JP6716233B2 - 水性接着剤 - Google Patents

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Description

本発明は、耐水性に優れる水性接着剤に関する。さらに詳しくは、ポリビニルアルコール類を保護コロイドとして酢酸ビニル系モノマーを乳化重合して得られる乳化重合物を主成分とする酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤に関する。
従来、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤は、木工用、紙加工用接着剤として幅広く使用されている代表的なエマルション系接着剤である。製造法としては常圧下での乳化重合が可能で、ポリビニルアルコールを乳化剤(保護コロイド)として溶解後、液温を60℃以上にして酢酸ビニルモノマーと重合開始剤を滴下し攪拌、加熱することによりエマルションを合成する(非特許文献1、2、3)ことが知られている。
また、耐水性の高い酢酸ビニル樹脂エマルジョン系水性接着剤として、アセトアセチル化ポリビニルアルコールを保護コロイドとして用い、更にアセトアセチル基を有し、酢酸ビニルモノマーと共重合できるモノマーを酢酸ビニルモノマーと乳化共重合して合成した酢酸ビニル系接着剤(特許文献1);分子内に炭素数4以下のα−オレフィン単位を1〜20モル%含有し、けん化度95モル%以上のビニルアルコール系重合体(A)および分子内にカルボキシル基を含有するビニルアルコール系重合体(B)を分散剤とし、エチレン性不飽和単量体およびジエン系単量体から選ばれる少なくとも一種の単量体単位を含有する重合体を分散質とする水性エマルジョンおよびエポキシ化合物、アミノ基含有水性樹脂、アルミニウム化合物およびチタン化合物から選ばれる少なくとも一種の耐水化剤を含む水性エマルジョン(特許文献2);カルボキシル基を有する重合体を含む水性高分子エマルジョンに、水溶性多価金属化合物[例えば、有機酸塩(酢酸カルシウムなど)、無機酸塩(硫酸鉄、硫酸カリウム、硫酸アルミニウムなど)、ハロゲン化物(塩化カルシウムなど)など]から選択された少くとも一種を添加した水性接着剤(特許文献3);アセトアセチル化ポリビニルアルコールを保護コロイドとして、酢酸ビニルモノマーまたは酢酸ビニルモノマーとアセトアセチル基を含有するモノマーを共存させて、エマルジョン重合した合成樹脂エマルジョンあるいは少なくともポリビニルアルコール、セルロース類、界面活性剤等の存在下で酢酸ビニルモノマーとアセトアセチル基含有モノマーとを乳化共重合した合成樹脂エマルジョンに、炭酸カルシウムを配合してなるエマルジョン(特許文献4);アセトアセチル化ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコールを保護コロイドとして、酢酸ビニルモノマーを乳化重合した、または酢酸ビニルモノマーとアセトアセチル基を有するモノマーとを乳化共重合した酢酸ビニル系樹脂エマルジョンに、金属化合物を配合する水性接着剤(特許文献5)などが知られている。
日本接着学会編、「接着技術教本」、日刊工業新聞社出版、2009年6月30日発行、第75頁から第78頁 村橋俊介、井本稔、谷久也編集、「合成高分子3」、朝倉書店出版、昭和50年3月30日発行、第56頁から第63頁 本山卓彦、永田宏二著、「接着剤」、工業調査会出版、1988年10月1日発行、第22頁
特開2000−282004 特開2001−040231 特開平10−046132 特開平11−279362 特願2014−066724
上記の非特許文献に示す接着剤は酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤の基本的な構成であるが、耐水性に劣るため、上記特許文献に示すような様々な耐水性向上が試みられている。しかしながら、特許文献1から4に示す接着剤は、アセトアセチル基のようなカルボキシ基を有するエマルジョンに耐水化剤を添加してなるものであるが、欧州等で耐水化規格としてある、DIN/EN204 D3、すなわち、常温1週間後の強度が10Mpa以上、常温1週間+20℃水中4日間の強度が2Mpa以上、常温1週間+20℃水中4日間+常温1週間後の強度が8Mpa以上、とする耐水性試験、いわゆるD3規格を満たすものではなかった。特許文献5に示す接着剤はD3規格を満たすものの、保存性、特に静置下や低温下での粘度上昇が高く、改善すべき点があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、接着性に加え、耐水性ならびに保存性に優れる水性接着剤を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の態様を提供する。すなわち、本発明は、アセトアセチル化ポリビニルアルコールおよびエチレン変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール、を保護コロイドとして含有する、酢酸ビニルモノマーの乳化重合物または酢酸ビニルモノマーとアセトアセチル基を有するモノマーとの乳化共重合物である酢酸ビニル系樹脂のエマルジョンと、炭酸カルシウムと、シラン系カップリング剤と、を含有することを特徴とする水性接着剤を提供する。
