JP6706764B2 - 加熱調理器 - Google Patents

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Description

本発明は、調理容器内の調理物を撹拌する撹拌体を備えた撹拌機能付き加熱調理器に関する。
従来、この種の加熱調理器について図15〜図17と共に説明する。
図15は、従来の加熱調理器の撹拌体の斜視図である。図15に示すように、撹拌体100は、撹拌体100が回転軸100Aを中心として調理容器内で回転する際、調理物を調理容器の内周面に向けて押圧する押圧部101と、調理容器の内周面側に位置する調理物を調理容器の中心部に向かって反転させる反転部102とを備えている。押圧部101は、平面視において回転方向X100の下流側に向けて凸状に湾曲し、反転部102に近づくに従い高さが低くなるように形成されている。また、反転部102は、回転方向X100の上流側に向かうに従い上方に傾斜する第1傾斜面102Aと、第1傾斜面102Aに隣接し、第1傾斜面102Aの頂部から回転軸A100側に向かって下方に傾斜する第2傾斜面102Bを有している(例えば、特許文献1参照)。
図16は従来の他の加熱調理器の撹拌体の平面図であり、図17はその撹拌体の側面図である。図16、図17に示すように、撹拌体200は、平面視において回転方向X200の下流側に向けて凸状に湾曲するブレード201を備えている。ブレード201は、ほぼ板状の部材であり、その全長にわたって、回転方向X200の上流側に向かうに従い上方へ傾斜するように設けられている。また、ブレード201は、回転軸A200から離れるに従い高さが低くなるように形成され、その先端部はやや高さが高くなるように形成されている。すなわち、ブレード201の先端部より回転軸A200側には傾斜が緩やかな窪み部201Bが形成されている。また、ブレード201の回転方向X200の上流側の中心部には、ブレード201の延在方向に対して略直交する方向に延在するフィン202が設けられている。フィン202は、ブレード201の上端部よりも高さが高くなるように形成されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第5250428号公報 特表2014−533544号公報
特許文献1の加熱調理器において、フライドポテトのような比較的大きな調理物を調理する場合、この調理物は、通常、撹拌体100の回転方向X100の回転に伴って、押圧部101により調理容器の内周面側へ押圧される。調理容器の内周面側へ押圧された調理物は、当該内周面によって回転軸A100から離れる方向への移動を規制されて反転部102の第1傾斜面102Aに沿って第1傾斜面102Aの頂部に上り、第2傾斜面102Bに沿って回転軸A100側に落ちる。この際、この調理物には回転力が働き、この調理物は反転する。その結果、加熱ムラが抑えられると考えられる。
一方、特許文献1の加熱調理器において、みじん切りした玉ネギのような比較的小さな調理物を加熱調理する場合、この調理物は、加熱の初期段階では、通常、大きな調理物と同様に移動する。すなわち、この調理物は、押圧部101、第1傾斜面102A、及び第2傾斜面102Bに沿って移動し反転する。
しかしながら、加熱が進むに連れて、この調理物の内部から水分が排出され始めると、この調理物が撹拌体100に付着しやすくなるとともに、調理容器の底面からの抵抗が減少する。このため、この調理物が、押圧部101により調理容器の内周面側へ移動し難くなるとともに、反転部102の第1傾斜面102A上を上り難くなる。また、第1傾斜面102Aは、半径方向に対して平行に設けられており、調理物を回転軸A100側に向ける成分を有していない。このため、第1傾斜面102Aが堰となって、この調理物が撹拌体100と共に回転し易くなる。その結果、調理物の同じ部分が加熱され続けることになり、加熱ムラが生じる。
また、特許文献2の加熱調理器において、みじん切りした玉ネギのような比較的小さな調理物を加熱調理する場合、この調理物は、通常、ブレード201により調理容器の内周面へ押圧される。この調理容器の内周面側へ押圧された調理物は、窪み部201Bの高さが低いことにより、窪み部201Bを乗り越えるように移動する。この現象は、調理容器の内周面側の調理物の量が多くなれば、窪み部201Bを容易に乗り越えることができるので、加熱の初期段階のみならず後期段階においても発生する。したがって、この調理物が撹拌体200と共に回転することが抑えられる。
