JP6247394B2 - 水性エマルジョン - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性に優れ、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性にも優れる皮膜を与える水性エマルジョンに関するものである。
従来、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある)を保護コロイドとして用い、酢酸ビニルを重合して得られる酢酸ビニル系重合樹脂含有水性エマルジョンは、紙加工用、木工用及び繊維加工用の接着剤や塗料等に広く使用されている。中でも耐水性や接着性が要求される場合には、PVAを保護コロイドとして用い、カルボキシル基含有不飽和単量体を併用することが広く行われている。しかしながら、このようにして得られる水性エマルジョンから得られる皮膜は、接着性や耐水性は向上するものの耐熱性に劣り、耐温水性、耐煮沸水性等が未だ不十分であるという問題点があった。
そこで、これらの問題点を解決するためにいくつかの解決策が提案されてきた。例えば、特許文献1では、酸性媒体中でアルデヒド基を放出しうるポリアルデヒドを含有するエマルジョン接着剤が提案されている。しかしながら、この方法でも、耐水性において未だ不十分であった。特許文献2では、酢酸ビニルモノマーとN−メチロールアクリルアミドを共重合したエマルジョンが提案されている。しかしながら、この方法では低温での耐水性が不十分であり、接着剤として使用した際、ホルムアルデヒドが発生するという環境上の問題点もある。特許文献3には、エチレンを含有させた変性PVA(以下、単に「エチレン変性PVA」という。)を保護コロイドとして、酢酸ビニル、又は酢酸ビニルと(メタ)アクリル酸エステル類を乳化(共)重合することが提案されている。しかしながら、これらの技術は確かにある程度は耐熱性、耐温水性を改善するものの未だ不十分であり、また最終接着強度や耐煮沸水性に至っては全く満足すべき結果は得られていない。特許文献4では、保護コロイドとしてエチレン変性PVAを用い、酢酸ビニルを重合する際にカルボキシル基含有不飽和単量体の(共)重合物又はアマイド変性PVAを併用することが提案されている。しかしながら、この方法でも、耐熱性において未だ不十分であった。特許文献5では、アセタール又はアルデヒド官能基を有するポリマー粒子からなる水性分散液が提案されている。しかしながら、この方法では、得られる塗膜の強度が低く、耐熱性において未だ不十分であった。
特開平8−60116号公報 特開平10−121017号公報 特開平11−106727号公報 特開2001−123138号公報 特表2003−517499号公報
従って、本発明の目的は、耐熱性に優れ、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性にも優れる皮膜を与える水性エマルジョンを提供することにある。また、本発明の他の目的は、皮膜の耐着色性(特に皮膜を加熱した際の耐着色性)に優れる水性エマルジョンを提供することにある。
そこで、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ポリビニルアルコール系樹脂(A)の存在下、エチレン性不飽和単量体(B)と、下記式(I)又は(II)で表される単量体(C)とを共重合して得られる水性エマルジョンが上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
Figure 0006247394
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基又は−CH2−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、R2及びR3は同一又は異なって、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜8のアルキルカルボニル基であり、R4は水素原子又は−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、Xは−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−、−NH−CO−(CH2n−、−CO−(CH2n−、−CO−O−(CH2n−、−O−CO−(CH2n−、−NR5−CO−(CH2n−、又は−CO−NR5−(CH2n−であり、ここでR5は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を意味し、nは0〜8の整数である。)
Figure 0006247394
(式中、R1、R4及びXは、上記と同一意味を有し、R6は−(CH2−CH2m−であり、mは1〜3の整数である。)
本発明によれば、耐熱性に優れ、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性にも優れる水性エマルジョンを提供することができる。また、本発明によれば、皮膜の耐着色性(特に皮膜を加熱した際の耐着色性)に優れる水性エマルジョンを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の水性エマルジョンは、ポリビニルアルコール系樹脂(A)を保護コロイドとして用い、エチレン性不飽和単量体(B)と、下記式(I)又は(II)で表される単量体(C)とを共重合して得られる共重合樹脂を含有する。なお、この明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリルとメタクリルの総称であり、これと類似の表現についても同様である。
Figure 0006247394
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基又は−CH2−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、R2及びR3は同一又は異なって、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜8のアルキルカルボニル基であり、R4は水素原子又は−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、Xは−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−、−NH−CO−(CH2n−、−CO−(CH2n−、−CO−O−(CH2n−、−O−CO−(CH2n−、−NR5−CO−(CH2n−、又は−CO−NR5−(CH2n−であり、ここでR5は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0、1、2、3、4、5、6、7又は8である。)
Figure 0006247394
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基又は−CH2−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、R4は水素原子又は−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、Xは−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−、−NH−CO−(CH2n−、−CO−(CH2n−、−CO−O−(CH2n−、−O−CO−(CH2n−、−NR5−CO−(CH2n−、又は−CO−NR5−(CH2n−であり、ここでR5は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0、1、2、3、4、5、6、7又は8であり、R6は−(CH2−CH2m−であり、mは1、2又は3である。)
