JP2004189891A - 水性エマルジョンの製造方法および接着剤 - Google Patents

水性エマルジョンの製造方法および接着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】とくに可塑剤を使用しなくても優れた造膜性を有し、凍結融解安定性に優れ、さらにはエマルジョンの耐皮張り性に優れる水性エマルジョンの製造方法および該水性エマルジョンからなる接着剤を提供すること。
【解決手段】エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンをシードとしてビニルエステル系単量体を乳化重合する際に、1,2−グリコール結合を1.9モル%以上有するビニルアルコール系重合体を分散剤として用いることを特徴とする水性エマルジョンの製造方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性エマルジョンの製造方法に関し、詳しくは、とくに可塑剤を使用しなくても優れた造膜性を有し、凍結融解安定性に優れ、さらにはエマルジョンの耐皮張り性に優れる水性エマルジョンの製造方法および該水性エマルジョンを用いた接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある)はエチレン性不飽和単量体、特に酢酸ビニルに代表されるビニルエステル系単量体の乳化重合用保護コロイドとして広く用いられており、これを保護コロイドとして用いて乳化重合して得られるビニルエステル系水性エマルジョンは紙用、木工用およびプラスチック用などの各種接着剤、含浸紙用および不織製品用などの各種バインダー、混和剤、打継ぎ材、塗料、紙加工および繊維加工などの分野で広く用いられている。このように広く用いられている酢酸ビニル樹脂エマルジョンも種々の欠点を有している。すなわち、粘度の温度依存性が大きく、冬期などの低温時に粘度が著しく上昇して作業性が悪くなる。特に、低温における造膜性が悪く、フタル酸ジブチル(DBP)などの可塑剤の添加が必要である。従って得られた皮膜は可塑剤の添加により可撓性が付与される。特に冬期用として使用する場合にはDBPの添加量が多くなるが、DBPは環境ホルモンとして作用する化合物として取り上げられており、このような化合物を含まない酢酸ビニル樹脂エマルジョンの開発が急務となっている。このような状況下、エチレン−酢酸ビニル系樹脂エマルジョンをシードとした酢酸ビニル樹脂エマルジョンが提案(特許文献1)され、無可塑剤化を達成したが、保護コロイドにポリビニルアルコール(PVA)を用いているため、得られた皮膜は耐水性が十分に満足できるものではないのが現状である。また、分散剤としてオレフィン変性PVAを使用して、耐水性等を改善する手法が提案(特許文献2)されているが、氷点下といった厳しい保存環境において、その安定性は十分満足しうるものではなかった。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−92734号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開2001−139608号公報(特許請求の範囲)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、とくに可塑剤を使用しなくても優れた造膜性を有し、凍結融解安定性に優れ、さらにはエマルジョンの耐皮張り性に優れる水性エマルジョンの製造方法および該水性エマルジョンを用いた接着剤を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有する水性エマルジョンおよびその製造方法を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンをシードとしてビニルエステル系単量体を乳化重合する際に、1,2−グリコール結合を1.9モル%以上有するビニルアルコール系重合体を分散剤として用いることを特徴とする水性エマルジョンの製造方法が上記目的を満足するものであることを見出した。また、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンをシードとしてビニルエステル系単量体を乳化重合する際、さらに(メタ)アクリル酸エステル系単量体を系中に添加し、共重合することでさらに好ましい物性を有する水性エマルジョンが得られることを見出し、本発明を完成させるにいたった。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の水性エマルジョンの製造にシードとして用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョン(以後EVAエマルジョンと略記する場合がある)としては特に制限されないが、通常エチレン含有量が5〜35重量%、好ましくは10〜30重量%のものが用いられる。エチレン含有量が5重量%未満の場合、得られる水性エマルジョンの成膜性が悪化する恐れがある。エチレン含有量が35重量%を超えると得られる水性エマルジョンの皮膜強度が低下する懸念が生じる。
【0007】
