JP7009957B2 - 細胞培養容器及び細胞培養装置 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の構成を有するメッシュシートを細胞の足場(培養基材)として含む細胞培養容器および前記細胞培養容器を含む細胞培養装置に関する。
再生医療・細胞移植治療に用いる細胞の製造、あるいはバイオ医薬品の製造において、細胞を低コストで効率よく培養することは高度の要求事項となっている。例えば、再生医療において体性幹細胞を用いる場合は、患者の脂肪組織や骨髄から採取した体性幹細胞(間葉系幹細胞)を必要な細胞数まで体外で増幅させて治療に用いるのが一般的であるが、多くの人がこうした治療を受けるようになるためには細胞の製造コストを現状よりも抑える必要がある。また、バイオ医薬品の例では、ヒト型モノクローナル抗体の医薬品は製造コストが高いため薬価が高く、そのため治療費は高額となり、患者及び国の医療費負担が大きいのが現状である。
こうした課題を解決するため、細胞を効率よく増殖させる様々な手法やデバイスが開発されてきた。例えば、人工透析にも用いられるような透過性中空糸膜からなるモジュールを細胞培養用に転用した形態のもの、あるいは、平面フラスコを多層に重ねた形態のものなどが利用されている。
特許文献1には、細胞の増殖及び成長用の中空糸膜型バイオリアクターであって、細胞空間(中空糸中空部)および無細胞空間(中空糸外側)にそれぞれ異なる培地を循環するための流路を有するバイオリアクタシステムが開示されている。しかし、中空糸膜をモジュール化するには煩雑な工程を経る必要があり、簡便・低コスト化することは困難である。また、多層型フラスコは培養面積に限界があり、多層化することによる重量増で取り扱いにも支障があることが問題となっている。更に、細胞をビーズのような小さな粒子担体に接着させ、これを浮遊させて攪拌培養を行うことで接着細胞を浮遊細胞と同様に培養することが可能である。これを利用した高密度培養システムもあるが、攪拌される際に、細胞がダメージを受けたり、細胞回収時にビーズの破片が混入するなどの問題があり、これは特に細胞そのものを治療に使用する再生医療においては問題となる。
特表2003-510068号公報
本発明は、簡便で低コストに高密度の細胞培養を行うことが可能な細胞培養容器および細胞培養装置を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1) メッシュシート表面に細胞を接着させて培養するための細胞培養容器であって、前記メッシュシートの線径が105μm以上1100μm以下、目開きが144μm以上2000μm以下であり、前記メッシュシートの充填率が24%以上51%以下となるように螺旋および/または多層に巻回された状態で容器内に収納された細胞培養容器。
(2) 前記メッシュシートの開口率が26%以上61%以下である(1)に記載の細胞培養容器。
(3) 前記メッシュシートは合成樹脂および/またはガラス繊維である(1)または(2)に記載の細胞培養容器。
(4) 前記メッシュシートは編物、織物、交点溶着シート、回転押出成形シートからなる群から選ばれる1種以上である(1)~(3)のいずれかに記載の細胞培養容器。
(5) (1)~(4)のいずれかに記載の細胞培養容器を含む細胞培養装置。
本発明により、簡便で低コストに高密度の細胞培養を行うことが可能となる。
円筒状に巻いたメッシュシートが収納された細胞培養容器の一例である。 螺旋状に巻いたメッシュシートが収納された細胞培養容器の一例である。 多孔管の周りに螺旋状に巻いたメッシュシートが収納された細胞培養容器の一例である。 細胞培養容器の構成を示す例の模式図である。 本発明の細胞培養容器を用いた細胞培養装置の一例である。
(メッシュシート)
本発明において、メッシュシートの素材については、細胞をメッシュシート表面に保持できる構造をとることができるものであればよく、合成樹脂でも天然繊維でもよい。合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、フッ素系樹脂、ポリアミド等の水不溶性の樹脂が好適に利用できる。また、綿、麻、竹、紙などの植物性繊維、羊毛、絹などの動物性繊維など、天然繊維を用いることもできる。また、合成樹脂製繊維と天然繊維とを混紡してもよい。さらに、ガラス繊維やカーボンでもよく、アルミナ(Al)などのセラミックス系、さらにステンレス、鋼、アルミニウム、金、プラチナなどの金属も使用できる。また、これらの素材に化学的に修飾を加えたものであっても良く、例えば、親水化処理されていてもよい。親水化処理することにより、メッシュシート表面への細胞の接着が容易になる。また、使用する細胞に応じて、メッシュシートへの接着性向上のため、コラーゲンやフィブロネクチン等をコーティングしたものでも良い。
