JP6696206B2 - ガス不透過性管を用いた細胞培養装置および細胞培養方法 - Google Patents

ガス不透過性管を用いた細胞培養装置および細胞培養方法 Download PDF

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Description

本発明は、細胞を培養するための細胞培養装置および細胞培養方法に関する。
幹細胞は、臓器や組織を形成し得る細胞であり、成体であってもほとんどの臓器や組織に存在していると考えられている。幹細胞のうち胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、万能細胞であり全ての組織や臓器に分化する能力を持っている。一方、体性幹細胞は、全ての臓器や組織に分化できるわけでなく特定の組織や臓器に分化する。ヒト組織から採取できる体性幹細胞は、患者自身から採取でき、拒絶反応の恐れがないため細胞移植治療に用いる移植用細胞として注目されている。
ヒトにおける体性幹細胞は、現在までに間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、心筋幹細胞、膵幹細胞、皮膚幹細胞、骨髄幹細胞、網膜幹細胞、角膜内皮幹細胞などが知られている。しかし、幹細胞が組織に含まれる割合は極めて微量である。
そこで、生体組織から得られた体性幹細胞を生体外で培養し、治療に必要な細胞数まで増幅した後、同一人又は他人の治療に使用するという細胞移植治療の研究が進展し、実用化され始めている。
しかしながら、一般に実施されている細胞培養の作業では、生物学的な汚染のリスクが高いことや、人件費によるコスト高などが課題となるため、細胞移植治療の更なる発展には安全かつ低コストで幹細胞を培養することが求められる。そのため、インキュベーション、培養液交換操作、継代操作等を細胞培養完了まで繰り返して自動で行う自動化装置の必要性が検討されている。
このような自動培養装置の一例として、特許文献1には、細胞の増殖及び成長用の中空糸型バイオリアクターであって、細胞空間(中空糸中空部)および無細胞空間(中空糸外側)にそれぞれ異なる培地を循環するための液流回路を有するバイオリアクタシステムが開示されている。該システムにおいては、ガス交換の効率を高めるために液流回路としてシリコーン製のチューブを用いているが、そのためバイオリアクタシステム内の流体を100mmHgまで加圧し、モジュールおよびチューブ内のガスバブルの形成を防ぐ必要がある。
特表2003−510068号公報
本発明は、よりシンプルかつ高効率に幹細胞等を培養できる培養装置および培養方法を提供することを課題とする。より詳細には、ガス透過性の培養液バッグを用いる一方で、ガス不透過性の流路管(チューブ)を用いることにより、培養容器およびチューブ内でのガスバブルの形成を防ぐことが可能な培養装置および培養方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1.細胞培養容器、培養液貯留容器、前記細胞培養容器と前記培養液貯留容器とを接続するための流路管を含む細胞培養装置であって、前記培養液貯留容器がガス透過性の37℃における酸素透過度が200×10 −10 cm /(cm ・sec・cmHg)以上、二酸化炭素透過度が1200×10 −10 cm /(cm ・sec・cmHg)以上であり、前記流路管がガス不透過性の37℃における酸素透過度が100×10 −10 cm /(cm ・sec・cmHg)以下であり、二酸化炭素透過度が1000×10 −10 cm /(cm ・sec・cmHg)以下であることを特徴とする装置。
2.前記流路管は、厚みが0.5mm〜3mmであるポリエチレン製、ポリウレタン製、ポリテトラフルオロエチレン製およびテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体製からなる群から選ばれる1種以上である、1に記載の装置。
3.前記細胞培養容器は、多孔性膜中空糸が複数本内挿され、中空糸内腔側と中空糸外腔側が区画されたものである、1または2に記載の装置。
4.少なくとも前記細胞培養容器、前記培養液貯留容器および前記流路管がCOインキュベーター内に設置されたことを特徴とする1から3のいずれかに記載の装置。
5.1からのいずれかに記載の装置を用いる細胞培養方法。
細胞培養容器と培養液貯留容器との接続部分に、ガス不透過性の流路管を用いることにより、流路管内での気泡の発生を抑制できるため、スムーズに培養液が流れ、細胞の高い増殖効率を実現することができる。また、流路管内に発生する気泡を除去する作業が不要となり、操作性も向上する。すなわち、本発明により、雑多な細胞集団の中に極少数しか存在しない細胞(例えば、間葉系幹細胞など)を、従来法に比して安全、簡便かつ高効率に培養することができる。
本発明の細胞培養容器の一例を示す模式図である。 本発明の細胞培養装置の一例を示す模式図である。
本発明は、細胞培養容器、培養液貯留容器、前記細胞培養容器と前記培養液貯留容器とを接続するための流路管を含む細胞培養装置であって、前記培養液貯留容器がガス透過性を有し、前記回路がガス不透過性であることを特徴とする。
前記培養装置全体の大きさについては、特に制限はないが、好ましくはCOインキュベーター内に設置可能な小型のものが好ましい。培養装置は小型のため、複数台同時にCOインキュベーター内に設置することも可能である。また、培養装置全体の重量については、特に制限はないが、好ましくはCOインキュベーター内に設置可能な程度の軽量なものが好ましい。