シードとして用いるEVAエマルジョンの含有量は、シード重合されるビニルエステル系樹脂エマルジョン、シードとして用いるEVAエマルジョン及びPVAの合計(水性エマルジョン中の全固形分)に対して、固形分で15〜40重量%となることが好ましい。シードとして用いるEVAエマルジョン(固形分)が15重量%より少ないと、生成するビニルエステル系樹脂エマルジョンの成膜温度が0℃以上となるばかりでなく、粘度が高くなりすぎる。またシードとして用いるEVAエマルジョン(固形分)の割合が40重量%を越えると、得られる水性エマルジョンの耐皮張り性が低下して好ましくない。
【0008】
本発明において、分散剤として使用するビニルアルコール系重合体の1,2−グリコール結合の含有量は1.9モル%以上であることが必要であり、より好ましくは1.95モル%以上、最適には2モル%以上である。1,2−グリコール結合の含有量が1.9モル%未満の場合、得られる水性エマルジョンの凍結融解安定性、耐皮張り性が低下する懸念が生じる。また、1,2−グリコール結合の含有量は4モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3.5モル%以下、最適には3.2モル%以下である。ここで、1,2−グリコール結合の含有量はNMRスペクトルの解析から求められる。
【0009】
上記の分子内に1,2−グリコール結合を1.9モル%以上有するビニルアルコール系重合体の製造方法としては特に制限はなく、公知の方法が使用可能である。一例としてビニレンカーボネートを上記の1,2−グリコール結合量になるようにビニルエステルと共重合する方法、ビニルエステルの重合温度を通常の条件より高い温度、例えば75〜200℃で、加圧下に重合する方法などが挙げられる。後者の方法においては、重合温度は95〜190℃であることが好ましく、100〜180℃であることが特に好ましい。また加圧条件としては、重合系が沸点以下になるように選択することが重要であり、好適には0.2MPa以上、さらに好適には0.3MPa以上である。また上限は5MPa以下が好適であり、さらに3MPa以下がより好適である。このようにして得られたビニルエステル重合体を通常の方法によりけん化することによりビニルアルコール系重合体が得られる。
【0010】
また、本発明においては、上記の1,2−グリコール結合を1.9モル%以上有するビニルアルコール系重合体は、さらにα−オレフィン単位を1〜20モル%含有することは好ましい形態のひとつである。α−オレフィン単位の含有量は、好ましくは1〜10モル%、さらに好ましくは1.5〜8モル%である。この重合体を使用することにより、水性エマルジョンの造膜性がより改善される。
α−オレフィン単位としてはエチレン、プロピレン、イソブチレン等が挙げられ、好適にはエチレンが用いられる。
【0011】
この重合体の製法としては、例えば、ビニレンカーボネートを上記の1,2−グリコール結合量になるようα−オレフィンとビニルエステル系単量体とを共重合する方法、α−オレフィンとビニルエステル系単量体を共重合する際、重合温度を通常の条件より高い温度、例えば70〜200℃で、加圧下に重合する方法などが挙げられる。後者の方法において、重合温度は、好適には75〜190℃、最適には75〜160℃である。重合はラジカル重合開始剤の存在下、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などいずれの方法でも行うことができるが、溶液重合、とくにメタノールを溶媒とする溶液重合法が好適である。このようにして得られたビニルエステル重合体を通常の方法によりけん化することによりビニルアルコール系重合体が得られる。
また、ここで、ビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、一般に酢酸ビニルが好ましく用いられる。
【0012】
また、上記の1,2−グリコール結合を1.9モル%以上有するビニルアルコール系重合体は、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合したものでも良い。このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、N−ビニルピロリドン、 N−ビニルホルムアミド、 N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類が挙げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を重合し、またはビニルエステル系単量体とエチレンを共重合し、得られた(共)重合体をけん化することによって得られる末端にメルカプト基またはカルボキシル基を有する変性物も用いることができる。
【0013】
1,2−グリコール結合を1.9モル%以上有するビニルアルコール系重合体のけん化度は、特に制限されないが、通常60モル%以上のものが用いられ、より好ましくは、70モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上である。けん化度が60モル%未満の場合には、ビニルアルコール系重合体本来の性質である水溶性が低下する懸念が生じる。また本発明の目的とする水性エマルジョンを得るためには該ビニルアルコール系重合体の重合度(粘度平均重合度)は100〜8000であることが好ましく、300〜3000がより好ましい。
【0014】
本発明の水性エマルジョンにおける分散質を構成するビニルエステル系単量体としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどが挙げられるが、酢酸ビニルが経済的にみて好ましい。