本発明において、メッシュシートは、網目形状を有するシートであり、織物や編み物、交点溶着タイプ、トリカルネットやネトロンシートなどの押出成形シートが好ましい。また、パンチング加工等によりメッシュ状に成形されたものであってもよい。また、織物は、シングルラッセルだけでなくダブルラッセルも本発明の範囲内である。
本発明において、メッシュシートの線径は、交点間の中間付近の線径を言うものとし、好ましくは100μm~2000μm、より好ましくは100μm~1500μm程度のものが利用される。線径を前記範囲とすることにより、メッシュシートに適度な強度および細胞接着性を付与することができる。天然繊維を用いる場合は、細糸を撚ったり束ねたりしたマルチフィラメントの線径が前記範囲にあればよい。一方、合成繊維を用いる場合は、溶融紡糸法などで作製されたモノフィラメントを用いればよいが、マルチフィラメントであってもよい。線径の測定は、メッシュシートを網目が判別できる程度の倍率で撮影した画像をImageJ、WINROOF、NIS Element D3.00 SP6等の画像解析ソフトにより、メッシュ(空隙)部を白く、線維(実)部を黒く、2値化処理を行う。画像解析ソフトにより算出される線径と、解析に用いた画像の縮尺情報[pixel/μm]から、メッシュシート交点間の中間部付近の線径を算出する。
本発明において、メッシュシートの目開きは50μm~2000μmであるのが好ましい。目開きを前記範囲とすることにより、細胞の増殖後も培養液を各細胞に停滞なく行渡らせることができるため好ましい。目開きはより好ましくは100μm~2000μmである。目開きの測定は、メッシュシートを網目が判別できる程度の倍率で撮影した画像をImageJ、WINROOF、NIS Element D3.00 SP6等の画像解析ソフトにより、2値化処理を行う。画像解析ソフトにより算出される「Average Size[pixel]」と、解析に用いた画像の縮尺情報[pixel/μm]から、メッシュ(空隙)部の平均面積[μm]を求め、メッシュを正方形と仮定して、一辺の長さ[μm]を算出する。得られた一辺の長さをメッシュシートの目開きとする。
本発明において、メッシュシートの開口率は20~65%であるのが好ましい。開口率が小さすぎると、細胞が増殖(成長)するに従い培養液の循環(交換)が滞りやすくなる。一方、開口率が大きすぎると、細胞が接着する面積が小さくなるので培養面積が稼げない(容積効率が低下する)ことになる。なお、開口率は、前記線径および目開きより、下記式にて算出する。
開口率(%)=(目開き/(目開き+線径))×100
(細胞培養容器)
本発明において、細胞培養容器は、例えば、筒状容器に1枚または複数枚のメッシュシートを螺旋または円筒形に巻いたものを格納することにより簡単に作製することができる。このような細胞培養容器は、容積あたりの培養面積を中空糸膜タイプほどではないが大きくすることができるため好ましい。また、培養操作も簡便化することが出来、効率よく細胞培養を実施することが出来る。図1は、本発明の第1の実施態様を示す模式図であって、複数枚のメッシュシートを円筒状に巻いたものを内挿した細胞培養容器を表している。また、図2は、本発明の第2の実施態様を示す模式図であって、1枚のメッシュシートを螺旋状に巻いたものを内挿した細胞培養容器を表している。
また、図3は、本発明の第3の実施態様を示す模式図であって、多孔管の周りに1枚のメッシュシートを螺旋状に巻いたものを収納した細胞培養容器を表している。ここで、多孔管は、筒状の樹脂製または金属製のパイプであって側面に多数の穴を有する。また、多孔管とメッシュシートの材料は同一であっても異なっていてもよい。また、メッシュシートの一端は、多孔管の表面の少なくとも一部に固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。なお、細胞培養容器の内径基準断面積に対する多孔管の外径基準断面積の比は、0.4以下であることが好ましい。
