以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る運転支援システムの構成図である。図1に示す運転支援システム10は、車両40に搭載されている運転支援装置100、車載装置130、車両センサ140、通信部150および出力装置160と、テレマティクスセンタ20とにより構成される。車両40とテレマティクスセンタ20とは、ネットワーク30を介して互いに接続される。ネットワーク30は、たとえば携帯電話網、インターネット網、無線LAN等の近距離無線通信網や、あるいはそれら複数の組み合わせで構成される。
運転支援装置100は、車両40の運転操作の状態に応じた運転アドバイスを出力装置160を介して出力し、ユーザである車両40のドライバに対する運転支援を行う。このとき運転支援装置100は、後述するように、個々のドライバの運転特性を考慮して運転アドバイスの内容を決定する。
車載装置130および車両センサ140は、車両40の運転操作状態をそれぞれ検出して運転支援装置100に出力する。車載装置130は、たとえばECU(Electronic Control Unit)である。車両センサ140には、たとえばGPSセンサ、速度センサ、加速度センサ、アクセル開度センサ、ブレーキ開度センサ、ステアリングセンサ、勾配センサなどが用いられる。
通信部150は、ネットワーク30を介してテレマティスセンタ20と通信を行う。運転支援装置100は、通信部150の通信により、テレマティスセンタ20との間で様々な情報を送受信することができる。
出力装置160は、運転支援装置100の制御により、車両40のドライバに対する運転アドバイスを出力する。出力装置160には、たとえば車両40に搭載されたカーナビゲーション装置やスマートフォンのディスプレイやスピーカが用いられる。あるいは、車両40のハンドルや運転席を振動させたり、車室内に設けられた警告ランプを発光させたりすることで、これらを出力装置160として用いてドライバへの警告を行い、運転アドバイスとしてもよい。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る運転支援装置100の処理ブロック図である。運転支援装置100は、操作情報取得部101、運転診断処理部102、運転特性評価部103、特徴的運転検出部104、運転改善効果判定部105、個人カスタマイズ方法学習部106、個人カスタマイズ処理部107、走行環境取得部108、類似度算出部109、通常メッセージ作成部110、事前メッセージ作成部111およびメッセージ抽出部112と、運転診断結果DB121、運転特性評価DB122、特徴的運転発生DB123、運転改善効果DB124、ユーザ情報DB125、地図DB126、走行経路DB127およびメッセージDB128とを備える。運転支援装置100は、たとえばCPU、ROM、RAM等を用いて構成される演算処理装置と、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、SDカードなどの記録媒体を用いて構成される記憶装置とを備えている。そして、演算処理装置が実行する演算処理により、操作情報取得部101、運転診断処理部102、運転特性評価部103、特徴的運転検出部104、運転改善効果判定部105、個人カスタマイズ方法学習部106、個人カスタマイズ処理部107、走行環境取得部108、類似度算出部109、通常メッセージ作成部110、事前メッセージ作成部111およびメッセージ抽出部112の各機能を実現することができる。また、記憶装置内の記憶領域を用いて、運転診断結果DB121、運転特性評価DB122、特徴的運転発生DB123、運転改善効果DB124、ユーザ情報DB125、地図DB126、走行経路DB127およびメッセージDB128の各機能を実現することができる。
操作情報取得部101は、車載装置130または車両センサ140から、ドライバの運転操作に応じた車両40の運転操作情報を取得する。操作情報取得部101は、たとえば車両40の位置、速度、加速度、角速度、アクセル開度、ブレーキ開度、ステアリング角度などの情報を、運転操作情報として取得する。操作情報取得部101により取得された運転操作情報は、運転診断処理部102および特徴的運転検出部104に出力される。
運転診断処理部102は、操作情報取得部101が取得した運転操作情報を基に、ドライバの運転操作に対する運転診断を行う。なお、運転支援装置100は、必要に応じて、車両40の走行地点における天気、気温、湿度などの気象情報や交通情報を、外部情報として予めテレマティクスセンタ20から取得して蓄積したり、リアルタイムにテレマティクスセンタ20から取得したりすることもできる。運転診断処理部102は、運転診断処理において、この外部情報を利用してもよい。運転診断処理部102による運転診断の結果は、運転診断結果DB121に出力され、ドライバごとにテーブル化された運転診断結果テーブルのレコードとして運転診断結果DB121に記録される。
図3は、運転診断結果DB121に格納される運転診断結果テーブルの例を示す図である。図3の運転診断結果テーブル300は、ユーザID301、トリップID302、走行時間帯303、走行時間304、走行距離305、評価軸ごとの診断結果306、総合点307の各フィールドにより構成される。ユーザID301には、車両40の各ドライバに割り当てられたユーザIDのうち、当該レコードに対応するドライバのユーザIDの値が格納される。トリップID302には、当該レコードが表す運転診断結果が取得された車両40のトリップに対して割り当てられたトリップIDの値が格納される。走行時間帯303には、当該トリップが行われた時間帯が格納される。走行時間304には、当該トリップにおける車両40の走行時間が格納される。走行距離305には、当該トリップにおける車両40の走行距離が格納される。評価軸ごとの診断結果306には、N個の評価軸のそれぞれによる当該トリップに対する診断結果の値が格納される。総合点307には、評価軸ごとの診断結果306に格納されたN個の診断結果に基づいて算出された当該トリップに対する運転診断結果の総合点が格納される。なお、図3に示した運転診断結果テーブル300は、運転診断結果DB121に格納される情報の一例であり、これ以外の情報が運転診断結果DB121に含まれていてもよい。
運転診断処理部102は、操作情報取得部101が取得した運転操作情報に基づき、予め設定されたN個の評価軸のそれぞれに従って、車両40に対してドライバが1トリップ中に行った運転操作の診断を行う。たとえば、アクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作等の滑らかさや、ふらつきの有無、急な車線変更の有無などを診断する。また、これらの診断結果に基づき、当該トリップに対する総合的な運転診断結果を表す総合点を算出する。これにより、運転診断処理部102は、運転診断結果テーブル300に記録するレコードにおいて評価軸ごとの診断結果306と総合点307の各フィールドに格納する値を決定することができる。
運転特性評価部103は、運転診断結果DB121に格納された運転診断結果テーブルに基づいて、車両40の各ドライバの運転特性を評価する。運転特性評価部103による各ドライバの運転特性の評価結果は、運転特性評価DB122に出力され、ドライバごとにテーブル化された運転特性評価テーブルのレコードとして運転特性評価DB122に記録される。
