JP5805346B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

この発明は、電動機および発電機などの回転電機に関するものである。
近年、電動機や発電機などの回転電機においては、小型高出力が求められている。この種の回転電機を小型化するに当たり、有効な磁束を発生しないコイルエンドを小型化する観点から、導体線を固定子鉄心のティースのそれぞれに巻回した集中巻の固定子巻線を用いられていた。しかしながら、トルク脈動が抑えられ、高出力化が可能な分布巻構造の固定子巻線を用いた固定子が要望されている。
ここでは、導体線を1つのティースに巻回して構成された集中巻の巻線に対し、導体線を2スロット以上離れたスロットに巻回して構成された巻線を分布巻の巻線とする。つまり、分布巻の巻線は、1のスロットから延出した導体線が連続する2つ以上のティースをまたいで他のスロットに入るように巻回されている。
このような状況を鑑み、従来の回転電機では、矩形導体線を複数回巻き回してコイル状に形成された巻線コイル、いわゆる亀甲形コイルを、所定スロット数離れたスロットの各対に収納して、分布巻の固定子巻線を構成していた(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−104293号公報
従来の回転電機では、亀甲形コイルのコイルエンドの束を頭頂部で曲げて、亀甲形コイルを構成する導体線の並び方向の全幅寸法だけずれるクランク形状に成形して、亀甲形コイルが所定スロット数離れたスロット対の一方のスロットの底部側と他方のスロットの開口部側とに入ることを実現していたので、コイルエンドが大きくなり、小型化が図れなくなるとともに、導体線の長さが長くなり、巻線抵抗が大きくなり、効率が低下するという課題があった。
また、従来の回転電機では、亀甲形コイルのコイルエンドの束を頭頂部で曲げてクランク形状に成形しているので、それぞれの亀甲形コイルの径方向に隣り合うコイルエンドの頭頂部は互いに接し、あるいは極めて接近する。そこで、径方向に隙間無く並んだコイルエンドの頭頂部の列が周方向に配列され、流路方向を径方向とする冷媒流路が頭頂部の列間に形成される。しかしながら、頭頂部の列は周方向に1スロットピッチで配列されるので、流路幅が狭く、放熱面積が少なく、巻線の十分な冷却性能が得られないという課題もあった。
この発明は、上記課題を解決するためになされたもので、コイルエンド群の寸法の増大を抑えつつ、コイルエンド群の放熱面積の増大を図って電機子巻線の冷却性能を向上させて、小型高効率化を実現できる回転電機を得ることを目的とする。
この発明に係る回転電機は、スロットが毎極毎相当たりn個(但し、nは2以上の自然数)の割合で形成された円環状の電機子鉄心、および上記電機子鉄心に装着された電機子巻線を備えた電機子を有する。上記電機子巻線は、それぞれ、絶縁被覆された、かつ接続部のない連続した導体線をm回(但し、mは2以上の自然数)巻き回して、直線部の端部間をコイルエンドで連結する螺旋状に構成され、かつ上記コイルエンドにより連結された上記直線部間の間隔が異なるn種類の巻線体を、対応するスロット対のそれぞれに装着して構成され、上記n種類の巻線体は、隣り合うn対のスロット対に収納されて同心状になるように構成されている。上記コイルエンドは、連結された上記直線部間の略中央部に、径方向に所定量変位する頂部を有し、上記頂部での径方向の変位量が、略a×d(但し、aは1以上、かつ(m−1)以下の自然数、dは上記スロット内に収納された上記直線部の径方向厚み)であり、上記スロット内には2×m本の2つの異なる種類の上記巻線体の直線部が径方向に1列に並んで収納されている。
この発明によれば、コイルエンドの頂部での径方向の変位量が、巻線体の各列を構成するm本の直線部の全厚み(m×d)より小さいので、コイルエンド群の寸法の増大が抑えられ、回転電機の小型化が図られる。
n種類の巻線体が、隣り合うn対のスロット対に収納されて同心状になるように構成されているので、コイルエンド群の軸端には、同心状に配置されたn種類の巻線体の外側に位置する巻線体の径方向に並んだ頂部の列が所定のピッチで周方向に配列される。したがって、大きな流路幅を有し、流路方向を径方向とする冷媒流路が径方向に並んだ頂部の列間に形成される。さらに、隙間が径方向に並んだ頂部間に形成されるので、流路方向を周方向とする冷媒流路が径方向に並んだ頂部間に形成される。これにより、コイルエンド群の放熱面積が増大し、電機子巻線の冷却性能を向上でき、回転電機の高効率化が図られる。
この発明の実施の形態1に係る回転電機を示す片側断面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機の要部を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機に適用される固定子を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機に適用される固定子鉄心を構成する鉄心ブロックを示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機に適用される固定子巻線を構成する巻線アッセンブリを示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを構成する巻線組立体を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを構成する巻線組立体を示す正面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを構成する巻線組立体を示す平面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体を構成する第1巻線体を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体を構成する第1巻線体を示す正面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体を構成する第1巻線体を示す平面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体を構成する第2巻線体を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体を構成する第2巻線体を示す正面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体を構成する第2巻線体を示す平面図である。 