金属化合物が水性高分子エマルジョンの耐水化剤となることは上記特許文献にも開示されている。しかしながら、アセトアセチル基を含有する酢酸ビニルエマルジョンに対して金属化合物を添加することにより、組み合わせの効果によって、より耐水性の高い水性接着剤となることが見いだされた。
さらに、前記水性接着剤がシラン系カップリング剤を含有することにより、得られる水性接着剤の耐水性がより向上することが見いだされた。
上記の特徴を有する本発明の水性接着剤は、D3規格を満たす高い耐水性と良好な保存性を有する優れた接着剤となる。加えて、本水性接着剤を使用した製品は、高多湿下の条件で使用されても高い耐久性を満たす。また、JAS規格を採用していない海外の国でも高耐水性接着剤として、使用および選択されることができ、広い用途範囲を可能にする。本発明の水性接着剤の組成はこれまでの水性接着剤にはない新たな組成を有し、その組み合わせにより、予想外に優れた、複数の特性を同時に満たす、優れた接着剤を提供することができる。
以下、本発明の水性接着剤の好ましい例について、説明する。なお、本発明の水性接着剤は、以下の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
本水性接着剤は、アセトアセチル化ポリビニルアルコールおよびエチレン変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコールを保護コロイドとする、酢酸ビニルモノマーの乳化重合物または酢酸ビニルモノマーとアセトアセチル基を有するモノマーとの乳化共重合物を主成分とする酢酸ビニル系樹脂エマルジョンである。
(保護コロイド)
保護コロイドとしては、接着剤の耐水性および耐熱性の両方を満足するという観点から、アセトアセチル化ポリビニルアルコール(以下、適宜「AA化PVA」と称す)およびエチレン変性ポリビニルアルコール(以下、適宜「EVOH」と称す)を含むポリビニルアルコールを用いることが好ましい。AA化PVAは、例えば、ポリビニルアルコールとジケテンとを反応させて得られる変性ポリビニルアルコールである。AA化PVAのアセトアセチル化度は、0.05〜20モル%の範囲が好適である。市販品としては日本合成化学工業株式会社のゴーセネックス(登録商標)Zなどがある。AA化PVAを使用することによって、優れた耐水生効果が得られる。EVOHは、例えば、分子内にエチレン単位を1〜20モル%含有し、けん化度95モル%以上のビニルアルコール系重合体で、市販品として株式会社クラレのエクセバール(登録商標)などがある。EVOHを併用することにより、より耐水性が優れたものとなる。保護コロイドのポリビニルアルコールは、AA化PVAおよびEVOHのみから構成されてもよいが、AA化PVA、EVOHの他に、他の変性されていないポリビニルアルコール(未変性のポリビニルアルコール)を含んでいてもよい。未変性のポリビニルアルコールを併用することにより、酢酸ビニルモノマーの反応性を高めて、重合時間を短縮することができる。
AA化PVAとEVOHの配合比(質量比)は、1:0.1〜10が好ましく、1:0.2〜5がより好ましく、1:0.5〜3がさらに好ましく、1:1〜2が特に好ましい。またAA化PVAとEVOHを合わせた配合量は、酢酸ビニルモノマーの100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、7質量部以上10質量部以下であることが特に好ましい。AA化PVAが少ないと、耐水性向上効果が充分に得られない場合がある。反対に、AA化PVAが多すぎると、接着剤の保存安定性が悪くなる場合がある。またEVOHが少ないと、保存安定性が悪くなる場合がある。反対に、EVOHが多すぎると、耐水性を低下させる場合がある。未変性のポリビニルアルコールを併用する場合は、AA化PVAとEVOHの総量に対して、10以下であることが好ましく、5以下の量であることが好ましい。
保護コロイドは、酢酸ビニルモノマーの重合開始前または重合中に添加すればよい。
(酢酸ビニルモノマーおよびアセトアセチル基を有するモノマー)
本発明では、酢酸ビニルモノマーが、または酢酸ビニルモノマーとアセトアセチル基を有するモノマーの組合せが、前記保護コロイドを用いた乳化重合に使用される。
