以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係るメンブレンスイッチ1を示す断面図、図2は図1のII-II線に沿った平面図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態のメンブレンスイッチ1は、上側電極シート10と、下側電極シート20と、粘着層50と、押圧部材としてのラバードーム60とを備えている。上側電極シート10は、上側基材11と、上側電極12と、上側絶縁層30とを備えている。また、下側電極シート20は、下側基材21と、下側電極22と、下側絶縁層40とを備えている。このメンブレンスイッチ1では、上側電極シート10の上側基材11の下面111に上側絶縁層30が形成され、下側電極シート20の下側基材21の上面211に下側絶縁層40が形成されており、上側絶縁層30と下側絶縁層40とが粘着層50により接合されている。また、ラバードーム60は上側電極シート10の上側基材11の上面に取り付けられている。
このメンブレンスイッチ1では、操作者によって所定の押圧力がラバードーム60を介して上側電極シート10に与えられ、上下の電極12,22(いずれも後述)が相互に接触して、これらが導通する。上下の電極12,22は、引き出し配線13,23(図6、7参照)を介して外部回路に接続されており、上下の電極12,22が導通することで、外部回路が操作者の押圧操作を検出する。本実施形態では、この外部回路が操作者の押圧操作を検出した際の押圧力を「ON荷重」と称する。
なお、メンブレンスイッチ1による操作者の押圧操作の検出は、特に上述に限定されない。たとえば、押圧力に応じた上下の電極12,22の接触面積(接触状態)の変化に伴って増減する回路抵抗値に基づいて、操作者の押圧操作を検出してもよい。本実施形態における「メンブレンスイッチ1」が本発明における「スイッチ」の一例に相当する。
上側電極シート10の上側基材11は、たとえば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等の可撓性を有する絶縁性材料から構成されている。上側基材11の厚さは、メンブレンスイッチ1の薄型化の観点から、20〜100μmの範囲で設定されており、20〜75μmの範囲で設定されていることが好ましい。本実施形態では、上側基材11の厚さは、50μmに設定されている。
上側電極12は、銀ペーストや銅ペーストやカーボンペースト等の導電性ペーストを、上側基材11の下面111上に印刷して硬化させることにより形成されている。なお、上側電極12は、複層であってもよい。上側電極12を形成する印刷方法としては、スクリーン印刷法やグラビアオフセット印刷法、インクジェット印刷法等を例示することができる。
なお、特に図示しないが、この上側電極12は、引き出し配線13(図6、7参照)を介して外部回路と接続される。この場合、上側電極12と引き出し配線13とは、一体的に形成してもよいし、個別に形成してもよい。
上側電極12は、後述の上下の絶縁層30,40の開口部31,41よりも小さい径の円形状の外形を有している。また、上側電極12は、上下の開口部31,41に対応する位置に設けられており、具体的には、当該上側電極12の中心と上下の開口部31,41の中心とが実質的に一致している。
なお、本明細書において、「中心」とは、平面形状における重心に相当する点を示す。因みに、上側電極12の形状は、特に上述に限定されない。たとえば、上側電極12の外形が、矩形状、メッシュ状又は櫛歯状等であってもよい。
本実施形態における「上側電極シート10」が本発明における「第1の電極シート」の一例に相当し、本実施形態における「上側基材11」が本発明における「第1の基材」の一例に相当し、本実施形態における「上側電極12」が本発明における「第1の電極」の一例に相当する。
下側電極シート20の下側基材21は、上側基材11と同様、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等の可撓性を有する絶縁性材料から構成されている。この下側基材21の厚さは、メンブレンスイッチ1の薄型化の観点から、20〜100μmの範囲で設定されており、20〜75μmの範囲で設定されていることが好ましい。本実施形態では、下側基材21の厚さは、50μmに設定されている。
下側電極22は、上側電極12と同様、銀ペーストや銅ペーストやカーボンペースト等の導電性ペーストを、下側基材21の上面211上に印刷して硬化させることにより形成されている。なお、下側電極22も、複層であってもよい。下側電極22を形成する方法としては、上述した上側電極12を形成する方法と同様の方法を例示することができる。
また、上側電極12と同様、下側電極22は引き出し配線23(図6、図7参照)を介して外部回路と接続されている。下側電極22と引き出し配線23とは、一体的に形成してもよいし、個別に形成してもよい。
下側電極22は、後述の上下の絶縁層30,40の開口部31,41よりも小さい径の円形状の外形を有している。この下側電極22は、内部空間Sを介して上側電極12に対向する位置に設けられており、具体的には、下側電極22の中心と上側電極12の中心とが実質的に一致している。なお、下側電極22の形状は、特に上述に限定されない。たとえば、下側電極22の外形が、矩形状、メッシュ状又は櫛歯状等であってもよい。
本実施形態における「下側電極シート20」が本発明における「第2の電極シート」の一例に相当し、本実施形態における「下側基材21」が本発明における「第2の基材」の一例に相当し、本実施形態における「下側電極22」が本発明における「第2の電極」の一例に相当する。
上側絶縁層30は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等のUV硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等のレジスト材料を、上側基材11の下面111上に印刷して硬化させることにより形成されている。上側絶縁層30を形成する印刷方法としては、スクリーン印刷法やグラビアオフセット印刷法、インクジェット印刷法等を例示することができる。上側絶縁層30の厚さは、メンブレンスイッチ1の薄型化及び剛性を高くする観点から、5〜50μmの範囲で設定されており、10〜30μmの範囲で設定されていることが好ましい。本実施形態では、上側絶縁層30の厚さは、15μmに設定されており、上側基材11の厚さよりも小さく設定されている。本実施形態では、上側絶縁層30の膜厚の精度を向上させる観点から、上記レジスト材料として、UV硬化性樹脂を用い、上側基材11の下面111上に印刷したUV硬化性樹脂をUV硬化処理により硬化させることによって、上側絶縁層30を形成している。
上側絶縁層30の剛性は、粘着層50の剛性よりも高く設定されている。なお、本明細書において、上側基材11や上側絶縁層30の「剛性」とは、上側基材11や上側絶縁層30の厚み方向に加えられる力に対する上側基材11や上側絶縁層30の変形のしづらさの度合いのことを指す。
この上側絶縁層30には、上下の電極12,22よりも大径の円形状の第1の開口部31が形成されている。この第1の開口部31は、上側電極12を囲繞するように設けられており、具体的には、上側電極12の中心と第1の開口部31の中心とが実質的に一致している。この第1の開口部31の径としては、特に限定しないが、メンブレンスイッチ1のON荷重を安定させる観点から、5mm以下であることが好ましい。ただし、ON荷重が上がりすぎないために、1mm以上であることが好ましい。
なお、第1の開口部31の形状は、円形状に限定されず、たとえば、矩形状等であってもよい。本実施形態における「上側絶縁層30」が本発明における「第1のスペーサ」の一例に相当し、本実施形態における「第1の開口部31」が本発明における「第1の開口部」の一例に相当する。