この発明の実施の形態1に係る巻線組立体の組み立て方法を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る巻線アッセンブリの製造方法を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る巻線アッセンブリの製造方法を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る巻線アッセンブリの製造方法を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る巻線アッセンブリの製造方法を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る固定子の組み立て方法を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る固定子の組み立て方法を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体が固定子鉄心に装着された状態を径方向外方から見た展開図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体が固定子鉄心に装着された状態を軸方向一端側から見た展開図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子巻線の端末位置を示す端面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子巻線のU相巻線の結線方法を説明する模式図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子の一方のコイルエンド群を軸方向外方から見た要部端面図である。 図26のXXVII−XXVII矢視断面図である。 従来の回転電機における固定子の一方のコイルエンド群を軸方向外方から見た要部端面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における冷却機構を示す斜視図である。 この発明の実施の形態2に係る回転電機における巻線組立体が固定子鉄心に装着された状態を径方向外方から見た展開図である。 この発明の実施の形態3に係る回転電機における巻線組立体が固定子鉄心に装着された状態を軸方向一端側から見た展開図である。 この発明の実施の形態3に係る回転電機における固定子巻線のU相巻線の結線方法を説明する模式図である。 この発明の実施の形態4に係る回転電機における巻線組立体が固定子鉄心に装着された状態を軸方向一端側から見た展開図である。 この発明の実施の形態5に係る回転電機における巻線組立体が固定子鉄心に装着された状態を軸方向一端側から見た展開図である。
以下、本発明の回転電機の好適な実施の形態について図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る回転電機を示す片側断面図、図2はこの発明の実施の形態1に係る回転電機の要部を示す斜視図、図3はこの発明の実施の形態1に係る回転電機に適用される固定子を示す斜視図、図4はこの発明の実施の形態1に係る回転電機に適用される固定子鉄心を構成する鉄心ブロックを示す斜視図、図5はこの発明の実施の形態1に係る回転電機に適用される固定子巻線を構成する巻線アッセンブリを示す斜視図、図6はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを構成する巻線組立体を示す斜視図、図7はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを構成する巻線組立体を示す正面図、図8はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを構成する巻線組立体を示す平面図、図9はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体を構成する第1巻線体を示す斜視図、図10はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体を構成する第1巻線体を示す正面図、図11はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体を構成する第1巻線体を示す平面図、図12はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体を構成する第2巻線体を示す斜視図、図13はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体を構成する第2巻線体を示す正面図、図14はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体を構成する第2巻線体を示す平面図、図15はこの発明の実施の形態1に係る巻線組立体の組み立て方法を説明する図である。
図1および図2において、回転電機100は、有底円筒状のフレーム2およびフレーム2の開口を塞口する端板3を有するハウジング1と、フレーム2の円筒部に内嵌状態に固着された電機子としての固定子10と、フレーム2の底部および端板3にベアリング4を介して回転可能に支持された回転軸6に固着されて、固定子10の内周側に回転可能に配設された回転子5と、を備えている。
回転子5は、軸心位置に挿通された回転軸6に固着された回転子鉄心7と、回転子鉄心7の外周面側に軸方向に貫通するように埋設されて周方向に所定のピッチで8つ配列され、磁極を構成する永久磁石8と、を備えた永久磁石型回転子である。なお、回転子5は、永久磁石型回転子に限定されず、絶縁しない回転子導体を、回転子鉄心のスロットに収納して、両側を短絡環で短絡したかご形回転子や、絶縁した導体線を回転子鉄心のスロットに装着した巻線形回転子を用いてもよい。
つぎに、固定子10の構成について具体的に図3乃至図8を参照しつつ説明する。
