JP2017158488A - 細胞回収方法 - Google Patents

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達哉 山口
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Abstract

【課題】本発明は、透過性膜中空糸モジュールで培養した細胞を、中空糸モジュールから効率よく回収する方法を提供することを課題とする。【解決手段】透過性膜中空糸を用いた細胞培養用中空糸モジュール内から培養した細胞を回収する方法であって、i)前記中空糸モジュール内の細胞に細胞剥離剤を接触させる工程、およびii)前記中空糸モジュールに直接あるいはスペーサーを介して間接的に接触させた振動発生装置により振動を与える工程を含むことを特徴とする、方法。【選択図】なし

Description

本発明は、透過性膜中空糸モジュールにおいて培養した細胞を回収するための手段に関する。
幹細胞は、臓器や組織を形成し得る細胞であり、成体であってもほとんどの臓器や組織に存在していると考えられている。幹細胞のうち胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、万能細胞であり全ての組織や臓器に分化する能力を持っている。一方、体性幹細胞は、全ての臓器や組織に分化できるわけでなく特定の組織や臓器に分化する。ヒト組織から採取できる体性幹細胞は、患者自身から採取でき、拒絶反応の恐れがないため細胞移植治療に用いる移植用細胞として注目されている。
ヒトにおける体性幹細胞は、現在までに間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、心筋幹細胞、膵幹細胞、皮膚幹細胞、骨髄幹細胞、網膜幹細胞、角膜内皮幹細胞などが知られている。しかし、これら体性幹細胞は組織中には極めて少数しか存在しない。
そこで、生体組織から得られた体性幹細胞を生体外で培養し、治療に必要な細胞数まで増幅した後、同一人又は他人の治療に使用するという細胞移植治療の研究が進展し、実用化され始めている。
しかしながら、一般に実施されている細胞培養の作業では、生物学的な汚染のリスクが高いことや、人件費によるコスト高などが課題となるため、細胞移植治療の更なる発展には安全かつ低コストで幹細胞を培養することが求められる。
幹細胞を効率よく、低コストで培養する手段の一つとして透過性膜中空糸を培養基材とする培養方法が挙げられる。透過性膜を培養基材として用いるメリットは、通常のシャーレやフラスコ培養では実現できない接着細胞の接着面からの物質交換ができることであり、栄養分や酸素の供給と老廃物除去が効率的に実施される。中空糸内側あるいは中空糸外側の何れにおいて細胞を培養しても、こうした効果が期待できる。
透過性膜中空糸を用いて例えば、筒状容器の大きさに応じ、数十本〜数万本の中空糸を筒状容器内に格納することによりモジュールを作製することができる。このような中空糸モジュールは、単位体積あたりの細胞培養面積が非常に大きくなり、中空糸内側あるいは外側の何れにおいても効率よく細胞培養を実施することが可能となる。また、透過性膜中空糸の性質やモジュールの構造上の特性を活かし、中空糸モジュールを装置に組み込んで自動細胞培養装置とすることも既に行われている。
一方、こうした透過性膜中空糸を用いたモジュールにおいて、細胞培養を実施する際の課題の一つは、培養増殖させた多量の細胞を効率よく回収することである。例えば、狭小な中空糸内側空間や中空糸同士の隙間(中空糸外側空間)において増殖した細胞は、しばしば高密度に達しており、細胞自身が分泌した細胞外マトリックスなどにより強固に培養面(中空糸表面)に接着していることがある。このため培養した細胞を回収する際に用いるタンパク分解酵素液などの細胞剥離剤を使用するだけでは、所望のとおり細胞を回収できない結果となる。即ち、透過性膜中空糸モジュールを用いた細胞培養においては、高密度状態で効率よく細胞培養を行うと同時に、増殖させた細胞を効率よく回収することが求められる。
例えば、特許文献1(特表2010−519936号公報)においては、中空糸モジュールを用いた細胞培養において、中空糸の細胞非接着側に加圧液体を流すことにより膜壁を通過させ、反対面に接着した細胞を中空糸表面より引き剥がして培養された細胞を回収する手段が示されている。
特表2010−519936号公報
本発明は、透過性膜中空糸の表面で培養された細胞を、前記透過性膜中空糸を内蔵したモジュール内から効率よく回収する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1.透過性膜中空糸を用いた細胞培養用中空糸モジュール内から培養した細胞を回収する方法であって、
i)中空糸モジュール内の細胞に細胞剥離剤を接触させる工程、および