図4は、運転特性評価DB122に格納される運転特性評価テーブルの例を示す図である。図4の運転特性評価テーブル400は、ユーザID401、診断結果平均ポイント402、診断結果分散ポイント403、高低評価連続回数ポイント404、高低評価回数ポイント405、累積走行距離ポイント406、走行回数ポイント407、走行頻度ポイント408、アプリ利用期間ポイント409、走行時間帯ポイント410、連続走行時間ポイント411、事故確率412、エコ評価413の各フィールドにより構成される。ユーザID401には、車両40の各ドライバに割り当てられたユーザIDのうち、当該レコードに対応するドライバのユーザIDの値が格納される。診断結果平均ポイント402には、当該ドライバに対する運転診断結果の総合点の平均値が格納される。診断結果分散ポイント403には、当該ドライバに対する運転診断結果の総合点の分散が格納される。高低評価連続回数ポイント404には、当該ドライバに対する運転診断結果の総合点が連続して所定値以上または所定値以下であった回数に応じた値が格納される。高低評価回数ポイント405には、当該ドライバに対する運転診断結果の総合点が所定値以上または所定値以下であった回数に応じた値が格納される。累積走行距離ポイント406には、当該ドライバによる車両40の累積走行距離に応じた値が格納される。走行回数ポイント407には、当該ドライバによる車両40の走行回数に応じた値が格納される。走行頻度ポイント408には、当該ドライバによる車両40の走行頻度に応じた値が格納される。アプリ利用期間ポイント409には、運転支援装置100を実現するために車両40に実装されたアプリケーションを当該ドライバがこれまでに利用した期間に応じた値が格納される。走行時間帯ポイント410には、当該ドライバによる車両40の走行時間帯に応じた値が格納される。連続走行時間ポイント411は、当該ドライバによる車両40の連続走行時間に応じた値が格納される。事故確率412は、当該ドライバの事故確率が格納される。エコ評価413には、当該ドライバの運転に対するエコ評価の値が格納される。なお、図4に示した運転特性評価テーブル400は、運転特性評価DB122に格納される情報の一例であり、これ以外の情報が運転特性評価DB122に含まれていてもよい。
運転特性評価部103は、運転診断結果DB121に格納された運転診断結果テーブル300の各フィールドの値を、様々な集計方法に従ってドライバごとに集計することにより、運転特性評価テーブル400に記録するレコードにおいてユーザID401以外の各フィールドに格納する値を決定することができる。これにより、各ドライバの運転特性を評価することができる。なお、各フィールドの値を決定するための集計方法には、周知の集計方法から任意のものを利用できるため、具体的な説明については省略する。
特徴的運転検出部104は、操作情報取得部101が取得した運転操作情報を基に、ドライバが車両40に対して行った特徴的な運転操作を検出する。ここで、特徴的運転検出部104が検出対象とする特徴的な運転操作とは、たとえば事故に繋がる可能性が高い危険な運転操作や、燃費が悪化するような運転操作などが該当する。また、過去にこのような問題のある運転操作を行っていたドライバについて、運転操作に改善傾向が見られる場合には、適切な運転操作が行われたことを特徴的な運転操作として検出してもよい。さらに、車両40の加速度や角速度の変化量が事前に設定した閾値を超えた場合には、急加速や急減速、急ハンドル、ふらつき操作などが行われたと判断して、これらを特徴的な運転操作として検出することも可能である。特徴的運転検出部104による特徴的な運転操作の検出結果は、特徴的運転発生DB123に出力され、ドライバごとにテーブル化された特徴的運転発生情報テーブルのレコードとして特徴的運転発生DB123に記録される。さらに、特徴的運転検出部104による特徴的な運転操作の検出結果は、通常メッセージ作成部110にも出力される。
図5は、特徴的運転発生DB123に格納される特徴的運転発生情報テーブルの例を示す図である。図5の特徴的運転発生情報テーブル500は、ユーザID501、トリップID502、発生時間503、位置座標504、道路リンクID505、特徴的運転操作506の各フィールドにより構成される。ユーザID501には、車両40の各ドライバに割り当てられたユーザIDのうち、当該レコードに対応するドライバのユーザIDの値が格納される。トリップID502には、当該レコードが表す特徴的な運転操作が車両40において行われたトリップに対して割り当てられたトリップIDの値が格納される。発生時間503には、当該特徴的な運転操作が発生した日時が格納される。位置座標504には、当該特徴的な運転操作が行われたときの車両40の位置座標を示す緯度経度が格納される。道路リンクID505には、当該特徴的な運転操作が行われたときに車両40が走行していた道路に対して割り当てられた道路リンクIDの値が格納される。特徴的運転操作506には、当該特徴的な運転操作の内容が格納される。なお、図5に示した特徴的運転発生情報テーブル500は、特徴的運転発生DB123に格納される情報の一例であり、これ以外の情報が特徴的運転発生DB123に含まれていてもよい。
特徴的運転検出部104は、予め定められた前述のような特徴的な運転操作をドライバが車両40に対して行うと、操作情報取得部101が取得した運転操作情報に基づいて、その特徴的な運転操作の内容を特定する。さらに、その特徴的な運転操作が行われたときの日時、車両40の位置、走行道路などを特定する。これにより、特徴的運転検出部104は、特徴的運転発生情報テーブル500に記録するレコードにおいて発生時間503、位置座標504、道路リンクID505、特徴的運転操作506の各フィールドに格納する値を決定することができる。
運転改善効果判定部105は、運転診断結果DB121に格納された運転診断結果テーブルに基づいて、運転支援装置100が行った運転支援によるドライバの運転操作の改善効果(改善度合い)を判定する。運転改善効果判定部105により判定されたドライバの運転操作の改善効果は、運転改善効果DB124に出力され、ドライバごとにテーブル化された運転改善効果テーブルのレコードとして運転改善効果DB124に記録される。
図6は、運転改善効果DB124に格納される運転改善効果テーブルの例を示す図である。図6の運転改善効果テーブル600は、ユーザID601、運転支援実施時刻602、改善目的603、介入度合い604、タイミング605、方法606、時間607、内容608、改善効果609の各フィールドにより構成される。ユーザID601には、車両40の各ドライバに割り当てられたユーザIDのうち、当該レコードに対応するドライバのユーザIDの値が格納される。運転支援実施時刻602には、当該レコードが表す運転支援が実施された日時が格納される。改善目的603には、当該ドライバが予め設定した運転操作の改善目的が格納される。介入度合い604には、当該ドライバが予め設定した運転支援の介入度合いが格納される。タイミング605には、当該運転支援が行われたタイミングが格納される。方法606には、当該運転支援がどのような方法で行われたかを表す情報が格納される。時間607には、当該運転支援の実施時間が格納される。内容608には、当該運転支援の具体的な内容を表すコード値が格納される。改善効果609には、当該運転支援が行われたことによるドライバの運転操作の改善度合いを表す値が格納される。なお、図6に示した運転改善効果テーブル600は、運転改善効果DB124に格納される情報の一例であり、これ以外の情報が運転改善効果DB124に含まれていてもよい。
メッセージ抽出部112から出力装置160へ後述のようにしてメッセージが出力されることによりドライバへの運転支援が行われると、このメッセージは運転改善効果判定部105にも入力される。運転改善効果判定部105は、入力されたメッセージに基づき、運転支援の実施タイミング、実施方法、実施時間、内容などを判別することにより、タイミング605、方法606、時間607、内容608の各フィールドに格納する値を決定することができる。また、運転改善効果判定部105は、運転診断結果DB121に格納された運転診断結果テーブルに基づいて、運転支援が行われたトリップに対する運転診断結果を取得し、その運転診断結果に基づいて運転操作の改善度合いを判断することにより、改善効果609のフィールドに格納する値を決定することができる。
個人カスタマイズ方法学習部106は、運転特性評価DB122に格納された運転特性評価テーブルと、運転改善効果DB124に格納された運転改善効果テーブルと、ユーザ情報DB125に格納されたユーザ情報テーブルとに基づいて、個々のドライバに対する運転支援方法を最適化するように個人カスタマイズ方法の学習を行う。