下側絶縁層40は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等のUV硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等のレジスト材料を、下側基材21の上面211上に印刷して硬化させることにより形成されている。下側絶縁層40を形成する印刷方法としては、上側絶縁層30と同様、スクリーン印刷法やグラビアオフセット印刷法、インクジェット印刷法等を例示することができる。下側絶縁層40の厚さは、メンブレンスイッチ1の薄型化及び剛性を高くする観点から、5〜50μmの範囲で設定されており、10〜30μmの範囲で設定されていることが好ましい。本実施形態では、下側絶縁層40の厚さは、15μmに設定されており、下側基材21の厚さよりも小さく設定されている。本実施形態では、下側絶縁層40の膜厚の精度を向上させる観点から、上記レジスト材料として、UV硬化性樹脂を用い、下側基材21の上面211上に印刷したUV硬化性樹脂をUV硬化処理により硬化させることによって、下側絶縁層40を形成している。
下側絶縁層40の剛性は、粘着層50の剛性よりも高く設定されている。なお、本明細書において、下側基材21や下側絶縁層40の「剛性」とは、下側基材21や下側絶縁層40の厚み方向に加えられる力に対する下側基材21や下側絶縁層40の変形のしづらさの度合いのことを指す。
この下側絶縁層40には、上下の電極12,22よりも大径の円形状の第2の開口部41が形成されている。この第2の開口部41は、下側電極22を囲繞するように設けられており、具体的には、下側電極22の中心と第2の開口部41の中心とが実質的に一致している。この第2の開口部41の径としては、特に限定しないが、メンブレンスイッチ1のON荷重を安定させる観点から、5mm以下であることが好ましい。ただし、ON荷重が上がりすぎないために、1mm以上であることが好ましい。
なお、第2の開口部41の形状は、円形状に限定されず、たとえば、矩形状等であってもよい。本実施形態における「下側絶縁層40」が本発明における「第2のスペーサ」の一例に相当し、本実施形態における「第2の開口部41」が本発明における「第2の開口部」の一例に相当する。
粘着層50は、上側絶縁層30と下側絶縁層40との間に介在しており、これらを粘着(接着)する機能を有している。このような粘着層50は、樹脂材料を含むものであることが好ましく、添加剤等をさらに含んでもよい。このような粘着層50を構成する樹脂材料としては、メンブレンスイッチ1の感圧性に応じて適宜選択して用いることができ、たとえば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等を例示することができる。粘着層50の厚さは、メンブレンスイッチ1の薄型化の観点から、5〜50μmの範囲で設定されており、10〜30μmの範囲で設定されていることが好ましい。本実施形態では、粘着層50の厚さは、15μmに設定されている。
なお、熱可塑性樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、エチレン・酢酸ビニル樹脂(EVA:Ethylene-Vinyl Acetate)、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、α−オレフィン樹脂等を例示することができる。熱硬化性樹脂としては、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を例示することができる。
本実施形態の粘着層50は、第3の開口部51と、エアーベント52とを有している。この粘着層50は、第3の開口部51とエアーベント52とを除いて、上側絶縁層30と下側絶縁層40との間の略全面に一様に形成されている。
第3の開口部51は、上下の電極12,22に対応して円形状の外形を有している。この第3の開口部51は、粘着層50を鉛直方向(Z方向)に貫通し、当該粘着層50の両方の主面上で開口する貫通孔である。
第3の開口部51は、上下の電極12,22に対応する位置に設けられており、具体的には、当該上下の電極12,22の中心と第3の開口部51の中心とが実質的に一致している。結果として、本実施形態では、第1の開口部31の中心と第2の開口部41の中心と第3の開口部51の中心とが実質的に一致している。
エアーベント52は、上側絶縁層30と下側絶縁層40との間に形成されている。このエアーベント52は、上下の電極12,22の周囲の内部空間S(具体的には、第3の開口部51)と外部空間とを連通する貫通孔である。
本実施形態では、このエアーベント52によって、操作者の押圧操作に応じた内部空間S内の空気の吸排気が行えるようになっている。すなわち、操作者により押圧力が印加されるとエアーベント52から内部空間S内の空気を排出し、操作者による押圧力が開放されるとエアーベント52から内部空間S内に空気を取り込む。このように、内部空間Sを密封しないことで、操作者に違和感を与えないようにすることができる。
このような粘着層50は、特に限定しないが、たとえば、当該粘着層50を構成する粘着材料をグラビアコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビアオフセット印刷法、インクジェット印刷法等の公知の方法を用いて、下側絶縁層40上に塗布・乾燥等させることで形成することができる。本実施形態では、粘着層50は、スクリーン印刷法等の印刷技術を用いることにより形成されている。なお、本実施形態では、粘着層50を下側絶縁層40上に形成し、その後に、上側絶縁層30を粘着層50上に載置して、粘着層50を挟んだ上側絶縁層30と下側絶縁層40とをラミネート加工により貼り合せた。しかし、これは必須ではなく、粘着層50を上側絶縁層30上に形成し、その後に、下側絶縁層40を粘着層50上に載置して、粘着層50を挟んだ上側絶縁層30と下側絶縁層40とをラミネート加工により貼り合せてもよい。
なお、第3の開口部51及びエアーベント52は、上下の絶縁層30,40の一方にマスクを積層してパターニングすることで形成してもよく、或いは、上下の絶縁層30,40の一方の全面に粘着材料を塗布した後、部分的に削り取ることで形成してもよい。或いは、選択的に粘着材料を塗布することで、第3の開口部51及びエアーベント52を形成してもよい。
本実施形態では、上側電極シート10と下側電極シート20とが意図せず接着してスイッチング性を低下させるのを抑制する観点から、第3の開口部51の外形は、第1及び第2の開口部31,41の外形よりも大きくなっている。具体的には、図2に示すように、第3の開口部51の径D1が第1及び第2の開口部31,41の径D2よりも大きくなっている。特に、本実施形態では、第3の開口部51の径D1は、第1及び第2の開口部31、41の径D2よりも0.4〜1.0mm大きくなっている。ここで、径D1と径D2との差が0.4mm未満であったり、1.0mmより大きい場合には、オン荷重にバラつきが生じ、粘着層50が粘着層として要求される機能を発揮できない。なお、第3の開口部51の径D1は、第1及び第2の開口部31,41の径D2以上であればよい。また、第3の開口部51の形状は、特に上述に限定されない。たとえば、第3の開口部51が矩形状等であってもよい。
上側絶縁層30と粘着層50と下側絶縁層40との厚さは、その合計が上側基材11又は下側基材21の厚さよりも小さくなるように設定されている。本実施形態における「粘着層50」が本発明における「粘着材」の一例に相当し、本実施形態における「第3の開口部51」が本発明における「第3の開口部」の一例に相当する。
図1に示すように、ラバードーム60は、上側電極シート10の上側基材11の上面に取り付けられている。このラバードーム60は、当該ラバードーム60の上方に上下動可能な状態で設けられるキートップを介して押圧力が伝達された際、当該キートップを元の位置に復帰させるために設けられるゴム材料等からなる弾性部材である。
ラバードーム60は、上側電極シート10の上側基材11から離間する側に向かって突出するドーム状の本体部61と、当該本体部61の縁部から外側に向かって拡がる取付部62と、から構成されている。
