング用の流路が移動相の流れる流路系内に組み込まれるため、ニードルにより採取した試料の全てを分析カラムに導入することができるという長所を有する一方で、分析時の流路系の内部容量が大きくなり、グラジエント送液を行なう際のグラジエントの遅れ容量が大きくなるという短所がある。これに対し、ループ注入方式では、サンプリング用の流路が移動相の流れる流路系内に組み込まれないため、分析時の流路系の容量が全量注入方式よりも小さくなり、グラジエント送液を行なう際のグラジエントの遅れ容量が全量注入方式よりも小さくなるといった利点や、分析終了から次の分析開始までの流路系内の溶媒の置換に要する時間が全量注入方式よりも短くなるといった利点がある。
特開2012−163334号公報
全量注入方式とループ注入方式では流路の構成が異なり、注入方式を変更するためには、ユーザが専用キットを用いて配管構成と装置の設定を変更する必要があるが、ユーザにとってそのような変更作業は煩雑であった。
また、分析カラムをSFC用のカラムへ変更するとともに検出器の下流側に背圧制御機構(BPR)を設置し、移動相を液化二酸化炭素などSFC用の移動相に変更すれば、LCからSFCへ変更することができる。しかし、SFCは移動相として液体二酸化炭素を用いるため、一度流路を大気開放してしまう全量注入方式では液体二酸化炭素が気化していまい、試料を正確に吸引できないという問題があることから、SFCにおける試料注入方式として全量注入方式を採用することができない。したがって、元のLCの試料注入方式が全量注入方式であった場合には、分析カラムの変更やBRPの設置等だけでLCからSFCへ変更することができず、ループ注入方式への大掛かりな配管変更が必要になる。
そこで、本発明は、試料の注入方式を全量注入方式とループ注入方式との間で容易に変更することができるようにすることを目的とするものである。
本発明に係る流体クロマトグラフは、計量ポンプと、移動相を送液する移動相送液部と、先端にニードルが設けられ、前記ニードルの基端側に前記ニードルの先端から吸入された液を滞留させる第1サンプルループを有するサンプリング流路と、前記ニードルの先端を挿入させることによって前記サンプリング流路と連通するニードルポートと、前記第1サンプルループとは別途設けられた第2サンプルループと、試料を成分ごとに分離する分析カラム及び前記分析カラムで分離された試料成分を検出する検出器を有する分析流路と、前記計量ポンプを前記サンプリング流路の基端側に接続するサンプリング状態、前記移動相送液部を前記サンプリング流路の基端側に接続するとともに前記ニードルポートと前記分析流路との間を接続する全量導入状態、前記計量ポンプを前記サンプリング流路の基端側に接続するとともに前記ニードルポートと前記第2サンプルループとの間を接続する注入状態、及び前記移動相送液部を前記サンプルループの一端側に接続するとともに前記分析流路を前記サンプルループの他端側に接続するループ導入状態のいずれかの状態に切り替えるように構成された流路切替部と、を備えている。
本発明の流体クロマトグラフの好ましい一実施形態では、前記流路切替部が、複数の接続ポートを有しそれらの接続ポート間の接続を切り替える第1多ポートバルブ及び第2多ポートバルブの2つの多ポートバルブを少なくとも備えている。その場合、前記第1多ポートバルブは、前記ニードルポート、前記移動相送液部、前記第2サンプルループの一端、前記第2サンプルループの他端、前記第2多ポートバルブの1つの接続ポートに接続された連結流路がそれぞれ接続された接続ポートを有し、前記第2サンプルループの一端と前記ニードルポートとの間を接続するとともに前記移動相送液部と前記連結流路との間を接続する第1状態と、前記第2サンプルループの一端と前記移動相送液部との間を接続するとともに前記第2サンプルループの他端と前記バイパス流路との間を接続する第2状態との間で切り替えるように構成し、前記第2多ポートバルブは、前記計量ポンプ、前記サンプリング流路、前記分析流路及び前記連結流路がそれぞれ接続された接続ポートを有し、前記計量ポンプと前記サンプリング流路との間を接続するとともに前記分析流路と前記連結流路との間を接続する第1状態と、前記サンプリング流路と前記連結流路との間を接続する第2状態との間で切り替えるように構成することができる。
