JP2014060991A - 多孔質中空糸の内腔を用いる幹細胞の培養方法 - Google Patents

多孔質中空糸の内腔を用いる幹細胞の培養方法 Download PDF

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Abstract

【課題】幹細胞の未分化性を維持したまま大量培養する方法を提供すること。
【解決手段】中空糸の内腔を用いて培養する。具体的には、幹細胞を、容器内の中空糸の内腔に播種し、未分化性維持上有効な条件で培養して増殖させ、増殖した細胞を回収する。培養された幹細胞は、医薬候補物質のスクリーニングまたは哺乳動物の治療において使用することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、幹細胞の大量培養方法に関する。本発明は、ライフサイエンス、再生医療、および医薬候補化合物の探索等の分野で有用である。
細胞を大量に培養する手段としては、ローラーボトル、セルファクトリー、プラスチックバッグ、ラジアルフローリアクター、マイクロキャリヤー、中空糸等が使用されてきており、これらの手段のうち、工業的に用いられているものもある。しかし、幹細胞の培養に際しては、実験室のディッシュ培養をそのまま拡大したような方法が現在の主流である。
一方、ヒトES細胞(胚性幹細胞)は分裂が遅く、分化しやすいことが知られている。この点を改善するものとして、特許文献1は、培地中で幹細胞をROCK阻害剤で処理する工程を含む、幹細胞の培養方法を提案する。また、幹細胞の大量培養方法として、浮遊培養も試みられている。例えば、特許文献2は、Nodalシグナル促進剤、Wntシグナル促進剤、FGFシグナル促進剤、BMPシグナル促進剤、レチノイン酸等の増殖因子並びにインシュリン類を実質的に含有しない無血清培地において多能性幹細胞を浮遊凝集体として培養することを提案する。そして、この方法によれば、多能性幹細胞から、視床下部ニュー口ンの前駆細胞へ分化させることができるとしている。
一方、中空糸を用いる細胞培養方法は、高密度に細胞を培養することができるため、培養システムをコンパクトにすることができ、抗体等有用物質の生産においては工業的に利用されている例もある。中空糸を用いる細胞培養は、典型的には、中空糸の束を封入した円筒形の容器を用い、中空糸の外側の空間で細胞を培養する。そして多くの場合、有用物質生産を目的とし、細胞自体の回収を目的とはしていない。しかしながら、最近になって、中空糸の内腔で細胞を培養する試みが報告されつつある。
中空糸を用いた幹細胞の培養方法としては、例えば特許文献3は、中空糸の内部に造血幹細胞を培養し、中空糸の外部に血管内皮細胞を培養することで、造血幹細胞と血管内皮細胞とを多孔材料を介して接触させ、互いに偽足同士で接着させた状態とすることを特徴とする造血幹細胞の増殖方法を提案する。そして最近では、中空糸の内腔を用いて、未分化な細胞を特定の方向に分化誘導する方法が報告されている。例えば特許文献4は、透過性膜からなる中空糸の内腔に1種または複数種の未分化細胞を入れた状態で、この未分化細胞に遠心力又は圧力をかけることにより細胞の凝集体を形成する工程と、この細胞凝集体を培養することにより未分化細胞を分化誘導する工程とを含む細胞分化誘導方法を提案する。そしてこの方法により、幹細胞から軟骨細胞へ効率よく分化誘導できたことを報告している。また、非特許文献1および2は、マウスES細胞から、中空糸内腔で培養する工程を経ることにより、肝細胞への分化が誘導できたことを報告している。
特表2010-504090 WO2009/148170 WO2005/100549(特許第4534046号) 特開2004-166604
TISSUE ENGINEERING: Part A, Volume 17, Numbers 15 and 16, 2011, p.2071-2078 Biochemical Engineering Journal, 56, 2011, p.69-74
再生医療分野においては、品質の安定した大量の幹細胞を確保することは極めて重要な課題の一つである。特に、多種類の細胞に分化できる能力(未分化性)を維持しており、かつ自己複製能の高いES細胞やiPS細胞のような多能性幹細胞を、大量に、安価に、かつ安定的に提供することができる培養方法が望まれている。本発明の課題は、未分化性を維持しつつ、多能性幹細胞を大量に培養する方法を提供することにある。
上述のように中空糸の内腔を用いて幹細胞を特定の方向へ分化誘導する方法が報告されており、中空糸内腔は、幹細胞の分化を誘導し易い環境であると考えられた。一方、本発明者らは、中空糸内腔を用いてES細胞を肝細胞へ分化させた際に(前掲非特許文献1および2参照)、未分化の細胞がいくらか残っていることも見出していた。そこで、中空糸内腔では細胞同士の接触が保たれ、細胞間での情報伝達も可能であると考えられることから、未分化性を維持するのに適した空間ではないかと考えた。また、中空糸の内腔は、細胞が増殖できる空間が規定されているため、増殖した細胞への酸素等の供給という面でも問題が生じ難いと考えた。
