JP6706917B2 - アニリンブラック粒子、該アニリンブラック粒子を用いた樹脂組成物、水系分散体、および、溶剤系分散体 - Google Patents

アニリンブラック粒子、該アニリンブラック粒子を用いた樹脂組成物、水系分散体、および、溶剤系分散体 Download PDF

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Description

本発明は、自在な色相の黒を表現でき、黒色度に優れ、従来では表現しづらかった青味の黒、紫味の黒、漆黒の黒でも表現することが可能であり、しかも、体積固有抵抗値が高く、耐熱性が高く、分散性に優れたアニリンブラックを提供するものである。
また、本発明は、樹脂や有機溶剤などの疎水性媒体への分散性に優れ、黒色度に優れたアニリンブラックを提供するものである。
また、本発明は、前記アニリンブラックによって着色された、分散性に優れ、黒色度に優れ、耐熱性が高く、自在な色相の黒を表現でき、従来では表現しづらかった青味の黒、紫味の黒、漆黒の黒でも表現することが可能であり、黒色度に優れた樹脂組成物、水系分散体、および、溶剤系分散体を提供するものである。なお、本発明において、アニリンブラック粒子を単にアニリンブラックと省略することもある。
アニリンブラックは、アニリンなどの芳香族アミンの酸化重合によって得られる黒色顔料であり、化1で示されるN−フェニルジベンゾパラアジン重合体によるアニリンブラック基本骨格を持っている。
Figure 0006706917
(化1中:n=1〜3といわれている。Xは水酸基、塩素などの酸基を示す。)
上記の酸基とは、各種有機酸、無機酸、あるいは、その塩の分子から水素原子、あるいは塩、を1個またはそれ以上除いた部分を指し、Nのカウンターイオンとして作用するものをいう。有機酸とは、蟻酸、酢酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、シュウ酸、アジピン酸などであり、無機酸とは、塩酸、硝酸、燐酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、過塩素酸などである。
アニリンブラックは、カーボンブラックでは表現できない緑味の黒をはじめ、黒味の黒、赤味の黒、青みの黒色など様々な黒表現を呈し、その特長を生かして、塗料、印刷インキ、絵の具、ポスターカラー、プラスチック、熱転写インキなど、各種用途に使用されている。また、構造中にアミノ基やジアジン構造などの極性基が多く含まれているため、極めて親水的な特質を持っており、主に水系媒体で用いられてきた。従来、アニリンブラックの製造に用いられる酸化剤としては、重クロム酸塩を用いる方法が最適とされている。重クロム酸塩は極めて強い酸化剤であるため、十分な酸化縮合を発生させる。さらには、クロムイオンや触媒として用いた銅イオンの一部が芳香族アミン縮合体と配位するため、分子内、分子間で強いネットワークを形成し、様々な波長の光を一様に吸収するため、これを用いて調製されたアニリンブラックは極めて高い黒色度を発揮する。
しかしながら、重クロム酸塩に含まれる、クロムイオンは人体に極めて有害な公害物質であり(現在、重クロム酸で合成されたアニリンブラックに含まれるクロムは色素に配位結合し、有害な六価クロムは含まれず安全性が認められてはいるが、)、触媒として用いられる銅塩に由来する銅イオンもまた有害物質である。従って、これら有害物質を製造時に使用せず、これら有害物質が混入する恐れの全くないものが求められている。これらが達成されることによって、現在まで敬遠されていたアイブロウペンシル、アイブロウパウダー、アイブロウマスカラ、アイシャドー、コンパクトパウダー、ファンデーション、リップスティック、ネイルエナメルなどの化粧料といった直接肌に触れる用途にも展開の可能性がでてくる。
従来、クロムや銅などの有害物質を含まないものとして、アニリンを酸の水溶液とし、過硫酸塩で酸化することを特徴とする製造方法(特許文献1)、過酸化水素と、それの分解触媒となりうる金属または金属塩を用い、発生するOHラジカルを酸化剤としてアニリンを酸化させてなる製造方法(特許文献2、特許文献3)が知られている。
また、黒色度が高く粒子径を高度に制御したπ共役系重合体として、水溶性高分子化合物、遷移金属化合物およびプロトン酸の存在下に、酸化剤により酸化重合することにより得られる黒色顔料(特許文献4)が知られている。
さらには、酸化重合過程で触媒と酸化剤を同時に滴下することで、酸化剤の分解速度を任意に制御して、一次粒子の軸比が小さいアニリンブラック(特許文献5)、酸化重合過程でアニリンとスルホニル化合物が共重合反応することによりスルホン基を含有するアニリンブラック(特許文献6)が知られている。
一方で、電子写真用非磁性現像剤や液晶用ブラックマトリクスなどの黒色の着色剤は、ほとんどが安価で着色力に優れ、黒色度に優れ、耐熱性に優れるカーボンブラックが使用されている。近年、電子写真画像の高画質化や、ブラックマトリクスの高遮光率化が求められており、着色剤の添加量を増やすなどの高濃度化が検討されている。しかしながら、カーボンブラックはバインダー樹脂中での分散が難しく、体積固有抵抗値も低いために前者の場合は現像剤の帯電性能が阻害(帯電保持能力低下)されるという課題が残る。また、後者の場合は有機溶剤などの分散液中でカーボンブラックの分散安定性を付与することが難しいため流動性が悪くなり、レジスト薄膜としての体積固有抵抗値も低くなるという課題が残る。
一般に、アニリンブラックはカーボンブラックなどの無機の黒色顔料に比べて体積固有抵抗値が高いことが知られており、前述の課題を克服するためにアニリンブラックの適用検討が行われている。電子写真用非磁性現像剤の黒色の着色剤としては高温・高湿時においても電荷のリークが少ない、帯電保持性能に優れる現像剤としての適用が検討されている。(特許文献7、特許文献8、特許文献9)
特開2001−261989号公報 特開平10−245497号公報 特開2000−72974号公報 特開平9−31353号公報 特開2012−153744号公報 特開2012−153745号公報 特開2010−19970号公報 特開2005−195693号公報 特開2001−106938号公報
これまで述べてきたように、クロムや銅などの有害物質を含有せず、黒色度に優れ、体積固有抵抗値が高いアニリンブラックは、従来からの塗料、印刷インキなどの用途に加え、電子写真用非磁性現像剤や、液晶用ブラックマトリクスといった用途に展開されるようになってきている。また、このようなニーズに拡大に伴って、黒の範疇において目的に応じて絶妙な色の調整が必要となってきた。例えば、漆黒の黒、黒味の黒、青味の黒、緑味の黒、紫味の黒、赤味の黒など、メーカーの要望は様々である。特に、従来のカーボンブラック、アニリンブラックなどの黒色顔料では表現しづらかった青味の黒、紫味の黒は、その高級感のため、要望が強い。また、厳密な色の調整が必要となる漆黒の黒についても要望がなされている。
様々な色の調整のため、一般的に染料、顔料を単純に添加混合することによる補色が行われている。しかしながら、染料添加では、多量に添加しても効果が薄い。また、顔料添加では、色相に対しては効果絶大ではあるが、黒色度の低下、体積固有抵抗値の変動、異種粒子が混在することによる分散性の低下が発生してしまう。
そこで、前述のノンクロム、高黒色度、高体積固有抵抗値といった特徴を持ちながら、用途、目的に応じた自在な色相の黒表現が可能で、従来では表現しづらかった青味の黒、紫味の黒、漆黒の黒でも表現でき、分散性に優れるアニリンブラックが望まれるところであるが、このようなアニリンブラックはいまだ得られていない。
また、青味の黒表現や高体積固有抵抗といったアニリンブラックの長所に併せて、更に高い黒色度や耐熱性などの点の改善が期待されているが、このようなアニリンブラックはいまだ得られていない。
また、青味の黒表現や高体積固有抵抗といったアニリンブラックの長所に併せて、カーボンブラックでの課題でもあった樹脂や有機溶剤などの疎水性媒体への分散性に優れ、黒色度の高いアニリンブラックが期待されているが、このようなアニリンブラックはいまだ得られていない。
即ち、前出特許文献1のものは後出比較例1−3に示す通り、青味の黒であるが、黒色度が十分とは言い難く、色相の微調整は不可能である。さらには、体積固有抵抗値は2×10Ω・cmと比較的低抵抗である。さらに、耐熱性が十分とは言い難い。さらに、分散性が劣る。
前出特許文献2および3記載のものは、後出比較例1−4に示す通り、赤味の黒であり、黒色度が十分とは言い難く、色相の微調整は不可能である。さらに、耐熱性が十分とは言い難い。さらに、分散性が劣る。
前出特許文献4記載のものは、後出比較例1−5に示す通り、緑味の黒であり、黒色度が十分とは言い難く、色相の微調整は不可能である。さらに、体積固有抵抗値は4×10Ω・cmと比較的低抵抗である。さらに耐熱性が十分とは言い難い。さらに分散性に劣る。
前出特許文献5および6記載のものは、それぞれ、後出比較例1−1、1−2に示す通り、十分な黒色度を有している。しかしながら、特許文献5のものは黒味の黒を表現し、特許文献6は赤味の黒を表現するものであり、色相のさらなる調整は不可能である。疎水性が高い媒体での分散性に劣る。
そこで、本発明は、自在な色相の黒を表現でき、従来では表現しづらかった青味の黒、紫味の黒、漆黒の黒でも可能な、黒色度に優れ、耐熱性が高く、体積固有抵抗値の高く、分散性に優れたアニリンブラック粒子を提供することを技術課題とする。並びに該アニリンブラックによって着色した、自在な色相の黒を表現でき、従来では表現しづらかった青味の黒、紫味の黒、漆黒の黒でも可能な、分散性に優れ、黒色度に優れ、耐熱性の高い樹脂組成物、水系分散体、および、溶剤系分散体を提供することを技術的課題とする。
また、本発明は、疎水化度が高く、黒色度に優れたアニリンブラックを提供し、ならびに該アニリンブラックによって着色した、樹脂や有機溶剤などの疎水性媒体への分散性に優れ、黒色度に優れた樹脂組成物、および、溶剤系分散体を提供することを技術的課題とする。
前記技術的課題は、次の通りの第1の発明1−1〜1−10、第2の発明2−1〜2−8、第3の発明3−1〜3−9、第4の発明4−1〜4−8によって達成できる。
第1の発明は、少なくとも、1種類以上の酸性染料を含むアニリンブラック粒子である。(本発明1−1)
また、第1の発明は、含まれる酸性染料が、少なくとも、芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸、フェノール、芳香族リン酸、芳香族ホウ酸、チオフェノールから選ばれる官能基の1種以上、または、それらの塩の官能基を有する本発明1−1記載のアニリンブラック粒子である。(本発明1−2)
また、第1の発明は、含まれる酸性染料が、トリフェニルメタン、キサンテン、インジゴ、ナフトールアゾ、アントラキノン、フタロシアニンのいずれかの骨格を持つ本発明1−1または1−2に記載のアニリンブラック粒子である。(本発明1−3)
また、第1の発明は、アニリンブラック基本骨格100重量部に対して、酸性染料を1〜30重量部含む本発明1−1〜1−3のいずれかに記載のアニリンブラック粒子である。(本発明1−4)
また、第1の発明は、体積固有抵抗が、1.0×10〜1.0×1010Ω・cmである本発明1−1〜1−4のいずれかに記載のアニリンブラック粒子である。(本発明1−5)
また、第1の発明は、一次粒子の平均粒径が、0.05〜1.0μmの範囲である本発明1−1〜1−5のいずれかに記載のアニリンブラック粒子である。(本発明1−6)
また、第1の発明は、粉体pHが、4.0〜9.0である本発明1−1〜1−6のいずれかに記載のアニリンブラック粒子である。(本発明1−7)
また、第1の発明は、本発明1−1〜1−7のいずれかに記載のアニリンブラック粒子を含んでなる樹脂組成物である。(本発明1−8)
また、第1の発明は、本発明1−1〜1−7のいずれかに記載のアニリンブラック粒子を含んでなる水系分散体である。(本発明1−9)
また、第1の発明は、本発明1−1〜1−7のいずれかに記載のアニリンブラック粒子を含んでなる溶剤系分散体である。(本発明1−10)
第2の発明は、カーボンブラックをアニリンブラック基本骨格100重量部に対して1〜60重量部含むアニリンブラックであって、該アニリンブラックの体積固有抵抗が10〜1010Ω・cmであることを特徴とするアニリンブラック粒子である。(本発明2−1)
また、第2の発明は、含まれるカーボンブラックの一次粒子の平均粒径が0.01〜0.1μmである本発明2−1記載のアニリンブラック粒子である。(本発明2−2)
また、第2の発明は、硫黄含有量が0.2重量%〜10.0重量%である本発明2−1または2−2に記載のアニリンブラック粒子である。(本発明2−3)
また、第2の発明は、一次粒子の平均粒径が0.05〜1.0μmである本発明2−1〜2−3のいずれかに記載のアニリンブラック粒子である。(本発明2−4)
また、第2の発明は、粉体pHが4.0〜9.0である本発明2−1〜2−4のいずれかに記載のアニリンブラック粒子である。(本発明2−5)
また、第2の発明は、本発明2−1〜2−5のいずれかに記載のアニリンブラック粒子を含んでなる樹脂組成物である。(本発明2−6)
また、第2の発明は、本発明2−1〜2−5のいずれかに記載のアニリンブラック粒子を含んでなる水系分散体である。(本発明2−7)
また、第2の発明は、本発明2−1〜2−5のいずれかに記載のアニリンブラック粒子を含んでなる溶剤系分散体である。(本発明2−8)
第3の発明は、有彩色顔料をアニリンブラック基本骨格100重量部に対して1〜60重量部含むアニリンブラックであって、該アニリンブラックの体積固有抵抗が10〜1010Ω・cmであることを特徴とするアニリンブラック粒子である。(本発明3−1)
また、第3の発明は、含まれる有彩色顔料の一次粒子の平均粒径が0.01〜0.2μmである本発明3−1記載のアニリンブラック粒子である。(本発明3−2)
また、第3の発明は、一次粒子の平均粒径が0.05〜1.0μmである本発明3−1または3−2のいずれかに記載のアニリンブラック粒子である。(本発明3−3)
また、第3の発明は、体積平均粒度分布がシングルピークである本発明3−1〜3−3のいずれかに記載のアニリンブラック粒子である。(本発明3−4)
また、第3の発明は、硫黄含有量が0.2重量%〜10.0重量%である本発明3−1〜3−4に記載のアニリンブラック粒子である。(本発明3−5)
また、第3の発明は、粉体pHが4.0〜9.0である本発明3−1〜3−5のいずれかに記載のアニリンブラック粒子である。(本発明3−6)
また、第3の発明は、本発明3−1〜3−6のいずれかに記載のアニリンブラック粒子を含んでなる樹脂組成物である。(本発明3−7)
また、第3の発明は、本発明3−1〜3−6のいずれかに記載のアニリンブラック粒子を含んでなる水系分散体である。(本発明3−8)
また、第3の発明は、本発明3−1〜3−6のいずれかに記載のアニリンブラック粒子を含んでなる溶剤系分散体である。(本発明3−9)
第4の発明は、粉体濡れ性試験による疎水化度が5〜80体積%であるアニリンブラック粒子である。(本発明4−1)
また、第4の発明は、アルキルアミン、ビニルアルキルケトン、脂肪酸、シランから選ばれた1つ以上の処理剤が0.1〜60.0重量%存在する本発明4−1記載のアニリンブラック粒子である。(本発明4−2)
また、第4の発明は、硫黄含有量が0.2重量%〜10.0重量%である本発明4−1または4−2に記載のアニリンブラック粒子である。(本発明4−3)
また、第4の発明は、一次粒子の平均粒径が0.05〜1.0μmである本発明4−1〜4−3のいずれかに記載のアニリンブラック粒子である。(本発明4−4)