さらに好ましい実施形態では、前記ニードルを駆動するニードル駆動機構と、少なくとも前記計量ポンプ、前記流路切替部及び前記ニードル駆動機構の動作を制御する制御部と、をさらに備えている。
上記の場合、前記制御部は、全量注入モードとループ注入モードのうちいずれか一方のモードをユーザに選択させる注入モード選択部と、前記全量注入モードが選択されたときに、前記流路切替部を前記サンプリング状態にして分析対象の試料を前記ニードルを介して吸入した後、前記ニードルの先端を前記注入ポートに挿入するとともに前記流路切替部を前記全量導入状態に切り替え、前記移動相送液部からの移動相によって試料を前記分析流路に導入する全量注入動作を実行するように構成された全量注入動作部と、前記ループ注入モードが選択されたときに、前記流路切替部を前記サンプリング状態にして分析対象の試料を前記ニードルを介して吸入した後、前記ニードルの先端を前記注入ポートに挿入するとともに前記流路切替部を前記流入状態に切り替え、吸入した試料を前記第2サンプルループに注入し、さらにその後、前記流路切替部を前記ループ導入状態に切り替えて、前記移動相送液部からの移動相によって試料を前記分析流路に導入するループ注入動作を実行するように構成されたループ注入動作部と、を備えていることが好ましい。
制御部が上記のように構成されていることにより、ユーザが全量注入モードかループ注入モードかを選択するだけで、装置側が自動的にユーザの選択した全量注入方式又はループ注入方式のいずれかの注入方式で動作するようになり、ユーザによる操作が容易になる。
本発明に係る流体クロマトグラフは、LCであってもよいし、SFCであってもよいし、LCとSFCの各モードに切り替えられるように構成されていてもよい。
本発明の流体クロマトグラフがLCとSFCの各モードに切り替えられるように構成されている場合、前記移動相送液部は、LC用の移動相を送液する送液ポンプとSFC用の移動相を送液する送液ポンプを備え、前記分析流路は、前記検出器の出口側に該分析流路内の圧力を制御する背圧制御機構を備えている。そして、前記制御部は、前記移動相送液部と前記背圧制御機構の動作も制御するように構成されており、液体クロマトグラフモード(以下、LCモードという。)と超臨界流体クロマトグラフモード(以下、SFCモードという。)のうちいずれか一方のモードをユーザに選択させる分析モード選択部をさらに備えている。
ここで、既述のように、SFCは移動相が液体二酸化炭素であるため、一度流路を大気開放してしまう全量注入方式では液体二酸化炭素が気化していまい、試料を正確に吸引できないという問題があるため、SFCにおける注入方式として全量注入方式を採用することができない。そこで、本発明では、ユーザによりSFCモードが選択されたときは、必ずループ注入モードが選択されるように構成されていることが好ましい。そうすれば、SFCモードが選択されているにも拘わらず全量注入モードが誤って選択されることを防止することができる。
超臨界流体クロマトグラフモードが選択されたときにループ注入モードが選択されるようにする方法としては、例えば超臨界流体クロマトグラフモードが選択されたときに自動的にループ注入モードが選択されるように構成する方法、超臨界流体クロマトグラフモードが選択されたときにはループ注入モードしか選択できないようにする方法、超臨界流体クロマトグラフモードが選択されているにも拘わらず全量注入モードが選択されたときにエラーを発する方法、などが挙げられる。
本発明に係る流体クロマトグラフでは、計量ポンプをサンプリング流路の基端側に接続するサンプリング状態、移動相送液部をサンプリング流路の基端側に接続するとともにニードルポートと分析流路との間を接続する全量導入状態、計量ポンプをサンプリング流路の基端側に接続するとともにニードルポートと第2サンプルループとの間を接続する注入状態、及び移動相送液部をサンプルループの一端側に接続するとともに分析流路をサンプルループの他端側に接続するループ導入状態のいずれかの状態に切り替えるように構成された流路切替部を備えているので、試料の注入方式を、配管を組み替えることなく全量注入方式とループ注入方式の間で切り替えることができる。
流体クロマトグラフの一実施例を概略的に示すブロック図である。 同実施例の流路構成を示す概略流路構成図である。 同実施例における試料吸入時の流路構成を示す概略流路構成図である。 同実施例の全量注入モードにおける試料導入時の流路構成を示す概略流路構成図である。 同実施例のループ注入モードにおける試料注入時の流路構成を示す概略流路構成図である。 同実施例のループ注入モードにおける試料導入時の流路構成を示す概略流路構成図である。