本発明者らは、まず、未分化性を維持するための因子を含んだ培地を用いてマウス由来のES細胞を中空糸の内腔で大量に培養できることを見出した。次に、水圧を用いることにより、中空糸の内腔で増殖させた細胞がヌードル状の細胞組織体(シリンドロイド)として回収できること、あるいは蛋白質加水分解酵素を用いる処理により、中空糸の内腔の細胞が、ばらばらの細胞として回収できることを見出した。さらに、そのようにして回収した細胞が、未分化性を維持していることを確認し、本発明を完成した。
本発明は、以下を提供する。
[1] 多孔質膜からなる中空糸の細胞培養における使用であって、幹細胞を播種して未分化性を維持させたまま増殖させるために中空糸内腔が用いられる、使用。
[2] 幹細胞が、多能性幹細胞である、[1]に記載の使用。
[3] 増殖させた幹細胞が、医薬候補物質のスクリーニングまたは哺乳動物の治療において用いられる、[1]または[2]に記載の使用。
[4] 幹細胞を、多孔質膜からなり、容器内に収容された中空糸の内腔で、未分化性を維持させるのに有効な条件で培養して増殖させ、そして増殖させた幹細胞を回収する工程を含む、幹細胞の生産方法。
[5] 中空糸が、内径20〜500μm、膜厚10μm〜100μm、孔径0.01〜10μmを有する、[4]に記載の方法。
[6] 未分化性を維持させるのに有効な条件が、培養開始時の幹細胞の量を、中空糸内腔容積1ml当たり1.0×104〜108 cellsとすることを含む、[4]または[5]に記載の生産方法。
[7] 少なくとも3日間培養して増殖させる、[4]〜[6]のいずれか一に記載の生産方法。
[8] 未分化性維持上有効な条件が、幹細胞の未分化性を維持するための因子を含有する培地を使用することを含む、[4]〜[7]のいずれか一に記載の生産方法。
[9] 増殖させた幹細胞の回収が、水圧を用いて、および/またはタンパク質加水分解酵素を用いて行われる、[4]〜[8]のいずれか一に記載の生産方法。
[10] 中空糸が容器内に収容されており、容器内であって中空糸の外側で、内腔で培養される細胞と同じ細胞または異なる細胞をさらに培養する、[4]〜[9]のいずれか一に記載の生産方法。
[11] 幹細胞が、多能性幹細胞であるか、または外胚葉系幹細胞、中胚葉系幹細胞、内胚葉系幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、筋幹細胞、膵幹細胞、皮膚幹細胞、網膜幹細胞、毛包幹細胞、骨前駆細胞、脂肪前駆細胞、ガン幹細胞、およびこれらの細胞からの分化系譜内の細胞からなる群より選ばれる、[4]〜[10]のいずれか一に記載の生産方法。
[12] 幹細胞の由来が、哺乳類である、[4]〜[11]のいずれか一に記載の生産方法。
[13] 増殖した細胞の回収が、または水圧を用いて行われ、増殖させた幹細胞がヌードル状の細胞塊である、[9]に記載の生産方法。
[14] 筒状ケーシングおよび中空糸束を有する中空糸型細胞培養器であって、筒状ケーシングが、少なくとも一端に細胞を播種または回収するための細胞ポートを備え、かつ筒部に培養液を供給または排出するための少なくとも一つの培養液ポートを備えるものであり、中空糸束がケーシング内に収容され、かつ両端がポッティング材でケーシング内側に固定されているが、このとき少なくとも細胞ポートのある側の端が、中空糸各々の内腔が開口状態で細胞ポートに連通するように固定されており、細胞ポートから中空糸の内腔へ細胞を播種することができ、かつ培養液ポートからケーシング内であって中空糸の外側へ培養液を流しつつ、中空糸内腔で細胞を培養して増殖させることができる、[4]〜[13]のいずれか一に記載の生産方法において用いるための、中空糸型細胞培養器。
[15] 少なくとも1×109cellsの幹細胞を格納可能な中空糸内腔の総容積を有する、[14]に記載の中空糸型細胞培養器。
[16] 中空糸が、内径20〜500μm、膜厚10μm〜100μm、孔径0.01〜10μmを有する、[14]または[15]に記載の中空糸型細胞培養器。
[17] [14]〜[16]のいずれか一に記載の中空糸型細胞培養器を用いる、幹細胞の培養方法。
[18] [17]に記載の方法を実施するための、幹細胞培養システム。
[19] 中空糸であって、幹細胞を、容器内の中空糸の内腔に播種し、未分化性を維持させつつ培養して増殖させるための、中空糸。
[20] 多孔質膜からなる中空糸であって、中空糸の内腔で未分化性を維持させたまま幹細胞を増殖させ、増殖させた幹細胞を医薬候補物質のスクリーニングまたは哺乳動物の治療において使用するための、中空糸。
[21] 多孔質膜からなる中空糸であって、幹細胞の未分化性を維持するための因子と組み合わせて使用され、かつ中空糸の内腔で未分化性を維持させたまま幹細胞を増殖させ、増殖させた幹細胞を医薬候補物質のスクリーニングまたは哺乳動物の治療において使用するための、中空糸。