ii)中空糸モジュールに直接あるいはスペーサーを介して間接的に接触させた振動発生装置により振動を与える工程、
を含むことを特徴とする、方法。
2.前記細胞剥離剤が、その一部にタンパク分解酵素を含む、1に記載の細胞回収方法。
3.前記振動発生装置による振動の大きさが2〜80m/sであることを特徴とする1または2に記載の方法。
4.前記振動発生装置により振動を与える時間が10秒〜30分であることを特徴とする1〜3のいずれかに記載の方法。
5.前記振動発生装置が振動モーターであることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の方法。
本発明により、透過性膜中空糸モジュールにおいて培養された細胞を、モジュール内から効率よく回収する方法を提供することが可能となる。
細胞培養容器の一例を示す模式図である。 細胞培養装置の概略を示す模式図である。 振動モーターの一例を示す模式図である。 細胞培養容器と振動モーターの関連を示す模式図(正面図)である。 細胞培養容器と振動モーターの関連を示す模式図(側面図)である。 実施例および比較例における回収細胞の総数を示すグラフである。
(透過性膜中空糸)
本発明において、透過性膜中空糸は、細胞を中空糸表面に保持でき、溶液や低分子の物質を透過できるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、セルロースアセテート、再生セルロースなどのセルロース系素材、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、フッ素系樹脂、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の熱可塑性高分子による骨格構造を有する不溶性担体が好適に利用できる。また、これらの誘導体が主成分であっても良い。また、透過性膜中空糸はこれらの素材に化学的に修飾を加えたものであっても良く、例えば、親水化処理されたものでもよい。親水化処理することにより、培養細胞への培養液等の液体成分の供給が容易になる。中空糸膜を親水化処理する方法としては、例えば、中空糸膜をポリビニルピロリドンやエチレン−ビニルアルコール共重合体等の親水性高分子や、グリセリン、エタノールで処理する方法が挙げられる。また、使用する細胞に応じて、中空糸への接着向上のため、コラーゲンやフィブロネクチン等のコーティング剤を使用しても良い。
透過性膜中空糸の内径は、好ましくは100〜1000μm、より好ましくは150〜500μm程度のものが利用される。膜厚は、中空糸が適度な強度を保ち、かつ物質の透過性に大きな支障がない範囲で設定すればよく、例えば10〜150μm程度が好ましい。中空糸膜の内側に細胞を播種し、培地を還流する培養を行う場合は、中空糸の内径は、二次元的な効果として、細胞の播種、増殖する面積、細胞密度だけでなく、三次元的な効果であるコンパクト性のみならず、培地との接触容積、培地の流れ、線速度、せん断力などに影響する設計や操作条件と関わる事項となることから、中空糸培養のメリットを活かす要件となる。
透過性膜中空糸の孔径は、細胞は通過させないが、水、塩類、タンパク質などの培養液成分は通過させる通孔であれば、特に限定されるものではないが、細胞の培養を考慮すると物質交換の効率のよい比較的大きな孔径を有する方が望ましく、例えば、平均孔径が0.001〜0.5μm程度であることが好ましく、0.01〜0.1μm程度の通孔を有するものであればさらに好ましい。また、分画分子量(篩係数が0.1未満となる分子量)は、1〜100万程度であることが好ましく、2〜20万程度であればより好ましい。さらに、膜の孔径は、培養に伴う各種生体成分の吸着や目詰まりの影響も受けることになる。すなわち、最適な設計は、これらの物質との相互作用を鑑みて実施されるべきものである。
透過性膜中空糸の透水性についても、特に制限はないが、好ましくは10〜1000mL/m/hr/mmHgである。透水性が小さいと十分な物資移動を発現できない。また、透水性が大きすぎると、中空糸の内部や外部流路に培地などを流した場合に膜間の圧力差が生じ、勝手にろ過が発生し流れが偏ってしまったり、中空糸の長さ方向で分布ができてしまうため好ましくない。
(透過性膜中空糸モジュール)
本発明の対象となる透過性膜中空糸モジュールは、例えば、筒状容器に数十本〜数万本の中空糸を格納することにより作製することができる。このような中空糸モジュールは、単位容積あたりの培養面積を非常に大きくすることができ、また培養操作も簡便化することができるため、効率よく細胞培養を実施することが出来る。