また、第4の発明は、粉体pHが4.0〜9.0である本発明4−1〜4−4のいずれかに記載のアニリンブラック粒子である。(本発明4−5)
また、第4の発明は、体積固有抵抗値が1.0×10〜1.0×1010Ω・cmである本発明4−1〜4−5のいずれかに記載のアニリンブラック粒子である。(本発明4−6)
また、第4の発明は、本発明4−1〜4−6のいずれかに記載のアニリンブラック粒子を含んでなる樹脂組成物である。(本発明4−7)
また、第4の発明は、本発明4−1〜4−6のいずれかに記載のアニリンブラック粒子を含んでなる溶剤系分散体である。(本発明4−8)
第1の発明に係るアニリンブラック粒子は、自在な色相の黒を表現でき、従来では表現しづらかった青味の黒、紫味の黒、漆黒の黒でも表現することが可能で、黒色度に優れ、体積固有抵抗値の高いアニリンブラック粒子として好適である。
第1の発明に係るアニリンブラック粒子によって着色した樹脂組成物は、分散状態に優れ、黒色度に優れるので樹脂組成物として好適である。また、本発明に係るアニリンブラック粒子によって着色した水系分散体、および、溶剤系分散体は、分散性に優れ、自在な色相の黒を表現でき、従来では表現しづらかった青味の黒、紫味の黒、漆黒の黒でも表現することが可能で、黒色度に優れるので、各種分散体として好適である。
第2の発明に係るアニリンブラック粒子は、青味の黒表現や高体積固有抵抗といったアニリンブラック粒子の長所に併せて、高黒色度や耐熱性といったカーボンブラックの長所を併せ持ったアニリンブラック粒子として好適である。
第2の発明に係るアニリンブラック粒子によって着色した樹脂組成物は、分散性に優れ、黒色度に優れるので樹脂組成物として好適である。また、本発明に係るアニリンブラックに粒子よって着色した水系分散体、および、溶剤系分散体は、分散性に優れ、黒色度に優れるので、各種分散体として好適である。
第3の発明に係るアニリンブラック粒子は、自在な色相の黒を表現でき、黒色度に優れ、体積固有抵抗値が高く、分散性に優れたアニリンブラック粒子として好適である。
第3の発明に係るアニリンブラック粒子によって着色した樹脂組成物は、自在な色相の黒を表現でき、黒色度に優れ、分散性に優れた樹脂組成物として好適である。また、本発明に係るアニリンブラック粒子によって着色した水系分散体、および、溶剤系分散体は、自在な色相の黒を表現でき、黒色度に優れ、分散性に優れた各種分散体として好適である。
第4の発明に係るアニリンブラック粒子は、疎水化度が高いため、樹脂や有機溶剤などの疎水性媒体への分散性に優れ、黒色度に優れたアニリンブラック粒子として好適である。
第4の発明に係るアニリンブラック粒子によって着色した樹脂組成物は、分散性に優れ、黒色度に優れるので樹脂組成物として好適である。また、本発明に係るアニリンブラック粒子によって着色した溶剤系分散体は、分散性に優れ、黒色度に優れるので溶剤系分散体として好適である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。なお、本発明において、第1〜4の発明におけるアニリンブラック粒子を単にアニリンブラックと省略することもある。
先ず、第1の発明に係るアニリンブラック粒子について述べる。
第1の発明に係るアニリンブラック粒子には、少なくとも、1種類以上の酸性染料が含まれる。この酸性染料はアニリンブラックの酸基の一部として含まれることで不溶化し、さらに、アニリンブラックとのπ−πスタッキングなどの相互作用により、アニリンブラックの高分子の絡み合いの中に層状に含まれるため、水や溶剤に溶け出しにくくなると推測される。
第1の発明に係るアニリンブラック粒子に含まれる酸性染料は、芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸、フェノールから選ばれる官能基の1種以上、あるいは、それらの塩の官能基を有することが好ましい。あるいは、芳香族リン酸、芳香族ホウ酸、チオフェノール、あるいは、それらの塩の官能基を有してもよい。これらの酸性染料の官能基が直接の酸基となることが推定される。
第1の発明に係るアニリンブラック粒子に含まれる酸性染料は、トリフェニルメタン、キサンテン、フタロシアニン、インジゴ、アントラキノン、ナフトールアゾのいずれかの骨格を持つものが好ましい。これらの骨格は平面構造をしており、アニリンブラックのN−フェニルジベンゾパラアジン骨格とサイズ的にも似通っているため、π−πスタッキングなどの相互作用が発生しやすく、アニリンブラックの高分子の絡み合いの中に層状に含まれ易くなると推定される。例えば、(トリフェニルメタンの例)C.I.Acid Blue1,9,90,93,119、C.I.Acid Violet17、C.I.Food Blue5、C.I.Food Green3、フェノールフタレインなど(キサンテンの例)C.I.Acid Red51,52,92,93,94、ローダミンB、ローダミン123、フルオレセインなど、(フタロシアニンの例)C.I.Direct Blue86,199、C.I.Reactive Blue15など、(アントラキノンの例)C.I.Acid Blue25,40,43,62,129、C.I.Acid Green25,41、C.I.Acid Violet42,43、C.I.Acid Black48、C.I.Reactive Blue19など、(ナフトールアゾの例)C.I.Acid Red1,13,14,18,27,32,42,88,138、C.I.Acid Orange7,19、C.I.Acid Violet14、C.I.Acid Blue92,113、C.I.Acid Black1,26、C.I.Acid Yellow 65、C.I.Mordant Black9,11、C.I.Mordant Blue13、C.I.Food Yellow3、C.I.Food Red3,7,9,40、C.I.Food Black1などが挙げられる。
第1の発明に係るアニリンブラック粒子に含まれる酸性染料の中には、機能を持つもの、例えば、蛍光を発するもの(ローダミンB、ローダミン123、フルオレセインなど)、pHや熱などで色が変化するもの(フェノールフタレインなど)などもあり、それらを含ませて機能をもたせてもよい。
第1の発明に係るアニリンブラック粒子に含まれる酸性染料の量は、アニリンブラック基本骨格100重量部に対して、酸性染料を1〜30重量部含むことが好ましい。1重量部未満の場合は、酸性染料の効果が希薄である。30重量部を超える場合には酸性染料がアニリンブラックの酸基として含まれる量を超えており、遊離した酸性染料が樹脂、水、溶剤などの媒体に溶け出す恐れがある。より好ましい量は1〜25重量部である。さらに好ましい量は3〜20重量部である。
第1の発明に係るアニリンブラック粒子に含まれる酸性染料は、目的の色相、黒色度、機能を表現するため、種類、量を調整して、アニリンブラックに含まれる。また、複数の酸性染料を混合して含ませてもよい。また、異なる酸性染料を含んだアニリンブラックを混合して用いることもできる。さらには、本発明に係るアニリンブラックをカーボンブラックなどの既存の色素に混合して用いることもできる。
第1の発明に係るアニリンブラック粒子は、さらに、後述する第2の発明に係るアニリンブラック粒子で使用される含硫黄化合物を含有してもよい。第1の発明に係るアニリンブラック粒子は、さらに、後述する第2の発明に係るアニリンブラック粒子で使用されるカーボンブラックを含有してもよい。第1の発明に係るアニリンブラック粒子は、さらに、後述する第3の発明に係るアニリンブラック粒子で使用される有彩色顔料、すなわち例示される無機顔料および有機顔料を含有してもよい。第1の発明に係るアニリンブラック粒子は、さらに、後述する第4の発明に係るアニリンブラック粒子で施される疎水化処理を行い、規定される疎水化度を有していてもよい。
次に、第2の発明に係るアニリンブラック粒子について述べる。
第2の発明に係るアニリンブラック粒子には、カーボンブラックを、アニリンブラック基本骨格100重量部に対して、1〜60重量部含む。カーボンブラックが1重量部未満ではカーボンブラックを含む効果が希薄である。カーボンブラックが60重量部を超える場合では、体積固有抵抗値が低くなってしまう。より好ましいカーボンブラックの含有量は、5〜50重量部である。
第2の発明に係るアニリンブラック粒子は、分散状態のカーボンブラックを高分子のアニリンブラックで被覆した状態であることが好ましい。分散状態のカーボンブラックを内包することによって、青味の黒表現や高い体積固有抵抗を有し、高い黒色度や耐熱性を有することができる。
第2の発明に係るアニリンブラック粒子に含まれるカーボンブラックの一次粒子の平均粒径は0.01〜0.1μmが好ましい。カーボンブラックの一次粒子の平均粒径が0.01μmよりも小さい場合はアニリンブラック粒子中で分散されにくく、0.1μmよりも大きい場合はアニリンブラック粒子の表面にはみ出して体積固有抵抗値が著しく低下する。
第2の発明に係るアニリンブラック粒子に含まれるカーボンブラックは、特に限定されるものではないが、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックのいずれでも用いることができる。また、目的に応じて、複数の種類のカーボンブラックを混合してアニリンブラックに含ませてもよい。また、異なるカーボンブラックを含んだアニリンブラックを混合して用いることができる。さらには、第2の発明に係るアニリンブラック粒子をカーボンブラックなどの既存の色素に混合して用いることもできる。
第2の発明に係るアニリンブラック粒子には、カーボンブラック以外の無機顔料、有機顔料、樹脂などを分散状態、溶解状態で含むこと、あるいは、単純に添加することができる。例えば、チタン酸鉄、コバルトブラック、マンガンブラック、鉄銅クロマイトブラック、マンガンフェライトブラック、鉄コバルトブラック、銅クロマイトブラック、硫化モリブデン、酸化鉄などの無機顔料、ペリレンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、モノアゾイエローなどの有機顔料、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステルなどの樹脂などが挙げられる。無機顔料および有機顔料としては、後述する第3の発明に係るアニリンブラック粒子で使用される有彩色顔料として例示されている無機顔料および有機顔料も使用できる。
また、第1の発明に係るアニリンブラック粒子をカーボンブラックと共に使用して第2の発明に係るアニリンブラック粒子としてもよい。さらに、後述する第4の発明に係るアニリンブラック粒子で施される疎水化処理を行い、規定される疎水化度を有していてもよい。
次に、第3の発明に係るアニリンブラック粒子について述べる。
第3の発明に係るアニリンブラック粒子は、有彩色顔料を、アニリンブラック基本骨格100重量部に対して、1〜60重量部含む。有彩色顔料が1重量部未満では有彩色顔料を含む効果が希薄である。有彩色顔料が60重量部を超える場合では、体積固有抵抗値が低くなってしまう。より好ましい有彩色顔料の含有量は、5〜50重量部である。
第3の発明に係るアニリンブラック粒子に含まれる顔料は、特に限定されるものではないが、黒、白以外の有彩色顔料が好ましく、無機顔料、有機顔料いずれでも用いることができる。また、目的に応じて、複数の種類の有彩色顔料を混合してアニリンブラックに含ませてもよい。また、異なる有彩色顔料を含んだアニリンブラックを混合して用いることができる。さらには、第3の発明に係るアニリンブラックを既存の色素に混合して用いることができる。
無機顔料としては、特に限定されるものではないが、酸化鉄、バリウムイエロー、ストロンチウムクロメート、黄鉛、カドミウムジンクイエロー、コバルトイエロー、チタンイエロー、べんがら、モリブデートオレンジ、コバルトブルー、ウルトラマリンブルー、セルリアンブルー、ジルコニウムバナジウムブルー、酸化クロムなどが挙げられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow31,32,34,35,35:1,36,37,37:1,40,41,42,43,48,53,118,119,157,158,159,160,161,162,163,164,184,189、Pigment Orange20,21,23,75,78、C.I.Pigment Red101,102,104105,106,107,108,108:1,113,230,231,232,233,235,235,275、C.I.Pigment Violet14,15,16,47,49、C.I.Pigment Blue27,28,29,33,35,36,71,72,73,74、C.I.Pigment Green17,18,19,21,23,26,50、C.I.Pigment Brown6,7,11,24,29,31,33,34,35,37,39,40,43,44,45、C.I.Pigment Metal1,2,4,5,6、パール顔料、昼光蛍光顔料、無機蛍光顔料などが挙げられる。
有機顔料としては、特に限定されるものではないが、インジゴ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ナフトールレッド、ジケトピロロピロール、キナクリドン、モノアゾイエロー、ジスアゾイエローなどが挙げられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow1,2,3,4,5,6,9,10,12,13,14,16,17,18,24,55,61,62,62:1,63,65,73,74,75,81,83,87,93,94,95,97,100,101,104,105,108,109,110,111,115,116,117,120,126,127,128,138,139,147,150,151,152,153,154,155,156,166,167,168,169,170,172,173,174,175,176,180,181,182,183,185,188,191,193,194,198,199,202,203、C.I.Pigment Orange1,2,5,13,16,17,22,24,34,36,38,43,46,48,49,61,62,64,65,67,68,69,71,72,73,74,77、C.I.Pigment Red1,2,3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,37,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49;2,50:1,52:1,52:2,53,53:1,53:2,57,57:1,58:4,60,63:1,63:2,64:1,68,81,81:1,81:2,81:3,81:4,83,88,90:1,112,114,122,123,144,146,147,149,150,151,166,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,178,179,181,184,185,187,188,190,191,193,194,200,202,206,207,208,209,210,214,216,220,221,224,242,243,245,247,251,253,254,255,256,257,258,260,264,266,267,268,269,270,272,273,274,275、C.I.Pigment Violet1,2,2:2,3,3:1,3:3,5,5:1,19,23,25,27,29,31,32,37,39,42,50、C.I.Pigment Blue1,1:2,9,14,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17,24,25,56,60,61,62,63,66、C.I.Pigment Green1,2,4,7,8,10,12,15,36、C.I.Pigment Brown1,22,23,25,27などが挙げられる。