酢酸ビニルモノマーと共重合するアセトアセチル基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアルコール、メタクリルアルコール、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート、1,4−ブチレングリコールモノアクリレート、1,4−ブチレングリコールモノメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ヒドロキシスチレンなどのアセトアセチル化物が挙げられる。これらアセトアセチル基を有するモノマーは、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アセトアセチル基を有するモノマーの配合量は任意に選択できるが、酢酸ビニルモノマーの100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、1質量部以上20質量部以下であることがより好ましく、2質量部以上10質量部以下であることがさらに好ましい。酢酸ビニルモノマーに対してアセトアセチル基を有するモノマーが少ないと、耐水性向上効果が充分に得られない。反対に、アセトアセチル基を有するモノマーが多すぎると、接着剤の貯蔵安定性が悪くなる。
(乳化重合)
本水性接着剤の乳化重合は、好ましくは連鎖移動剤の存在下で、重合が行われる。本発明の乳化重合や乳化共重合において用いられる連鎖移動剤は、重合の際、生成する重合体の分子量を適度に調節し、木材用接着剤として用いたときに、優れた濡れ性、および親和性を発揮して、接着力を強化する作用がある。本発明の重合では、必要に応じて、公知の反応助剤および重合開始剤などを用いてもよい。
(連鎖移動剤)
連鎖移動剤としては、上記作用を有するものであれば特に限定されないが、例えば、メルカプタン系化合物やアルコール等を用いることができる。前記メルカプタン系化合物には、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ベンゼンチオエタノール、オクチルチオグリコレート等のチオール、2−メルカプトエチルアルコール等のメルカプト基含有アルコール、β−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸などのメルカプトカルボン酸等が含まれる。前記アルコールには、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール等のC1−C6程度の脂肪族アルコール、ベンジルアルコール等のC7−C13程度の芳香族アルコールなどが含まれる。これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。例えば、メルカプタン系化合物とアルコールとを組み合わせて用いてもよい。
連鎖移動剤の乳化重合における使用量は任意で選択できる。例えば、前記酢酸ビニルモノマーの総量に対して、連鎖移動剤は、好ましくは0.03〜5.0重量%程度、より好ましくは0.1〜3.0重量%程度である。この使用量が0.1重量%以上の場合は、十分な接着力が得られ、3重量%以下であると、乳化重合速度が低下することなく、残存モノマーが多量に生じることがない。その結果、臭気が発生せず、環境保護の点で好ましいものとなる。さらに重合体の分子量が低下しすぎることがなく、その為接着剤の耐水性、耐湿熱性、耐熱性等の低下を引き起こすことがなくなる。
(反応助剤、および重合開始剤)
上述したように、酢酸ビニルモノマーの乳化重合または乳化共重合は、必要に応じて、任意に選択できる公知の反応助剤、重合開始剤などを用いることができる。これらは1種類または2種類以上を組み合わせて使用してよい。反応助剤の例としては、酒石酸、酢酸ナトリウム、および炭酸ナトリウムなどが好適である。重合開始剤の例としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、および過硫酸ナトリウムなどが好適である。また、これらの水溶液も使用される。反応助剤の量は任意で選択することができ、例えば、前記酢酸ビニルモノマーの総量に対して、0.001〜0.5重量%であることが好ましく、0.01〜0.1重量%であることがより好ましい。重合開始剤の量も任意で選択することができ、例えば、前記酢酸ビニルモノマーの総量に対して、0.001〜0.5重量%であることが好ましく、0.005〜0.1重量%であることがより好ましい。
(金属化合物)
