JP6713339B2 - 水性エマルジョン組成物、それを用いた接着剤、水性エマルジョンの製造方法及び水性エマルジョン組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
[1]リン酸基、リン酸エステル基、ホスホン酸基およびホスホン酸エステル基の群より選ばれる少なくとも1つの基を有するエチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)との共重合体を含む水性エマルジョン(A)と、周期表2族元素、4族元素、6族元素、7族元素、8族元素、9族元素、11族元素、12族元素および13族元素から選択された少なくとも一種の元素を含む多価金属化合物(B)を含有する水性エマルジョン組成物
[2]さらにビニルアルコール系重合体(C)を含む[1]に記載の水性エマルジョン組成物
[3]前記多価金属化合物(B)が有機酸塩、無機酸塩、酸化物、水酸化物およびハロゲン化物から選択された少なくとも一種である[1]または[2]に記載の水性エマルジョン組成物
[4]前記多価金属化合物(B)が、Mg、Ca、Ti、Zr、Fe、Cu、ZnおよびAlから選択された少なくとも一種の元素を含む[1]〜[3]のいずれか一項に記載の水性エマルジョン組成物
[5]前記多価金属化合物(B)が水不溶性である[1]〜[4]のいずれか1項に記載の水性エマルジョン組成物
[6]前記エチレン性不飽和単量体(b)が、ビニルエステル系単量体及びジエン系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の水性エマルジョン組成物
[7]前記エチレン性不飽和単量体(a)の単量体単位の含有量が、エチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)の単量体単位の全量に対して0.01〜10質量%である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の水性エマルジョン組成物
[8]前記ビニルアルコール系重合体(C)がエチレン変性ポリビニルアルコールである、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の水性エマルジョン組成物
[9][1]〜[8]に記載の水性エマルジョン組成物を含有する接着剤
に関する。
<水性エマルジョン組成物>
本発明の水性エマルジョン組成物は、リン酸基、リン酸エステル基、ホスホン酸基およびホスホン酸エステル基の群より選ばれる少なくとも1つの基を有するエチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)との共重合体を含む水性エマルジョン(A)と、周期表2族元素、4族元素、6族元素、7族元素、8族元素、9族元素、11族元素、12族元素および13族元素から選択された少なくとも一種の元素を含む多価金属化合物(B)を含有する。なお、この明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリルとメタクリルの総称であり、これと類似の表現についても同様である。
本発明に用いる水性エマルジョン(A)は、リン酸基、リン酸エステル基、ホスホン酸基およびホスホン酸エステル基の群より選ばれる少なくとも1つの基を有するエチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)との共重合体を含む。
本発明に用いるエチレン性不飽和単量体(a)は、リン酸基、リン酸エステル基、ホスホン酸基およびホスホン酸エステル基を有する限り特に限定されないが、例えば、
アシッドホスホキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホキシプロピルメタクリレート、アシッドホスホキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、アシッドホスホキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリオキシエチレンモノアリルエーテルリン酸エステルなどのリン酸基含有モノマーまたはその塩;
前記リン酸基含有モノマーのリン酸基の一部、または全てが炭素数1から8のアルコールとエステル化しているジメチルビニルホスホナートなどのリン酸エステル基含有モノマー;
ビニルホスホン酸、アリルスルホン酸、1−ホスフィニル−1−メチルエテン、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸などのホスホン酸含有モノマーまたはその塩;
前記ホスホン酸基含有モノマーのホスホン酸基の一部、または全てが炭素数1から8のアルコールとエステル化しているホスホン酸エステル基含有モノマー;が挙げられる。
本発明において、前記不飽和単量体(a)との共重合に用いるエチレン性不飽和単量体(b)としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、ビニルエステル系単量体、ジエン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、α,β−不飽和モノ又はジカルボン酸系単量体、オレフィン系単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、ニトリル系単量体、芳香族ビニル系単量体、複素環式ビニル系単量体、ビニルエーテル系単量体、アリル系単量体、多官能性アクリレート系単量体等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を併用してもよい。これらのうち、ビニルエステル系単量体及びジエン系単量体からなる群から選ばれる不飽和単量体が好ましく、ビニルエステル系単量体がより好ましい。
ジエン系単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン類等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル等が挙げられる。
α,β−不飽和モノ又はジカルボン酸系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド系単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ニトリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリルニトリル等が挙げられる。
芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、α−ブトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、1−エチル−2−ビニルベンゼン等が挙げられる。