(細胞培養容器)
本発明において、細胞培養容器に用いる培養基材の形態は特に限定されないが、好ましくは比表面積の大きい形態である。比表面積の大きい培養基材を用いることにより、市販のCOインキュベーター内に設置することが可能な小型培養装置を実現することができる。前記の比表面積の大きい形態としては、例えば、中空糸(多孔性膜中空糸が好ましい)、不織布、ナノファイバーなどが挙げられる。中でも、細胞培養における作業性、特に細胞回収作業の観点から考慮すると、中空糸が好ましい。
本発明において、細胞培養容器の大きさは、必要細胞数に応じて、選択することができる。一般に、必要細胞数が多いほど大きな細胞培養容器を用いることが好ましい。また、細胞の保有量と必要量との差が大きい場合は適宜段階的にスケールアップしても良い。例えば、中空糸内表面側に細胞を付着(接着)させて培養する際は、細胞数は、中空糸内径基準の膜面積に比例するので、体性幹細胞のように初期の細胞数が少ない場合は、培養初期は小型モジュールを用い、段階的にモジュール大きさをスケールアップすることにより、培養後半過程において、大量の体性幹細胞を得ることができる。
細胞培養容器の培養基材として中空糸を用いる場合、その素材については、細胞を中空糸内腔に保持でき、溶液や低分子の物質を透過させるような構造をとることができるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、再生セルロースなどのセルロース系素材、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系素材、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、フッ素系樹脂、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン等の熱可塑性高分子による骨格構造を有する不溶性担体が好適に利用できる。また、これらの誘導体が主成分であっても良い。また、本発明で使用する中空糸は、さらにこれらの素材に化学的に修飾を加えたものであっても良い。例えば、使用する中空糸は、親水化処理が施されたものであってもよい。中空糸を親水化処理することにより、培養細胞への培養液等の液体成分の供給が容易になる。中空糸を親水化処理する方法としては、例えば、中空糸をエチレン−ビニルアルコール共重合体等の親水性高分子や、グリセリン、エタノールで処理する方法が挙げられる。また、使用する細胞に応じて、中空糸への接着向上のため、コラーゲンやフィブロネクチン等のコーティング剤を使用しても良い。
本発明において、中空糸の太さについても特に制限はないが、内径は好ましくは100〜1000μm、より好ましくは150〜500μm、さらに好ましくは150μm〜300μmのものが利用される。膜厚についても、特に制限はないが、中空糸が適度な強度を保ち、かつ物質の透過性に大きな支障がない範囲で設定すればよく、10〜150μmが好ましく、10〜100μmがより好ましく、10〜40μmがさらに好ましい。
中空糸の内腔側に細胞を播種し、培地を還流する培養を行う場合は、中空糸の内径は、二次元的な効果として、細胞の播種、増殖する面積、細胞密度だけでなく、三次元的な効果である、コンパクト性のみならず、培地との接触容積、培養液(培地)の流れ、線速度、せん断力などに影響する設計や操作条件と関わる事項となることから、中空糸培養のメリットを活かす要件となる。
中空糸の孔径は、細胞は通過させないが、水、塩類、タンパク質などの培養液成分は通過させる通孔であれば、特に限定されるものではないが、細胞の培養を考慮すると物質交換の効率のよい比較的大きな孔径を有する方が望ましく、例えば、平均孔径が0.001〜0.5μm程度であることが好ましく、0.01〜0.1μm程度の通孔を有するものであればより好ましい。また、分画分子量(篩係数が0.1未満となる分子量)は、1〜100万程度であることが好ましく、2〜20万程度であれば、より好ましい。さらに、膜の孔径は、培養に伴う各種生体成分の吸着や目詰まりの影響も受けることになる。すなわち、最適な設計は、これらの物質との相互作用を鑑みて実施されるべきである。
中空糸の透水性についても、特に制限はないが、好ましくは10〜1000mL/m/hr/mmHg、より好ましくは20〜500mL/m/hr/mmHgが適している。透水性が小さいと、十分な物資移動を発現できない。また、透水性が大きすぎると、中空糸の内部や外部流路に培地などを流した場合に、膜間の圧力差が生じ、勝手にろ過が発生し、流れが偏ってしまったり、中空糸の長さ方向で分布ができてしまうため好ましくない。
また、本発明による中空糸の好ましい透過性を有する形態においては、例えばフィブロネクチンのような分子量の大きなタンパク質は膜を透過することが出来ない。従い、前述のように膜に接着したタンパク質を足場として細胞が接着し、更に、細胞自身が作り出すタンパク質も加えた充分な細胞外マトリックスが形成され、培養に適した良好な細胞増殖環境を形成・維持することが可能となる。
中空糸を培養基材として用いるメリットは、通常のシャーレやフラスコ培養では実現できない接着細胞の接着面からの物質交換ができることであり、栄養分や酸素供給と老廃物の除去が効率的に実施される。しかしながら同時に、必要な成分が過剰に除かれてしまう懸念もあるため、細孔径を最適にコントロールすれば、細胞近傍の培養環境を良好なものとし、培養効率の向上を達成できる。