本水性接着剤は、金属化合物を含む。本発明で使用される特定の金属化合物としては、ベリリウム、ジルコニウム、チタニウム、クロム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、バリウム、ストロンチウム、アルミニウム、ビスマス、アンチモン、コバルト、鉄、ニツケル等の塩化物、酸化物、水酸化物、塩基性塩、酸性塩、中性塩、およびアミン複合体等が挙げられる。前記金属化合物が炭酸塩であることが好ましい。また金属化合物がカルシウム化合物であることも好ましい。例えば、カルシウムの塩化物、酸化物、水酸化物、塩基性塩、酸性塩、中性塩、およびアミン複合体などが好ましく例として挙げる事ができる。中でも充填剤としても働く炭酸カルシウムが特に好ましい。前記金属化合物の添加量は任意に選択されるが、酢酸ビニルエマルジョンの固形分100質量部に対して、5〜50質量部が好ましく、10〜40質量部がより好ましく、12〜35質量部が更に好ましく、特に好ましくは15〜25質量部である。金属化合物は任意の段階で添加されるが、乳化重合後に加えられることが好ましい。
(シランカップリング剤)
本水性接着剤は、さらなる耐水性向上のためにシラン系カップリング剤を含む。シラン系カップリング剤は任意に選択できる。例として、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどがあり、これらの1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
これらシラン系カップリング剤の添加量は、酢酸ビニルエマルジョンの固形分100質量部に対して、0.01〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3質量部である。シラン系カップリング剤は、前記の金属化合物添加後に添加することが好ましい。カップリング剤を添加することにより、金属化合物の疎水化と被膜構成時でのエマルジョンの架橋が進むことにより耐水性が向上するものと思われる。
(その他の成分)
本発明の接着剤は、酢酸ビニル系樹脂エマルジョンおよび金属化合物ならびにシラン系カップリング剤に加えて、顔料、増量剤、可塑剤、安定剤、防腐剤などを含んでいてもよい。
本発明の接着剤は、家具、合板などの木材、紙、繊維などの高耐水性の接着剤として好適である。
次に、実施例、参考例、比較例を挙げて本発明の好ましい例をより具体的に説明するが、本発明は以下の例のみに限定されない。
<水性接着剤の調製>
[参考例1]
AA化PVA(日本合成化学工業(株)製「ゴーセネックスZ−210」)37質量部およびEVOH((株)クラレ製「エクセバールRS−2117」)37質量部を水1203質量部に分散し、80℃にて1時間撹拌することにより溶解した。この水溶液に、反応助剤としての酒石酸10%水溶液3質量部と、開始剤としての過酸化水素1.4%水溶液1質量部と、を加えた。その後、酢酸ビニルモノマー1000質量部と、過酸化水素の1.4%水溶液5質量部と、連鎖移動剤としてのオクチルチオグリコレート2質量部と、を3時間で滴下して乳化重合を行った。重合後、そのまま80℃にて1時間熟成し、冷却後、金属化合物としての炭酸カルシウム粉末(平均粒子径2μm)200質量部を添加および攪拌して、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系水性接着剤(樹脂分50%)を得た。
[参考例2]
モノマーとして、酢酸ビニルモノマー950質量部と2−アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)50質量部を使用した以外は、参考例1と同様にして、乳化共重合を行い、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系水性接着剤(樹脂分45%)を得た。
[実施例1]
炭酸カルシウム添加後に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであるエボニック社製ダイナシランGLYMO(商品名)1質量部を添加および攪拌した以外は、参考例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系水性接着剤(樹脂分約50%)を得た。
[実施例2]
実施例1において、モノマーに酢酸ビニルモノマー950質量部と2−アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)50質量部とし、乳化共重合を行い、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系水性接着剤(樹脂分51%)を得た。
[比較例1]
AA化PVA(日本合成化学工業(株)製「ゴーセネックスZ−200」)140質量部を水1390質量部に分散し、80℃にて1時間撹拌することにより溶解した。この水溶液に、酒石酸の10%水溶液3質量部と、過酸化水素の1.4%水溶液1質量部と、を加えた。その後、酢酸ビニルモノマー1000質量部と、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)50質量部と、過酸化水素の1.4%水溶液5質量部と、を3時間で滴下して乳化共重合を行った。重合後、そのまま80℃にて1時間熟成し、冷却後、塩化アルミニウムの20%水溶液420質量部を添加して、アセトアセチル基を有する酢酸ビニル樹脂エマルジョン系水性接着剤(樹脂分42%)を得た。