前記いずれの実施態様においても、メッシュシート間の間隙を確保するためにスペーサーを設けてもよい。
本発明において、細胞培養容器に対するメッシュシートの充填率は20~55%とするのが好ましい。充填率が低すぎると、接着性細胞の培養面積を大きく取ることができず不経済である。一方、充填率が高すぎると、メッシュシートの間隙が狭くなるため接着性細胞が内側のシートと外側のシートの両方に接着してしまい、回収が難しいことがある。なお、充填率は、メッシュシートの線径と幅より求めたメッシュシートの断面積とケース内径基準の断面積との関係より以下の式により求める。
充填率(%)=メッシュシートの線径×幅/ケース断面積(内径基準)×100
このようなメッシュシートを用いた細胞培養容器の構成は特に限定されないが、例えば図4に示すように、2つの出入口ポートを有するモジュールケース4にメッシュシート1が適宜必要な枚数重ねられた状態で巻かれて内挿された形態が挙げられる。前記出入口ポート5aまたは5bの一方から導入された培養液などがメッシュシートの間隙を通ってもう一方の出入口5bまたは5aから導出される(すなわち、一方向に流れる)ように構成されている。
本発明の細胞培養容器を用いることにより、細胞へ常に新鮮な培養液および酸素ガス等を連続的または断続的に供給することができ、細胞培養容器としてシャーレや多段フラスコ等を用いる際に必要な交換作業は不要となり、作業者の手間や拘束時間を減らすことができる。
(細胞培養装置)
図5は、本発明の細胞培養装置の一例である。図5において、6は、培養液貯留容器(培養バッグなど)である。培養液貯留容器6からは、流路管を経由して、細胞培養容器2の入口ポート5に、流路が接続され、培養液貯留容器6に入っている培養液が細胞培養容器2の内腔側に移送できるようになっている。細胞培養容器2の内腔側からは、送液ポンプ7を経由して、廃液回収容器8まで流路管が接続され、細胞培養容器2を通過した培養液が廃棄できるようになっている。なお、前記流路に設けられた送液ポンプ7により、培養液貯留容器6から細胞培養容器2への液体(培養液など)の供給および/または前記細胞培養容器2からの前記液体の排出、さらには前記液体の廃棄などにおける流速等を制御することができる。
(培養の対象となる細胞)
本発明において、培養の対象となる細胞は、特に限定されるものではないが、接着性の動物細胞が好適である。細胞の由来も特に限定されず、ヒト、ブタ、イヌ、マウス等のいずれの動物由来のものも使用できる。また、接着性の動物細胞は、初代培養細胞及び株化細胞の双方を対象とすることができる。また、表皮角化細胞、血管内皮細胞、繊維芽細胞、肝細胞などのプライマリー細胞や、さらに胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、間葉系幹細胞、脂肪前駆細胞、肝幹細胞などの幹細胞、前駆細胞でもよい。また、これらの細胞は、培養前に外来遺伝子を導入した細胞であってもよいし、抗体やリガンドなどの刺激因子などで予め刺激、加工されている細胞であっても良い。
(細胞の培養)
本発明において、メッシュシートを用いて細胞を培養する場合には、前述の細胞培養容器を用い、出入口の一方から細胞を懸濁した液を容器内に流入させることにより、細胞を播種することが出来る。一定時間静置し、細胞を容器表面に接着させた後に、インキュベーター内に設置した細胞培養容器に、連続的あるいは断続的に培養液を送液することにより細胞を培養、増殖させることが出来る。培養液は、細胞に必要な養分や酸素・二酸化炭素などのガスを供給する役割を有する。培養に用いられる培地は、培養細胞の種類に応じて決定され、当該細胞の培地として通常用いられるものであればよい。
(培養液が流れる速度)
本発明において、細胞培養における培養液、特に細胞培養容器内を流れる培養液の流速については、厳密に制御することが好ましい。培養液は連続的に流しても良いし、断続的に流しても構わないが、流速が遅すぎると、細胞への栄養供給が十分になされず、細胞が増殖しにくくなる。逆に、流速が速すぎても、細胞周囲の環境変化が激しく、細胞が周りの環境に馴染めず、細胞が増殖しにくくなる。このように、細胞培養容器内を流れる培養液の流速は、細胞増殖度合いや環境に応じて、調整することが好ましい。細胞増殖度合いを調べる方法は、特に限定されないが、培養液中のグルコースや乳酸塩の濃度等の測定結果をもとに行うことが出来る。