以下、本発明の流体クロマトグラフの一実施例について、図面を用いて説明する。
まず、流体クロマトグラフの概略的な構成について、図1のブロック図を用いて説明する。
この実施例の流体クロマトグラフは、主として、計量ポンプ2、移動相送液部4、サンプリング流路6、ニードルポート14、第2サンプルループ16、分析流路18、流路切替部20及び制御部22を備えている。
移動相送液部4は、LC用又はSFC用の移動相を送液するためのポンプを備えている。後述するが、この流体クロマトグラフは、LCモードとSFCモードで動作することができる。ユーザがLCモードとSFCモードのいずれかのモードを選択するように構成されており、図2から図6に示されているように、移動相送液部4は、LC用の移動相とSFC用の移動相の両方を送液することができるように構成されている。移動相送液部4は、LCモードのときはLC用の移動相を送液し、SFCモードのときはSFC用の移動相を送液する。
サンプリング流路6は、サンプリング用のニードル8を先端に有するとともに、ニードル8を介して吸入された液を滞留させる第1サンプルループ10をニードル8の基端側に有する。ニードル8はニードル駆動機構12によって駆動される。ニードル8の駆動方向は、例えば水平面内方向と鉛直方向である。
ニードルポート14は、ニードル8の先端を挿入させることによってサンプリング流路6と連通する。
第2サンプルループ16は、サンプリング流路6の第1サンプルループ10とは別途設けられ、ニードル14を介して注入された試料を一時的に滞留させるためのものである。
分析流路18は、図1では示されていないが、試料を成分ごとに分離するための分析カラム、分析カラムにおいて分離された試料成分を検出する検出器、及び分析流路18内の圧力を制御する背圧制御機構(以下、BPR)を備えている。LCモードが選択されたときは、分析流路18のBPRは不要であり動作しない。他方、SFCモードが選択されたときは、分析流路18のBPRが分析流路18内の圧力を所定の圧力にするように動作する。所定の圧力とは、分析流路18を流れる移動相が超臨界状態で維持されるような圧力である。
流路切替部20は、計量ポンプ2、移動相送液部4、サンプリング流路6、ニードルポート14、第2サンプルループ16及び分析流路18を組み込んだ流路構成を変更するためのものである。流路切替部20は少なくとも4つの状態のいずれかに切り替えることができる。
流路切換部20が切り替えられる4つの状態とは、計量ポンプ2とサンプリング流路6との間を接続する吸入状態、移動相送液部4とサンプリング流路6との間を接続するとともにニードルポート14と分析流路18との間を接続する全量導入状態、計量ポンプ2とサンプリング流路6との間を接続するとともにニードルポート14と第2サンプルループ16との間を接続する注入状態、及び移動相送液部4と第2サンプルループ16の一端を接続するとともに第2サンプルループ16の他端と分析流路18との間を接続するループ導入状態である。各状態の流路構成については、図3から図6を用いて後述する。
制御部22は、計量ポンプ2、移動相送液部4、ニードル駆動機構12及び流路切替部20の動作を制御する。制御部22には、分析モード選択部24、注入モード選択部26、全量注入動作部28及びループ注入動作部30が設けられている。
分析モード選択部24は、分析モードとしてLCモードとSFCモードのいずれか一方をユーザに選択させるように構成されている。LCモードが選択されたときは、移動相送液部4からLC用の移動相を送液させるとともに、分析流路18のBPRを停止させることで、この流体クロマトグラフをLCとして構成する。他方、SFCモードが選択されたときは、移動相送液部4からSFC用の移動相を送液させるとともに、分析流路18のBPRを動作させて分析流路18内の圧力を所定圧力に調整することで、この流体クロマトグラフをSFCとして構成する。
注入モード選択部26は、注入モードとして全量注入モードとループ注入モードのいずれか一方をユーザに選択させるように構成されている。
