以下、本発明による回転電機の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る回転電機を示す断面図、図2はこの発明の実施の形態1に係る回転電機の要部を示す斜視図、図3はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子を示す斜視図、図4はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子を軸方向外方から見た示す端面図、図5は図4のA部拡大図、図6はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子の固定子巻線を構成する第1巻線体を軸方向外方から見た端面図、図7はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子の固定子巻線を構成する第1巻線体を径方向内方から見た正面図、図8はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子の固定子巻線を構成する第1巻線体を示す斜視図、図9はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子の固定子巻線を構成する第2巻線体を軸方向外方から見た端面図、図10はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子の固定子巻線を構成する第2巻線体を径方向内方から見た正面図、図11はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子の固定子巻線を構成する第2巻線体を示す斜視図、図12はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線体のスロット収納状態を模式的に示す要部断面図、図13はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子を内径側から見た要部斜視図、図14および図15はそれぞれこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子巻線の第1ターン部の配列状態を説明する模式図である。なお、図12中、巻線体はスロット挿入部のみを示し、1,2,・・・12,13は周方向の並び順にスロットに付したスロット番号である。
図1および図2において、回転電機100は、有底円筒状のフレーム2およびフレーム2の開口を塞口する端板3を有するハウジング1と、フレーム2の円筒部の内部に挿入、保持された固定子10と、フレーム2の底部および端板3にベアリング4を介して回転可能に支持された回転軸6に固着されて、固定子10の内周側に回転可能に配設された回転子5と、を備えている。
回転子5は、軸心位置に挿通された回転軸6に固着された回転子鉄心7と、回転子鉄心7の外周面側に埋設されて周方向に等ピッチで配列され、磁極を構成する永久磁石8と、を備えた永久磁石型回転子である。なお、回転子5は、永久磁石式回転子に限定されず、絶縁しない回転子導体を、回転子鉄心のスロットに収納して、両側を短絡環で短絡したかご形回転子や、絶縁した導体線を回転子鉄心のスロットに装着した巻線形回転子を用いてもよい。
つぎに、固定子10の構成について具体的に図2から図10を参照しつつ説明する。なお、説明の便宜上、回転軸6の軸方向を軸方向、回転軸6の半径方向を径方向、回転軸6の軸心を中心とする回転方向を周方向とする。
固定子10は、図3に示されるように、固定子鉄心11と、固定子鉄心11に装着された固定子巻線20と、固定子鉄心11のスロット15に装着される絶縁部材16と、を備えている。固定子巻線20は、固定子鉄心11に装着された複数のコイルとしての巻線体21を結線して構成される。絶縁部材16は、例えばポリイミドフィルムをメタ系アラミド繊維で挟み込んで作製された長方形のシートを曲げ成形してU字状に形成され、スロット15内に挿入されて、固定子鉄心11と固定子巻線20を電気的に絶縁する。
ここで、説明の便宜上、回転子5の極数を8、固定子鉄心11のスロット数を48、固定子巻線20を三相巻線とする。すなわち、スロット15は、毎極毎相当たり2個の割合で固定子鉄心11に形成されている。
固定子鉄心11は、図3から図5に示されるように、円環状の外側コア12と、外側コア12内に挿入、保持される内側コア13と、を備える。内側コア13は、48個のコアブロック14を備える。コアブロック14は、円弧状のコアバック部14aと、コアバック部14aの内周壁面から径方向内方に突出するティース14bと、を備える。48個のコアブロック14は、コアバック部14aの周方向の側面同士を突き合わせて円環状に配列した状態で、圧入、焼き嵌めなどにより外側コア12内に挿入、保持される。48個のコアブロック14が円環状に配列して、内側コア13が構成される。周方向に隣り合うコアバック部14aおよびティース14bにより囲まれた領域がスロット15となる。
ここで、外側コア12は、例えば、円環状に打ち抜かれた電磁鋼板を所定枚数積層一体化して作製される。コアブロック14は、例えば、L字状に打ち抜かれた電磁鋼板を所定枚数積層一体化して作製される。
また、固定子鉄心11は、円環状に配列された48個のコアブロック14を外側コア12内に圧入、焼き嵌めなどにより挿入、保持して構成されているが、外側コア12に代えて、アルミニウムなどの非磁性材料で作製された円筒部材を用いてもよい。
固定子巻線20は、複数の巻線体21を有する。巻線体21は、端末の延びる方向が異なる第1巻線体21Aと第2巻線体21Bにより構成される。ここで、第1巻線体21Aおよび第2巻線体21Bは基本的に同一であり、添え字A,Bによって区別する。また、巻線体を総称するときには、参照符号のみを用いる。
第1巻線体21Aは、例えば、エナメル樹脂で絶縁被覆された、かつ接続部のない連続した銅線やアルミニウム線などからなる長方形断面の導体線19を、周方向に6スロット間隔で並ぶ第1スロット、第2スロットおよび第3スロットに、第2スロット、第1スロット、第2スロット、第3スロット、第2スロットおよび第1スロットの順に、かつ第1スロット、第2スロットおよび第3スロットへの軸方向からの挿入方向を交互に変えて、かつスロット15内の径方向の挿入位置を径方向外方に順次1層ずつ変位するように挿入して、8の字状の形状に作製されている。このように作製された第1巻線体21Aは、分布巻きの重ね巻きの巻線である。なお、長方形断面の導体線19に代えて、円形断面の導体線を用いてもよい。また、6スロット間隔とは、周方向に連続する6本のティース14bの両側に位置するスロット15の間の間隔であり、ここでは1磁極ピッチに相当する。