本発明により、再生医療、細胞治療等に用いることのできる未分化性が維持された幹細胞が、安価に、大量に、安定的に供給できる。
多孔質中空糸の内腔を用いたES細胞の培養 セルローストリアセテート製中空糸内腔に2.0×105 cells/束を播種した場合の経過観察 セルローストリアセテート製中空糸内腔に2.0×106 cells/束を播種した場合の経過観察 エチレン・ビニルアルコール共重合体をコートしたポリエチレン製中空糸内腔に2.0×105 cells/束を播種した場合の経過観察 エチレン・ビニルアルコール共重合体をコートしたポリエチレン製中空糸内腔に2.0×106 cells/束を播種した場合の経過観察 培養日数による細胞数の変化(図中、CTAはセルローストリアセテート製中空糸、PE/EVALはエチレン・ビニルアルコール共重合体をコートしたポリエチレン製中空糸、Lowは2.0×105 cells/束を播種した場合、Highは2.0×106 cells/束を播種した場合を示す。) 中空糸から回収されたヌードル状の細胞組織体(図中、CTAはセルローストリアセテート製中空糸、PE/EVALはエチレン・ビニルアルコール共重合体をコートしたポリエチレン製中空糸、Lowは2.0×105 cells/束を播種した場合、Highは2.0×106 cells/束を播種した場合を示す。) 中空糸内腔からの酵素処理による細胞の回収 培養日数による細胞密度の変化(図中、CTAはセルローストリアセテート製中空糸、PE/EVALはエチレン・ビニルアルコール共重合体をコートしたポリエチレン製中空糸、PSはポリスルホン製中空糸。いずれも、2.0×105 cells/束を播種した場合を示す。) 培養前後で未分化性マーカーの発現(図中、CTAはセルローストリアセテート製中空糸、PE/EVALはエチレン・ビニルアルコール共重合体をコートしたポリエチレン製中空糸、Lowは2.0×105 cells/束を播種した場合、Highは2.0×106 cells/束を播種した場合を示す。図11および図12において同じ。) 培養前後で未分化性マーカーの発現(図中、CTAはセルローストリアセテート製中空糸、PE/EVALはエチレン・ビニルアルコール共重合体をコートしたポリエチレン製中空糸、PSはポリスルホン製中空糸。いずれも、2.0×105 cells/束をした場合を示す。) 未分化性マーカーSSEA-1陽性細胞率の比較(図中、CTAはセルローストリアセテート製中空糸、PE/EVALはエチレン・ビニルアルコール共重合体をコートしたポリエチレン製中空糸、PSはポリスルホン製中空糸。いずれも、2.0×105 cells/束を播種した場合を示す。) 培養日数による細胞密度の変化(図中、CTAはセルローストリアセテート製中空糸、PE/EVALはエチレン・ビニルアルコール共重合体をコートしたポリエチレン製中空糸、104は2.0×104 cells/束を播種した場合、105は2.0×105 cells/束を播種した場合を示す。) 未分化性マーカーSSEA-1陽性細胞率の比較(図中、CTAはセルローストリアセテート製中空糸、PE/EVALはエチレン・ビニルアルコール共重合体をコートしたポリエチレン製中空糸、104は2.0×104 cells/束を播種した場合、105は2.0×105 cells/束を播種した場合を示す。)
本発明で「 〜 」で範囲を表すときは、特に記載した場合を除き、両端を含む。
本発明で「幹細胞」というときは、特に記載した場合を除き、自己複製能力を有し、複数の細胞系譜へ分化する能力を有する細胞をいう。また本発明で「多能性幹細胞」というときは、特に記載した場合を除き、幹細胞のうち、特に、細胞系譜で上流に位置する細胞を指し、複数の幹細胞(例えば、外胚葉系幹細胞、中胚葉系幹細胞、内胚葉系幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、筋幹細胞、膵幹細胞、皮膚幹細胞、網膜幹細胞、毛包幹細胞、骨前駆細胞、脂肪前駆細胞)に分化する能力を有する細胞をいう。多能性幹細胞には、ES細胞、iPS細胞が含まれる。
本発明で「未分化性」というときは、特に記載した場合を除き、幹細胞または多能性幹細胞が有する自己複製能力と複数の細胞系譜への分化能とを有することをいう。
また本発明で「中空糸」というときは、特に記載した場合を除き、中空の筒状の構造を有し、かつ外壁には物質透過を可能にする小孔を有する繊維をいい、中空糸の「内腔」とは、外壁に囲まれた内側の空間のことをいう。本発明で中空糸の内腔の容積をいうときは、特に記載した場合を除き、断面が円である中空糸については、内径と長さとに基づいて計算される容積をいい、小孔部分の容積は含まない。
本発明では、中空糸の内腔を用いて、幹細胞を培養する。