全量注入動作部28は、全量注入モードが選択されたときに、全量注入動作が実行されるように計量ポンプ2、移動相送液部4、ニードル駆動機構12及び流路切替部20の動作を制御するように構成されている。全量注入動作とは、流路切替部20を注入状態にしてニードル8から試料を吸入し第1サンプルループ10に試料を滞留させた後、ニードル8の先端をニードルポート14に挿入し、流路切替部20を全量導入モードに切り替えることで、移動相送液部4からの移動相によって第1サンプルループ10に滞留した試料の全てを分析流路18へ導く動作である。
ループ注入動作部30は、注入モードとしてループ注入モードが選択されたときに、ループ注入動作が実行されるように計量ポンプ2、移動相送液部4、ニードル駆動機構12及び流路切替部20の動作を制御するように構成されている。ループ注入動作とは、流路切替部20を注入状態にしてニードル8から試料を吸入し第1サンプルループ10に試料を滞留させた後、ニードル8の先端をニードルポート14に挿入し、流路切替部20を注入状態に切り替えて、第1サンプルループ10に滞留した試料のうち所定量の試料をニードルポート14を介して第2サンプルループ16に注入し、その後、流路切替部20をループ導入状態に切り替えて、移動相送液部4からの移動相によって第2サンプルループ16に滞留した試料を分析流路18へ導く動作である。
なお、分析モードとしてSFCモードが選択された場合、注入モードとして必ずループ注入モードが選択されるように構成されている。「必ずループ注入モードが選択される」ためには、SFCモードが選択されたときに、ユーザが選択するまでもなくループ注入モードが自動的に選択されるように構成されていてもよいし、SFCモードが選択されているにも拘わらず全量注入モードが選択されたときにエラーを発するように構成されていてもよいし、SFCモードが選択されたときに全量注入モードが選択できないように構成されていてもよい。
次に、上記流体クロマトグラフの具体的な流路構成の一実施例について、図2を用いて説明する。
この実施例において、図1における流路切替部20は、3つの切替バルブ32(第1多ポートバルブ)、切替バルブ34(第2多ポートバルブ)及び切替バルブ36によって構成されている。切替バルブ32と34のそれぞれは、同一円周上に均等かつ反時計回りに配置された6つの接続ポートa〜fを有する6ポートバルブであり、互いに隣り合う接続ポート間の接続を切り替えるものである。切替バルブ36は、同一円周上に均等かつ反時計回りに配置された6つの接続ポートa〜fとそれらの接続ポートa〜fの中央部に配置された中央ポートgを有する7ポートバルブである。
切替バルブ32と切替バルブ34のそれぞれの接続ポートaが連結流路38によって互いに接続されており、切替バルブ32と切替バルブ34のそれぞれの接続ポートeがバイパス流路40によって互いに接続されている。切替バルブ34の接続ポートcと切替バルブ36の接続ポートaはポンプ接続流路42によって互いに接続されている。
切替バルブ32について、接続ポートbには移動相送液部4からの移動相送液流路44が接続され、接続ポートcには第2サンプルループ16の一端が接続され、ポートdにはニードルポート14が接続され、ポートfには第2サンプルループ16の他端が接続されている。切替バルブ32は、接続ポートa−b間、c−d間及びe−f間を連通させる第1状態(図5の切替バルブ32の状態)と、接続ポートa−f間、b−c間及びd−e間を連通させる第2状態(図2の切替バルブ32の状態)のいずれか一方の状態に切り替えることができる。
切替バルブ34について、接続ポートbにはサンプリング流路6の基端が接続され、接続ポートdはドレインへ通じ、接続ポートfには分析流路18が接続されている。切替バルブ34は、接続ポートa−b間、c−d間及びe−f間を連通させる第2状態(図2の切替バルブ34の状態)と、接続ポートa−f間、b−c間及びd−e間を連通させる第1状態(図3の切替バルブ34の状態)のいずれか一方の状態に切り替えることができる。
切替バルブ36について、接続ポートbには計量ポンプ2の第1の吸入吐出口に通じる第1ポンプ流路54が接続され、接続ポートc、d及びeにはそれぞれ洗浄液容器に通じる洗浄液流路60、62及び64が接続され、接続ポートfには洗浄ポート70へ通じる洗浄用流路68が接続され、中央ポートgには計量ポンプ2の第2の吸入吐出口に通じる第2ポンプ流路56が接続されている。第2ポンプ流路56上にはマニュアルプライム用バルブ58が設けられている。切替バルブ36は、接続ポートa〜fのうち互いに隣り合う1組の接続ポート間を接続するか、又は中央ポートgを接続ポートa〜fのうちのいずれか1つに接続することができる。