ポリビニルアルコール系樹脂(A)を保護コロイドとして用い、エチレン性不飽和単量体(B)と上記式(I)又は(II)で表される単量体(C)とを共重合することで、本発明の水性エマルジョンが得られる。
上記式(I)において、R1における炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基が挙げられ、メチル基が好ましい。R2及びR3における炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、これらのうち、炭素数1〜6の基が好ましく、炭素数1〜3の基がより好ましく、メチル基、エチル基又はn−プロピル基がさらに好ましい。R1及びR4におけるMで表されるアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられ、リチウム、ナトリウム又はカリウムが好ましく、ナトリウム又はカリウムがより好ましい。R2及びR3におけるアルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基等が挙げられ、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基又はヘキサノイル基が好ましい。上記式(I)におけるXは−(CH2n−が好ましい。上記式(I)におけるnは0、1、2、3、4、5又は6が好ましい。R5における炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
上記式(II)において、R1とR5のアルキル基、M及びアルカリ金属は上記式(I)と同様である。上記式(II)において、R6のmは1、2が好ましく、1がより好ましい。上記式(II)におけるXは−(CH2n−が好ましい。上記式(II)におけるnは0、1、2、3、4、5又は6が好ましい。
前記式(I)又は(II)で表される単量体(C)としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる;
(メタ)アクロレインジメチルアセタール、(メタ)アクロレインジエチルアセタール、2−ビニル−1,3−ジオキソラン、2−イソプロペニル−1,3−ジオキソラン等の(メタ)アクロレインのアセタール化物、3−メチル−3−ブテナールジメチルアセタール、3−メチル−3−ブテナールジエチルアセタール、2−(2−メチル−2−プロペニル)−1,3−ジオキソラン等の3−メチル−3−ブテナールのアセタール化物、3−ブテナールジメチルアセタール、3−ブテナールジエチルアセタール、2−(2−プロペニル)−1,3−ジオキソラン等の3−ブテナールのアセタール化物、4−ペンテナールジメチルアセタール、4−ペンテナールジエチルアセタール、2−(3−ブテニル)−1,3−ジオキソラン等の4−ペンテナールのアセタール化物、5−ヘキセナールジメチルアセタール、5−ヘキセナールジエチルアセタール、2−(5−ペンテニル)−1,3−ジオキソラン等の5−ヘキセナールのアセタール化物、6−ヘプテナールジメチルアセタール、6−ヘプテナールジエチルアセタール、2−(6−ヘキセニル)−1,3−ジオキソラン等の6−ヘプテナールのアセタール化物、7−オクテナールジメチルアセタール、7−オクテナールジエチルアセタール、2−(1−ヘプテニル)−1,3−ジオキソラン、2−(6−ヘプテニル)−1,3−ジオキソラン等の7−オクテナールのアセタール化物等のエチレン性不飽和二重結合を有する脂肪族アルデヒドのアセタール化物;
N−(2,2−ジメトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジエトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジイソプロポキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジ−t−ブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3,3−ジメトキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3,3−ジエトキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3,3−ジイソプロポキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3,3−ジブトキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3,3−ジ−t−ブトキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(4,4−ジメトキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4,4−ジエトキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4,4−ジイソプロポキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4,4−ジブトキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4,4−ジ−t−ブトキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2,2−ジメトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2,2−ジエトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2,2−ジイソプロポキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2,2−ジブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−(2,2−ジ−t−ブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド等のジアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド系化合物;4−{(2,2−ジメトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、4−{(2,2−ジエトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、4−{(2,2−ジイソプロポキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸、4−{(2、2−ジブトキシエチル)アミノ}−4−オキソ−2−ブテン酸等のジアルコキシ基を有するブテン酸類;5,5−ジメトキシ−3−オキソ−1−ペンテン、5,5−ジエトキシ−3−オキソ−1−ペンテン、5,5−ジイソプロポキシ−3−オキソ−1−ペンテン、5,5−ジブトキシ−3−オキソ−1−ペンテン等のジアルコキシ基を有するペンテン類;3−[N−(2,2−ジメトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸、3−[N−(2,2−ジエトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸、3−[N−(2,2−ジイソプロポキシエチル)カルバモイル]プロペン酸、3−