一方、特許文献2の加熱調理器において、フライドポテトのような比較的大きな調理物を加熱調理する場合、この調理物の一部は、ブレード201上を上り、フィン202に接触してブレード201を乗り越える。このとき、この調理物には回転力が働き、この調理物は反転する。しかしながら、この調理物の多くは、通常、小さな調理物と同様に、ブレード201により調理容器の内周面へ押圧され、窪み部201Bを乗り越えるように移動する。この場合、窪み部201Bの高さが低いために、この調理物に働く回転力が弱くなり、この調理物は反転し難くなる。その結果、調理物の同じ部分が加熱され続けることになり、加熱ムラが生じることになる。
従って、特許文献1及び特許文献2に開示された加熱調理器において、比較的大きい調理物及び比較的小さな調理物の両方をより均一に加熱調理するという観点において、未だ改善の余地がある。
本発明は、比較的小さな調理物及び比較的大きな調理物の両方をより均一に加熱調理することができる撹拌機能付き加熱調理器を提供する。
本発明は、調理容器内に収容された調理物を撹拌する撹拌体を備える撹拌機能付き加熱調理器であって、撹拌体は、調理容器の底面の中心部に回転自在に取り付けられるハウジングと、ハウジングの外周面から調理容器の内周面に向けて延在するとともに、平面視においてハウジングの回転方向の下流側に向けて凸状に湾曲するブレードと、を備える。また、ブレードは、回転方向の下流側に位置する前方縁と、前方縁よりも回転方向の上流側に位置する後方縁と、を有している。さらに、ブレードの先端部分は、平面視において調理容器の内周面に沿うように湾曲するとともに、回転方向の上流側に向かうに従い上方に傾斜し、ハウジングの近傍において、前方縁は後方縁よりも下方に位置し、先端部分の近傍において、前方縁は後方縁よりも上方に位置している。
この構成により、比較的小さな調理物及び比較的大きな調理物の両方をより均一に加熱調理することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の斜視図である。 図2は、本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の断面図である。 図3は、本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の蓋体を取り外した状態を示す平面図である。 図4は、本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌体の斜視図である。 図5は、本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌体の側面図である。 図6は、本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌体の平面図である。 図7Aは、図6の7A−7A断面図である。 図7Bは、図6の7B−7B断面図である。 図7Cは、図6の7C−7C断面図である。 図7Dは、図6の7D−7D断面図である。 図7Eは、図6の7E−7E断面図である。 図7Fは、図6の7F−7F断面図である。 図8Aは、本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌体が調理物を撹拌する様子を示す平面図である。 図8Bは、本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌体が調理物を撹拌する様子を示す平面図である。 図8Cは、本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌体が調理物を撹拌する様子を示す平面図である。 図8Dは、本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌体が調理物を撹拌する様子を示す平面図である。 図9Aは、図8Aの9A−9A断面図である。 図9Bは、図8Bの9B−9B断面図である。 図9Cは、図8Cの9C−9C断面図である。 図9Dは、図8Dの9D−9D断面図である。 図10Aは、本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌体が調理物を撹拌するときの撹拌体と邪魔部と調理物との位置関係を示す平面図である。 