本発明の細胞培養装置に用いる細胞培養容器は、着脱可能であってもよい。例えば、細胞培養容器の培養基材として中空糸を用いる場合、筒状容器に数百〜数万本の中空糸が束ねられた中空糸束を格納してモジュール化すればよい。モジュールには、培養基材に培養液を供給することができる開口部と、培養液を排出することができる開口部とを、それぞれ1つ以上有している必要がある。前記培養液貯留容器から前記細胞培養容器への培養液の流れは、一方向であることが好ましい。
(細胞培養容器)
本発明において、細胞培養容器は、例えば、筒状ケースに数百〜数万本の中空糸を格納することにより作製することができる。このような細胞培養容器は、単位体積あたりの培養面積が非常に大きく、また、培養操作も簡便化することが出来、効率よく細胞培養を実施することが出来る。
このような中空糸を用いた細胞培養容器の構成は特に限定されないが、例えば図1に示すように、4つの開口部(端部導管および側部導管)を有するケース3に中空糸4が適宜必要な本数充填されている形態が挙げられる。この形態においては、前記4つの開口部のうち、2つの端部導管1aまたは1bは、それぞれ前記中空糸束の両端において各中空糸の内腔と外腔を分離した状態で、中空糸の中空部を閉塞しないように適当なシール材(例えば、ポリウレタン系ポッティング剤)によりケース端部に接着固定されており、前記端部導管1aまたは1bの一方から導入された液体などが中空糸内腔を通ってもう一方の端部導管1bまたは1aから導出される(すなわち、一方向に流れる)ように構成されている。一方、前記開口部のうち、残りの2つの側部導管2aまたは2bは、前記ケース3の内側であって、かつ前記中空糸の外腔である空間(以下、単に「外腔側」とも呼ぶ。)と接続しており、前記側部導管2aまたは2bの一方から導入された液体などが細胞培養容器の外腔側を通ってもう一方の側部導管2bまたは2aから導出される(すなわち、一方向に流れる)ように構成されている。
前記細胞培養容器を用いる場合、細胞培養は、内腔側または外腔側のいずれにおいて行っても良いが、内腔側で培養を行うことが好ましい。たとえば、内腔側にて、細胞を培養する際は、細胞縣濁液を端部導管より注入することにより播種し、播種終了後、細胞懸濁液を培地に切り換えて灌流させ、内腔側にて一定期間培養を行う。この間、同時に外腔側へも培地を側部導管より注入し灌流させることが好ましい。液体培地は、細胞に必要な養分や酸素・二酸化炭素などのガスを供給する役割を有する。培養期間中、ガス交換および、細胞への栄養供給、老廃物除去のため、内腔側、外腔側ともに、培地を一方向に供給し続けることが好ましい。その際、ポンプ等を用いることにより、適切な速度で循環させたり、供給・排出したりすることができる。
前記細胞培養容器は、適切な方法で滅菌し、供給される。滅菌方法は、特に制限はないが、例えば、高圧蒸気滅菌、電子線滅菌、放射線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌等が挙げられる。
細胞培養容器に中空糸を用いることにより、細胞へ常に新鮮な培地を供給することができ、培養基材にシャーレや多段フラスコ等を用いる際に必要な交換作業は不要となり、作業者の拘束時間を減らすことができる。
(培養液貯留容器)
本発明の細胞培養装置に用いる培養液貯留容器はガス透過性を有することを特徴とする。培養液は、細胞に必要な養分や酸素・二酸化炭素などのガスを供給する役割を有するが、本発明においては、培養液貯留容器がガス透過性を有するため、これをCOインキュベーター内に設置することで培養液に必要なガスを供給し続けることができる。
本発明において、培養液貯留容器に用いられる素材は、特に限定されないが、細胞培養に必要なガス透過性を有しており、一般に通気性材料と称される材料を選択すればよい。具体的には、容器材料の37℃における酸素透過度が200×10−10cm/(cm・sec・cmHg)以上、二酸化炭素透過度が1200×10−10cm/(cm・sec・cmHg)以上であることが好ましい。また、成形加工性に優れ、放射線やある程度の耐熱性を有するものであり、かつ内部の培養液の様子を観察することができる透明性の材料であることが好ましい。このような材料としては、ポリエチレン(酸素透過係数:0.4×10−10〜6×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg)、二酸化炭素透過係数:2×10−10〜30×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg))、ポリウレタン(酸素透過係数:1×10−10〜5×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg)、二酸化炭素透過係数:5×10−10〜40×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg))、ポリスチレン(酸素透過係数:1.5×10−10〜25×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg)、二酸化炭素透過係数:7.5×10−10〜37×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg))、ポリプロピレン(酸素透過係数:2×10−10〜50×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg)、二酸化炭素透過係数:5×10−10〜20×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg))、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(酸素透過係数:3×10−10〜7×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg)、二酸化炭素透過係数:5×10−10〜18×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg))、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)(酸素透過係数:0.5×10−10〜6×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg)、二酸化炭素透過係数:1×10−10〜18×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg))、ポリ4メチルペンテン−1(酸素透過係数:2×10−10〜32×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg)、二酸化炭素透過係数:15×10−10〜72×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg))、シリコーン(酸素透過係数:450×10−10〜650×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg)、二酸化炭素透過係数:2500×10−10〜3200×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg))などが挙げられる。また、これらを使用した積層体であってもよいが、これらに限定されるものではない。これらの材料を用いて、酸素透過度および二酸化炭素透過度が所望の値になるように、大きさや厚みを調整して培養液貯留容器を作製すればよいが、強度やガス透過性を両立する上で、容器の厚みは100〜1000μmが好ましく、100〜500μmがより好ましい。
本発明において、培養液貯留容器の形態は特に限定されないが、培養液を外部に供給できる開口部を少なくとも1つ有している必要がある。前記開口部は、培養液を前記細胞培養容器に供給できるように、後述の流路管に接続可能に構成されていることが好ましい。また、培養液の蒸発を防止し、汚染の危険性を低減できるように前記開口部は未使用時に密栓でき、かつ使用時は培養液が外部と接触できない状態で流路管に液密に接続(例えば、無菌コネクターにより相互接続)できるよう構成されていることが好ましい。また、前記開口部以外の部分は、容器内の培養液が外部と接触できないよう構成されていることが好ましい。このような培養液貯留容器としては、例えば、市販の培養バッグ(ニプロ社製、東洋製罐社製のものなどが入手できる)、プラスチック製ボトルなどが挙げられる。
(COインキュベーター)
本発明において、少なくとも前記細胞培養容器、前記培養液貯留容器および流路管をCOインキュベーター内に設置して細胞培養を行うのが好ましい。前記細胞培養容器、前記培養液貯留容器および流路管内の培地中のCO濃度を一定に保つことができるものであれば、特に限定されない。廃液用の流路管や、液体培養液の供給および/または排出等を制御する手段等については、必ずしもCOインキュベーター内に設置される必要はない。COインキュベーターは、COの濃度を一定に維持できるのは勿論のこと、さらに恒温機としての役割も有していることが好ましい。COの濃度や温度の設定は特に限定されないが、COの濃度は5%、温度は37℃にそれぞれ設定することが好ましい。このようなCOインキュベーターとして、たとえば、Panasonic株式会社製のもの、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製のもの、ヤマト科学株式会社製のものなどを使用することが可能である。
(流路管)
本発明の細胞培養装置において、前記細胞培養容器にはいくつかの流路管(流路網)が接続している。その構成(配管)は特に限定されないが、少なくとも前記細胞培養容器と前記液体培養液貯留容器との接続部分を含み、前記液体培養液貯留容器から前記液体培養液貯留容器への培養液の供給が可能なように接続されている必要がある。このほか、前記細胞培養容器には、細胞を播種するために前記細胞培養容器に供給するための流路管、前記細胞培養容器で培養された細胞を回収するための流路管や、前記細胞培養容器を通過した培養液を廃棄するための流路管などが接続されていてもよい。なお、本明細書において「接続」とは、直接繋がっている場合および流路管などの流路を介して繋がっている場合のいずれであってもよい。