第3の発明に係るアニリンブラック粒子は、分散状態の有彩色顔料を高分子のアニリンブラックで被覆した状態であることが好ましい。分散状態の有彩色顔料を内包することによって、その顔料の色相を効果的に反映しながら、高い黒色度、高い体積固有抵抗を有するアニリンブラックとなる。
第3の発明に係るアニリンブラック粒子に含まれる有彩色顔料の一次粒子の平均粒径は0.01〜0.2μmが好ましい。顔料の一次粒子の平均粒径が0.01μmよりも小さい場合はアニリンブラック粒子中で分散されにくく、0.2μmよりも大きい場合はアニリンブラック粒子の表面にはみ出して体積固有抵抗値が著しく低下する場合がある。
第3の発明に係るアニリンブラック粒子には、有彩色顔料以外の樹脂などを分散状態、溶解状態で含むこと、あるいは、単純に添加することができる。例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステルなどの樹脂などが挙げられる。
次に、第4の発明に係るアニリンブラック粒子について述べる。
第4の発明に係るアニリンブラック粒子は、粉体濡れ性試験による疎水化度は5〜80体積%である。疎水化度が前記範囲内にあるとき、疎水性が高い樹脂や有機溶剤であっても容易に分散することができる。疎水化度が5体積%未満の場合、親水度が強すぎて、樹脂や有機溶剤に分散しづらい。また、疎水化度が80体積%以上になると、アニリンブラック粒子表面が樹脂や有機溶剤に濡れにくく、分散が困難になる。好ましい疎水化度は8〜75体積%、より好ましくは7〜70体積%である。
粉体濡れ性試験による疎水化度は、試料粉体を純水に浮遊させ、攪拌しながら濡れ性の高い水溶性有機溶剤を連続的に供給して、試料紛体が濡れて沈降する状態について透過強度を測定し、透過光強度と水溶性有機溶剤の濃度とをプロットして、透過光強度が50%になったときの水溶性有機溶剤の濃度を疎水化度として定義した。疎水化度が高いほど粉体の疎水性が高いと判定される。
水溶性有機溶剤としては、特に限定するものではないが、アルコール、ケトンなどが用いられる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトンなどが挙げられ、1つ以上組み合わさったものでもよい。
上記疎水化度は、処理剤の種類、処理剤の添加量、および、アニリンブラックの酸基として存在する含硫黄化合物の種類、量を調整することにより、上記の範囲を達成することができる。
第4の発明に係るアニリンブラック粒子の処理剤としては、アルキルアミン、ビニルアルキルケトン、脂肪酸、シランから選ばれた1つ以上の処理剤であることが好ましい。アルキルアミン、脂肪酸などは反応を介さず表面へ堆積、あるいは、吸着によって表面に存在する。ビニルアルキルケトン、シランなどは、マイケル付加反応、脱水反応などを介して表面へ共有結合をする。
第4の発明に係るアニリンブラック粒子の処理剤の量は0.1〜60.0重量%が好ましい。処理剤の量が0.1重量%未満では、疎水化度が0%である。処理剤の量が60.0重量%以上では、処理剤が多すぎて処理剤自体が分散の邪魔になりやすい。より好ましい処理剤の量は0.2〜50.0重量%、さらに好ましくは0.5〜48.0重量%である。
アルキルアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミンヘキシルアミン、オクチルアミン(カプリルアミン)、デシルアミン、ドデシルアミン(ラウリルアミン)、テトラデシルアミン(ミリスチルアミン)、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ココナッツアミン、牛脂アミン、ジステアリルアミン、ジメチルココナッツアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメシルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、トリオクチルアミン、硬化牛脂プロピレンジアミン、牛脂プロピレンジアミン、などが挙げられ、1つ以上組み合わさったものでもよい。
ビニルアルキルケトンとしては、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルプロピルケトン、ビニルペンチルケトン、ビニルヘキシルケトン、2−シクロヘキセン−1−オン、ビニルフェニルケトンなどが挙げられ、1つ以上組み合わさったものでもよい。
脂肪酸としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸などが挙げられ、1つ以上組み合わさったものでもよい。
シランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルトリメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、アルコキシシランオリゴマー、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザンなどが挙げられ、1つ以上組み合わさったものでもよい。
第4の発明に係るアニリンブラック粒子の処理剤は、目的の色相、黒色度を表現するため、種類、量を調整して存在させる。また、複数の処理剤を混合して存在させてもよい。また、異なる処理剤を存在させたアニリンブラックを混合して用いることもできる。さらには、第4の発明に係るアニリンブラック粒子をカーボンブラックなどの既存の色素に混合して用いることもできる。
次に、第1〜4の発明に係るアニリンブラック粒子に共通な特徴について説明する。
第1〜4の発明に係るアニリンブラック粒子に含まれる硫黄含有量は、0.2〜10.0重量%が好ましい。硫黄含有の由来はアニリンブラックの酸基の一部に含まれる含硫黄化合物によるものである。含硫黄化合物はアニリンブラック合成段階において添加し、アニリンなどの芳香族アミン、あるいは、芳香族アミンの塩の一部と、酸基として結びついて、水中でミセルを形成する。
第2、3の発明に係るアニリンブラック粒子では、この水溶液を用いてカーボンブラック(第2の発明に係るアニリンブラック粒子)、有彩色顔料(第3の発明に係るアニリンブラック粒子)を分散させると、ミセル中にカーボンブラック、有彩色顔料が取り込まれた状態で分散する(乳化状態)。そして、そのまま酸化剤を加えて重合すると、乳化状態で酸化重合され、第2、3の発明に係るアニリンブラック粒子では、カーボンブラック、有彩色顔料を含むアニリンブラック粒子となる。また、酸基として残った含硫黄化合物はアニリンブラック粒子の分散性向上に寄与しているものと推定される。より好ましい硫黄含有量は、0.2〜6.0重量%である。
第4の発明に係るアニリンブラック粒子では、上記の酸化重合された後に、前述の処理剤を表面処理すると第4の発明に係るアニリンブラック粒子となる。この含硫黄化合物は粒子の形状制御と表面性に大きく貢献しているものと推定される。含硫黄化合物がない場合は、処理剤を多く処理しても疎水化度が低く、樹脂や有機溶剤へ分散しにくい場合がある。また、含硫黄化合物がない場合に、多量の処理剤を処理して疎水化度を高めたとしても、樹脂や有機溶剤へ分散しにくい。より好ましい硫黄含有量は、0.2〜8.0重量%、さらにより好ましくは0.3〜6.0重量%である。
前記含硫黄化合物としては、芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸、芳香族チオール、脂肪族チオールなどである。これらの含硫黄化合物は、前述のように乳化剤の一部として作用し、第2の発明に係るアニリンブラック粒子においては、カーボンブラックを分散状態でアニリンブラックへ含ませる要因となり、第3の発明に係るアニリンブラック粒子においては、有彩色顔料を分散状態でアニリンブラックへ含ませる要因となる。
第4の発明に係るアニリンブラック粒子においては、粒子の形状制御と表面性を向上し、処理剤を効率的に存在、あるいは、反応させる要因となる。また、含硫黄化合物は、アニリンブラック中に酸基として存在し、アニリンブラック粒子間の界面張力を下げ、分散しやすさに貢献しているものと推定される。
含硫黄化合物の例としては、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、メチル硫酸、エチル硫酸、プロピル硫酸、ブチル硫酸、ペンチル硫酸、ヘキシル硫酸、ヘプチル硫酸、オクチル硫酸、デシル硫酸、ドデシル硫酸、チオフェノール、ドデシルチオールなどが挙げられる。
含硫黄化合物としては発色性を持つ酸性染料を用いてもよい。酸性染料としては第1の発明に係るアニリンブラック粒子で説明し、例示した酸性染料が使用できる。また、第1、第4の発明に係るアニリンブラック粒子をカーボンブラックや有彩色顔料と共に使用してもよい。
含硫黄化合物の中には機能を持つもの、例えば、スルホローダミンBや、スルホフルオレセンなどの蛍光を発するもの、サーモクロミズム、フォトクロミズム、エレクトロクロミズム、ソルバトクロミズムなど外部の刺激によって色が変化するもの、などもあり、それらを含ませて機能をもたせてもよい。
第1〜4の発明に係るアニリンブラックの色相は、後述する評価方法によって測定した表色指数のうち、a値、b値を指す。彩度はc値を指す。
第1の発明に係るアニリンブラックの黒色度は、明度L値を指標とし、黒色度に優れるとは、それぞれ測定した値のうち、L値が12.0以下の場合をいう。L値が12.0を越える場合には、黒色度に優れるとは言い難い。より好ましいL値は11.5以下、更により好ましくは5〜11.0である。
第2の発明に係るアニリンブラックの黒色度は、明度L値を指標とし、黒色度に優れるとは、それぞれ測定した値のうち、L値が14.0未満の場合をいう。L値が14.0以上の場合には、黒色度に優れるとは言い難い。より好ましいL値は12.0未満である。
第3の発明に係るアニリンブラックの黒色度は、明度L値を指標とし、黒色度に優れるとは、それぞれ測定した値のうち、L値が15.0未満の場合をいう。L値が15.0以上の場合には、黒色度に優れるとは言い難い。より好ましいL値は14.0未満である。
第4の発明に係るアニリンブラックの黒色度は、明度L値を指標とし、黒色度に優れるとは、それぞれ測定した値のうち、L値が14.0未満の場合をいう。L値が14.0以上の場合には、黒色度に優れるとは言い難い。より好ましいL値は12.0以下である。
また、a値、b値、c値は目的に応じて様々であり、アニリンブラックの粒径、形状、重合度や、含まれる酸性染料の種類や量によって、コントロールされる。通常の黒として表現される場合、a値は−20〜20が好ましく、b値は−20〜20が好ましく、c値は0〜28が好ましいが、目的に応じて、コントロールされるべきであり、この値に限定されるものではない。
第1〜4の発明に係るアニリンブラックの色は、a値、b値、c値により、後述する表記方法によって、漆黒の黒、黒味の黒、青味の黒、緑味の黒、紫味の黒、赤味の黒などの具体的な色表現に表記したものである。また、ブラックライトを照射して蛍光色が発するものを蛍光と表記した。
第1〜4の発明に係るアニリンブラックの耐熱性は、後述する測定方法によって測定した、熱による減色率によって評価される。耐熱性は、電子写真非磁性現像剤や、液晶用ブラックマトリクスなどに用いる場合、その製造段階で減色しないことが必要となるためである。耐熱性に優れるとは、熱による減色率が30%未満の場合をいう。熱による減色率が30%以上である場合には、耐熱性があるとは言い難い。より好ましい熱による減色率は20%未満である。
第1〜4の発明に係るアニリンブラックに用いる芳香族アミンとしては、アニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、トルイジン、アミノナフタレンなどの芳香族アミンや、ピロール、ピリジンなどの含窒素複素環化合物など、それらが1つ以上組み合わさったものを含んでいても、共重合されていても良い。
第1〜4の発明に係るアニリンブラックは、分散性、発色性などの特性を向上させるために、構造中に芳香族アミン以外の芳香族化合物、複素環式化合物、そのフラグメント、あるいは、それらが2つ以上組み合わさったものを含んでも、共重合されていてもよい。芳香族化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレンなどの芳香族、フェノール、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸などの芳香族酸や、フラン、チオフェン、キノンなどの複素環式化合物が挙げられる。
第1〜4の発明に係るアニリンブラックは、酸性染料以外の酸基、含硫黄化合物以外の酸基を含んでよい。酸基とは、各種無機酸、有機酸の分子から水素原子を1個またはそれ以上除いた部分を指し、Nのカウンターイオンとして作用するものをいう。有機酸とは、蟻酸、酢酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、シュウ酸、アジピン酸、フェノールなどであり、無機酸とは、水酸基、塩酸、硝酸、燐酸、硫酸、ホウ酸、フッ化水素酸、過塩素酸などが挙げられる。
第1〜3の発明に係るアニリンブラックは、分散性、発色性などを向上させるために、表面処理を行われていてもよい。表面処理材料としては、特に限定されるものではないが、アルキルアルコール、脂肪酸、アルキルアミンなどの界面活性剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などのポリマー、シランカップリング剤、シランなどの有機珪素化合物などの有機表面処理剤、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどの無機微粒子などの無機表面処理剤、ロジン−カルシウム、ロジン−マグネシウムなどの有機無機表面処理剤などが挙げられ、あるいは、それらが2つ以上組み合わさったもので処理されたものも良い。すなわち、第4の発明に係るアニリンブラックを第1〜3の発明に適応してもよい。
第1〜4の発明に係るアニリンブラック粒子の体積固有抵抗値は、1.0×10〜1.0×1010Ω・cmであることが好ましい。体積固有抵抗値が10Ω・cm未満の場合には、アニリンブラックの特長である高体積固有抵抗が失われており、樹脂組成物とした際の体積固有抵抗値も比較的低抵抗となり、電子写真用非磁性現像剤やブラックマトリクス用途に適合しにくくなるので好ましくない。
第1の発明に係るアニリンブラック粒子のより好ましい体積固有抵抗値は1.0×10〜1.0×1010Ω・cm、更により好ましくは1.5×10〜5.0×10Ω・cmである。
第2の発明に係るアニリンブラック粒子において、カーボンブラックの体積固有抵抗値は、通常、10−2〜10Ω・cm程度であり、物質の表面に少量でも露出すると体積固有抵抗値が低くなってしまう。そのカーボンブラックが分散状態で高分子のアニリンブラックに被覆されてなることにより、第2の発明明に係るアニリンブラックは高い体積固有抵抗値となる。より好ましい体積固有抵抗値は10〜10Ω・cmである。
第3の発明に係るアニリンブラック粒子において、有彩色顔料の中には体積固有抵抗の著しく低いものも存在する。例えば、酸化鉄の体積固有抵抗値は、通常、10〜10Ω・cm程度であり、物質の表面に少量でも露出して存在すると体積固有抵抗値が低くなってしまう。その有彩色顔料が分散状態で高分子のアニリンブラックに被覆されてなることにより、第3の発明に係るアニリンブラックは高い体積固有抵抗値となる。より好ましい体積固有抵抗値は10〜10Ω・cmである。