図10Bは、本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌体が調理物を撹拌するときの撹拌体と邪魔部と調理物との位置関係を示す平面図である。 図10Cは、本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌体が調理物を撹拌するときの撹拌体と邪魔部と調理物との位置関係を示す平面図である。 図10Dは、本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌体が調理物を撹拌するときの撹拌体と邪魔部と調理物との位置関係を示す平面図である。 図11Aは、図10Aに示す位置関係にある本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の一部断面で示す斜視図である。 図11Bは、図10Bに示す位置関係にある本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の一部断面で示す斜視図である。 図11Cは、図10Cに示す位置関係にある本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の一部断面で示す斜視図である。 図11Dは、図10Dに示す位置関係にある本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器の一部断面で示す斜視図である。 図12は、本発明の第2の実施の形態に係る加熱調理器の断面図である。 図13は、本発明の第2の実施の形態に係る加熱調理器の蓋体を取り外した状態を示す平面図である。 図14は、本発明の第2の実施の形態に係る加熱調理器の撹拌体の斜視図である。 図15は、従来の加熱調理器の撹拌体の斜視図である。 図16は、従来の他の加熱調理器の撹拌体の平面図である。 図17は、従来の他の加熱調理器の撹拌体の側面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、これから説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る加熱調理器は、調理容器内に収容された調理物を撹拌する撹拌体を備える撹拌機能付き加熱調理器である。図1は、本実施の形態に係る加熱調理器の斜視図である。図2は、本実施の形態に係る加熱調理器の断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る加熱調理器は、略有底筒状の機器本体1と、機器本体1の上部開口部を開閉自在に覆う蓋体2とを備えている。蓋体2は、図2に示すように、機器本体1の上方後部(図2の右上側)に設けられたヒンジ部1Aに回動自在に取り付けられている。
機器本体1の前部には、調理メニューの選択等の各種操作を行う操作部3が設けられている。操作部3は、操作キー群3Aと、表示部3Bとを備えている。操作キー群3Aには、例えば、スタートキー、取り消しキー、調理メニューなどを選択する選択キーが含まれる。表示部3Bは、例えば、液晶表示パネルによって構成され、操作キー群によって設定された情報などの各種情報を表示する。
機器本体1の内部には、図2に示すように、調理容器4を着脱自在に収納する有底筒状の収納部5が設けられている。収納部5の底部の中心部には、略筒状のモータ保持部6の一部が当該底部の中心部を貫通するように設けられている。モータ保持部6の内部には、円環状の駆動側磁石7と、駆動側磁石7を保持する磁石保持部8が設けられている。磁石保持部8の中心部には、回転駆動力を発生させるモータ9の駆動軸9Aが挿入されている。モータ9は、収納部5の外側に設けられ、モータ保持部によって保持されている。モータ9が駆動されることで、駆動軸9Aが軸回りに回転し、当該回転に伴って磁石保持部8及び駆動側磁石7が回転する。
収納部5の内側下方で且つモータ保持部6の外側には、調理容器4を加熱するヒータ10が設けられている。本実施の形態において、ヒータ10は、調理容器4の底壁に接触して熱を伝達するシーズヒータである。ヒータ10は、略環状に形成され、調理容器4の底壁の外周部に対向する位置に設けられている。
モータ9及びヒータ10の駆動は、制御部11により制御される。制御部11は、機器本体1の内部で且つ収納部5の外側に配置されている。制御部11は、操作部3によって設定された各種情報や機器本体1内に設けられる温度センサ(図示せず)等に基づいてモータ9及びヒータ10を含む各部、各装置の駆動を制御する。