【0015】
また本発明においては、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンをシードとしてビニルエステル系単量体を乳化重合する際、さらに(メタ)アクリル酸エステル系単量体を系中に添加し、共重合することにより、低温下における造膜性に優れた水性エマルジョンが得られる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては特に制限されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
【0016】
上記の(メタ)アクリル酸エステル系単量体の使用量は特に制限されないが、通常、ビニルエステル系単量体100重量部に対して、0.05〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.3〜7重量部である。該単量体の使用量が0.05重量部未満の場合、低温における造膜性の顕著な向上が見られず、また、15重量部をこえる場合、凍結融解安定性が低下する懸念が生じる。
【0017】
また、本発明の効果を損なわない範囲で、その他のエチレン性不飽和単量体およびジエン系単量体を共重合しても構わない。このような単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオリドなどのハロゲン化オレフィン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩などのアクリルアミド系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンスルホン酸およびナトリウム、カリウム塩などのスチレン系単量体、ジビニルベンゼン、テトラアリロキシエタン、 N,N’−メチレンビス−アクリルアミド、N−ビニルピロリドンなど、また、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体が挙げられる。
【0018】
本発明の水性エマルジョンは、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンをシードとして酢酸ビニルなどのビニルエステル系単量体を、1,2−グリコール結合を1.9モル%以上有するビニルアルコール系重合体(以後高1,2−グリコールPVAと略記することがある)の水溶液を分散剤に用いて乳化重合して得られる。重合の方法は特に制限されず、重合容器に水およびEVAエマルジョンを入れ、通常のラジカル重合に使用される重合開始剤を用いて、酢酸ビニルモノマーを添加しながら重合するとよい。この場合、酢酸ビニルモノマーの一部或いは全部を重合開始前に水およびEVAエマルジョンと一緒に重合容器に添加してもよいし、またはその一部或いは全量を重合中、連続的に或いは断続的に添加してもよい。
【0019】
高1,2−グリコールPVAの使用量については特に制限はないが、最終的に得られる水性エマルジョンの固形分中にPVAが2〜20重量%となる程度が好ましい。PVAの使用量が2重量%より少ないとシード重合の際の重合安定性が低下し、また20重量%より多くしても重合安定性はそれ以上向上せず、耐水性が低下する懸念が生じる。
【0020】
上記の方法で得られる水性エマルジョンは、そのまま用いることができるが、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の各種エマルジョンを添加して用いることができる。さらにまた、必要に応じて、従来公知のアニオン性、ノニオン性あるいはカチオン性の界面活性剤や、PVA系重合体、ヒドロキシエチルセルロースなどを併用することもできる。
【0021】
本発明の水性エマルジョンは、とくに可塑剤を使用しなくても優れた造膜性を有し、凍結融解安定性に優れ、さらにはエマルジョンの耐皮張り性に優れているため、各種接着剤、とくに、紙用、木工用およびプラスチック用の接着剤、含浸紙用、不織製品用のバインダーとして有用であり、さらにはセメント混和剤、セメント打継ぎ材、塗料、紙加工および繊維加工などの分野にも好適に用いられる。
【0022】
【実施例】
次に、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例および比較例において「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準を意味する。また、得られたエマルジョンの物性を、下記の要領で評価した。
【0023】
(エマルジョンの評価)
(1)造膜性
エマルジョンをPETフィルム上に流延し、5℃で乾燥し、造膜の有無を目視により以下の基準により判定した。
◎皮膜の透明性良好、○造膜するがやや白濁、△白濁、×造膜せず
(2)凍結融解安定性
試料50gをポリエチレン製のびんに取り、試料を−15℃で16時間保った後、30℃の恒温水槽中に1時間放置し、その後状態を観察、以下の基準により評価した。
◎流動性良好、○増粘するも流動性有り、△混ぜれば流動性戻る、×ゲル化
(3)耐皮張り性
エマルジョンをPETフィルム上に200g/mで流延、経時的にエマルジョン塗布面に先端の鋭い治具(千枚通し)を横断させ、形成される魚骨模様を観察し、5秒以上軌跡が残る場合に皮張り時間とした。
(4)接着物性