第4の発明に係るアニリンブラックのより好ましい体積固有抵抗値は1.0×10〜1.0×1010Ω・cm、更により好ましくは1.5×10〜5.0×10Ω・cmである。
第1〜4の発明に係るアニリンブラックの一次粒子の平均粒径は、0.05μm〜1.0μmの範囲であることが好ましい。一次粒子の平均粒径が0.05μm未満の場合には分散が難しく、黒色度が劣る。また、一次粒子の平均粒径が1.0μmを超える場合には着色力が低いため、黒色度が劣る。より好ましい一次粒子の平均粒径は0.10〜0.85μmである。
第1〜4の発明に係るアニリンブラックの粉体pHは、4.0〜9.0の範囲にあるのが好ましい。粉体pHが4.0未満の場合には、より強い酸が酸基として含まれ、酸性染料がアニリンブラックに含まれない恐れがある。粉体pHが9.0を越える場合には、酸基としての酸性染料が解離して、水などの媒体に溶け出す恐れがある。より好ましい粉体pHは4.5〜8.5、さらにより好ましくは5.0〜8.0である。
次に第1〜4の発明に係るアニリンブラック粒子の製造方法について述べる。
第1の発明に係るアニリンブラック粒子は、アニリン、アニリンの酸塩、芳香族アミン、または、芳香族アミンの酸塩のいずれか、あるいは、それらの混合物を水に溶解し、酸にて所定のpHに調整したのち、酸性染料を加え、溶解して酸性水溶液とする。これに酸化剤の分解触媒となりうる金属または金属塩を添加して混合溶液とし、混合溶液を攪拌しながら、酸化剤を滴下し、酸化重合して、粗アニリンブラックを得る。次いで、粗アニリンブラックをアルカリ剤により中和して、濾過、水洗、乾燥を行った後、粉砕して、第1の発明に係るアニリンブラック粒子を得ることができる。なお、分解触媒となりうる金属または金属塩は予め均一な水溶液にした後、酸化剤と同時に滴下してもよい。
第1の発明に係るアニリンブラック粒子の製造段階において、水中でアニリン、アニリンの酸塩芳香族アミン、または、芳香族アミンの酸塩のいずれか、あるいは、それらの混合物の一部と酸性染料が静電相互作用を起こし、反応液中で酸性染料塩となる。それが、擬似的な乳化剤として作用してミセルを形成し、その中で酸化重合するため、擬似的な乳化重合となると推定される。そのため、酸性染料がアニリンブラックの高分子中に密接に含まれ、樹脂、水や溶剤に溶け出しにくくなると推定される。
第2の発明に係るアニリンブラック粒子は、アニリンの酸塩、芳香族アミン、または、芳香族アミンの酸塩のいずれか、あるいは、それらの混合物を水に分散、あるいは、溶解し、酸にて所定のpHに調整したのち、含硫黄化合物を加えて、酸性水溶液とする。この酸性水溶液にカーボンブラックを添加して、分散操作を行い、分散液とする。分散液を攪拌しながら、酸化剤の分解触媒となりうる金属または金属塩を添加する。そして、攪拌しながら酸化剤を滴下し、酸化重合して、粗アニリンブラックを得る。次いで、粗アニリンブラックをアルカリ剤により中和して、濾過、水洗、乾燥を行った後、粉砕して、本発明に係るアニリンブラックを得ることができる。なお、分解触媒となりうる金属または金属塩は予め均一な水溶液にした後、酸化剤と同時に滴下してもよい。
第2の発明に係るアニリンブラック粒子の製造段階において、水中でアニリン、アニリンの酸塩芳香族アミン、または、芳香族アミンの酸塩のいずれか、あるいは、それらの混合物の一部と含硫黄化合物が静電相互作用を起こし、反応液中で含硫黄化合物塩となる。それが、水中でミセルとなる。そこにカーボンブラックを添加して分散操作を行うと、ミセル中にカーボンブラックとアニリン、アニリンの酸塩芳香族アミン、または、芳香族アミンの酸塩のいずれか一種以上とが取り込まれた状態で分散(乳化)する。その中で酸化重合するため、擬似的な乳化重合となると推定される。そのため、カーボンブラックが分散状態でアニリンブラックの高分子中に取り込まれたアニリンブラック粒子になると推定される。
含硫黄化合物、カーボンブラックとしては、前記含硫黄化合物、前記カーボンブラックの一種以上を用いればよい。
カーボンブラックの分散操作は、ビーズミルなどのメディア分散機、あるいは、クレアミックス、フィルミックス、超音波ホモジナイザーなどのメディアレス分散機を用いて分散される。
第3の発明に係るアニリンブラック粒子は、アニリン、アニリンの酸塩、芳香族アミン、または、芳香族アミンの酸塩のいずれか、あるいは、それらの混合物を水に分散、あるいは、溶解し、酸にて所定のpHに調整したのち、含硫黄化合物を加えて、酸性水溶液とする。この酸性水溶液に有彩色顔料を添加して、分散操作を行い、分散液とする。分散液を攪拌しながら、酸化剤の分解触媒となりうる金属または金属塩を添加する。そして、攪拌しながら酸化剤を滴下し、酸化重合して、粗アニリンブラックを得る。次いで、粗アニリンブラックをアルカリ剤により中和して、濾過、水洗、乾燥を行った後、粉砕して、本発明に係るアニリンブラックを得ることができる。なお、分解触媒となりうる金属または金属塩は予め均一な水溶液にした後、酸化剤と同時に滴下してもよい。
第3の発明に係るアニリンブラック粒子の製造段階において、水中でアニリン、アニリンの酸塩芳香族アミン、または、芳香族アミンの酸塩のいずれか、あるいは、それらの混合物の一部と含硫黄化合物が静電相互作用を起こし、反応液中で含硫黄化合物塩となる。それが、水中でミセルとなる。そこに有彩色顔料を添加して分散操作を行うと、ミセル中に顔料とアニリン、アニリンの酸塩芳香族アミン、または、芳香族アミンの酸塩のいずれか一種以上とが取り込まれた状態で分散(乳化)する。その中で酸化重合するため、擬似的な乳化重合となると推定される。そのため、顔料が分散状態でアニリンブラックの高分子中に取り込まれたアニリンブラック粒子になると推定される。
含硫黄化合物としては、前記種々の硫黄化合物の一種以上を用いればよい。
顔料としては、前記有彩色顔料の一種以上を用いればよい。
有彩色顔料の分散操作は、ビーズミルなどのメディア分散機、あるいは、クレアミックス、フィルミックス、超音波ホモジナイザーなどのメディアレス分散機を用いて分散される。
第4の発明に係るアニリンブラック粒子は、アニリン、アニリンの酸塩、芳香族アミン、または、芳香族アミンの酸塩のいずれか、あるいは、それらの混合物を水に分散、あるいは、溶解し、酸にて所定のpHに調整したのち、含硫黄化合物を加えて、酸性水溶液とする。この水溶液を攪拌しながら、酸化剤の分解触媒となりうる金属または金属塩を添加する。そして、攪拌しながら酸化剤を滴下し、酸化重合して得られる。そして、これにアルキルアミンなどの処理剤を添加して、表面に拡散させる。その後、再度pHを再調整して、処理剤を表面に定着、あるいは、反応させる。その後、濾過、水洗、乾燥を行った後、粉砕して、本発明に係るアニリンブラック粒子を得ることができる。なお、分解触媒となりうる金属または金属塩は予め均一な水溶液にした後、酸化剤と同時に滴下してもよい。
含硫黄化合物としては、前記種々の硫黄化合物の一種以上を用いればよい。
処理剤としては、前記種々の処理剤の一種以上を用いればよい。
第1〜4の発明に係るアニリンブラック粒子の製造で使用されるpH調整に用いる酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、ホウ酸、テトラフルオロホウ酸、過塩素酸、過沃素酸、蟻酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、アジピン酸などなどがあげられ、単独または混合物として使用してもよい。なお、酸性水溶液の濃度は、酸の種類にもよるが、通常、0.1〜20%、好ましくは、0.2〜15%程度である。
第1〜4の発明に係るアニリンブラック粒子の製造で使用される酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、過酸化水素、酸素などがあげられ、単独または混合物として使用してもよい。酸化剤の使用量はアニリン1モルに対して0.1〜10モル、好ましくは0.5〜5モルである。また、酸化剤は、反応溶液に対して徐々に添加することが好ましい。通常10分から10時間、好ましくは20分から5時間を要して、添加することによって、酸化重合速度の制御が可能となるため、粒子径制御の点で好ましい。
第1〜4の発明に係るアニリンブラック粒子の製造で使用される酸化剤の分解触媒となりうる金属または金属塩としては、鉄、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、硝酸第一鉄、硫酸第一鉄、鉄−EDTAキレート、塩化プラチナ、塩化金または硝酸銀などがあげられ、単独または混合物として使用してもよい。触媒の使用量は、通常、アニリン1モルに対し、0.01〜1モル程度、好ましくは0.02〜0.5モル程度が用いられる。また、酸化剤の分解触媒となりうる金属または金属塩は、反応溶液に対して徐々に添加することが好ましい。酸化剤の分解触媒と酸化剤を同時に滴下することによって、酸化剤の分解速度をより容易に制御することが可能となるためより好ましい。反応溶液に、酸化剤と当該酸化剤の分解触媒となりうる金属または金属塩とを添加することによって、酸化重合反応が進行する。
第1〜4の発明に係るアニリンブラック粒子の製造方法における反応温度は、特に限定されるものではないが、通常10〜70℃、好ましくは20〜60℃で反応させればよい。また、酸化剤を添加した後、通常、10分から10時間、好ましくは20分から5時間の間、反応溶液を撹拌することが好ましい。
第1の発明に係るアニリンブラック粒子の製造方法で得られる粗アニリンブラックは、強酸性になっているため、酸剤、あるいは、アルカリ剤によりpHを5〜10の範囲に調整される。好ましくはpHを5〜8の範囲で調整される。要すれば20〜95℃で30分〜1時間加熱撹拌してもよい。
第2〜4の発明に係るアニリンブラック粒子の製造方法で得られる粗アニリンブラックは、強酸性になっているため、酸剤、あるいは、アルカリ剤によりpHを4.0〜9.0の範囲に調整される。好ましくはpHを5.0〜8.0の範囲で調整される。要すれば20〜95℃で30分〜1時間加熱撹拌してもよい。
第1〜4の発明に係るアニリンブラック粒子の製造で使用される酸剤としては、無機化合物および有機化合物のいずれでもよい。無機化合物としては塩酸や硫酸などの無機酸などが挙げられ、有機化合物としては、酢酸、クエン酸、アジピン酸などの有機酸などが挙げられる。
第1〜4の発明に係るアニリンブラック粒子の製造方法で使用されるアルカリ剤としては、無機化合物および有機化合物のいずれでもよい。無機化合物としては水酸化ナトリムや水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属や炭酸ナトリウムなどの炭酸塩などがあげられ、有機化合物としては、トリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンなどのトリアルカノールアミンなどがあげられる。
第1〜4の発明に係るアニリンブラック粒子の製造方法において、アルカリ剤で中和してpHを調整した後、常法によって濾取、水洗し、乾燥すれば目的の本発明に係るアニリンブラック粒子が得られる。
次に、第1〜4の発明に係る樹脂組成物について述べる。
第1〜4の発明に係る樹脂組成物は、第1〜4の発明に係るアニリンブラック粒子、周知の熱可塑性樹脂、必要により、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤などの添加剤が配合され構成される。
第1〜4の発明に係る樹脂組成物中におけるアニリンブラック粒子の配合割合は、構成基材100重量部に対し0.01〜200重量部の範囲で使用することができ、樹脂組成物のハンドリングを考慮すれば、好ましくは0.05〜100重量部、更に好ましくは0.1〜50重量部である。
添加剤の量は、アニリンブラック粒子と熱可塑性樹脂との総和に対して50重量%以下であればよい。添加物の含有量が50重量%を越える場合には、成形性が低下する。
第1の発明に係る樹脂組成物の明度L値は、後述する評価方法によって測定した表色指数のL値が12.0以下であり、公知のアニリンブラックを用いた場合に比べ、黒色度に優れるものである。さらには、L値は11.5以下が好ましい。また、分散性の目視観察の結果は、後述する評価方法のうち3〜4の範囲である。
第2の発明に係る樹脂組成物の明度L値は、後述する評価方法によって測定した表色指数である。黒色度は、明度L値を指標とし、黒色度に優れるとはL値が14.0未満の場合をいう。L値が14.0以上の場合には、黒色度が優れるとは言い難い。より好ましいL値は12.0未満である。また、分散性の目視観察の結果は、後述する評価方法のうち3〜5の範囲である。
第3の発明に係る樹脂組成物の明度L値は、後述する評価方法によって測定した表色指数である。黒色度は、明度L値を指標とし、黒色度に優れるとはL値が15.0未満の場合をいう。L値が15.0以上の場合には、黒色度が優れるとは言い難い。より好ましいL値は14.0未満である。また、分散性の目視観察の結果は、後述する評価方法のうち3〜5の範囲である。
第4の発明に係る樹脂組成物の明度L値は、後述する評価方法によって測定した表色指数である。黒色度は、明度L値を指標とし、黒色度に優れるとはL値が14.0未満の場合をいう。L値が14.0以上の場合には、黒色度が優れるとは言い難い。より好ましいL値は12.0未満である。また、分散性の目視観察の結果は、後述する評価方法のうち3〜5の範囲である。
第1〜4の発明に係る樹脂組成物の耐熱性は、後述する測定方法によって測定した、熱による減色率によって評価される。耐熱性は、電子写真非磁性現像剤や、液晶用ブラックマトリクスなどに用いる場合、その製造段階で減色しないことが必要となるためである。耐熱性に優れるとは、熱による減色率が30%未満の場合をいう。熱による減色率が30%以上である場合には、耐熱性があるとは言い難い。より好ましい熱による減色率は20%未満である。
次に、本発明に係る樹脂組成物の製造法について述べる。
本発明に係る樹脂組成物は、アニリンブラック粒子と樹脂をあらかじめよく混合し、次に、混練機もしくは押出機を用いて加熱下で強いせん断作用を加えて、アニリンブラック粒子の凝集体を破壊し、樹脂中にアニリンブラック粒子を均一に分散させた後、目的に応じた形状に成形加工して製造する。
次に、第1〜3の発明に係る水系分散体について述べる。
第1〜3の発明に係る水系分散体は、第1〜3の発明に係るアニリンブラック粒子、水、必要に応じて体質顔料、水系溶剤、界面活性剤、顔料分散剤、樹脂、pH調整剤、消泡剤などが配合され、構成される。
第1〜3の発明に係る水系分散体におけるアニリンブラック粒子の配合割合は、分散体構成基材100重量部に対し0.1〜200重量部の範囲で使用することができ、分散体のハンドリングを考慮すれば、好ましくは0.1〜100重量部、更に好ましくは0.1〜50重量部である。
樹脂としては、通常使用される水溶性アルキッド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ウレタンエマルジョン樹脂を用いることができる。
溶剤としては、ブチルアルコールなどのアルコール、グリセリン、ブチルセロソルブなどを使用することができる。
消泡剤としては、周知の消泡剤を使用することができる。例えばノプコ8034(商品名)、SNデフォーマー477(商品名)、SNデフォーマー5013(商品名)、SNデフォーマー247(商品名)、SNデフォーマー382(商品名)(以上、いずれもサンノプコ株式会社製)、アンチホーム08(商品名)、エマルゲン903(商品名)(以上、いずれも花王株式会社製)などである。