調理容器4は、フライドポテトのような比較的大きな調理物や、みじん切りした玉ネギのような比較的小さな調理物などの複数の調理物を収容可能な容器である。調理容器4の内部には、調理物を撹拌する撹拌体20が設けられている。
撹拌体20は、調理容器4の底面の中心部に回転自在に取り付けられるハウジング21と、ハウジング21の外周面から調理容器4の内周面4aに向けて延在するブレード31とを備えている。
ハウジング21の内部には、回転軸となる軸体22と、軸体22の周囲に配置された円環状の従動側磁石23とが設けられている。従動側磁石23は、上述した駆動側磁石7とで磁気カップリングを構成する。撹拌体20は、当該磁気カップリングを介して着脱自在に調理容器4の底面の中心部に取り付けられ、モータ9が駆動されることにより軸体22の軸回りに回転する。
図3は、図1の加熱調理器の蓋体2を取り外した状態を示す平面図である。図3に示すように、撹拌体20のブレード31は、平面視においてハウジング21の回転方向X1の下流側に向けて凸状に湾曲するように形成されている。ブレード31は、回転方向X1の下流側に位置する前方縁32と、前方縁32よりも回転方向X1の上流側に位置する後方縁33とを有している。ブレード31の先端部分34は、平面視において調理容器4の内周面4aに沿うように湾曲するよう形成されている。なお、ブレード31の先端部分34は、調理容器4の内周面4aの曲率と全く同じ曲率で湾曲するものに限定されず、調理容器4の内周面4aの曲率と概ね同じ曲率で湾曲していればよい。
また、調理容器4の内周面4aには、調理容器4の中心部側に突出するとともに上下方向に延在する邪魔部4Aが設けられている。ブレード31の先端部分34は、軸体22の軸回りに回転する際、邪魔部4Aに接触しないように、調理容器4の内周面4aに対して所定の隙間を空けて配置されている。邪魔部4Aについては、後で詳しく説明する。
図4は撹拌体20の斜視図であり、図5は撹拌体20の側面図である。図6は、撹拌体20の平面図である。図7Aは図6の7A−7A断面図であり、図7Bは図6の7B−7B断面図であり、図7Cは図6の7C−7C断面図である。図7Dは図6の7D−7D断面図であり、図7Eは図6の7E−7E断面図であり、図7Fは図6の7F−7F断面図である。
図3〜図7Fに示すように、本実施の形態において、ブレード31は、一枚の板材をねじるようにして構成されている。ハウジング21の近傍において、ブレード31の前方縁32は、後方縁33よりも下方に位置している。すなわち、ハウジング21の近傍において、ブレード31は、回転方向X1の上流側に向かうに従い上方へ傾斜するように形成されている。このブレード31のハウジング21の近傍部分は、ブレード31の回転に伴って、調理物を調理容器4の内周面4aに向けて押圧するように機能する。本実施の形態においては、ブレード31のハウジング21の近傍部分を含む機能を有する領域を「第1撹拌領域E1」という。
なお、ブレード31とハウジング21との接続部において、図7Aに示す回転方向X1に平行な面S1に対する傾斜角度θ1が50°以上であると、表面に水分を有する小さな調理物がブレード31の第1撹拌領域E1に付着して調理容器4の内周面4aへの撹拌力が低下することになる。一方、傾斜角度θ1が10°以下であると、大きな調理物がブレード31の第1撹拌領域E1を乗り越え易くなり、結果として調理容器4の内周面4aへの撹拌力で低下することになる。このため、傾斜角度θ1は、20°〜40°であることが好ましく、30°〜40°であることがより好ましい。
また、ブレード31は、ハウジング21の外周面から離れるに従い後方縁33の高さが低くなるように形成され、図7C及び図7Dに示すように、調理容器4の内周面4aの近傍では、前方縁32と後方縁33とは、同じ又は略同じ高さになるように形成されている。このブレード31の調理容器4の内周面4aの近傍部分は、ブレード31の回転に伴って、調理物に対してブレード31を乗り越えさせるように機能する。本実施の形態においては、このような機能を有する領域を「第2撹拌領域E2」という。
ブレード31の先端部分34は、図4及び図5に示すように、回転方向X1の上流側に向かうに従い上方に傾斜するように形成されている。このブレード31の先端部分34は、ブレード31の回転に伴って、調理容器4の内周面4aの近傍に蓄積された調理物を上方に持ち上げ、落下する際に反転させるように機能する。本実施の形態においては、このような機能を有する領域を「第3撹拌領域E3」という。