なお、本実施形態では、ラバードーム60は、上側電極シート10の上側基材11の上面に直接取り付けられているが、特にこれに限定されない。たとえば、上側電極シート10の上側基材11の上面に、PET等から構成されるラバードーム支持部材(不図示)を設け、当該カバー部材を介してラバードーム60を上側電極シート10の上側基材11に取り付けてもよい。また、ラバードーム60は、メンブレンスイッチ1を押圧操作を補助する押圧部材としての機能を有する。この押圧部材としては、ラバードームに限らず、メタルドームでもよく、あるいは、キートップの下面に設けられる突起でもよい。また、この押圧部材を設けることは必須ではない。
取付部62は、本体部61の全周に亘って形成された環状の部材であり、上側電極シート10の上側基材11の上面に密着している。本体部61の外形及び取付部62の外形は、平面視において、円形状とされている。また、本体部61の中心(頂部)と取付部62の中心とは、実質的に一致するようにラバードーム60が形成されている。
ところで、粘着層50を形成する際、粘着材料が流動性をもっていることにより、図1に示すように、粘着層50の縁部53にダレが生じる。この縁部53には、上側絶縁層30の縁部32が隙間を介して対向している。ここで、第1の上側基材11と上側絶縁層30とが一体となっていることにより、上側基材11が上側絶縁層30により補剛されている。それにより、上側基材11の上側電極12が設けられている部分に対して、上側基材11の上側絶縁層30が設けられている部分は、剛性が高く、曲がり難くなっている。
過剰な押圧力がラバードーム60を介して上側基材11に与えられることにより、上側絶縁層30の縁部32が粘着層50の縁部53に接触した場合には、粘着層50の縁部53の粘着力が、上側絶縁層30の縁部32に作用し、上側基材11及び上側絶縁層30の弾性変形状態からの復元力に対して抵抗する。粘着層50の縁部53の粘着力が、上側基材11及び上側絶縁層30の復元力を上回ると、上側基材11及び上側絶縁層30が凹んだ状態に維持されることになる。
そこで、本実施形態では、過剰な押圧力がラバードーム60を介して上側基材11に与えられて上側絶縁層30の縁部32と粘着層50の縁部53とが接触したとしても、上側基材11及び上側絶縁層30の弾性変形状態からの復元力が、粘着層50の粘着力を上回るように、上側基材11と上側絶縁層30との一体物の剛性が設定されている。
図3及び図4は、比較例に係るメンブレンスイッチ1Bの押圧操作時の状態を示す断面図である。また、図5は、第1実施形態に係るメンブレンスイッチ1の押圧操作時の状態を示す断面図である。なお、比較例の説明では、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付すと共に第1実施形態でした説明を援用する。
図3及び図4に示すように、比較例に係るメンブレンスイッチ1Bは、上側電極シート10と、下側電極シート20と、スペーサ30Bと、上側粘着層40Bと、下側粘着層50Bと、ラバードーム60とを備えている。このメンブレンスイッチ1Bでは、上側電極シート10と下側電極シート20との間にスペーサ30Bが設けられ、スペーサ30Bの上面と上側電極シート10の下面とが上側粘着層40Bにより粘着され、スペーサ30Bの下面と下側電極シート20の上面とが下側粘着層50Bにより粘着されている。
スペーサ30Bは、PETフィルムである。このスペーサ30Bには、上下の電極12、22に対応して第1の開口部31Bが形成されている。一方、上側粘着層40Bには、上下の電極12、22に対応して第2の開口部41Bが形成され、下側粘着層50Bには、上下の電極12、22に対応して第3の開口部51Bが形成されている。ここで、第2の開口部41Bの周縁部は、第1の開口部31Bの周縁部に対して外側に位置している。また、第3の開口部51Bの周縁部も、第1の開口部31Bの周縁部に対して外側に位置している。
ここで、上側粘着層40Bの縁部43Bにはダレが生じている。この縁部43Bには、上側電極シート10の上側基材11が隙間を介して対向している。そのため、押圧力がラバードーム60を介して上側基材11に与えられて、上側基材11が凹んだ際、上側基材11が上側粘着層40Bの縁部43Bに接近する。そして、上側基材11が上側粘着層40Bの縁部43Bに接触した場合には、上側粘着層40Bの縁部43Bの粘着力が、上側基材11に作用し、上側基材11の弾性変形状態からの復元力に対して抵抗する。
一方、下側粘着層50Bの縁部53Bにもダレが生じている。この縁部53Bには、下側電極シート20の下側基材21が隙間を介して対向している。ここで、メンブレンスイッチ1がキーボート装置等の装置に装着された状態で、当該装置に対する下側電極シート20の固定が強固ではない場合には、押圧力が加えられる上側電極シート10のみならず、下側電極シート20も、上側電極シート10に追従して変形する。この際、図4に示すように、下側粘着層50Bの縁部53Bがスペーサ30Bに接近する。そして、下側粘着層50Bの縁部53Bとスペーサ30Bとが接触した場合には、下側粘着層50Bの縁部53Bの粘着力が、下側基材21の弾性変形状態からの復元力に対して抵抗する。
ここで、比較例に係るメンブレンスイッチ1Bでは、薄型化を図るために、上側電極シート10の上側基材11及び下側電極シート20の下側基材21の厚さが小さく(例えば、本実施形態と同様に50μm)設定されている。そのため、上側基材11及び下側基材21の剛性が低くなっている。それにより、押圧力がラバードーム60を介して上側基材11に与えられた際、上側基材11の上側粘着層40Bの縁部43Bに対向する部分が曲がり易く、縁部43Bに接触し易い。一方、下側基材21がメンブレンスイッチ100を装着するキーボード装置等の装置に強固に固定されていない場合には、図4に示すように、下側基材21の下側粘着層50Bの縁部53Bに対応する部分が上側基材11に追従して曲がり易く、これにより、縁部43Bがスペーサ30Bに接触し易くなる。さらに、上側粘着層40Bの縁部43Bの粘着力が、上側基材11の弾性変形状態からの復元力を上回るので、上側基材11が上側粘着層40Bの縁部43Bの形状に倣った状態で接着した状態、即ち、上側電極シート10の接点部が凹んだ状態が維持されることになる。
それに対して、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1では、図5に示すように、上側基材11の下面111上における上側電極12の周囲に上側絶縁層30が形成され、上側電極12の周囲において、上側基材11と上側絶縁層30とが一体となっていることにより、上側基材11が上側絶縁層30により補剛されている。それにより、押圧力がラバードーム60を介して上側基材11に与えられた際、上側基材11の上側電極12が設けられた部分は凹むのに対して、上側基材11と上側絶縁層30とが一体となった部分は曲がり難く、粘着層50の縁部53に接近し難い。一方、下側基材21の上面211上における下側電極22の周囲に下側絶縁層40が形成され、下側電極22の周囲において、下側基材21と下側絶縁層40とが一体となっていることにより、下側基材21が下側絶縁層40により補剛されている。これにより、下側基材21がメンブレンスイッチ100を装着するキーボード装置等の装置に強固に固定されていない場合であっても、押圧力がラバードーム60を介して上側基材11に与えられた際、下側基材21と下側絶縁層40とが一体となった部分が上側基材11に追従して曲がり難い。さらに、上側基材11及び上側絶縁層30の弾性変形状態からの復元力が、粘着層50の粘着力を上回るように、上側基材11と上側絶縁層30との一体物の剛性が設定されている。そのため、過剰な押圧力がラバードーム60を介して上側基材11に与えられることにより上側絶縁層30の縁部32と粘着層50の縁部53とが接触したとしても、上側基材11及び上側絶縁層30は、弾性変形状態、即ち凹んだ状態から復元する。従って、メンブレンスイッチ1の押圧操作がされた後に、上側基材11が粘着層50の縁部53の形状に倣った状態で接着した状態、即ち、上側電極シート10が凹んだ状態が維持されることを防止でき、オン状態が維持されることを防止できる。