本発明の細胞培養装置において、前記培養液貯留容器と前記細胞培養容器とを接続する流路管については、ガス不透過性の流路管を用いることが好ましい。具体的には、流路管の37℃における酸素透過度が100×10−10cm/(cm・sec・cmHg)以下であり、二酸化炭素透過度が1000×10−10cm/(cm・sec・cmHg)以下であることが好ましい。このような特性を有する材料としては、ポリエチレン(酸素透過係数:0.4×10−10〜6×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg)、二酸化炭素透過係数:2×10−10〜30×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg))、ポリウレタン(酸素透過係数:1×10−10〜5×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg)、二酸化炭素透過係数:5×10−10〜40×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg))、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(酸素透過係数:3×10−10〜7×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg)、二酸化炭素透過係数:5×10−10〜18×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg))、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)(酸素透過係数:0.5×10−10〜6×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg)、二酸化炭素透過係数:1×10−10〜18×10−10cm(STP)・cm/(cm・sec・cmHg))などを用いることができる。流路管は、実用に耐える強度とガス不透過性を両立するために、その厚みは、0.5mm〜3mm程度とするのが好ましい。
前記培養液貯留容器と前記細胞培養容器とを接続する流路管にガス透過性を有する流路管を用いると、流路内に気泡が発生する。気泡が発生する要因として、流路管内は陰圧になりやすく、したがってガス透過性を有する流路管を用いると、インキュベーター内の酸素や二酸化炭素等のガスを吸い込んで流路内に気泡が発生するものと推察している。流路管内に気泡が発生すると、培養液の流れが妨げられ、培養液が流路管内をスムーズに流れなくなるだけでなく、気泡が中空糸まで到達すると中空糸を閉塞してしまうため細胞の培養効率が低下するという問題がある。したがって、高い増殖効率を実現するために、前記培養液貯留容器と前記細胞培養容器とを接続する部分の流路管については、ガス不透過性の流路管を用いることが好ましい。
(液体の供給、排出などを制御する手段)
細胞懸濁液や培養液などの液体の供給方法は、特に限定されるものではないが、ポンプを用いた移送や、培養液貯留容器が培養バッグなど軟質のものである場合は前記容器にローラーを当てて培養液を絞り出す方法等が好適である。ポンプの設置場所は特に限定されないが、液体がポンプ部分を通過する際にゴミが混入する等のリスクを避けるため、排出側に設置することが好ましい。
(培養の対象となる細胞)
本発明に係る対象となる細胞は、特に限定されるものではないが、接着性の動物細胞が好適である。細胞の由来も特に限定されず、ヒト、ブタ、イヌ、マウス等のいずれの動物由来のものも使用できる。また、接着性の動物細胞は、初代培養細胞及び株化細胞の双方を対象とすることができる。また、表皮角化細胞、血管内皮細胞、繊維芽細胞、肝細胞などのプライマリー細胞や、さらに胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、間葉系幹細胞、脂肪前駆細胞、肝幹細胞などの幹細胞、前駆細胞でもよい。また、これらの細胞は、培養前に外来遺伝子が導入された細胞であってもよいし、抗体やリガンドなどの刺激因子などで予め刺激、加工されている細胞であっても良い。
(細胞の播種)
本発明において、細胞培養容器内に細胞を播種するための手段は、特に限定されない。
一例として、前記培養液貯留容器を利用する方法が挙げられる。この方法は、培養液貯留容器に播種したい細胞を含む溶液を入れ、細胞培養容器に流し込み灌流させる方法である。播種終了後、培養液貯留容器を培養液が入ったものに切り換えて灌流させ培養を行えばよい。例えば、培養液貯留容器として市販の培養バッグを用いる場合、播種したい細胞と培養液とを含む溶液を培養バッグに入れて細胞培養装置にセットした後、前記溶液を細胞培養容器へ移送して播種を開始し、全ての溶液の移送が終了したら、培養液のみを含む培養バッグに切り換えて培養を行えばよい。この方法は、播種したい細胞を含む溶液の液量が多いときに用いることが好適である。液量が少ない場合は、シリンジ等を用いてインジェクションすることにより前記細胞培養容器に溶液を流し込むことができるような流路管を別途構成しても良い。
(細胞の培養)
本発明において、例えば中空糸内腔において細胞を培養する場合には、前述の中空糸タイプの細胞培養容器を用い、端部導管の一方から細胞を懸濁した液を中空糸内腔部に流入させることにより、細胞を播種することが出来る。一定時間静置し、細胞を中空糸に接着させた後に、インキュベーター内に設置した前記細胞培養容器に、連続的あるいは間欠的に培養液を送り込むことにより細胞を培養、増殖させることが出来る。培養液は細胞に必要な養分や酸素・二酸化炭素などを供給する役割を有する。培養に用いられる培地は、培養細胞の種類に応じて決定され、当該細胞の培地として通常用いられるものであればよい。本発明の培養方法は、無血清培養にも用いることができる。