本発明には中空糸として、医療用(例えば、透析(人工透析)、血液浄化療法、二重濾過血漿交換療法(DFPP))もしくは細胞培養用として、またはライフサイエンスの分野でろ過用として許容される種々の素材のものを用いうる。これには、セルロース系(例えば、再生セルロース、セルローストリアセテート)、合成高分子系(例えば、ポリスルホン、EVAL(エチレン・ビニルアルコール共重合体)、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタアクリレート、ポリオレフィン系(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン))が含まれる。中空糸表面は、必要に応じ、物質透過性を高めるため、細胞の足場となる成分の付着性を高めるため、細胞との親和性を高めるため等の目的で、エチレン・ビニルアルコール共重合体等の親水性物質、コラーゲン、ゼラチン、寒天等の天然物由来のヒドロゲル、または人工的に合成された化合物由来のヒドロゲル等によりコートしてもよいし、蛋白質またはペプチド等で修飾されていてもよい。
セルロース系の中空糸は、親水性が高く、タンパク質等が付着しにくい点で優れている。ポリエチレン製中空糸に、エチレン・ビニルアルコール共重合体(「EVAL」と表記されることもある。)をコートしたものは、医療用途としては主に、血漿分離用として製造・販売されているこの素材は、透水量および物質の透過性が高い(基本的に、MFろ過(精密ろ過)が可能であり、細胞は通過させないが、培地成分は通過可能である。)点で優れている。医療用途としては、ポリスルホン樹脂を使用した中空糸膜は、低分子量タンパクの透過能が高く、また生体適合性及び抗血栓性に優れており、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂を使用した中空糸膜は、生体適合性に優れ、活性酸素の産生、炎症反応が抑えられる点で優れていると評されている。ポリスルホン自体は疎水性であるので、培地による濡れ性はあまり良くないとも考えられる。医療用途のためには、血液適合性等の面から、種々の改質方法が提案されており、本発明においても、そのような改質処理が施されたポリスルホン膜を用いることができる。
中空糸の内腔の内径は、細胞の大きさと細胞への酸素供給を考えると、20〜500μmとすることができ、50〜400μmであることが好ましく、100〜350μmであることがより好ましい。内腔の断面形状は、典型的には円形であるが、目的によって、楕円形、矩形等の多角形、星形等の形状であってもよい。中空糸の膜厚は、構造維持、物質透過性等の観点から設計することができ、例えば、10μm以上とすることができ、20μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましい。これ以下であると、製造中および培養中において、構造維持が困難になる等強度上の問題が生じる場合がある。また、100μm以下とすることができ、80μmであることが好ましく、60μmであることがより好ましい。膜厚がこれより大きいと、物質透過性に劣ることとなり、細胞への酸素、培地成分等の供給が十分でなく、増殖等の面で支障が生じる場合がある。
中空糸の内径および膜厚は、当業者であれば適宜、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて得られた中空糸断面の撮影像から、測定することができる。内径、膜厚は、場合により、中空糸膜複数本の平均値として、表すことができる。
中空糸の内腔と外側をつなぐ外壁上に多数存在する孔の径(孔径)は、細胞への酸素・栄養の必要量の供給と細胞から放出される物質の拡散の防止との双方から適宜決定されうる。例えば、0.01〜10μmとすることができ、0.05〜5μmであることが好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましい。中空糸の孔径は、二軸平均径、すなわち、短径と長径の平均値として求めることができる。場合により、複数の孔の平均値として、表すことができる。
本発明で培養することのできる幹細胞の例として、ES細胞、iPS細胞、外胚葉系幹細胞、中胚葉系幹細胞、内胚葉系幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、筋幹細胞、膵幹細胞、皮膚幹細胞、網膜幹細胞、毛包幹細胞、骨前駆細胞、脂肪前駆細胞、ガン幹細胞が挙げられる。本発明は、未分化性が高い、ES細胞、iPS細胞等の培養に適している。幹細胞の由来は、特に限定されず、例えば、哺乳動物由来であることができる。哺乳動物の例は、げっ歯類(マウス、ラット等)、霊長類(サル、ヒト等)が含まれ、また実験動物であってもよく、コンパニオンアニマルであってもよい。
