JP6690697B2 - 基板処理装置及びデバイス製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基板支持部材の曲面にある基板に処理を施す基板処理装置及びデバイス製造方法に関する。
フォトリソグラフィ工程で用いられる露光装置において、下記特許文献に開示されているような、円筒状又は円柱状のマスクを回転させて、基板を露光する露光装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
板状のマスクを用いる場合のみならず、円筒状又は円柱状のマスクを用いて基板を露光する場合においても、マスクのパターンの像を基板に良好に投影露光するために、マスクのパターンの位置情報を正確に取得する必要がある。そのため、円筒状又は円柱状のマスクの位置情報を正確に取得でき、そのマスクと基板との位置関係を正確に調整できる技術の案出が望まれる。
そこで、特許文献1に開示された露光装置では、マスクにおけるパターン形成面の所定領域に、パターンに対して所定の位置関係で位置情報取得用のマーク(目盛、格子等)を形成し、エンコーダシステムでマークを検出することにより、パターン形成面の周方向におけるパターンの位置情報、或いはマスクの回転軸方向の位置情報を取得する構成が開示されている。
また、近年、大型表示パネル(液晶、有機EL等)等の電子デバイスをフレキシブルな樹脂フィルム、プラスチックシート、極薄ガラスシート等に形成する為に、ロール状に巻き付けられたフレキシブルな長尺のフィルムやシート(以下、可撓性基板とも呼ぶ)を引き出し、その可撓性基板の表面に光感応層を塗布し、その光感応層に電子回路用の各種のパターンを露光する装置が提案されている(例えば、特許文献2)。
特開2008−076650号公報 特開2010−217877号公報
上記の特許文献2に開示されたような可撓性の基板に処理を施す基板処理装置では、基板の伸縮を抑制し、処理の精度を向上させることが要望されている。
本発明の態様は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、基板の伸縮を抑制し、処理の精度を向上させる基板処理装置及びデバイス製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に従えば、フレキシブルな長尺の基板上に電子デバイスを形成する為に、前記基板の表面に所定の処理を施す基板処理装置であって、中心軸から一定半径で円筒面状に湾曲した外周面を有し、前記基板の長尺方向の一部を、前記外周面のうちの前記基板が接触し始める進入位置から前記基板が外れる離脱位置までの範囲に渡って支持した状態で、前記中心軸の回りに回転して前記基板を前記長尺方向に搬送する回転ドラムと、前記進入位置と前記離脱位置との間の特定位置で、前記回転ドラムの外周面に支持された前記基板の表面に所定の処理を施す処理装置と、前記回転ドラムの外周面を第1の温度に調整する第1の温度調節装置と、前記基板の搬送方向に関して前記進入位置の上流側に位置する前記基板を、前記第1の温度と異なる第2の温度に調整する第2の温度調節装置と、前記第1の温度と前記第2の温度とが、前記特定位置における前記基板の伸縮状態を安定させるような所定の温度差を持つように、前記第1の温度調節装置又は前記第2の温度調節装置を制御する制御装置と、を備える基板処理装置が提供される。
本発明の第2の態様に従えば、フレキシブルな長尺の基板上に電子デバイスを形成する為に、前記基板の表面に所定の処理を施すデバイス製造方法であって、前記基板の表面を改質して活性化した状態、又は微細な隔壁構造を前記基板の表面に形成した状態にする前処理工程と、前記前処理工程を受けた前記基板を、請求項1から8のいずれか一項に記載の基板処理装置に搬入し、前記処理装置によって前記基板の表面に前記電子デバイスを形成する為の処理を施す形成工程と、を含むデバイス製造方法が提供される。
本発明の態様によれば、基板処理装置及びデバイス製造方法において、基板の伸縮を抑制し、処理の精度を向上させることができる。
図1は、第1実施形態のデバイス製造システムの構成を示す図である。 図2は、第1実施形態に係る処理装置(露光装置)の全体構成を示す模式図である。 図3は、図2における照明領域及び投影領域の配置を示す模式図である。 図4は、図2の処理装置(露光装置)に適用される投影光学系の構成を示す模式図である。 図5は、図2の処理装置(露光装置)に適用される回転ドラムの斜視図である。 図6は、図2の処理装置(露光装置)に適用される検出プローブと読み取り装置との関係を説明するための斜視図である。 図7は、第1実施形態に係るスケール円盤を回転中心線方向にみた、読み取り装置の位置を説明するための説明図である。 図8は、第1実施形態に係る温度調節装置を説明する説明図である。 図9は、アライメントマークの一例を説明する説明図である。 図10は、基板の伸縮によるアライメントマークの変化の一例を模式的に説明する説明図である。 図11は、第1実施形態に係る処理装置(露光装置)の処理を補正する手順の一例を示すフローチャートである。 図12は、第2実施形態に係る処理装置(露光装置)の全体構成を示す模式図である。 図13は、第3実施形態に係る処理装置(露光装置)の全体構成を示す模式図である。 図14は、第4実施形態に係る処理装置(露光装置)の全体構成を示す模式図である。 図15は、第5実施形態に係る処理装置(露光装置)の全体構成を示す模式図である。 図16は、第6実施形態に係る処理装置(露光装置)の全体構成を示す模式図である。 図17は、第1実施形態に係る処理装置(露光装置)を用いたデバイス製造方法を示すフローチャートである。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。例えば、以下の実施形態では、デバイスとしてフレキシブル・ディスプレイを製造する場合として説明するがこれに限定されない。デバイスとしては、配線基板、半導体基板等を製造することもできる。
(第1実施形態)
第1実施形態は、基板に露光処理を施す基板処理装置が露光装置である。また、露光装置は、露光後の基板に各種処理を施してデバイスを製造するデバイス製造システムに組み込まれている。先ず、デバイス製造システムについて説明する。
<デバイス製造システム>
図1は、第1実施形態のデバイス製造システムの構成を示す図である。図1に示すデバイス製造システム1は、デバイスとしてのフレキシブル・ディスプレイを製造するライン(フレキシブル・ディスプレイ製造ライン)である。フレキシブル・ディスプレイとしては、例えば有機ELディスプレイ等がある。このデバイス製造システム1は、可撓性の基板Pをロール状に巻回した供給用ロールFR1から、該基板Pを送り出し、送り出された基板Pに対して各種処理を連続的に施した後、処理後の基板Pを可撓性のデバイスとして回収用ロールFR2に巻き取る、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式となっている。第1実施形態のデバイス製造システム1では、フィルム状のシートである基板Pが供給用ロールFR1から送り出され、供給用ロールFR1から送り出された基板Pが、順次、n台の処理装置U1、U2、U3、U4、U5、…Unを経て、回収用ロールFR2に巻き取られるまでの例を示している。先ず、デバイス製造システム1の処理対象となる基板Pについて説明する。
基板Pは、例えば、樹脂フィルム、ステンレス鋼等の金属または合金からなる箔(フォイル)等が用いられる。樹脂フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂のうち1または2以上を含んでいる。
基板Pは、例えば、基板Pに施される各種処理において受ける熱による変形量が実質的に無視できるように、熱膨張係数が顕著に大きくないものを選定することが望ましい。熱膨張係数は、例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合することによって、プロセス温度等に応じた閾値よりも小さく設定されていてもよい。無機フィラーは、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素等でもよい。また、基板Pは、フロート法等で製造された厚さ100μm程度の極薄ガラスの単層体であってもよいし、この極薄ガラスに上記の樹脂フィルム、箔等を貼り合わせた積層体であってもよい。