なお、ブレード31の先端部分34の前方縁32において、図5に示す回転方向X1に平行な面S1に対する傾斜角度θ2が20°以下であると、大きな調理物は反転し難くなる。一方、傾斜角度θ2が60°以上であると、小さな調理物はブレード31の先端部分34が堰となってブレード31と共に回転し易くなる。その結果、調理物の同じ部分が加熱され続けることになり、加熱ムラが生じることになる。また、この場合、ブレード31を回転させるためのトルクを高くする必要がある。このため、傾斜角度θ2は、30〜50°であることが好ましく、30°〜40°であることがより好ましい。
また、ブレード31の先端部分34の近傍において、後方縁33は、図7E及び図7Fに示すように、前方縁32よりも下方に位置するとともに、前方縁32よりもハウジング21側に位置するように形成されている。言い換えれば、ブレード31の先端部分34の近傍において、前方縁32は、後方縁33よりも上方に位置するように形成されている。すなわち、ブレード31の先端部分34は、ハウジング21側に向けて下方に傾斜するように形成されている。これにより、ブレード31の回転に伴いブレード31の先端部分34を上る調理物は、ハウジング21側(第2撹拌領域E2の回転方向X1の上流側)に向かって落下しやすくなる。その結果、ブレード31の先端部分34が堰になることを抑えて、調理物がブレード31の第2撹拌領域E2及び第3撹拌領域E3を反転しながら乗り越える流れを生成することができ、調理物をより均一に加熱することができる。また、ブレード31の先端部分34がハウジング21側に向けて下方に傾斜することにより、先端部分34の調理物に対する抗力の向きが、回転接線方向に対して中心側に傾いた方向になる。このため、回転接線方向の反力の成分が小さくなり、ブレード31が調理物から受ける負荷を軽減することができ、ブレード31を回転させるためのトルクを低くすることが可能になる。
また、図5に示すように、ブレード31の先端部分34の上端P1は、ブレード31とハウジング21との接続部の上端P2よりも上方に位置する。これにより、ブレード31の回転に伴いブレード31の先端部分34を上る調理物の位置エネルギを大きくすることができ、調理物をより確実に反転させることができる。
また、図6及び図7A〜図7Fに示すように、平面視において、回転方向X1に切った断面における前方縁32と後方縁33との最短距離が先端部分34に向かうに従い小さくなるように構成されている。これにより、ブレード31が調理物から受ける負荷を軽減することができ、ブレード31を回転させるためのトルクを低くすることが可能になる。
次に、撹拌体20による調理物の撹拌動作について説明する。
図8A〜図8Dは、撹拌体20が調理物を撹拌する様子を示す平面図である。図9Aは図8Aの9A−9A断面図であり、図9Bは図8Bの9B−9B断面図であり、図9Cは図8Cの9C−9C断面図であり、図9Dは、図8Dの9D−9D断面図である。
みじん切りした玉ねぎのような比較的小さな調理物を加熱調理する場合を以下に説明する。
まず、モータ9が駆動され、モータ9の回転力が駆動側磁石7と従動側磁石23とで構成される磁気カップリングを介して撹拌体20に伝達されると、撹拌体20が回転方向X1に回転する。これにより、図8A及び図9Aに示すように、撹拌体20のブレード31が調理物に接触する。
その後、更に撹拌体20が回転方向X1に回転されると、図8B及び図9Bに示すように、ハウジング21側の調理物(図8A〜図8D、図9A〜図9D上、斜線のハッチングが付与されている調理物)が第1撹拌領域E1によって調理容器4の内周面4a側に押圧される。これによって、ブレード31の前方縁32の形成方向である矢印M2方向に沿って移動する調理物と、第1撹拌領域E1の上に乗り上げるように矢印M1方向に移動する調理物とがある。また、このとき、第2撹拌領域E2近傍の調理物(図8A〜図8D、図9A〜図9D上、梨地状のハッチングが付与されている調理物)は、矢印M2方向に移動した調理物に押されると共に、調理容器4の内周面4aによりハウジング21から離れる方向への移動を規制されて、第2撹拌領域E2に乗り上げるように矢印M3方向に移動する。なお、このとき、第2撹拌領域E2の高さが低いことにより、大きい調理物及び小さい調理物の両方が容易に第2撹拌領域E2に乗り上げることができる。