播種の際の細胞密度は、細胞を維持することができ、かつ増殖させることができるように、容器容積または中空糸内腔容積に基づいて、適宜決定することができる。例えば、中空糸内腔容積に基づき、1.0×104 cells/ml以上とすることができ、5.0×104 cells/ml以上とすることが好ましく、1.0×105 cells/ml以上とすることがより好ましく、1.0×106 cells/ml以上とすることがさらに好ましい。また、本発明によれば、細胞を数倍〜数百倍に増殖させることができるので、増殖後の細胞数を加味し、播種する細胞数を決定してもよい。例えば、1.0×108 cells/ml以下とすることができ、5.0×107 cells/ml以下とすることがより好ましく、1.0×107 cells/ml以下とすることがさらに好ましい。
本発明においては、幹細胞の未分化性を維持するために有効な条件下で、培養が実施される。未分化性を維持するとの観点からは、中空糸の内腔を用いることが重要である。Gerlachらは、中空糸外側空間でマウスES細胞が培養可能な中空糸型培養装置(下記表1の「HF-Bioreactor」が該当する。)を作製し、ES細胞の大量増幅を達成している(Gerlach JC, et al. Interwoven four-compartment capillary membrane technology for three-dimensional perfusion with decentralized mass exchange to scale up embryonic stem cell culture. Cells Tissues Organs; 25: 39-49 (2002).)。しかし、表1に示すように、本培養法(下記表1の「培養空間体積」は「本培養法」においては中空糸1本あたりの値を示す。)と比較すると培養スケールは大きいものの、増幅率や培養細胞の状態など、改善すべき点は多いように思われる。
また、未分化性を維持するとの観点からは、適切な培地を用いることが重要である。未分化性を維持するために重要な培地組成は、当業者にはよく知られており、例えば、マウスES細胞のための典型的な培地としては、Knockout DMEMを基本とし、牛胎児血清(FBS)(15%)、LIF、L-グルタミン(2mM)、非必須アミノ酸、ヌクレオチド類、2-Mercaptoethanol等を添加したものを用いることができる。マウスES細胞では未分化維持因子は一般的にLIFといわれている。ヒト由来の細胞を用いる場合、生存を支持する因子といわれるROCKの添加が効果的な場合があろう。ヒト細胞の未分化培養には一般的にはフィーダー細胞が必要とされてきたが、mTeSR1(STEMCELL Technologies, Inc.)を利用することでフィーダー細胞が不要の培養が達成できるといわれている。ヒトの場合、未分化性維持のための必須因子はessential 8、具体的には、インスリン、トランスフェリン、セレニウム、アスコルビン酸、NaHCO3、FGF2、TGFβ、Nodalであるといわれている。本発明においても、このような培地組成を利用することができる。
本発明において、幹細胞とフィーダー細胞との共培養は可能である。特に、幹細胞を中空糸の内腔に、フィーダー細胞を中空糸の外側に配置した共培養は、フィーダー細胞とは別に幹細胞を回収するのに適している。
本発明においては、培養され、増殖される幹細胞において、未分化性が維持される。幹細胞の分化状態は、分化状態のマーカーとなる遺伝子の発現の有無または量を解析することで判断することができる。マウス、ヒト等の種々の動物について、未分化ES細胞マーカー、中胚葉マーカー、内胚葉マーカー、間葉系マーカー、神経マーカー、肝マーカー、心筋マーカー等が知られており、またそれらの発現の有無の検出方法および発現量の測定方法は、当業者にはよく知られている。発現レベルは、培養0日目の発現量を基準として判断することができ、また、他の培養手段を用いて同様の条件で培養した場合と比較して判断することができる。当業者であれば、培養目的に応じ、どの発現レベルにあれば未分化性が維持されているといえるか否かを、適宜判断することができる。
多能性幹細胞に関し、未分化性が維持されているか否かは、増殖された細胞のOct-3/4、Nanog、Rex-1等の発現レベルを確認することにより、判断することができることが知られている。本発明においても、多能性幹細胞に関しては、Oct-3/4、Nanog、Rex-1のいずれか1または2以上、好ましくはこれらのすべての発現レベルを確認することにより、未分化性が維持されているか否かを確認することができる。また、未分化性の指標となる細胞表面抗原、例えばマウス多能性幹細胞ではSSEA-1 (stage-specific embryonic antigen 1)を、発現しているか否かにより、判断することができる。
本発明においては、多孔質膜からなる中空糸は、複数本が束ねられ、中空糸束として培養に供される。中空糸束を含む培養系の形態は、種々のものであり得るが、例えば、本明細書の実施例、前掲特許文献4、並びに非特許文献1および2に示されているような、数本の中空糸からなる束の一方を封止し、かつ他方を細胞の播種が可能なように接着し、細胞播種後は、ディッシュ中の適量の培地中に浸漬して用いることができる。