このように構成された基板Pは、ロール状に巻回されることで供給用ロールFR1となり、この供給用ロールFR1が、デバイス製造システム1に装着される。供給用ロールFR1が装着されたデバイス製造システム1は、1個のデバイスを製造するための各種の処理を、供給用ロールFR1から送り出される基板Pに対して繰り返し実行する。このため、処理後の基板Pは、複数のデバイスが連なった状態となる。つまり、供給用ロールFR1から送り出される基板Pは、多面取り用の基板となっている。なお、基板Pは、予め所定の前処理によって、その表面を改質して活性化したもの、或いは、表面に精密パターニングのための微細な隔壁構造(凹凸構造)を形成したものでも良い。
処理後の基板Pは、ロール状に巻回されることで回収用ロールFR2として回収される。回収用ロールFR2は、図示しないダイシング装置に装着される。回収用ロールFR2が装着されたダイシング装置は、処理後の基板Pを、デバイスごとに分割(ダイシング)することで、複数個のデバイスにする。基板Pの寸法は、例えば、幅方向(短尺となる方向)の寸法が10cm〜2m程度であり、長さ方向(長尺となる方向)の寸法が10m以上である。なお、基板Pの寸法は、上記した寸法に限定されない。
次に、図1を参照し、デバイス製造システム1について説明する。図1では、X方向、Y方向及びZ方向が直交する直交座標系となっている。X方向は、水平面内において供給用ロールFR1及び回収用ロールFR2を結ぶ方向であり、図1における左右方向である。Y方向は、水平面内においてX方向に直交する方向であり、図1における前後方向である。Y方向は、供給用ロールFR1及び回収用ロールFR2の軸方向となっている。Z方向は、鉛直方向であり、図1における上下方向である。
デバイス製造システム1は、基板Pを供給する基板供給装置2と、基板供給装置2によって供給された基板Pに対して各種処理を施す処理装置U1〜Unと、処理装置U1〜Unによって処理が施された基板Pを回収する基板回収装置3と、デバイス製造システム1の各装置を制御する上位制御装置5とを備える。
基板供給装置2には、供給用ロールFR1が回転可能に装着される。基板供給装置2は、装着された供給用ロールFR1から基板Pを送り出す駆動ローラDR1と、基板Pの幅方向(Y方向)における位置を調整するエッジポジションコントローラEPC1とを有する。駆動ローラDR1は、基板Pの表裏両面を挟持しながら回転し、基板Pを供給用ロールFR1から回収用ロールFR2へ向かう搬送方向に送り出すことで、基板Pを処理装置U1〜Unに供給する。このとき、エッジポジションコントローラEPC1は、基板Pの幅方向の端部(エッジ)における位置が、目標位置に対して±十数μm程度の範囲から±数十μm程度の範囲に収まるように、基板Pを幅方向に移動させて、基板Pの幅方向における位置を修正する。
基板回収装置3には、回収用ロールFR2が回転可能に装着される。基板回収装置3は、処理後の基板Pを回収用ロールFR2側に引き寄せる駆動ローラDR2と、基板Pの幅方向(Y方向)における位置を調整するエッジポジションコントローラEPC2とを有する。基板回収装置3は、駆動ローラDR2により基板Pの表裏両面を挟持しながら回転し、基板Pを搬送方向に引き寄せると共に、回収用ロールFR2を回転させることで、基板Pを巻き上げる。このとき、エッジポジションコントローラEPC2は、エッジポジションコントローラEPC1と同様に構成され、基板Pの幅方向の端部(エッジ)が幅方向においてばらつかないように、基板Pの幅方向における位置を修正する。
処理装置U1は、基板供給装置2から供給された基板Pの表面に感光性機能液を塗布する塗布装置である。感光性機能液としては、例えば、フォトレジスト、感光性シランカップリング材、UV硬化樹脂液等が用いられる。処理装置U1は、基板Pの搬送方向の上流側から順に、塗布機構Gp1と乾燥機構Gp2とが設けられている。塗布機構Gp1は、基板Pが巻き付けられる圧胴ローラR1と、圧胴ローラR1に対向する塗布ローラR2とを有する。塗布機構Gp1は、供給された基板Pを圧胴ローラR1に巻き付けた状態で、圧胴ローラR1及び塗布ローラR2により基板Pを挟持する。そして、塗布機構Gp1は、圧胴ローラR1及び塗布ローラR2を回転させることで、基板Pを搬送方向に移動させながら、塗布ローラR2により感光性機能液を塗布する。乾燥機構Gp2は、熱風またはドライエアー等の乾燥用エアーを吹き付け、感光性機能液に含まれる溶質(溶剤または水)を除去し、感光性機能液が塗布された基板Pを乾燥させることで、基板P上に感光性機能層を形成する。
処理装置U2は、基板Pの表面に形成された感光性機能層を安定にすべく、処理装置U1から搬送された基板Pを所定温度(例えば、数10〜120℃程度)まで加熱する加熱装置である。処理装置U2は、基板Pの搬送方向の上流側から順に、加熱チャンバHA1と冷却チャンバHA2とが設けられている。加熱チャンバHA1は、その内部に複数のローラ及び複数のエア・ターンバーが設けられており、複数のローラ及び複数のエア・ターンバーは、基板Pの搬送経路を構成している。複数のローラは、基板Pの裏面に転接して設けられ、複数のエア・ターンバーは、基板Pの表面側に非接触状態で設けられる。複数のローラ及び複数のエア・ターンバーは、基板Pの搬送経路を長くすべく、蛇行状の搬送経路となる配置になっている。加熱チャンバHA1内を通る基板Pは、蛇行状の搬送経路に沿って搬送されながら所定温度まで加熱される。冷却チャンバHA2は、加熱チャンバHA1で加熱された基板Pの温度が、後工程(処理装置U3)の環境温度と揃うようにすべく、基板Pを環境温度まで冷却する。冷却チャンバHA2は、その内部に複数のローラが設けられ、複数のローラは、加熱チャンバHA1と同様に、基板Pの搬送経路を長くすべく、蛇行状の搬送経路となる配置になっている。冷却チャンバHA2内を通る基板Pは、蛇行状の搬送経路に沿って搬送されながら冷却される。冷却チャンバHA2の搬送方向における下流側には、駆動ローラDR3が設けられ、駆動ローラDR3は、冷却チャンバHA2を通過した基板Pを挟持しながら回転することで、基板Pを処理装置U3へ向けて供給する。
処理装置(基板処理装置)U3は、処理装置U2から供給された、表面に感光性機能層が形成された基板(感光基板)Pに対して、ディスプレイ用の回路または配線等のパターンを投影露光(転写)する露光装置である。詳細は後述するが、処理装置U3は、透過型または反射型の円筒マスク(マスク)DMに照明光束を照明し、照明光束が円筒マスク(マスク)DMにより、透過または反射されることで得られる投影光束を基板Pに投影露光する。処理装置U3は、処理装置U2から供給された基板Pを搬送方向の下流側に送る駆動ローラDR4と、基板Pの幅方向(Y方向)における位置を調整するエッジポジションコントローラEPCとを有する。駆動ローラDR4は、基板Pの表裏両面を挟持しながら回転し、基板Pを搬送方向の下流側に送り出すことで、基板Pを露光位置へ向けて供給する。エッジポジションコントローラEPCは、エッジポジションコントローラEPC1と同様に構成され、露光位置における基板Pの幅方向が目標位置となるように、基板Pの幅方向における位置を修正する。処理装置U3は、エッジポジションコントローラEPCが供給する基板Pの温度を温度調節装置60で調整してから、基板Pを駆動ローラDR5搬送する。
また、処理装置U3は、露光後の基板Pにたるみを与えた状態で、基板Pを搬送方向の下流側へ送る2組の駆動ローラDR6、DR7を有するバッファー部DLを備えている。2組の駆動ローラDR6、DR7は、基板Pの搬送方向に所定の間隔を空けて配置されている。駆動ローラDR6は、搬送される基板Pの上流側を挟持して回転し、駆動ローラDR7は、搬送される基板Pの下流側を挟持して回転することで、基板Pを処理装置U4へ向けて供給する。このとき、基板Pは、たるみが与えられているため、駆動ローラDR7よりも搬送方向の下流側において生ずる搬送速度の変動を吸収でき、搬送速度の変動による基板Pへの露光処理の影響を縁切りすることができる。また、処理装置U3内には、円筒マスク(マスク)DMのマスクパターンの一部分の像と基板Pとを相対的に位置合せ(アライメント)するために、基板Pに予め形成されたアライメントマーク等を検出するアライメント顕微鏡AMG1、AMG2が設けられている。