第1巻線体21Aは、図6から図8に示されるように,6スロット間隔離れて3列となった、第1、第2、第3、第4、第5および第6スロット挿入部S1〜S6と、第1スロット挿入部S1の一端から延び出す第1ターン部T1Aと、第1および第2スロット挿入部S1,S2の他端同士を連結する第2ターン部T12と、第2および第3スロット挿入部S2,S3の一端同士を連結する第3ターン部T23と、第3および第4スロット挿入部S3,S4の他端同士を連結する第4ターン部T34と、第4および第5スロット挿入部S4,S5の一端同士を連結する第5ターン部T45と、第5および第6スロット挿入部S5,S6の他端同士を連結する第6ターン部T56と、第6スロット挿入部S1の一端から延び出す第7ターン部T6Aと、を備える。ここで、第1ターン部T1Aが内径側端末となり、第7ターン部T6Aが外径側端末となる。
第1および第2スロット挿入部S1,S2は、第2ターン部T12の周方向中間位置に形成されたクランク部により、導体線19の径方向厚み分、径方向に変位されている。第2および第3スロット挿入部S2,S3は、第3ターン部T23の周方向中間位置に形成されたクランク部により、導体線19の径方向厚み分、径方向に変位されている。第3および第4スロット挿入部S3,S4は、第4ターン部T34の周方向中間位置に形成されたクランク部により、導体線19の径方向厚み分、径方向に変位されている。第4および第5スロット挿入部S4,S5は、第5ターン部T45の周方向中間位置に形成されたクランク部により、導体線19の径方向厚み分、径方向に変位されている。第5および第6スロット挿入部S5,S6は、第6ターン部T56の周方向中間位置に形成されたクランク部により、導体線19の径方向厚み分、径方向に変位されている。
第2ターン部T12は、第1スロット挿入部S1の他端から、径方向位置を維持して、クランク部の内径側端部に至るように延び、クランク部の外径側端部から、径方向位置を維持して第2スロット挿入部S2の他端に至るように延びている。すなわち、第2ターン部T12は、頂部となるクランク部と、クランク部の周方向の両側に位置する一対の斜辺部と、により構成されている。第3ターン部T23、第4ターン部T34、・・、第6ターン部T56も、第2ターン部T12と同様に構成されている。
第1ターン部T1Aは、第1スロット挿入部S1の一端から延び出た後のクランク部T1Aaで、導体線19の径方向厚み分、径方向内方に変位され、その後、第5ターン部T45の第5スロット挿入部S5の一端に接続する斜辺部と平行に、かつ径方向位置を維持して延び出し、その後曲げられて、軸方向外方に延びている。なお、クランク部T1Aaによる径方向内方への変位量は、導体線19の径方向厚みより大きくしてもよい。
第7ターン部T6Aは、第6スロット挿入部S6の一端から、第3ターン部T23の第3スロット挿入部S3の一端に接続する斜辺部と平行に、かつ径方向位置を維持して延び出し、その後曲げられて、軸方向外方に延びている。
第2巻線体21Bは、図9〜図11に示されるように、第1巻線体21Aと同様に、導体線19を、周方向に6スロット間隔で並ぶ第1スロット、第2スロットおよび第3スロットに、第2スロット、第1スロット、第2スロット、第3スロット、第2スロットおよび第1スロットの順に、かつ第1スロット、第2スロットおよび第3スロットへの軸方向からの挿入方向を交互に変えて、かつスロット15内の径方向の挿入位置を径方向外方に順次1層ずつ変位するように挿入して、8の字状の形状に作製されている。
具体的には、第2巻線体21Bは、第1、第2、第3、第4、第5および第6スロット挿入部S1〜S6と、第1、第2、第3、第4、第5、第6および第7ターン部T1B、T12、T23、T34、T45、T56、T6Bと、を備える。第1ターン部T1Bが内径側端末、第7ターン部T6Bが外径側端末となる。
第1ターン部T1Bは、第1スロット挿入部S1の一端から、第3ターン部T23の第3スロット挿入部S3の一端に接続する斜辺部と平行に、かつ径方向位置を維持して延び出し、その後曲げられて、軸方向外方に延びている。
第7ターン部T6Bは、第6スロット挿入部S6の一端から延び出た後のクランク部T6Baで、導体線19の径方向厚み分、径方向外方に変位され、その後、第3ターン部T23の第2スロット挿入部S2の一端に接続する斜辺部と平行に、かつ径方向位置を維持して延び出し、その後曲げられて、軸方向外方に延びている。なお、クランク部T6Baによる径方向外方への変位量は、導体線19の径方向厚みより大きくしてもよい。
このように、第2巻線体21Bは、第1ターン部T1Bおよび第7ターン部T6Bが異なる点を除いて、第1巻線体21Aと同様に作製されている。
巻線体21は、図12に示されるように、第1スロット挿入部S1が7番のスロット15の第1層の位置に挿入され、第2スロット挿入部S2が1番のスロット15の第2層の位置に挿入され、第3スロット挿入部S3が7番のスロット15の第3層の位置に挿入され、第4スロット挿入部S4が13番のスロット15の第4層の位置に挿入され、第5スロット挿入部S5が7番のスロット15の第5層の位置に挿入され、第6スロット挿入部S6が1番のスロット15の第6層の位置に挿入される。
このように、巻線体21は、周方向に1スロットピッチで、固定子鉄心11にスロット15と同数装着される。これにより、各スロット15には、3つの巻線体21により構成される第1、第2、第3、第4、第5および第6スロット挿入部S1〜S6が、径方向に1列に並んで6層に挿入される。なお、第1層は、スロット15内に1列に並んで挿入される第1から第6スロット挿入部S1〜S6の6層のなかの最内径位置の層であり、第6層は、最外径位置の層である。
具体的には、第1巻線体21Aと第2巻線体21Bとは、1スロットピッチで、2つずつ、周方向に交互に固定子鉄心11に装着されている。これにより、固定子鉄心11の軸方向の一端側には、第3ターン部T23が1スロットピッチで周方向に配列された第3ターン部T23の層と、第5ターン部T45が1スロットピッチで周方向に配列された第3ターン部T45の層と、が径方向に2層に配列され、第1コイルエンド20aを構成している。そして、スロット15の第1層から延び出る第1ターン部T1A,T1Bの斜辺部の傾斜方向が2本ずつ交互に逆方向となって、第1コイルエンド20aの内径側に周方向に配列されている。同様に、スロット15の第6層から延び出る第7ターン部T6A,T6Bの斜辺部の傾斜方向が2本ずつ交互に逆方向となって、第1コイルエンド20aの外径側に周方向に配列されている。また、固定子鉄心11の軸方向の他端側には、第2ターン部T12が1スロットピッチで周方向に配列された第2ターン部T12の層と、第4ターン部T34が1スロットピッチで周方向に配列された第4ターン部T34の層と、第6ターン部T56が1スロットピッチで周方向に配列された第6ターン部T56の層と、が径方向に3層に配列され、第2コイルエンド20bを構成している。