例えば、中空糸内腔において細胞を培養する場合、容器への培地の供給は、内腔側および外腔側の2ルートが必要である。その際、培地の供給にあたり、培地貯留容器は内腔側および外腔側に対して別々のものを用いても良いし、1つの容器から内腔側および外腔側の両方に培地を分配供給しても良い。この場合、内腔側の培地組成と外腔側の培地組成は同一であっても異なっていても良い。また、この場合、内腔側の流速と外腔側の流速は同一であっても異なっていても良い。
細胞培養中の培養液の流速については、特に制限はないが、細胞が増殖するのに応じて適宜流速を調整することが好ましい。特に、対数増殖期に入るまでの、培養初期段階においては、栄養供給と細胞周囲の微小環境の維持のバランスを考慮し、流速を厳密に制御する必要がある。即ち、流速が遅すぎると、細胞への栄養供給が十分になされず、細胞が増殖しにくくなる。逆に、流速が速すぎると、細胞の周囲の環境変化が大きく、不適となる。
流速の調整は、培養液中のグルコースや乳酸の濃度変化をモニターし、これをもとに行うことが好ましい。また、培地の流速は、細胞培養容器のスケールに応じて調節する。
前記細胞培養容器への培養液の流れは、一方向であることが好ましい。例えば、細胞培養容器における培養液が常に一方の端部導管から導入され、反対側の導管(導出口)に向けて流れる形態が挙げられる。一旦、細胞培養容器から導出された培養液が再度導入口から導入される、いわゆる循環式であってもよい。中空糸タイプの細胞培養容器の場合は、中空糸の内腔側と外腔側との少なくとも一方が循環式であってもよいし、その両方が循環式であってもよい。
細胞播種後および/または細胞培養中は、細胞培養容器の回転、震とう、あるいはローリング等を行っても良い。このような操作を行うことは、例えば中空糸内腔に播種した細胞を中空糸表面に均一に分散・接着させることができるとか、気泡が発生した場合に除去しやすいとか、培養細胞に満遍なく培養液の栄養が行き渡る、などの点で好ましい。
(モニタリング装置等)
本発明の細胞培養装置は、pH、グルコース、乳酸塩、酸素等といった細胞代謝物質の成分や濃度等を経時的にモニタリングする手段や分析手段を含んでも良い。例えば、検知のためのセンサーを含むことができる。センサーは、中空糸内側の出入り口または中空糸外側の出入り口の任意の位置に、取り付けることができる。あるいは、中空糸内側や中空糸外側の出口に、フラクションコレクターを取り付けることにより、定期的に培養液を採取することもできる。
培養液中のグルコースや乳酸塩の濃度は、細胞増殖性に応じるため、培養液の流速を調節するための指標として用いることができる。例えば、グルコース濃度が減少した場合、細胞が増殖しているため、細胞へ栄養を供給するため、培養液の流速を上げ、細胞が更に増殖しやすい環境を提供することができる。
(作業コントローラー(操作パネル))
本発明の細胞培養装置は、上記の操作や工程を行うため、また、モニタリングを行うため等の便宜のために、それらをコントロールするための作業コントローラー(作業パネル)を備えていても良い。
(細胞の回収)
本発明において、培養した細胞を回収するための手段は、特に限定されない。例えば、中空糸内腔において細胞を培養した場合には、培養液の灌流を停止した後、中空糸内腔側および外腔側に存在する培養液を除去するため、二価陽イオンフリーのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を一定時間灌流させ、培養液を充分PBSに置換する。次に、PBSを除去し、トリプシン等のプロテアーゼを中空糸内腔側と外腔側へ充填し、一定時間インキュベートする。このような処理により、培養細胞を中空糸から剥離させた後、培養液などを中空糸内腔側へ流入することにより、中空糸から流し出して細胞を回収することが出来る。
(その他の構成)
本発明の細胞培養装置は、さらに必要により、細胞回収容器、廃液回収容器を有していてもよい。細胞回収容器の形態は、特に限定されない。例えば、ガラス製ボトル、プラスチック製ボトル、培養バッグなどが挙げられる。廃液回収容器の形態は、特に限定されない。例えば、ガラス製ボトル、プラスチック製ボトル、培養バッグなどが挙げられる。
本発明の細胞培養装置及びその使用方法について、図面を参照しながら以下に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
図2は本発明の細胞培養装置の構成例の一つを示す。図2において、5および6はそれぞれ、培養液貯留容器(培養バッグなど)である。培養液貯留容器5からは、流路管11を経由して、細胞培養容器7(実施例は中空糸タイプの細胞培養容器である。)の端部導管1aに、流路が接続され、培養液貯留容器5に入っている培養液が細胞培養容器7の内腔側に移送できるようになっている。他方、培養液貯留容器6からは、流路管12を経由して、細胞培養容器7の側部導管2aに、流路管が接続され、培養液貯留容器6に入っている培養液が細胞培養容器7の外腔側に移送できるようになっている。細胞培養容器7の内腔側からは、送液ポンプ8を経由して、廃液回収容器10まで流路管が接続され、細胞培養容器7を通過した培養液が廃棄できるようになっている。なお、前記流路に設けられた送液ポンプ8により、培養液貯留容器5から細胞培養容器7への液体(培養液など)の供給および/または前記細胞培養容器7からの前記液体の排出、さらには前記液体の廃棄などにおける流速等を制御することができる。他方、細胞培養容器7の外腔側からは、送液ポンプ9を経由して、廃液回収容器10まで流路管が接続され、細胞培養容器7を通過した培養液が廃棄できるようになっている。なお、前記流路管に設けられた送液ポンプ9により、培養液貯留容器6から細胞培養容器7への液体(培養液など)の供給および/または前記細胞培養容器7からの前記液体の排出、さらには前記液体の廃棄などにおける流速等を制御することができる。なお、廃液用の流路管については、ガス透過性でもガス不透過性でもよい。