得られた木工用接着剤をカバ材(柾目)に150g/m塗布し、オープンタイムを0分及び20分とった後、はりあわせて10kg/mの荷重で16時間圧締し、その後、解圧し、20℃65%RH下で5日間養生した。この試験片の常態における圧縮せん断接着強度を20℃、65%RH下で測定した。
【0024】
製造例1(シードエマルジョンの製造)
窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧オートクレーブにPVA−217{(株)クラレ製:重合度1700、けん化度88モル%}の9.5%水溶液80部を仕込み、60℃に昇温してから、窒素置換を行った。酢酸ビニル80部を仕込んだ後、エチレンを4.9MPaまで加圧し、0.5%過酸化水素水溶液2gおよび2%酒石酸ナトリウム水溶液0.3gを圧入し、重合を開始した。残存酢酸ビニル濃度が10%となったところで、エチレンを放出し、エチレン圧力2.0MPaとし、3%過酸化水素水溶液0.3gを圧入し重合を完結させた。重合中に凝集などがなく、重合安定性に優れており、固形分濃度55%、エチレン含量18重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(Em−1)が得られた。
【0025】
製造例2(シードエマルジョンの製造)
窒素吹き込み口、温度計、撹拌機を備えた耐圧オートクレーブにPVA−217{(株)クラレ製:重合度1700、けん化度88モル%}の9.5%水溶液80部を仕込み、60℃に昇温してから、窒素置換を行った。酢酸ビニル80部を仕込んだ後、エチレンを1.5MPaまで加圧し、0.5%過酸化水素水溶液2gおよび2%酒石酸ナトリウム水溶液0.3gを圧入し、重合を開始した。残存酢酸ビニル濃度が10%となったところで、エチレンを放出し、エチレン圧力0.5MPaとし、3%過酸化水素水溶液0.3gを圧入し重合を完結させた。重合中に凝集などがなく、重合安定性に優れており、固形分濃度51%、エチレン含量3重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(Em−2)が得られた。
【0026】
実施例1
撹拌器付きの反応容器に水344重量部をとり、PVA−1(重合度1700、けん化度98モル%、1,2−グリコール結合量2.2モル%)50重量部を加え、80℃迄加熱した。PVAが完全に溶解した後、製造例1のEVAエマルジョン(Em−1)200重量部を添加した。系内の温度が80℃迄上がったところで重合開始剤(過硫酸アンモニウムと炭酸水素ナトリウムそれぞれ1重量部を水20重量部に溶解させた溶液)と、酢酸ビニル384重量部を2時間かけて滴下し重合を行った。その結果、固形分濃度54.5%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を上述の方法により行った。結果を表1に示す。
【0027】
比較例1
実施例1において、PVA−1の代わりにPVA−2{重合度1700、けん化度98.5モル%、(株)クラレ製PVA−117}を用いた他は、実施例1と同様にして固形分濃度54.4%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を上述の方法により行った。結果を併せて表1に示す。
【0028】
実施例2
実施例1において、PVA−1の代わりにPVA−3(重合度500、けん化度98モル%、1,2−グリコール結合量2.5モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして固形分濃度54.5%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を上述の方法により行った。結果を併せて表1に示す。
【0029】
比較例2
実施例1において、PVA−1の代わりにPVA−4{重合度500、けん化度98モル%、(株)クラレ製PVA−105}を用いた他は、実施例1と同様にして固形分濃度54.5%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を上述の方法により行った。結果を併せて表1に示す。
【0030】
実施例3
実施例1において、PVA−1の代わりにPVA−5(重合度1700、けん化度95モル%、1,2−グリコール結合量2.2モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして固形分濃度54.3%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を上述の方法により行った。結果を併せて表1に示す。
【0031】
比較例3
実施例1において用いたPVA−1を用いる代わりにPVA−6(重合度1700、けん化度95モル%、(株)クラレ製PVA−617)を用いた他は、実施例1と同様にして固形分濃度54.5%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を上述の方法により行った。結果を併せて表1に示す。
【0032】
実施例4
実施例1において、PVA−1の代わりにPVA−7(重合度1700、けん化度88モル%、1,2−グリコール結合量2.2モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして固形分濃度54.5%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を上述の方法により行った。結果を併せて表1に示す。