[(N−2,2−ジブトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸、3−[N−(2,2−ジ−t−ブトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸等の1分子中に2個のアルコキシ基を有するプロペン酸系化合物;3−[N−(2,2−ジメトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸メチル、3−[N−(2,2−ジエトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸メチル、3−[N−(2,2−ジイソプロポキシエチル)カルバモイル]プロペン酸メチル、3−[N−(2,2−ジブトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸メチル、3−[N−(2,2−ジ−t−ブトキシエチル)カルバモイル]プロペン酸メチル等の1分子中に2個のアルコキシ基を有するプロペン酸エステル系化合物;2,2−ジメトキシエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジエトキシエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジイソプロポキシエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジブトキシエチル(メタ)アクリレート等のジアルコキシアルキル(メタ)アクリレートのアセタール化物等;又はアルキル(メタ)アクリルアミド系化合物、ブテン酸類のアセタール化物、マレイン酸類のアセタール化物、イタコン酸類のアセタール化物、ペンテン類のアセタール化物等の不飽和二重結合を有する脂肪族アルデヒドのアセタール化物。前記アルコキシ基の炭素数としては、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましい。前記アルキル(メタ)アクリルアミド系化合物又はジアルコキシアルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数としては、1〜6が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜2がさらに好ましい。
本発明の水性エマルジョンでは、前記した不飽和単量体(C)の1種又は2種以上を使用することができる。
上記式(I)又は(II)で表される単量体単位は、エチレン性不飽和単量体単位の全量に対して0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることが更に好ましい。前記式(I)又は(II)で表される単量体単位が0.01質量%以下の場合、耐熱性、耐水性、耐温水性及び耐煮沸水性が不十分となり、10質量%以上の場合、重合が困難となる。
本発明において、上記した式(I)又は(II)で表される単量体(C)との共重合に用いるエチレン性不飽和単量体(B)としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、ビニルエステル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、α,β−不飽和モノ又はジカルボン酸系単量体、ジエン系単量体、オレフィン系単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、ニトリル系単量体、芳香族ビニル系単量体、複素環式ビニル系単量体、ビニルエーテル系単量体、アリル系単量体、多官能性アクリレート系単量体等が挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を併用してもよい。これらのうち、ビニルエステル系単量体及びジエン系単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種の不飽和単量体が好ましく、ビニルエステル系単量体がより好ましい。
ビニルエステル系単量体としては、特に限定されないが、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、桂皮酸ビニル、クロトン酸ビニル、デカン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、イソノナン酸ビニル、トリメチル酢酸ビニル、4−tert−ブチルベンゼン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられ、工業的観点から、酢酸ビニルが特に好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル等が挙げられる。α,β−不飽和モノ又はジカルボン酸系単量体としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。ジエン系単量体としては、特に限定されないが、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン類等が挙げられる。
オレフィン系単量体としては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のモノオレフィン化合物;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン化合物等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド系単量体としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。ニトリル系単量体としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリルニトリル等が挙げられる。芳香族ビニル系単量体としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、クロロスチレン、α−ブトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、1−エチル−2−ビニルベンゼン等が挙げられる。複素環式ビニル系単量体としては、特に限定されないが、例えば、ビニルピロリドン等が挙げられる。ビニルエーテル系単量体としては、特に限定されないが、例えば、メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等が挙げられる。アリル系単量体としては、特に限定されないが、例えば、酢酸アリル、塩化アリル、スルホン酸アリル、フタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル等が挙げられる。多官能性アクリレート系単量体としては、特に限定されないが、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。さらに、エチレン性不飽和単量体としては、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩等のビニル化合物等も使用できる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で保護コロイドとして使用するPVA(A)のけん化度は、通常70〜99.9モル%であり、好ましくは75〜99.5モル%である。けん化度が70モル%未満では、保護コロイドとしての効果が乏しく安定な水性エマルジョンが得られない。一方、けん化度が99.9モル%を超えると、得られる水性エマルジョンの粘度の温度依存性が大きくなり、本発明の目的を達成できない。また、けん化度が上記範囲にあるPVAであれば、けん化度の異なるものを組み合わせて使用してもよい。前記けん化度は、JIS K 6726(1994年)に記載の方法により求めた値である。けん化度が上記範囲にあるPVAであれば、無変性PVAであってもよく、変性PVAであってもよい。変性PVAとしては、特に限定されないが、例えば、スルホン酸基変性PVA、カルボン酸基変性PVA等のアニオン変性PVA;第4級アミン基変性PVA等のカチオン変性PVA;アミド変性PVA(好適には、ダイアセトンアクリルアミド変性PVA);アセトアセチル基変性PVA;エチレン変性PVA;側鎖にアルデヒド基を有する変性PVA;下記式(III)又は(IV)で表される構成単位を主鎖中に含有する変性PVA等が挙げられる。