複素環式ビニル系単量体としては、例えば、ビニルピロリドン等が挙げられる。
ビニルエーテル系単量体としては、例えば、メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等が挙げられる。
アリル系単量体としては、例えば、酢酸アリル、塩化アリル、スルホン酸アリル、フタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル等が挙げられる。
多官能性アクリレート系単量体としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。さらに、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩等のビニル化合物等も使用できる。
本発明に用いる多価金属化合物(B)は、周期表2族元素、4族元素、6族元素、7族元素、8族元素、9族元素、11族元素、12族元素および13族元素から選択された少なくとも一種の元素を含む化合物である。例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属などの周期表2族元素;チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハルニウム(Hf)などの4族元素;クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)などの6族元素;マンガン(Mn)などの7族元素;鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)などの8族元素;コバルト(Co)などの9族元素;銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)などの11族元素;亜鉛(Zn)などの12族元素;アルミニウム(Al)などの13族元素から選択された少なくとも一種の元素(以下、「多価金属元素」と称する場合がある)を含む化合物が挙げられる。これらの多価金属化合物は単独で又は二種以上組合せて使用してもよい。
本発明に用いる水性エマルジョン(A)は、粘度安定性、耐水性の観点から、ビニルアルコール系重合体(PVA)(C)の存在下で、リン酸基、リン酸エステル基、ホスホン酸基、およびホスホン酸エステル基の群より選ばれる少なくとも1つの基を有するエチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)とを共重合して得らえることが好ましい。
P=([η]×104/8.29)(1/0.62)
本発明の水性エマルジョン組成物を含有する接着剤は本発明の実施形態の一つである。このような接着剤は、本発明の水性エマルジョン組成物からなる主剤に、可塑剤等の副剤を配合することによって得られる。副剤としては、架橋剤を含むものを用いても良い。
本発明の特定の要件を満たす水性エマルジョン(A)の製造方法としては、1)前記エチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)を含むエチレン性不飽和単量体に対し、前記PVA(C)を分散剤として存在させた下で重合開始剤を適宜選択して乳化重合する方法が一例として挙げられる。また、その他に乳化重合時の調整方法として、2)前記エチレン性不飽和単量体(a)に対するPVAの添加量を変更する方法、3)イオン交換水の量を変更する方法等が挙げられる。本発明の水性エマルジョンの製造方法としては、これらの方法を適宜組み合わせ使用してもよい。
実施例及び比較例で用いる水性エマルジョン500gを60メッシュの金網にてろ過し、ろ過残分を秤量し以下の通り評価した。
○:ろ過残分が1.0%以下である
△:ろ過残分が1.0%より大である
×:重合不安定となり粗粒化のためろ過できない
〔接着条件〕
被着材:ツガ/ツガ(マサ目)
塗布量:150g/m2(両面塗布)
圧締条件:20℃、24時間、圧力10kg/cm2
〔測定条件〕
JIS K 6852(1994年)による圧縮剪断接着強度を測定した。
常態:20℃、7日間養生後そのままの状態で測定した。
耐温水性:60℃の水に3時間浸漬した後、濡れたままの状態で測定した。
耐煮沸性:20℃で7日間養生後、試験片を煮沸水中に4時間浸漬した後、60℃の空気中で20時間乾燥し、更に煮沸水中に4時間浸漬してから、室温の水中に冷めるまで浸し、濡れたままの状態で測定した。
接着性評価と同様の試料を作製し、以下の条件で処理を行い圧縮剪断接着強度を測定した。
〔測定条件〕
耐熱性:20℃、7日間養生後、80℃で1hr恒温槽にて加熱後、熱いままで測定した。
実施例及び比較例で得られた接着剤を20℃65%RH下でPETフィルム上に流延し、7日間乾燥させてPETフィルムから剥離し、500μmの乾燥皮膜を得た。この皮膜をステンレス製の金属型枠(20cm×20cmで幅1cmの金属枠)にクリップで固定し、ギアオーブンにて120℃で3時間加熱処理した場合の、皮膜の着色性を目視で以下の通り評価した。
○:着色がない
△:やや着色
×:黄色に着色
(5)粘度安定性の評価
実施例及び比較例で得られた接着剤の粘度をB型粘度計(40℃、20rpm)で粘度(η0)を測定した。その後40℃で1ヶ月間水性エマルジョンを静置した。静置後、再度B型粘度計(40℃、20rpm)で粘度(η30)を測定した。増粘倍率をη30/η0として定義し、下記の通り評価した。
◎:増粘倍率が1.5よりも小さい
○:増粘倍率が1.5以上、2.0以下
△:増粘倍率が2.0よりも大きく、3.0よりも小さい
×:増粘倍率が3.0以上
(Em−1の合成)
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水275g、「PVA−117」(株式会社クラレ製、けん化度98.5モル%、平均重合度1700)20.9gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。さらに、酢酸ナトリウム(NaOAc)を0.3g添加し、混合溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の20%水溶液2.4g及び5%過酸化水素水3.2g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比でそれぞれ0.015)をショット添加後、酢酸ビニル26gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量が1%未満)を確認した。酒石酸の10%水溶液1g及び5%過酸化水素水3.2gをショット添加後、酢酸ビニル250g及びジメチルビニルホスホナート2.8gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度を80℃に維持して重合を完結させ、固形分濃度49.1%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニルの全量に対しジメチルビニルホスホナートを1質量%含有)が得られた。得られたエマルジョン(Em−1)の重合安定性を評価したところ、ろ過残分が1.0%以下であった。Em−1の組成及び重合安定性の評価結果を表1に示す。