その後、更に撹拌体20が回転方向X1に回転されると、図8C及び図9Cに示すように、調理容器の内周面4a側に押圧され第2撹拌体領域E2に乗り上がった調理物の一部は、第3撹拌領域E3上を矢印M5の方向に昇って乗り上がる。当該調理物の残りは、第2撹拌領域E2を矢印M4の方向に乗越えてブレード31の回転方向X1の上流側である矢印M4方向に落下する。また、第1撹拌体領域E1上に乗り上げていた調理物の一部は、続いて作用するハウジング21側の調理物の第1撹拌領域E1の上に乗り上げる移動によって、第1撹拌体領域E1の幾分低くなった後方縁から落下する。この調理物の残りは、続いて作用するハウジング21側の調理物の第1撹拌領域E1の上に乗り上げる移動によって、第2撹拌体領域E2を矢印M6の方向に乗り越え、回転方向X1の上流側に落下する。
その後、更に撹拌体20が回転方向X1に回転されると、図8D及び図9Dに示すように、第3撹拌領域E3上を昇って第3撹拌領域E3の先端付近に乗り上がった調理物は、ブレード31の回転方向X1の上流側である矢印M10方向に落下する。このとき、第3撹拌領域E3を乗り越える調理物には、大きな位置エネルギにより強い回転力が働き、この調理物は反転し易くなる。これにより、小さな調理物と共に大きな調理物も反転させることができる。
以上の動作により、撹拌体20が回転する前のハウジング21側の調理物(図8A、図9A上、斜線のハッチングが付与されている調理物)と、第2撹拌領域E2近傍の調理物(図8A、図9A上、梨地状のハッチングが付与されている調理物)とが図8D、図9Dに示すように混ざり合い、撹拌される。したがって、ヒータ10によって調理容器4を介して調理物を加熱することにより、調理物は均一に加熱されることとなる。
以下、撹拌体20が回転方向X1に回転される間、図8A〜図8D及び図9A〜図9Dに示す動作が繰り返される。これにより、調理物がより均一に撹拌される。
次に、調理容器4の内周面4aに設けた邪魔部4Aについてより詳しく説明する。
図10A〜図10Dは、撹拌体20が調理物を撹拌するときの撹拌体20と邪魔部4Aと調理物との位置関係を示す平面図である。図11Aは図10Aに示す位置関係を一部断面で示す斜視図であり、図11Bは図10Bに示す位置関係を一部断面で示す斜視図であり、図11Cは図10Cに示す位置関係を一部断面で示す斜視図であり、図11Dは図10Dに示す位置関係を一部断面で示す斜視図である。
図2及び図11Aに示すように、邪魔部4Aは、調理容器4の内周面4aから調理容器4の中心部側に突出するとともに上下方向に延在するように設けられている。邪魔部4Aの調理容器4の中心部側への突出量は、例えば、6mmである。邪魔部4Aの水平方向に切った断面は、例えば、半円形である。
邪魔部4Aの下端部4Aaは、調理容器4の底面と内周面4aとの間のコーナー部4Bに沿って湾曲するように形成されている。邪魔部4Aの下端部4Aaの始端は、調理容器4の底面上に位置している。これにより、ブレード31の回転に伴ってブレード31と邪魔部4Aの端面で形成される三角エリアが上方に移動することになる。
まず、モータ9が駆動され、モータ9の回転力が駆動側磁石7と従動側磁石23とで構成される磁気カップリングを介して撹拌体20に伝達されると、撹拌体20が回転方向X1に回転する。これにより、図10A及び図11Aに示すように、撹拌体20のブレード31が調理物C1を調理容器4の内周面4a側に押圧する。このとき、ブレード31の第2撹拌領域E2及び第3撹拌領域E3に乗り上げることができずにブレード31と共に回転してきた調理物C1は、ブレード31の回転が進むことで、ブレード31と邪魔部4Aとの間に挟まれる。
その後、更に撹拌体20が回転方向X1に回転すると、図10B及び図11Bに示すように、調理物C1は、ブレード31と邪魔部4Aの端面で形成される三角エリアが上方に移動することにより邪魔部4Aの下端部4Aaの湾曲部に沿って持ち上げられるように移動する。
その後、更に撹拌体20が回転方向X1に回転すると、図10C及び図11Cに示すように、調理物C1は、ブレード31の第3撹拌領域E3に押圧されて邪魔部4Aに沿って上方へ移動する。
その後、更に撹拌体20が回転方向X1に回転すると、図10D及び図11Dに示すように、調理物C1は、ブレード31の第3撹拌領域E3の上部に到達する。その後又はこの過程で、調理物C1は、第3撹拌領域E3を乗り越えるか、或いは、第3撹拌領域E3のハウジング21側に傾斜する傾斜面に沿って落下する。このとき、調理物C1は、位置エネルギによる回転力を受けて反転する。