図7は、ユーザ情報DB125に格納されるユーザ情報テーブルの例を示す図である。図7のユーザ情報テーブル700は、ユーザID701、車種情報702、端末機種情報703、年齢704、性別705、運転歴706、年間走行距離707、事故回数708の各フィールドにより構成される。ユーザID701には、車両40の各ドライバに割り当てられたユーザIDのうち、当該レコードに対応するドライバのユーザIDの値が格納される。車種情報702には、当該ドライバが所有する車両40の車種情報が格納される。端末機種情報703には、当該ドライバが所有する車両40に搭載されている運転支援装置100の機種情報が格納される。年齢704には、当該ドライバの年齢が格納される。性別705には、当該ドライバの性別が格納される。運転歴706には、当該ドライバの運転歴が格納される。年間走行距離707には、当該ドライバの年間走行距離が格納される。事故回数708には、当該ドライバの過去の事故回数が格納される。ユーザ情報テーブル700の各フィールドに格納されるこれらの値は、たとえば車両40に搭載されたカーナビゲーション装置やスマートフォンなど、不図示の入力装置を用いて各ドライバが入力することで、運転支援装置100に登録される。なお、図7に示したユーザ情報テーブル700は、ユーザ情報DB125に格納される情報の一例であり、これ以外の情報、たとえば過去の事故内容や交通違反などの情報がユーザ情報DB125に含まれていてもよい。
個人カスタマイズ方法学習部106が行う個人カスタマイズ方法の学習とは、個人カスタマイズ処理部107が後述のように各ドライバの運転支援方法を設定する際に用いられる運転支援パラメータの値を、個々のドライバの運転特性に応じて決定することである。個々のドライバの運転特性は、運転特性評価DB122に格納された運転特性評価テーブルや、ユーザ情報DB125に格納されたユーザ情報テーブルから判断することができる。また、運転改善効果DB124に格納された図6の運転改善効果テーブル600のうち、各ドライバが予め設定することで改善目的603、介入度合い604の各フィールドに格納された値からも、個々のドライバの運転特性を判断することができる。なお、改善目的603に格納された値は、前述のように各ドライバが予め設定した運転操作の改善目的を表しており、これには、事故リスクの低減、運転の燃費改善、乗り心地の向上などが含まれる。また、介入度合い604に格納された値は、前述のように各ドライバが予め設定した運転支援の介入度合い、すなわち運転支援装置100が運転支援を行う頻度を表しており、これには、事故リスクの高い運転操作のように特徴的な運転操作が発生するごとに運転支援を行うような積極的な介入度合いから、特徴的な運転操作が発生しても運転支援を行わない無介入度合いまでが含まれる。これらの値は、ドライバが車両40の運転開始前に、たとえば車両40に搭載されたカーナビゲーション装置やスマートフォンなど、不図示の入力装置を通じて運転支援装置100に入力することができる。たとえば、ドライバが運転に不慣れな初心者やいわゆるペーパードライバの場合には、運転操作の改善目的として事故リスクの低減を設定し、運転支援の介入度合いとして積極的な介入度合いを設定することができる。一方、運転に習熟したトラックや商用車のドライバの場合には、運転操作の改善目的として燃費改善を設定し、運転支援の介入度合いとして燃費悪化が検出された場合のみ運転支援を行うように設定することができる。また、ドライバの運転状況に応じてこれらの値を運転支援装置100が自動的に設定してもよい。
一方、運転支援パラメータは、ドライバへの運転支援を行う際にメッセージ抽出部112から出力されるメッセージの介入タイミング、介入方法、介入時間、介入内容などを表している。介入タイミングとは、運転支援を行うタイミングであり、たとえば過去に運転が悪化した走行箇所と類似の走行箇所を車両40が通過する際に、何秒前に運転アドバイスを出力するかなどを意味する。介入方法とは、運転アドバイスの出力方法であり、たとえば運転アドバイスの文字列や画像を出力装置160の画面に表示する、運転アドバイスを音声で読み上げる、車両40のハンドルや運転席を振動させる、警告ランプを発光させるなどを意味する。介入時間とは、運転アドバイスの出力時間であり、たとえば運転アドバイスを画面に表示し続ける時間や、音声を読み上げる速度などを意味する。介入内容とは、運転アドバイスの内容であり、たとえば運転アドバイスのメッセージ内容や、振動のパターン、警告ランプの発光パターンなどを意味する。過去に行われた運転支援におけるこれらの運転支援パラメータの値は、運転改善効果テーブル600において、タイミング605、方法606、時間607、内容608の各フィールドに格納された値により表される。なお、運転支援パラメータには、上記以外のパラメータが含まれてもよい。また、上記の改善目的603や介入度合い604と同様に、これらの運転支援パラメータをドライバが予め設定できるようにしてもよい。
個人カスタマイズ方法学習部106は、運転特性評価DB122、ユーザ情報DB125、運転改善効果DB124にそれぞれ格納された情報に基づいて、個々のドライバの運転特性を判断し、その判断結果に基づいて個々のドライバに対する運転支援の介入タイミング、介入方法、介入時間、介入内容などを決定することにより、これらの運転支援パラメータの値を決定する。たとえば、運転改善効果DB124に格納された運転改善効果テーブル600において、当該ドライバのレコードで改善目的603に格納された運転操作の改善目的が事故リスクの低減であり、かつ、介入度合い604に格納された運転支援の介入度合いが高い場合には、当該ドライバには高頻度で運転アドバイスが行われるように、運転支援パラメータの値を設定することができる。このとき、運転改善効果テーブル600においてタイミング605、方法606、時間607、内容608、改善効果609の各フィールドに格納された値から、過去に行われた運転支援で用いた運転支援パラメータとその運転改善効果とを判断し、これらの判断結果に基づいて、なるべく高い運転改善効果が得られるように運転支援パラメータの値を決定してもよい。これにより、個々のドライバの運転特性に応じて運転支援方法を最適化するように、個人カスタマイズ方法の学習を行うことができる。なお、個人カスタマイズ方法学習部106は、運転特性評価DB122、ユーザ情報DB125、運転改善効果DB124にそれぞれ格納された情報の全てを必ずしも用いる必要はなく、これらの中から任意の情報を用いて、個人カスタマイズ方法の学習を行うことができる。個人カスタマイズ方法学習部106により決定された運転支援パラメータの値は、個人カスタマイズ処理部107に出力される。
個人カスタマイズ処理部107は、個人カスタマイズ方法学習部106による個人カスタマイズ方法の学習結果、すなわち個人カスタマイズ方法学習部106で決定された運転支援パラメータの値に基づいて、車両40を運転中のドライバに対する運転支援方法を設定する。これにより、個人カスタマイズ処理部107は、運転特性評価部103による運転特性の評価結果や、運転改善効果判定部105により判定された過去の運転支援によるドライバの運転操作の改善効果などに基づいて、ドライバに対する運転支援方法を設定することができる。個人カスタマイズ処理部107により設定された運転支援方法は、通常メッセージ作成部110および事前メッセージ作成部111に出力される。
走行環境取得部108は、地図DB126に格納された地図情報テーブルと、走行経路DB127に格納された走行経路テーブルとに基づいて、車両40の走行経路を予測し、その走行経路の走行環境を事前に取得する。
図8は、地図DB126に格納される地図情報テーブルの例を示す図である。図8の地図情報テーブル800は、リンクID801、メッシュID802、道路種別803、接続リンク数804、勾配805、車線数806の各フィールドにより構成される。リンクID801には、地図を構成する道路リンクごとに割り当てられたリンクIDのうち、当該レコードに対応する道路リンクのリンクIDの値が格納される。メッシュID802には、地図を所定範囲ごとにメッシュ状に区切った区画ごとに割り当てられたメッシュIDのうち、当該道路リンクが含まれる区画のメッシュIDの値が格納される。道路種別803には、たとえば国道や高速道など、当該道路リンクの道路種別が格納される。接続リンク数804には、当該道路リンクが接続している他の道路リンクの数が格納される。勾配805には、当該道路リンクの道路勾配が格納される。車線数806には、当該道路リンクの車線数が格納される。地図情報テーブル800の各フィールドに格納されるこれらの値は、運転支援装置100において予め登録されている。なお、図8に示した地図情報テーブル800は、地図DB126に格納される情報の一例であり、これ以外の情報、たとえば緯度経度、一方通行の有無、制限速度などの情報が地図DB126に含まれていてもよい。