(細胞培養容器の作製)
試験用の細胞培養容器を以下のように作製した。中空糸は、ポリエーテルスルホン(PES)製(東洋紡社製)を用いた。中空糸の内径は200μm、外径は250μm、膜厚は25μm、分画分子量はおよそ4万5000のものを使用した。直径1cm、長さ10cmの円筒状のポリカーボネート製ケース内に、前記ポリエーテルスルホン製中空糸を100本充填した後、中空糸の中空部を閉塞しないようにポリウレタン系ポッティング剤で両末端をケースに固定して、中空糸内腔側と外腔側が区画された図1に示すような構成の細胞培養容器を作製した。
[実施例1]
図2に、実施例1で用いた細胞培養装置の構成を簡略化して示す。培養液貯留容器は、中空糸内腔側および外腔側いずれもガス透過性の培養バッグ(ポリエチレン製)を使用した。また、培養液貯留容器と細胞培養容器とを接続する流路管は、中空糸内腔側および外腔側いずれもガス不透過性の流路管(PFA製チューブ、Jus−Tis社、品番2−390−02)を使用した。なお、培養液貯留容器の厚みは250μm、流路管の内径は3.17mm、外径は6.35mm、厚みは1.59mmであった。
[実施例2]
実施例1と同様構成の細胞培養装置を用いた。培養液貯留容器は、中空糸内腔側および外腔側いずれも実施例1と同様のものを使用した。また、培養液貯留容器と細胞培養容器とを接続する流路管は、中空糸内腔側および外腔側いずれもガス不透過性の流路管(ポリ塩化ビニル製チューブ、Jus−Tis社、品番6−8236−03)を使用した。なお、培養液貯留容器の厚みは250μm、流路管の内径は3mm、外径は5mm、厚みは1mmであった。
[実施例3]
実施例1と同様構成の細胞培養装置を用いた。培養液貯留容器は、中空糸内腔側および外腔側いずれも実施例1と同様のものを使用した。また、培養液貯留容器と細胞培養容器とを接続する流路管は、中空糸内腔側および外腔側いずれもガス不透過性の流路管(ポリウレタン製チューブ、ハギテック社、品番8030−0020)を使用した。なお、培養液貯留容器の厚みは250μm、流路管の内径は、3.18mm、外径は6.35mm、厚みは1.59mmであった。
[実施例4]
実施例1と同様構成の細胞培養装置を用いた。培養液貯留容器は、中空糸内腔側および外腔側いずれも実施例1と同様のものを使用した。また、培養液貯留容器と細胞培養容器とを接続する流路管は、中空糸内腔側および外腔側いずれもガス不透過性の流路管(ポリエチレン製チューブ、Jus−Tis社、品番6−608−03)を使用した。なお、培養液貯留容器の厚みは250μm、流路管の内径は3mm、外径は5mm、厚みは1mmであった。
[実施例5]
実施例1と同様構成の細胞培養装置を用いた。培養液貯留容器は、中空糸内腔側および外腔側いずれも実施例1と同様のものを使用した。また、培養液貯留容器と細胞培養容器とを接続する流路管は、中空糸内腔側および外腔側いずれもガス不透過性の流路管(PTFE製チューブ、Jus−Tis社、品番2−796−05)を使用した。なお、培養液貯留容器の厚みは250μm、流路管の内径は3.17mm、外径は6.35mm、厚みは1.59mmであった。
[比較例1]
実施例1と同様構成の細胞培養装置を用いた。培養液貯留容器は、中空糸内腔側および外腔側いずれも実施例1と同様のガス透過性の培養バッグを使用した。また、培養液貯留容器と細胞培養容器とを接続する流路管は、中空糸内腔側および外腔側いずれもガス透過性の流路管(シリコーン製チューブ、Jus−Tis社、品番6−586−10)を使用した。なお、流路管の内径は3mm、外径は6mm、厚みは1.5mmであった。
[比較例2]
実施例1と同様構成の細胞培養装置を用いた。培養液貯留容器は、中空糸内腔側および外腔側いずれもガス不透過性のガラス製ボトルを使用した。また、培養液貯留容器と細胞培養容器とを接続する流路管は、中空糸内腔側および外腔側いずれもガス透過性の流路管(シリコーン製チューブ、Jus−Tis社、品番6−586−11)を使用した。なお、流路管の内径は3mm、外径は9mm、厚みは3mmであった。
[比較例3]
実施例1と同様構成の細胞培養装置を用いた。培養液貯留容器は、中空糸内腔側および外腔側いずれもガス不透過性のガラス製ボトルを使用した。また、培養液貯留容器と細胞培養容器とを接続する流路管は、中空糸内腔側および外腔側いずれもガス不透過性の流路管(実施例1と同様のPFA製チューブ)を使用した。
(細胞培養実験1:一般培養液使用)
図2に、細胞培養実験に用いた細胞培養装置の構成の概略を示す。培養液貯留容器と流路管は、実施例1から5および比較例1から3に記載の組合せを使用した。
細胞は、タカラバイオ株式会社より購入したプライマリーのヒト間葉系幹細胞を用いた。細胞播種密度は、1900cells/cmとした。培養液の流速は、中空糸内腔側は0.33mm/min、中空糸外腔側は3.46mm/minとした。培養液はウシ胎児血清を10%(v/v)添加したダルベッコ改変イーグル培地を用いた。培養液灌流用ポンプとして、中空糸内腔側灌流用と外腔側灌流用に計2台のペリスタ・バイオミニポンプ(アトー社製)(図2の9(内腔側)および8(外腔側))を用い、COインキュベーター内で37℃、7日間培養した。培養液供給方法は、中空糸内腔側、中空糸外腔側ともに一方向とした。中空糸内腔側に間葉系幹細胞を播種し、2日間静置した後に中空糸内腔側の灌流を開始した。7日間培養後、培養液灌流を停止し、細胞培養容器内にて増殖した細胞を回収した。細胞回収時は、細胞解離試薬である0.25%トリプシン溶液(ライフテクノロジーズ社製)を用いた。