固定子10では、図13および図14に示されるように、1磁極ピッチ、すなわち6スロット離れたスロット15から延び出した第1巻線体21Aの第1ターン部T1Aの端部と第2巻線体21Bの第1ターン部T1Bの端部とが径方向に重なって配列している。径方向に重なった第1ターン部T1A,T1Bの端部同士が、接合部18により接合される。1スロット間隔で2つ配列する、第1ターン部T1A,T1Bの径方向に重なった端部同士の接合部18の組が、4スロット間隔で、周方向に配列されている。そして、図15に示されるように、第1ターン部T1Aの斜辺部が、根元部に形成されたクランク部T1Aaにより径方向内方に導体線19の径方向厚み分変位され、第1ターン部T1Bとの干渉が回避されている。
また、6スロット離れたスロット15から延び出した第1巻線体21Aの第7ターン部T6Aの端部と第2巻線体21Bの第7ターン部T6Bの端部とが径方向に重なって配列している。径方向に重なった第7ターン部T6A,T6Bの端部同士が、接合部18により接合される。1スロット間隔で2つ配列する、第7ターン部T6A,T6Bの接合部18の組が、4スロット間隔で、周方向に配列されている。そして、第7ターン部T6Bの斜辺部が、根元部に形成されたクランク部T6Aaにより径方向外方に導体線19の径方向厚み分変位され、第7ターン部T6Bとの干渉が回避されている。
ここで、1スロット間隔で2つ配列する、第1ターン部T1A,T1Bの接合部18の組は、図14に示されるように、同相となっている。
このように、固定子巻線20の各相巻線は、相巻線を構成する第1巻線体21Aおよび第2巻線体21Bの第1ターン部T1A,T1B同士を溶接などにより接合し、第7ターン部T6A,T6B同士を溶接などにより接合して構成される。
つぎに、固定子巻線20の具体的な結線パターンを説明する。図16はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子巻線の結線パターンを説明する図である。
固定子巻線20は、図16に示されるように、U相コイルとV相コイルとW相コイルとをY結線して構成されている。U相コイルは、U1相コイルとU2相コイルとを並列接続して構成されている。V相コイルは、V1相コイルとV2相コイルとを並列接続して構成されている。W相コイルは、W1相コイルとW2相コイルとを並列接続して構成されている。Uin、VinおよびWinが給電部となる。
つぎに、U相コイルにおける給電部Uinから中性点までの具体的な結線パターンを説明する。図17はこの発明の実施の形態1に係る回転電機におけるU相コイルの結線パターンを示す図、図18はU相コイルの巻線体を径方向内方から見た模式図である。なお、図17において、1〜48は固定子鉄心のスロットに周方向の並び順にふったスロットNoである。スロットは7.5°のピッチで円環状に配列されているが、図17では、便宜的に直線状に展開して示している。図17では、紙面の上下方向が径方向であり、紙面の左右方向が周方向であり、紙面に垂直な方向が軸方向である。図17において、巻線体のスロット挿入部が四角で示されており、各スロットに6つのスロット挿入部が径方向に1列に配列されている。スロット挿入部に付された番号は、給電側から中性点に至るように接続される順番を示している。スロット内に挿入されているスロット挿入部の層を内径側から第1層、第2層、・・・、第6層とする。なお、図19および図21においても,同様である。図18において、スロット挿入部に付された番号は、給電側から中性点に至るように接続される順番を示している。なお、図20および図22においても,同様である。
U1相コイルは、スロット番号{1+6(m−1)}とスロット番号{2+6(m−1)}とのスロット群に挿入された第1および第2巻線体21A,21Bを結線して構成される。但し、mは1以上、8以下の整数である。
まず、1番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6が第6ターン部T56により7番のスロットの第5層に位置する第5スロット挿入部S5に接続される。第5スロット挿入部S5が第5ターン部T45により13番のスロットの第4層に位置する第4スロット挿入部S4に接続される。第4スロット挿入部S4が第4ターン部T34により7番のスロットの第3層に位置する第3スロット挿入部S3に接続される。第3スロット挿入部S3が第3ターン部T23により1番のスロットの第2層に位置する第2スロット挿入部S2に接続される。第2スロット挿入部S2が第2ターン部T12により7番のスロットの第1層に位置する第1スロット挿入部S1に接続される。第1スロット挿入部S1が第1ターン部T1A、T1Bにより13番のスロットの第1層に位置する第1スロット挿入部S1に接続される。
この操作を繰り返して、1番のスロット挿入部から24番のスロット挿入部が接続され、スロット番号{1+6(m−1)}のスロット群に挿入されている第1および第2巻線体21A,21Bが2本ずつ交互に直列に接続される。
ついで、19番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6が第7ターン部T6A、T6Bにより7スロット離れた26番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6に接続される。第6スロット挿入部S6が第6ターン部T56により32番のスロットの第5層に位置する第5スロット挿入部S5に接続される。第5スロット挿入部S5が第5ターン部T45により38番のスロットの第4層に位置する第4スロット挿入部S4に接続される。第4スロット挿入部S4が第4ターン部T34により32番のスロットの第3層に位置する第3スロット挿入部S3に接続される。第3スロット挿入部S3が第3ターン部T23により26番のスロットの第2層に位置する第2スロット挿入部S2に接続される。第2スロット挿入部S2が第2ターン部T12により32番のスロットの第1層に位置する第1スロット挿入部S1に接続される。第1スロット挿入部S1が第1ターン部T1A、T1Bにより38番のスロットの第1層に位置する第1スロット挿入部S1に接続される。
この操作を繰り返して、25番のスロット挿入部から48番のスロット挿入部が接続され、スロット番号{2+6(m−1)}のスロット群に挿入されている第1および第2巻線体21A,21Bが2本ずつ交互に直列に接続される。