処理装置U4は、処理装置U3から搬送された露光後の基板Pに対して、湿式による現像処理、無電解メッキ処理等を行なう湿式処理装置である。処理装置U4は、その内部に、鉛直方向(Z方向)に階層化された3つの処理槽BT1、BT2、BT3と、基板Pを搬送する複数のローラと、を有する。複数のローラは、3つの処理槽BT1、BT2、BT3の内部を、基板Pが順に通過する搬送経路となるように配置される。処理槽BT3の搬送方向における下流側には、駆動ローラDR8が設けられ、駆動ローラDR8は、処理槽BT3を通過した基板Pを挟持しながら回転することで、基板Pを処理装置U5へ向けて供給する。
図示は省略するが、処理装置U5は、処理装置U4から搬送された基板Pを乾燥させる乾燥装置である。処理装置U5は、処理装置U4において湿式処理された基板Pに付着する水分含有量を、所定の水分含有量に調整する。処理装置U5により乾燥された基板Pは、幾つかの処理装置を経て、処理装置Unに搬送される。そして、処理装置Unで処理された後、基板Pは、基板回収装置3の回収用ロールFR2に巻き上げられる。
上位制御装置5は、基板供給装置2、基板回収装置3及び複数の処理装置U1〜Unを統括制御する。上位制御装置5は、基板供給装置2及び基板回収装置3を制御して、基板Pを基板供給装置2から基板回収装置3へ向けて搬送させる。また、上位制御装置5は、基板Pの搬送に同期させながら、複数の処理装置U1〜Unを制御して、基板Pに対する各種処理を実行させる。
<露光装置(基板処理装置)>
次に、第1実施形態の処理装置U3としての露光装置(基板処理装置)の構成について、図2から図4を参照して説明する。図2は、第1実施形態の露光装置(基板処理装置)の全体構成を示す図である。図3は、図2に示す露光装置の照明領域及び投影領域の配置を示す図である。図4は、図2に示す露光装置の投影光学系の構成を示す図である。
図2に示すように、処理装置U3は、露光装置(処理機構)EXと、搬送装置9と、温度調節装置60と、を含む。露光装置EXは、搬送装置9により基板P(シート、フィルム等)を供給されている。露光装置EXは、いわゆる走査露光装置であり、円筒マスクDMの回転と可撓性の基板Pの送りとを同期駆動させつつ、円筒マスクDMに形成されているパターンの像を、投影倍率が等倍(×1)の投影光学系PL(PL1〜PL6)を介して基板Pに投影する。なお、図2に示す露光装置EXは、XYZ直交座標系のY軸を第1ドラム部材21の回転中心線AX1と平行に設定している。同様に、露光装置EXは、XYZ直交座標系のY軸を回転ドラムである第2ドラム部材22の回転中心線AX2と平行に設定している。
図2に示すように、露光装置EXは、マスク保持装置12、照明機構IU、投影光学系PL及び制御装置14を備える。露光装置EXは、マスク保持装置12に保持された円筒マスクDMを回転移動させるとともに、搬送装置9によって基板Pを搬送する。照明機構IUは、マスク保持装置12に保持された円筒マスクDMの一部(照明領域IR)を、照明光束EL1によって均一な明るさで照明する。投影光学系PLは、円筒マスクDM上の照明領域IRにおけるパターンの像を、搬送装置9によって搬送されている基板Pの一部(投影領域PA)に投影する。円筒マスクDMの移動に伴って、照明領域IRに配置される円筒マスクDM上の部位が変化し、また基板Pの移動に伴って、投影領域PAに配置される基板P上の部位が変化する。これにより、円筒マスクDM上の所定のパターン(マスクパターン)の像が基板Pに投影される。制御装置14は、露光装置EXの各部を制御し、各部に処理を実行させる。また、本実施形態において、制御装置14は、搬送装置9を制御する。
なお、制御装置14は、上述したデバイス製造システム1の複数の処理装置を統括して制御する上位制御装置5の一部又は全部であってもよい。また、制御装置14は、上位制御装置5に制御され、上位制御装置5とは別の装置であってもよい。制御装置14は、例えば、コンピュータシステムを含む。コンピュータシステムは、例えば、CPU及び各種メモリーやOS、周辺機器等のハードウェアを含む。処理装置U3の各部の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体の記憶部に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、各種処理が行われる。コンピュータシステムは、インターネット或いはイントラネットシステムに接続可能な場合、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含む。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置を含む。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含む。また、プログラムは、処理装置U3の機能の一部を実現するためのものでもよく、処理装置U3の機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものでもよい。上位制御装置5は、制御装置14と同様に、コンピュータシステムを利用して実現することができる。
図2に示すように、マスク保持装置12は、円筒マスクDMを保持する第1ドラム部材21、第1ドラム部材21を支持するガイドローラ23、制御装置14の制御指令により第1駆動部26が第1ドラム部材21を駆動する駆動ローラ24及び第1ドラム部材21の位置を検出する第1検出器25を備える。
第1ドラム部材21は、所定の軸となる回転中心線AX1(以下、第1中心軸AX1とも呼ぶ)から一定半径で湾曲した曲面を有する円筒部材であって、所定の軸の周りを回転する。第1ドラム部材21は、円筒マスクDM上の照明領域IRが配置される第1面P1を形成する。本実施形態において、第1面P1は、線分(母線)をこの線分に平行な軸(第1中心軸AX1)周りに回転した面(以下、円筒面という)を含む。円筒面は、例えば、円筒の外周面、円柱の外周面等である。第1ドラム部材21は、例えばガラスや石英等で構成され、一定の肉厚を有する円筒状であり、その外周面(円筒面)が第1面P1を形成する。すなわち、本実施形態において、円筒マスクDM上の照明領域IRは、回転中心線AX1から一定の半径r1を持つ円筒面状に湾曲している。このように、第1ドラム部材21は、所定の軸である回転中心線AX1から一定半径で湾曲した曲面を有している。そして、第1ドラム部材21は、駆動ローラ24に駆動されて、所定の軸である回転中心線AX1の周りを回転することができる。
円筒マスクDMは、例えば平坦性の良い短冊状の極薄ガラス板(例えば厚さ100μm〜500μm)の一方の面にクロム等の遮光層でパターンを形成した透過型の平面状シートマスクとして作成される。マスク保持装置12は、円筒マスクDMを第1ドラム部材21の外周面の曲面に倣って湾曲させ、この曲面に巻き付けた(貼り付けた)状態で使用される。円筒マスクDMは、パターンが形成されていないパターン非形成領域を有し、パターン非形成領域において第1ドラム部材21に取付けられている。円筒マスクDMは、第1ドラム部材21に対してリリース可能である。
なお、円筒マスクDMを極薄ガラス板で構成し、その円筒マスクDMを透明円筒母材による第1ドラム部材21に巻き付ける代わりに、透明円筒母材による第1ドラム部材21の外周面に直接クロム等の遮光層によるマスクパターンを描画形成して一体化してもよい。この場合も、第1ドラム部材21が円筒マスクDMのパターンの支持部材として機能する。
第1検出器25は、第1ドラム部材21の回転位置を光学的に検出するもので、例えばロータリーエンコーダ等で構成される。第1検出器25は、検出した第1ドラム部材21の回転位置を示す情報、例えば、後述するエンコーダヘッドからの2相信号等を制御装置14に出力する。電動モーター等のアクチュエータを含む第1駆動部26は、制御装置14から入力される制御信号に従って、駆動ローラ24を回転させるためのトルク及び回転速度を調整する。制御装置14は、第1検出器25による検出結果に基づいて第1駆動部26を制御することによって、第1ドラム部材21の回転位置を制御する。そして、制御装置14は、第1ドラム部材21に保持されている円筒マスクDMの回転位置と回転速度の一方又は双方を制御する。
第2ドラム部材22は、所定の軸となる回転中心線AX2(以下、第2中心軸AX2とも呼ぶ)から一定半径で湾曲した曲面(第1曲面)を有する円筒部材であって、所定の軸の周りを回転する回転ドラムである。第2ドラム部材22は、投影光学系PLからの結像光束が投射される基板P上の投影領域PAを含む一部分を円弧状(円筒状)に支持する第2面(支持面)P2を形成する。また、第2ドラム部材22は、電動モーター等のアクチュエータを含む第2駆動部36から供給されるトルクによって回転する駆動ローラDR5である。