また、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1では、比較例に係るメンブレンスイッチ1Bと比較して薄型化が図れる。即ち、本実施形態では、上側絶縁層30を上側電極シート10に印刷して硬化させることにより形成し、下側絶縁層40を下側電極シート20に印刷して硬化させることにより形成する。ここで、上側絶縁層30及び下側絶縁層40を印刷して硬化させることにより形成することで、比較例のPETフィルムからなるスペーサ30Bと比較して、上側絶縁層30及び下側絶縁層40を薄くできる。また、本実施形態では、粘着層50を1層形成するのに対して、比較例では上下の粘着層40B、50Bを形成する。それにより、本実施形態では、粘着剤の厚さを、比較例と比較して小さくできる。以上により、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1では、比較例に係るメンブレンスイッチ1Bと比較して薄型化が図れる。特に、本実施形態では、上側絶縁層30と粘着層50と下側絶縁層40との厚さの合計が、上側基材11又は下側基材21の厚さよりも小さくなるように設定されていることにより、メンブレンスイッチ1の薄型化を可能にすると共に、上側電極シート10や下側電極シート20の接点部に生じる凹みを抑制することができる。
図6は、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1を示す平面図である。また、図7は、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1を示す分解斜視図である。これらの図に示すように、メンブレンスイッチ1は、上側電極12と下側電極22とからなる電極対2を複数備える。また、メンブレンスイッチ1は、上側電極シート10の上側基材11に設けられた複数の上側の引き出し配線13と、下側電極シート20の下側基材21に設けられた複数の引き出し配線23と、上側基材11の一辺に設けられた上側テール部14と、下側基材21の一辺に設けられた下側テール部24とを備えている。
上側の引き出し配線13は、一列に並んだ複数の上側電極12を接続し、上側テール部14の先端まで延びるように配線されている。複数の引き出し配線13は、相互に交差しないように配線されている。そのため、引き出し配線13はジャンパー部を備えない。一方、下側の引き出し配線23は、一列に並んだ複数の下側電極22を接続し、下側テール部24の先端まで延びている。ここで、複数の引き出し配線23は、2本の引き出し配線23と残りの1本の引き出し配線23とが相互に交差するように配線されている。そのため、図6の部分拡大図に示すように、2本の引き出し配線23と残りの1本の引き出し配線23とが交差する2箇所の交差点には、ジャンパー部25が設けられている。このジャンパー部25の詳細構成については後述する。なお、「残りの1本の引き出し配線23」が本発明における「第1の引き出し配線」に相当し、「2本の引き出し配線23」が本発明における「第2の引き出し配線」に相当する。
上側の引き出し配線13は、銀ペーストや銅ペーストやカーボンペースト等の導電性ペーストを、上側基材11の下面111上及び上側テール部14の下面上に印刷して硬化させることにより形成されている。下側の引き出し配線23は、同様に、銀ペーストや銅ペーストやカーボンペースト等の導電性ペーストを、下側基材21の上面211上及び下側テール部24の上面上に印刷して硬化させることにより形成されている。
ここで、上側絶縁層30は、上側基材11に対して直接的且つ一体的に形成され、上側の引き出し配線13を被覆するように形成されている。本実施形態では、第1の開口部31と対向する位置を除いて、上側基材11上の引き出し配線13が、上側絶縁層30により被覆されている。なお、上側テール部14上の引き出し配線13は、上側絶縁層30により被覆されてもよく、上側絶縁層30とは別に上側テール部14上に形成された他の絶縁層により被覆されてもよい。また、上側基材11上の引き出し配線13が、上側基材11の全域に亘って上側絶縁層30により被覆されることは必須ではなく、上側基材11上の引き出し配線13の一部が、他の絶縁材料により被覆されてもよい。
一方、下側絶縁層40は、下側基材21に対して直接的且つ一体的に形成され、下側の引き出し配線23を被覆するように形成されている。本実施形態では、第2の開口部41と対向する位置を除いて、下側基材21上の引き出し配線23が、下側絶縁層40により被覆されている。なお、下側テール部24上の引き出し配線23は、下側絶縁層40により被覆されてもよく、下側絶縁層40とは別に下側テール部24上に形成された他の絶縁材料により被覆されてもよい。また、下側基材21上の引き出し配線23が、下側基材21の全域に亘って下側絶縁層40により被覆されることは必須ではなく、下側基材21上の引き出し配線23の一部が、他の絶縁材料により被覆されてもよい。
粘着層50は、複数の第3の開口部51と、第3の開口部51の相互間を連通させるエアーベント52とを備えている。一列に並んだ複数の第3の開口部51の相互間にエアーベント52が設けられている。また、1本のエアーベント52が、1つの第3の開口部51と粘着層50の一辺との間に設けられており、当該第3の開口部51を粘着層50の外部に連通させている。
図8は、図6の部分拡大図のVIII−VIII断面図である。図6〜図8に示すように、1本の引き出し配線23は、下側基材21の一辺に沿って延びる直線部231を備え、残りの2本の引き出し配線23は、直線部231と交差する直線部232を備える。直線部232は、下側基材21上においては、直線部231と交差しないように第1の直線部2321と第2の直線部2322とに分断されている。この第1の直線部2321の端部と、第2の直線部2322の端部とがジャンパー部25により接続されている。
下側絶縁層40は、第1の直線部2321の端部に対向する位置と第2の直線部2322の端部に対向する位置とにそれぞれ形成されたジャンパー開口43を備える。第1の直線部2321及び第2の直線部2322の一部がジャンパー開口43と重なり合うことで下側絶縁層40から露出している。ジャンパー部25は、それぞれジャンパー開口43内に充填された一対のジャンパー接続部25Aと、一対のジャンパー接続部25Aを接続するジャンパー配線部25Bとを備えている。ジャンパー接続部25Aは、ジャンパー開口43内において第1の直線部2321の端部又は第2の直線部2322の端部と接続されている。ここで、下側絶縁層40上には、ジャンパー部25の位置に限定してジャンパー部絶縁層70が形成されている。このジャンパー部絶縁層70の上にジャンパー配線部25Bが形成されている。本実施形態における「ジャンパー部25」が本発明における「ジャンパー部」の一例に相当し、本実施形態における「ジャンパー接続部25A」が本発明における「ジャンパー接続部」の一例に相当し、本実施形態における「ジャンパー配線部25B」が本発明における「ジャンパー配線部」の一例に相当し、本実施形態における「ジャンパー開口43」が本発明における「ジャンパー開口」の一例に相当する。
ここで、ジャンパー部25と下側基材21の上面とにより区画される空間には、下側絶縁層40を構成する絶縁材料とジャンパー部絶縁層70を構成する絶縁材料とが充填されている。これにより、下側基材21上の直線部231が下側絶縁層40により被覆されるのに加えて、ジャンパー部25の内周側がジャンパー部絶縁層70及び下側絶縁層40により被覆されている。
ジャンパー部絶縁層70は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等のレジスト材料を、下側絶縁層40上に塗布して硬化させることにより形成されている。なお、本実施形態では、粘着層50が、ジャンパー部絶縁層70が形成された位置にも存在し、ジャンパー部絶縁層70と重なり合っているが、ジャンパー部絶縁層70が形成された位置に対応して粘着層50に開口を形成することにより、粘着層50とジャンパー部絶縁層70とが重なり合わないように構成してもよい。本実施形態における「ジャンパー部絶縁層70」が本発明における「ジャンパー部絶縁部」に相当する。