移動相送液部4は、この実施例においては、3種類の溶媒を移動相として送液するための送液ポンプ46、48及び50を備えている。送液ポンプ46と48はSFC用の移動相を送液するために用いられ、送液ポンプ48と50はLC用の移動相を送液するために用いられる。例えば、送液ポンプ46は液化二酸化炭素を送液し、送液ポンプ48はエタノールやメタノールを送液し、送液ポンプ50は水を送液する。分析モードとしてLCモードが選択されたときは、送液ポンプ48と50によってエタノールやメタノールなどの有機溶媒と水が脱気装置を通じてミキサ52へ送液され、それらの混合液が移動相として移動相送液流路44を通じて供給される。分析モードとしてSFCモードが選択されたときは、送液ポンプ46と48によってエタノールやメタノールなどのモディファイアと液化二酸化炭素が脱気装置を通じてミキサ52へ送液され、それらの混合液が移動相として移動相送液流路44を通じて供給される。
洗浄ポート70と72はニードル8の外面と内面を洗浄するために、ニードル8の移動軌道上に設けられている。洗浄ポート72には洗浄液を供給する流路74が接続されている。流路74上には、送液ポンプ76と電磁弁78が設けられている。
分析流路18は、上流側から分析カラム82、検出器84及びBPR86を備えている。既述のように、BPR86は、分析モードとしてSFCモードが選択されたときにのみ動作し、LCモードが選択されたときは意味をなさない。
図3から図6を用いて、この実施例の全量注入モードでの分析流路18への試料導入の動作と、ループ注入モードでの分析流路18への試料導入の動作について説明する。
まず、全量注入モードが選択された場合について説明する。全量注入モードが選択された場合、分析対象の試料を収容した試料容器80からニードル8を用いて試料を採取する。図3に示されているように、切替バルブ32を第2状態にし、切替バルブ34を第1状態にし、切替バルブ36をポートa−g間が接続された状態にする。これにより、図において太線で示されているように、計量ポンプ2の第2の吸入吐出口とサンプリング流路6とが連通した状態となる。この状態が「吸入状態」である。この吸入状態で、ニードル8の先端を試料容器80内の試料に浸漬させて計量ポンプ2を吸入駆動することで、ニードル8の先端から試料を吸入する。ニードル8の先端から吸入された試料は、ニードル8の基端側の第1サンプルループ10に滞留する。
上記の吸入状態では、移動相送液流路44−第2サンプルループ16−連結流路38−分析流路18が接続されており、移動相送液部4からの移動相が分析流路18を流れている。
上記のサンプリング動作が終了した後、図4に示されているように、ニードル8を移動させてニードル8の先端をニードルポート14に接続するとともに、切替バルブ32と34を第2状態にする。これにより、移動相送液流路44が、第2サンプルループ16及び連結流路38を介してサンプリング流路6と接続され、さらにそのサンプリング流路6がニードルポート14及びバイパス流路40を介して分析流路18と接続された状態となる。これが、「全量導入状態」である。この全量導入状態では、第1サンプルループ10に滞留した試料が移動相送液部4からの移動相によって分析流路18へ搬送され、分析カラム82で成分ごとに分離され、各成分が検出器84により検出される。
次に、ループ注入モードが選択された場合について説明する。ループ注入モードが選択された場合も、最初のサンプリング動作は全量注入動作と同じであり、図3の「吸入状態」にして、試料容器80から試料を採取して第1サンプルループ10に滞留させる。
サンプリング動作が終了した後、図5に示されているように、ニードル8を移動させてニードル8の先端をニードルポート14に接続するとともに、切替バルブ32と34をともに第1状態にする。切替バルブ36はポートa−g間が接続された状態にする。これにより、計量ポンプ2の第2の吸入吐出口がサンプリング流路6と接続され、さらにそのサンプリング流路6がニードルポート14、第2サンプルループ16及びバイパス流路40を介してドレインへ接続される。この状態が、「注入状態」である。この注入状態で、計量ポンプ2を吐出駆動することにより、第2サンプルループ16に所定量の試料が注入される。