このように、第2ドラム部材22は、駆動ローラDR5であるとともに、露光(処理)対象の基板Pを支持する基板支持部材(基板ステージ)を兼ねている。すなわち、第2ドラム部材22は、露光装置EXの一部であってもよい。そして、第2ドラム部材22は、第2ドラム部材22の回転中心線AX2(第2中心軸AX2)の周りに回転可能であり、基板Pは、第2ドラム部材22上の外周面(円筒面)に倣って円筒面状に湾曲し、湾曲した部分の一部に投影領域PAが配置される。
本実施形態では、投影領域PAに達する結像光束EL2のうち、投影領域PAの各中心点を通る主光線は、図2に示すように、第2ドラム部材22の第2中心軸AX2からみて、中心面P3を挟んで周方向で角度θの位置にそれぞれ配置され第1特定位置PX1、第2特定位置PX2に到達する。そして、回転中心線AX2からみて、第1特定位置PX1と、第2特定位置PX2との間にある、特定位置PXは、第2ドラム部材22の曲面にある基板Pの平均的に露光された領域の中心となっている。
搬送装置9は、駆動ローラDR4、第2ドラム部材22(駆動ローラDR5)、駆動ローラDR6を備えている。搬送装置9は、基板Pが、第1特定位置PX1、特定位置PX及び第2特定位置PX2を通過するように基板Pを搬送する搬送方向に、基板Pを移動させる。第2駆動部36は、制御装置14から出力される制御信号に従って、第2ドラム部材22を回転させるトルクを調整する。
本実施形態において、搬送経路の上流から駆動ローラDR4へ搬送されてきた基板Pは、駆動ローラDR4を経由して温度調節装置60へ搬送される。温度調節装置60は、制御装置14から出力される制御信号に従って、第2ドラム部材22へ供給される前の基板Pの温度を調節する。温度調節装置60を経由し、温度を調節された基板Pは、第1ガイド部材31、第2ガイド部材32に案内され、第2ドラム部材22へ搬送される。基板Pは、第2ドラム部材22の表面に支持され、第3ガイド部材33へ搬送される。第3ガイド部材33を経由した基板Pは、搬送経路の下流へ搬送される。なお、第2ドラム部材22(駆動ローラDR5)の回転中心線AX2と、駆動ローラDR4、DR6の各回転中心線とは、何れもY軸と平行になるように設定される。
第2ドラム部材22の周囲には、基板Pが搬送される搬送方向を規制し、かつ基板Pを案内する第1ガイド部材31、第2ガイド部材32及び第3ガイド部材33が配置されている。第2ドラム部材22は、基板Pの一部分が巻き付けられて、基板Pが第2面P2の曲面に接し始める搬送方向の進入位置IAから基板Pが第2面P2の曲面から離れ始める搬送方向の離脱位置OAまでの基板Pを支持する。第2ガイド部材32及び第3ガイド部材33は、例えば、基板Pの搬送方向に移動することによって、搬送経路において基板Pに働くテンション等を調整する。また、第2ガイド部材32及び第3ガイド部材33は、例えば、基板Pの搬送方向に移動することによって、第2ドラム部材22の外周に巻き付く、上述した進入位置IA及び離脱位置OA等を調整することができる。なお、搬送装置9、第1ガイド部材31、第2ガイド部材32及び第3ガイド部材33は、投影光学系PLの投影領域PAに沿って基板Pを搬送可能であればよく、搬送装置9、第1ガイド部材31、第2ガイド部材32及び第3ガイド部材33の構成は適宜変更可能である。
第2検出器35は、例えばロータリーエンコーダ等で構成され、第2ドラム部材22の回転位置を光学的に検出する。第2検出器35は、検出した第2ドラム部材22の回転位置を示す情報(例えば、後述するエンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5からの2相信号等)を制御装置14に出力する。制御装置14は、第2検出器35による検出結果に基づいて第2駆動部36を制御することによって、第2ドラム部材22の回転位置を制御し、第1ドラム部材21(円筒マスクDM)と第2ドラム部材22とを同期移動(同期回転)させる。なお、第2検出器35の詳細な構成については後述する。
本実施形態の露光装置EXは、所謂、マルチレンズ方式の投影光学系PLを搭載することを想定した露光装置である。投影光学系PLは、円筒マスクDMのパターンにおける一部の像を投影する複数の投影モジュールを備える。例えば、図2では、中心面P3の左側に3つの投影モジュール(投影光学系)PL1、PL3、PL5がY方向に一定間隔で配置され、中心面P3の右側にも3つの投影モジュール(投影光学系)PL2、PL4、PL6がY方向に一定間隔で配置される。
このようなマルチレンズ方式の露光装置EXでは、複数の投影モジュールPL1〜PL6によって露光された領域(投影領域PA1〜PA6)のY方向の端部を走査によって互いに重ね合わせることによって、所望のパターンの全体像を投影する。このような露光装置EXは、円筒マスクDM上のパターンのY方向サイズが大きくなり、必然的にY方向の幅が大きな基板Pを扱う必要性が生じた場合でも、投影モジュールPLと、投影モジュールPLに対応する照明機構IU側のモジュールとをY方向に増設するだけで良いので、容易にパネルサイズ(基板Pの幅)の大型化に対応できると言った利点がある。
なお、露光装置EXは、マルチレンズ方式でなくてもよい。例えば、基板Pの幅方向の寸法がある程度小さい場合等に、露光装置EXは、1つの投影モジュールによってパターンの全幅の像を基板Pに投影してもよい。また、複数の投影モジュールPL1〜PL6は、それぞれ、1個のデバイスに対応するパターンを投影してもよい。すなわち、露光装置EXは、複数個のデバイス用のパターンを、複数の投影モジュールによって並行して投影してもよい。
本実施形態の照明機構IUは、光源装置13及び照明光学系を備える。照明光学系は、複数の投影モジュールPL1〜PL6の各々に対応してY軸方向に並んだ複数(例えば6つ)の照明モジュールILを備える。光源装置13は、例えば水銀ランプ等のランプ光源、又はレーザーダイオード、発光ダイオード(LED)等の固体光源を含む。光源装置13が射出する照明光は、例えばランプ光源から射出される輝線(g線、h線、i線)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)等である。光源装置13から射出された照明光は、照度分布が均一化されて、例えば光ファイバー等の導光部材を介して、複数の照明モジュールILに振り分けられる。
複数の照明モジュールILのそれぞれは、レンズ等の複数の光学部材を含む。本実施形態において、光源装置13から出射して複数の照明モジュールILのいずれかを通る光を照明光束EL1と称する。複数の照明モジュールILのそれぞれは、例えばインテグレータ光学系、ロッドレンズ、フライアイレンズ等を含み、均一な照度分布の照明光束EL1によって照明領域IRを照明する。本実施形態において、複数の照明モジュールILは、円筒マスクDMの内側に配置されている。複数の照明モジュールILのそれぞれは、円筒マスクDMの内側から円筒マスクDMの外周面に形成されたマスクパターンの各照明領域IRを照明する。
図3は、本実施形態における照明領域IR及び投影領域PAの配置を示す図である。なお、図3には、第1ドラム部材21に配置された円筒マスクDM上の照明領域IRを−Z側から見た平面図(図3中の左側の図)と、第2ドラム部材22に配置された基板P上の投影領域PAを+Z側から見た平面図(図3中の右側の図)とが図示されている。図3中の符号Xsは、第1ドラム部材21又は第2ドラム部材22の回転方向(移動方向)を示す。
複数の照明モジュールILは、それぞれ、円筒マスクDM上の第1から第6照明領域IR1〜IR6を照明する。例えば、第1照明モジュールILは、第1照明領域IR1を照明し、第2照明モジュールILは第2照明領域IR2を照明する。
第1照明領域IR1は、Y方向に細長い台形状の領域として説明するが、投影光学系(投影モジュール)PLのように、中間像面を形成する構成の投影光学系の場合は、その中間像の位置に台形開口を有する視野絞り板を配置できるため、その台形開口を包含する長方形の領域としても良い。第3照明領域IR3及び第5照明領域IR5は、それぞれ、第1照明領域IR1と同様の形状の領域であり、Y軸方向に一定間隔を空けて配置されている。また、第2照明領域IR2は、中心面P3に関して第1照明領域IR1と対称的な台形状(又は長方形)の領域である。第4照明領域IR4及び第6照明領域IR6は、それぞれ、第2照明領域IR2と同様の形状の領域であり、Y軸方向に一定間隔を空けて配置されている。