これにより、スロット番号{1+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とスロット番号{2+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とを直列に接続されたU1相コイルが構成される。そして、1番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6BがU1相コイルの給電部U1inとなり、44番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6Bが中性点U1outとなる。
ついで、U2相コイルは、スロット番号{1+6(m−1)}とスロット番号{2+6(m−1)}とのスロット群に挿入された第1および第2巻線体21A,21Bを結線して構成される。
まず、2番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6が第6ターン部T56により8番のスロットの第5層に位置する第5スロット挿入部S5に接続される。第5スロット挿入部S5が第5ターン部T45により14番のスロットの第4層に位置する第4スロット挿入部S4に接続される。第4スロット挿入部S4が第4ターン部T34により8番のスロットの第3層に位置する第3スロット挿入部S3に接続される。第3スロット挿入部S3が第3ターン部T23により2番のスロットの第2層に位置する第2スロット挿入部S2に接続される。第2スロット挿入部S2が第2ターン部T12により8番のスロットの第1層に位置する第1スロット挿入部S1に接続される。第1スロット挿入部S1が第1ターン部T1A、T1Bにより14番のスロットの第1層に位置する第1スロット挿入部S1に接続される。
この操作を繰り返して、101番のスロット挿入部から124番のスロット挿入部が接続され、スロット番号{2+6(m−1)}のスロット群に挿入されている第1および第2巻線体21A,21Bが2本ずつ交互に直列に接続される。
ついで、20番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6が第7ターン部T6A、T6Bにより5スロット離れた25番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6に接続される。第6スロット挿入部S6が第6ターン部T56により31番のスロットの第5層に位置する第5スロット挿入部S5に接続される。第5スロット挿入部S5が第5ターン部T45により37番のスロットの第4層に位置する第4スロット挿入部S4に接続される。第4スロット挿入部S4が第4ターン部T34により31番のスロットの第3層に位置する第3スロット挿入部S3に接続される。第3スロット挿入部S3が第3ターン部T23により25番のスロットの第2層に位置する第2スロット挿入部S2に接続される。第2スロット挿入部S2が第2ターン部T12により31番のスロットの第1層に位置する第1スロット挿入部S1に接続される。第1スロット挿入部S1が第1ターン部T1A、T1Bにより37番のスロットの第1層に位置する第1スロット挿入部S1に接続される。
この操作を繰り返して、125番のスロット挿入部から148番のスロット挿入部が接続され、スロット番号{1+6(m−1)}のスロット群に挿入されている第1および第2巻線体21A,21Bが2本ずつ交互に直列に接続される。
これにより、スロット番号{1+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の第1および第2巻線体21A,21Bとスロット番号{2+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の第1および第2巻線体21A,21Bとを直列に接続されたU2相コイルが構成される。そして、2番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6BがU2相コイルの給電部U1inとなり、43番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6Bが中性点U2outとなる。
このように、U1相コイルとU2相コイルは、ともに、スロット番号{1+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とスロット番号{2+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とを直列に接続して構成されている。つまり、U1相コイルとU2相コイルは同一構成となっている。U相コイルは、U1相コイルとU2相コイルとを並列に接続して構成される。
つぎに、W相コイルにおける給電部Winから中性点までの具体的な結線パターンを説明する。図19はこの発明の実施の形態1に係る回転電機におけるW相コイルの結線パターンを示す図、図20はW相コイルの巻線体を径方向内方から見た模式図である。
W1相コイルでは、まず、1番のスロット挿入部から24番のスロット挿入部が接続されて、スロット番号{5+6(m−1)}のスロット群に挿入されている第1および第2巻線体21A,21Bが2本ずつ交互に直列に接続される。ついで、25番のスロット挿入部から48番のスロット挿入部が接続されて、スロット番号{6+6(m−1)}のスロット群に挿入されている第1および第2巻線体21A,21Bが2本ずつ交互に直列に接続される。これにより、スロット番号{5+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の第1および第2巻線体21A,21Bとスロット番号{6+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の第1および第2巻線体21A,21Bとを直列に接続されたW1相コイルが構成される。そして、5番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6BがW1相コイルの給電部W1inとなり、48番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6Bが中性点W1outとなる。
W2相コイルでは、まず、101番のスロット挿入部から124番のスロット挿入部が接続されて、スロット番号{6+6(m−1)}のスロット群に挿入されている第1および第2巻線体21A,21Bが2本ずつ交互に直列に接続される。ついで、125番のスロット挿入部から148番のスロット挿入部が接続されて、スロット番号{5+6(m−1)}のスロット群に挿入されている第1および第2巻線体21A,21Bが2本ずつ交互に直列に接続される。これにより、スロット番号{5+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の第1および第2巻線体21A,21Bとスロット番号{6+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の第1および第2巻線体21A,21Bとを直列に接続されたW2相コイルが構成される。そして、6番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6BがW2相コイルの給電部W2inとなり、47番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6Bが中性点W2outとなる。