固定子10は、図3に示されるように、電機子鉄心としての固定子鉄心11と、固定子鉄心11に装着された電機子巻線としての固定子巻線20と、を備えている。ここで、説明の便宜上、回転子5の極数を8極、固定子鉄心11のスロット数を48個、固定子巻線20を三相交流巻線とする。すなわち、スロットは、毎極毎相当たり2個の割合で固定子鉄心11に形成されている。
鉄心ブロック12は、円環状の固定子鉄心11を周方向に48等分割したもので、図4に示されるように、所定枚数の電磁鋼板を積層一体化して作製され、断面円弧形のコアバック部12aと、コアバック部12aの内周壁面から径方向内方に延び出るティース12bと、を備えている。そして、固定子鉄心11は、ティース12bを径方向内方に向けて、コアバック部12aの周方向の側面同士を突き合わせて、48個の鉄心ブロック12を周方向に配列、一体化して、円環状に構成されている。周方向に隣り合う鉄心ブロック12により構成されるスロット13が、内周側に開口するように、周方向に等角ピッチで配列されている。ティース12bは周方向幅が径方向内方に向って漸次狭くなる先細り形状に形成されており、スロット13の断面は長方形となっている。
固定子巻線20は、図3に示されるように、固定子鉄心11に装着された巻線アッセンブリ21に所定の結線処理が施されて構成される。巻線アッセンブリ21は、図5に示されるように、後述する巻線組立体22を周方向に配列して構成される。後述する巻線端221g,222gが、それぞれ巻線アッセンブリ21から軸方向に延び出して、巻線アッセンブリ21の内径側に1スロットピッチで周方向に配列されている。また、後述する巻線端221h,222hが、それぞれ巻線アッセンブリ21から軸方向に延び出して、巻線アッセンブリ21の外径側に1スロットピッチで周方向に配列されている。そして、巻線端221g,222g,221g,222hに所定の接合処理が施される。
巻線組立体22は、それぞれ、エナメル樹脂で絶縁被覆された、かつ接続部のない連続した銅線やアルミニウム線などからなる長方形断面の導体線を、ターン毎に一定の間隔を開けて、略六角形で螺旋状に4回巻き回して構成された第1巻線体221と第2巻線体222とを備えている。
ここで、第1巻線体221と第2巻線体222は、導体線を螺旋状に4回巻き回して筒状のコイル体を作製し、その後コイル体をコイル成形機により略六角形に成形して作製される。なお、第1巻線体221と第2巻線体222は、折り曲げ加工により、導体線を略六角形に曲げつつ、螺旋状に巻いて作製してもよい。
第1巻線体221は、図9から図11に示されるように、7スロット角度間隔離れて2列となった、各列に隙間dをあけて、長方形断面の短辺方向に4本ずつ配列された第1および第2直線部221a,221bと、第1および第2直線部221a,221bの列間で、長さ方向の一端同士と他端同士とを交互に連結する第1および第2コイルエンド221c,221dと、を備えている。なお、dは導体線の長方形断面の短辺長さである。また、7スロット角度間隔とは、連続する7つのティース12bの両側のスロット13のスロット中心間の間隔であり、7スロットピッチに相当する。
第1コイルエンド221cは、一方の列の第1直線部221aの一端から所定の傾斜で他方の列の第2直線部221b側に、かつ第1および第2直線部221a,221bの長さ方向外方に延び出し、第1および第2直線部221a,221bの列間の中央部(第1頂部221e)で曲げられて第1および第2直線部221a,221bの配列方向に距離dだけ変位し、その後曲げ戻されて所定の傾斜で他方の列の第2直線部221b側に、かつ第1および第2直線部221a,221bの長さ方向内方に延び出し、他方の列の第2直線部221bの一端に接続されている。
同様に、第2コイルエンド221dは、他方の列の第2直線部221bの他端から所定の傾斜で一方の列の第1直線部221a側に、かつ第1および第2直線部221a,221bの長さ方向外方に延び出し、第1および第2直線部221a,221bの列間の中央部(第2頂部221f)で曲げられて第1および第2直線部221a,221bの配列方向に距離dだけ変位し、その後曲げ戻されて所定の傾斜で一方の列の第1直線部221a側に、かつ第1および第2直線部221a,221bの長さ方向内方に延長し、一方の列の第1直線部221aの他端に接続されている。
このように構成された第1巻線体221においては、第1および第2直線部221a,221bは、それぞれ、長方形断面の長辺で構成される平面を対向させ、長方形断面の短辺方向に、短辺長さの略2倍(2×d)のピッチで配列されている。また、第1コイルエンド221cおよび第2コイルエンド221dにより接続された第1直線部221aと第2直線部221bは、第1頂部221eおよび第2頂部221fにより、配列方向に距離dだけずらされている。
また、第1巻線体221は、一方の列の配列方向の一端に位置する第1直線部221aの他端から長さ方向に延び出す巻線端221hと、他方の列の配列方向の他端に位置する第2直線部221bの他端から長さ方向に延び出す巻線端221gと、を備える。なお、図10に示されるように、第1巻線体221を径方向内方から見たときに、第1直線部221aと第2直線部221bを平行な2辺とする長方形の対角線の交点を第1巻線体221の中心O1とする。
第2巻線体222は、図12から図14に示されるように、第1および第2直線部222a,222b、第1および第2コイルエンド222c,222d、第1および第2頂部222e,222f、および巻線端222h,222gを備える。なお、第2巻線体222は、第1直線部222aの列と第2直線部222bの列の間が、4スロット角度間隔離れている点を除いて、第1巻線体221と同様に構成されている。そして、第1巻線体221は長節巻の巻線ピッチで構成され、第2巻線体222は短節巻の巻線ピッチで構成される。なお、図13において、第2巻線体222を径方向内方から見たときに、第1直線部222aと第2直線部222bを平行な2辺とする長方形の対角線の交点を第2巻線体222の中心O2とする。
ここで、巻線組立体22は、図15に示されるように、第2巻線体222を第1巻線体221の側方から第1巻線体221の中に組み込んで作製される。具体的には、第1巻線体221の側方から、第2巻線体222の一方の列の第1直線部222aを、第1巻線体221の他方の列の第2直線部221bの間に挿入する。そして、第2巻線体222の第2直線部222bの列が第1直線部221の第2直線部221bの列から1スロット角度間隔離れた位置にとなるまで、第2巻線体22を平行移動させ、巻線組立体22が組立てられる。