このような透過性膜中空糸を用いたモジュールの構成は特に限定されないが、例えば、図1に示すように、4つの開口部(端部導管および側部導管)を有するモジュールケース3に透過性膜中空糸4が適宜必要な本数束ねられて充填されている形態が挙げられる。この形態においては、前記4つの開口部のうち、2つの端部導管1aまたは1bは、それぞれ前記中空糸束の両端において各中空糸の内腔と外腔を分離した状態で中空糸の中空部を閉塞しないように適当なシール材(例えば、ポリウレタン系ポッティング剤)によりモジュールケース端部に接着固定されており、前記端部導管1aまたは1bの一方から導入された培養液などが中空糸内腔を通ってもう一方の端部導管1bまたは1aから導出される(すなわち、一方向に流れる)ように構成されている。一方、前記開口部のうち、残りの2つの側部導管2aまたは2bは、前記モジュールケース3の内側であって、かつ前記中空糸束の外腔である空間(以下、単に「外腔側」とも称する)と接続しており、前記側部導管2aまたは2bの一方から導入された培養液などがモジュールの外腔側を通ってもう一方の側部導管2bまたは2aから導出される(すなわち、一方向に流れる)ように構成されている。
前記中空糸モジュールを用いる場合、細胞培養は、内腔側または外腔側のいずれにおいて行っても良いが、内腔側で培養を行うのがより好ましい。例えば、内腔側にて細胞を培養する際は、細胞縣濁液を端部導管より注入することにより播種し、播種終了後、細胞懸濁液を培地(培養液)に切り換えて灌流させ、内腔側にて一定期間培養を行う。この間、同時に外腔側へも培地を側部導管より注入し灌流させることが好ましい。
培養容器として中空糸モジュールを用いることにより、細胞へ常に新鮮な培地を供給することができ、培養基材にシャーレや多段フラスコ等を用いる際に必要な交換作業は不要となり、作業者の拘束時間を減らすことができる。
(培養の対象となる細胞)
本発明に係る対象となる細胞としては、特に限定されるものではないが、接着性の動物細胞が好適である。細胞の由来も特に限定されず、ヒト、ブタ、イヌ、マウス等のいずれの動物由来のものも使用できる。また、接着性の動物細胞は、初代培養細胞及び株化細胞のいずれも対象とすることができる。また、表皮角化細胞、血管内皮細胞、繊維芽細胞、肝細胞などのプライマリー細胞や、さらに胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、間葉系幹細胞、脂肪前駆細胞、肝幹細胞などの幹細胞、前駆細胞でもよい。また、これらの細胞は、培養前に外来遺伝子を導入した細胞であってもよいし、抗体やリガンドなどの刺激因子などで予め刺激、加工されている細胞であっても良い。
(中空糸モジュールにおける細胞の培養)
透過性膜中空糸を用い、例えば中空糸内腔において細胞を培養する場合には、前述の中空糸モジュールを用い、端部導管の一方から細胞を懸濁した液を中空糸中空部に流入させることにより、細胞を播種することが出来る。一定時間静置し、細胞を中空糸膜表面に接着させた後に、インキュベーター内に設置した中空糸モジュールに、連続あるいは間欠的に培養液を送り込むことにより細胞を培養、増殖させることが出来る。培養液は細胞に必要な養分や酸素・二酸化炭素などのガスを供給する役割を有する。培養に用いられる培地は、培養細胞の種類に応じて決定され、当該細胞の培地として通常用いられるものであればよい。
(細胞の回収 −プロテアーゼ処理−)
透過性膜中空糸を用いて培養した細胞を回収するための手段を例を挙げて説明する。例えば、中空糸モジュールを用い中空糸内腔(内表面)において細胞を培養した場合には、培養液の灌流を停止した後、中空糸内側および外側に存在する培養液を除去するため、二価陽イオンフリーのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を一定時間灌流させ、培養液を充分PBSに置換する。次に、PBSを除去し、トリプシン等のプロテアーゼを中空糸内側と外側へ充填し、一定時間インキュベートする。プロテアーゼの濃度は、細胞数にもよるが、0.1〜0.5重量%が好ましい。また、プロテアーゼ処理の温度は34〜39℃が好ましく、処理時間は30秒〜30分が好ましい。
(細胞の回収 −振動発生装置−)
前記処理と同時または前記処理の後、中空糸モジュールに接触させた振動モーターを駆動させ中空糸モジュールに振動を与えることにより、培養細胞を中空糸膜面から充分剥離させる。その後、培養液などを中空糸内側へ流入することにより、中空糸から流し出した細胞を回収することが出来る。