このように、W1相コイルとW2相コイルは、ともに、スロット番号{5+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とスロット番号{6+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とを直列に接続して構成されている。つまり、W1相コイルとW2相コイルは同一構成となっている。W相コイルは、W1相コイルとW2相コイルとを並列に接続して構成される。
つぎに、V相コイルにおける給電部Winから中性点までの具体的な結線パターンを説明する。図21はこの発明の実施の形態1に係る回転電機におけるV相コイルの結線パターンを示す図、図22はV相コイルの巻線体を径方向内方から見た模式図である。
V1相コイルでは、まず、1番のスロット挿入部から24番のスロット挿入部が接続されて、スロット番号{3+6(m−1)}のスロット群に挿入されている第1および第2巻線体21A,21Bが2本ずつ交互に直列に接続される。ついで、25番のスロット挿入部から48番のスロット挿入部が接続されて、スロット番号{4+6(m−1)}のスロット群に挿入されている第1および第2巻線体21A,21Bが2本ずつ交互に直列に接続される。これにより、スロット番号{3+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の第1および第2巻線体21A,21Bとスロット番号{4+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の第1および第2巻線体21A,21Bとを直列に接続されたV1相コイルが構成される。そして、9番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6BがV1相コイルの給電部V1inとなり、4番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6Bが中性点V1outとなる。
V2相コイルでは、まず、101番のスロット挿入部から124番のスロット挿入部が接続されて、スロット番号{4+6(m−1)}のスロット群に挿入されている第1および第2巻線体21A,21Bが2本ずつ交互に直列に接続される。ついで、125番のスロット挿入部から148番のスロット挿入部が接続されて、スロット番号{3+6(m−1)}のスロット群に挿入されている第1および第2巻線体21A,21Bが2本ずつ交互に直列に接続される。これにより、スロット番号{3+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の第1および第2巻線体21A,21Bとスロット番号{4+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の第1および第2巻線体21A,21Bとを直列に接続されたV2相コイルが構成される。そして、10番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6BがV2相コイルの給電部V2inとなり、3番のスロットの第6層に位置する第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6Bが中性点V2outとなる。
このように、V1相コイルとV2相コイルは、ともに、スロット番号{3+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とスロット番号{4+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とを直列に接続して構成されている。つまり、V1相コイルとV2相コイルは同一構成となっている。V相コイルは、V1相コイルとV2相コイルとを並列に接続して構成される。
つぎに、巻線体21の接続構造について図23から図27を用いて説明する。図23はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子を示す側面図、図24はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子巻線のコイルエンドの要部を示す斜視図、図25はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子巻線の挿入スロット群の変更箇所周りを示す要部側面図、図26はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子巻線の挿入スロット群の変更箇所周りを示す模式図、図27はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子巻線の中性点接続部周りを示す模式図である。
第1コイルエンド20aの外径側には、図23および図24に示されるように、スロット15の第6層から延び出る第7ターン部T6A,T6Bが、その斜辺部の傾斜方向を2本ずつ交互に逆方向となるように周方向に配列されている。そして、各相において、接続される巻線体21の挿入スロット群の変更箇所を除いて、斜辺部の傾斜方向が逆方向となっている第7ターン部T6A,T6Bの先端部が、径方向に重なっている。径方向に重なった第7ターン部T6A,T6Bの端部同士が、溶接などにより接合される。なお、各相において、接続される巻線体21の挿入スロット群の変更箇所は、7スロット離れた第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6A,T6Bの端部同士を接合し、5スロット離れた第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6A,T6Bの端部同士を接合する箇所である。
接続される巻線体21の挿入スロット群の変更箇所について、U相コイルを例にとって、図25および図26を参照しつつ説明する。図25および図26では、説明の便宜上、5スロット離れた第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6A,T6Bに添え字1を付し、7スロット離れた第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6A,T6Bに添え字2を付している。
