JP6713636B2 - 泡盛もろみ酢発酵飲料の製造方法 - Google Patents

泡盛もろみ酢発酵飲料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、泡盛もろみ酢発酵飲料の製造方法に関し、更に詳細には、泡盛蒸留粕に特有のもろみ臭がマスキングされ、飲みやすく風味が良好な泡盛もろみ酢発酵飲料が得られる製造方法に関する。
泡盛は、原料のタイ米に黒麹を添加して米麹とし、これに水と酵母を加えてもろみを調製した後、アルコール発酵させて熟成もろみとし、この熟成もろみを蒸留することによって製造される。熟成もろみの蒸留工程で残った蒸留残渣(蒸留粕)には、クエン酸などの有機酸や必須アミノ酸が豊富に含まれているため、蒸留粕を圧搾ろ過などにより固液分離した液体を飲料に利用した「もろみ酢」が市販されており、その疲労回復などの機能が注目されている。
しかし、この泡盛蒸留粕から分離した液体は、クエン酸濃度が高いため酸味が強く、また特有のもろみ臭があるため、そのままで日常的に多量に摂取することは困難であった。そのため、黒糖などの糖類を添加して風味の改善が図られているが、なお快適に多量に飲用できるとは言い難いのが実情であった。
一方、焼酎の蒸留粕に市販のヨーグルトスターターを作用させることによって、その風味が改善されることが報告されている(特許文献1)。しかし、泡盛蒸留粕と焼酎蒸留粕とでは、その原料や微生物等の相違に基づき、もろみ臭の性質や風味が大きく異なっており、この技術を泡盛蒸留粕に適用しても、そのもろみ臭を十分にマスキングすることは困難であった。
特開2007−252239号公報
従って本発明は、泡盛蒸留粕に特有のもろみ臭を低減し、優れた風味を付与することが可能な泡盛もろみ酢発酵飲料の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、泡盛蒸留粕から分離した液体を、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する乳酸菌を用いて発酵させることにより、泡盛蒸留粕に特有のもろみ臭が低減され、飲みやすく良好な風味となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は泡盛蒸留粕より固液分離して得られる液体をラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌により発酵させることを特徴とする泡盛もろみ酢発酵飲料の製造方法である。
また本発明は上記製造方法によって得られる泡盛もろみ酢発酵飲料である。
さらに本発明は、泡盛蒸留粕より固液分離して得られる液体をラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌により発酵させることを特徴とする泡盛もろみ酢飲料の風味改善方法である。
本発明の製造方法によって、泡盛蒸留粕に特有のもろみ臭を有効にマスキングして低減することができ、風味が良好で飲みやすく、日常的に快適に摂取することが可能な泡盛もろみ酢発酵飲料を得ることができる。
実施例7のにおい分析結果を示すグラフである。 実施例7のGC-MSスペクトルである。
本発明の泡盛もろみ酢発酵飲料の製造方法は、泡盛蒸留粕より固液分離して得られる液体をラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する乳酸菌により発酵させることを特徴とする。本発明において、泡盛もろみ酢飲料とは、泡盛蒸留粕より固液分離して得られる液体を含有する飲料をいい、その中でも、泡盛蒸留粕より固液分離して得られる液体に乳酸菌等を作用させた発酵物を含有するものを泡盛もろみ酢発酵飲料という。
本発明方法において使用する泡盛蒸留粕とは、泡盛の製造工程で生じる残渣である。泡盛は、原料のタイ米(インディカ米)に黒麹を添加して米麹とし、これに水と酵母を加えてもろみを調製した後、アルコール発酵させて熟成もろみとし、この熟成もろみを蒸留させることによって製造されるが、熟成もろみの蒸留工程における蒸留残渣が蒸留粕である。この泡盛蒸留粕は、圧搾ろ過などの公知の固液分離手段により、食物繊維などの固体部と液体部に分離されるが、本発明では、このうち液体部(泡盛蒸留粕液体部)を用いる。泡盛蒸留粕液体部の製造に使用されるタイ米や黒麹、酵母等に特に制限はなく、通常の泡盛の製造に使用可能なものであれば包含される。
具体的には、例えば次のようにして、泡盛蒸留粕液体部を得ることができる。まず、タイ米1000Kgを水に浸漬し、蒸気で蒸した後、黒麹菌400gを散布して2日間かけて製麹する。この麹に水1700Lと乾燥酵母100gを復水したものを加えもろみを調製し、約20日間程度発酵させる。この熟成もろみを単式蒸留機で蒸留してアルコールを抽出する。蒸留は留液のアルコール濃度が約5v/v%になるまで行う。蒸留後に単式蒸留機に残ったものが泡盛蒸留粕である。この泡盛蒸留粕から、圧搾ろ過等の公知の固液分離手段を用いて液体部を分離する。