図9は、走行経路DB127に格納される走行経路テーブルの例を示す図である。図9の走行経路テーブル900は、ユーザID901、トリップID902、リンクID903、走行時刻904の各フィールドにより構成される。ユーザID901には、車両40の各ドライバに割り当てられたユーザIDのうち、当該レコードに対応するドライバのユーザIDの値が格納される。トリップID902には、当該レコードが表す走行経路に対応するトリップに対して割り当てられたトリップIDの値が格納される。リンクID903には、当該走行経路に含まれる道路リンクのリンクIDの値が格納される。走行時刻904には、車両40が当該道路リンクを走行した日時が格納される。走行経路テーブル900の各フィールドに格納されるこれらの値は、運転支援装置100において、車両40の移動に応じて車載装置130や車両センサ140から収集されて記録される。なお、図9に示した走行経路テーブル900は、走行経路DB127に格納される情報の一例であり、これ以外の情報、たとえばメッシュID,天気などの情報が走行経路DB127に含まれていてもよい。
走行環境取得部108は、走行経路DB127に格納された走行経路テーブル900のうち、車両40を運転中のドライバに対応するレコードを抽出し、抽出した各レコードの情報から、当該ドライバがよく通る道路リンクを特定する。そして、特定した道路リンクと車両40の現在位置から、車両40の走行経路を推定する。なお、車両40に搭載されたナビゲーション装置から経路情報が取得できる場合は、この経路情報に基づいて走行経路を予測してもよい。こうして走行経路を推定したら、走行環境取得部108は、推定した走行経路に含まれる各道路リンクのリンクIDをキーとして地図DB126を検索し、各道路リンクの道路種別、勾配、車線数などの情報を走行経路の走行環境として取得する。このときさらに、走行経路を構成する各道路リンクを車両40が走行する時点の天気、気温、湿度などの情報を通信部150を介してテレマティスセンタ20から取得し、これらを地図DB126から検索した情報と併せて、走行経路の走行環境として用いてもよい。こうして走行経路の走行環境を事前に取得したら、走行環境取得部108は、取得した走行環境を類似度算出部109に出力する。
類似度算出部109は、特徴的運転発生DB123に格納された特徴的運転発生情報テーブルと、走行環境取得部108が事前に取得した走行経路の走行環境とに基づいて、特徴的運転検出部104により過去に特徴的な運転操作が検出された道路と走行経路との類似度を算出する。ここでは、特徴的運転発生情報テーブル500において道路リンクID505に格納された道路リンクIDをキーとして、過去に特徴的な運転操作が検出された道路における走行環境を地図DB126から検索する。そして、検索された走行環境と、走行環境取得部108が事前に取得した走行経路の走行環境とを比較し、その比較結果に基づいて類似度を算出する。なお、類似度の具体的な算出方法については後述する。類似度算出部109は、算出した類似度を通常メッセージ作成部110および事前メッセージ作成部111に出力する。
通常メッセージ作成部110は、特徴的運転検出部104が特徴的な運転操作を検出したときに、その特徴的な運転操作に対する運転支援としての運転アドバイスのメッセージを作成する。このとき通常メッセージ作成部110は、個人カスタマイズ処理部107が設定した運転支援方法に従って、運転アドバイスの出力タイミング、出力方法、出力時間、メッセージ内容などを設定し、これらの設定情報をメッセージ情報としてメッセージ抽出部112に出力する。
事前メッセージ作成部111は、類似度算出部109が算出した類似度に基づいて、車両40の走行経路上に、事前に運転支援を行う対象とする運転支援対象地点を特定する。ここでは、類似度算出部109から出力された類似度が所定値以上である場合に、その類似度が算出された特徴的な運転操作が検出された地点に対応する地点を走行経路上で特定することにより、運転支援対象地点を特定する。こうして走行経路上に運転支援対象地点を特定したら、事前メッセージ作成部111は、車両40が運転支援対象地点を走行する前に行う運転支援としての運転アドバイスのメッセージを作成する。このとき事前メッセージ作成部111は、個人カスタマイズ処理部107が設定した運転支援方法に従って、運転アドバイスの出力タイミング、出力方法、出力時間、メッセージ内容などを設定し、これらの設定情報をメッセージ情報としてメッセージ抽出部112に出力する。
メッセージ抽出部112は、通常メッセージ作成部110または事前メッセージ作成部111が作成したメッセージを出力装置160に送信し、そのメッセージを出力装置160に出力させる。これにより、ドライバへの運転支援としての運転アドバイスが出力装置160から行われるようにする。このときメッセージ抽出部112は、通常メッセージ作成部110または事前メッセージ作成部111から出力されたメッセージ情報に基づいて、出力装置160に送信するメッセージの組み合わせをメッセージDB128から抽出し、抽出したメッセージの組み合わせとその出力タイミング、出力方法、出力時間などを出力装置160に指示する。また、メッセージ抽出部112は、出力装置160に出力したメッセージを運転改善効果判定部105にも出力する。
図10は、本発明の第1の実施形態に係る運転支援装置100の処理フローを説明する図である。この処理フローは、運転支援装置100において、不図示の演算処理装置により実行される。
運転支援装置100は、車載装置130や車両センサ140からの情報を基に、車両40の運転が開始されたことを検出すると、図10の処理フローを開始する(S301)。なお、ドライバが車両40のイグニッションスイッチを切り替えたことや、ドライバからの音声入力やボタン操作入力などを検出することで、車両40の運転開始を検出してもよい。
車両40の運転開始後、走行環境取得部108は、車両40の走行経路を予測し、その走行経路における走行環境を取得する(S302)。
類似度算出部109は、特徴的運転発生DB123に格納された特徴的運転発生情報テーブルに基づいて、過去に特徴的な運転操作が検出された道路を特定する。そして、ステップS302で取得された走行環境に基づいて、過去に特徴的な運転操作が検出された道路と走行経路との類似度を算出する(S303)。
続いて、個人カスタマイズ処理部107は、車両40のドライバに応じた個人カスタマイズ処理を行う。ここでは、個人カスタマイズ方法学習部106によって学習した個人カスタマイズ方法に従い決定された運転支援パラメータの値に基づき、個々のドライバの運転特性に応じた運転支援方法を設定する(S304)。
事前メッセージ作成部111は、ステップS303で算出された類似度に基づいて、車両40がこれから走行する予定の走行経路が、当該ドライバによる過去の走行悪化道路、すなわち当該ドライバについて特徴的運転検出部104が過去に特徴的な運転操作を検出した道路と類似するか否かを判定する(S305)。ここでは、ステップS303で算出された類似度が所定の閾値、たとえば0.7以上であれば、走行経路と過去の走行悪化道路とが類似すると判定し、閾値未満であれば類似しないと判定する。なお、たとえばドライバが設定した運転操作の改善目的や運転支援の介入度合いなど、ドライバの運転特性に応じて閾値を変化させてもよい。その結果、走行経路と過去の走行悪化道路とが類似すると判定された場合(S305:Yes)には、事前メッセージ作成部111は、ステップS304で行われた個人カスタマイズ処理の結果に基づき、メッセージ抽出部112および出力装置160を用いて、ドライバに対して事前に運転アドバイスを提示する(S306)。一方、走行経路と過去の走行悪化道路とが類似しないと判定された場合(S305:No)には、ステップS306の処理を実行せず、事前の運転アドバイスの提示は行わない。
通常メッセージ作成部110は、ドライバが車両40に対して行った特徴的な運転操作が検知されたか否かを判定する(S307)。特徴的運転検出部104によって特徴的な運転操作が検知された場合(S307:Yes)には、通常メッセージ作成部110は、ステップS304で行われた個人カスタマイズ処理の結果に基づき、メッセージ抽出部112および出力装置160を用いて、ドライバに対して運転アドバイスを提示する(S308)。一方、特徴的な運転操作が検知されていない場合(S307:No)には、ステップS308の処理を実行せず、運転アドバイスの提示は行わない。