第2サンプルループ16への試料注入が終了した後、図6に示されているように、切替バルブ32を第2状態、切替バルブ34を第1状態にする。これにより、移動相送液流路44が第2サンプルループ16及び連結流路38を介して分析流路18と接続される。この状態が、「ループ導入状態」である。このループ導入状態では、移動相送液部4からの移動相によって第2サンプルループ16の試料が分析流路18へ搬送され、分析カラム82で成分ごとに分離され、各成分が検出器84により検出される。
上記のループ導入状態において、切替バルブ36のポートa−b間を接続し、計量ポンプ2を吐出駆動することで、計量ポンプ2からニードル8までの系内に残存した液をドレインへ排出することができる。
上記実施例では、流路切替部20(図1参照)を構成する多ポートバルブとして6ポートバルブである切替バルブ32、34を例示したが、本発明はこれに限定されず、流路切替バルブ20としての機能を果たす構成であればいなかる構成であってもよい。例えば、切替バルブ32、34は8ポートバルブ等の6ポートバルブ以外の多ポートバルブであってもよいし、より多数の多ポートバルブ(例えば4ポートバルブ)からなるものであってもよい。
上記実施例では、流体クロマトグラフとして、LCモードとSFCモードのいずれか一方の分析モードに切替え可能なものを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、LCのみの機能を備えたものであってよい。
2 計量ポンプ
4 移動相送液部
6 サンプリング流路
8 ニードル
10 第1サンプルループ
12 ニードル駆動機構
14 ニードルポート
16 第2サンプルループ
18 分析流路
20 流路切替部
22 制御部
24 分析モード選択部
26 注入モード選択部
28 全量注入動作部
30 ループ注入動作部
32 切替バルブ(第1多ポートバルブ)
34 切替バルブ(第2多ポートバルブ)
36 切替バルブ
38 連結流路
40 バイパス流路
42 ポンプ接続流路
44 移動相送液流路
46〜50、76 送液ポンプ
80 試料容器
82 分析カラム
84 検出器
86 背圧制御機構(BPR)

Claims (6)

  1. 計量ポンプと、
    移動相を送液する移動相送液部と、
    先端にニードルが設けられ、前記ニードルの基端側に前記ニードルの先端から吸入された液を滞留させる第1サンプルループを有するサンプリング流路と、
    前記ニードルの先端を挿入させることによって前記サンプリング流路と連通するニードルポートと、
    前記第1サンプルループとは別途設けられた第2サンプルループと、
    試料を成分ごとに分離する分析カラム及び前記分析カラムで分離された試料成分を検出する検出器を有する分析流路と、
    複数の接続ポートを有する少なくとも1つの多ポートバルブを含む流路切替部と、を備え、
    前記第2サンプルループは、両端が前記多ポートバルブの互いに異なる前記接続ポートに前記多ポートバルブの外部から接続されており、
    前記流路切替部は、前記計量ポンプを前記サンプリング流路の基端側に接続するサンプリング状態、前記移動相送液部を前記サンプリング流路の基端側に接続するとともに前記ニードルポートと前記分析流路との間を接続する全量導入状態、前記計量ポンプを前記サンプリング流路の基端側に接続するとともに前記ニードルポートと前記第2サンプルループとの間を接続する注入状態、及び前記移動相送液部を前記第2サンプルループの一端側に接続するとともに前記分析流路を前記第2サンプルループの他端側に接続するループ導入状態のいずれかの状態に切り替えるように構成されている、流体クロマトグラフ。
  2. 前記流路切替部は、複数の接続ポートを有しそれらの接続ポート間の接続を切り替える第1多ポートバルブ及び第2多ポートバルブの2つの多ポートバルブを少なくとも備え、