U相コイルにおいては、20番と25番のスロットに挿入されている第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6A1,T6B1の端部同士が、溶接により、直接接続されている。また、19番と26番のスロットに挿入されている第6スロット挿入部S6から延び出る第7ターン部T6A2,T6B2の端部同士が、バスバ30を介して接続されている。なお、第7ターン部T6B2が第1端末となり、第7ターン部T6A2が第2端末となり、第7ターン部T6B1が第3端末となる。
バスバ30は、第1端部30aと第2端部30bとを渡り部で連結したU字状に形成され、巻線体21の材料である導体線19を所定の長さに切断したものを曲げ成形して作製されている。そして、バスバ30の第1端部30aと第2端部30bが、渡り部中央に形成されたクランク部30cにより、導体線19の幅分変位されている。第7ターン部T6A1が、その先端部を、第7ターン部T6B1の先端部の径方向内方を向く面に接続される。そして、バスバ30は、第1端部30aを第7ターン部T6A2の径方向外側を向く面に接続され、径方向位置を維持して周方向に延びて、第7ターン部T6A1,T6B1の接続部の軸方向内側に至り、クランク部30cで径方向内方に導体線19の幅分変位し、その後、第7ターン部T6B1の径方向内側を通って、径方向位置を維持して周方向に延び、第2端部30bが、第7ターン部T6B2の先端部の径方向内方を向く面に接続される。
このように、U1相コイルとU2相コイルが、ともに、スロット番号{1+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とスロット番号{2+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とを直列に接続して構成される。なお、V相コイルおよびW相コイルも同様であるので、その説明を省略する。
ここで、接続される巻線体21の挿入スロット群の変更箇所では、5スロット離れた第7ターン部T6A,T6Bが直接接続され、7スロット離れた第7ターン部T6A,T6Bが、バスバ30により接続されている。なお、各相コイルでは、6スロットピッチで配列されている巻線体21の第1ターン部T1A、T1B同士、および第7ターン部T6A、T6B同士を直接接続して構成されている。
つぎに、固定子巻線20の中性点の接合構造について図27を用いて説明する。図27はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子巻線の第7ターン部の配列状態を説明する模式図である。図27中、43,44,・・・、4はスロット番号である。中性点を構成する第7ターン部T6Bに添え字11〜16を付している。
44番のスロットの第6層から延び出したU1相コイルの第7ターン部T6B12の先端部と、47番のスロットの第6層から延び出したW2相コイルの第7ターン部T6B13の先端部とが周方向に接して配置される。3番のスロットの第6層から延び出したV2相コイルの第7ターン部T6B15は、クランク部T6Baでの変位を無くされて、U1相コイルの第7ターン部T6B12側に傾斜させて、その先端部をU1相コイルの第7ターン部T6B12の先端部の径方向内方を向く面にあてがわれる。そして、U1相コイル、W2相コイルおよびV2相コイルの第7ターン部T6B12,T6B13,T6B15の先端部同士が溶接により接合されて、第1の中性点を構成する。
48番のスロットの第6層から延び出したW1相コイルの第7ターン部T6B14は、クランク部T6Baでの変位を無くされて、43番のスロットの第6層から延び出したU2相コイルの第7ターン部T6B11側に傾斜させて、その先端部をU2相コイルの第7ターン部T6B11の先端部の径方向内方を向く面にあてがわれる。さらに、バスバ31の第2端部31bが、W1相コイルの第7ターン部T6B14の先端部の周方向の側方にあてがわれる。そして、W1相コイルの第7ターン部T6B14の先端部、U2相コイルの第7ターン部T6B11の先端部およびバスバ31の第2端部31bが、溶接により接続される。さらに、4番のスロットの第6層から延び出したV1相コイルの第7ターン部T6B16は、クランク部T6Baでの変位を無くされて、47番のスロットの第6層から延び出したW2相コイルの第7ターン部T6B13側に傾斜させて、その先端部をバスバ31の第1端部31aの径方向内方にあてがわれる。そして、V1相コイルの第7ターン部T6B15の先端部とバスバ31の第1端部31aが溶接により接合されて、第2の中性点を構成する。
ここで、バスバ31は、第1端部31aと第2端部31bとを渡り部で連結したU字状に形成され、巻線体21の材料である導体線19を所定長さに切断したものを曲げ成形して作製されている。バスバ31の第1端部31aと第2端部31bが、渡り部中央に形成されたクランク部31cにより、導体線19の幅分変位されている。そこで、バスバ31は、第1端部31aがV1相コイルの第7ターン部T6B16の先端部の径方向外方を向く面に接続され、径方向位置を維持して周方向に延びてV2相コイル、W2相コイルおよびU1相コイルの第7ターン部T6B15、T6B13,T6B12の接続部の軸方向内側に至り、クランク部31cで径方向内方に導体線19の幅分変位し、その後、W2相コイルおよびU1相コイルの第7ターン部T6B13,T6B12の径方向内側を通って、径方向位置を維持して周方向に延び、第2端部31bがW1相コイルの第7ターン部T6B14の先端部の周方向を向く面に接続される。
このように、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルの中性点が結線され、図16に示される固定子巻線20が構成される。中性点結線部では、図27に示されるように、3スロット、4スロット、5スロット、7スロット離れている第7ターン部T6Bが直接接続されている。そして、9スロット離れている第7ターン部T6Bが、バスバ31により接続されている。なお、第7ターン部T6B11が第1端末となり、第7ターン部T6B16が第2端末となり、第7ターン部T6B12(T6B13)が第3端末となり、第7ターン部T6B14が第4端末となる。