第1〜3の発発明に係る水系分散体の粘度は、20.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは15.0mPa・s以下である。粘度が20mPa・sを越える場合には、黒色度が劣る。粘度の下限値は1.0mPa・s程度である。
第1〜3の発発明に係る水系分散体の保存安定性評価は、後述する評価方法によって測定した粘度変化率において±10%未満が好ましく、より好ましくは±6%以下、更により好ましくは±5%以下である。
第2の発明に係る水系分散体の色相は、後述する評価方法によって測定した表色指数のうち、L値、a値、b値を指す。黒色度は、明度L値を指標とし、黒色度に優れるとは、それぞれ測定した値のうち、L値が14.0未満の場合をいう。L値が14.0以上の場合には、黒色度に優れるとは言い難い。より好ましいL値は12.0未満である。
第3の発明に係る水系分散体の色相は、後述する評価方法によって測定した表色指数のうち、L値、a値、b値を指す。彩度はcを指す。黒色度は、明度L値を指標とし、黒色度に優れるとは、それぞれ測定した値のうち、L値が15.0未満の場合をいう。L値が15.0以上の場合には、黒色度に優れるとは言い難い。より好ましいL値は14.0未満である。
また、a値、b値は目的に応じて様々であり、アニリンブラック粒子の粒径、形状、重合度や、含まれる酸基の種類や量によって、コントロールされる。通常の黒として表現される場合、a値は−20〜20が好ましく、b値は−20〜20が好ましいが、目的に応じてコントロールされるべきであり、この値に限定されるものではない。
第2、3の発明に係る水系分散体の色は、a値、b値、c値により、後述する表記方法によって、漆黒の黒、黒味の黒、青味の黒、緑味の黒、紫味の黒、赤味の黒などの具体的な色表現に表記したものである。
第1〜3の発明に係る水系分散体の耐熱性は、後述する測定方法によって測定した、熱による減色率によって評価される。耐熱性は、電子写真非磁性現像剤や、液晶用ブラックマトリクスなどに用いる場合、その製造段階で減色しないことが必要となるためである。耐熱性に優れるとは、熱による減色率が30%未満の場合をいう。熱による減色率が30%以上である場合には、耐熱性があるとは言い難い。より好ましい熱による減色率は20%未満である。
次に、第1〜3の発明に係る水系分散体の製造方法について述べる。
第1〜3の発明に係る水系分散体は、アニリンブラック粒子、水、添加剤を混合し、ビーズミルなどのメディア分散機、あるいは、クレアミックス、フィルミックス、超音波ホモジナイザーなどのメディアレス分散機を用いて分散され、ろ過などの後処理をされて製造される。分散安定性を高めるために、自己分散処理や、マイクロカプセル処理をして製造されてもよい。
次に、第1〜4の発明に係る溶剤系分散体について述べる。
第1〜4の発明に係る溶剤系分散体は、第1〜4の発明に係るアニリンブラック粒子、樹脂、溶剤、必要に応じて体質顔料、乾燥促進剤、界面活性剤、硬化促進剤、助剤などが配合され、構成される。
第1〜4の発明に係る溶剤系分散体におけるアニリンブラック粒子の配合割合は、分散体構成基材100重量部に対し0.1〜200重量部の範囲で使用することができ、分散体のハンドリングを考慮すれば、好ましくは0.1〜100重量部、更に好ましくは0.1〜50重量部である。
樹脂としては、通常使用されるアクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂などを用いることができる。
溶剤としては、通常使用されるトルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルイソブチルケトン、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、脂肪族炭化水素などを用いることができる。
第1〜4の発明に係る溶剤系分散体の粘度は、20.0mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは17.0mPa・s以下である。20mPa・sを越える場合には、分散性が劣り黒色度が劣る。溶剤系分散体の粘度の下限値は2.0mPa・s程度である。
第1〜4の発明に係る溶剤系分散体の保存安定性評価は、後述する評価方法によって測定した粘度変化率において±10%未満が好ましく、より好ましくは±6%以下、更により好ましくは±5%以下である。
第2、4の発明に係る溶剤系分散体の色相は、後述する評価方法によって測定した表色指数のうち、L値、a値、b値を指す。黒色度は、明度L値を指標とし、黒色度に優れるとは、それぞれ測定した値のうち、L値が14.0未満の場合をいう。L値が14.0以上の場合には、黒色度に優れるとは言い難い。より好ましいL値は12.0未満である。
第3の発明に係る溶剤系分散体の色相は、後述する評価方法によって測定した表色指数のうち、L値、a値、b値を指す。彩度はcを指す。黒色度は、明度L値を指標とし、黒色度に優れるとは、それぞれ測定した値のうち、L値が15.0未満の場合をいう。L値が15.0以上の場合には、黒色度に優れるとは言い難い。より好ましいL値は14.0未満である。
また、いずれの発明においてもa値、b値は目的に応じて様々であり、アニリンブラック粒子の粒径、形状、重合度や、含まれる酸基の種類や量によって、コントロールされる。通常の黒として表現される場合、a値は−20〜20が好ましく、b値は−20〜20が好ましいが、目的に応じてコントロールされるべきであり、この値に限定されるものではない。
第1〜4の発明に係る溶剤系分散体の色は、a値、b値、c値により、後述する表記方法によって、漆黒の黒、黒味の黒、青味の黒、緑味の黒、紫味の黒、赤味の黒などの具体的な色表現に表記したものである。
第1〜4の発明に係る溶剤系分散体の耐熱性は、後述する測定方法によって測定した、熱による減色率によって評価される。耐熱性は、電子写真非磁性現像剤や、液晶用ブラックマトリクスなどに用いる場合、その製造段階で減色しないことが必要となるためである。耐熱性に優れるとは、熱による減色率が30%未満の場合をいう。熱による減色率が30%以上である場合には、耐熱性があるとは言い難い。より好ましい熱による減色率は20%未満である。
次に、第1〜4の発明に係る溶剤系分散体の製造方法について述べる。
第1〜4の発明に係る溶剤系分散体は、アニリンブラック粒子、溶剤、添加剤、樹脂を混合し、ビーズミルなどのメディア分散機、あるいは、クレアミックス、フィルミックス、超音波ホモジナイザーなどのメディアレス分散機を用いて分散され、ろ過などの後処理をされて製造される。分散安定性を高めるために、自己分散処理や、マイクロカプセル処理をして製造されてもよい。
<作用>
第1の発明においては、少なくとも、1種類以上の酸性染料を含むアニリンブラック粒子は、アニリンブラックの独自の発色性、黒表現に加えて、酸性染料成分に由来する発色性、色表現が加味されるため、自在な黒表現が可能となることを見出した。含まれる酸性染料はアニリンブラックの酸基の一部として含まれることで不溶化し、さらに、アニリンブラックとのπ−πスタッキングなどの相互作用により、アニリンブラックの高分子の絡み合いの間に層状に含まれるため、樹脂、水や溶剤に溶け出しにくくなると推定される。
第2の発明におけるカーボンブラックをアニリンブラック基本骨格100重量部に対して1〜60重量部含むアニリンブラック粒子であって、該アニリンブラック粒子の体積固有抵抗が10〜1010Ω・cmであることを特徴とするアニリンブラック粒子は、含まれるカーボンブラックがアニリンブラックの形成する高分子中に存在し、表面に露出しないため、体積固有抵抗値の低いカーボンブラックを含んでいながら、高い体積固有抵抗値を実現した。さらに、本発明に係るアニリンブラック粒子は、黒色度が高く、耐熱性の高いカーボンブラックを含むため、従来のアニリンブラックに比較して、高黒色度、高耐熱性を獲得した。
第3の発明に係る有彩色顔料をアニリンブラック基本骨格100重量部に対して1〜60重量部含むアニリンブラック粒子であって、該アニリンブラックの体積固有抵抗が10〜1010Ω・cmであることを特徴とするアニリンブラック粒子は、その顔料成分により、自在な色相の黒を表現でき、含まれる有彩色顔料がアニリンブラックの形成する高分子中に存在し、表面に露出しないため、有彩色顔料を含んでいながら、黒色度に優れ、高い体積固有抵抗値を実現した。
第4の発明に係る粉体濡れ性試験による疎水化度が5〜80体積%であるアニリンブラック粒子は、従来のアニリンブラックでは達成できなかった樹脂や有機溶剤などの疎水性媒体に分散しやすい特性を持っており、黒色度に優れ、体積固有抵抗値の高いアニリンブラック粒子として好適である。
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。なお、以下の実施例、比較例において、実施例1−1〜1−20及び比較例1−1〜1−20が第1の発明に関する例であり、実施例2−1〜2−20及び比較例2−1〜2−20が第2の発明に関する例であり、実施例3−1〜3−32及び比較例3−1〜3−20が第3の発明に関する例であり、実施例4−1〜4−15及び比較例4−1〜4−15が第4の発明に関する例である。評価方法を以下に示す。
体積固有抵抗値は、まず、粒子粉末0.5gを測り取り、KBr錠剤成形器(株式会社島津製作所)用いて、1.372×10Pa(140Kg/cm)の圧力で加圧成形を行い、円柱状の被測定試料を作製した。この被測定試料をステンレス電極の間にセットし、電気抵抗測定装置(model 4329A 横河北辰電気株式会社製)で15Vの電圧を印加して抵抗値R(Ω)を測定した。次いで、被測定(円柱状)試料の上面の面積A(cm)と厚みt0(cm)を測定し、下記数1にそれぞれの測定値を挿入して、体積固有抵抗値(Ω・cm)を求めた。
<数1>
体積固有抵抗値(Ω・cm)=R×(A/t0)
一次粒子の平均粒径は、いずれも走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製)または透過型電子顕微鏡JEM−1200EX II(日本分光製)による顕微鏡写真に示される一次粒子350個の粒子径を、それぞれ測定し、その平均値で示した。
粉体pH値は、試料5gを300mlの三角フラスコには秤取り、煮沸した純水100mlを加え、加熱して煮沸状態を約5分間保持した後、栓をして常温まで放冷し、減量に相当する水を加えて再び栓をして1分間振り混ぜ、5分間静置した後、得られた上澄み液のpHをJIS Z8802−7に従って測定し、得られた値を粉体pH値とした。
粉体濡れ性試験による疎水化度は、専用機である粉体濡れ性試験機WET−101P(RHESCA製)を用いて求めた。まず、試料粉体1.0gを秤量し、200mLビーカーに入っている純水に浮遊させ、溶液を400rpmで攪拌しながら、その中に超音波洗浄機で十分に脱気したメタノールを連続的に2ml/minで供給した。そして、粉末が濡れて沈降する状態を、レーザ光(780nm)を用いて透過光強度を測定し、透過光強度とメタノール濃度とをプロットして、透過光強度が50%になったときのメタノール濃度を疎水化度として記録した。
硫黄含有量、および、炭素含有量の定量は、堀場金属炭素・硫黄分析装置E MIA−2200型(堀場製作所製)を用いて硫黄量、炭素含有量を測定することにより求めた。
本発明に係るアニリンブラック粒子の色相、明度(黒色度)、彩度は、後述する実施例・比較例で調製した分散体をキャスコート紙上にWET膜厚24μmのバーコーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約6μm)を作製し、該塗布片について、分光測色計X−Rite939(X−Rite製)を用いてJIS Z8729に定めるところに従って表色指数L値、a値、b値をそれぞれ測定した値で示した。また、c値は下記数2により算出した。
<数2>
=((a+(b1/2
実施例1−1〜1−5及び比較例1−1〜1−5における黒色度の判定は、Lの値によって、下記4段階で評価した。
◎:Lが11未満のもの
○:Lが11以上12未満のもの
△:Lが12以上15未満のもの
×:Lが15以上のもの
実施例2−1〜2−5及び比較例2−1〜2−5におけるアニリンブラック粒子の黒色度の判定は、Lの値によって、下記4段階で評価した。
◎:Lが10.0未満のもの
○:Lが10.0以上12.0未満のもの
△:Lが12.0以上14.0未満のもの
×:Lが14.0以上のもの
実施例3−1〜3−8及び比較例3−1〜3−5におけるアニリンブラックの黒色度の判定は、Lの値によって、下記4段階で評価した。
◎:Lが10.0未満のもの
○:Lが10.0以上12.0未満のもの
△:Lが12.0以上15.0未満のもの
×:Lが15.0以上のもの
実施例4−1〜4−5及び比較例4−1〜4−5におけるアニリンブラックの黒色度の判定は、Lの値によって、下記4段階で評価した。
◎:Lが10.0未満のもの
○:Lが10.0以上12.0未満のもの
△:Lが12.0以上14.0未満のもの
×:Lが14.0以上のもの
本発明に係るアニリンブラックの耐熱性は、後述する実施例で調製した溶剤系分散体をガラスプレート上にWET膜厚6μmのバーコーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約1μm)を作製し、30分120℃で乾燥した後、ギアオーブンにて250℃2時間加熱した。そして該塗布片について、加熱前のOD値(OD1)、加熱後のOD値(OD2)を分光測色計X−Rite939(X−Rite製)を用いて測定し、下記数2により、熱による減色率(%)を算出した。
<数2>
熱による減色率(%)=(OD1−OD2)/OD1×100
耐熱性の判定は熱による減色率の値によって、下記4段階で評価した。
◎:熱による減色率が10%未満のもの
○:熱による減色率が10%以上20%未満のもの
△:熱による減色率が20%以上30%未満のもの
×:熱による減色率が30%以上のもの
本発明に係るアニリンブラックの色は、a値、b値、c値によって、下記6種類に表記した。また、ブラックライト(UVmax=365nm)を照射して蛍光色が発するものを蛍光と表記した。
漆黒の黒:a、bが共に0.0のもの
黒味の黒:c<1.0のもの
青味の黒:−20≦a<0かつ、−20≦b<0かつ、1.0≦c≦28のもの
緑味の黒:−20≦a<0かつ、0≦b≦20かつ、1.0≦c≦28のもの
紫味の黒:0≦a≦20かつ、−20≦b<0かつ、1.0≦c≦28のもの
赤味の黒:0≦a≦20かつ、0≦b≦20かつ、1.0≦c≦28のもの
実施例1−6〜1−10及び比較例1−6〜1−10、実施例2−6〜2−10及び比較例2−6〜2−10、実施例3−9〜3−16及び比較例3−6〜3−10における樹脂組成物の明度L値については、後述する実施例・比較例で作製した樹脂プレートを、分光測色計X−Rite939(X−Rite製)を用いてJIS Z8729に定めるところに従って、L値を測定した値で示した。
実施例1−6〜1−10及び比較例1−6〜1−10における樹脂組成物の黒色度の判定は、Lの値によって、下記4段階で評価した。
◎:Lが11未満のもの
○:Lが11以上12未満のもの
△:Lが12以上15未満のもの
×:Lが15以上のもの
実施例2−6〜2−10及び比較例2−6〜2−10における樹脂組成物の黒色度の判定は、Lの値によって、下記4段階で評価した。
◎:Lが10.0未満のもの
○:Lが10.0以上12.0未満のもの
△:Lが12.0以上14.0未満のもの
×:Lが14.0以上のもの
実施例3−9〜3−16及び比較例3−6f3−10における樹脂組成物の黒色度の判定は、Lの値によって、下記4段階で評価した。
◎:Lが10.0未満のもの