このように組み立てられた巻線組立体22は、図6から図8に示されるように、第1および第2コイルエンド222c,222d、および第1および第2頂部222e,222fから構成される螺旋状の周回部が、第1巻線体221の第1および第2直線部221a,221b、第1および第2コイルエンド221c,221d、および第1および第2頂部221e,221fから構成される螺旋状の周回部内に入り込んでいる。そして、図7に示されるように、巻線組立体22を径方向内方から見たときに、第1巻線体221の中心O1と第2巻線体の中心O2とが略一致し、第1巻線体221と第2巻線体222とが同心状に配置される。そして、第2巻線体222の各周回部が、第1巻線体221の対応する周回部の内周側に位置している。
つぎに、固定子10の組み立て方法について説明する。図16から図19はそれぞれこの発明の実施の形態1に係る巻線アッセンブリの製造方法を説明する図であり、図16は2つの巻線組立体の組み付け方法を示し、図17から図19は24番目の巻線組立体を組み込む手順を示している。ここで、説明に便宜上、巻線組立体22を組み付け順に巻線組立体221、巻線組立体222、組立巻線体223・・・巻線組立体2223、巻線組立体2224とする。図20および図21はそれぞれこの発明の実施の形態1に係る固定子の組み立て方法を説明する図であり、図20は鉄心ブロックを巻線アッセンブリに装着する前の状態を示し、図21は鉄心ブロックを巻線アッセンブリに装着した後の状態を示している。なお、図20および図21では、便宜上、巻線アッセンブリ21は第1および第2直線部221a,222a,221b,222bのみで表されている。図22はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体が固定子鉄心に装着された状態を径方向外方から見た展開図、図23はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線組立体が固定子鉄心に装着された状態を軸方向一端側から見た展開図であり、図23の(a)は第1巻線体の配置を示し、図23の(b)は第2巻線体の配置を示している。なお、図23では、第1コイルエンドを実線で示し、第2コイルエンドを点線で示している。また、図23では、便宜上、第1および第2コイルエンドを直線で示している。
まず、図16の(a)に示されるように、1番目および2番目の巻線組立体221,222を、軸方向高さ位置を揃えて周方向に隣り合わせる。ついで、図16の(b)に示されるように、2番目の巻線組立体222の第2直線部221bを、1番目の巻線組立体221の第1直線部221a間に差し込む。ついで、図16の(c)に示されるように、2番目の巻線組立体222を周方向に移動させる。これにより、2番目の巻線組立体222の第2直線部221b,222bが、1番目の巻線組立体221の第1直線部221a,222a間を通って、1番目の巻線組立体221の第2直線部221b,222b側に移動する。そして、図16の(d)に示されるように、2番目の巻線組立体222の第2直線部221bが、1番目の巻線組立体221の第2直線部222bから1スロット角度間隔離れた位置まで、2番目の巻線組立体222を周方向に移動させる。これにより、2つの巻線組立体221,222が組み立てられる。
同様にして、巻線組立体22を順次、軸方向高さ位置を揃え、周方向に移動させて、23番目の巻線組立体2223まで組み上げる。23個の巻線組立体221〜2223が組み上げられた組立体23は、径が拡張されて、図17に示されるように、1番目の巻線体221と23番目の巻線組立体2223との間を24番目の巻線組立体2224の周方向幅より広げたC字状に成形される。
ついで、図18に示されるように、24番目の巻線組立体2224を組立体23の23番目の巻線組立体2223に組み付ける。さらに、図19に示されるように、1番目の巻線組立体221と24番目の巻線組立体2224とを組み付けてC字状の組立体23の開口を閉じ、図5に示される円環状の巻線アッセンブリ21が組み立てられる。
このように組み立てられた巻線アッセンブリ21では、第1直線部221aと第2直線部222bとが径方向に交互に配列された列と、第2直線部222aと第2直線部221bとが径方向に交互に配列された列とが、周方向に、交互に、かつ等角ピッチで配列される。
ついで、48個の鉄心ブロック12が、図20に示されるように、ティース12bのそれぞれを、巻線アッセンブリ21の隣り合う第1および第2直線部221a,222a,221b,222bの列間の径方向外方に位置させるように、周方向に略等角ピッチで配列される。ついで、周方向に配列された鉄心ブロック12を、同時に径方向内方に移動させる。これにより、鉄心ブロック12のティース12bのそれぞれが隣り合う第1および第2直線部221a,222a,221b,222bの列間に挿入される。鉄心ブロック12をさらに径方向内方に移動させると、隣り合う鉄心ブロック12の周方向の側面同士が突き合わされ、鉄心ブロック12の径方向内方への移動が阻止される。これにより、48個の鉄心ブロック12が、図21に示されるように、巻線アッセンブリ21に装着される。
このように、巻線アッセンブリ21が48個の鉄心ブロック12により構成された固定子鉄心11に装着される。ここで、鉄心ブロック12のティース12bを巻線アッセンブリ21の外径側から第1および第2直線部221a,222a,221b,222bの列間に差し込む工程において、先細り状のティース12bを第1および第2直線部221a,222a,221b,222bの列間のそれぞれに外径側から挿入して径方向内方に移動させるので、16本の第1および第2直線部221a,222a,221b,222bが1列に整列化される。そこで、各スロット13内には、図21に示されるように、8本の第1および第2直線部221a,222a,221b,222bが、長方形断面の長辺を周方向に向けて、径方向に1列に整列されて並んで収納されている。