ステップS308で運転アドバイスを提示するか、またはステップS307で特徴的な運転操作が検知されないと判定した後、運転支援装置100は、車両40の運転が継続しているかを判定する(S309)。ここでは、たとえば車両40のイグニッションスイッチがオフになったり、車載装置130や車両センサ140からの情報が途絶えたりしたときに、運転が継続せずに終了したと判定することができる。その結果、これらが検出されずに車両40の運転が継続していると判定した場合(S309:Yes)には、ステップS302の処理に戻る。一方、運転が終了したと判定した場合(S309:No)には、運転改善効果判定部105は、ステップS306やステップS308で行われた運転アドバイスによるドライバの運転改善効果を判定し、運転改善効果DB124に記録する(S310)。
なお、ステップS310において、運転改善効果はドライバが予め設定した運転操作の改善目的に応じて算出することができる。たとえば、ドライバが事故リスクを下げることを運転操作の改善目的として設定していた場合には、当該ドライバがこれまでに最も事故リスクの高い運転を行った場合と比べて、運転アドバイスが行われたことでどの程度事故リスクが下がったかにより、運転改善効果を算出することができる。具体的には、たとえば事故リスクの高い運転として急ブレーキを過去に行っていたドライバに対しては、ブレーキをかけた際の減速度が最も大きかった場合と比べて、運転アドバイス後のブレーキ時の減速度がどれ位の大きさだったかを求めることにより、運転改善効果を算出する。なお、運転改善効果の算出方法は上記に限らない。たとえば、普段のブレーキ時の平均減速度と比べた減速度の大きさから運転改善効果を算出する方法や、単位時間あたりにブレーキ時の減速度が予め設定した閾値を超えた回数をカウントし、その回数の増減から運転改善効果を算出する方法なども考えられる。
ステップS310で運転改善効果DB124に運転改善効果が記録されると、個人カスタマイズ方法学習部106は、個人カスタマイズ方法の学習を行う(S311)。このとき個人カスタマイズ方法学習部106は、運転特性評価DB122、運転改善効果DB124、ユーザ情報DB125などに格納された情報に基づいて、個々のドライバの運転特性を判断し、その運転特性に応じて、運転改善効果が高くなるように運転支援パラメータを設定する。運転改善効果が高くなるとは、たとえば、事故に繋がる危険運転の発生頻度が低下することや、燃費性能の向上、乗り心地の向上などが考えられる。また、運転改善効果が高くなることを指標とする以外に、ユーザの納得性が高くなるようにカスタマイズ方法を学習してもよい。ステップS311で個人カスタマイズ方法の学習を行ったら、運転支援装置100は図10の処理フローを終了する。
なお、図10の処理フローにおいて、ステップS306やS308で運転アドバイスを提示する代わりに、ドライバを褒めるメッセージを提示することも可能である。ドライバによっては、運転操作の改善に向けた運転アドバイスを受けるよりも、褒められることでより効果的に運転操作が改善される場合がある。そのため、ステップS310で運転改善効果が高いと判定されたドライバに対しては、次にステップS306を実行する際に、たとえば「以前、同様の交差点ではスムーズな運転でした。今後も継続して低燃費な運転を心がけましょう。」などのように、過去のドライバの運転操作を褒めるメッセージを提示することも可能である。
また、図10の処理フローのステップS311において、個人カスタマイズ方法学習部106は、車両40を運転中のドライバを含む複数のドライバ、たとえばユーザ情報DB125に登録されている全ドライバに対して、運転改善効果判定部105が過去に行った運転改善効果の判定結果に基づき、当該ドライバの運転改善効果を推定してもよい。この方法について、以下に図11を参照して説明する。
図11は、運転改善効果の推定方法を説明する図である。図11(a)は、当該ドライバに対して判定済みの運転改善効果の一覧の例を示している。図11(a)の例では、過去の運転支援において、車両40の速度が40km/hであり、運転アドバイスの出力方法が文字の場合および音声の場合に、運転改善効果がそれぞれ+15%、+45%と判定済みであることを示している。一方、それ以外の車両速度と出力方法の組み合わせについては、図11(a)では空欄であり、運転改善効果が未判定であることを示している。
図11(b)は、全ドライバに対して判定済みの運転改善効果を平均した結果の例を示している。図11(b)の各欄の値は、全ドライバの運転改善効果を車両速度と出力方法の組み合わせごとに平均した値である。これにより、図11(a)では空欄であった車両速度と出力方法の組み合わせについても、運転改善効果の値を求めることができる。
図11(c)は、図11(a)、図11(b)を基に、当該ドライバの運転改善効果を推定した結果を示している。運転アドバイスの出力方法が文字と音声の場合については、車両速度40km/hでの図11(a)と図11(b)の運転改善効果の値の差から、図11(c)の各欄の値を推定している。すなわち、車両速度が40km/hのときには、図11(a)に示すように、文字による運転アドバイスでは当該ドライバの運転改善効果が15%であるのに対して、図11(b)に示すように、全ドライバの運転改善効果の平均は40%である。つまり、この条件での運転アドバイスによる当該ドライバの運転改善効果は、全ドライバと比べて25ポイント低いことが分かる。そのため、他の車両速度でも、文字による運転アドバイスを行った場合の当該ドライバの運転改善効果は、全ドライバの平均に対して概ね25ポイント低いと推測できる。同様に、図11(a)および図11(b)から、車両速度が40km/hのときに音声による運転アドバイスを行った場合の当該ドライバの運転改善効果は、全ドライバと比べて3ポイント高いことが分かる。そのため、他の車両速度でも、音声による運転アドバイスを行った場合の当該ドライバの運転改善効果は、全ドライバの平均に対して概ね3ポイント高いと推測できる。一方、他の出力方法については、図11(a)において空欄であり、当該ドライバの運転改善効果が不明である。そのため、図11(b)に示した全ドライバの運転改善効果の平均をそのまま利用して、図11(c)に示すように当該ドライバの運転改善効果を推測することができる。なお、運転改善効果の推定方法は上記の方法以外でもよい。たとえば、一般的な安全運転のガイドラインに従って運転改善効果を推定してもよい。
個人カスタマイズ方法学習部106は、図11(c)に示した運転改善効果の推定結果に基づいて、なるべく高い運転改善効果が得られるような出力方法を選択することで、運転支援パラメータの一つである介入方法を決定することができる。さらに、当該ドライバの運転特性に応じて他の運転支援パラメータを決定することで、個人カスタマイズ方法の学習を行うことができる。その後、決定された運転支援パラメータに応じた運転アドバイスの提示により運転支援が行われ、その運転支援に対する運転改善効果が判定されることで、当該ドライバに対する運転改善効果の判定結果が更新されると共に、全ドライバの運転改善効果の平均も更新される。
なお、個人カスタマイズ方法の学習において、上記のように運転改善効果の推定結果が高い運転支援パラメータの組み合わせを優先すると、選択されていない運転支援パラメータの組み合わせに応じた運転支援が実行されないこととなる。その結果、選択されていない運転支援パラメータの組み合わせに応じた運転支援の方が、実際には運転改善効果が高いような場合には、これを実行することができない可能性がある。そこで、こうした局所最適に陥らないようにするため、個人カスタマイズ方法学習部106は、これまでに選択されていない運転支援パラメータの組み合わせをランダムなタイミングで選択してもよい。このようにすれば、個々のユーザにとってより一層最適な運転支援パラメータの組み合わせを設定し、運転支援を行えるようになる。また、個人カスタマイズ方法学習部106は、全ドライバの運転改善効果の平均結果に基づき、個々のユーザにとって最適な運転支援方法を機械学習により学習してもよい。