本実施形態に係るメンブレンスイッチ1では、上側絶縁層30が上側の引き出し配線13を被覆するように上側基材11に直接形成されていることによって、上側の引き出し配線13の防水性と絶縁性とを向上できる。さらに、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1では、下側絶縁層40が下側の引き出し配線23を被覆するように下側基材21に直接形成されていることによって、下側の引き出し配線23の防水性と絶縁性とを向上できる。また、上下の引き出し配線13、23を防水及び絶縁するための層と、上下の電極12、22の間隔を調整するためのスペーサとを共通化できることにより、それぞれの層を個別に形成する場合と比較して、薄型化でき、工程を低減できる等の効果を得ることができる。
本実施形態に係るメンブレンスイッチ1では、下側基材21に形成されたジャンパー部25が、下側絶縁層40、ジャンパー部絶縁層70、及び上側絶縁層30により被覆されることにより、ジャンパー部25の防水性及び絶縁性を確保することができる。ここで、ジャンパー部25を防水及び絶縁するための層と、上下の電極12、22の間隔を調整するためのスペーサとを共通化できることにより、それぞれの層を個別に形成する場合と比較して、薄型化でき、工程を低減できる等の効果を得ることができる。
図9は、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1の製造方法を説明するための工程図である。この図に示すように、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1の製造方法は、電極及び配線形成工程(S10)と、上側絶縁層形成工程(S20)と、下側絶縁層形成工程(S30)と、ジャンパー部絶縁層形成工程(S40)と、ジャンパー部形成工程(S50)と、貼り合せ工程(S60)とを備える。
電極及び配線形成工程(S10)では、上側電極12及び上側の引き出し配線13を上側基材11に形成する。また、下側電極22及び下側の引き出し配線23を下側基材21に形成する。本工程では、銀ペーストや銅ペーストやカーボンペースト等の導電性ペーストを、上側基材11の下面111上及び上側テール部14の下面上に印刷して硬化させる。同様に、銀ペーストや銅ペーストやカーボンペースト等の導電性ペーストを、下側基材21の上面211上及び下側テール部24の上面上に印刷して硬化させる。ここで、下側の引き出し配線23を形成する際に、ジャンパー部25は形成せずに、直線部232を、直線部231と交差しないように第1の直線部2321と第2の直線部2322とに分断された状態に形成する。
上側絶縁層形成工程(S20)では、上側基材11の下面111上に上側絶縁層30を形成する。本工程では、まず、上側絶縁層30を構成するレジスト材料をスクリーン印刷法やグラビアオフセット印刷法、インクジェット印刷法等の印刷方法により上側基材11の下面111上に印刷する。この際、第1の開口部31を有するレジスト材料の層を、上側基材11の下面111上に形成する。次に、上側基材11の下面111上に形成したレジスト材料の層を硬化させる。ここで、本実施形態では、レジスト材料としてUV硬化性樹脂を用い、硬化処理としてUV硬化処理を実施する。このUV硬化処理は、熱硬化処理と比較して、硬化させる対象の層の膜厚の制御が容易である。従って、本実施形態では、レジスト材料として熱硬化性樹脂を用い熱硬化処理を実施してレジスト材料を硬化させる場合と比較して、上側絶縁層30の膜厚の精度を高めることができる。
下側絶縁層形成工程(S30)では、下側基材21の上面211上に下側絶縁層40を形成する。本工程では、まず、下側絶縁層40を構成するレジスト材料をスクリーン印刷法やグラビアオフセット印刷法、インクジェット印刷法等の印刷方法により下側基材21の上面211上に印刷する。この際、第2の開口部41とジャンパー開口43とを有するレジスト材料の層を、下側基材21の上面211上に形成する。次に、下側基材21の上面211上に形成したレジスト材料の層を硬化させる。ここで、本実施形態では、レジスト材料としてUV硬化性樹脂を用い、硬化処理としてUV硬化処理を実施する。このUV硬化処理は、熱硬化処理と比較して、硬化させる対象の層の膜厚の制御が容易である。従って、本実施形態では、レジスト材料として熱硬化性樹脂を用い熱硬化処理を実施してレジスト材料を硬化させる場合と比較して、上側絶縁層40の膜厚の精度を高めることができる。
ジャンパー部絶縁層形成工程(S40)では、ジャンパー部絶縁層70を下側絶縁層40上のジャンパー部25を形成する位置に形成する。本工程では、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等のレジスト材料を、下側絶縁層40の上に塗布して硬化させる。
ジャンパー部形成工程(S50)では、下側電極シート20にジャンパー部25を形成する。本工程では、銀ペーストや銅ペーストやカーボンペースト等の導電性ペーストを、ジャンパー開口43内に充填されるように、下側絶縁層40及びジャンパー部絶縁層70の上に印刷して硬化させる。
貼り合せ工程(S60)では、まず、粘着層50を構成する粘着材料をグラビアコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビアオフセット印刷法、インクジェット印刷法等の公知の方法を用いて、上側絶縁層30上又は下側絶縁層40上に塗布する。この際、第3の開口部51を有する粘着材料の層を、上側絶縁層30上又は下側絶縁層40上に形成する。その後、上側絶縁層30上又は下側絶縁層40上に塗布した粘着材料を乾燥などにより硬化させることにより、粘着層50を形成する。次に、上側絶縁層30の下面と下側絶縁層40の上面とをラミネート加工により貼り合せる。なお、本実施形態では、上側絶縁層30と下側絶縁層とを貼り合せる前に粘着材料を硬化させたが、上側絶縁層30と下側絶縁層40とを貼り合せる前には粘着材料を硬化させずに、上側絶縁層30と下側絶縁層40とを貼り合せた後に初めて粘着材料を硬化させてもよい。
以上、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1の製造方法では、上側絶縁層30を構成する絶縁材料を、上側基材11の下面111に上記の印刷方法により印刷して硬化させる。また、下側絶縁層40を構成する絶縁材料を、下側基材21の上面211に上記の印刷方法により印刷して硬化させる。ここで、絶縁材料からなり上下の電極12、22に対応する位置に開口部を有する絶縁層を上側基材11又は下側基材21に形成するにあたり、印刷技術を用いるところ、この印刷技術によれば、開口部の径や位置を高精度に設定できる。従って、メンブレンスイッチ1のON荷重を容易且つ高精度に設定できる。
ここで、上述の比較例のように、上下の電極12、22に対応する位置に開口部を有するスペーサ30Bを形成して、このスペーサ30Bを上下の基材11、21に上下の粘着層40B、50Bにより接合する場合には(図3、4参照)、接合工程において、スペーサ30Bと上下の基材11、21との高い位置決め精度が要求される。この際、上下の基材11、21と上下の絶縁層30、40との4者の高い位置決め精度が要求される。それに対して、本実施形態に係るメンブレンスイッチ1の製造方法では、印刷技術により第1の開口部31と第2の開口部41との径や位置を高精度に設定したうえで、上側絶縁層30を上側基材11に、下側絶縁層40を下側基材21にそれぞれ形成できるので、接合工程では、高い位置決め精度をもって上側絶縁層30と上側基材11とが一体化されてなる上側電極シート10と、同様に高い位置決め精度をもって下側絶縁層40と下側基材21とが一体化されてなる下側電極シート20との2者の位置決めで足りる。従って、上述の比較例に対して、工程の容易化、工数の削減等の効果を得ることができる。