(細胞の回収)
メッシュシートを用いて培養した細胞を回収するための手段を例を挙げて説明する。例えば、細胞培養容器を用い、メッシュシート表面において細胞を培養した場合には、培養液の灌流を停止した後、モジュール内の培養液を除去するため、二価陽イオンフリーのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を一定時間灌流させ、培養液を充分PBSに置換する。次に、PBSを除去し、トリプシン等のプロテアーゼを容器内へ充填し、一定時間インキュベートして培養細胞をメッシュシート表面から剥離させた後、培養液などを容器内へ流入させることにより、細胞を回収することが出来る。
以下、本発明の有効性について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(メッシュシートの線径、目開きおよび開口率の測定)
メッシュシートをNikon製顕微鏡(ECLIPSE LV100)のステージに設置した後、CCDカメラ(DS-Ri1)および画像処理装置(DIGITAL SIGHT DS-U2)を用いてメッシュシートの撮影および画像の取り込みを行った。得られた画像について、画像解析ソフト(NIS Element D3.00 SP6)を用い、前記解析ソフトの計測機能を用いて測定することでメッシュシートの線径および網目(空隙部)の面積を算出した。各5点測定し、それらの平均値を線径および網目の面積とした。また、得られた網目の面積を正方形と仮定して一辺の長さを算出し、目開きとした。また、前記線径および目開きより、下記式にて開口率を算出した。
開口率(%)=(目開き/(目開き+線径))×100
(充填率の測定)
充填率は、メッシュシートの線径と幅より求めたメッシュシートの断面積とケース内径基準の断面積との関係より以下の式により求める。
充填率(%)=メッシュシートの線径×幅/ケース断面積(内径基準)×100
(細胞回収数の測定)
細胞培養容器からの細胞を含む回収液は、遠心分離操作により最終的に1mlの培養液に懸濁した。この懸濁液とトリパンブルー染色液を1:1で混和した液を血球計算盤に添加し、顕微鏡下で細胞数の計測を行った。
1.血球計算盤およびカバーガラスの表面を70%イソプロパノールで洗浄し、余分なイソプロパノールをふき取り風乾する。
2.注射用蒸留水でカバーガラスの側面を濡らし、血球計算盤に貼りつける。
3.細胞懸濁液をパスツールピペット等でよく撹拌後、すぐに血球計算盤に流し込み、溝の上まで満たす。
4.1~3の操作を別の血球計算盤を使用して行う(2回測定し平均をとる)。
5.顕微鏡に血球計算盤を置き、グリッドラインに焦点を合わせる(10×対物レンズ)。
6.カウンターを用いて1mmエリアの細胞数を速やかに計測する。
※誤差が生じやすいので正確に数えるためには少なくとも100~500細胞を計測する。
計算法:
C=N×10
C:1ml当たりの細胞数
N:計測した細胞数の平均
10:1mmに対する容量の変換値
全体の数=C×V
V=細胞を懸濁した液体の容量
[実施例1]
(メッシュシートの準備)
ポリプロピレン製の交点融着タイプのメッシュシート(ハギテック社、型番:PP-#16)を、幅29mm、長さ80mmに切ったものを5枚用意した。これを超純水で洗浄した後、0.05%ウシコラーゲン溶液に20分間浸した後、クリーンベンチ内で自然乾燥させた。その後、超純水ですすぎ、再びクリーンベンチ内で自然乾燥させた。
(細胞培養容器の作製)
細胞培養容器を以下のように作製した。
前述のメッシュシート5枚を重ねた状態で巻き、内径14mm、長さ10cmの円筒状のポリカーボネート製ケース内に入れた。このようにして、図1に示すような形状の細胞培養容器を作製し、滅菌処理を行った。
得られた細胞培養容器を用い、図5に示すような細胞培養装置を構成した。まず、培養液貯留容器6を注射用蒸留水容器に交換した後、ポンプ7を起動してプライミング処理を行った。プライミング処理を終了した後、注射用蒸留水容器をウシ胎児血清を10%(v/v)添加したダルベッコ改変イーグル培地を入れた培養液貯留容器に交換し、細胞培養容器内の水を培養液に置換した。