このようにして得られた泡盛蒸留粕液体部に乳酸菌を添加して培養させる。この泡盛蒸留粕液体部にはクエン酸が高濃度に含まれpHが高いため、培養にあたって予め水酸化ナトリウム、重曹、にがり、クエン酸、乳酸等のpH調整剤を用いてpHを調整することが好ましい。pHは3〜9が好ましく、より好ましくはpH4〜7であり、特に好ましくは5.2〜6.5である。このような範囲であると、乳酸菌による発酵が促進され、酸味も緩和される。
また泡盛蒸留粕液体部には、乳酸菌により発酵させるにあたって、予め乳成分を添加することが好ましい。乳成分の添加により、乳酸菌による発酵が促進され、泡盛蒸留粕に特有のもろみ臭に対するマスキング効果が向上し、良好な風味となる。使用できる乳成分としては、牛乳等の獣乳またはその脱脂乳、豆乳等が例示される。乳成分として脱脂粉乳を使用する場合の添加量は、泡盛もろみ酢発酵飲料中に0.5〜10質量%(以下、特に断らない限り「%」は「質量%」を意味する)が好適であり、1〜6%がより好適であり、2〜4%が特に好適である。一方、乳製品として牛乳を使用する場合には、牛乳を泡盛蒸留粕液体部に対して質量比(牛乳:泡盛蒸留粕液体部)=2:1〜1:9の範囲で添加することが好適であり、1:1〜1:4の範囲がより好ましい。泡盛もろみ酢発酵飲料中の牛乳の含有量としては3〜70%が好ましく、10〜60%がより好ましく、15〜50%が特に好ましい。この範囲にあると、もろみ臭が有効にマスキングされ、風味に優れたものが得られる。
また泡盛蒸留粕液体部には、乳酸菌により発酵させるにあたって、糖類を添加することが好ましい。糖類を添加することにより、乳酸菌による発酵を促し、風味に優れたものとなる。糖類としては、ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌が資化できるものであれば特に制限はないが、例えば、グルコース、ラクトース等が例示される。泡盛蒸留粕液体部に対する糖類の添加量は、0.5〜20%が好適であり、1〜5%がより好ましい。この範囲にあると、もろみ臭が有効にマスキングされ、風味に優れたものとなる。
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)に属する乳酸菌としては、特に限定されるものではないが、例えば株式会社秋田今野商店から販売されているL3323株、L106716株、L1337株、L1390株等が、もろみ臭に対するマスキング効果に優れ、良好な風味のものとなるため好適であり、これらの中でもL3323株、L1337株が特に好適に用いられる。
上記ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌を泡盛蒸留粕液体部に接種し発酵させる。例えば、ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌を予めMRS液体培地などの適当な培地で20〜35℃、12〜24時間程度培養した培養液を、泡盛蒸留粕液体部に対して0.1〜10v/v%、好ましくは0.5〜2v/v%で接種すればよい。ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌を接種した泡盛蒸留粕液体部は10〜45℃で3〜72時間、好ましくは25〜40℃で12〜24時間程度培養する。
泡盛蒸留粕液体部の発酵にあたっては、ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌とともに、酵母を用いてもよい。酵母による発酵は、ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌による発酵の前後いずれでもよいが、乳酸菌による発酵後の方が好ましい。酵母としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等のサッカロミセス属酵母が例示される。酵母は泡盛蒸留粕液体部に0.1〜10%、好ましくは1〜5%で接種される。酵母を接種した泡盛蒸留粕液体部は5〜40℃で3〜72時間、好ましくは20〜30℃で24〜72時間培養する。
培養後の発酵液は、そのまま、あるいは0.5〜2倍量で加水し、必要に応じて、さらに黒糖、果糖ブドウ糖液糖、スクラロース、オリゴ糖、麦芽糖等の糖類などの食品素材を添加して、泡盛もろみ酢発酵飲料とすることができる。また常法に従って殺菌してもよい。