図10は本発明の第2実施形態に係るメンブレンスイッチ100を示す断面図である。なお、本実施形態の説明では、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付すと共に第1実施形態でした説明を援用する。
図10に示すように、本実施形態のメンブレンスイッチ100は、上側電極シート10と、下側電極シート20と、粘着層50と、ラバードーム60とを備えている。上側電極シート10は、上側基材11と、上側電極12と、上側絶縁層30とを備えている。このメンブレンスイッチ100では、上側電極シート10の上側基材11の下面111に上側絶縁層30が形成されており、下側電極シート20の下側基材21の上面211と上側絶縁層30の下面とが粘着層50により粘着されている。
ここで、下側電極シート20は、メンブレンスイッチ100を装着するキーボード装置等の装置に強固に固定されている。そのため、下側電極シート20には補剛のための絶縁層は形成されていない。
ここで、本実施形態のメンブレンスイッチ100においても、上側基材11の下面111上に上側絶縁層30が形成され、上側基材11と上側絶縁層30とが一体となっていることにより、上側基材11が上側絶縁層30により補剛されている。そして、上側基材11及び上側絶縁層30の弾性変形状態からの復元力が、粘着層50の粘着力を上回るように、上側基材11と上側絶縁層30との一体物の剛性が設定されている。そのため、メンブレンスイッチ100の押圧操作がされた後、上側基材11及び上側絶縁層30は、弾性変形状態、即ち凹んだ状態から復元する。従って、メンブレンスイッチ100の押圧操作がされた後に、上側基材11が粘着層50の縁部53の形状に倣った状態で接着した状態、即ち、上側基材11が凹んだ状態に維持されることを防止でき、オン状態が維持されることを防止できる。
また、本実施形態のメンブレンスイッチ100では、押圧力が加えられる上側電極シート10のみを上側絶縁層30により補剛し、下側電極シート20についてはキーボード装置等の装置に強固に固定している。これにより、上下の絶縁層30、40を備える第1実施形態のメンブレンスイッチ1と比較して、メンブレンスイッチ100を薄型化できる。
ここで、上側絶縁層30と粘着層50との厚さは、その合計が上側基材11又は下側基材21の厚さよりも少さくなるように設定されている。これにより、メンブレンスイッチ100の薄型化を可能にすると共に、上側電極シート10や下側電極シート20の接点部に生じる凹みを抑制することができる。本実施形態における「メンブレンスイッチ100」が本発明における「スイッチ」の一例に相当し、本実施形態における「上側絶縁層30」が本発明における「第1のスペーサ」の一例に相当する。
図11は、本実施形態に係るメンブレンスイッチ100を示す平面図である。また、図12は、本実施形態に係るメンブレンスイッチ100を示す分解斜視図である。なお、図12では、図11のメンブレンスイッチ100を上下反転させて示している。これらの図に示すように、メンブレンスイッチ100は、上側電極12と下側電極22とからなる電極対2を複数備える。また、メンブレンスイッチ100は、上側電極シート10の上側基材11に設けられた複数の上側の引き出し配線13と、下側電極シート20の下側基材21に設けられた複数の引き出し配線23と、上側基材11の一辺に設けられた上側テール部14と、下側基材21の一辺に設けられた下側テール部24とを備えている。
下側の引き出し配線23は、一列に並んだ複数の下側電極22を接続し、下側テール部24の先端まで延びるように配線されている。複数の引き出し配線23は、相互に交差しないように配線されている。そのため、引き出し配線23はジャンパー部を備えない。一方、上側の引き出し配線13は、一列に並んだ複数の上側電極12を接続し、上側テール部14の先端まで延びている。ここで、複数の引き出し配線13は、2本の引き出し配線13と残りの1本の引き出し配線13とが相互に交差するように配線されている。そのため、2本の引き出し配線13と残りの1本の引き出し配線13とが相互に交差する2箇所の交差点には、ジャンパー部15が設けられている。このジャンパー部15の詳細構成については後述する。「残りの1本の引き出し配線13」が本発明における「第1の引き出し配線」の一例に相当し、「2本の引き出し配線13」が本発明における「第2の引き出し配線」の一例に相当する。
上側絶縁層30は、上側基材11に対して直接的且つ一体的に形成されているところ、上側の引き出し配線13を被覆するように形成されている。本実施形態では、第1の開口部31と対向する位置を除いて、上側基材11上の引き出し配線13が、上側絶縁層30により被覆されている。なお、上側テール部14上の引き出し配線13は、上側絶縁層30により被覆されてもよく、上側絶縁層30とは別に上側テール部14上に形成された他の絶縁層により被覆されてもよい。また、上側基材11上の引き出し配線13が、上側基材11の全域に亘って上側絶縁層30により被覆されることは必須ではなく、上側基材11上の引き出し配線13の一部が、他の絶縁材料により被覆されてもよい。
一方、下側基材21には、引き出し配線23を被覆する絶縁層は形成されていない。下側基材21の上面211に形成された引き出し配線23は、第2の開口部41及び第3の開口部51と対向する位置を除いて、粘着層50及び上側絶縁層30により被覆されている。なお、下側テール部24上の引き出し配線23は、下側テール部24上に形成された絶縁材料により被覆されている。
図13は、図11の部分拡大図のXIII−XIII断面図である。これらの図に示すように、1本の引き出し配線13は、上側基材11の一辺に沿って延びる直線部131を備え、残りの2本の引き出し配線13は、直線部131と交差する直線部132を備える。直線部132は、上側基材11上においては、直線部131と交差しないように第1の直線部1321と第2の直線部1322とに分断されている。この第1の直線部1321の端部と、第2の直線部1322の端部とがジャンパー部15により接続されている。
上側絶縁層30は、第1の直線部1321の端部に対向する位置と第2の直線部1322の端部に対向する位置とにそれぞれ形成されたジャンパー開口33を備える。第1の直線部1321及び第2の直線部1322の一部がジャンパー開口33と重なり合うことで下側絶縁層40から露出している。ジャンパー部15は、上側基材11上の直線部131を跨ぐように形成されており、一対のジャンパー接続部15Aと、一対のジャンパー接続部15Aを接続するジャンパー配線部15Bとを備えている。それぞれのジャンパー接続部15Aは、ジャンパー開口33内に充填され、第1の直線部1321の端部又は第2の直線部1322の端部と接続されている。また、ジャンパー配線部15Bは、上側絶縁層30上に形成されている。本実施形態における「ジャンパー部15」が本発明における「ジャンパー部」の一例に相当し、本実施形態における「ジャンパー接続部15A」が本発明における「ジャンパー接続部」の一例に相当し、本実施形態における「ジャンパー配線部15B」が本発明における「ジャンパー配線部」の一例に相当し、本実施形態における「ジャンパー開口33」が本発明における「ジャンパー開口」の一例に相当する。
ここで、ジャンパー部15と上側基材11の上面とにより区画される空間には、上側絶縁層30を構成する絶縁材料が充填されている。これにより、上側基材11上の直線部131が上側絶縁層30により被覆されるのに加えて、ジャンパー部15の内周側が上側絶縁層30により被覆されている。