また、個人カスタマイズ方法学習部106は、ユーザの発話情報や生体情報などのフィードバックを基に、個人カスタマイズ方法の学習を行ってもよい。たとえば、運転アドバイスが表示されたときに、もっと出力するタイミングを早める旨の内容をユーザが発話した場合には、当該ユーザについては運転支援の出力タイミングを早くした方が運転改善効果が高くなると推測して、運転支援パラメータを設定することができる。また、連続して運転改善効果が見込まれない場合には、運転アドバイスのメッセージ内容を厳しい口調にするなどのカスタマイズを行ってもよい。このとき、厳しい口調の運転アドバイスに対してユーザが否定的なフィードバックを行った場合には、メッセージ内容を優しい口調にするなどのカスタマイズを行うこともできる。さらに、発汗や心拍数の増幅などの生体情報から、ユーザがイライラしているなど心理的負荷が高いことが検出された場合には、個人カスタマイズ方法学習部106は介入度合いを自動で低くするなど、個人カスタマイズ方法を変更することも可能である。反対に、ユーザの心理的負荷が低いと検出された場合には、個人カスタマイズ方法学習部106は介入度合いを自動で高くするなど、個人カスタマイズ方法を変更することも可能である。
以上説明したように、個人カスタマイズ方法学習部106は、ユーザの運転改善目的、介入度合い、ユーザのフィードバック等に応じて、個人カスタマイズ方法の学習を行うことができる。なお、個人カスタマイズ方法学習部106による個人カスタマイズ方法の学習、すなわち運転支援パラメータの設定は、上記の例に限定されず、様々な方法で行うことができる。
次に、図10の処理フローのステップS303において、過去に特徴的な運転操作が検出された道路と走行経路との類似度を類似度算出部109が算出する際の算出方法について、以下に図12を参照して説明する。
図12は、類似度の算出方法を説明する図である。図12(a)は、2地点の走行箇所の項目別類似度の例である。図12(a)では、たとえば過去に特徴的な運転操作が検出された道路を走行箇所1とし、走行経路上のある道路を走行箇所2として、これらの走行箇所に対する項目別の類似度の例を示している。この例において、走行箇所1は、道路種別が市道、接続リンク数が4、勾配が0度、車線数が両側2車線、天気が晴れ、混雑度が0.8である。また、走行箇所2は、道路種別が県道、接続リンク数が2、勾配が10度、車線数が両側4車線、天気が曇り、混雑度が1.5である。図12(a)は、これらの項目別に走行箇所1と走行箇所2の類似度を示している。具体的には、道路種別の類似度は0.6、接続リンク数の類似度は0.6、勾配の類似度は0.7、車線数の類似度は0.6、天気の類似度は0.7、混雑度の類似度は0.4である。これらの項目別の類似度は、最も類似度の高い場合、すなわち走行箇所1と走行箇所2で当該項目の状況が同一の場合を1.0、最も類似度の低い場合を0として、この範囲内で予め設定された類似度の値に従って判断される。
図12(b)は、予め設定された項目別の類似度の一例として、道路種別ごとの類似度の例を示す。図12(b)に示すように、たとえば市道と私道の場合、類似度は0.75と予め設定しておく。図12(b)において、市道と県道の場合は類似度が0.6と設定されている。これにより、図12(a)に示すように、走行箇所1と走行箇所2の道路種別の類似度が0.6と求められる。同様に、他の項目についても、その内容に応じた類似度を予め設定しておくことで、その値から図12(a)に示すように走行箇所1と走行箇所2の類似度を求めることができる。
上記のようにして求められた項目別の類似度から、各項目の類似度の平均値を算出することにより、2地点の走行箇所の総合的な類似度が算出される。すなわち、図12(a)に示す例では、走行箇所1をP1、走行箇所2をP2とすると、P1とP2の類似度S(P1、P2)は以下の式で求められる。
S(P1、P2)=(0.6+0.6+0.7+0.6+0.7+0.4)/6
=0.6
なお、類似度算出部109による類似度の算出方法は、上記の例に限定されない。たとえば、項目別の類似度を予め設定せずに、項目ごとに正規化した値を設定してコサイン類似度を算出するなど、別の算出方法によって2地点の類似度を算出してもよい。
次に、図10の処理フローのステップS306やS306における運転アドバイスの提示方法について、以下に図13を参照して説明する。
図13は、運転アドバイスを画面表示した例を示す図である。図13では、出力装置160としてスマートフォンのディスプレイを利用し、そのディスプレイ上に運転アドバイス画面を表示することで運転アドバイスの提示を行った場合の例を示している。図13の運転アドバイス画面は、ナビゲーション画面表示部1001、目標設定ボタン1002、介入度合い設定ボタン1003および運転アドバイス表示部1004により構成されている。ナビゲーション画面表示部1001では、地図上に車両40の位置を示している。目標設定ボタン1002は、ユーザが運転操作の改善目的を設定するためのタッチ操作ボタンである。介入度合い設定ボタン1003は、ユーザが運転支援の介入度合いを設定するためのタッチ操作ボタンである。運転アドバイス表示部1004には、運転アドバイスの内容が表示されている。なお、運転アドバイスの提示方法は、図13に示した画面の例に限定されない。たとえば、図13の画面に対して構成要素を適宜追加もしくは削除した画面を出力装置160に表示することで、運転アドバイスを提示してもよい。
車両40のドライバは、運転を開始する前に目標設定ボタン1002を操作して運転時の目標を設定することで、運転操作の改善目的を設定することができる。図13に示す例では、運転時の目標として燃費改善が設定されている。なお、ドライバは運転前に必ずしも目標を設定する必要はない。たとえば、ドライバが20歳前後の若年ドライバの場合には、保護者が目標を設定するなどの設定方法も考えられる。また、過去の運転診断結果を基に運転支援装置100が自動で目標を設定することも可能である。さらに、運転前にドライバが目標を設定しなかった場合にのみ、運転支援装置100が自動で目標を設定してもよい。このようにドライバが目標を設定する必要が無い場合には、目標設定ボタン1002への操作を受け付けず、単に目標の設定状態を表示してもよい。
また、車両40のドライバは、運転を開始する前に介入度合い設定ボタン1003を操作して運転支援のモードを設定することで、運転支援の介入度合いを設定することができる。図13に示す例では、運転支援のモードとして、介入度合いの高いコーチングモードが設定されている。なお、ドライバは運転前に必ず運転支援のモードを設定する必要はない。たとえば、過去に設定した介入度合いと運転改善効果から運転支援装置100が自動で運転支援のモードを設定してもよい。また、運転中のドライバの発話内容などからドライバの反応を学習し、ドライバが急いでいるなどアドバイスの受容性が低い場合には、自動で運転支援のモードを変更して介入度合いを調整するなども可能である。このようにドライバが運転支援のモードを設定する必要が無い場合には、介入度合い設定ボタン1003への操作を受け付けず、単に運転支援のモードの設定状態を表示してもよい。
個人カスタマイズ方法学習部106は、上記のようにしてドライバが設定した運転時の目標や運転支援のモードに応じて、運転操作の改善目的と介入度合いを設定し、これらの設定結果を基に、運転支援パラメータの組み合わせを設定することができる。
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)運転支援装置100は、ドライバによる車両40の運転操作に応じた運転操作情報を取得する操作情報取得部101と、操作情報取得部101により取得された運転操作情報に基づいて、ドライバの運転操作に対する運転診断を行う運転診断処理部102と、運転診断処理部102による運転診断の結果に基づいて、ドライバの運転特性を評価する運転特性評価部103と、運転特性評価部103による運転特性の評価結果に基づいて、ドライバに対する運転支援方法を設定する個人カスタマイズ処理部107と、個人カスタマイズ処理部107により設定された運転支援方法を用いて、ドライバに対する運転支援を行う運転支援実施部、すなわち通常メッセージ作成部110、事前メッセージ作成部111およびメッセージ抽出部112と、を備える。このようにしたので、ドライバの運転特性を考慮して運転支援を行い、運転支援による運転改善効果を高めることができる。
(2)運転支援装置100は、ドライバによる車両40の特徴的な運転操作を検出する特徴的運転検出部104をさらに備える。運転支援実施部としての通常メッセージ作成部110およびメッセージ抽出部112は、特徴的運転検出部104により特徴的な運転操作が検出されたときに、ドライバに対する運転支援を行う。このようにしたので、たとえば事故に繋がる可能性が高い危険な運転操作や、燃費が悪化するような運転操作などが行われたときに、これを改善するための運転支援を適切なタイミングで行うことができる。