図3に示すように、第1から第6照明領域IR1〜IR6のそれぞれは、第1面P1の周方向に沿って見た場合に、隣り合う台形状の照明領域の斜辺部の三角部が重なるように(オーバーラップするように)配置されている。そのため、例えば、第1ドラム部材21の回転によって第1照明領域IR1を通過する円筒マスクDM上の第1領域A1は、第1ドラム部材21の回転によって第2照明領域IR2を通過する円筒マスクDM上の第2領域A2と一部重複する。
本実施形態において、円筒マスクDMは、パターンが形成されているパターン形成領域A3と、パターンが形成されていないパターン非形成領域A4とを含む。そのパターン非形成領域A4は、パターン形成領域A3を枠状に囲むように配置されており、照明光束EL1を遮光する特性を有する。円筒マスクDMのパターン形成領域A3は、第1ドラム部材21の回転に伴って移動方向Xsに移動し、パターン形成領域A3のうちのY軸方向の各部分領域は、第1から第6照明領域IR1〜IR6のいずれかを通過する。換言すると、第1から第6照明領域IR1〜IR6は、パターン形成領域A3のY軸方向の全幅をカバーするように、配置されている。
図2に示すように、Y軸方向に並ぶ複数の投影モジュールPL1〜PL6のそれぞれは、第1から第6照明モジュールILのそれぞれと1対1で対応しており、対応する照明モジュールによって照明される照明領域IR内に現れる円筒マスクDMの部分的なパターンの像を、基板P上の各投影領域PAに投影する。
例えば、第1投影モジュールPL1は、第1照明モジュールILに対応し、第1照明モジュールILによって照明される第1照明領域IR1(図3参照)における円筒マスクDMのパターンの像を、基板P上の第1投影領域PA1に投影する。第3投影モジュールPL3、第5投影モジュールPL5は、それぞれ、第3、第5照明モジュールILと対応している。第3投影モジュールPL3及び第5投影モジュールPL5は、Y軸方向から見ると、第1投影モジュールPL1と重なる位置に配置されている。
また、第2投影モジュールPL2は、第2照明モジュールILに対応し、第2照明モジュールILによって照明される第2照明領域IR2(図3参照)における円筒マスクDMのパターンの像を、基板P上の第2投影領域PA2に投影する。第2投影モジュールPL2は、Y軸方向から見ると、第1投影モジュールPL1に対して中心面P3を挟んで対称的な位置に配置されている。
第4投影モジュールPL4、第6投影モジュールPL6は、それぞれ、第4、第6照明モジュールILと対応して配置され、第4投影モジュールPL4及び第6投影モジュールPL6は、Y軸方向から見て、第2投影モジュールPL2と重なる位置に配置されている。
なお、本実施形態において、照明機構IUの各照明モジュールILから円筒マスクDM上の各照明領域IR1〜IR6に達する光を照明光束EL1とする。また、各照明領域IR1〜IR6中に現れる円筒マスクDMの部分パターンに応じた強度分布変調を受けて各投影モジュールPL1〜PL6に入射して各投影領域PA1〜PA6に達する光を、結像光束EL2とする。そして、各投影領域PA1〜PA6に達する結像光束EL2のうち、投影領域PA1〜PA6の各中心点を通る主光線は、図2に示すように、第2ドラム部材22の第2中心軸AX2からみて、中心面P3を挟んで周方向で角度θの位置(特定位置)にそれぞれ配置される。
図3に示すように、第1照明領域IR1におけるパターンの像は第1投影領域PA1に投影され、第3照明領域IR3におけるパターンの像は、第3投影領域PA3に投影され、第5照明領域IR5におけるパターンの像は、第5投影領域PA5に投影される。本実施形態において、第1投影領域PA1、第3投影領域PA3及び第5投影領域PA5は、Y軸方向に一列に並ぶように配置される。
また、第2照明領域IR2におけるパターンの像は、第2投影領域PA2に投影される。本実施形態において、第2投影領域PA2は、Y軸方向から見て、中心面P3に関して第1投影領域PA1と対称的に配置される。また、第4照明領域IR4におけるパターンの像は、第4投影領域PA4に投影され、第6照明領域IR6におけるパターンの像は、第6投影領域PA6に投影される。本実施形態において、第2投影領域PA2、第4投影領域PA4及び第6投影領域PA6は、Y軸方向に一列に並ぶように配置される。
第1から第6投影領域PA1〜PA6のそれぞれは、第2面P2の周方向に沿って見た場合に、第2中心軸AX2に平行な方向において隣り合う投影領域(奇数番目と偶数番目)同士の端部(台形の三角部分)が重なるように配置されている。そのため、例えば、第2ドラム部材22の回転によって第1投影領域PA1を通過する基板P上の第3領域A5は、第2ドラム部材22の回転によって第2投影領域PA2を通過する基板P上の第4領域A6と一部重複する。第1投影領域PA1と第2投影領域PA2は、第3領域A5と第4領域A6が重複する領域での露光量が、重複しない領域の露光量と実質的に同じになるように、それぞれの形状等が設定されている。そして、第1〜第6投影領域PA1〜PA6は、基板P上に露光される露光領域A7のY方向の全幅をカバーするように、配置されている。
次に、本実施形態の投影光学系PLの詳細構成について図4を参照して説明する。なお、本実施形態において、第2投影モジュールPL2〜第5投影モジュールPL5のそれぞれは、第1投影モジュールPL1と同様の構成である。このため、投影光学系PLを代表して、第1投影モジュールPL1の構成について説明し、第2投影モジュールPL2〜第5投影モジュールPL5のそれぞれの説明は省略する。
図4に示す第1投影モジュールPL1は、第1照明領域IR1に配置された円筒マスクDMのパターンの像を中間像面P7に結像する第1光学系41と、第1光学系41が形成した中間像の少なくとも一部を基板Pの第1投影領域PA1に再結像する第2光学系42と、中間像が形成される中間像面P7に配置された第1視野絞り43とを備える。
また、第1投影モジュールPL1は、フォーカス補正光学部材44、像シフト補正光学部材45、ローテーション補正機構46及び倍率補正用光学部材47を備えている。フォーカス補正光学部材44は、基板P上に形成されるマスクのパターン像(以下、投影像という)のフォーカス状態を微調整するフォーカス調整装置である。また、像シフト補正光学部材45は、投影像を像面内で微少に横シフトさせるシフト調整装置である。倍率補正用光学部材47は、投影像の倍率を微少補正する倍率調整装置である。ローテーション補正機構46は、投影像を像面内で微少回転させるシフト調整装置である。
円筒マスクDMのパターンからの結像光束EL2は、第1照明領域IR1から法線方向(D1)に出射し、フォーカス補正光学部材44を通って像シフト補正光学部材45に入射する。像シフト補正光学部材45を透過した結像光束EL2は、第1光学系41の要素である第1偏向部材50の第1反射面(平面鏡)p4で反射され、第1レンズ群51を通って第1凹面鏡52で反射され、再び第1レンズ群51を通って第1偏向部材50の第2反射面(平面鏡)p5で反射されて、第1視野絞り43に入射する。第1視野絞り43を通った結像光束EL2は、第2光学系42の要素である第2偏向部材57の第3反射面(平面鏡)p8で反射され、第2レンズ群58を通って第2凹面鏡59で反射され、再び第2レンズ群58を通って第2偏向部材57の第4反射面(平面鏡)p9で反射されて、倍率補正用光学部材47に入射する。倍率補正用光学部材47から出射した結像光束EL2は、基板P上の第1投影領域PA1に入射し、第1照明領域IR1内に現れるパターンの像が第1投影領域PA1に等倍(×1)で投影される。
図2に示す円筒マスクDMの半径を半径r1とし、第2ドラム部材22に巻き付いた基板Pの円筒状の表面の半径を半径r2として、半径r1と半径r2とを等しくした場合、各投影モジュールPL1〜PL6のマスク側における結像光束EL2の主光線は、円筒マスクDMの回転中心線AX1を通るように傾けられるが、その傾き角は、基板P側における結像光束EL2の主光線の傾き角θ(中心面P3に対して±θ)と同じになる。
第2偏向部材57の第3反射面p8が第2光軸AX4となす角度θ3は、第1偏向部材50の第2反射面p5が第1光軸AX3となす角度θ2と実質的に同じである。また、第2偏向部材57の第4反射面p9が第2光軸AX4となす角度θ4は、第1偏向部材50の第1反射面p4が第1光軸AX3となす角度θ1と実質的に同じである。上述した傾き角θを与えるため、図4に示した第1偏向部材50の第1反射面p4の第1光軸AX3に対する角度θ1を45°よりもΔθ1だけ小さくし、第2偏向部材57の第4反射面p9の第2光軸AX4に対する角度θ4を45°よりもΔθ4だけ小さくする。Δθ1とΔθ4は、図2中に示した角度θに対して、Δθ1=Δθ4=θ/2の関係に設定される。