斯くして得られる泡盛もろみ酢発酵飲料は、泡盛蒸留粕に特有のもろみ臭が低減され、風味が豊かで飲みやすいものとなる。
以下、本発明を実施例等を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。
参 考 例 1
泡盛蒸留粕液体部の調製:
タイ米1000Kgを水に浸漬し、蒸気で蒸した後、黒麹菌400gを散布して2日間かけて製麹した。この麹に水1800Lと乾燥酵母300gを復水したものを加えもろみを調製し、約20日間程度発酵させた。この熟成もろみを単式蒸留機により留液のアルコール濃度が5〜10%になるまで蒸留した。蒸留後単式蒸留機に残った泡盛蒸留粕を圧搾ろ過により液体部を分離した。なお、種麹にはアスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・サイトウイ(石川種麹店)を使用し、酵母には泡盛101号(沖縄県酒造組合)を使用した。
実 施 例 1
乳酸菌の検討(2):
製造例1で得られた泡盛蒸留粕液体部を5M NaOHでpH6.4に調整した後、終濃度2%となるようにグルコースを添加し溶解させた。本溶液を100 mL容三角フラスコに50 mLずつ分注し、終濃度が3%となるように脱脂粉乳を添加し溶解させた後、ウォーターバスで85℃で3時間処理した。処理後の溶液50 mLに対して、下記表に示す乳酸菌株をMRS液体培地で30℃、12時間培養した溶液1mLを添加し、30℃で48時間発酵させた。上記と同様にして発酵溶液のもろみ臭に対するマスキング効果および風味を評価した。下記基準により発酵溶液のもろみ臭に対するマスキング効果及び風味を評価した。結果を表1に示す。
[ もろみ臭に対するマスキング効果 ]
(評 価) ( 内 容 )
+ もろみ臭がほとんど抑えられていない。
++ もろみ臭がやや抑えられている。
+++ もろみ臭が抑えられている。
++++ もろみ臭がよく抑えられている。
+++++ もろみ臭がしっかりと抑えられている。
[ 風 味 ]
(評 価) ( 内 容 )
5 : とても風味が良い
4 : 風味が良い
3 : どちらでもない
2 : 風味が悪い
1 : とても風味が悪い
Figure 0006713636
表1の結果から、Lactobacillus plantarumにより発酵させたものが、最ももろみ臭に対するマスキング効果が高く、風味も良好なものとなった。
実 施 例 2
脱脂粉乳添加量の検討:
製造例1で得られた泡盛蒸留粕液体部を5M NaOHでpH6.4に調整した後、終濃度2%となるようにグルコースを添加し溶解させた。本溶液を100 mL容三角フラスコに50 mLずつ分注し、終濃度がそれぞれ1%、3%、5%となるように脱脂粉乳を添加し溶解させた後、ウォーターバスで85℃で3時間処理した。処理後の溶液50 mLに対して、Lactobacillus plantarum L3323株をMRS液体培地で30℃、12時間培養した溶液1mLを添加し、30℃で48時間発酵させた。実施例1と同様にして発酵溶液のマスキング効果及び風味を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0006713636
脱脂粉乳を3%以上添加するともろみ臭が十分にマスキングされ、風味も良好なものとなった。
実 施 例 3
pHの検討:
製造例1で得られた泡盛蒸留粕液体部を5M NaOHでpH6.4、pH5.0、pH4.0に調整したものに、終濃度1%となるようにグルコースを添加し溶解させ、終濃度3%となるように脱脂粉乳を添加し溶解させた。本溶液を100mL三角フラスコに50 mLずつ分注した後、ウォーターバスで85℃で3時間処理した。処理後の溶液50 mLに対して、Lactobacillus plantarum L3323株をMRS液体培地で30℃、12時間培養した溶液1mLを添加し、30℃で48時間発酵させた。実施例1と同様にして発酵溶液のマスキング効果及び風味を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0006713636
pH6.4で発酵させたものが、最ももろみ臭に対するマスキング効果が高く、風味も良好なものとなった。
実 施 例 4
Lactobacillus plantarumの菌株の検討:
製造例1で得られた泡盛蒸留粕液体部を5M NaOHでpH6.4に調整した後、終濃度1%となるようにグルコースを添加し溶解させ、終濃度3%となるように脱脂粉乳を添加し溶解させた。本溶液を100mL三角フラスコに50 mLずつ分注した後、ウォーターバスで85℃で3時間処理した。処理後の溶液50 mLに対して、下記表に示すLactobacillus plantarum菌株をそれぞれMRS液体培地で30℃、12時間培養した溶液1mLを添加し、30℃で48時間発酵させた。実施例1と同様にして発酵溶液のマスキング効果及び風味を評価した。結果を表4に示す。