本発明に用いる振動発生装置は、自ら振動を発生する装置であれば、特に限定はされない。例えば、モーター軸に偏芯したおもりを付けて回転させることにより振動を発生させるタイプ、磁界中でコイルに電流を流すことにより起こる力を利用して振動を発生させるタイプ(スピーカータイプ)、ピストンを油圧や空気圧によって駆動して振動を発生させるタイプ等の振動発生装置を使用することが出来る。中でも、モーター軸に偏芯したおもりを付けて回転させることにより振動を発生させるタイプ(以降、振動モーターともいう)が、小型化や費用面を考慮すると好ましい。振動モーターは、携帯電話機、ゲーム機などに幅広く用いられている。内部の回転方式の違いから、円筒型(シリンダー型)、円盤型のものなどがあるが、本発明に使用するものは、何れの形態をとるものでも構わない。使用する振動モーターの振動の大きさ(振動量)は、透過性膜中空糸モジュールに対し、細胞剥離に適した振動を伝えることが出来れば特に限定されないが、振動量(加速度)が2〜80m/sのものが適している。また、振動モーターは、所望の振動量のものを一つだけ使用しても良いし、複数個を同時に使用することで振動量を確保しても良い。但し、複数個の振動モーターを同時に使用する場合は、互いに振動を打ち消し合わないよう、空間的配置やモーターの振動数などを考慮する必要がある。透過性膜中空糸モジュールに振動を与える時間は、10秒〜30分程度が好ましい。振動時間が短すぎると、膜表面から細胞が十分剥離せず、振動時間が長すぎると、細胞がダメージを受ける可能性がある。
以下、本発明の有効性を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下に代表的な透過性膜中空糸モジュールからの細胞回収方法を記載する。
(細胞回収数の測定)
中空糸モジュールからの細胞を含む回収液は、遠心分離操作により最終的に1mlの培養液に懸濁した。この懸濁液とトリパンブルー染色液を1:1で混和した液を血球計算盤に添加し、顕微鏡下で細胞数の計測を行った。
1.血球計算盤およびカバーガラスの表面を70%イソプロパノールで洗浄し、余分なイソプロパノールをふき取り風乾する。
2.Reagent grade waterでカバーガラスの側面を濡らし、血球計算盤に貼りつける。
3.細胞懸濁液をパスツールピペット等でよく撹拌後、すぐに血球計算盤に流し込み、溝の上まで満たす。
4.1〜3の操作を別の血球計算盤を使用して行う(2回測定用)。
5.顕微鏡に血球計算盤を置き、グリッドラインに焦点を合わせる(10×対物レンズ)。
6.カウンターを用いて1mmエリアの細胞数を計測する。
※誤差が生じやすいので正確に数えるためには少なくとも100〜500細胞を計測する。
計算法:
C=N×10
C:1ml当たりの細胞数
N:計測した細胞数の平均
10:1mmに対する容量の変換値
全体の数=C×V
V=細胞を懸濁した液体の容量
(細胞生存率の測定)
トリパンブルーで染色されない細胞を生細胞、染色される細胞を死細胞と判定し、細胞の生存率を測定した。
1.細胞懸濁液にトリパンブルーを1滴垂らし、1〜2分間放置する。
2.血球計算盤を準備し,“細胞数の測定”の操作例1〜5を行う。
3.1mmエリアの全体の細胞数と染色された(暗色)細胞数を測定する。
生存率(%)=(計側した全体の細胞数−染色された細胞数)/計測した全体の細胞数×100
[実施例1]
(中空糸モジュールの作製)
試験用の中空糸モジュールを以下のように作製した。内径1cm、長さ10cmの円筒状のポリカーボネート製モジュールケース内に、内径200μm、外径300μm、膜厚50μmのポリエーテルスルホン製透過性膜中空糸を100本充填した後、中空糸の中空部を閉塞しないようにポリウレタン系ポッティング剤で両末端をモジュールケースに固定し、図1に示すような形状の中空糸モジュールを作製した。
(中空糸モジュールを用いた細胞培養実験)
図2に、細胞培養実験に用いた培養装置の構成を簡略化して示す。細胞培養実験には、前述の中空糸モジュール用いた。細胞は、タカラバイオ株式会社より購入したプライマリーのヒト間葉系幹細胞を用い、細胞播種密度は、1900cells/cmとした。培養液の流速は、中空糸内腔側は0.33mm/min、中空糸外腔側は3.46mm/minとした。また、培養液リザーバーには培養バッグ1L(ニプロ社製)(図2の5(内腔側)および6(外腔側))を用いた。培養液はウシ胎児血清を10%(v/v)添加したダルベッコ改変イーグル培地を用いた。培養液灌流用ポンプに、中空糸内腔側灌流用と外腔側灌流用に計2台のペリスタ・バイオミニポンプ(アトー社製)(図2の9(内腔側)および8(外腔側))を用い、COインキュベーター内で37℃、7日間培養した。
(中空糸モジュールからの細胞回収)
7日間培養後、培養液灌流を停止し、中空糸モジュール内にて増殖した細胞を回収した。
即ち、培養液の灌流を停止した後、中空糸内腔側および外腔側に存在する培養液を除去するため、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を一定時間灌流させ、培養液を充分PBSに置換した。次に、PBSを除去し、0.25%トリプシン溶液(ライフテクノロジーズ社製)を中空糸内腔側と外腔側へ静かに充填し、室温で15分間インキュベートした。