本発明においては、中空糸束を用いた培養器(「中空糸型細胞培養器」ということもある。)は、複数本の中空糸からなる中空糸束の一端に細胞導入口を設置し、もう一端はあらかじめ封止した形態であり得る。また、医療用または培養用として用いられているように、中空糸束を封入したモジュールの形態であり得る。このような中空糸型細胞培養器は、詳細には、筒状ケーシングおよび中空糸束を有し、筒状ケーシングが、少なくとも一端(両端であってもよい。)に細胞を播種または回収するための細胞ポートを備え、かつ筒部に培養液を供給または排出するための少なくとも一つ(例えば2つ)の培養液ポートを備えるものであり、中空糸束がケーシング内に収容され、かつ両端がポッティング材でケーシング内側に固定されている。中空糸束は、少なくとも細胞ポートのある側の端が、中空糸各々の内腔が開口状態で細胞ポートに連通するように固定されている。そのため、細胞ポートから中空糸の内腔へ細胞を播種することができ、かつ培養液ポートからケーシング内であって中空糸の外側へ培養液を流しつつ、中空糸内腔で細胞を培養して増殖させることができる。培養中、細胞ポートは適切なキャップで封止され、また培地は、培養液ポートを用いることにより、適切な速度で循環させたり、供給・排出したりすることができる。本発明の中空糸型細胞培養器は、適切な方法で滅菌して(例えば、加圧加熱滅菌、ガンマ線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌等)、供給されうる。
上述したような本発明の中空糸型細胞培養器に用いるケーシング素材、ポッティング材は、医療用または培養用として許容可能な、既存のものを利用することができる。また、このような中空糸型細胞培養器の製造は、基本的には、既存の医療用中空糸型モジュールまたは既存の中空糸型細胞培養器(中空糸の外側を利用するものでよい。)の製造と同様に、行うことができる。
本発明はまた、上述した中空糸型細胞培養器を用いた幹細胞の培養方法、その実施のための培養システムを提供する。本発明において「システム」というときは、特に記載した場合を除き、物のカテゴリーに属するものであり、本発明の中空糸型細胞培養器が組み込まれた一体型の装置、および各工程を実施するための複数の手段がラインで接続された設備等を含む。本発明の培養システムは、培地を保持するリザーバー、培地を培養器へ送るためのおよび/または培地を培養器からリザーバーへ送るためのポンプ、培養器とリザーバーを連結するチューブ、温度培地供給量を制御するための制御部等を含む。培養装置・システム全体は、インキュベータの中に設置可能な程度の大きさにすることができるし、完全密閉型の装置あるいはその一部とすることもできる。幹細胞として、少なくとも1×109 cells以上、例えば1×1011 cells以上を格納可能な中空糸内腔の総容積を有し、かつコンパクトなシステムは、医薬候補物質のスクリーニングのための幹細胞の培養において、または哺乳動物(ヒト、サル、ラット、マウス、コンパニオンアニマル等)の各種再生治療(予防、検査を含む。)において、非常に有用であろう。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
[中空糸を用いた多能性幹細胞の培養例1]
多能性幹細胞としてマウスES細胞を用い、初期播種細胞数として2.0×105cells/束、2.0×106cells/束(中空糸の長さ3cm、6本/束)の2条件、中空糸の素材としてセルローストリアセテート(内径285μm、膜厚51μm、小孔径0.2μm、血漿分離用、東洋紡製、AP250N15タイプ。前掲特許文献4参照。)、エチレン・ビニルアルコール共重合体をコートしたポリエチレン(内径330μm、膜厚50μm、小孔径0.3μm、血漿分離用、旭化成メディカル製。特許第4187167号参照。)の2種類を用いて、6本の中空糸の束を培養ディッシュ内で未分化維持培地に浸し、8日間、旋回培養を行った。
なお、実施例を通じ、用いた中空糸束は、前掲特許文献4、非特許文献1および2においても用いられているものと同様、一端に細胞導入口を設置し、もう一端はあらかじめ封止したものである。そして、細胞播種は、細胞導入口からシリンジを用いて細胞懸濁液を注入後、200 x g、180秒で遠心して、封止端に細胞を集めることにより播種した。播種後、中空糸束の細胞導入口に蓋をし、直径6cmのディッシュ中に適量の培地とともに置いて、振とう器(マルチシェーカー)を用いて45rpmで旋回培養を行った。細胞懸濁液の注入から培養までの手順を、図1に示す。
実施例を通じて用いた培地の組成を、下記に示す:
基礎培地:Knockout DMEM