    前記第1多ポートバルブは、前記ニードルポート、前記移動相送液部、前記第2サンプルループの一端、前記第2サンプルループの他端、前記第2多ポートバルブの1つの接続ポートに接続された連結流路、及び、前記第2多ポートバルブの他の1つの接続ポートに接続されたバイパス流路がそれぞれ接続された接続ポートを有し、前記第2サンプルループの一端と前記ニードルポートとの間を接続するとともに前記移動相送液部と前記連結流路との間を接続する第1状態と、前記サンプルループの一端と前記移動相送液部との間を接続するとともに前記サンプルループの他端と前記バイパス流路との間を接続する第2状態との間で切り替えるように構成され、
    前記第2多ポートバルブは、前記計量ポンプ、前記サンプリング流路、前記分析流路及び前記連結流路がそれぞれ接続された接続ポートを有し、前記計量ポンプと前記サンプリング流路との間を接続するとともに前記分析流路と前記連結流路との間を接続する第1状態と、前記サンプリング流路と前記連結流路との間を接続する第2状態との間で切り替えるように構成されている請求項1に記載の流体クロマトグラフ。
  3. 前記ニードルを駆動するニードル駆動機構と、
    少なくとも前記計量ポンプ、前記流路切替部及び前記ニードル駆動機構の動作を制御する制御部と、をさらに備え、
    前記制御部は、
    全量注入モードとループ注入モードのうちいずれか一方のモードをユーザに選択させる注入モード選択部と、
    前記全量注入モードが選択されたときに、前記流路切替部を前記サンプリング状態にして分析対象の試料を前記ニードルを介して吸入した後、前記ニードルの先端を前記注入ポートに挿入するとともに前記流路切替部を前記全量導入状態に切り替え、前記移動相送液部からの移動相によって試料を前記分析流路に導入する全量注入動作を実行するように構成された全量注入動作部と、
    前記ループ注入モードが選択されたときに、前記流路切替部を前記サンプリング状態にして分析対象の試料を前記ニードルを介して吸入した後、前記ニードルの先端を前記注入ポートに挿入するとともに前記流路切替部を前記流入状態に切り替え、吸入した試料を前記第2サンプルループに注入し、さらにその後、前記流路切替部を前記ループ導入状態に切り替えて、前記移動相送液部からの移動相によって試料を前記分析流路に導入するループ注入動作を実行するように構成されたループ注入動作部と、を備えている請求項1又は2に記載の流体クロマトグラフ。
  4. 前記移動相送液部は、液体クロマトグラフ用の移動相を送液する送液ポンプと超臨界流体クロマトグラフ用の移動相を送液する送液ポンプを備え、
    前記分析流路は、前記検出器の出口側に該分析流路内の圧力を制御する背圧制御機構を備え、
    前記制御部は、前記移動相送液部と前記背圧制御機構の動作も制御するように構成され、液体クロマトグラフモードと超臨界流体クロマトグラフモードのうちいずれか一方のモードをユーザに選択させる分析モード選択部をさらに備え、前記超臨界流体クロマトグラフモードが選択されたときは前記ループ注入モードが選択されるように構成されている請求項3に記載の流体クロマトグラフ。
  5. 計量ポンプと、
    移動相を送液する移動相送液部と、
    先端にニードルが設けられ、前記ニードルの基端側に前記ニードルの先端から吸入された液を滞留させる第1サンプルループを有するサンプリング流路と、
    前記ニードルの先端を挿入させることによって前記サンプリング流路と連通するニードルポートと、
    前記第1サンプルループとは別途設けられた第2サンプルループと、
    試料を成分ごとに分離する分析カラム及び前記分析カラムで分離された試料成分を検出する検出器を有する分析流路と、
    前記計量ポンプを前記サンプリング流路の基端側に接続するサンプリング状態、前記移動相送液部を前記サンプリング流路の基端側に接続するとともに前記ニードルポートと前記分析流路との間を接続する全量導入状態、前記計量ポンプを前記サンプリング流路の基端側に接続するとともに前記ニードルポートと前記第2サンプルループとの間を接続する注入状態、及び前記移動相送液部を前記第2サンプルループの一端側に接続するとともに前記分析流路を前記第2サンプルループの他端側に接続するループ導入状態のいずれかの状態に切り替えるように構成された流路切替部と、を備え、
    前記流路切替部は、複数の接続ポートを有しそれらの接続ポート間の接続を切り替える第1多ポートバルブ及び第2多ポートバルブの2つの多ポートバルブを少なくとも備え、