上側絶縁層30上には、ジャンパー配線部15Bを被覆するようにジャンパー部絶縁層80が形成されている。このジャンパー部絶縁層80は、ジャンパー部15が設けられている位置に限定して形成されている。また、ジャンパー部絶縁層80は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等のレジスト材料を、上側絶縁層30上にジャンパー部15を覆うように塗布して硬化させることにより形成されている。なお、本実施形態では、粘着層50が、ジャンパー部絶縁層80が形成された位置にも存在し、ジャンパー部絶縁層80と重なり合っているが、ジャンパー部絶縁層80が形成された位置に対応して粘着層50に開口を形成することにより、粘着層50とジャンパー部絶縁層80とが重なり合わないように構成してもよい。本実施形態における「ジャンパー部絶縁層80」が本発明における「ジャンパー部絶縁部」に相当する。
図14は、本実施形態に係るメンブレンスイッチ100の製造方法を説明するための工程図である。この図に示すように、本実施形態に係るメンブレンスイッチ100の製造方法は、電極及び配線形成工程(S110)と、上側絶縁層形成工程(S120)と、ジャンパー部形成工程(S140)と、ジャンパー部絶縁層形成工程(S150)と、貼り合せ工程(S160)とを備える。
電極及び配線形成工程(S110)では、上側電極12及び上側の引き出し配線13を上側基材11に形成する。また、下側電極22及び下側の引き出し配線23を下側基材21に形成する。本工程では、銀ペーストや銅ペーストやカーボンペースト等の導電性ペーストを、上側基材11の下面111上及び上側テール部14の下面上に印刷して硬化させる。同様に、銀ペーストや銅ペーストやカーボンペースト等の導電性ペーストを、下側基材21の上面211上及び下側テール部24の上面上に印刷して硬化させる。ここで、上側の引き出し配線13を形成する際に、ジャンパー部15は形成せずに、直線部132を、直線部131と交差しないように第1の直線部1321と第2の直線部1322とに分断された状態に形成する。
上側絶縁層形成工程(S120)では、上側基材11の下面111上に上側絶縁層30を形成する。本工程では、まず、上側絶縁層30を構成するレジスト材料をスクリーン印刷法やグラビアオフセット印刷法、インクジェット印刷法等の印刷方法により上側基材11の下面111上に印刷する。この際、第1の開口部31とジャンパー開口33とを有するレジスト材料の層を、上側基材11の下面111上に形成する。次に、上側基材11の下面111上に形成したレジスト材料の層を硬化させる。ここで、本実施形態では、レジスト材料としてUV硬化性樹脂を用い、硬化処理としてUV硬化処理を実施する。このUV硬化処理は、熱硬化処理と比較して、硬化させる対象の層の膜厚の制御が容易である。従って、本実施形態では、レジスト材料として熱硬化性樹脂を用い熱硬化処理を実施してレジスト材料を硬化させる場合と比較して、上側絶縁層30の膜厚の精度を高めることができる。
ジャンパー部形成工程(S140)では、上側電極シート10にジャンパー部15を形成する。本工程では、銀ペーストや銅ペーストやカーボンペースト等の導電性ペーストを、ジャンパー開口33内に充填されるように、上側絶縁層30上に印刷して硬化させる。
ジャンパー部絶縁層形成工程(S150)では、ジャンパー部絶縁層80を上側絶縁層30上のジャンパー部15が形成された位置に形成する。本工程では、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等のレジスト材料を、上側絶縁層30上且つジャンパー部15上に塗布して硬化させる。
貼り合せ工程(S160)では、まず、粘着層50を構成する粘着材料をグラビアコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビアオフセット印刷法、インクジェット印刷法等の公知の方法を用いて、上側絶縁層30上又は下側基材21上に塗布する。この際、第3の開口部51を有する粘着材料の層を、上側絶縁層30上又は下側基材21上に形成する。その後、上側絶縁層30上又は下側基材21上に塗布した粘着材料を乾燥などにより硬化させることにより、粘着層50を形成する。次に、上側絶縁層30の下面と下側基材21の上面211とをラミネート加工により貼り合せる。なお、本実施形態では、上側絶縁層30と下側基材21とを貼り合せる前に粘着材料を硬化させたが、上側絶縁層30と下側基材21とを貼り合せる前には粘着材料を硬化させずに、上側絶縁層30と下側基材21とを貼り合せた後に初めて粘着材料を硬化させてもよい。
図15は、本発明の第3実施形態に係るメンブレンスイッチ200を示す断面図である。なお、本実施形態の説明では、第1及び第2実施形態と同様の構成には同一の符号を付すと共に第1及び第2実施形態でした説明を援用する。
図15に示すように、本実施形態のメンブレンスイッチ200は、上側電極シート10と、下側電極シート20と、粘着層50と、ラバードーム60とを備えている。下側電極シート20は、下側基材21と、下側電極22と、下側絶縁層40とを備えている。このメンブレンスイッチ200では、下側電極シート20の下側基材21の上面211に下側絶縁層40が形成されており、上側電極シート10の上側基材11の下面111と下側絶縁層40の上面とが粘着層50により粘着されている。
即ち、本実施形態に係るメンブレンスイッチ200では、下側基材21の上面211上における下側電極22の周囲に下側絶縁層40が形成され、下側電極22の周囲において、下側基材21と下側絶縁層40とが一体となっていることにより、下側基材21が下側絶縁層40により補剛されている。それにより、下側基材21がメンブレンスイッチ200を装着するキーボード装置等の装置に強固に固定されていない場合であっても、押圧力がラバードーム60を介して上側基材11に与えられた際、下側基材21と下側絶縁層40とが一体となった部分は曲がり難い。そのため、過剰な押圧力がラバードーム60を介して上側基材11に与えられることにより上側絶縁層30の縁部32と粘着層50の縁部53とが接触したとしても、上側基材11及び上側絶縁層30は、弾性変形状態、即ち凹んだ状態から復元し易くなる。従って、メンブレンスイッチ200の押圧操作がされた後に、上側基材11が粘着層50の縁部53の形状に倣った状態で接着した状態、即ち、上側電極シート10が凹んだ状態が維持されることを防止でき、オン状態が維持されることを防止できる。
ここで、下側絶縁層40と粘着層50との厚さは、その合計が上側基材11又は下側基材21の厚さよりも少さくなるように設定されている。これにより、メンブレンスイッチ200の薄型化を可能にすると共に、上側電極シート10や下側電極シート20の接点部に生じる凹みを抑制することができる。
図16は、本実施形態に係るメンブレンスイッチ200を示す平面図である。また、図17は、本実施形態に係るメンブレンスイッチ200を示す分解斜視図である。これらの図に示すように、上側の引き出し配線13は、一列に並んだ複数の上側電極12を接続し、上側テール部14の先端まで延びるように配線されている。複数の引き出し配線13は、相互に交差しないように配線されている。そのため、引き出し配線13はジャンパー部を備えない。一方、下側の引き出し配線23は、一列に並んだ複数の下側電極22を接続し、下側テール部24の先端まで延びている。ここで、複数の引き出し配線23は、2本の引き出し配線23と残りの1本の引き出し配線23とが相互に交差するように配線されている。そのため、2本の引き出し配線23と残りの1本の引き出し配線23とが相互に交差する2箇所の交差点には、ジャンパー部25が設けられている。このジャンパー部25の詳細構成については後述する。「残りの1本の引き出し配線23」が本発明における「第1の引き出し配線」の一例に相当し、「2本の引き出し配線23」が本発明における「第2の引き出し配線」の一例に相当する。
上側の引き出し配線13は、銀ペーストや銅ペーストやカーボンペースト等の導電性ペーストを、上側基材11の下面111上及び上側テール部14の下面上に印刷して硬化させることにより形成されている。下側の引き出し配線23は、同様に、銀ペーストや銅ペーストやカーボンペースト等の導電性ペーストを、下側基材21の上面211上及び下側テール部24の上面上に印刷して硬化させることにより形成されている。