(3)運転支援装置100は、車両40の走行経路を予測して走行経路の走行環境を事前に取得する走行環境取得部108と、走行環境取得部108により取得された走行経路の走行環境に基づいて、特徴的運転検出部104により過去に特徴的な運転操作が検出された道路と走行経路との類似度を算出する類似度算出部109と、をさらに備える。運転支援実施部としての事前メッセージ作成部111およびメッセージ抽出部112は、類似度算出部109により算出された類似度に基づいて走行経路上の運転支援対象地点を特定し、車両40が運転支援対象地点を走行する前に、ドライバに対する運転支援を行う。このようにしたので、たとえば事故に繋がる可能性が高い危険な運転操作や、燃費が悪化するような運転操作などが過去に行われた場合に、これを改善するための運転支援を事前に行うことができる。
(4)車両40は、文字列の表示、画像表示、音声出力、車両40のハンドルまたは運転席の振動、車両40の車室内に設けられた警告ランプの発光の少なくともいずれか一つを行うことにより、ドライバに対する運転アドバイスを出力する出力装置160を搭載している。運転支援実施部としての通常メッセージ作成部110、事前メッセージ作成部111およびメッセージ抽出部112は、出力装置160に運転アドバイスを出力させることにより、ドライバに対する運転支援を行う。このようにしたので、ドライバにとって分かりやすい形態で運転支援を行うことができる。
(5)運転支援装置100は、運転特性評価部103による運転特性の評価結果に基づいて、ドライバの運転特性に応じた運転支援パラメータの値を決定する個人カスタマイズ方法学習部106をさらに備える。個人カスタマイズ処理部107は、個人カスタマイズ方法学習部106により決定された運転支援パラメータの値に基づいて、ドライバに対する運転支援方法を設定する。このようにしたので、ドライバの運転特性に応じた運転支援方法を確実に設定することができる。
(6)運転支援装置100は、運転支援によるドライバの運転改善効果を判定する運転改善効果判定部105をさらに備える。個人カスタマイズ方法学習部106は、運転改善効果判定部105による運転改善効果の判定結果にさらに基づいて、運転支援パラメータの値を決定する。このようにしたので、決定された運転支援パラメータの値から、なるべく高い運転改善効果が得られるような運転支援方法を設定することができる。
(7)個人カスタマイズ方法学習部106は、複数のドライバに対する過去の運転改善効果の判定結果に基づいて、運転支援によるドライバの運転改善効果を推定することができる。このようにすれば、あるドライバに対する運転改善効果の判定結果が十分に得られていない場合でも、他のドライバに対する過去の運転改善効果の判定結果を利用して、当該ドライバに対する運転改善効果を適切に推定することができる。
(8)個人カスタマイズ方法学習部106は、ドライバが予め設定した運転操作の改善目的および運転支援の介入度合いの少なくともいずれか一つにさらに基づいて、運転支援パラメータの値を決定することができる。このようにすれば、決定された運転支援パラメータの値から、ドライバの運転特性に応じた運転支援方法をさらに確実に設定することができる。
(9)個人カスタマイズ方法学習部106は、ユーザ情報DB125において予め登録されたドライバの属性に関するユーザ情報テーブルにさらに基づいて、運転支援パラメータの値を決定することができる。このようにすれば、決定された運転支援パラメータの値から、ドライバの運転特性に応じた運転支援方法をより一層確実に設定することができる。
(10)運転支援パラメータは、運転支援を行うタイミング、方法、時間および内容の少なくともいずれか一つを含むことができる。このようにすれば、運転支援パラメータに基づき、ドライバの運転特性に応じた運転支援方法を適切に設定することができる。
(第2の実施形態)
図14は、本発明の第2の実施形態に係る運転支援システムの構成図である。図14に示す運転支援システム10Aは、第1の実施形態で説明した図1の運転支援システム10と比べて、運転支援装置100に代えて運転支援装置100Aと、出力装置160に代えて車両アクチュエータ170とが、車両40に搭載されている点が異なっている。
運転支援装置100Aは、車両40の運転操作の状態に応じた運転補助動作を車両アクチュエータ170を介して行うことで、ユーザである車両40のドライバに対する運転支援を行う。このとき運転支援装置100Aは、後述するように、個々のドライバの運転特性を考慮して運転補助動作の内容を決定する。
車両アクチュエータ170は、運転支援装置100Aの制御により、ドライバによる車両40の運転操作に対する運転補助動作を行う。車両アクチュエータ170は、たとえばアクセル操作やブレーキ操作、ステアリング操作などの運転操作に対して、これを補助するための動作を実行する。
図15は、本発明の第2の実施形態に係る運転支援装置100Aの処理ブロック図である。運転支援装置100Aは、第1の実施形態で説明した図2の運転支援装置100と比べて、通常メッセージ作成部110、事前メッセージ作成部111およびメッセージ抽出部112に代えて運転補助方法作成部113および車両制御部114が設けられている点と、メッセージDB128を備えていない点とが異なっている。以下では、これらの相違点を中心に、運転支援装置100Aについて説明する。
運転補助方法作成部113は、第1の実施形態における事前メッセージ作成部111と同様に、類似度算出部109が算出した類似度に基づいて、車両40の走行経路上に、運転支援を行う対象とする運転支援対象地点を特定する。そして、運転補助方法作成部113は、車両40が運転支援対象地点を走行するときに、車両制御部114が運転支援として行う運転補助動作の方法を作成する。このとき運転補助方法作成部113は、個人カスタマイズ処理部107が設定した運転支援方法に従って、運転補助動作における制御対象アクチュエータ、制御タイミング、制御時間、制御量などを設定し、これらの設定情報を車両制御情報として車両制御部114に出力する。
車両制御部114は、運転補助方法作成部113が作成した運転補助動作の方法に従って車両アクチュエータ170を制御し、車両アクチュエータ170を動作させる。これにより、ドライバへの運転支援としての運転補助動作が車両アクチュエータ170によって行われるようにする。このとき車両制御部114は、運転補助方法作成部113から出力された車両制御情報に基づいて、車両アクチュエータ170の動作を制御する。また、車両制御部114は、車両アクチュエータ170に対する制御の内容を運転改善効果判定部105にも出力する。
図16は、本発明の第2の実施形態に係る運転支援装置100Aの処理フローを説明する図である。この処理フローは、運転支援装置100Aにおいて、不図示の演算処理装置により実行される。
ステップS1101〜S1105では、図10で説明した第1の実施形態の処理フローにおけるステップS301〜S305とそれぞれ同様の処理を実行する。
ステップS1105において、走行経路と過去の走行悪化道路とが類似すると判定された場合(S1105:Yes)には、運転補助方法作成部113は、ステップS1104で行われた個人カスタマイズ処理の結果に基づき、車両制御部114および車両アクチュエータ170を用いて、車両40が運転支援対象地点を走行するときに運転補助動作を実施する(S1106)。一方、走行経路と過去の走行悪化道路とが類似しないと判定された場合(S1105:No)には、ステップS1106の処理を実行せず、運転補助動作は行わない。
ステップS1107〜S1109では、図10で説明した第1の実施形態の処理フローにおけるステップS309〜S311とそれぞれ同様の処理を実行する。ステップS1109で個人カスタマイズ方法の学習を行ったら、運転支援装置100Aは図16の処理フローを終了する。