○:Lが10.0以上12.0未満のもの
△:Lが12.0以上15.0未満のもの
×:Lが15.0以上のもの
実施例4−6〜4−10及び比較例4−6〜4−10における樹脂組成物の明度L値については、後述する実施例・比較例で作製した樹脂組成物を3.0g秤量し、6.0gのテトラヒドロフランに浸漬して、キャスコート紙上にWET膜厚24μmのバーコーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約6μm)を作製し、該塗布片について、分光測色計X−Rite939(X−Rite製)を用いてJIS Z8729に定めるところに従って、表色指数L値を測定した値で示した。
実施例4−6〜4−10及び比較例4−6〜4−10における樹脂組成物の黒色度の判定は、Lの値によって、下記4段階で評価した。
◎:Lが10.0未満のもの
○:Lが10.0以上12.0未満のもの
△:Lが12.0以上14.0未満のもの
×:Lが14.0以上のもの
実施例1−6〜1−10及び比較例1−6〜1−10、実施例2−6〜2−10及び比較例2−6〜2−10、実施例3−9〜3−16及び比較例3−6〜3−10における樹脂組成物の分散状態は、得られた樹脂組成物表面における未分散の凝集粒子の個数を目視により判定し、5段階で評価した。5が最も分散状態が良いことを示す。
5:未分散物が認められない。
4:1cm当たりに1〜4個認められる。
3:1cm当たりに5〜9個認められる。
2:1cm当たりに10〜49個認められる。
1:1cm当たりに50個以上認められる。
実施例4−6〜4−10及び比較例4−6〜4−10におけるアニリンブラック粒子の樹脂への分散性は、後述する樹脂組成物の分散性が3以上のものを○、2のものを△、1のものを×と判定した。
実施例4−6〜4−10及び比較例4−6〜4−10におけるアニリンブラックの有機溶剤への分散性は、後述する溶剤系分散体の粘度が10mP・s以下で保存安定性が○のものを○、粘度が10mP・sを超えて20mP・s以下で保存安定性が○のもの、もしくは、粘度が10mP・s以下で保存安定性が△のものを△、それ以外のものを×とした。
実施例4−6〜4−10及び比較例4−6〜4−10における樹脂組成物の分散性は、後述する組成の樹脂組成物を下記組成にてエポキシモノマーに分散して60℃、24時間静置硬化して、ペレットを作製した。
(エポキシ樹脂包埋)
樹脂組成物 1mg
電子顕微鏡用エポキシ樹脂包埋剤Quetol−812 3.0g
(日新EM製)
DDSA(硬化剤) 1.0g
(日新EM製)
MNA(硬化剤) 2.0g
(日新EM製)
DMP−30(重合加速剤) 0.01g
(日新EM製)
そして、このペレットをこのRMCウルトラミクロトームMT2C(盟和商事)にて2μmの膜厚にスライスして、これを透過型電子顕微鏡にて観察し、下記4段階で評価した。
4:未分散物が認められない。
3:100μm当たりに未分散物が1〜10個認められる。
2:100μm当たりに未分散物が10〜49個認められる。
1:100μm当たりに未分散物が50個以上認められる。
本発明に係る樹脂組成物の耐熱性は、後述する実施例で調製した樹脂組成物を超遠心粉砕機 ZM200(レッチェ製)を用いて12000rpmにて粉砕し、そのうち、3.0gをプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート6.0gに浸漬し、これを、ガラスプレート上にWET膜厚6μmのバーコーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約1μm)を作製し、30分120℃で乾燥した後、ギアオーブンにて250℃2時間加熱した。そして該塗布片について、加熱前のOD値(OD1)、加熱後のOD値(OD2)を分光測色計X−Rite939(X−Rite製)を用いて測定し、下記数3により、熱による減色率(%)を算出した。
<数3>
熱による減色率(%)=(OD1−OD2)/OD1×100
耐熱性の判定は熱による減色率の値によって、下記4段階で評価した。
◎:熱による減色率が10%未満のもの
○:熱による減色率が10%以上20%未満のもの
△:熱による減色率が20%以上30%未満のもの
×:熱による減色率が30%以上のもの
本発明に係る水系分散体、および、溶剤系分散体の粘度はE型粘度計TV−30(東機産業社製)を用いて測定した。
本発明に係る水系分散体、および、溶剤系分散体の保存安定性評価は、初期粘度と、25℃で1週間後の経時粘度をE型粘度計TV−30(東機産業製)を用いて測定した。この初期粘度(V1)から経時粘度(V2)への粘度変化率を下記数3で算出し、下記3段階で評価した。
<数3>
粘度変化率(%)=(V2−V1)/V1×100
○:粘度変化率が±10%未満
△:粘度変化率が±10%以上±30%未満
×:粘度変化率が30%以上
本発明に係る水系分散体、および、溶剤系分散体の塗膜の色相、明度(黒色度)、彩度については、分散体をキャスコート紙上にWET膜厚24μmのバーコーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約6μm)を作製し、該塗布片について、分光測色計X−Rite939(X−Rite製)を用いてJIS Z8729に定めるところに従って表色指数L値、a値、b値をそれぞれ測定した値で示した。また、cは下記数4により算出した。
<数4>
=((a+(b1/2
実施例1−12〜1−20及び比較例1−11〜1−20における水系分散体、および、溶剤系分散体の塗膜の黒色度の判定は、Lの値によって、下記4段階で評価した。
◎:Lが11未満のもの
○:Lが11以上12未満のもの
△:Lが12以上15未満のもの
×:Lが15以上のもの
実施例2−12〜2−28及び比較例2−11〜2−20における水系分散体、および、溶剤系分散体の塗膜の黒色度の判定は、Lの値によって、下記4段階で評価した。
◎:Lが10.0未満のもの
○:Lが10.0以上12.0未満のもの
△:Lが12.0以上14.0未満のもの
×:Lが14.0以上のもの
実施例3−17〜3−32及び比較例3−11〜3−20における水系分散体、および、溶剤系分散体の塗膜の黒色度の判定は、Lの値によって、下記4段階で評価した。
◎:Lが10.0未満のもの
○:Lが10.0以上12.0未満のもの
△:Lが12.0以上15.0未満のもの
×:Lが15.0以上のもの
実施例4−11〜4−15及び比較例4−11〜4−15における溶剤系分散体の塗膜の黒色度の判定は、Lの値によって、下記4段階で評価した。
◎:Lが10.0未満のもの
○:Lが10.0以上12.0未満のもの
△:Lが12.0以上14.0未満のもの
×:Lが14.0以上のもの
本発明に係る水系分散体、および、溶剤系分散体の塗膜の色は、a値、b値、c値によって、下記6種類に表記した。また、ブラックライト(UVmax=365nm)を照射して蛍光色が発するものを蛍光と表記した。
漆黒の黒:a、bが共に0.0のもの
黒味の黒:c<1.0のもの
青味の黒:−20≦a<0かつ、−20≦b<0かつ、1.0≦c≦28のもの
緑味の黒:−20≦a<0かつ、0≦b≦20かつ、1.0≦c≦28のもの
紫味の黒:0≦a≦20かつ、−20≦b<0かつ、1.0≦c≦28のもの
赤味の黒:0≦a≦20かつ、0≦b≦20かつ、1.0≦c≦28のもの
本発明に係る水系分散体、および、溶剤系分散体の塗膜の光沢度については、バーコーターを用いて塗布した塗布片を、グロスメーターUGV−5D(スガ試験機株式会社製)を用いて45°の光沢度を測定して求めた。光沢度の値が高いほど、分散体の分散性が良いことを示す。
本発明に係る水系分散体、および、溶剤系分散体の耐熱性は、後述する実施例で調製した分散体をガラスプレート上にWET膜厚6μmのバーコーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約1μm)を作製し、30分120℃で乾燥した後、ギアオーブンにて250℃2時間加熱した。そして該塗布片について、加熱前のOD値(OD1)、加熱後のOD値(OD2)を分光測色計X−Rite939(X−Rite製)を用いて測定し、下記数5により、熱による減色率(%)を算出した。
<数5>
熱による減色率(%)=(OD1−OD2)/OD1×100
耐熱性の判定は熱による減色率の値によって、下記4段階で評価した。
◎:熱による減色率が10%未満のもの
○:熱による減色率が10%以上20%未満のもの
△:熱による減色率が20%以上30%未満のもの
×:熱による減色率が30%以上のもの
以下の実施例1−1〜1−20及び比較例1−1〜1−20は、第1の発明に関する例である。
<アニリンブラックの製造>
実施例1−1:
71%硫酸15.8g(0.11mol)と35%塩酸31.8g(0.32mol)と水2500mlに、アニリン30g(0.32mol)を入れ、C.I.Acid Red 52 0.9gを添加し、溶解した。その後、液温60℃で攪拌混合しながら、塩化第二鉄4.6g(0.036mol)を水70mlに溶解した水溶液、30%過酸化水素78.0g(0.69mol)を2時間かけて滴下し、その後液温60℃にて1時間攪拌混合を行い反応終了とした。反応終了後、反応液を濾過、水洗し得られたケーキを1000mlの水を用い再分散させ、24時間攪拌した。その後10%カセイソーダにてpH8.0に中和し、pHが安定した後濾過、水洗しペーストを60℃で乾燥してアニリンブラックを得た。(アニリンブラック1−1)
酸性染料を含まない以外は同一条件で調製した比較例1のアニリンブラック1−6はa=0.1,b=0.7と黒味の黒でありながら、若干ながら赤味を有している。これに対し、本実施例のアニリンブラック1−1は酸性染料の種類、量を選定して含むことにより、a=0.0,b=0.0に意図的に調整して、調製されており、目標どおり、漆黒の黒の色を表現できている。
実施例1−2〜1−5:
酸性染料の種類と量、反応条件を種々変化させた以外は前記実施例1−1と同様にして、意図的に色を調整したアニリンブラックを得た。目標色としては、実施例1−2は青味の黒、実施例1−3は青味の黒、実施例1−4は紫味の黒、実施例1−5は紫味の黒+蛍光である。
これらの実施例における製造条件を表1−1に、得られたアニリンブラックの諸特性を表1−2に示す。
比較例1−1(特開2012−153744号公報の実施例1の追試実験):
71%硫酸15.8g(0.11mol)と35%塩酸31.8g(0.32mol)と水2500mlに、アニリン30g(0.32mol)を入れ、液温60℃で攪拌混合しながら、塩化第二鉄4.6g(0.0363mol)を水70mlに溶解した水溶液、30%過酸化水素78.0g(0.69mol)を2時間かけて滴下し、その後液温60℃にて1時間攪拌混合を行い反応終了とした。反応終了後、反応液を濾過、水洗し得られたケーキを1000mlの水を用い再分散させ、24時間攪拌した。その後10%カセイソーダにてpH9.5に中和し、pHが安定した後濾過、水洗しペーストを60℃で乾燥してアニリンブラックを得た。(アニリンブラック1−6)
比較例1−2(特開2012−153745号公報の実施例1の追試実験):
35%塩酸33.8g(0.33mol)と水1250mlに、アニリン30g(0.32mol)を入れ、液温60℃で攪拌混合しながら、4ヒドロキシベンゼンスルホン酸15.0g(0.086mol)を添加し均一に溶解させた後、塩化第一鉄4.6g(0.036mol)を水70mlに溶解した水溶液、30%過酸化水素78.0g(0.69mol)を2時間かけて滴下し、その後液温60℃にて1時間攪拌混合を行い反応終了とした。反応終了後、反応液を濾過、水洗し得られたケーキを1000mlの水を用い再分散させ、24時間攪拌した。その後10%カセイソーダにてpH6.5に中和し、pHが安定した後濾過、水洗しペーストを60℃で乾燥してアニリンブラックを得た。(アニリンブラック1−7)
比較例1−3(特開2001−261989号公報の実施例5の追試実験):
アニリン30g(0.32mol)を5.1%硫酸水溶液600ml(0.31mol)に溶解し、これに塩化第二鉄6水和物7.8g(0.029mol)を一度に加え、40℃で過硫酸アンモニウム144g(0.63mol)を水600mlに溶解した溶液を15分間で滴下した後、70〜75℃に加熱して1時間撹拌した。反応後、不溶物を濾取、水洗し、得られたケーキを900mlの水に再スラリー化し、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整した後、90℃で30分間加熱撹拌した。不溶物を濾取、水洗、乾燥して、アニリンブラックを得た。(アニリンブラック1−8)
比較例1−4(特開2000−72974号公報の実施例1の追試実験):
62%硫酸18.0g(0.11mol)と35%塩酸31.8g(0.32mol)と水300mlに、アニリン30g(0.32mol)を入れ、攪拌溶解した後、硫酸第一鉄13.2g(0.087mol)を水60mlに溶解したものを一度に添加する。液温15℃で攪拌混合しながら、30%過酸化水素90.0g(0.79mol)を4時間にて添加し、その後液温15℃にて4時間攪拌混合を行い反応終了とする。反応終了後、反応液を濾過、水洗し得られたケーキを960mlの水を用い再分散させ、10%カセイソーダにてPH7に中和し、PHが安定した後濾過、水洗しペーストを60℃で乾燥して、アニリンブラックを得た。(アニリンブラック1−9)
比較例1−5(特開平9−31353号公報の実施例4の追試実験):
イオン交換水540部、4メチルベンゼンスルホン酸30部(0.17mol)、1%濃度の硫酸第二鉄15部(0.0004mol)、あらかじめ溶解させておいたポリイソプレンスルホン酸ナトリウム(分子量=3万)10%濃度の水溶液350部を反応容器に仕込み、よく攪拌し、ついで35%塩酸33.8g(0.33mol)とアニリン30g(0.32mol)を仕込んだ。反応温度を20℃に保ちながら、5%濃度の過酸化水素水360部を2時間かけて連続的に添加し、さらに2時間攪拌した後、濾過、水洗しペーストを60℃で乾燥して、アニリンブラックを得た。(アンリンブラック1−10)
これらの比較例の製造条件を表1に、得られたアニリンブラックの諸特性を表2に示す。
Figure 0006706917
Figure 0006706917
以上のように、第1の発明のアニリンブラック粒子は、目的に応じた色相の黒を表現でき、従来では表現しづらかった青味の黒、紫味の黒、漆黒の黒でも表現することが可能であり、黒色度に優れ、体積固有抵抗値の高いことは明白である。
<樹脂組成物の製造>
実施例1−6:
実施例1−1で得たアニリンブラック1−1粒子1.5gとポリ塩化ビニル樹脂粉末103EP8D(日本ゼオン株式会社製)48.5gとを秤量し、これらを100ccポリビーカーに入れ、スパチュラでよく混合して混合粉末を得た。得られた混合粉末にステアリン酸カルシウムを0.5g加えて混合し、160℃に加熱した熱間ロールのクリアランスを0.2mmに設定し、上記混合粉末を少しずつロールに練り込んで樹脂組成物が一体となるまで混練を続けた後、樹脂組成物をロールから剥離した。次に、表面研磨されたステンレス板の間に上記樹脂組成物を挟んで180℃に加熱したホットプレス内に入れ、1トン/cmの圧力で加圧成形して厚さ1mmの樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物の分散状態は5で、L値は7.9となり、黒色度は◎であった。
実施例1−7〜1−10、比較例1−6〜1−10:
アニリンブラック粒子の種類を変化させた以外は、前記実施例6と同様にして樹脂組成物を得た。
このときに得られた樹脂組成物の諸特性を表1−3に示す。