Figure 0006247394
(式中、記号は、上記と同一意味を有する。)
Figure 0006247394
(式中、記号は、上記と同一意味を有する。)
これらの保護コロイドとして使用するPVA(A)は1種単独又は2種以上を併用してもよい。これらのうち、無変性PVA、エチレン変性PVA及びカルボン酸基変性PVA等のアニオン変性PVAからなる群から選ばれる少なくとも1種のPVAが好ましい。変性基の含有量は特に限定されないが、0.5〜10モル%であってもよい。また、特に限定されないが、保護コロイドとして使用する変性PVAとしては、側鎖にアルデヒド基を有する変性PVAは除いていてもよい。
前記PVA(A)の粘度平均重合度(以下単に重合度と言うことがある)は、一般的に乳化重合に使用される範囲であればよく、300〜4000が好ましい。重合度が300以上であることにより、乳化重合時の安定性が十分得られ、重合度が4000以下であることにより、乳化重合時の溶液粘度が高くなりすぎず、攪拌や除熱が容易に行えるため好ましい。前記重合度は、JIS K 6726(1994年)に記載の方法により求めた値である。具体的には、PVAのけん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化したPVAについて、水中、30℃で測定した極限粘度[η](リットル/g)を用いて次式により粘度平均重合度(P)を求めることができる。
P=([η]×104/8.29)(1/0.62)
ポリビニルアルコールの使用量は、通常、エチレン性不飽和単量体(例えば、酢酸ビニル)の全量に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜10質量%である。2質量%未満では、乳化重合時の安定性が十分に得られないことがあり、20質量%を超えると得られる水性エマルジョンを用いる皮膜の耐水性、耐温水性及び耐煮沸水性が低下したり、粘度の温度依存性が大きくなることがある。
本発明の水性エマルジョンは、ポリビニルアルコール系樹脂(A)の存在下、上記エチレン性不飽和単量体(B)と、上記式(I)又は(II)で表される単量体(C)とを共重合する工程を有する製造方法によって製造することができる。本発明の水性エマルジョンは、例えば、一般的に行われている乳化重合により製造することができる。重合時の温度は、使用する重合触媒によって変わるが、通常20〜100℃であり、好ましくは40〜90℃であり、さらに好ましくは50〜90℃である。反応時間は、特に制限されることはなく、各成分の配合量及び反応温度等に応じて適宜調整すればよい。
本発明の水性エマルジョンは、アルカリ金属化合物を含んでいてもよい。アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム)を含む限り特に限定されず、アルカリ金属イオンそのものであってもよく、アルカリ金属を含む化合物であってもよい。
アルカリ金属化合物の含有量(アルカリ金属換算)は、用いられるアルカリ金属化合物の種類に応じて適宜選択することができるが、アルカリ金属化合物の含有量(アルカリ金属換算)は、エマルジョン(固形換算)の全重量に対して、通常100〜15000ppmであり、120〜12000ppmがより好ましく、150〜8000ppmが最も好ましい。アルカリ金属化合物の含有量が100ppmより低い場合、水性エマルジョンの乳化重合の安定性が低下することがあり、15000ppmを超えると、水性エマルジョンからなる皮膜が着色するおそれがあるため好ましくない。なお、アルカリ金属化合物の含有量は、ICP発光分析装置により測定した値であってもよい。
アルカリ金属を含む化合物としては、具体的には、弱塩基性アルカリ金属塩(例えば、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属ハロゲン化物塩、アルカリ金属硝酸塩)、強塩基性アルカリ金属化合物(例えば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキシド)等が挙げられる。これらのアルカリ金属化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
弱塩基性アルカリ金属塩としては、例えば、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム)、アルカリ金属重炭酸塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ金属リン酸塩(リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等)、アルカリ金属カルボン酸塩(酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム等)、アルカリ金属硫酸塩(硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸セシウム等)、アルカリ金属ハロゲン化物塩(塩化セシウム、ヨウ化セシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム等)、アルカリ金属硝酸塩(硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸セシウム等)が挙げられる。これらのうち、エマルジョン内が塩基性を帯びる観点から、解離時に弱酸強塩基の塩として振舞えるアルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩が好ましく用いられ、アルカリ金属のカルボン酸塩がより好ましい。
これらの弱塩基性アルカリ金属化合物を用いて、本発明の水性エマルジョンの重合系のpH緩衝作用をすることで、エマルジョン重合を安定に進めることができる。
また、乳化重合に際しては、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤、重合開始剤、還元剤、緩衝剤、重合度調節剤等を適宜使用してもよい。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤のいずれを使用してもよい。非イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルスルフォネート、ヒドロキシアルカノールのサルフェート、スルフォコハク酸エステル、アルキル又はアルキルアリールポリエトキシアルカノールのサルフェート及びホスフェート等が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。界面活性剤の使用量は、エチレン性不飽和単量体(例えば、酢酸ビニル)の全量に対して2質量%以下であることが好ましい。界面活性剤の使用量が2質量%を超えると、耐水性、耐温水性及び耐煮沸水性が低下することがあるため好ましくない。