図5は、図2の処理装置(露光装置)に適用される回転ドラムの斜視図である。図6は、図2の処理装置(露光装置)に適用される検出プローブと読み取り装置との関係を説明するための斜視図である。図7は、第1実施形態に係るスケール円盤SDを回転中心線AX2方向にみた、読み取り装置の位置を説明するための説明図である。なお、図5においては、便宜上、第2から第4投影領域PA2〜PA4のみを図示し、第1、第5、第6投影領域PA1、PA5、PA6の図示を省略している。
図2に示す第2検出器35は、第2ドラム部材22の回転位置を光学的に検出するものであって、高真円度のスケール円盤(スケール部材)SDと、読み取り装置であるエンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5を含む。
スケール円盤SDは、第2ドラム部材22の回転軸STと直交する第2ドラム部材22の端部に固定されている。このため、スケール円盤SDは、回転中心線AX2回りに回転軸STと共に一体的に回転する。スケール円盤SDの外周面には、スケール部GPとして例えば目盛(格子)が刻設されている。スケール部GPは、第2ドラム部材22が回転する周方向に沿って環状に配列され、かつ第2ドラム部材22とともに回転軸ST(第2中心軸AX2)の周囲を回転する。エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5は、回転軸ST(第2中心軸AX2)からみてスケール部GPの周囲に配置されている。エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5は、スケール部GPと対向配置され、スケール部GPを非接触で読み取ることができる。また、エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5は、第2ドラム部材22の周方向の異なる位置に配置されている。
エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5は、スケール部GPの接線方向(XZ面内)の変位の変動に対して計測感度(検出感度)を有する読み取り装置である。図5に示すように、エンコーダヘッドEN1、EN2、EN3、EN4、EN5の設置方位(回転中心線AX2を中心としたXZ面内での角度方向)を設置方位線Le1、Le2、Le3、Le4、Le5で表す場合、図7に示すように、設置方位線Le1、Le2が、中心面P3に対して角度±θ°になるように、エンコーダヘッドEN1、EN2が配置される。なお、本実施形態では、例えば角度θは15°である。
図4に示す投影モジュールPL1〜PL6は、基板Pを被処理物体とし、基板Pに光を照射する照射処理を施す露光装置EXの処理部である。露光装置EXは、基板Pに対して2つの結像光束EL2の主光線が基板Pに入射する。投影モジュールPL1、PL3、PL5が第1処理部となり、投影モジュールPL2、PL4、PL6が第2処理部となり、基板Pに対して2つの結像光束EL2の主光線が基板Pに入射するそれぞれの位置が基板Pに光を照射する照射処理を施す特定位置となる。特定位置は、第2ドラム部材22の第2中心軸AX2からみて、第2ドラム部材22上の曲面の基板Pにおける、中心面P3を挟んで周方向で角度±θの位置である。エンコーダヘッドEN1の設置方位線Le1は、奇数番目の投影モジュールPL1、PL3、PL5の各投影領域(投影視野)PA1、PA3、PA5の中心点を通る主光線の中心面P3に対する傾き角θと一致し、エンコーダヘッドEN2の設置方位線Le2は、偶数番目の投影モジュールPL2、PL4、PL6の各投影領域(投影視野)PA2、PA4、PA6の中心点を通る主光線の中心面P3に対する傾き角θと一致している。このため、エンコーダヘッドEN1は、第1特定位置PX1と第2中心軸AX2とを結ぶ方向に位置するスケール部GPを読み取る読み取り装置となる。そして、エンコーダヘッドEN2は、第2特定位置PX2と第2中心軸AX2とを結ぶ方向に位置するスケール部GPを読み取る読み取り装置となる。
エンコーダヘッドEN4は、基板Pの送り方向の後方側、つまり露光位置(投影領域)の手前に配置されており、基板Pの送り方向の後方側に向かってエンコーダヘッドEN1の設置方位線Le1を回転中心線AX2の軸回りに回転した設置方位線Le4上に設定される。また、エンコーダヘッドEN5は、基板Pの送り方向の後方側に向かってエンコーダヘッドEN1の設置方位線Le1を回転中心線AX2の軸回りに回転した設置方位線Le5上に設定される。
また、エンコーダヘッドEN3は、エンコーダヘッドEN1、EN2に対して、回転中心線AX2を挟んだ反対側に配置され、その設置方位線Le3は中心面P3上に設定されている。
スケール部材であるスケール円盤SDは、低熱膨張の金属、ガラス、セラミックス等を母材とし、計測分解能を高めるために、なるべく大きな直径(例えば直径20cm以上)になるように作られる。図5では、第2ドラム部材22の直径に対してスケール円盤SDの直径は小さく図示されているが、第2ドラム部材22の外周面のうち、基板Pが巻き付けられる外周面の直径と、スケール円盤SDのスケール部GPの直径とを揃える(ほぼ一致させる)ことで、所謂、計測アッベ誤差をさらに小さくすることができる。
スケール部GPの周方向に刻設される目盛(格子)の最小ピッチは、スケール円盤SDを加工する目盛刻線装置等の性能によって制限されている。このため、スケール円盤SDの直径を大きくすれば、それに応じて最小ピッチに対応した角度計測分解能も高めることが出来る。
スケール部GPを読み取るエンコーダヘッドEN1、EN2が配置される設置方位線Le1、Le2の方向を、回転中心線AX2からみたときに、基板Pに対して結像光束EL2の主光線が基板Pに入射する方向と同一にすることにより、例えば、回転軸STを支持する軸受(ベアリング)の僅かなガタ(2μm〜3μm程度)によって第2ドラム部材22がX方向にシフトした場合でも、このシフトによって投影領域PA1〜PA6内で発生し得る基板Pの送り方向(Xs)に関する位置誤差を、エンコーダヘッドEN1、EN2によって高精度に計測することが可能となる。
図6に示すように、第2ドラム部材22の曲面に支持される基板Pの一部分に、図2に示す投影光学系PLにより投影されたマスクパターンの一部分の像と基板Pとを相対的に位置合せ(アライメント)するために、基板Pに予め形成されたアライメントマーク等を検出するアライメント顕微鏡AMG1、AMG2が設けられている。アライメント顕微鏡AMG1、AMG2は、基板P上に離散又は連続して形成された特定パターンを検出するための検出プローブと、この検出プローブによる検出領域が、上述した特定位置よりも基板Pの送り方向の後方側に設定されるように、第2ドラム部材22の周囲に配置されるパターン検出装置である。
図6に示すように、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2は、Y軸方向(基板Pの幅方向)に一列に並んだ複数(例えば4つ)の検出プローブを有している。アライメント顕微鏡AMG1、AMG2は、第2ドラム部材22のY軸方向の両側端の検出プローブで、基板Pの両端付近に形成されたアライメントマークを常時観察または検出することができる。そして、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2は、第2ドラム部材22のY軸方向(基板Pの幅方向)の両側端以外の検出プローブで、例えば、基板P上に長尺方向に沿って複数形成される表示パネルのパターン形成領域の間の余白部等に形成されるアライメントマークを観察または検出することができる。