【0033】
比較例4
実施例1において、PVA−1の代わりにPVA−8{重合度1700、けん化度88モル%、(株)クラレ製PVA−217}を用いた他は、実施例1と同様にして固形分濃度54.4%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を上述の方法により行った。結果を併せて表1に示す。
【0034】
実施例5
実施例1において、Em−1の代わりに製造例2において調製したEm−2を用いた他は、実施例1と同様にして固形分濃度54.4%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を上述の方法により行った。結果を併せて表1に示す。
【0035】
実施例6
撹拌器付きの反応容器に水344重量部をとり、PVA−1を50重量部加え、80℃迄加熱した。PVAが完全に溶解した後、製造例1のEVAエマルジョン(Em−1)100重量部を添加した。系内の温度が80℃迄上がったところで、重合開始剤(過硫酸アンモニウムと炭酸水素ナトリウムそれぞれ1重量部を水20重量部に溶解させた溶液)と、酢酸ビニル384重量部を2時間かけて滴下し重合を行った。その結果、固形分濃度54%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を上述の方法により行った。結果を併せて表1に示す。
【0036】
実施例7
撹拌器付きの反応容器に水344重量部をとり、PVA−1を50重量部加え、80℃迄加熱した。PVAが完全に溶解した後、製造例1のEVAエマルジョン(Em−1)500重量部を添加した。系内の温度が80℃迄上がったところで、重合開始剤(過硫酸アンモニウムと炭酸水素ナトリウムそれぞれ1重量部を水20重量部に溶解させた溶液)と、酢酸ビニル384重量部を2時間かけて滴下し、重合を行った。その結果、固形分濃度54.9%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を上述の方法により行った。結果を併せて表1に示す。
【0037】
実施例8
撹拌器付きの反応容器に水344重量部をとり、PVA−1を50重量部加え、80℃迄加熱した。PVAが完全に溶解した後、製造例1のEVAエマルジョン200重量部を添加した。系内の温度が80℃迄上がったところでアクリル酸ブチル(BA)19重量部を添加、その後重合開始剤(過硫酸アンモニウムと炭酸水素ナトリウムそれぞれ1重量部を水20重量部に溶解させた溶液)と、酢酸ビニル365重量部を2時間かけて滴下し、重合を行った。その結果、固形分濃度54.2%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を上述の方法により行った。結果を併せて表1に示す。
【0038】
比較例5
実施例8において、PVA−1の代わりにPVA−2を用いた他は、実施例8と同様にして固形分濃度54.4%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を上述の方法により行った。結果を併せて表1に示す。
【0039】
実施例9
実施例1において、PVA−1の代わりにPVA−9(重合度1700、けん化度98モル%、1,2−グリコール結合量2.1モル%、エチレン単位含有量3モル%)を用いた他は、実施例1と同様にして固形分濃度54.4%の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの評価を上述の方法により行った。結果を併せて表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 2004189891
【0041】
【発明の効果】
本発明の水性エマルジョンは、とくに可塑剤を使用しなくても優れた造膜性を有し、凍結融解安定性に優れ、さらにはエマルジョンの耐皮張り性に優れており、各種接着剤、とくに、紙用、木工用およびプラスチック用の接着剤、含浸紙用、不織製品用のバインダーとして有用であり、さらにまたセメント混和剤、セメント打継ぎ材、塗料、紙加工および繊維加工などの分野にも好適に用いられる。

Claims (4)

  1. エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンをシードとしてビニルエステル系単量体を乳化重合する際に、1,2−グリコール結合を1.9モル%以上有するビニルアルコール系重合体を分散剤として用いることを特徴とする水性エマルジョンの製造方法。
  2. エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂エマルジョンをシードとしてビニルエステル系単量体を乳化重合する際、さらに(メタ)アクリル酸エステル系単量体を系中に添加し、共重合する請求項1記載の水性エマルジョンの製造方法。
  3. 1,2−グリコール結合を1.9モル%以上有するビニルアルコール系重合体が、さらにα−オレフィン単位を1〜20モル%含有するビニルアルコール系重合体である請求項1または2記載の水性エマルジョンの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により得られる水性エマルジョンからなる接着剤。
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