重合開始剤としては、乳化重合で通常用いられるラジカルを形成する触媒を用いることができる。具体例としては、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ターシャリ・ブチルヒドロパーオキシド、アゾビス−(2−アミジノプロパン)ハイドクロライド、ラウロイルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ケトンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独又は還元剤との適当な組合せによるレドックス触媒としても用いることができる。
還元剤としては、アミン、第一鉄塩(例えば硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、ピロリン酸第一鉄等)、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、酒石酸及びその塩類、アスコルビン酸及びその塩類、エリソルビン酸及びその塩類等が挙げられる。触媒及び必要に応じて添加する還元剤の使用量は、通常、エチレン性不飽和単量体(例えば、酢酸ビニル)の全量に対して0.001〜10質量%である。触媒及び還元剤の添加方法は重合の初めに全量添加してもよいし、一部を添加し残りを重合の進行に伴って適宜添加してもよい。
緩衝剤としては、酢酸、塩酸、硫酸等の酸;アンモニア、アミン荷性ソーダ、荷性カリ、水酸化カルシウム等の塩基;又はアルカリ炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩等が挙げられる。重合度調節剤としては、メルカプタン類、アルコール類等が挙げられる。
水性エマルジョン中に含まれる共重合樹脂の濃度は、用途に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは固形分として30〜60質量%である。
本発明の水性エマルジョンは、木工用、紙加工用等の接着用途をはじめ、塗料、繊維加工等に使用でき、中でも接着用途が好適である。上記方法で得られる水性エマルジョンをそのまま用いてもよいし、必要に応じて消泡剤、pH調整剤、溶剤、顔料、染料、防腐剤、増粘剤、架橋剤、可塑剤等を添加して使用してもよい。また、共存するPVAとの間でアセタール結合の交換反応による架橋を生じさせ、耐水性を向上させるために、酸触媒を添加することができる。酸触媒としては原則的には特に制限はなく、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等の鉱酸;リンタングステン酸等のヘテロポリ酸;パラトルエンスルホン酸、尿酸、バルビツール酸、マレイン酸、シトラコン酸等の有機酸;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート(乳酸チタン)、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等の有機チタン化合物;オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロオキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウム、臭化ジルコニウム等のハロゲン化ジルコニウム;硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等の鉱酸のジルコニウム塩;酢酸ジルコニル、ギ酸ジルコニル等の有機酸のジルコニウム塩;炭酸ジルコニウムアンモニウム、硫酸ジルコニウムナトリウム、酢酸ジルコニウムアンモニウム、シュウ酸ジルコニウムナトリウム、クエン酸ジルコニウムアンモニウム等のジルコニウム錯塩等のジルコニウム化合物;塩化アルミニウム及びその水和物、硝酸アルミニウム及びその水和物、硫酸アルミニウム等のアルミニウム化合物;アンバーリスト(登録商標)、アンバーライト(登録商標)、ダウエックス(登録商標)等のスルホン酸型強酸性イオン交換樹脂;スルホン化テトラフルオロエチレン樹脂等のスルホン酸型フッ素化アルキレン樹脂;モルデナイト、ゼオライト、活性白土、酸性白土等の無機固体酸等、従来知られている各種のものを用いることができ、これらの酸は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらの中でも、特に、硫酸、乳酸チタン化合物、アルミニウム化合物、固体酸が好ましい。
また、耐水性を向上させるために、本発明の水性エマルジョンにヒドラジン化合物を添加してもよい。ヒドラジン化合物としては、特に制限はなく、ヒドラジン、ヒドラジンヒドラード、ヒドラジン、ヒドラジンヒドラード、ヒドラジンの塩酸、硫酸、硝酸、亜硫酸、リン酸、チオシアン酸、炭酸等の無機塩類及びギ酸、シュウ酸等の有機塩類、ヒドラジンのメチル、エチル、プロピル、ブチル、アリル等の一置換体、1,1−ジメチル,1,1−ジエチル、4−n−ブチル−メタル等の対称二置換体等を挙げることができ、さらに、ジヒドラジンとして、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、ダイマー酸ジヒドラジド等、従来知られている各種のものを用いることができ、これらの化合物は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらの中でも、特に、アジピン酸ジヒドラジドが好ましい。また、本発明の水性エマルジョンには、多価イソシアネート化合物、アミン化合物を含めてもよい。
本発明の効果を奏する限り、本発明の技術的範囲内において、上記の構成を種々組み合わせた態様は本発明に含まれる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」及び「部」は特に断りのない限り、それぞれ「質量%」及び「質量部」を表す。
水性エマルジョン中に含まれるアルカリ金属の含有量、水性エマルジョンの乳化重合安定性、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)、耐熱性、熱処理時の着色性を以下に示す方法で評価した。
(1)水性エマルジョン中に含まれるアルカリ金属の含有量の測定
ICP発光分析装置(日本ジャーレルアッシュ製、型番:IRIS−AP)にてナトリウム含有量を測定した。
(2)乳化重合安定性の評価
実施例及び比較例で得られた水性エマルジョン500gを60メッシュの金網にてろ過し、ろ過残分を秤量し以下の通り評価した。
○:ろ過残分が1.0%以下である
△:ろ過残分が1.0%より大である
×:重合不安定となり粗粒化のためろ過できない
(3)接着性評価(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性の評価)
〔接着条件〕
被着材:ツガ/ツガ(マサ目)
塗布量:150g/m2(両面塗布)
圧締条件:20℃、24時間、圧力10kg/cm2
〔測定条件〕
JIS K 6852(1994年)による圧縮剪断接着強度を測定した。
常態:20℃、7日間養生後そのままの状態で測定した。
耐水性:30℃の水中に3時間浸漬した後、濡れたままの状態で測定した。
耐温水性:60℃の水中に3時間浸漬した後、濡れたままの状態で測定した。
耐煮沸水性:20℃で7日間養生後、試験片を煮沸水中に4時間浸漬した後、60℃の空気中で20時間乾燥し、更に煮沸水中に4時間浸漬してから、室温の水中に冷めるまで浸し、濡れたままの状態で測定した。
(4)耐熱性評価
接着性評価と同様の試料を作製し、以下の条件で処理を行い圧縮剪断接着強度を測定した。
〔測定条件〕
耐熱性:20℃、7日間養生後、105℃で5hr恒温槽にて加熱後、熱いままで測定した。