(細胞培養実験)
前記培養液貯留容器6内の培養液に、プライマリーのヒト間葉系幹細胞(Cell Applications,Inc.製)を懸濁し、ポンプ7を起動して細胞培養容器内に播種して2時間静置し、メッシュシート表面に細胞を接着させた。細胞播種密度は2000cells/cmとなるように調整した。培養液貯留容器6を培養液のみの容器に交換した後、流量を150μl/minとして灌流を開始した。本細胞培養実験は、COインキュベーター内で37℃、7日間行った。
(細胞培養容器からの細胞回収)
7日間培養後、培養液灌流を停止し、細胞培養容器内にて増殖した細胞を回収した。即ち、培養液の灌流を停止した後、容器内に存在する培養液を除去するため、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を一定時間灌流させ、培養液を充分PBSに置換した。次に、PBSを除去し、0.25%トリプシン溶液(ライフテクノロジーズ社製)を細胞培養容器内へ静かに充填し、室温で15分間インキュベートした。この後、ウシ胎児血清を10%(v/v)添加したダルベッコ改変イーグル培地を細胞培養容器内へ流し入れ、反対側より培養液と共に流し出した細胞を回収した。回収した細胞について、生細胞数を計測した。結果を表1に示す。
[実施例2]
ポリプロピレン製のメッシュシート(ハギテック社、型番:PP670)1枚(幅145mm、長さ80mm)をらせん状に巻き、内径11mm、長さ10cmのケースに収納して図2に示されるような細胞培養容器を作製した。得られた細胞培養容器を用いて実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
外径13mmの多孔管の周りにポリエチレン製のメッシュシート(ハギテック社、型式2553-3068-13)1枚(幅145mm、長さ80mm)をらせん状に巻きつけ、内径18mm、長さ10cmのケースに収納して図3に示されるような細胞培養容器を作製した。得られた細胞培養容器を用いて実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。なお、本実施態様において、入口ポートから導入された培養液は、多孔管の穴から容器内に分配されるようになっている。また、容器断面積は多孔管を除いた部分の断面積に基づいてメッシュシートの充填率を算出した。
[実施例4]
ポリアミド性のメッシュシート(ハギテック社、型番PA-149μ)を用いて実施例2と同様にして細胞培養容器を作製した。なお、ケースは内径9mmのものを用いた。得られた細胞培養容器を用いて実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
フッ素樹脂製のメッシュシート(ハギテック社、型番PFA-144μm)を用いて実施例4と同様にして細胞培養容器を作製した。得られた細胞培養容器を用いて実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
ポリエチレンテレフタレート製のメッシュシート(セミテック社、型番PET158-HD)を用いて実施例4と同様にして細胞培養容器を作製した。得られた細胞培養容器を用いて実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
ポリアミド性のネトロンシート(ハギテック社、型番D6-910)を用いて実施例2と同様にして細胞培養容器を作製した。なお、ケースは内径16mmのものを用いた。得られた細胞培養容器を用いて実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
[実施例8]
セラミック製のメッシュシート(ハギテック社、型式2553-2506-04)を用いて実施例2と同様にして細胞培養容器を作製した。なお、ケースは内径20mmのものを用いた。得られた細胞培養容器を用いて実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
[実施例9]
ガラス繊維製のメッシュシート(ハギテック社、型式2552-9822-03)を用いて実施例2と同様にして細胞培養容器を作製した。なお、ケースは内径20mmのものを用いた。得られた細胞培養容器を用いて実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