    前記第1多ポートバルブは、前記ニードルポート、前記移動相送液部、前記第2サンプルループの一端、前記第2サンプルループの他端、前記第2多ポートバルブの1つの接続ポートに接続された連結流路、及び、前記第2多ポートバルブの他の1つの接続ポートに接続されたバイパス流路がそれぞれ接続された接続ポートを有し、前記第2サンプルループの一端と前記ニードルポートとの間を接続するとともに前記移動相送液部と前記連結流路との間を接続する第1状態と、前記サンプルループの一端と前記移動相送液部との間を接続するとともに前記サンプルループの他端と前記バイパス流路との間を接続する第2状態との間で切り替えるように構成され、
    前記第2多ポートバルブは、前記計量ポンプ、前記サンプリング流路、前記分析流路及び前記連結流路がそれぞれ接続された接続ポートを有し、前記計量ポンプと前記サンプリング流路との間を接続するとともに前記分析流路と前記連結流路との間を接続する第1状態と、前記サンプリング流路と前記連結流路との間を接続する第2状態との間で切り替えるように構成されている流体クロマトグラフ。
  6. 計量ポンプと、
    移動相を送液する移動相送液部と、
    先端にニードルが設けられ、前記ニードルの基端側に前記ニードルの先端から吸入された液を滞留させる第1サンプルループを有するサンプリング流路と、
    前記ニードルの先端を挿入させることによって前記サンプリング流路と連通するニードルポートと、
    前記第1サンプルループとは別途設けられた第2サンプルループと、
    試料を成分ごとに分離する分析カラム及び前記分析カラムで分離された試料成分を検出する検出器を有する分析流路と、
    前記計量ポンプを前記サンプリング流路の基端側に接続するサンプリング状態、前記移動相送液部を前記サンプリング流路の基端側に接続するとともに前記ニードルポートと前記分析流路との間を接続する全量導入状態、前記計量ポンプを前記サンプリング流路の基端側に接続するとともに前記ニードルポートと前記第2サンプルループとの間を接続する注入状態、及び前記移動相送液部を前記第2サンプルループの一端側に接続するとともに前記分析流路を前記第2サンプルループの他端側に接続するループ導入状態のいずれかの状態に切り替えるように構成された流路切替部と、
    前記ニードルを駆動するニードル駆動機構と、
    少なくとも前記計量ポンプ、前記流路切替部及び前記ニードル駆動機構の動作を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    全量注入モードとループ注入モードのうちいずれか一方のモードをユーザに選択させる注入モード選択部と、
    前記全量注入モードが選択されたときに、前記流路切替部を前記サンプリング状態にして分析対象の試料を前記ニードルを介して吸入した後、前記ニードルの先端を前記注入ポートに挿入するとともに前記流路切替部を前記全量導入状態に切り替え、前記移動相送液部からの移動相によって試料を前記分析流路に導入する全量注入動作を実行するように構成された全量注入動作部と、
    前記ループ注入モードが選択されたときに、前記流路切替部を前記サンプリング状態にして分析対象の試料を前記ニードルを介して吸入した後、前記ニードルの先端を前記注入ポートに挿入するとともに前記流路切替部を前記流入状態に切り替え、吸入した試料を前記第2サンプルループに注入し、さらにその後、前記流路切替部を前記ループ導入状態に切り替えて、前記移動相送液部からの移動相によって試料を前記分析流路に導入するループ注入動作を実行するように構成されたループ注入動作部と、を備え、
    前記移動相送液部は、液体クロマトグラフ用の移動相を送液する送液ポンプと超臨界流体クロマトグラフ用の移動相を送液する送液ポンプを備え、
    前記分析流路は、前記検出器の出口側に該分析流路内の圧力を制御する背圧制御機構を備え、
    前記制御部は、前記移動相送液部と前記背圧制御機構の動作も制御するように構成され、液体クロマトグラフモードと超臨界流体クロマトグラフモードのうちいずれか一方のモードをユーザに選択させる分析モード選択部をさらに備え、前記超臨界流体クロマトグラフモードが選択されたときは前記ループ注入モードが選択されるように構成されている流体クロマトグラフ。
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