前記水性エマルジョンEm−1の100質量部(固形分)に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部、乳酸チタン(TC−315、マツモトファインケミカル製)を1質量部添加して接着剤−1を作製した。得られた接着剤を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価、及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
(Em−2の合成)
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水275g、特許4772175号の実施例に記載の方法に準じて作製したエチレン変性PVA1(重合度1700、けん化度95モル%、エチレン変性量5モル%)21gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。さらに、酢酸ナトリウム(NaOAc)を0.3g添加し、混合溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の20%水溶液2.4g及び5%過酸化水素水3.2g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比でそれぞれ0.015)をショット添加後、酢酸ビニル28gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量が1%未満)を確認した。酒石酸の10%水溶液1g及び5%過酸化水素水3.2gをショット添加後、酢酸ビニル250g及びジメチルビニルホスホナート6.8gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度を80℃に維持して重合を完結させ、固形分濃度50.2%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニルの全量に対しジメチルビニルホスホナー3質量%含有)が得られた。得られたエマルジョン(Em−2)の重合安定性を評価したところ、ろ過残分が1.0%以下であった。Em−2の組成及び重合安定性の評価結果を表1に示す。
前記水性エマルジョンEm−2の100質量部(固形分)に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部、、乳酸チタン(TC−315、マツモトファインケミカル製)を1質量部添加して接着剤−2を作製した。得られた接着剤を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価、及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
多価金属化合物を乳酸チタンに変えて塩化コバルトを5質量部添加した以外は実施例2と同様に接着剤−3を作製した。得られた接着剤を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価、及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
多価金属化合物を乳酸チタンに変えて塩化マンガンを5質量部添加した以外は実施例2と同様に接着剤−4を作製した。得られた接着を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価、及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
(Em−3の合成)
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水310g、特許4772175号の実施例に記載の方法に準じて作製したエチレン変性PVA2(重合度1700、けん化度90モル%、エチレン変性量5モル%)19gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。さらに、酢酸ナトリウム(NaOAc)を0.3g添加し、混合溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の20%水溶液2.4g及び5%過酸化水素水3.2g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比でそれぞれ0.015)をショット添加後、酢酸ビニル25gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量が1%未満)を確認した。酒石酸の10%水溶液1g及び5%過酸化水素水3.2gをショット添加後、酢酸ビニル226g及びジメチルビニルホスホナート13gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度を80℃に維持して重合を完結させ、固形分濃度44.5%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニルの全量に対しジメチルビニルホスホナート8質量%含有)が得られた。得られたエマルジョン(Em−3)の重合安定性を評価したところ、ろ過残分が1.0%以下であった。Em−3の組成及び重合安定性の評価結果を表1に示す。
前記水性エマルジョンEm−3の100質量部(固形分)に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部、硫酸銅を0.5質量部添加して接着剤−5を作製した。得られた接着剤を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価、及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