ポリ塩化ビニリデン製のメッシュシート(ハギテック社、型番B-24)を用いて実施例2と同様にして細胞培養容器を作製した。なお、ケースは内径27mmのものを用いた。得られた細胞培養容器を用いて実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
セラミック製のネトロンシート(ハギテック社、型番#9)を用いて実施例2と同様にして細胞培養容器を作製した。なお、ケースは内径16mmのものを用いた。得られた細胞培養容器を用いて実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
ポリアミド製のネトロンシート(ハギテック社、型番BS1-300)を用いて実施例2と同様にして細胞培養容器を作製した。なお、ケースは内径27mmのものを用いた。得られた細胞培養容器を用いて実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
ポリプロピレン製のメッシュシート(ハギテック社、型番PP2145)を用いて実施例2と同様にして細胞培養容器を作製した。なお、ケースは内径14mmのものを用いた。得られた細胞培養容器を用いて実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
[比較例5]
ポリアミド製のメッシュシート(ハギテック社、型番PA-91μ)を用いて実施例2と同様にして細胞培養容器を作製した。なお、ケースは内径9mmのものを用いた。得られた細胞培養容器を用いて実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
[比較例6]
ポリアミド製のメッシュシート(ハギテック社、型番PA-25μ)を用いて実施例2と同様にして細胞培養容器を作製した。なお、ケースは内径9mmのものを用いた。得られた細胞培養容器を用いて実施例1と同様の実験を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007009957000001
表1の結果から明らかなように、実施1-9は培養効率の高い細胞培養容器が得られている。一方、比較例1-4のように線径が大きすぎる、目開きが大きすぎる、または充填率が高すぎるなどの場合には、単位体積当たりの細胞培養効率が低下するため、細胞収量が少ない結果となった。また、比較例5、6のように線径が小さすぎるとか、充填率が低すぎる場合にも、細胞の接着効率が悪く、細胞収量が少ない結果となった。
本発明により、低コストかつ簡便に製造でき、培養スペースが小さくても比較的大きな培養面積を確保することができ、培養効率の高い細胞培養容器を提供することができる。
1 メッシュシート
2 培養容器
3 多孔管
4 ケース
5a、5b ポート
6 培養液貯留容器
7 送液ポンプ
8 廃液回収容器

Claims (5)

  1. メッシュシート表面に細胞を接着させて培養するための細胞培養容器であって、前記メッシュシートの線径が105μm以上1100μm以下、目開きが144μm以上2000μm以下であり、前記メッシュシートの充填率が24%以上51%以下となるように螺旋および/または多層に巻回された状態で容器内に収納された細胞培養容器。
  2. 前記メッシュシートの開口率が26%以上61%以下である請求項1に記載の細胞培養容器。
  3. 前記メッシュシートは合成樹脂および/またはガラス繊維である請求項1または2に記載の細胞培養容器。
  4. 前記メッシュシートは編物、織物、交点溶着シート、回転押出成形シートからなる群から選ばれる1種以上である請求項1~3のいずれかに記載の細胞培養容器。
  5. 請求項1~のいずれかに記載の細胞培養容器を含む細胞培養装置。
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Biomaterials,2013年10月02日,Vol.35,p259-268, Supporting Information

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