(5)皮膜の耐着色性の評価
実施例及び比較例で得られた水性エマルジョンを20℃、65%RHの条件下でPETフィルム上に流延した。その後、7日間静置することで乾燥させてPETフィルムから剥離し、500μmの乾燥皮膜を得た。この皮膜をステンレス製の金属型枠(20cm×20cmで幅1cmの金属枠)にクリップで固定し、ギアオーブンにて120℃で3時間加熱処理した後の、皮膜の着色性を目視で以下の通り評価した。
○:着色がない
△:やや着色
×:黄色に着色
(実施例1)
(Em−1の合成)
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水300g、「PVA−117」(株式会社クラレ製、けん化度98.5モル%、平均重合度1700)19.5gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。さらに、酢酸ナトリウム(NaOAc)を0.2g添加し、混合溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の10%水溶液4.4g及び5%過酸化水素水3g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比でそれぞれ0.015)をショット添加後、酢酸ビニル26g及びアクロレインジメチルアセタール0.26gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量が1%未満)を確認した。酒石酸の10%水溶液0.9g及び5%過酸化水素水3gをショット添加後、酢酸ビニル234g及びアクロレインジメチルアセタール2.34gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度を80℃に維持して重合を完結させ、固形分濃度47.2%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニルの全量に対しアクロレインジメチルアセタール1質量%)が得られた。このエマルジョンの100質量部(固形分)に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部を添加混合した。得られたエマルジョン(Em−1)の重合安定性を評価したところ、ろ過残分が1.0%以下であった。このとき、Em−1に含まれるナトリウム原子の含有量は、エマルジョンの全量に対して300ppmであった。
(Em−1の評価)
100質量部の前記水性エマルジョンEm−1に、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例2)
(Em−2の合成)
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水330g、「PVA−217」(株式会社クラレ製、けん化度88.0モル%、平均重合度1700)17.4gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。さらに、酢酸ナトリウム(NaOAc)を0.2g添加し、混合溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の10%水溶液3.6g及び5%過酸化水素水2.5g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比でそれぞれ0.015)をショット添加後、酢酸ビニル23g及びアクロレインジメチルアセタール0.23gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量が1%未満)を確認した。酒石酸の10%水溶液0.74g及び5%過酸化水素水2.47gをショット添加後、酢酸ビニル207g及びアクロレインジメチルアセタール2.07gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度を80℃に維持して重合を完結させ、固形分濃度42.0%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニルの全量に対しアクロレインジメチルアセタール1質量%)が得られた。このエマルジョンの100質量部(固形分)に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部を添加混合した。得られたエマルジョン(Em−2)の重合安定性を評価したところ、ろ過残分が1.0%以下であった。このとき、Em−2に含まれるナトリウム原子の含有量は、エマルジョンの全量に対して300ppmであった。
(Em−2の評価)
100質量部の前記水性エマルジョンEm−2に、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例3)
(Em−3の合成)
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水300g、エチレン変性PVA(重合度1700、けん化度95モル%、エチレン変性量5モル%)19.5gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。さらに、酢酸ナトリウム(NaOAc)を0.2g添加し、混合溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の10%水溶液4.4g及び5%過酸化水素水3g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比でそれぞれ0.015)をショット添加後、酢酸ビニル26g及びアクロレインジメチルアセタール0.26gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量が1%未満)を確認した。酒石酸の10%水溶液0.9g及び5%過酸化水素水3gをショット添加後、酢酸ビニル234g及びアクロレインジメチルアセタール2.34gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度を80℃に維持して重合を完結させ、固形分濃度47.2%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニルの全量に対しアクロレインジメチルアセタール1質量%)が得られた。このエマルジョンの100質量部(固形分)に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部を添加混合した。得られたエマルジョン(Em−3)の重合安定性を評価したところ、ろ過残分が1.0%以下であった。このとき、Em−3に含まれるナトリウム原子の含有量は、エマルジョンの全量に対して300ppmであった。
(Em−3の評価)
100質量部の前記水性エマルジョンEm−3に、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例4)
アクロレインジメチルアセタールの仕込み量を2質量%に変え、さらに添加する酢酸ナトリウムの添加量を調整し、ナトリウム原子の含有量を表2に示す量以外は実施例1と同様にして水性エマルジョン(Em−4)を得た。Em−4に含まれるナトリウム原子の含有量、及び重合安定性の評価結果を表1に示す。100質量部の前記水性エマルジョンEm−4に、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例5)