この後、中空糸モジュールに接触させた円盤型振動モーター(東京パーツ工業製、FM34F)1台を振動量(加速度)17m/sで15秒間駆動させ、中空糸モジュールに振動を与えた。即ち、図4および図5に示すように、中空糸モジュールを振動モーターを含む支持体で挟んで固定した後、振動モーターを駆動させ、振動を与えた。振動を与えた後、培養液を中空糸内側へ流し入れ、反対方向から流し出した細胞を回収した。回収した細胞について、総細胞数および生存率を計測した。
[実施例2]
振動モーターとして、円筒型の振動モーター(シーアイ化成製、A4A-05-WTB-3)1台を用いて振動量(加速度)7m/s、5分間駆動させた以外は、実施例1と同様にして細胞の回収を行った。
[実施例3]
実施例2と同様の振動モーターを1台用いて振動量3m/s、25分間駆動させた以外は、実施例1と同様にして細胞の回収を行った。
[実施例4]
実施例1と同様の振動モーターを1台用いて振動量17m/s、25分間駆動させた以外は、実施例1と同様にして細胞の回収を行った。
[実施例5]
実施例1と同様の振動モーターを2台用いて、1台あたりの振動量17m/s、15秒間駆動させた以外は、実施例1と同様にして細胞の回収を行った。
[実施例6]
実施例1と同様の振動モーターを4台用いて、1台あたりの振動量17m/s、15秒間駆動させた以外は、実施例1と同様にして細胞の回収を行った。
[比較例1]
実施例1と同様の中空糸モジュールを用い、実施例1と同様にして細胞培養実験を行った。7日間培養後、培養液灌流を停止し、中空糸モジュール内にて増殖した細胞を回収した。即ち、培養液の灌流を停止した後、中空糸内側および外側に存在する培養液を除去するため、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を一定時間灌流させ、培養液を充分PBSに置換した。次に、PBSを除去し、0.25%トリプシン溶液(ライフテクノロジーズ社製)を中空糸内側と外側へ静かに充填し、室温で15分間インキュベートした。この後、振動を与える処理を行わずに、培養液を中空糸内側へ流し入れ、反対方向から流し出した細胞を回収した。
[比較例2]
実施例1と同様の中空糸モジュールを用い、実施例1と同様にして細胞培養実験を行った。7日間培養後、培養液灌流を停止し、中空糸モジュール内にて増殖した細胞を回収した。即ち、培養液の灌流を停止した後、中空糸内側および外側に存在する培養液を除去するため、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を一定時間灌流させ、培養液を充分PBSに置換した。次に、細胞剥離剤を接触させる処理を行わずに実施例1と同様の振動を与える処理を行った後、培養液を中空糸内側へ流し入れ、反対方向から流し出した細胞を回収した。
実施例1〜6、比較例1〜2の細胞培養実験をそれぞれ繰り返し8回行った。その細胞回収数および細胞生存率の測定結果を表1および表2に示した。
比較例1および2においては、実施例に比べ細胞回収数の低下が見られた。これらの結果から、振動モーターを使用することにより、簡単な操作で効率的に細胞を回収出来ることが示された。
本発明により、透過性膜中空糸モジュールにおいて培養された細胞を、モジュール内から効率よく回収する方法を提供することが可能となる。
1 端部導管
2 側部導管
3 モジュールケース
4 透過性膜中空糸
5、6 液体培地貯留容器
7 細胞培養容器(実施例では中空糸モジュール)
8、9 送液ポンプ
10 廃液回収容器
11 振動モーターのおもり
12 振動モーター軸
13 振動モーター本体
14 振動モーターハウジング
15 支持体
16 接続バネ

Claims (5)

  1. 透過性膜中空糸を用いた細胞培養用中空糸モジュール内から培養した細胞を回収する方法であって、
    i)前記中空糸モジュール内の細胞に細胞剥離剤を接触させる工程、および
    ii)前記中空糸モジュールに直接あるいはスペーサーを介して間接的に接触させた振動発生装置により振動を与える工程、
    を含むことを特徴とする、方法。
  2. 前記細胞剥離剤が、その一部にタンパク分解酵素を含む、請求項1に記載の細胞回収方法。
  3. 前記振動発生装置による振動の大きさが2〜80m/sであることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記振動発生装置により振動を与える時間が10秒〜30分であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記振動発生装置が振動モーターであることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の方法。
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