Figure 0006706917
以上のように、第1の発明の樹脂組成物は、分散状態に優れ、黒色度に優れることは明白である。
<水系分散体の製造>
実施例1−11:
140mlのガラスビンに、実施例1で得たアニリンブラック粉末7.50gを用い、水系分散体組成を下記割合で配合して1.5mmφガラスビーズ50gとともにペイントシェーカーで60分間混合分散し水系分散体を調製した。
アニリンブラック 7.50重量部、
アニオン系界面活性剤 2.50重量部、
(ハイテノールNF−08 :第一工業製薬製)
スチレン−アクリル共重合体 10.00重量部、
(JONCRYL63J :BASF製)
消泡剤 0.50重量部、
(エンバイロジェムAD−01 :日信化学工業製)
水 31.00重量部。
得られた水系分散体の粘度は13.8mPa・sであった。保存安定性は○であった。以上より、分散性は良好である。また、光沢度は20%で塗膜はL値が8.6、a値が0.0、b値が0.0であり、目標どおり漆黒の黒を表現できた。
実施例1−12〜1−15、比較例1−11〜1−15:
アニリンブラック粒子の種類を種々変化させた以外は、前記実施例1−11と同様にして水系分散体を得た。目標色としては、実施例1−12は青味の黒、実施例1−13は青味の黒、実施例1−14は紫味の黒、実施例1−15は紫味の黒+蛍光である。
このときに得られた水系分散体の諸特性を表1−4に示す。
Figure 0006706917
以上のように、第1の発明の水系分散体は、分散性に優れ、目標に応じた色相の黒を表現でき、従来では表現しづらかった青味の黒、紫味の黒、漆黒の黒でも表現することが可能であり、黒色度に優れることは明白である。
<溶剤系分散体の製造>
実施例1−16:
140mlのガラスビンに、実施例1−1で得たアニリンブラック1−1粉末7.50gを用い、溶剤系分散体組成を下記割合で配合して1.5mmφガラスビーズ50gとともにペイントシェーカーで60分間混合分散し溶剤系分散体を調製した。
アニリンブラック1−1 7.50重量部、
高分子分散剤 2.00重量部、
(PB822:味の素ファインテクノ製)
スチレンーアクリル共重合体 3.00重量部、
(JONCRYL680:BASF製)
プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート
37.50重量部。
得られた溶剤系粘度は15.1mPa・sであった。保存安定性は○であった。以上より、分散性は良好である。また、光沢度は20%で塗膜はL値が8.9、a値が0.0、b値が0.0であり、目標どおり漆黒の黒を表現できた。
実施例1−17〜1−20、比較例1−16〜1−20:
アニリンブラックの種類を種々変化させた以外は、前記実施例1−16と同様にして溶剤系分散体を得た。目標色としては、実施例1−17は青味の黒、実施例1−18は青味の黒、実施例1−19は紫味の黒、実施例1−20は紫味の黒+蛍光である。
このときに得られた溶剤系分散体の諸特性を表1−5に示す。
Figure 0006706917
以上のように、第1の発明の溶剤系分散体は、分散性に優れ、目標に応じた色相の黒を表現でき、従来では表現しづらかった青味の黒、紫味の黒、漆黒の黒でも表現することが可能であり、黒色度に優れることは明白である。
以下の実施例2−1〜2−20及び比較例2−1〜2−20は、第2の発明に関する例である。
<アニリンブラックの製造>
実施例2−1:
35%塩酸31.8g(0.32mol)と水2500mlに、アニリン30g(0.32mol)を入れ、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム10.4g(0.032mol)を添加し、酸性水溶液とした。この液にカーボンブラック3.0g(REGAL330R、一次粒子の平均粒径0.025μm、キャボット製)を添加し、クレアミックス(エムテクニック製)を用いて分散操作を行った。その後、液温60℃で攪拌混合しながら、塩化第二鉄4.6g(0.036mol)を水70mlに溶解した水溶液、30%過酸化水素78.0g(0.69mol)を2時間かけて滴下し、その後液温60℃にて1時間攪拌混合(熟成)を行い反応終了とした。反応終了後、反応液を濾過、水洗し得られたケーキを1000mlの水を用い再分散させ、24時間攪拌した。その後10%カセイソーダにてpH8.0に中和し、pHが安定した後濾過、水洗しペーストを60℃で乾燥してアニリンブラックを得た(アニリンブラック2−1)。
アニリンブラック2−1に含まれるカーボンブラックの量を定量するため、アニリンブラック2−1、1.00gを秤量し、N−メチルピロリドン10mLを加えてアニリンブラックを溶解した。その後、濾過し、N−メチルピロリドン、純水で洗浄、乾燥して、黒色粒子0.09gを得た。この黒色粒子の赤外吸収スペクトル測定(島津FT−IR8300:島津製作所製)、および、炭素含有量の定量からカーボンブラックであることが同定された。つまり、アニリンブラック2−1は、カーボンブラックを、アニリンブラック基本骨格100重量部に対して、10重量部含むことが明らかとなった。また、このカーボンブラックの一次粒子の平均粒径は0.025μmであった。
また、アニリンブラック2−1の体積固有抵抗値は2×10Ω・cmであった。比較例1に示したノンクロムアニリンブラック(体積固有抵抗値:6×10Ω・cm)に10重量%のカーボンブラックを混合して体積固有抵抗値を測定すると、2×10Ω・cmとなり、少量でもカーボンブラックを単純混合すると劇的に体積固有抵抗値が低下する。アニリンブラック2−1の体積固有抵抗値が低下しないのは、カーボンブラックがアニリンブラックに被覆されているためであると推定される。
また、このアニリンブラック2−1の硫黄含有量は1.5重量%であった。硫黄成分の由来は添加したドデシルベンゼンスルホン酸によるものであり、このドデシルベンゼンスルホン酸は、酸基としてアニリンブラックの一部となっていると推定される。ドデシルベンゼンを添加せず、本反応を行うと、カーボンブラックとアニリンブラックが別々に存在する混合粒子が得られる。この混合粒子の体積固有抵抗値は2×10Ω・cmであり、前述のアニリンブラックとカーボンブラックの混合物の値と一致する。このように、アニリンブラックとカーボンブラックの複合化にはドデシルベンゼンスルホン酸のような含硫黄化合物が有効に作用している。
実施例2−2〜2−5:
カーボンブラックの種類と量、反応条件を種々変化させた以外は前記実施例2−1と同様にして、本発明に係るアニリンブラックを得た。
これらの実施例における製造条件を表2−1に、得られたアニリンブラックの諸特性を表2−2に示す。
比較例2−1(特開2012−153744号公報の実施例1の追試実験):
比較例1−1と同様の操作によりアニリンブラックを得た(アニリンブラック2−6)。
比較例2−2(特開2012−153745号公報の実施例1の追試実験):
比較例1−2と同様の操作によりアニリンブラックを得た(アニリンブラック2−7)。
比較例2−3(特開2001−261989号公報の実施例5の追試実験):
比較例1−3と同様の操作によりアニリンブラックを得た(アニリンブラック2−8)。
比較例2−4(特開2000−72974号公報の実施例1の追試実験):
比較例1−4と同様の操作によりアニリンブラックを得た(アニリンブラック2−9)。
比較例2−5(特開平9−31353号公報の実施例4の追試実験):
比較例1−5と同様の操作によりアニリンブラックを得た(アニリンブラック2−10)。
これらの比較例の製造条件を表2−1に、得られたアニリンブラックの諸特性を表2−2に示す。
Figure 0006706917
Figure 0006706917
以上のように、第2の発明に係るアニリンブラック粒子は、黒色度に優れ、体積固有抵抗値が高く、耐熱性の高いアニリンブラックであることは明らかである。
<樹脂組成物の製造>
実施例2−6:
実施例2−1で得たアニリンブラック2−1粒子1.5重量部とスチレン−アクリル共重合体JONCRYL680(BASF製)48.5重量部とを秤量し、混合して混合粉末を得た。得られた混合粉末にステアリン酸カルシウム0.5重量部を加えて混合し、160℃に加熱した熱間ロールのクリアランスを0.2mmに設定し、上記混合粉末を少しずつロールに練り込んで樹脂組成物が一体となるまで混練を続けた後、樹脂組成物をロールから剥離した。次に、表面研磨されたステンレス板の間に上記樹脂組成物を挟んで180℃に加熱したホットプレス内に入れ、1トン/cmの圧力で加圧成形して厚さ1mmの樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物の分散性は5で、L値は7.5となり、黒色度は◎であった。
さらに、熱による減色率は12%で、耐熱性は○であった。
実施例2−7〜2−10、比較例2−6〜2−10:
アニリンブラックの種類を変化させた以外は、前記実施例2−6と同様にして樹脂組成物を得た。
このときに得られた樹脂組成物の諸特性を表2−3に示す。
Figure 0006706917
以上のように、第2の発明の樹脂組成物は、分散性に優れ、黒色度に優れ、耐熱性が高いことは明らかである。
<水系分散体の製造>
実施例2−11:
実施例2−1で得たアニリンブラック2−1を用い、水系分散体組成を下記割合で配合して1.5mmφガラスビーズ50重量部とともにペイントシェーカーで60分間混合分散し水系分散体を調製した。
アニリンブラック2−1 7.50重量部、
アニオン系界面活性剤 2.50重量部、
(ハイテノールNF−08 :第一工業製薬製)
スチレン−アクリル共重合体 10.00重量部、
(JONCRYL63J :BASF製)
消泡剤 0.50重量部、
(エンバイロジェムAD−01 :日信化学工業製)
水 31.00重量部。
得られた水系分散体の粘度は7.5mPa・sであった。保存安定性は○であった。以上より、分散性は良好である。また、光沢度は19%で、L値が8.2、a値が−0.3、b値が−0.1であり、黒色度は◎であった。さらに、熱による減色率は14%で、耐熱性は○であった。
実施例2−12〜2−15、比較例2−11〜2−15:
アニリンブラックの種類を種々変化させた以外は、前記実施例2−11と同様にして水系分散体を得た。
このときに得られた水系分散体の諸特性を表2−4に示す。
Figure 0006706917
以上のように、第2の発明の水系分散体は、保存安定性、光沢度といった分散性に優れ、黒色度、耐熱性に優れることは明らかである。
<溶剤系分散体の製造>
実施例2−16:
実施例1で得たアニリンブラック2−1を用い、溶剤系分散体組成を下記割合で配合して1.5mmφガラスビーズ50重量部とともにペイントシェーカーで60分間混合分散し溶剤系分散体を調製した。
アニリンブラック2−1 7.50重量部、
高分子分散剤 2.00重量部、
(PB822:味の素ファインテクノ製)
スチレンーアクリル共重合体 3.00重量部、
(JONCRYL680:BASF製)
プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート
37.50重量部。
得られた溶剤系粘度は8.0mPa・sであった。保存安定性は○であった。以上より、分散性は良好である。また、光沢度は20%で塗膜はL値が7.5、a値が−0.2、b値が−0.1であり、黒色度は◎であった。さらに、熱による減色率は15%で、耐熱性は○であった。
実施例2−17〜2−20、比較例2−16〜2−20:
アニリンブラックの種類を種々変化させた以外は、前記実施例2−16と同様にして溶剤系分散体を得た。
このときに得られた溶剤系分散体の諸特性を表2−5に示す。
Figure 0006706917
以上のように、第2の発明の溶剤系分散体は、保存安定性、光沢度といった分散性に優れ、黒色度、耐熱性に優れることは明らかである。
以下の実施例3−1〜3−28及び比較例3−1〜3−20は、第3の発明に関する例である。
<アニリンブラックの製造>
実施例3−1:
71%硫酸15.8重量部と35%塩酸31.8重量部と水2500重量部に、アニリン30重量部を入れ、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム9.1重量部を添加し、酸性水溶液とした。この液にフタロシアニン(C.I.Pigment Blue15:3)3.0重量部(HOSTAPERM BLUE B4G、一次粒子の平均粒径0.1μm、クラリアント製)を添加し、クレアミックス(エムテクニック製)を用いて分散操作を行った。その後、液温60℃で攪拌混合しながら、塩化第二鉄6水和物4.0重量部を水70重量部に溶解した水溶液、35%過酸化水素水73.0重量部を2時間かけて滴下し、その後液温60℃にて1時間攪拌混合(熟成)を行い反応終了とした。反応終了後、反応液を濾過、水洗し得られたケーキを1000重量部の水を用い再分散させ、24時間攪拌した。その後10%水酸化ナトリウム水溶液にてpH8.0に中和し、pHが安定した後濾過、水洗しペーストを60℃で乾燥してアニリンブラックを得た(アニリンブラック3−1)。
フタロシアニンとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含まない以外は同一条件で調製した比較例3−1のアニリンブラック3−9はa=0.1、b=0.7と黒味の黒でありながら、若干ながら赤味を有している。これに対し、本実施例のアニリンブラック3−1は顔料の種類、量を選定して含むことにより、a=0.0、b=0.0に意図的に調整して、調製されており、目標どおり、漆黒の黒を表現できている。
アニリンブラック3−1に含まれるフタロシアニンの量を定量するため、アニリンブラック3−1、1.00重量部を秤量し、N−メチルピロリドン10重量部を加えてアニリンブラックを溶解した。その後、濾過し、N−メチルピロリドン、純水で洗浄、乾燥して、シアン粒子0.09重量部を得た。このシアン粒子の赤外吸収スペクトル測定(島津FT−IR8300:島津製作所製)から原料に用いたフタロシアニンと同一であることが同定された。つまり、アニリンブラック3−1は、フタロシアニンを、アニリンブラック基本骨格100重量部に対して、10重量部含むことが明らかとなった。また、このフタロシアニンの一次粒子の平均粒径は0.10μmであった。
また、アニリンブラック3−1の体積固有抵抗値は2×10Ω・cmであった。従来から黒色顔料としてよく用いられているカーボンブラックの体積固有抵抗値は1×10−2Ω・cm程度であり、アニリンブラック3−1の体積固有抵抗値は高いといえる。
また、このアニリンブラック3−1の硫黄含有量は1.5重量%であった。比較例3−1の反応条件で硫酸が含まれていながら、アニリンブラック3−9の硫黄含有量が0.1重量%であったことより、アニリンブラック3−1の硫黄成分の由来は添加したドデシルベンゼンスルホン酸によるものであると推定できる。さらには、ドデシルベンゼンスルホン酸が水酸化ナトリウムの中和後でも残存していることを鑑みると、このドデシルベンゼンスルホン酸は、アニリンブラックに化学的に強く結びついているものと考えられる。つまり、酸基としてアニリンブラックの一部となっていると推定される。ドデシルベンゼンスルホン酸を添加せず、本反応を行うと、フタロシアニンとアニリンブラックが別々に存在する混合粒子が得られ、明らかにまだら模様である。このように、アニリンブラックとフタロシアニンの複合化にはドデシルベンゼンスルホン酸のような含硫黄化合物が有効に作用している。
実施例3−2〜3−8:
顔料の種類と量、反応条件を種々変化させた以外は前記実施例3−1と同様にして、本発明に係るアニリンブラックを得た。
これらの実施例における製造条件を表3−1に、得られたアニリンブラックの諸特性を表3−2に示す。