Figure 0006713636
供試菌株はいずれももろみ臭に対して十分なマスキング効果を示した。特にL3323株及びL1337株はマスキング効果が高く、風味も良好であった。
実 施 例 5
牛乳の添加量の検討:
製造例1で得られた泡盛蒸留粕液体部を5M NaOHでpH6.4に調整した後、牛乳と泡盛蒸留粕液体部を、1:1、1:2、1:4、1:9の質量比で混合した。それぞれの溶液を100mL三角フラスコに50 mLずつ調製した後、ウォーターバスで85℃で3時間処理した。処理後の溶液50 mLに対して、Lactobacillus plantarum L3323株とL1337株をそれぞれMRS液体培地で30℃、12時間培養した溶液を1mL添加し、30℃で48時間発酵させた。実施例1と同様にして発酵溶液のマスキング効果及び風味を評価した。結果を表5(L3323株)及び表6(L1337株)に示す。
Figure 0006713636
Figure 0006713636
牛乳を泡盛蒸留粕液体部に対し質量比で1:4以上(牛乳と泡盛蒸留粕液体部の合計量に対し20%以上)となる量で加えると、もろみ臭に対するマスキング効果が高く、風味も良好なものとなった。
実 施 例 6
製造例1で得られた泡盛蒸留粕液体部を重曹でpH5.4に調整した後、終濃度4%となるように脱脂粉乳を添加し溶解させた。本溶液を40Lの培養ポットに15L分注し、火にかけて65℃で30分処理した。処理後の溶液15Lに対して、Lactobacillus plantarum L3323株をMRS液体培地で30℃、12時間培養した溶液150mLを添加し、30℃で48時間発酵させた。果糖ブドウ糖液糖15gにこの発酵溶液を入れ100mLにフィルアップし、さらにこの調製液70mLと水30mLを混合して泡盛もろみ酢発酵飲料を得た。
この泡盛もろみ酢飲について、実施例1と同様の基準を用いて、20代から30代のパネラー18名(男10名:女8名)によりもろみ臭に対するマスキング効果および風味を評価してもらい、その平均を求めた。結果を表7に示す。
Figure 0006713636
乳酸発酵させることにより、もろみ臭を抑え、風味の良い泡盛もろみ酢発酵飲料とすることができた。
実 施 例 7
製造例1で得られた泡盛蒸留粕液体部を重曹でpH5.4に調整した後、終濃度4%となるように脱脂粉乳を添加し溶解させた。本溶液を40Lの培養ポットに5L分注し、火にかけて65℃で30分処理した。処理後の溶液5Lに対して、Lactobacillus plantarum L3323株をMRS液体培地で30℃、12時間培養した溶液50mLを添加し、30℃で48時間発酵させた。
この発酵液と泡盛蒸留粕液体部について、フラッシュGCノーズ HERACLES II(アルファ・モス・ジャパン株式会社)を用いたにおい分析装置により、泡盛蒸留粕特有のもろみ臭を特定するとともに、そのピークを比較した。また。GCMS-QP2010Ultra(株式会社島津製作所)を用いて下記条件によるGC-MS分析を行った。結果を図1及び2に示す。
<前処理>
試料3mLを20mL容バイアルに封入し、40℃で10分加熱後、SPMEにて10分間ヘッドスペースガスを濃縮し、GC-MS分析に用いた。SPMEは(PDMS/DVB)を用いた。
<GC-MS分析条件>
カラム:InartCap PureWax(長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
キャリアガス:ヘリウム
カラム流量:1.23mL/分
線速度:40cm/秒
スプリット比:10.0
気化室温度:230℃
カラムオーブン温度:40℃で2分保持後、5℃/分で230℃まで昇温し5分保持。
イオン源温度:230℃
インターフェース温度:240℃
泡盛蒸留粕のにおい分析において、保持時間約8分に特有のにおいがあらわれることが確認され、クロマトグラフにもそのピークが検出された。一方、発酵液にはこのにおいが認められず、クロマトグラフにも対応するピークは検出されなかった。さらに、GC-MSの結果から、発酵液では、一般に泡盛のコゲ臭の原因とされるフルフラールの含量が泡盛蒸留粕と比較して著しく減少していることが確認された。
処 方 例 1
製造例1で得られた泡盛蒸留粕液体部を5M NaOHでpH6.4に調整した後、終濃度1%となるようにグルコースを添加し溶解させ、牛乳と泡盛蒸留粕液体部を1:4になるように溶解させた。本溶液を100mL三角フラスコに50 mLずつ調製した後、ウォーターバスで85℃で3時間処理した。処理後の溶液50 mLに対して、Lactobacillus plantarum L3323株をMRS液体培地で30℃、12時間培養した溶液1mLを添加し、30℃で48時間発酵させた。果糖ブドウ糖液糖20gにこの発酵溶液を入れ100mLにフィルアップして泡盛もろみ酢発酵飲料を調製した。この飲料はもろみ臭がマスキングされて飲みやすく、コクがあって風味が良好なものであった。