アクロレインジメチルアセタールに代えてアクロレインジエチルアセタールを5質量%使用した以外は実施例1と同様にして水性エマルジョン(Em−5)を得た。Em−5に含まれるナトリウム原子の含有量、及び重合安定性の評価結果を表1に示す。100質量部の前記水性エマルジョンEm−5に、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例6)
アクロレインジメチルアセタールに代えてN−2,2−ジメトキシエチルメタクリルアミドを8質量%使用した以外は実施例1と同様にして水性エマルジョン(Em−6)を得た。Em−6に含まれるナトリウム原子の含有量、及び重合安定性の評価結果を表1に示す。100質量部の前記水性エマルジョンEm−6に、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例7)
アクロレインジメチルアセタールに代えて2−(6−ヘプテニル)−1,3−ジオキソランを1質量%使用した以外は実施例3と同様にして水性エマルジョン(Em−7)を得た。Em−7に含まれるナトリウム原子の含有量、及び重合安定性の評価結果を表1に示す。100質量部の前記水性エマルジョンEm−7に、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例8)
アクロレインジメチルアセタールに代えて2−(2−メチル−2−プロペニル)−1,3−ジオキソランを1質量%使用した以外は実施例3と同様にして水性エマルジョン(Em−8)を得た。Em−8に含まれるナトリウム原子の含有量、及び重合安定性の評価結果を表1に示す。100質量部の前記水性エマルジョンEm−8に、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例9)
アクロレインジメチルアセタールに変えてアリリデンジアセテートを11質量%使用した以外は実施例1と同様にして水性エマルジョン(Em−9)を得た。Em−9に含まれるナトリウム原子の含有量、及び重合安定性の評価結果を表1に示す。100質量部の前記水性エマルジョンEm−9に、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例10)
(Em−10の合成)
いかり型攪拌機を備えた内容量1.5リットルのステンレス型オートクレーブに、イオン交換水360g、ポリビニルアルコール「PVA−205」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度500)24.3g及び「PVA−217」(株式会社クラレ製、けん化度88モル%、平均重合度1700)2.9gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。さらに、酢酸ナトリウム(NaOAc)を0.04g添加した。次に酢酸ビニル350g、アクロレインジメチルアセタール7.29gを仕込み、オートクレーブ内の空気をエチレンで十分に置換した。続いて10%アスコルビン酸水溶液19.5gを仕込み、攪拌下、重合温度を60℃に、エチレン圧を5.0MPaに昇圧した。1%過酸化水素水100gを8時間かけて均一に添加すると共に、酢酸ビニル117gとアクロレインジメチルアセタール2.44gを6時間かけて均一に添加した。エチレン圧は酢酸ビニル及びアクロレインジメチルアセタール添加終了まで5.0MPaを保った。触媒添加終了後に冷却して、消泡剤及びpH調整剤を添加し、水性エマルジョンを得た。得られたエマルジョン(Em−10)の重合安定性を評価したところ、ろ過残分が1.0%以下であった。このとき、Em−10に含まれるナトリウム原子の含有量は、エマルジョンの全量に対して300ppmであった。
(Em−10の評価)
100質量部の前記水性エマルジョンEm−10に、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例11〜14)
添加する酢酸ナトリウムの添加量を調整し、ナトリウム原子の含有量を表2に示す内容に変えたこと以外は実施例1と同様にして水性エマルジョン(Em−11〜Em−14)を得た。Em−11〜Em−14に含まれるナトリウム原子の含有量、及び重合安定性の評価結果を表1に示す。100質量部の前記各水性エマルジョンに、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例1)
(Em−15の合成)
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水300g、「PVA−117」(株式会社クラレ製、けん化度98.5モル%、平均重合度1700)19.5gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。さらに、酢酸ナトリウム(NaOAc)を0.2g添加し、混合溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却、窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の10%水溶液4.4g及び5%過酸化水素水3g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比でそれぞれ0.015)をショット添加後、酢酸ビニル26gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量が1%未満)を確認した。酒石酸の10%水溶液0.9g及び5%過酸化水素水3gをショット添加後、酢酸ビニル234g及びN−メチロールアクリルアミド2.6gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度を80℃に維持して重合を完結させ、固形分濃度47.2%のポリ酢酸ビニル系エマルジョン(酢酸ビニル100の全量に対しN−メチロールアクリルアミド1質量%含有)が得られた。このエマルジョンの100質量部(固形分)に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部を添加混合した。得られたエマルジョン(Em−15)の重合安定性を評価したところ、ろ過残分が1.0%以下であった。このとき、Em−15に含まれるナトリウム原子の含有量は、エマルジョンの全量に対して300ppmであった。
(Em−15の評価)
100質量部の前記水性エマルジョンEm−15に、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
アクロレインジメチルアセタールを使用しないこと以外は実施例1と同様にして水性エマルジョン(Em−16)を得た。Em−16に含まれるナトリウム原子の含有量、及び重合安定性の評価結果を表1に示す。100質量部の前記水性エマルジョンEm−16に、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
アクロレインジメチルアセタールを使用しないこと以外は実施例2と同様にして水性エマルジョン(Em−17)を得た。Em−17に含まれるナトリウム原子の含有量、及び重合安定性の評価結果を表1に示す。100質量部の前記水性エマルジョンEm−17に、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
アクロレインジメチルアセタールを使用しないこと以外は実施例3と同様にして水性エマルジョン(Em−18)を得た。Em−18に含まれるナトリウム原子の含有量、及び重合安定性の評価結果を表1に示す。100質量部の前記水性エマルジョンEm−18に、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例5)
(Em−19の合成)