比較例3−1(特開2012−153744号公報の実施例1の追試実験):
比較例1−1と同様の操作によりアニリンブラックを得た(アニリンブラック3−9)。
比較例3−2(特開2012−153745号公報の実施例1の追試実験):
比較例1−2と同様の操作によりアニリンブラックを得た(アニリンブラック3−10)。
比較例3−3(特開2001−261989号公報の実施例5の追試実験):
比較例1−3と同様の操作によりアニリンブラックを得た(アニリンブラック3−11)。
比較例3−4(特開2000−72974号公報の実施例1の追試実験):
比較例1−4と同様の操作によりアニリンブラックを得た(アニリンブラック3−12)。
比較例3−5(特開平9−31353号公報の実施例4の追試実験):
比較例1−5と同様の操作によりアニリンブラックを得た(アンリンブラック3−13)。
これらの比較例の製造条件を表3−1に、得られたアニリンブラックの諸特性を表3−2に示す。
Figure 0006706917
Figure 0006706917
以上のように、第3の発明に係るアニリンブラックは、様々な目的に応じた色相の黒を表現でき、黒色度に優れ、体積固有抵抗値が高いアニリンブラックであることは明らかである。
<樹脂組成物の製造>
実施例3−9:
実施例3−1で得たアニリンブラック3−1粒子1.5重量部とスチレン−アクリル共重合体JONCRYL680(BASF製)48.5重量部とを秤量し、混合して混合粉末を得た。得られた混合粉末にステアリン酸カルシウム0.5重量部を加えて混合し、160℃に加熱した熱間ロールのクリアランスを0.2mmに設定し、上記混合粉末を少しずつロールに練り込んで樹脂組成物が一体となるまで混練を続けた後、樹脂組成物をロールから剥離した。次に、表面研磨されたステンレス板の間に上記樹脂組成物を挟んで180℃に加熱したホットプレス内に入れ、1トン/cmの圧力で加圧成形して厚さ1mmの樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物の分散性は5で、L値は7.5となり、黒色度は◎であった。
実施例3−10〜3−16、比較例3−6〜3−10:
アニリンブラックの種類を変化させた以外は、前記実施例3−9と同様にして樹脂組成物を得た。
このときに得られた樹脂組成物の諸特性を表3−3に示す。
Figure 0006706917
以上のように、本発明の樹脂組成物は、分散性に優れ、黒色度に優れることは明らかである。
<水系分散体の製造>
実施例3−17
実施例3−1で得たアニリンブラック3−1粒子を用い、水系分散体組成を下記割合で配合して1.5mmφガラスビーズ50重量部とともにペイントシェーカーで60分間混合分散し水系分散体を調製した。
アニリンブラック3−1粒子 7.50重量部、
アニオン系界面活性剤 2.50重量部、
(ハイテノールNF−08 :第一工業製薬製)
スチレン−アクリル共重合体 10.00重量部、
(JONCRYL63J :BASF製)
消泡剤 0.50重量部、
(エンバイロジェムAD−01 :日信化学工業製)
水 31.00重量部。
得られた水系分散体の粘度は7.5mPa・sであった。保存安定性は○であった。以上より、分散性は良好である。また、光沢度は19%で、L値が8.2、a値が0.0、b値が0.0であり、黒色度は◎であり、漆黒の黒を表現できた。
実施例3−18〜3−24、比較例3−11〜3−15:
アニリンブラックの種類を種々変化させた以外は、前記実施例3−17と同様にして水系分散体を得た。
このときに得られた水系分散体の諸特性を表3−4に示す。
Figure 0006706917
以上のように、第3の発明の水系分散体は、様々な目的に応じた色相の黒を表現でき、保存安定性、光沢度といった分散性に優れ、黒色度に優れることは明らかである。
<溶剤系分散体の製造>
実施例3−25
実施例3−1で得たアニリンブラック3−1粒子を用い、溶剤系分散体組成を下記割合で配合して1.5mmφガラスビーズ50重量部とともにペイントシェーカーで60分間混合分散し溶剤系分散体を調製した。
アニリンブラック3−1粒子 7.50重量部、
高分子分散剤 2.00重量部、
(PB822:味の素ファインテクノ製)
スチレンーアクリル共重合体 3.00重量部、
(JONCRYL680:BASF製)
プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート
37.50重量部。
得られた溶剤系粘度は8.0mPa・sであった。保存安定性は○であった。以上より、分散性は良好である。また、光沢度は20%で塗膜はL値が7.5、a値が0.0、b値が0.0であり、漆黒の黒を表現できた。黒色度は◎であった。
実施例3−26〜3−32、比較例3−16〜3−20:
アニリンブラックの種類を種々変化させた以外は、前記実施例3−16と同様にして溶剤系分散体を得た。
このときに得られた溶剤系分散体の諸特性を表3−5に示す。
Figure 0006706917
以上のように、第3の発明の溶剤系分散体は、様々な目的に応じた色相の黒を表現でき、保存安定性、光沢度といった分散性に優れ、黒色度に優れることは明らかである。
以下の実施例4−1〜4−15及び比較例4−1〜4−15は、第4の発明に関する例である。
<アニリンブラックの製造>
実施例4−1:
35%塩酸31.8g(0.32mol)と水2500mlに、アニリン30g(0.32mol)を入れ、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム10.4g(0.032mol)を添加し、酸性水溶液とした。その後、液温60℃で攪拌混合しながら、塩化第二鉄4.6g(0.036mol)を水70mlに溶解した水溶液、30%過酸化水素78.0g(0.69mol)を2時間かけて滴下し、その後液温60℃にて1時間攪拌混合を行い反応終了とした。反応終了後、反応液を濾過、水洗し得られたケーキを1000mlの水を用い再分散させ、24時間攪拌した。その後、ラウリルアミン1.5gを適量の1N塩酸水溶液に溶解して添加し、1時間攪拌した。その後、10%水酸化ナトリウム水溶液にてpH8.0に中和し、pHが安定した後濾過、水洗し、ペーストを60℃で乾燥してアニリンブラックを得た。(アニリンブラック4−1)
アニリンブラック4−1の疎水化度は10体積%であった。比較例にあるアニリンブラックの疎水化度は全て0体積%であり、表面処理が疎水化に有効に機能していることがわかる。
また、アニリンブラック4−1に含まれる処理剤の量を定量するため、アニリンブラック4−1、1.0gを秤量し、1N塩酸10mLを加えて1時間攪拌した。その後濾過し、濾液に1N水酸化ナトリウムを加えていくと沈殿が生じた。この沈殿を濾過、乾燥し、0.05gの固形分を得た。この固形分の赤外吸収スペクトル測定(島津FT−IR8300:島津製作所製)、および、炭素含有量の定量から、ラウリルアミンであることが同定された。つまり、アニリンブラック4−1は、ラウリルアミンが5.0重量%表面に存在することが明らかとなった。
また、このアニリンブラック4−1の硫黄含有量は1.6重量%であった。硫黄成分の由来は添加したドデシルベンゼンスルホン酸によるものであり、このドデシルベンゼンスルホン酸は、酸基としてアニリンブラックの一部となっているものと推定される。ドデシルベンゼンスルホン酸を添加せず、本反応を行うと、一見アニリンブラック4−1と外見上変化ない粒子が得られるが、硫黄含有量は0.1重量%で、疎水化度は1.5体積%と低く、樹脂や有機溶剤への分散性が低いものとなった。このように、アニリンブラックの表面処理にはドデシルベンゼンスルホン酸のような含硫黄化合物が有効に作用している。
実施例4−2〜4−5:
処理剤の種類と量、反応条件を種々変化させた以外は前記実施例4−1と同様にして、本発明に係るアニリンブラックを得た。
これらの実施例における製造条件を表4−1に、得られたアニリンブラックの諸特性を表4−2に示す。
比較例4−1(特開2012−153744号公報の実施例1の追試実験):
比較例1−1と同様の操作によりアニリンブラックを得た(アニリンブラック4−6)。
比較例4−2(特開2012−153745号公報の実施例1の追試実験):
比較例1−2と同様の操作によりアニリンブラックを得た(アニリンブラック4−7)。
比較例4−3(特開2001−261989号公報の実施例5の追試実験):
比較例1−3と同様の操作によりアニリンブラックを得た(アニリンブラック4−8)。
比較例4−4(特開2000−72974号公報の実施例1の追試実験):
比較例1−4と同様の操作によりアニリンブラックを得た(アニリンブラック4−9)。
比較例4−5(特開平9−31353号公報の実施例4の追試実験):
比較例1−5と同様の操作によりアニリンブラックを得た(アンリンブラック4−10)。
これらの比較例の製造条件を表4−1に、得られたアニリンブラックの諸特性を表4−2に示す。
Figure 0006706917
Figure 0006706917
実施例のアニリンブラックは、いずれも、樹脂への分散性が「〇」であって有機溶剤への分散性も「〇」であった。一方、比較例のアニリンブラックは、いずれも、樹脂への分散性が「×」であって有機溶剤への分散性も「×」であった。以上のように、第4の発明に係るアニリンブラックは、樹脂や有機溶剤などの疎水性媒体への分散性に優れ、黒色度に優れ、体積固有抵抗値が高いアニリンブラックであることは明らかである。
<樹脂組成物の製造>
実施例4−6:
実施例4−1で得たアニリンブラック4−1粒子24.0gとポリエステル樹脂DIACRON ER561(三菱レイヨン製)36.0gを秤量し、サンプルミルにて粉砕した。これを、ラボプラストミル(東洋精機製)にて120℃、25rpmで10分間混練し、取り出したのち室温まで冷却した。こののち、超遠心粉砕機 ZM200(レッチェ製)を用いて12000rpmにて粉砕し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物の分散性は5で、L値は8.0となり、黒色度は◎であった。
実施例4−7〜4−10、比較例4−6〜4−10:
アニリンブラックの種類を変化させた以外は、前記実施例4−6と同様にして樹脂組成物を得た。
このときに得られた樹脂組成物の諸特性を表4−3に示す。
Figure 0006706917
以上のように、第4の発明の樹脂組成物は、分散性に優れ、黒色度に優れることは明らかである。
<溶剤系分散体の製造>
実施例4−11:
実施例1で得たアニリンブラック4−1を用い、溶剤系分散体組成を下記割合で配合して1.5mmφガラスビーズ50gとともにペイントシェーカーで60分間混合分散し溶剤系分散体を調製した。
アニリンブラック 7.50重量部、
高分子分散剤 2.00重量部、
(PB822:味の素ファインテクノ製)
スチレンーアクリル共重合体 3.00重量部、
(JONCRYL611:BASF製)
プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート
37.50重量部。
得られた溶剤系粘度は8.2mPa・sであった。保存安定性は○であった。以上より、分散性は良好である。また、光沢度は21%で塗膜はL値が8.0、a値が−0.5、b値が−0.4であった。
実施例4−12〜4−15、比較例4−11〜15:
アニリンブラックの種類を種々変化させた以外は、前記実施例11と同様にして溶剤系分散体を得た。
このときに得られた溶剤系分散体の諸特性を表4−4に示す。
Figure 0006706917
以上のように、第4の発明の溶剤系分散体は、保存安定性、光沢度といった分散性に優れ、黒色度に優れることは明らかである。
本発明に係るアニリンブラックは、クロムなどの有害物質を含まず、用途、目的に応じた自在な黒表現が可能で、従来では表現しづらかった青味の黒、紫味の黒、漆黒の黒でも表現することが可能であり、黒色度が高く、体積固有抵抗値が高いので、電子写真用非磁性現像剤、トナー用荷電制御剤、ブラックマトリクス用着色剤などの電子機器などの分野や、アイブロウペンシル、アイブロウパウダー、アイブロウマスカラ、アイシャドー、コンパクトパウダー、ファンデーション、リップスティック、ネイルエナメルなどの化粧料、塗料、印刷インキ、インクジェットインキなどの各種用途として好適である。また、該アニリンブラックを含んでなる樹脂組成物、水系分散体、および、溶剤系分散体においては、用途、目的に応じた自在な黒表現が可能で、従来では表現しづらかった青味の黒、紫味の黒、漆黒の黒でも表現することが可能であり、黒色度が高く、分散性に優れ、体積固有抵抗値が高く、耐熱性の高いので電子写真用非磁性現像剤、トナー用荷電制御剤、ブラックマトリクス用着色剤などの電子機器などの分野や、てアイブロウペンシル、アイブロウパウダー、アイブロウマスカラ、アイシャドー、コンパクトパウダー、ファンデーション、リップスティック、ネイルエナメルなどの化粧料、塗料、印刷インキ、インクジェットインキなどの各種用途として好適である。

Claims (11)

  1. 重クロム酸塩と銅塩との不存在下、酸性染料の存在下にアニリンを酸化重合して得られた、酸性染料を含むアニリンブラック粒子であり、酸性染料の含有量が、アニリンブラック基本骨格100重量部に対して1〜30重量部であり、酸性染料が、少なくとも、芳香族スルホン酸、芳香族カルボン酸、フェノール、芳香族リン酸、芳香族ホウ酸、チオフェノールから選ばれる官能基の1種以上、または、それらの塩の官能基を有する、ことを特徴とする酸性染料を含むアニリンブラック粒子。
  2. 酸性染料が、トリフェニルメタン、キサンテン、インジゴ、ナフトールアゾ、アントラキノン、フタロシアニンのいずれかの骨格を持つ請求項1に記載のアニリンブラック粒子。
  3. 体積固有抵抗が10 〜10 10 Ω・cmである請求項1又は2に記載のアニリンブラック粒子。
  4. 一次粒子の平均粒径が0.05〜1.0μmの範囲である請求項1〜3のいずれかに記載のアニリンブラック粒子。
  5. 粉体pHが4.0〜9.0である請求項1〜4のいずれかに記載のアニリンブラック粒子。
  6. 酸性染料がアニリンブラックの酸基の一部として含まれることで不溶化してなる請求項1に記載のアニリンブラック粒子。
  7. 酸性染料がアニリンブラックの高分子の絡み合いの中に層状に含まれることで不溶化してなる請求項1又は6に記載のアニリンブラック粒子。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のアニリンブラック粒子を含んでなる樹脂組成物。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載のアニリンブラック粒子を含んでなる水系分散体。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載のアニリンブラック粒子を含んでなる溶剤系分散体。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載のアニリンブラック粒子の製造方法であって、アニリン、または、アニリンの酸塩、あるいは、それらの混合物を水に溶解し、酸にて所定のpHに調整したのち、酸性染料を加え、溶解して酸性水溶液とする第一工程、前記酸性水溶液に酸化剤の分解触媒となりうる金属または金属塩を添加して混合溶液とし、混合溶液を攪拌しながら、酸化剤を滴下し、酸化重合して、粗アニリンブラックを得る第二工程、該粗アニリンブラックをアルカリ剤により中和して、濾過、水洗、乾燥を行った後、粉砕する第三工程を含むアニリンブラック粒子の製造方法。
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