添加物: FBS(15%)、recombinant mouse LIF(1000U/mL)、L-グルタミン(2mM)、非必須アミノ酸、nucleosides、2-Mercaptoethanol(110μM)、HEPES(15mM)、ペニシリン、ストレプトマイシン等。なお培地の交換は毎日実施した。
培養中の細胞の状態の経過を、図2から図5に示す。また、細胞数の変化を図6に示す。中空糸内に播種した細胞は凝集塊を形成しながら良好に増殖し、最終的には、中空糸内腔を満たした。
[中空糸からの、水圧を用いる細胞の回収]
培養終了後、中空糸束の一端を切断し、他の一端から注射器を用いて培地を注入することにより細胞を押し出した。
図7に示すようにヌードル状の細胞組織体が得られた。
クエン酸処理にて組織体を構成する細胞を脱核し、得られた細胞の核を計測することにより細胞数とした(核数計数法)。細胞組織体の細胞数(回収細胞数)は、回収した細胞組織体をクエン酸処理し、また中空糸内部の全細胞数は、細胞を中空糸ごとクエン酸処理し、計測した。回収率=(中空糸から回収したヌードル状の細胞組織体の細胞数)/(中空糸内部の全細胞数)×100。
回収された細胞数と回収率を表2に示す。
[中空糸からの、加水分解酵素を用いる細胞の回収]
2.0×105 cells/束で播種した場合は培養8日目に、2.0×106 cells/束の条件で播種した場合は培養4日目に、中空糸ごとPBSで洗浄し、次いでアキュターゼ(Acctase、ミリポア、SCR006)またはトリプシン溶液(Trypsin Solusion (×10)、SIGMA、T4549を使用。0.25%トリプシン/0.02%EDTA)に浸し、20分間酵素処理を行い、細胞回収を行った。酵素処理による細胞回収のための手順を、図8に示す。
酵素処理を行った後の細胞数、生存率は、血球計算盤を用いたトリパンブルー色素排除法により算出した。回収率=(酵素処理によって回収された細胞数)/(中空糸内部の全細胞数:核数計数法による)×100、増幅率=回収細胞数/播種細胞数。
それぞれの、回収細胞数、回収率、生存率および増幅率を表3に示す。
いずれも、高回収率、高生存率であった。また、2.0×105 cells/束で播種した場合には、100倍以上の細胞増幅が認められた。
[中空糸を用いた多能性幹細胞の培養例2]
「培養例1」と同様に、マウスES細胞を用い、初期播種細胞数として2.0×105 cells/束(中空糸の長さ3cm、6本/束)、中空糸の素材としてポリスルホン中空糸(内径185μm、膜厚45μm、血液透析用、旭化成メディカル製。)を用いて8日間の培養を行い、トリプシンを用いて細胞を回収した結果を表4に、また、他の中空糸の素材で同様の初期播種細胞数を用いた場合との細胞密度の経時変化を図9に示す。ポリスルホンを用いた系では、培養4日目以降に増殖能の低下が見られた。
[幹細胞の未分化性の確認]
「培養例1」、「培養例2」で、初期播種細胞数として2.0×105 cells/束を用い、トリプシン処理で回収されたES細胞の未分化性を確認する為、RT-PCR法を用いてOct-3/4、Nanog、Rex-1のmRNA発現量の解析を行った。加えて、未分化マーカーであるSSEA-1の染色を行い、培養前後で陽性細胞率を比較した。
結果を図10〜図12に示す。培養8日目のOct-3/4、Nanog、Rex-1の発現レベルは中空糸の素材や播種条件によらず、培養開始時と同様の未分化性を有していることが確認された。また、SSEA-1陽性細胞率にも大きな変化は認められず、培養8日目においても培養開始時と同様の未分化性を有していることが確認された。
[中空糸を用いた多能性幹細胞の培養例3]
「培養例1」と同様に、マウスES細胞を用い、初期播種細胞数として2.0×104cells/束、2.0×105cells/束(中空糸の長さ3cm、6本/束)の2条件、中空糸の素材としてセルローストリアセテート(内径285μm、膜厚51μm、小孔径0.2μm、血漿分離用、東洋紡製、AP250N15タイプ)、エチレン・ビニルアルコール共重合体をコートしたポリエチレン(内径330μm、膜厚50μm、小孔径0.3μm、血漿分離用、旭化成メディカル製)の2種類を用いて、8日間の培養を行い、トリプシンを用いて細胞を回収した結果を表5に、また、他の中空糸の素材で同様の初期播種細胞数を用いた場合との細胞密度の経時変化の比較を図13に示す。
RT-PCR法を用いてOct-3/4、Nanog、Rex-1のmRNA発現量の解析を行い、この場合もES細胞の未分化性を確認した。さらに、未分化マーカーであるSSEA-1の染色を行い、培養前後で陽性細胞率を比較した結果を図14に示すが、これも未分化性の維持を示していた。
以上の結果より、初期播種細胞数として2.0×104cells/束という少ない細胞数でも、未分化性を維持したまま、500倍を超える増幅が可能であることが示された。