本実施の形態に係る加熱調理器によれば、ブレード31が平面視においてハウジング21の回転方向X1の下流側に向けて凸状に湾曲するとともに、ハウジング21の近傍において、前方縁32が後方縁33よりも下方に位置するように構成されている。この構成によれば、調理物を調理容器4の内周面4aへ移動させることができる。
また、本実施の形態に係る加熱調理器によれば、ブレード31の先端部分34が、平面視において調理容器4の内周面4aに沿うように湾曲するとともに、回転方向X1の上流側に向かうに従い上方に傾斜するように構成されている。この構成によれば、撹拌体20の回転に伴って調理物がブレード31の先端部分34を上ることで、調理物を反転させ易くすることができる。
また、本実施の形態に係る加熱調理器によれば、ブレード31の先端部分34の近傍において、前方縁32は後方縁33よりも上方に位置するように構成されている。この構成によれば、ブレード31の回転に伴ってブレード31の先端部分34を上る調理物は、調理容器4の内周面4aから離れる側に向かって落下しやすくなる。
このような結果、比較的小さな調理物及び比較的大きな調理物の両方をより均一に加熱調理することができる。
また、本実施の形態に係る加熱調理器によれば、前方縁32と後方縁33とが、調理容器4の内周面4aの近傍で同じ又は略同じ高さになるように形成されている。この構成によれば、調理容器4の内周面4a側に位置する調理物がより確実にブレード31を乗り越えるようにすることができる。
また、本実施の形態に係る加熱調理器によれば、ブレード31は、一枚の板材をねじるようにして構成されている。この構成によれば、特許文献1の撹拌体100のような複雑な形状ではないので、ブレード31をより容易に形成することができ、ブレード31の材料として金属を用いることもできる。
また、第1の実施の形態に係る加熱調理器によれば、調理容器4の内周面4aに邪魔部4Aが設けられ、邪魔部4Aの下端部が調理容器4のコーナー部4Bに沿って湾曲するように形成されている。この構成によれば、ブレード31と邪魔部4Aとの隙間をより狭くすることができるので、ブレード31と調理容器4の内周面4aとの隙間により大きな調理物が詰まってブレード31の回転が停止するようなことを抑えることができる。なお、邪魔部4Aは、調理容器4の内周面4aに少なくとも1つ設けられればよい。
また、本実施の形態に係る加熱調理器によれば、撹拌体20が磁気カップリングを介して着脱自在に調理容器4の底面の中心部に取り付けられている。この構成によれば、例えば、撹拌体20に回転力を伝達するために、調理容器4の底部に回転軸となるシャフトを貫通させる貫通穴を設けるなどの必要性を無くすことができる。また、この構成によれば、ブレード31と調理容器4の内周面4a(又は邪魔部4A)との隙間に調理物が詰まった場合でも、撹拌体20が負荷を逃がすように磁力が働く範囲内で移動することができる。従って、ブレード31の回転が停止するようなことを抑えることができる。
(第2の実施の形態)
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る加熱調理器の断面図である。図13は、図12の加熱調理器の蓋体を取り外した状態を示す平面図である。図14は、図12の加熱調理器の撹拌体の斜視図である。第2の実施の形態に係る加熱調理器が第1の実施の形態に係る加熱調理器と異なる点は、ブレード31の先端部分34の前方縁32に、調理容器4の内周面4aに沿うように上方に立設された立壁35が設けられている点である。
立壁35は、ブレード31の回転に伴って第3撹拌領域E3上に乗り上がった調理物が調理容器4の内周面4a側に落下して調理容器4の内周面4aに付着することを抑えるように機能する。本実施の形態においては、立壁35の部分を図14に示すように「第4撹拌領域E4」とする。
本実施の形態に係る加熱調理器によれば、第4撹拌領域E4により調理物が調理容器4の内周面4aに付着することを抑えることができるので、比較的小さな調理物及び比較的大きな調理物の両方をより一層均一に加熱調理することができる。
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、図11Aに示す構成では、邪魔部4Aの下端部4Aaの始端は、調理容器4の底面上に位置するものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、邪魔部4Aの下端部4Aaの始端は、調理容器4のコーナー部4B上に位置してもよい。