下側絶縁層40は、下側基材21に対して直接的且つ一体的に形成されているところ、下側の引き出し配線23を被覆するように形成されている。本実施形態では、第2の開口部41と対向する位置を除いて、下側基材21上の引き出し配線23が、下側絶縁層40により被覆されている。なお、下側テール部24上の引き出し配線23は、下側絶縁層40により被覆されてもよく、下側絶縁層40とは別に下側テール部24上に形成された他の絶縁層により被覆されてもよい。また、下側基材21上の引き出し配線23が、下側基材21の全域に亘って下側絶縁層40により被覆されることは必須ではなく、下側基材21上の引き出し配線23の一部が、他の絶縁材料により被覆されてもよい。
一方、上側基材11には、引き出し配線13を被覆する絶縁層は形成されていない。上側基材11の下面111に形成された引き出し配線13は、第1の開口部31及び第3の開口部51と対向する位置を除いて、粘着層50及び下側絶縁層40により被覆されている。なお、上側テール部14上の引き出し配線13は、上側テール部14上に形成された絶縁材料により被覆されている。
図18は、図16の部分拡大図のXVIII−XVIII断面図である。これらの図に示すように、1本の引き出し配線23は、下側基材21の一辺に沿って延びる直線部231を備え、残りの2本の引き出し配線23は、直線部231と交差する直線部232を備える。直線部232は、下側基材21上においては、直線部231と交差しないように第1の直線部2321と第2の直線部2322とに分断されている。この第1の直線部2321の端部と、第2の直線部2322の端部とがジャンパー部25により接続されている。
下側絶縁層40は、第1の直線部2321の端部に対向する位置と第2の直線部2322の端部に対向する位置とにそれぞれ形成されたジャンパー開口43を備える。第1の直線部2321及び第2の直線部2322の一部がジャンパー開口43と重なり合うことで下側絶縁層40から露出している。ジャンパー部25は、下側基材21上の直線部231を跨ぐように形成されており、一対のジャンパー接続部25Aと、一対のジャンパー接続部25Aを接続するジャンパー配線部25Bとを備えている。それぞれのジャンパー接続部25Aは、ジャンパー開口43内に充填され、第1の直線部2321の端部又は第2の直線部2322の端部と接続されている。また、ジャンパー配線部25Bは、下側絶縁層40上に形成されている。
ここで、ジャンパー部25と下側基材21の上面とにより区画される空間には、下側絶縁層40を構成する絶縁材料が充填されている。これにより、下側基材21上の直線部231が下側絶縁層40により被覆されるのに加えて、ジャンパー部25の内周側が下側絶縁層40により被覆されている。
下側絶縁層40上には、ジャンパー配線部25Bを被覆するようにジャンパー部絶縁層80が形成されている。このジャンパー部絶縁層80は、ジャンパー部25が設けられている位置に限定して形成されている。また、ジャンパー部絶縁層80は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等のレジスト材料を、下側絶縁層40上に塗布して硬化させることにより形成されている。ここで、本実施形態では、ジャンパー部絶縁層80が形成された位置に対応して粘着層50に開口が形成されており、粘着層50とジャンパー部絶縁層80とが重なり合わないように構成されている。これにより、上側基材11とジャンパー部絶縁層80とが重なり合う位置においても、上側基材11が平らに構成されている。
図19は、本実施形態に係るメンブレンスイッチ200の製造方法を説明するための工程図である。この図に示すように、本実施形態に係るメンブレンスイッチ200の製造方法は、電極及び配線形成工程(S210)と、下側絶縁層形成工程(S230)と、ジャンパー部形成工程(S240)と、ジャンパー部絶縁層形成工程(S250)と、貼り合せ工程(S260)とを備える。
電極及び配線形成工程(S210)では、上側電極12及び上側の引き出し配線13を上側基材11に形成する。また、下側電極22及び下側の引き出し配線23を下側基材21に形成する。本工程では、銀ペーストや銅ペーストやカーボンペースト等の導電性ペーストを、上側基材11の下面111上及び上側テール部14の下面上に印刷して硬化させる。同様に、銀ペーストや銅ペーストやカーボンペースト等の導電性ペーストを、下側基材21の上面211上及び下側テール部24の上面上に印刷して硬化させる。ここで、下側の引き出し配線23を形成する際に、ジャンパー部25は形成せずに、直線部232を、直線部231と交差しないように第1の直線部2321と第2の直線部2322とに分断された状態に形成する。
下側絶縁層形成工程(S230)では、下側基材21の上面211上に下側絶縁層40を形成する。本工程では、まず、下側絶縁層40を構成するレジスト材料をスクリーン印刷法やグラビアオフセット印刷法、インクジェット印刷法等の印刷方法により下側基材21の上面211上に印刷する。この際、第2の開口部41とジャンパー開口43とを有するレジスト材料の層を、下側基材21の上面211上に形成する。次に、下側基材21の上面211上に形成したレジスト材料の層を硬化させる。ここで、本実施形態では、レジスト材料としてUV硬化性樹脂を用い、硬化処理としてUV硬化処理を実施する。このUV硬化処理は、熱硬化処理と比較して、硬化させる対象の層の膜厚の制御が容易である。従って、本実施形態では、レジスト材料として熱硬化性樹脂を用い熱硬化処理を実施してレジスト材料を硬化させる場合と比較して、上側絶縁層30の膜厚の精度を高めることができる。
ジャンパー部形成工程(S240)では、下側電極シート20にジャンパー部25を形成する。本工程では、銀ペーストや銅ペーストやカーボンペースト等の導電性ペーストを、ジャンパー開口43内に充填されるように、下側絶縁層40上に印刷して硬化させる。
ジャンパー部絶縁層形成工程(S250)では、ジャンパー部絶縁層80を下側絶縁層40上のジャンパー部25が形成された位置に形成する。本工程では、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等のレジスト材料を、下側絶縁層40上且つジャンパー部25上に塗布して硬化させる。
貼り合せ工程(S260)では、まず、粘着層50を構成する粘着材料をグラビアコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、グラビアオフセット印刷法、インクジェット印刷法等の公知の方法を用いて、下側絶縁層40上又は上側基材11上に塗布する。この際、第3の開口部51を有する粘着材料の層を、下側絶縁層40上又は上側基材11上に形成する。その後、下側絶縁層40上又は上側基材11上に塗布した粘着材料を乾燥などにより硬化させることにより、粘着層50を形成する。次に、下側絶縁層40の上面と上側基材11の下面111とをラミネート加工により貼り合せる。なお、本実施形態では、下側絶縁層40と上側基材11とを貼り合せる前に粘着材料を硬化させたが、下側絶縁層40と上側基材11とを貼り合せる前には粘着材料を硬化させずに、下側絶縁層40と上側基材11とを貼り合せた後に初めて粘着材料を硬化させてもよい。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上記の実施形態では、第3の開口部51を有し、粘着剤が面状に広がる粘着層50を形成したが、複数の点状の粘着剤が第1、第2の開口部31、41の周囲に配置された粘着層を形成してもよい。
また、上記の実施形態では、粘着剤を第1、第2の開口部31、41の周縁部に対して外側に設けたが、粘着剤の縁部が第1、第2の開口部31、41の周縁部の位置と一致するように、粘着剤を設けてもよい。
さらに、上記の実施形態では、上側電極シート10に加えられる押圧力により、上側電極電極12と下側電極22とが接触して導通する構成を例を挙げたが、下側電極20に加えられる押圧力により、上側電極12と下側電極22とが接触して導通するように構成してもよく、あるいは、上側電極10及び下側電極20に加えられる押圧力により、上側電極12と下側電極22とが接触して導通するように構成してもよい。