固定子鉄心11に装着された巻線組立体22においては、図22に示されるように、第1巻線体221および第2巻線体222の第1コイルエンド221c,222cは、固定子鉄心11の端面に対して角度θでスロット13から軸方向外方に引き出され、第1頂部221e,222eで折り返された後、固定子鉄心11の端面に対して角度θで戻されてスロット13に収納される。第1巻線体221および第2巻線体222の第2コイルエンド221d,222dは、固定子鉄心11の端面に対して角度θでスロット13から軸方向外方に引き出され、第2頂部221f,222fで折り返された後、固定子鉄心11の端面に対して角度θで戻されてスロット13に収納される。
そして、巻線組立体22の第1巻線体221の第1直線部221aは他の巻線組立体22の第2巻線体222の第2直線部222bと同じスロット13に収納される。また、巻線組立体22の第1巻線体221の第2直線部221bは他の巻線組立体22の第1巻線体221の第1直線部222aと同じスロット13に収納される。これにより、図23に示されるように、第1直線部221aと第2直線部222bとが径方向に交互に配列された列と、第2直線部222aと第2直線部221bとが径方向に交互に配列された列とが、周方向に配列されたスロット13に、交互に収納されている。
つぎに、巻線アッセンブリ21の結線方法について図24および図25を参照しつつ説明する。図24はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子巻線の端末位置を示す端面図、図25はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子巻線のU相巻線の結線方法を説明する模式図である。
図24では、固定子鉄心11に装着された第1および第2巻線体221,222の端末位置を示している。なお、図24中、1,4,7・・・42はスロット13に周方向に順にふったスロット番号である。U1−1A、U1−2A・・・U1−8AおよびU1−1B、U1−2B・・・U1−8Bは、第1直線部221aがスロット番号(1+6n)(但し、nは0を含む自然数)のスロット13の群に装着されたU相巻線を構成する第1巻線体221の巻線端であり、U2−1A、U2−2A・・・U2−8AおよびU2−1B、U2−2B・・・U2−8Bは、第1直線部222aがスロット番号(2+6n)(但し、nは0を含む自然数)のスロット13の群に装着されたU相巻線を構成する第2巻線体222の巻線端である。
また、第1直線部221aがスロット番号(9+6n)のスロット13の群に装着され、第1直線部222aがスロット番号(10+6n)のスロット13の群に装着された第1および第2巻線体221,222がV相巻線を構成する。さらに、第1直線部221aがスロット番号(5+6n)のスロット13の群に装着され、第2直線部222aがスロット番号(6+6n)のスロット13の群に装着された第1および第2巻線体221,222がW相巻線を構成する。ここでは、説明の便宜上、V相巻線を構成する第1および第2巻線体221,222の巻線端として、V1−1A、V1−2A、V1−1B、V1−2B、V2−1A、V2−2A、V2−1B、V2−2Bのみを示し、W相巻線を構成する第1および第2巻線体221,222の巻線端として、W1−1A、W1−2A、W1−1B、W1−2B、W2−1A、W1−2A、W2−1B、W1−2Bのみを示している。
U相巻線を作製するには、まず、図25に示されるように、U2−1BとU1−3B、U1−3BとU2−5A、U2−5BとU1−7A、U1−7BとU2−8B、U2−8AとU1−6B、U1−6AとU2−4B、U2−4AとU1−2B、U1−2AとU1−1A、U1−1BとU2−3A、U2−3BとU2−5A、U2−5BとU2−7A、U2−7BとU1−8B、U1−8AとU2−6B、U2−6AとU1−4B、U1−4AとU2−8Bを接続する。これにより、16本の第1および第2巻線体221,222を直列に接続したU相巻線が得られる。そして、U2−1AとU2−2AがU相巻線の給電端および中性点となる。
同様に、V相を構成する16本の第1および第2巻線体221,222を直列に接続してV相巻線が得られる。同様に、W相を構成する16本の第1および第2巻線体221,222を直列に接続してW相巻線が得られる。このように構成されたU相巻線、V相巻線およびW相巻線は、長節巻線と短節巻線とを組み合わせた巻線であり、全節巻線と同等の巻線抵抗となる。
つぎに、実施の形態1による効果について図26から図29を用いて説明する。図26はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における固定子の一方のコイルエンド群を軸方向外方から見た要部端面図、図27は図26のXXVII−XXVII矢視断面図、図28は従来の回転電機における固定子の一方のコイルエンド群を軸方向外方から見た要部端面図、図29はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における冷却機構を示す斜視図である。なお、図27では、便宜上、コイルエンドの断面のみを示している。
まず、特許文献1に記載の従来の回転電機では、図28に示されるように、固定子鉄心52の端面上で、亀甲形コイルのコイルエンド50の束を頭頂部51で曲げてクランク形状に成形しているので、それぞれの亀甲形コイルの径方向に隣り合うコイルエンド50の頭頂部51は互いに接し、あるいは極めて接近する。そこで、図28に矢印で示されるように、径方向に隙間無く並んだコイルエンド50の頭頂部51の列が周方向に略1スロットピッチで配列され、流路方向を径方向とする冷媒流路が頭頂部51の列間に形成される。なお、それぞれの亀甲形コイルの径方向に隣り合うコイルエンド50の頭頂部51は互いに接し、あるいは極めて接近するので、流路方向を周方向とる冷媒流路は径方向に隣り合う頭頂部51間に形成されない。
この実施の形態1では、第1巻線体221が、第1直線部221aと第2直線部221bとを7スロット角度間隔離して、導体線を4回巻き回して螺旋状に構成され、第2巻線体222が、第1直線部222aと第2直線部222bとを5スロット角度間隔離して、導体線を4回巻き回して螺旋状に構成されている。そして、第1巻線体221と第2巻線体222とが同心状に配置され、第2巻線体222の周回部のそれぞれが、対応する第1巻線体221の周回部の内周側に配置されている。そこで、固定子巻線20の一方のコイルエンド群の外表面は、第1巻線体221の第1コイルエンド221cにより構成され、他方のコイルエンド群の外表面は、第1巻線体221の第2コイルエンド221dにより構成される。