そして、並列接続されるU1相コイルとU2相コイルは、ともに、スロット番号{1+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とスロット番号{2+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とを直列に接続して構成されている。並列接続されるV1相コイルとV2相コイルは、ともに、スロット番号{3+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とスロット番号{4+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とを直列に接続して構成されている。並列接続されるW1相コイルとW2相コイルは、ともに、スロット番号{5+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とスロット番号{6+6(m−1)}のスロット群に挿入された4本の巻線体21とを直列に接続して構成されている。このように、V相コイルおよびW相コイルは、それぞれ、並列接続されるコイルが同一構成となっているので、循環電流の発生が抑制される。
実施の形態1によれば、第1巻線体21Aと第2巻線体21Bとが、2つずつ、周方向に交互に固定子鉄心11に装着されている。これにより、図14に示されるように、第1ターン部T1Aと第1ターン部T1Bとが2本ずつ交互に配列されている。そこで、第1ターン部T1A,T1Bの斜辺部の傾斜方向が2本ずつ交互に逆向きにして配列されている。これにより、第1ターン部T1A,T1Bの端部同士の接合部18が1スロット間隔で2つ配列した組が、4スロット間隔で、周方向に配列されている。
同様に、第7ターン部T6A,T6Bの端部同士の接合部18も、1スロット間隔で2つ配列した組が、4スロット間隔で、周方向に配列されている。
そこで、周方向に隣接して配列される接合部18の個数が少なくなり、絶縁性が向上される。また、接合時に、第1ターン部T1A,T1Bおよび第7ターン部T6A,T6Bをチャックするスペースが確保でき、生産性が高められる。第1コイルエンド20aの内径側に配列される第1ターン部T1A,T1B同士を接合し、第1コイルエンド20aの外径側に配列される第7ターン部T6A,T6B同士を接合して、相巻線を構成するので、固定子巻線20の軸方向寸法、すなわち軸長の増大が抑制される。さらに、第1ターン部T1A,T1Bおよび第7ターン部T6A,T6Bにおいて、周方向に隣接する同相のターン部が同じ方向に曲げられ、異なる相のターン部が逆方向に曲げられているので、相間の導体線19間の距離が長くなり、導体線19の絶縁被膜を薄くして、高出力化が図られる。
各相コイルにおいて、並列接続される一方のコイルは、8つの巻線体21を接続する際に、4本目までは、一方のスロット群に挿入されている巻線体21を接続し、5本目からは他方のスロット群に挿入されている巻線体21を接続して、構成される。また、並列接続される他方のコイルは、8つの巻線体21を接続する際に、4本目までは、他方のスロット群に挿入されている巻線体21を接続し、5本目からは一方のスロット群に挿入されている巻線体21を接続して、構成される。これにより、各相コイルにおいて、並列接続される2つのコイルを同じ構成としているので、循環電流の発生を抑制できる。
この挿入スロット群の変更箇所では、5スロット離れたスロット挿入部から延び出る第7ターン部T6A1,T6B1の先端部同士を直接接続し、バスバ30を用いて7スロット離れたスロット挿入部から延び出る第7ターン部T6a2,T6B2の先端部同士を接続している。バスバ30は、渡り部にクランク部30cを有するU字状に構成され、第7ターン部T6A1,T6B1の先端部の接続部の固定子鉄心11側で、第7ターン部T6B1の径方向内側を通って、第7ターン部T6A2,T6B2の先端部に接続されている。そこで、バスバ30が第7ターン部T6B1の径方向外方に突出せず、コイルエンドの径方向寸法の増大が抑えられ、固定子10の径方向の小型化が図られる。バスバ30が第7ターン部T6B1の径方向内側を通っているので、バスバ30の径方向外方への移動が規制され、バスバ30の位置決めが容易となり、生産性が高められる。
固定子巻線20の中性点の結線部では、W1相コイル、U2相コイルおよびV1相コイルの第7ターン部T6B14、T6B11、T6B16の先端部が、U1相コイル、W2相コイルおよびV2相コイルの第7ターン部T6B12,T6B13,T6B15の接続部の周方向両側に分かれて配置されている。そこで、バスバ31を用いて、W1相コイル、U2相コイルおよびV1相コイルの第7ターン部T6B14、T6B11、T6B16の先端部同士を接続している。バスバ31は、渡り部にクランク部31cを有するU字状に構成され、U1相コイルおよびW2相コイルの第7ターン部T6B12,T6B13の径方向内側を通って、W1相コイル、U2相コイルおよびV1相コイルの第7ターン部T6B14、T6B11、T6B16の先端部に接続されている。そこで、バスバ31が第7ターン部T6B12,T6B13の径方向外方に突出せず、コイルエンドの径方向寸法の増大が抑えられ、固定子10の径方向の小型化が図られる。バスバ31が第7ターン部T6B12,T6B13の径方向内側を通っているので、バスバ31の径方向外方への移動が規制され、バスバ31の位置決めが容易となり、生産性が高められる。
ここでは、毎極毎相当たりのスロット数が2、固定子巻線が2つのコイルを並列接続してなる相コイルをY結線して構成されているので、中性点の個数が2となる。そこで、中性点の接続部では、図27に示されるように、6スロットずつ離れたスロット15から延び出る3つの端末を接続するのではなく、4スロットと5スロット離れたスロット15から延び出る3つの端末を接続し、4スロットと3スロット離れたスロット15から延び出る3つの端末を接続することになる。なお、6スロットとは、毎極毎相当たりのスロット数(2)×固定子巻線の相数(3)である。
実施の形態1では、第1の中性点を構成する、4スロットと3スロット離れたスロット15から延び出る3つの端末を直接接合している。そして、第2の中性点を構成する4スロットと5スロット離れたスロット15から延び出る3つの端末のうち、5スロット離れたスロット15から延び出る2本の端末を直接接合し、この接合された2本の端末と残る1本の端末とをバスバ31を用いて接合している。このように、結線板などの付属部品が不要となるので、部品点数が削減され、生産性が高められるとともに、コイルエンドの小型化が図られる。さらに、溶接箇所が3箇所となり、生産性が高められる。
バスバ30,31の渡り部が、第7ターン部T6A1,T6B1の先端部の接続部、又は第7ターン部T6B12,T6B13,T6B15の先端部の接続部の固定子鉄心11側、すなわち第1コイルエンド20aの頂部より径方向外側、かつ軸方向下側に配置されているので、バスバが第1コイルエンド20aの軸方向上側に配置される場合に比べ、コイルエンドの軸方向寸法を短くでき、固定子10の軸方向の小型化が図られる。