ステップS1109において、個人カスタマイズ方法学習部106は、運転特性評価DB122、ユーザ情報DB125、運転改善効果DB124にそれぞれ格納された情報に基づいて、個々のドライバの運転特性を判断し、その判断結果に基づいて個々のドライバに対する運転補助動作の制御対象アクチュエータ、制御タイミング、制御時間、制御量などを決定することにより、これらの運転支援パラメータの値を決定する。たとえば、運転改善効果DB124に格納された運転改善効果テーブル600において、当該ドライバのレコードで改善目的603に格納された運転操作の改善目的が燃費の改善である場合には、制御対象アクチュエータをスロットルアクチュエータとして、当該ドライバのアクセル操作が穏やかになるように、運転支援パラメータの値を設定することができる。一方、運転操作の改善目的が事故リスクの低減である場合には、制御対象アクチュエータをブレーキアクチュエータとして、当該ドライバのブレーキ操作が穏やかになるように、運転支援パラメータの値を設定することができる。
なお、本実施形態でも第1の実施形態で説明したのと同様に、個人カスタマイズ方法学習部106は、ユーザの発話情報や生体情報などのフィードバックを基に、個人カスタマイズ方法の学習を行ってもよい。たとえば、ブレーキ操作に対する補助動作が行われたときに、もっと減速するタイミングを早める旨の内容をユーザが発話した場合には、当該ユーザについてはブレーキ操作に対する補助動作のタイミングを早くした方が運転改善効果が高くなると推測して、運転支援パラメータを設定することができる。
以上説明した本発明の第2の実施形態によれば、運転支援装置100Aは、ドライバによる車両40の運転操作に応じた運転操作情報を取得する操作情報取得部101と、操作情報取得部101により取得された運転操作情報に基づいて、ドライバの運転操作に対する運転診断を行う運転診断処理部102と、運転診断処理部102による運転診断の結果に基づいて、ドライバの運転特性を評価する運転特性評価部103と、運転特性評価部103による運転特性の評価結果に基づいて、ドライバに対する運転支援方法を設定する個人カスタマイズ処理部107と、個人カスタマイズ処理部107により設定された運転支援方法を用いて、ドライバに対する運転支援を行う運転支援実施部、すなわち運転補助方法作成部113および車両制御部114と、を備える。また、運転支援装置100Aは、ドライバによる車両40の特徴的な運転操作を検出する特徴的運転検出部104と、車両40の走行経路を予測して走行経路の走行環境を事前に取得する走行環境取得部108と、走行環境取得部108により取得された走行経路の走行環境に基づいて、特徴的運転検出部104により過去に特徴的な運転操作が検出された道路と走行経路との類似度を算出する類似度算出部109と、をさらに備える。運転支援実施部としての運転補助方法作成部113および車両制御部114は、類似度算出部109により算出された類似度に基づいて走行経路上の運転支援対象地点を特定し、車両40が運転支援対象地点を走行するときに、ドライバに対する運転支援を行う。具体的には、車両40は、ドライバが行う運転操作を補助するための車両アクチュエータ170を搭載している。運転支援実施部としての運転補助方法作成部113および車両制御部114は、車両アクチュエータ170を動作させることにより、ドライバに対する運転支援を行う。このようにしたので、ドライバの運転操作を補助して効果的な運転支援を行うことができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態で説明した運転支援装置100の機能の一部をテレマティクスセンタ内に設けた例を説明する。
図17は、本発明の第3の実施形態に係る運転支援システムの構成図である。図17に示す運転支援システム10Bは、第1の実施形態で説明した図1の運転支援システム10と比べて、テレマティクスセンタ20および運転支援装置100に代えて、テレマティクスセンタ20Bおよび運転支援装置100Bを有している点が異なっている。
図18は、本発明の第3の実施形態に係るテレマティクスセンタ20Bおよび運転支援装置100Bの処理ブロックである。図18において、テレマティクスセンタ20Bは、操作情報受信部201と、第1の実施形態で説明した図2の運転支援装置100の処理ブロックのうち、操作情報取得部101以外の各処理ブロックとを備える。一方、運転支援装置100Bは、操作情報取得部101および通信制御部115を備える。
運転支援装置100Bにおいて、操作情報取得部101は、車載装置130または車両センサ140から、ドライバの運転操作に応じた車両40の運転操作情報を取得すると、取得した運転操作情報を通信制御部115に出力する。通信制御部115は、通信部150を制御することで、操作情報取得部101から出力された運転操作情報を、ネットワーク30を介してテレマティクスセンタ20Bへ送信する。
テレマティクスセンタ20Bにおいて、操作情報受信部201は、運転支援装置100Bから送信された運転操作情報を受信し、運転診断処理部102および特徴的運転検出部104に出力する。運転診断処理部102および特徴的運転検出部104は、操作情報受信部201から出力された運転操作情報を用いて、第1の実施形態で説明したのと同様の動作をそれぞれ行う。
また、テレマティクスセンタ20Bにおいて、メッセージ抽出部112は、通常メッセージ作成部110または事前メッセージ作成部111からメッセージ情報が出力されると、そのメッセージ情報をドライバに対する運転支援を行うための運転支援情報として、ネットワーク30を介して運転支援装置100Bに送信する。テレマティクスセンタ20Bから送信された運転支援情報すなわちメッセージ情報は、運転支援装置100Bにおいて、通信部150を用いて通信制御部115により受信され、出力装置160に出力される。これにより、第1の実施形態と同様に、ドライバへの運転支援としての運転アドバイスが出力装置160によって行われる。
以上説明した本発明の第3の実施形態によれば、テレマティクスセンタ20Bは、車両40に搭載された運転支援装置100Bと通信を行う。テレマティクスセンタ20Bは、ドライバによる車両40の運転操作に応じた運転操作情報を運転支援装置100Bから受信する操作情報受信部201と、操作情報受信部201により受信された運転操作情報に基づいて、ドライバの運転操作に対する運転診断を行う運転診断処理部102と、運転診断処理部102による運転診断の結果に基づいて、ドライバの運転特性を評価する運転特性評価部103と、運転特性評価部103による運転特性の評価結果に基づいて、ドライバに対する運転支援方法を設定する個人カスタマイズ処理部107と、個人カスタマイズ処理部107により設定された運転支援方法を用いて、ドライバに対する運転支援を行うための運転支援情報を運転支援装置100Bに送信する運転支援情報送信部、すなわち通常メッセージ作成部110、事前メッセージ作成部111およびメッセージ抽出部112と、を備える。このようにしたので、第1の実施形態と同様に、ドライバの運転特性を考慮して運転支援を行い、運転支援による運転改善効果を高めることができる。
なお、上記第3の実施形態では、第1の実施形態で説明した運転支援装置100の機能の一部をテレマティクスセンタ内に設けた例を説明したが、第2の実施形態で説明した運転支援装置100Aの機能の一部をテレマティクスセンタ内に設けてもよい。たとえば、操作情報受信部201と、第2の実施形態で説明した図15の運転支援装置100Aの処理ブロックのうち、操作情報取得部101および車両制御部114以外の各処理ブロックとを、テレマティクスセンタ内に設けてもよい。その場合、テレマティクスセンタにおいて、運転補助方法作成部113は、作成した運転補助動作の方法に応じた車両制御情報をドライバに対する運転支援を行うための運転支援情報として、ネットワーク30を介して車両40に搭載された運転支援装置に送信する。この運転支援装置は、図18と同様の操作情報取得部101および通信制御部115と、車両アクチュエータ170を制御するための車両制御部114とを備えている。テレマティクスセンタから送信された運転支援情報すなわち車両制御情報は、運転支援装置において受信されると車両制御部114に出力され、車両アクチュエータ170の制御に用いられる。これにより、第2の実施形態と同様に、ドライバへの運転支援としての運転アドバイスが車両アクチュエータ170によって行われる。
また、テレマティクスセンタ内に設ける機能は、第3の実施形態および上記変形例で説明したものに限定されない。第1、第2の実施形態でそれぞれ説明した運転支援装置100、100Aの処理ブロックのうち、任意のものをテレマティクスセンタ内に設けることができる。
以上説明した実施形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。