固定子巻線20の一方のコイルエンド群においては、図26に示されるように、第1巻線体221の径方向に1列に並んだ4つの第1頂部221eの列が、周方向に略2スロットピッチで配列される。これにより、図26中矢印で示されるように、固定子巻線20の一方のコイルエンド群の外表面には、径方向に1列に並んだ第1頂部221eの列間に、流路方向を径方向とする冷媒流路が形成される。
また、径方向に隣り合う第1コイルエンド221c間には、図27に示されるように、隙間dが形成されている。これにより、図26に矢印で示されるように、径方向に隣り合う第1コイルエンド221c間に、流路方向を略周方向とする冷媒流路が形成される。
なお、他方のコイルエンド群においても、同様に、流路方向を径方向とする冷媒流路と流路方向を周方向とする冷媒流路が形成される。
この実施の形態1によれば、流路方向を径方向とする冷媒流路は、周方向に略2スロットピッチで配列された第1頂部221eの列間に形成されるので、周方向に略1スロットピッチで配列された頭頂部51の列間に形成される従来例における冷媒流路に比べ、流路幅が広くなり、コイルエンド群の放熱面積の増大が図られる。また、この実施の形態1によれば、流路方向を周方向とする冷媒流路が固定子巻線20のコイルエンド群に形成されるので、コイルエンド群の放熱面積の増大が図られる。このように、この実施の形態1によれば、コイルエンド群の放熱面積が増大し、固定子巻線20で発生した熱を効率的に冷媒に放熱することができる。
ここで、このよう構成された回転電機100は、図29に示されるように、回転軸6が水平となるように設置され、径方向から冷媒を垂らすような冷却機構を採用すれば、高い冷却性能を実現することができる。
ついで、特許文献1に記載の従来の回転電機では、図28に示されるように、亀甲形コイルのコイルエンド50の束を頭頂部51で曲げてクランク形状に成形して、亀甲形コイルを固定子鉄心52に実装可能としている。そこで、例えば、亀甲形コイルが幅dの導体線を4ターン巻き回して構成されている場合、径方向に4dだけシフトするように4本のコイルエンド50の束を頭頂部51で曲げることになる。したがって、従来例では、剛性が大きい導体線の束を、大きな変位量に曲げることになり、コイルエンドの束、すなわちコイルエンド群の径方向寸法および軸方向寸法が大きくなり、小型化が困難となる。
一方、この実施の形態1では、第1および第2コイルエンド221c,221d,222c,222dを第1および第2頂部221e,2221f,222e,222fで曲げて、第1直線部221a,222aと第2直線部221b,222bとを径方向にdだけシフトさせた第1巻線体221と第2巻線体222を同心状に組み付けて巻線組立体22を作製している。この実施の形態1によれば、径方向にdだけ変位するように1本のコイルエンドを頂部で曲げているので、頂部での曲げが容易となり、コイルエンド、すなわちコイルエンド群の径方向寸法および軸方向寸法を小さくできる。これにより、回転電機の小型化が図られるとともに、コイルエンドの周長が短くなり、巻線抵抗が小さくなり、回転電機の高効率化が図られる。
このように、この実施の形態1では、第1および第2頂部221e,221f,222e,222fでの径方向の変位量がdであり、第1および第2直線部221a,221b,222a,222bの配列方向の全幅(4d)より小さいので、従来例に比べ、コイルエンド群の径方向寸法および軸方向寸法を小さくできる。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、スロットが毎極毎相当たり2個の割合で固定子鉄心に形成され、固定子巻線を三相交流巻線とする回転電機について説明したが、この実施の形態2では、スロットが毎極毎相当たり3の割合で固定子鉄心に形成され、固定子巻線を三相交流巻線とする回転電機について説明する。
図30はこの発明の実施の形態2に係る回転電機における巻線組立体が固定子鉄心に装着された状態を径方向外方から見た展開図である。
図30において、巻線組立体40は、長方形断面の導体線を、ターン毎に一定の間隔を開けて、略六角形で螺旋状に4回巻き回して構成された第1巻線体401、第2巻線体402および第3巻線体403を備えている。
第1巻線体401は、11スロット角度間隔離れて2列となった、各列に隙間dをあけて、長方形断面の短辺方向に4本ずつ配列された第1および第2直線部401a,401bと、第1および第2直線部401a,401bの列間で、長さ方向の一端同士と他端同士とを交互に連結する第1および第2コイルエンド401c,401dと、を備えている。この第1巻線体401は、長節巻の巻線ピッチで構成される。
第2巻線体402は、7スロット角度間隔離れて2列となった、各列に隙間dをあけて、長方形断面の短辺方向に4本ずつ配列された第1および第2直線部402a,402bと、第1および第2直線部402a,402bの列間で、長さ方向の一端同士と他端同士とを交互に連結する第1および第2コイルエンド402c,402dと、を備えている。この第2巻線体402は、短節巻の巻線ピッチで構成される。
第3巻線体403は、9スロット角度間隔離れて2列となった、各列に隙間dをあけて、長方形断面の短辺方向に4本ずつ配列された第1および第2直線部403a,403bと、第1および第2直線部403a,403bの列間で、長さ方向の一端同士と他端同士とを交互に連結する第1および第2コイルエンド403c,403dと、を備えている。この第3巻線体403は、全節巻の巻線ピッチで構成される。
そして、第1巻線体401、第2巻線体402および第3巻線体403は、それらの螺旋状の巻回部が同心状に配置されるように組み付けられて、巻線組立体40を構成する。このように構成された巻線組立体40を、毎極毎相当たり3の割合で形成された固定子鉄心のスロットに、3スロットピッチで収納して、固定子巻線が構成される。
この実施の形態2においても、第1および第2直線部401a,401b,402a,402b,403a,403bの列間の距離が異なる第1巻線体401、第2巻線体402および第3巻線体を同心状に配置しているので、上記実施の形態1と同様の効果を奏する。
実施の形態3.