図6及び図7に示すように、XZ面内かつ回転中心線AX2からみたときに、アライメント顕微鏡AMG1による基板Pの観察方向AM1(第2中心軸AX2に向かう)の検出中心と同一方向となるように、スケール部GPの径方向に設定される設置方位線Le4上に、エンコーダヘッドEN4が配置されている。また、XZ面内かつ回転中心線AX2からみたときに、アライメント顕微鏡AMG2による基板Pの観察方向AM2(回転中心線AX2に向かう)の検出中心と同一方向となるように、スケール部GPの径方向に設定される設置方位線Le5上に、エンコーダヘッドEN5が配置されている。このように、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2の検出プローブが第2中心軸AX2からみて第2ドラム部材22の周囲に配置され、エンコーダヘッドEN4、EN5が配置された位置と第2中心軸AX2とを結ぶ方向(設置方位線Le4、Le5)が、第2中心軸AX2とアライメント顕微鏡AMG1、AMG2の検出領域とを結ぶ方向と一致するよう配置されている。なお、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2及びエンコーダヘッドEN4、EN5が配置される回転中心線AX2周り方向の位置は、基板Pが第2ドラム部材22に接触し始める進入位置IAと、第2ドラム部材22から基板Pが外れる離脱位置OAとの間に設定される。
上述したアライメント顕微鏡AMG2の観察方向AM2は、基板Pの搬送方向の前方側、つまり露光位置(投影領域)の後方に配置されており、基板PのY方向の端部付近に形成されたアライメントマーク(数十μm〜数百μm角内の領域に形成)を、基板Pが所定速度で送られている状態で、撮像素子等により高速に画像検出するものであり、顕微鏡視野(撮像範囲)でマークの像を高速にサンプリングする。そのサンプリングが行なわれた瞬間に、エンコーダヘッドEN5によって逐次計測されるスケール円盤SDの回転角度位置を記憶することにより、基板P上のアライメントマークのマーク位置と第2ドラム部材22の回転角度位置との対応関係が求められる。
一方、上述したアライメント顕微鏡AMG1の観察方向AM1は、基板Pの搬送方向の後方側、つまり露光位置(投影領域)の前方に配置されており、基板PのY方向の端部付近に形成されたアライメントマーク(数十μm〜数百μm角内の領域に形成)の像を、アライメント顕微鏡AMG2と同様に、撮像素子等により高速にサンプリングし、そのサンプリングの瞬間に、エンコーダヘッドEN4によって逐次計測されるスケール円盤SDの回転角度位置を記憶することにより、基板P上のアライメントマークのマーク位置と第2ドラム部材22の回転角度位置との対応関係が求められる。
アライメント顕微鏡AMG1で検出したマークを、アライメント顕微鏡AMG2で検出したときに、エンコーダヘッドEN4によって計測されて記憶された角度位置とエンコーダヘッドEN5によって計測されて記憶された角度位置との差分を、予め精密に較正されている2つのアライメント顕微鏡AMG1、AMG2の設置方位線Le4、Le5の開き角と比較する。そして、前記開き角度が誤差を持っている場合は、進入位置IAと離脱位置OAとの間で、基板Pが第2ドラム部材22上で僅かに滑っている可能性、または搬送方向(周方向)または第2中心軸AX2と平行な方向(Y軸方向)に伸縮している可能性がある。
一般に、パターニング時の位置誤差は、基板P上に形成されるデバイスパターンの微細度や重ね合せ精度に応じて決まるが、例えば、下地のパターン層に対して10μm幅の線条パターンを正確に重ね合せ露光するためには、その数分の一以下の誤差、即ち、基板P上の寸法に換算して、±2μm程度の位置誤差しか許されないことになる。
このような高精度な計測を実現するためには、各アライメント顕微鏡AMG1、AMG2によるマーク画像の計測方向(XZ面内における第2ドラム部材22の外周接線方向)と、各エンコーダヘッドEN4、EN5の計測方向(XZ面内でのスケール部GPの外周接線方向)とを、許容角度誤差内で揃えておく必要がある。
以上のように、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2による基板P上のアライメントマークの計測方向(第2ドラム部材22の円周面の接線方向)と一致するように、エンコーダヘッドEN4、EN5を配置している。このため、アライメント顕微鏡AMG1、AMG2による基板P(マーク)の位置検出時(画像サンプリング時)に、第2ドラム部材22(スケール円盤SD)が、XZ面内において設置方位線Le4やLe5と直交した周方向(接線方向)にシフトした場合でも、第2ドラム部材22のシフトを加味した高精度な位置計測が可能となる。
第2中心軸AX2からみてスケール円盤SDのスケール部GPの周囲の5ヶ所に、エンコーダヘッドEN1〜EN5が配置されているので、このうちの適当な2つ又は3つのエンコーダヘッドによる計測値の出力を組み合わせて演算処理することにより、スケール円盤SDのスケール部GPの真円度(形状歪み)、偏心誤差等を求めることも可能となる。
<温度調節装置>
上述したように、基板Pは、処理装置U3内部の温度環境により、搬送方向(周方向)または第2中心軸AX2と平行な方向(Y軸方向)に基板Pの温度に応じて伸縮している場合がある。伸縮は、基板Pの材料物性により決まり、基板Pの温度増加に伴い伸びが生じる材料と、基板Pの温度増加に伴い縮みが生じる材料がある。図8は、第1実施形態に係る温度調節装置を説明する説明図である。温度調節装置60は、図2に示すように、第1特定位置PX1、特定位置PX及び第2特定位置PX2を通過する基板Pの搬送方向上流側を温度調節する装置である。処理装置U3は、第1ガイド部材31、第2ガイド部材32が案内する基板Pの、温度調節装置60の温度調整終了から第2ドラム部材22の進入位置IAへ搬送されるまでの長さは、極力短い方が好ましいが、温度調節装置60で設定される温度と、第2ドラム部材22の温度との差に応じて決めても良い。例えば、第2ドラム部材22は一般に熱容量が大きく、設定温度を変えるには時間がかかる為、第2ドラム部材22はある一定の温度を保つように、図2中の基板支持部材温度調節装置73により、常に温調し続ける。そして、温度調節装置60から進入位置IAまでの搬送距離、その間の搬送空間の温度、及び基板Pの速度に基づいて、温度調節装置60で設定される温度は決定される。一例として、第2ドラム部材22の表面温度が25℃であった場合、温度調節装置60に設定される温度は、基板Pが搬送距離分を移動する時間(秒数)の後に、丁度25℃に低下するように設定される。しかしながら、一般に基板Pは薄いので、素早く環境温度に馴染んでしまうことから、温度調節装置60から進入位置IAまでの搬送距離は極力短くし、かつ上記のように変化温度を予測して制御することが望ましい。
温度調節装置60は、ガイド部材61と、媒体送風部材62と、送風圧力均一化部材63と、媒体調節装置71と、加熱ユニットHUと、冷却ユニットCUとを備えている。媒体送風部材62は、多孔質材料で形成された媒体の送風圧力均一化部材63を介して、基板Pに媒体を送風する。搬送装置9は、ガイド部材61と媒体送風部材62との間の空間67に基板Pを通過させる。媒体送風部材62は、媒体調節装置71から媒体供給配管APを介して供給された媒体をガイド部材61側に送風する。加熱ユニットHUは、媒体供給配管HHを介して、高温の媒体を媒体調節装置71に供給する第1媒体供給部である。冷却ユニットCUは、媒体供給配管CCを介して、加熱ユニットHUの高温の媒体よりも温度が低い低温の媒体を媒体調節装置71に供給する第2媒体供給部である。媒体調節装置71は、媒体供給配管HHから媒体供給配管APに供給される高温の媒体の流量を調整する流量調整弁72Hと、媒体供給配管CCから媒体供給配管APに供給される低温の媒体の流量を調整する流量調整弁72Cと、を備えている。流量調整弁72H及び流量調整弁72Cは、例えばソレノイドバルブで構成されている。媒体調節装置71は、制御装置14の制御信号の出力に応じて流量調整弁72Hを通過する高温媒体の量及び流量調整弁72Cを通過する低温媒体の量を調整することで、媒体送風部材62に供給される高温の媒体と低温の媒体との比を変化させることができる。このため、媒体調節装置71は、媒体送風部材62に供給する媒体として高温の媒体と低温の媒体とを混合して流通させることができる。温度調節装置60は、任意の温度の媒体をガイド部材61の周囲に流通させ、基板Pの温度を調節することができる。尚、図8中の送風圧力均一化部材63と同等の部材を基板Pの反対側にも設け、媒体供給配管APと同等の部材を介して、温調された媒体が基板Pの反対側にも吹き付けられる構成であっても良い。