また、本実施の形態では、ブレード31は、一枚の板材をねじるようにして構成されるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ブレード31は、樹脂の射出成形により立体的に構成されてもよい。
なお、様々な実施の形態のうちの任意の実施の形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明によれば、比較的小さな調理物及び比較的大きな調理物の両方をより均一に加熱調理することができるので、撹拌機能付き加熱調理器に有用である。
1 機器本体
1A ヒンジ部
2 蓋体
3 操作部
3A 操作キー群
3B 表示部
4 調理容器
4a 内周面
4A 邪魔部
4Aa 下端部
4B コーナー部
5 収納部
6 モータ保持部
7 駆動側磁石
8 磁石保持部
9 モータ
9A 駆動軸
10 ヒータ
11 制御部
20,100,200 撹拌体
21 ハウジング
22 軸体
23 従動側磁石
31,201 ブレード
32 前方縁
33 後方縁
34 先端部分
35 立壁

Claims (12)

  1. 調理容器内に収容された調理物を撹拌する撹拌体を備える撹拌機能付き加熱調理器であって、
    前記撹拌体は、
    前記調理容器の底面の中心部に回転自在に取り付けられるハウジングと、
    前記ハウジングの外周面から前記調理容器の内周面に向けて延在するとともに、平面視において前記ハウジングの回転方向の下流側に向けて凸状に湾曲するブレードと、
    を備え、
    前記ブレードは、
    前記回転方向の下流側に位置する前方縁と、
    前記前方縁よりも前記回転方向の上流側に位置する後方縁と、
    を有し、
    前記ブレードの先端部分は、平面視において前記調理容器の内周面に沿うように湾曲するとともに、前記回転方向の上流側に向かうに従い上方に傾斜し、
    前記ハウジングの近傍において、前記前方縁は前記後方縁よりも下方に位置し、
    前記先端部分の近傍において、前記前方縁は前記後方縁よりも上方に位置する、
    加熱調理器。
  2. 前記前方縁と前記後方縁とは、前記調理容器の内周面の近傍で同じ又は略同じ高さになるように構成されている、請求項1に記載の加熱調理器。
  3. 前記ブレードの先端部分の近傍において、前記後方縁は、前記前方縁よりも前記ハウジング側に位置する、請求項1又は2のいずれか1つに記載の加熱調理器。
  4. 前記ブレードの先端部分の上端は、前記ブレードと前記ハウジングとの接続部の上端よりも上方に位置する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の加熱調理器。
  5. 平面視において、前記回転方向に切った断面における前記前方縁と前記後方縁との最短距離が前記先端部分に向かうに従い小さくなっている、請求項1〜4のいずれか1つに記載の加熱調理器。
  6. 前記ブレードは、一枚の板材をねじるようにして構成されている、請求項1〜5のいずれか1つに記載の加熱調理器。
  7. 前記ブレードの先端部分の前方縁には、前記調理容器の内周面に沿うように上方に立設された立壁が設けられている、請求項1〜6のいずれか1つに記載の加熱調理器。
  8. 前記ブレードと前記ハウジングとの接続部は、前記回転方向に平行な面に対して20〜40°の角度傾斜するように構成されている、請求項1〜7のいずれか1つに記載の加熱調理器。
  9. 前記ブレードの先端部分の前方縁は、前記回転方向に平行な面に対して30〜50°の角度傾斜するように構成されている、請求項1〜8のいずれか1つに記載の加熱調理器。
  10. 前記調理容器の内周面には、前記調理容器の中心部側に突出するとともに上下方向に延在する少なくとも1つの邪魔部が設けられ、
    前記邪魔部の下端部は、前記調理容器の底面と内周面との間のコーナー部に沿って湾曲している、請求項1〜9のいずれか1つに記載の加熱調理器。
  11. 前記邪魔部の下端部の始端は、前記調理容器の底面上に位置する、請求項10に記載の加熱調理器。
  12. 前記撹拌体は、磁気カップリングを介して着脱自在に前記調理容器の底面の中心部に取り付けられている、請求項1〜11のいずれか1つに記載の加熱調理器。
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