本発明は、未分化な状態を維持しつつ、幹細胞を大量に増殖させる方法、増殖させた幹細胞をヌードル状の細胞組織体として、またはばらばらの細胞として、回収する方法を提供する。本発明により得られた細胞組織体または細胞は、さらに増殖させることにより幹細胞を得るために使用することができ、また分化・誘導させることにより様々な細胞を得るために使用することができる。また、本発明により得られた細胞組織体または細胞は、再生医療のために用いることができる。本発明は、本発明は、ライフサイエンス、再生医療、および医薬候補化合物の探索等の分野での利用が期待できる。

Claims (21)

  1. 多孔質膜からなる中空糸の細胞培養における使用であって、幹細胞を播種して未分化性を維持させたまま増殖させるために中空糸内腔が用いられる、使用。
  2. 幹細胞が、多能性幹細胞である、請求項1に記載の使用。
  3. 増殖させた幹細胞が、医薬候補物質のスクリーニングまたは哺乳動物の治療において用いられる、請求項1または2に記載の使用。
  4. 幹細胞を、多孔質膜からなり、容器内に収容された中空糸の内腔で、未分化性を維持させるのに有効な条件で培養して増殖させ、そして増殖させた幹細胞を回収する工程を含む、幹細胞の生産方法。
  5. 中空糸が、内径20〜500μm、膜厚10μm〜100μm、孔径0.01〜10μmを有する、請求項4に記載の方法。
  6. 未分化性を維持させるのに有効な条件が、培養開始時の幹細胞の量を、中空糸内腔容積1ml当たり1.0×104〜108 cellsとすることを含む、請求項4または5に記載の生産方法。
  7. 少なくとも3日間培養して増殖させる、請求項4〜6のいずれか1項に記載の生産方法。
  8. 未分化性維持上有効な条件が、幹細胞の未分化性を維持するための因子を含有する培地を使用することを含む、請求項4〜7のいずれか1項に記載の生産方法。
  9. 増殖させた幹細胞の回収が、水圧を用いて、および/またはタンパク質加水分解酵素を用いて行われる、請求項4〜8のいずれか1項に記載の生産方法。
  10. 中空糸が容器内に収容されており、容器内であって中空糸の外側で、内腔で培養される細胞と同じ細胞または異なる細胞をさらに培養する、請求項4〜9のいずれか1項に記載の生産方法。
  11. 幹細胞が、多能性幹細胞であるか、または外胚葉系幹細胞、中胚葉系幹細胞、内胚葉系幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、筋幹細胞、膵幹細胞、皮膚幹細胞、網膜幹細胞、毛包幹細胞、骨前駆細胞、脂肪前駆細胞、ガン幹細胞、およびこれらの細胞からの分化系譜内の細胞からなる群より選ばれる、請求項4〜10のいずれか1項に記載の生産方法。
  12. 幹細胞の由来が、哺乳類である、請求項4〜11のいずれか1項に記載の生産方法。
  13. 増殖した細胞の回収が、または水圧を用いて行われ、増殖させた幹細胞がヌードル状の細胞塊である、請求項9に記載の生産方法。
  14. 筒状ケーシングおよび中空糸束を有する中空糸型細胞培養器であって、筒状ケーシングが、少なくとも一端に細胞を播種または回収するための細胞ポートを備え、かつ筒部に培養液を供給または排出するための少なくとも一つの培養液ポートを備えるものであり、中空糸束がケーシング内に収容され、かつ両端がポッティング材でケーシング内側に固定されているが、このとき少なくとも細胞ポートのある側の端が、中空糸各々の内腔が開口状態で細胞ポートに連通するように固定されており、細胞ポートから中空糸の内腔へ細胞を播種することができ、かつ培養液ポートからケーシング内であって中空糸の外側へ培養液を流しつつ、中空糸内腔で細胞を培養して増殖させることができる、請求項4〜13のいずれか1項に記載の生産方法において用いるための、中空糸型細胞培養器。
  15. 少なくとも1×109cellsの幹細胞を格納可能な中空糸内腔の総容積を有する、請求項14に記載の中空糸型細胞培養器。
  16. 中空糸が、内径20〜500μm、膜厚10μm〜100μm、孔径0.01〜10μmを有する、請求項14または15に記載の中空糸型細胞培養器。
  17. 請求項14〜16のいずれか1項に記載の中空糸型細胞培養器を用いる、幹細胞の培養方法。
  18. 請求項17に記載の方法を実施するための、幹細胞培養システム。
  19. 中空糸であって、幹細胞を、容器内の中空糸の内腔に播種し、未分化性を維持させつつ培養して増殖させるための、中空糸。
  20. 多孔質膜からなる中空糸であって、中空糸の内腔で未分化性を維持させたまま幹細胞を増殖させ、増殖させた幹細胞を医薬候補物質のスクリーニングまたは哺乳動物の治療において使用するための、中空糸。
  21. 多孔質膜からなる中空糸であって、幹細胞の未分化性を維持するための因子と組み合わせて使用され、かつ中空糸の内腔で未分化性を維持させたまま幹細胞を増殖させ、増殖させた幹細胞を医薬候補物質のスクリーニングまたは哺乳動物の治療において使用するための、中空糸。
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