[比較例2]
塩化アルミニウムを添加せず、乳化重合後冷却した後に、炭酸カルシウム粉末(平均粒子径2μm)を150質量部添加した以外は、比較例1と同様に、アセトアセチル基を有する酢酸ビニル樹脂エマルジョン系水性接着剤(樹脂分47%)を得た。
[比較例3]
参考例1においてEVOH((株)クラレ製「エクセバールRS−2117」)をAA化PVA(日本合成化学工業(株)製「ゴーセネックスZ−210」)に変更し、AA化PVA74質量部とした以外は、参考例1と同様にして、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系水性接着剤(樹脂分50%)を得た。
<接着剤の評価>
実施例および比較例の各水性接着剤の保存性および接着性能を、以下の試験方法により評価した。
[試験方法/保存性]
500mlポリエチレン製広口瓶に入れた各水性接着剤300gを50℃恒温槽内に7日間静置し、その後23℃まで静置し、容器を傾けるとすぐに流れ出す状態を○、容器を傾けるとゆっくり動き、軽く振るだけで元に戻る状態を△、容器を傾けても動かないが攪拌すると元に戻る状態を×として評価した。
[試験方法/接着性能]
常温にて、2枚の300mm×150mmのブナ柾目材の片面に、接着剤を150g/mずつ均一に塗布して、貼り合わせた。堆積時間を30分間以内とし、その後1.0MPaで4時間圧締後常温にて7日間養生して、試験体を製造した。各試験体はDIN/EN204D3の試験法に従い、(1)常態に静置した後、および(2)室温水4日間浸漬した後、(3)室温水4日間浸漬後23℃−50%RHの恒温恒湿槽内で7日間静置した後、引張せん断試験にて接着力を測定した。具体的には、耐水性試験として、(1)常温1週間静置後の強度(10Mpa以上が可)、(2)常温1週間静置+20℃水中4日間放置後の強度(2Mpa以上が可)、(3)常温1週間静置+20℃水中4日間放置+常温1週間静置後の強度(8Mpa以上が可)を測定した。前記常温とは23℃−50%RHの条件下であることを意味する。
[試験結果]
表1および2に、各水性接着剤の配合組成(表中の○は成分配合有りを示す)、および評価結果をまとめて示す。
表から明らかなように、安定した耐水性能を有する接着剤となる。アセトアセチル基のようなカルボキシ基を有するエマルジョンに耐水化剤を添加してなる水性接着剤が知られているが、欧州等で耐水規格としてあるDIN/EN204 D3規格を満たすものではなかった。また、D3規格を満たしても、保存性に難点があった。本発明はこの問題を克服する、優れた水性接着剤を提供する。本発明の接着剤は、家具、合板などの木材、紙、繊維などの高耐水性の接着剤として好適に使用できる。

Claims (6)

  1. アセトアセチル化ポリビニルアルコールおよびエチレン変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール、を保護コロイドとして含有する、酢酸ビニルモノマーの乳化重合物または酢酸ビニルモノマーとアセトアセチル基を有するモノマーとの乳化共重合物である酢酸ビニル系樹脂エマルジョンと、
    炭酸カルシウムと、
    シラン系カップリング剤と、
    を含有することを特徴とする水性接着剤。
  2. 前記炭酸カルシウムが、酢酸ビニル系樹脂エマルジョンの固形分100質量部に対して、5〜50質量部である請求項に記載の水性接着剤。
  3. 前記酢酸ビニル系樹脂が、酢酸ビニルモノマーとアセトアセチル基を有するモノマーとの乳化共重体である、請求項1又は2に記載の水性接着剤。
  4. 前記アセトアセチル化ポリビニルアルコールおよび前記エチレン変性ポリビニルアルコールの配合比が、1:0.2〜5である、請求項1〜のいずれかに記載の水性接着剤。
  5. 前記アセトアセチル化ポリビニルアルコールおよび前記エチレン変性ポリビニルアルコールの配合量が、酢酸ビニルモノマーの100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下である、請求項1〜のいずれかに記載の水性接着剤。
  6. 前記アセトアセチル基を有するモノマーの配合量が、酢酸ビニルモノマーの100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下である請求項1〜のいずれかに記載の水性接着剤。
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