図31はこの発明の実施の形態3に係る回転電機における巻線組立体が固定子鉄心に装着された状態を軸方向一端側から見た展開図であり、図31の(a)は第1巻線体の配置を示し、図31の(b)は第2巻線体の配置を示している。図32はこの発明の実施の形態3に係る回転電機における固定子巻線のU相巻線の結線方法を説明する模式図である。
第1巻線体411は、図31の(a)に示されるように、6スロット角度間隔離れて2列となった、各列に隙間dをあけて、長方形断面の短辺方向に4本ずつ配列された第1および第2直線部411a,411bと、第1および第2直線部411a,411bの列間で、長さ方向の一端同士と他端同士とを交互に連結する第1および第2コイルエンド411c,411dと、を備えている。この第1巻線体411は、全節巻の巻線ピッチで構成される。
第2巻線体412は、図31の(b)に示されるように、4スロット角度間隔離れて2列となった、各列に隙間dをあけて、長方形断面の短辺方向に4本ずつ配列された第1および第2直線部412a,412bと、第1および第2直線部412a,412bの列間で、長さ方向の一端同士と他端同士とを交互に連結する第1および第2コイルエンド412c,412dと、を備えている。この第2巻線体412は、短節巻の巻線ピッチで構成される。
そして、図示されていないが、第1巻線体411および第2巻線体412は、螺旋状の巻回部が同心状に配置するように組み付けられて、巻線組立体を構成する。このように構成された巻線組立体を、毎極毎相当たり2の割合で形成された固定子鉄心のスロットに、2スロットピッチで収納して、固定子巻線が構成される。
なお、実施の形態3では、第1および第2の巻線体221,222に換えて、第1および第2巻線体411,412を用いている点を除いて、上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態3においても、第1および第2直線部411a,411b,412a,412bの列間の距離が異なる第1巻線体411および第2巻線体412を同心状に配置しているので、上記実施の形態1と同様の効果を奏する。
この実施の形態3では、全節巻線である第1巻線体411の第1直線部411aは、同じ相の他の第1巻線体411(電気角で180度位相のずれる他の第1巻線体411)の第2直線部411bと同じスロット13内に収納される。短節巻線である第2巻線体412の第1直線部412aは、他の相の第2巻線体412の第2直線部412bと同じスロット13内に収納される。これにより、電磁気的に短節巻きの回転電機が構成され、高次の高調波成分を抑制することができる。
つぎに、固定子巻線のU相巻線の結線方法について図32を参照しつつ説明する。図32中、U1−1A、U1−2A・・・U1−8AおよびU1−1B、U1−2B・・・U1−8Bは、第1巻線体411の第1直線部411aがスロット番号(1+6n)(但し、nは0を含む自然数)のスロット13の群に装着されたU相巻線を構成する第1巻線体411の巻線端であり、U2−1A、U2−2A・・・U2−8AおよびU2−1B、U2−2B・・・U2−8Bは、第1直線部412aがスロット番号(2+6n)(但し、nは0を含む自然数)のスロット13の群に装着されたU相巻線を構成する第2巻線体412の巻線端である。
U相巻線を作製するには、まず、図32に示されるように、U1−1BとU1−2A、U1−2BとU1−3A、U1−3BとU1−4A、U1−4BとU1−5A、U1−5BとU1−6A、U1−6BとU1−7A、U1−7BとU1−8Bを接続する。これにより、8本の第1巻線体411を直列に接続したU1相巻線が得られる。そして、U1−1AとU1−8BがU1相巻線の給電端(411in)および中性点(411n)となる。
ついで、図32に示されるように、U2−1BとU2−2A、U2−2BとU2−3A、U2−3BとU2−4A、U2−4BとU2−5A、U2−5BとU2−6A、U2−6BとU2−7A、U2−7BとU2−8Bを接続する。これにより、8本の第2巻線体412を直列に接続したU2相巻線が得られる。そして、U2−1AとU2−8BがU2相巻線の給電端(412in)および中性点(412n)となる。
同様に、V相を構成する8本の第1巻線体411を直列に接続してV1相巻線が得られ、8本の第2巻線体412を直列に接続してV2相巻線が得られる。同様に、W相を構成する8本の第1巻線体411を直列に接続してW1相巻線が得られ、8本の第2巻線体412を直列に接続してW2相巻線が得られる。
この実施の形態3では、U1相巻線、V1相巻線およびW1相巻線により第1の三相交流巻線が構成され、U2相巻線、V2相巻線およびW2相巻線により第2の三相交流巻線が構成される。そして、第1および第2の三相交流巻線のそれぞれに専用のインバータを接続し、回転電機を動作させる。したがって、一方の三相交流巻線に断線が発生しても、回転電機を動作させることができる。
また、第1の三相交流巻線の各相巻線が全節巻の第1巻線体411を直列に接続して構成され、第2の三相交流巻線の各相巻線が短節巻の第2巻線体412を直列に接続して構成されている。そこで、第1の三相交流巻線と第2の三相交流巻線に異なる大きさの電流を流すことができるので、固定子からの起磁力の高調波を低減できるとともに、鉄損や高調波によるトルクの脈動を減少させることができる。
実施の形態4.
図33はこの発明の実施の形態4に係る回転電機における巻線組立体が固定子鉄心に装着された状態を軸方向一端側から見た展開図であり、図33の(a)は第1巻線体の配置を示し、図33の(b)は第2巻線体の配置を示している。なお、図33では、第1コイルエンドを実線で示し、第2コイルエンドを点線で示している。また、図33では、便宜上、第1および第2コイルエンドを直線で示している。
第1巻線体421は、図33の(a)に示されるように、7スロット角度間隔離れて2列となって長方形断面の短辺方向に4本ずつ配列された第1および第2直線部421a,421bと、第1および第2直線部421a,421bの列間で、長さ方向の一端同士と他端同士とを交互に連結する第1および第2コイルエンド421c,421dと、を備えている。ここで、第1コイルエンド421cの第1頂部での径方向の変位量は2dであり、第2コイルエンド421dの第2頂部での径方向の変位量はdである。この第1巻線体421は、長節巻の巻線ピッチで構成される。
第2巻線体422は、図33の(b)に示されるように、4スロット角度間隔離れて2列となって長方形断面の短辺方向に4本ずつ配列された第1および第2直線部422a,422bと、第1および第2直線部422a,422bの列間で、長さ方向の一端同士と他端同士とを交互に連結する第1および第2コイルエンド422c,422dと、を備えている。ここで、第1コイルエンド422cの第1頂部での径方向の変位量は2dであり、第2コイルエンド422dの第2頂部での径方向の変位量はdである。この第2巻線体422は、短節巻の巻線ピッチで構成される。
そして、第1巻線体421および第2巻線体422は、螺旋状の巻回部が同心状に配置するように組み付けられて、巻線組立体を構成する。このように構成された巻線組立体は、毎極毎相当たり2の割合で形成された固定子鉄心のスロットに、2スロットピッチで収納されて、固定子巻線を構成する。
なお、実施の形態4では、第1および第2の巻線体221,222に換えて、第1および第2巻線体421,422を用いている点を除いて、上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態4においても、第1および第2直線部421a,421b,422a,422bの列間の距離が異なる第1巻線体421および第2巻線体422を同心状に配置しているので、上記実施の形態1と同様の効果を奏する。
また、この実施の形態4においても、第1および第2頂部での径方向の変位量が、第1および第2直線部421a,421b,422a,422bの配列方向の全幅(4d)より小さいので、従来例に比べ、コイルエンド群の径方向寸法および軸方向寸法を小さくできる。
実施の形態5.