(細胞培養実験2:低血清培養液使用)
細胞培養実験1と同様の細胞培養装置を用い、細胞培養実験2を行った。細胞は、タカラバイオ株式会社より購入したプライマリーのヒト間葉系幹細胞を用いた。この実験では、培養液として、ウシ胎児血清を1%(v/v)添加したMF−medium(登録商標)間葉系幹細胞増殖培地(東洋紡社製)を用いた。細胞播種密度は、1900cells/cmとした。培養液の流速は、中空糸内腔側は0.33mm/min、中空糸外腔側は3.46mm/minとした。培養液灌流用ポンプに、中空糸内腔側灌流用と外腔側灌流用に計2台のペリスタ・バイオミニポンプ(アトー社製)(図2の9(内腔側)および8(外腔側))を使用した。COインキュベーター内で37℃、7日間培養した。培養液供給方法は、中空糸内腔側、中空糸外腔側ともに一方向とした。中空糸内腔側に間葉系幹細胞を播種し、2日間静置した後に中空糸内腔側の灌流を開始した。7日間培養後、培養液灌流を停止し、細胞培養容器内にて増殖した細胞を回収した。細胞回収時は、細胞解離試薬である0.25%トリプシン溶液(ライフテクノロジーズ社製)を用いた。
(細胞培養実験3:無血清培養液使用)
細胞培養実験1と同様の細胞培養装置を用い、細胞培養実験3を行った。細胞は、タカラバイオ株式会社より購入したプライマリーのヒト間葉系幹細胞を用いた。この実験では、培養液として、血清無添加のMF-medium(登録商標)間葉系幹細胞増殖培地(東洋紡社製)を用いた。細胞播種密度は、1900cells/cmとした。培養液の流速は、中空糸内腔側は0.33mm/min、中空糸外腔側は3.46mm/minとした。培養液灌流用ポンプに、中空糸内腔側灌流用と外腔側灌流用に計2台のペリスタ・バイオミニポンプ(アトー社製)(図2の9(内腔側)および8(外腔側))を使用した。COインキュベーター内で37℃、7日間培養した。培養液供給方法は、中空糸内腔側、中空糸外腔側ともに一方向とした。中空糸内腔側に間葉系幹細胞を播種し、2日間静置した後に中空糸内腔側の灌流を開始した。培養7日後、培養液灌流を停止し、細胞培養容器内にて増殖した細胞を回収した。細胞回収時は、細胞解離試薬である0.25%トリプシン溶液(ライフテクノロジーズ社製)を用いた。
細胞培養実験の結果を表1にまとめて示す。実施例の結果から明らかなように、ガス透過性の培養液貯留容器とガス不透過性の流路管(チューブ)を用いたものでは、比較例に比較して細胞増殖率(性)が明らかに高い結果となった。
一方、ガス透過性の培養液貯留容器とガス透過性チューブを用いた場合(比較例1)では、意外にも細胞増殖率が低い結果となった。また、ガス不透過性の培養液貯留容器とガス透過性のチューブを用いた場合(比較例2)も同様に、細胞増殖率が低い結果となった。比較例1、2では、流路管および中空糸内外に気泡が発生し、培養液がスムーズに流れないため増殖率が低下したものと思われる。
また、ガス不透過性の培養液貯留容器とガス不透過性の流路管を用いた比較例3では、細胞培養装置内への酸素および炭酸ガスの供給ができないため、さらに細胞増殖率が低い結果となった。
本発明により、幹細胞をはじめとする各種細胞を、従来法と比較して、安全、簡便かつ高効率に培養することのできる細胞培養装置の提供を可能にする。
1 端部導管
2 側部導管
3 ケース
4 中空糸
5、6 培養液貯留容器
7 細胞培養容器
8、9 送液ポンプ
10 廃液回収容器
11、12 流路管

Claims (5)

  1. 細胞培養容器、培養液貯留容器、前記細胞培養容器と前記培養液貯留容器とを接続するための流路管を含む細胞培養装置であって、前記培養液貯留容器の37℃における酸素透過度が200×10 −10 cm /(cm ・sec・cmHg)以上、二酸化炭素透過度が1200×10 −10 cm /(cm ・sec・cmHg)以上であり、前記流路管の37℃における酸素透過度が100×10 −10 cm /(cm ・sec・cmHg)以下であり、二酸化炭素透過度が1000×10 −10 cm /(cm ・sec・cmHg)以下であることを特徴とする装置。
  2. 前記流路管は、厚みが0.5mm〜3mmであるポリエチレン製、ポリウレタン製、ポリテトラフルオロエチレン製およびテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体製からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の装置。
  3. 前記細胞培養容器は、多孔性膜中空糸が複数本内挿され、中空糸内腔側と中空糸外腔側が区画されたものである、請求項1または2に記載の装置。
  4. 少なくとも前記細胞培養容器、前記培養液貯留容器および前記流路管がCOインキュベーター内に設置されたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の装置。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の装置を用いる細胞培養方法。
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