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口を備えた1リットルガラス製重合容器に、イオン交換水300g、エチレン変性PVA(重合度1700、けん化度95モル%、エチレン変性量5モル%)15.2gを仕込み95℃で2時間攪拌し、完全に溶解した。次に、このPVA水溶液を冷却し、ポリアクリル酸の20%水溶液(商品名ジュリマーAC20H(日本純薬(株)製))21.7gを加えた。さらに、酢酸ナトリウム(NaOAc)を0.2g添加した。この水溶液を窒素置換後、200rpmで撹拌しながら、60℃に昇温した後、酒石酸の10%水溶液4.4g及び5%過酸化水素水3g(初期仕込みの全単量体に対し、モル比でそれぞれ0.015)をショット添加後、酢酸ビニル26gを仕込み重合を開始した。重合開始30分後に初期重合終了(酢酸ビニルの残存量が1%未満)を確認した。酒石酸の10%水溶液0.9g及び5%過酸化水素水3gをショット添加後、酢酸ビニル234gを2時間にわたって連続的に添加し、重合温度を80℃に維持して重合を完結させ、固形分濃度47.2%のポリ酢酸ビニル系エマルジョンが得られた。このエマルジョンの100質量部(固形分)に対して可塑剤としてフェノキシエタノール5質量部を添加混合した。得られたエマルジョン(Em−19)の重合安定性を評価したところ、ろ過残分が1.0%以下であった。このとき、Em−19に含まれるナトリウム原子の含有量は、エマルジョンの全量に対して300ppmであった。
(Em−19の評価)
100質量部の前記水性エマルジョンEm−19に、pH調整剤として10%硫酸1質量部を添加したものを用いて、上記方法に従って、接着性(常態、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性)の評価、耐熱性評価、及び皮膜の耐着色性の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例6)
特表2003−517499号の実施例5の参照番号5.2に従いエマルジョンを作製した。得られたエマルジョンは、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタクリルアミドアセトアルデヒドジメチル=33/61.3/5.7共重合体粒子が45%であった。得られたエマルジョンを10%塩酸にてpHを2に調整し、耐熱性評価を実施した。結果、接着強度は7kg/cm2であり、耐熱性は不十分であった。
Figure 0006247394
Figure 0006247394
本発明の水性エマルジョンは、耐熱性に優れ、耐水性、耐温水性、耐煮沸水性にも優れ、木工用、紙加工用等の接着用途をはじめ、塗料、繊維加工等に使用できる。

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂(A)の存在下、エチレン性不飽和単量体(B)と、下記式(I)又は(II)で表される単量体(C)とを共重合して得られ、エチレン性不飽和単量体(B)が、ビニルエステル系単量体であることを特徴とする水性エマルジョン。
    Figure 0006247394
    (式中、R1は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基又は−CH2−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、R2及びR3は同一又は異なって、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜8のアルキルカルボニル基であり、R4は水素原子又は−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、Xは−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−、−NH−CO−(CH2n−、−CO−(CH2n−、−CO−O−(CH2n−、−O−CO−(CH2n−、−NR5−CO−(CH2n−、又は−CO−NR5−(CH2n−であり、ここでR5は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜8の整数である。)
    Figure 0006247394
    (式中、R1 4及びXは、上記と同一意味を有し、R6は−(CH2−CH2m−であり、mは1〜3の整数である。)
  2. 式(I)又は(II)において、Xが−(CH2n−である請求項1に記載の水性エマルジョン。
  3. 前記ビニルエステル系単量体が、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、桂皮酸ビニル、クロトン酸ビニル、デカン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、イソノナン酸ビニル、トリメチル酢酸ビニル、4−tert−ブチルベンゼン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、及び安息香酸ビニルからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水性エマルジョン。
  4. 前記式(I)又は(II)で表される単量体(C)の使用量が、エチレン性不飽和単量体(B)に対して0.01〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性エマルジョン。
  5. アルカリ金属化合物(アルカリ金属換算)をエマルジョン(固形換算)の全重量に対して、100〜15000ppm含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性エマルジョン。
  6. ポリビニルアルコール系樹脂(A)の存在下、エチレン性不飽和単量体(B)と、下記式(I)又は(II)で表される単量体(C)とを共重合する工程を有し、エチレン性不飽和単量体(B)が、ビニルエステル系単量体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性エマルジョンの製造方法。
    Figure 0006247394
    (式中、R1は水素原子、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基又は−CH2−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、R2及びR3は同一又は異なって、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜8のアルキルカルボニル基であり、R4は水素原子又は−COOMであり、ここでMは水素原子、メチル基、アルカリ金属又はアンモニウム基であり、Xは−(CH2n−、−CO−NH−(CH2n−、−NH−CO−(CH2n−、−CO−(CH2n−、−CO−O−(CH2n−、−O−CO−(CH2n−、−NR5−CO−(CH2n−、又は−CO−NR5−(CH2n−であり、ここでR5は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、nは0〜8の整数である。)
    Figure 0006247394
    (式中、R1 4及びXは、上記と同一意味を有し、R6は−(CH2−CH2m−であり、mは1〜3の整数である。)
  7. 前記式(I)又は(II)で表される単量体(C)の使用量が、エチレン性不飽和単量体(B)に対して0.01〜10質量%であることを特徴とする請求項6に記載の水性エマルジョンの製造方法。
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