図34はこの発明の実施の形態5に係る回転電機における巻線組立体が固定子鉄心に装着された状態を軸方向一端側から見た展開図であり、図34の(a)は第1巻線体の配置を示し、図34の(b)は第2巻線体の配置を示している。なお、図34では、第1コイルエンドを実線で示し、第2コイルエンドを点線で示している。また、図34では、便宜上、第1および第2コイルエンドを直線で示している。
第1巻線体431は、図34の(a)に示されるように、7スロット角度間隔離れて2列となって長方形断面の短辺方向に4本ずつ配列された第1および第2直線部431a,431bと、第1および第2直線部431a,431bの列間で、長さ方向の一端同士と他端同士とを交互に連結する第1および第2コイルエンド431c,431dと、を備えている。ここで、第1コイルエンド431cの第1頂部での径方向の変位量はd又は2dであり、第2コイルエンド431dの第2頂部での径方向の変位量はdである。この第1巻線体431は、長節巻の巻線ピッチで構成される。
第2巻線体432は、図34の(b)に示されるように、4スロット角度間隔離れて2列となって長方形断面の短辺方向に4本ずつ配列された第1および第2直線部432a,432bと、第1および第2直線部432a,432bの列間で、長さ方向の一端同士と他端同士とを交互に連結する第1および第2コイルエンド432c,432dと、を備えている。ここで、第1コイルエンド432cの第1頂部での径方向の変位量はd又は2dであり、第2コイルエンド432dの第2頂部での径方向の変位量はdである。この第2巻線体432は、短節巻の巻線ピッチで構成される。
そして、第1巻線体431および第2巻線体432は、螺旋状の巻回部が同心状に配置するように組み付けられて、巻線組立体を構成する。このように構成された巻線組立体は、毎極毎相当たり2の割合で形成された固定子鉄心のスロットに、2スロットピッチで収納されて、固定子巻線を構成する。
なお、実施の形態4では、第1および第2の巻線体221,222に換えて、第1および第2巻線体431,432を用いている点を除いて、上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態5においても、第1および第2直線部431a,431b,432a,432bの列間の距離が異なる第1巻線体431および第2巻線体432を同心状に配置しているので、上記実施の形態1と同様の効果を奏する。
また、この実施の形態5においても、第1および第2頂部での径方向の変位量が、第1および第2直線部431a,431b,432a,432bの配列方向の全幅(4d)より小さいので、従来例に比べ、コイルエンド群の径方向寸法および軸方向寸法を小さくできる。
なお、上記各実施の形態では、固定子を用いて説明しているが、電機子は固定子に限定されず、回転子が巻線形回転子の場合には、本願を回転子に適用しても、同様の効果が得られる。
また、上記各実施の形態では、8極48スロットの回転電機について説明しているが、極数およびスロット数は、8極48スロットに限定されないことは言うまでもないことである。また、スロット数が毎極毎相当たり2又は3の割合で形成されているものとしているが、毎極毎相当たりのスロット数は2以上であればよい。
また、上記各実施の形態では、固定子巻線が三相交流巻線に構成されているが、固定子巻線は三相交流巻線に限定されず、例えば5相交流巻線でもよい。
また、上記各実施の形態では、長方形断面の導体線を用いて巻線体を作製しているが、円形断面の導体線を用いて巻線体を作製してもよい。この場合、導体線の曲げ加工が容易となる。

Claims (4)

  1. スロットが毎極毎相当たりn個(但し、nは2以上の自然数)の割合で形成された円環状の電機子鉄心、および上記電機子鉄心に装着された電機子巻線を備えた電機子を有する回転電機において、
    上記電機子巻線は、それぞれ、絶縁被覆された、かつ接続部のない連続した導体線をm回(但し、mは2以上の自然数)巻き回して、直線部の端部間をコイルエンドで連結する螺旋状に構成され、かつ上記コイルエンドにより連結された上記直線部間の間隔が異なるn種類の巻線体を、対応するスロット対のそれぞれに装着して構成され、
    上記n種類の巻線体は、隣り合うn対のスロット対に収納されて同心状になるように構成され、
    上記コイルエンドは、連結された上記直線部間の略中央部に、径方向に所定量変位する頂部を有し、
    上記頂部での径方向の変位量が、略a×d(但し、aは1以上、かつ(m−1)以下の自然数、dは上記スロット内に収納された上記直線部の径方向厚み)であり、上記スロット内には2×m本の2つの異なる種類の上記巻線体の直線部が径方向に1列に並んで収納されていることを特徴とする回転電機。
  2. 上記電機子巻線の各相巻線が、上記n種類の巻線体を直列に接続して形成された1本の巻線により構成されていることを特徴とする請求項1記載の回転電機。
  3. 上記電機子巻線の各相巻線が、それぞれ、上記n種類の巻線体の同じ種類の巻線体を直列に接続して形成されたn本の巻線により構成されていることを特徴とする請求項1記載の回転電機。
  4. 同心状になるように構成された上記n種類の巻線体は、径方向内方から見たときに、それぞれの巻線体の上記コイルエンドにより連結された上記直線部を相対する平行な2辺とする長方形の対角線の交点が一致していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機。
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