処 方 例 2
処方例1と同様にして調製した発酵溶液を0.5倍量で加水して泡盛もろみ酢発酵飲料を調製した。この飲料はもろみ臭がマスキングされて飲みやすく、コクがあって風味が良好なものであった。
処 方 例 3
果糖ブドウ糖液糖10gに処方例1と同様にして調製した発酵溶液を入れて70mLにフィルアップした後、水30mL及びヨーグルトフレーバー100mLを添加、混合して泡盛もろみ酢発酵飲料を調製した。この飲料はもろみ臭がマスキングされて飲みやすく、コクがあって風味が良好なものであった。
処 方 例 4
処方例1と同様にして調製した発酵溶液60mL及び水40mLを混合した溶液にスクラロース0.02gを溶解させて泡盛もろみ酢発酵飲料を調製した。この飲料はもろみ臭がマスキングされて飲みやすく、コクがあって風味が良好なものであった。
本発明の製造方法は、泡盛蒸留粕に特有のもろみ臭が低減され、風味豊かで、飲みやすい泡盛もろみ酢発酵飲料が得られる製造方法として有用なものである。

Claims (13)

  1. 泡盛蒸留粕から固液分離して得られる液体を、ラクトバチルス・プランタラムL3323株、L106716株、L1337株及びL1390株よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌により発酵させることを特徴とする泡盛もろみ酢発酵飲料の製造方法。
  2. ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌により発酵させるにあたって、予め泡盛蒸留粕から固液分離して得られる液体のpHを4〜7に調整するものである請求項1記載の泡盛もろみ酢発酵飲料の製造方法。
  3. ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌により発酵させるにあたって、予め泡盛蒸留粕から固液分離して得られる液体に乳成分を添加するものである請求項1または2に記載の泡盛もろみ酢発酵飲料の製造方法。
  4. 乳成分が脱脂粉乳及び/又は牛乳である請求項に記載の泡盛もろみ酢発酵飲料の製造方法。
  5. 乳成分が脱脂粉乳であって、泡盛もろみ酢発酵飲料中に脱脂粉乳を1〜6質量%添加するものである請求項記載の泡盛もろみ酢発酵飲料の製造方法。
  6. 乳成分が牛乳であって、泡盛蒸留粕から固液分離して得られる液体に対して牛乳を1:1〜1:4の質量比(牛乳:泡盛蒸留粕から固液分離して得られる液体)で添加するものである請求項記載の泡盛もろみ酢発酵飲料の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれかの項記載の製造方法によって得られる泡盛もろみ酢発酵飲料。
  8. 泡盛蒸留粕から固液分離して得られる液体を、ラクトバチルス・プランタラムL3323株、L106716株、L1337株及びL1390株よりなる群から選ばれる1種又は2種以上のラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌により発酵させることを特徴とする泡盛もろみ酢飲料の風味改善方法。
  9. ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌により発酵させるにあたって、予め泡盛蒸留粕から固液分離して得られる液体のpHを5〜7に調整するものである請求項に記載の泡盛もろみ酢飲料の風味改善方法。
  10. ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌により発酵させるにあたって、予め泡盛蒸留粕から固液分離して得られる液体に乳成分を添加するものである請求項8または9に記載の泡盛もろみ酢飲料の風味改善方法。
  11. 乳成分が脱脂粉乳及び/又は牛乳である請求項10に記載の泡盛もろみ酢飲料の風味改善方法。
  12. 乳成分が脱脂粉乳であって、泡盛もろみ酢発酵飲料中に脱脂粉乳を1〜6質量%添加するものである請求項11に記載の泡盛もろみ酢飲料の風味改善方法。
  13. 乳成分が牛乳であって、泡盛蒸留粕から固液分離して得られる液体に対して牛乳を1:1〜1:4の質量比(牛乳:泡盛蒸留粕から固液分離して得られる液体)で添加するものである請求項11に記載の泡盛もろみ酢飲料の風味改善方法。
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