巻線体21とバスバ30,31が同じ材料を用いて作製されているので、生産性が高められる。バスバ30,31が絶縁被覆された導体線19で作製されているので、バスバ30,31と巻線体21との間の絶縁性が確保される。
実施の形態1では、毎極毎相当たりのスロット数Nが2、固定子巻線20の相数Pが3であるので、各相コイルは、6(=2×3)スロット離れたスロットから延び出た第1ターン部同士および第7ターン部同士を接続して構成されている。つまり、各相コイルの挿入スロット群の変更箇所および中性点の結線部で、6スロットと異なるMスロット離れた第7ターン部同士を接続することになる。各相コイルの挿入スロット群の変更箇所では、図26に示されるように、5スロット離れたスロット15から延び出す第7ターン部T6A1,T6B1同士を接続し、7スロット離れたスロット15から延び出す第7ターン部T6A2,T6B2同士を接続する必要がある。5スロット離れたスロット15から延び出す第7ターン部T6A1,T6B1同士は、径方向のオフセット形状を変えることなく直接接続することができる。しかし、7スロット離れたスロット15から延び出す第7ターン部T6A2,T6B2の先端部同士を直接接続するには、第7ターン部T6A2,T6B2の径方向のオフセット形状を変更して、第7ターン部T6A1,T6B1との干渉を避ける必要がある。実施の形態1では、バスバ30の渡り部の長さを調整し、第7ターン部T6A2,T6B2の径方向のオフセット形状を変えることなく、第7ターン部T6A2,T6B2の先端部同士を接続することができる。したがって、機種毎に、巻線体21の径方向のオフセット形状を成形する際の治具や工程を変える必要がなく、生産性が高められる。
ここで、Mは2以上であって、N×P以外の自然数であれば、バスバ30を用いることで、第7ターン部T6A2,T6B2の径方向のオフセット形状を変えないという効果が得られる。
なお、上記実施の形態1の巻線体21においては、第6から第1スロット挿入部S6〜S1のスロット内の径方向位置が、径方向外方から内方に、1層ずつ順次変位し、かつ、図12において、第Qスロット挿入部と第(Q−1)スロット挿入部とを接続するターン部の第Qスロット挿入部から第(Q−1)スロット挿入部に向かう方向が、「右、右、左、左、右」となっている。しかし、第6から第1スロット挿入部S6〜S1のスロット内の径方向位置が、径方向外方から内方に、1層ずつ順次変位していれば、第Qスロット挿入部と第(Q−1)スロット挿入部とを接続するターン部の第Qスロット挿入部から第(Q−1)スロット挿入部に向かう方向は、任意である。例えば、第Qスロット挿入部と第(Q−1)スロット挿入部とを接続するターン部の第Qスロット挿入部から第(Q−1)スロット挿入部に向かう方向は、「右、左、右、左、右」、「右、右、右、右、右」でもよい。
また、上記実施の形態1では、第2の中性点において、W1相コイルの第7ターン部T6B14の先端部がU2相コイルの第7ターン部T6B11の先端部に直接接続されているが、W1相コイルの第7ターン部T6B14の先端部をV1相コイルの第7ターン部T6B16の先端部に直接接続してもよい。
実施の形態2.
図28はこの発明の実施の形態2に係る回転電機における固定子を外径側から見た要部側面図、図29および図30はそれぞれこの発明の実施の形態2に係る回転電機における固定子巻線の第7ターン部の配列状態を説明する模式図である。
図28から図30に示されるように、サーミスタなどの温度検出素子35が、バスバ30に取り付けられて、バスバ30と第7ターン部T6Aとの間に配置されている。
なお、他の構成は、上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態2によれば、温度検出素子35がバスバ30と第7ターン部T6Aとの間の周方向の隙間に配置されているので、温度検出素子35の温度検出の応答性が向上される。また、温度検出素子35の周方向の1面が発熱体であるバスバ30と接しているので、雰囲気温度の影響が抑えられ、検出温度のバラツキを小さくすることができる。
また、温度検出素子35がバスバ30に取り付けられているので、温度検出素子35が取り付けられたバスバ30を用いて第7ターン部T6A,T6Bを接続することができる。そこで、第7ターン部T6A,T6Bに接続されているバスバ30に温度検出素子35を取り付けるという煩雑な作業が不要となり、生産性が高められる。
ここで、温度検出素子35の周方向の他の1面を第7ターン部T6Aと接するようにすれば、温度検出の応答性がさらに向上されるとともに、雰囲気温度の影響がさらに抑えられ、検出温度のバラツキをさらに小さくすることができる。さらに、バスバ30が横切るT6Bの内径側の面に相対するように、温度検出素子35配置してもよい。これにより、温度検出素子35の径方向の2面が、第7ターン部T6Bと第1コイルエンド20aの第5ターン部T45とに近づき、あるいは接するので、温度検出の応答性がさらに向上されるとともに、雰囲気温度の影響がさらに抑えられ、検出温度のバラツキをさらに小さくすることができる。
また、上記実施の形態2では、温度検出素子35がバスバ30に取り付けられているが、温度検出素子35はバスバ31に取り付けられてもよい。
なお、上記各実施の形態では、8極48スロットの回転電機について説明しているが、極数およびスロット数は、これに限定されない。
また、上記各実施の形態では、固定子巻線が、並列接続された各相コイルをY結線して構成されているが、固定子巻線は、直列接続された各相コイルをY結線して構成されてもよい。
また、上記各実施の形態では、固定子巻線が、各相コイルをY結線して構成されているが、固定子巻線は、各相コイルをΔ結線して構成されてもよい。
また、上記各実施の形態では、スロット数が毎極毎相当たり2の、分布巻きの固定子巻線を有する回転電機に適用したが、スロット数が毎極毎相当たりN以上(但し、Nは2以上の自然数)の、分布巻きの固定子巻線を有する回転電機であればよい。
また、上記各実施の形態では、バスバを用いてスロットの最外径位置から延び出す外径側端末同士を接合しているが、バスバを用いてスロットの最内径位置から延び出す内径側端末同士を接合してもよい。この場合、バスバは、渡り部が第3端末となる内径側端末の外径側を通るように渡り部にクランク部を形成すればよい。
また、上記各実施の形態では、巻線体が1本の連続した導体線により構成されているが、巻線体は、分布巻きに構成されていれば、複数本の導体を溶接などにより接続して構成されてもよい。
また、上記各実施の形態では、コイルとしての巻線体が、8本のコイル挿入部と9本のターン部とを交互に一続きに接続して構成されているが、巻線体は、2X本(Xは1以上の自然数)のスロット挿入部と(2X+1)本のターン部とを交互に一続きに接続して構成されていればよい。この場合、巻線体の両端に位置するターン部が、内径側端末および外径側端末となる。