多価金属化合物を硫酸銅に変えて硫酸クロムアンモニウムを0.5質量部添加した以外は実施例5と同様にして接着剤−6を作製した。得られた接着剤を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価、及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ジメチルビニルホスホナートに変えて、アシッドホスホキシエチルメタクリレート(PAM−4000、ソルベイ日華製)を8質量部使用したこと以外はEm−2と同様にして水性エマルジョン(Em−4)を得た。Em−4の組成及び重合安定性の評価結果を表1に示す。前記水性エマルジョンEm−4の100質量部に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部、硫酸第2鉄0.1質量部を添加して接着剤−7を作製した。得られた接着剤を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ジメチルビニルホスホナートに変えて、アシッドホスホキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート(PAM−200、ソルベイ日華製)を11質量部使用したこと以外はEm−2と同様にして水性エマルジョン(Em−5)を得た。Em−5の組成及び重合安定性の評価結果を表1に示す。前記水性エマルジョンEm−5の100質量部に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部、炭酸ジルコニアアンモニウム0.1質量部を添加して接着剤−8を作製した。得られた接着剤を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
多価金属化合物を塩化コバルトに変えて水酸化アルミニウム20質量部を添加した以外は実施例3と同様にして接着剤−9を作製した。得られた接着剤を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ジメチルビニルホスホナートに変えて、ポリオキシエチレンモンアリルエーテルリン酸エステル(PAM−5000、ソルベイ日華製)を0.05質量部使用したこと以外はEm−2と同様にして水性エマルジョン(Em−6)を得た。Em−6の組成及び重合安定性の評価結果を表1に示す。前記水性エマルジョンEm−6の100質量部に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部、酸化亜鉛20質量部を添加して接着剤−10を作製した。得られた接着剤を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ジメチルビニルホスホナートに変えて、ビニルホスホン酸を1質量部使用したこと以外はEm−2と同様にして水性エマルジョン(Em−7)を得た。Em−7の組成及び重合安定性の評価結果を表1に示す。前記水性エマルジョンEm−7の100質量部に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部、炭酸カルシウム20質量部を添加して接着剤−11を作製した。得られた接着剤を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ジメチルビニルホスホナートに変えて、アシッドホスホキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(PAM−100、ソルベイ日華製)を1質量部使用したこと以外はEm−2と同様にして水性エマルジョン(Em−8)を得た。Em−8の組成及び重合安定性の評価結果を表1に示す。前記水性エマルジョンEm−8の100質量部に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部、炭酸マグネシウム20質量部を添加して接着剤―12を作製した。得られた接着剤を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ジメチルビニルホスホナートに変えて、ジエチルビニルホスホナートを1質量部使用したこと以外はEm−3と同様にして水性エマルジョン(Em−9)を得た。Em−9の組成及び重合安定性の評価結果を表1に示す。前記水性エマルジョンEm−9の100質量部に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部、酸化アルミニウム20質量部を添加して接着剤−13を作製した。得られた接着剤を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ジメチルビニルホスホナートに変えて、1−(ジメトキシホスフィニル)−1−メチルエテンを0.5質量部使用したこと以外はEm−3と同様にして水性エマルジョン(Em−10)を得た。Em−10の組成及び重合安定性の評価結果を表1に示す。前記水性エマルジョンEm−10の100質量部に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部、酸化チタン10質量部を添加して接着剤−14を作製した。得られた接着剤を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
(Em−11の合成)
いかり型攪拌機を備えた内容量1.5リットルのステンレス型オートクレーブに、イオン交換水360g、ポリビニルアルコール「PVA−205」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度500)24.3g及び「PVA−217」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度1700)2.9gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。さらに、酢酸ナトリウム(NaOAc)を0.04g添加した。次に酢酸ビニル350g、1−(ジメトキシホスフィニル)−1−メチルエテン3.65gを仕込み、オートクレーブ内の空気をエチレンで充分に置換した。続いて10%アスコルビン酸水溶液19.5gを仕込み、攪拌下、重合温度を60℃に、エチレン圧を5.0MPaに昇圧した。1%過酸化水素水100gを8時間かけて均一に添加すると共に、酢酸ビニル117gと1−(ジメトキシホスフィニル)−1−メチルエテン1.22gを6時間かけて均一に添加した。エチレン圧は酢酸ビニル及び1−(ジメトキシホスフィニル)−1−メチルエテン添加終了まで5.0MPaを保った。触媒添加終了後に冷却して、消泡剤及びpH調整剤を添加し、水性エマルジョンを得た。得られたエマルジョン(Em−11)の重合安定性を評価したところ、ろ過残分が1.0%以下であった。Em−11の組成及び重合安定性の評価結果を表1に示す。
前記水性エマルジョンEm−11の100質量部(固形分)に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部、酸化ジルコニウム5質量部を添加し接着剤―15を作製した。得られた接着剤を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ジメチルビニルホスホナートを使用しないこと以外はEm−2と同様にして水性エマルジョン(Em−12)を得た。Em−12の100質量部(固形分)に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部を添加して接着剤−16を作製した。得られた接着剤を用いて上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、および皮膜の耐着色性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
前記水性エマルジョンEm−12の100質量部に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部、炭酸カルシウム20質量部を添加して接着剤−17を作製した。得られた接着剤を用いて上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、皮膜の耐着色性の評価及び粘度安定性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
ジメチルビニルホスホナートに変えてN−メチロールアクリルアミドを3質量%使用したこと以外はEm−1と同様にして水性エマルジョン(Em−13)を得た。Em−13の組成および重合安定性の評価結果を表1に示す。前記水性エマルジョンEm−13の100質量部(固形分)に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部、架橋剤としてAlCl31.5質量部を添加して接着剤−18を作製した。得られた接着剤を用いて、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、および皮膜の耐着色性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
特許文献1(特開平8−60116号公報)の実施例1に記載された内容に従いエマルジョンEm−14を作製した。Em−14の組成および重合安定性の評価結果を表1に示す。表1において、Mowiol(R) 18−88は、88モル%の加水分解度の部分的に加水分解されたポリビニルアルコールを表す。Em−14の100質量部(固形分)に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部を添加混合し、架橋剤としてAlCl33.4質量部、20%グルタル酸ジアルデヒド−ビスナトリウム亜硫酸水素塩水溶液2.5質量部を添加して接着剤―19を作製した。次いで、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、および皮膜の耐着色性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
特許文献4(特開2001−123138号公報)の実施例1に記載された内容に従いエマルジョンEm−15を作製した。Em−15の組成および重合安定性の評価結果を表1に示す。次いで、比較例−1と同様の方法で接着剤−20を作製し、上記方法に従って、各種条件下での接着性の評価、耐熱性評価、および皮膜の耐着色性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。
Claims (10)
- リン酸基、リン酸エステル基、ホスホン酸基およびホスホン酸エステル基の群より選ばれる少なくとも1つの基を有するエチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)との共重合体を含む水性エマルジョン(A)と、周期表2族元素、4族元素、6族元素、7族元素、8族元素、9族元素、11族元素、12族元素および13族元素から選択された少なくとも一種の元素を含む多価金属化合物(B)を含有する水性エマルジョン組成物であって、
該水性エマルジョン組成物がビニルアルコール系重合体(C)を含み、
該多価金属化合物(B)を該水性エマルジョン(A)の固形分100質量に対して0.001〜30質量部含有する、水性エマルジョン組成物。 - 前記多価金属化合物(B)が有機酸塩、無機酸塩、酸化物、水酸化物およびハロゲン化物から選択された少なくとも一種である請求項1に記載の水性エマルジョン組成物。
- 前記多価金属化合物(B)が、Mg、Ca、Ti、Zr、Fe、Cu、ZnおよびAlから選択された少なくとも一種の元素を含む請求項1又は2のいずれか一項に記載の水性エマルジョン組成物。
- 前記多価金属化合物(B)が水不溶性である請求項1〜3いずれか1項に記載の水性エマルジョン組成物。
- 前記エチレン性不飽和単量体(b)が、ビニルエステル系単量体及びジエン系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性エマルジョン組成物。
- 前記エチレン性不飽和単量体(a)の単量体単位の含有量が、エチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)の単量体単位の全量に対して0.01〜10質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性エマルジョン組成物。
- 前記ビニルアルコール系重合体(C)がエチレン変性ポリビニルアルコールである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性エマルジョン組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性エマルジョン組成物を含有する接着剤。
- リン酸基、リン酸エステル基、ホスホン酸基およびホスホン酸エステル基の群より選ばれる少なくとも1つの基を有するエチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)との共重合体及びビニルアルコール系重合体(C)を含む水性エマルジョンの製造方法であって、ビニルアルコール系重合体(C)の存在下で該エチレン性不飽和単量体(a)と該エチレン性不飽和単量体(b)とを共重合する工程を含む、水性エマルジョンの製造方法。
- リン酸基、リン酸エステル基、ホスホン酸基およびホスホン酸エステル基の群より選ばれる少なくとも1つの基を有するエチレン性不飽和単量体(a)とエチレン性不飽和単量体(b)との共重合体を含む水性エマルジョン(A)と、周期表2族元素、4族元素、6族元素、7族元素、8族元素、9族元素、11族元素、12族元素および13族元素から選択された少なくとも一種の元素を含む多価金属化合物(B)と、ビニルアルコール系重合体(C)とを含有する水性エマルジョン組成物の製造方法であって、
ビニルアルコール系重合体(C)の存在下で該エチレン性不飽和単量体(a)と該エチレン性不飽和単量体(b)とを共重合して水性エマルジョン(A)を得る工程、及び
該水性エマルジョン(A)に該多価金属化合物(B)を添加する工程、
を含む、水性エマルジョン組成物の製造方法。
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