基板支持部材温度調節装置73は、基板支持部材である第2ドラム部材22の温度を調節する装置である。基板支持部材温度調節装置73は、媒体供給配管HHから媒体供給配管ADに供給される高温の媒体の流量を調整する流量調整弁74Hと、媒体供給配管CCから媒体供給配管ADに供給される低温の媒体の流量を調整する流量調整弁74Cと、を備えている。流量調整弁74H及び流量調整弁74Cは、例えばソレノイドで構成されている。基板支持部材温度調節装置73は、制御装置14の制御信号の出力に応じて流量調整弁74Hを通過する高温媒体の量及び流量調整弁74Cを通過する低温媒体の量を調整することで、第2ドラム部材22に供給される高温の媒体と低温の媒体との比を変化させることができる。このため、基板支持部材温度調節装置73は、第2ドラム部材22の内部に供給する媒体として高温の媒体と低温の媒体とを混合して、媒体供給配管ADを介して第2ドラム部材22の内部に流通させることができる。基板支持部材温度調節装置73は、第2ドラム部材22の温度を一定に維持するように制御装置14に制御されることが好ましい。これにより、第2ドラム部材22の曲面に接する基板Pに伝達される熱容量がほぼ一定に維持され、第2ドラム部材22の曲面でおきる基板Pの伸縮の状態を安定させることができる。
温度調節装置60及び基板支持部材温度調節装置73は、温度調整した媒体を基板Pまたは第2ドラム部材22に供給する装置であるが、媒体は、液体をパイプで循環させるようにして、放射熱で、基板Pまたは第2ドラム部材22の温度を調節してもよい。媒体調節装置71及び基板支持部材温度調節装置73は、例えば、ヒータと、放熱フィンとを組み合わせて構成してもよい。
ガイド部材61に搬送される前の基板Pの温度を検出する温度計測装置T1は、検出結果を制御装置14に出力できるようになっている。制御装置14は、温度計測装置T1の検出結果に基づいて、温度調節装置60をフィードフォワード制御することができる。また、温度調節装置60(ガイド部材61)を通過した後の基板Pの温度を検出する温度計測装置T2は、検出結果を制御装置14に出力できるようになっている。温度計測装置T2の検出結果に基づいて、温度調節装置60をフィードバック制御することができる。制御装置14は、温度調節装置60をフィードフォワード制御及びフィードバック制御の少なくとも1つの制御をすることにより、媒体送風部材62から送風する媒体の温度を制御し、基板Pに加わる温度の精度を高めることができる。例えば、温度計測装置T1、T2は、基板Pが放射する赤外線のエネルギー量を計測する非接触式の赤外線温度計などを用いることができる。
図8に示すように、ガイド部材61と媒体送風部材62との間の空間67に基板Pを通過させる場合、ガイド部材61には、基板Pの支持機構を備えていることが好ましい。媒体送風部材62は、媒体供給配管APからの媒体を送風圧力均一化部材63にある位置に開けた貫通孔AHを介して、送風圧力均一化部材63に送り込む。送風圧力均一化部材63は、例えば、多孔質材料であるので、基板P側の対向面63Sに、単位面積当たりの媒体圧力が均等になるように媒体が噴出することになる。ガイド部材61には、基板PのY方向(幅方向)の端部を押さえる規制部材64と、規制部材65と、を備え、規制部材64と、規制部材65とが基板Pの搬送時に基板Pの幅方向を挟む。規制部材65は、ガイド部材61の内側面にベアリングBEを介して固定されている。規制部材64は、ばねSSを介してボイスコイルモータ66の磁石VCMmに接続されている。ボイスコイルモータ66のコイルVCMcに流れる電流に応じて、磁石VCMmのY方向位置が変化し、ボイスコイルモータ66は、基板PのY方向の位置を変化させることができる。
図2に示すように、温度調節装置60の内部または搬送方向の出口側には、基板Pに予め形成されたアライメントマーク等を検出するアライメント顕微鏡PMG1が設けられている。アライメント顕微鏡PMG1のY方向(基板Pの幅方向)に一列に並んだ複数(例えば4つ)の検出プローブを有している。図9は、アライメントマークの一例を説明する説明図である。図2に示すアライメント顕微鏡PMG1は、ガイド部材61のY方向の両側端の検出プローブで、搬送方向αに沿って図9に示す基板Pの両端付近に形成されたアライメントマークmaを常時観察または検出することができる。
図10は、基板の伸縮によるアライメントマークの変化の一例を模式的に説明する説明図である。図11は、第1実施形態に係る処理装置(露光装置)の処理を補正する手順の一例を示すフローチャートである。図10に示すように、アライメント顕微鏡AMG1は、第1検出プローブとして、観察方向(検出方向)AM1にある顕微鏡視野(撮像範囲)mamの範囲内でアライメントマークmaを検出する。同様に、アライメント顕微鏡PMG1は、第2検出プローブとして、検出方向PM1にある顕微鏡視野(撮像範囲)mapの範囲内でアライメントマークmaを検出する。このようにアライメント顕微鏡AMG1及びアライメント顕微鏡PMG1は、図10に示す基板P上の特定パターンであるアライメントマークmaを検出する(ステップS11)。アライメント顕微鏡AMG1は、アライメントマークmaの撮像を制御装置14に出力し、制御装置14及びアライメント顕微鏡AMG1は、第1パターン検出装置として、アライメントマークmaを撮像データとして制御装置14の記憶部に記憶する。アライメント顕微鏡PMG1は、アライメントマークmaの撮像を制御装置14に出力し、制御装置14及びアライメント顕微鏡PMG1は、第2パターン検出装置として、アライメントマークmaを撮像データとして制御装置14の記憶部に記憶する。
次に、記憶部に記憶した、顕微鏡視野(撮像範囲)mapのアライメントマークmaの撮像データと顕微鏡視野(撮像範囲)mamのアライメントマークmaの撮像データとを比較することで、基板Pの伸縮によるアライメントマークmaの撮像データの変化がない場合(ステップS12、No)、制御装置14は、ステップS11の処理を実行する。図10に示すように、記憶部に記憶した、顕微鏡視野(撮像範囲)mapのアライメントマークmaの撮像データと顕微鏡視野(撮像範囲)mamのアライメントマークmaの撮像データとを比較することで、基板Pの伸縮によるアライメントマークmaの撮像データの変化がある場合(ステップS12、Yes)、制御装置14は、ステップS13に処理を進める。例えば、基板Pの伸縮によるアライメントマークmaの撮像データの変化がある場合とは、図10に示す、アライメントマークmaの撮像データの変化Δmがシフト調整装置である像シフト補正光学部材45が許容する、投影像を像面内で微少に横シフトできる量を超えた場合である。または、基板Pの伸縮によるアライメントマークmaの撮像データの変化がある場合とは、アライメントマークmaの撮像データの変化Δmが倍率調整装置である倍率補正用光学部材47が許容する、投影像の倍率を微少補正できる倍率を超えた場合などである。
次に、制御装置14は、基板Pの材料に応じて、基板Pの幅方向における目標幅、例えば図10に示す目標幅PPとなるように、温度調節装置60の媒体調節装置71を制御し、基板Pの温度調整を行う(ステップS13)。制御装置14は、温度計測装置T1、T2の検出結果に基づいて、特定の基板温度に達していない場合(ステップS14、No)、基板Pの温度調整を継続する(ステップS13)。制御装置14は、温度計測装置T1、T2の検出結果に基づいて、特定の基板温度に達している場合(ステップS14、Yes)、ステップS15に処理を進める。
次に、露光装置EXは、上述した像シフト調整装置が、改めて上述した第1パターン検出装置及び前記第2パターン検出装置の出力により求めたアライメントマークma(特定パターン)の変化Δmに応じて、投影像の位置をシフトする、投影像の補正を行う(ステップS15)。または、露光装置EXは、上述した倍率調整装置が、改めて上述した第1パターン検出装置及び前記第2パターン検出装置の出力により求めたアライメントマークma(特定パターン)の変化Δmに応じて、投影像の倍率を補正する、投影像の補正を行ってもよい。あるいは、露光装置EXは、上述した倍率調整装置及び像シフト調整装置が、改めて上述した第1パターン検出装置及び前記第2パターン検出装置の出力により求めたアライメントマークma(特定パターン)の変化Δmに応じて、投影像のシフト及び倍率を補正する、投影像の補正を行ってもよい。
以上説明したように、処理装置U3は、温度調節装置60が第2ドラム部材22に巻き付けられる前の基板Pの一部の温度を調整することで、上述した第1特定位置PX1、特定位置PXまたは第2特定位置PX2にある基板Pの伸縮状態を安定させることができる。このため、露光装置EXは、第1特定位置PX1、特定位置PXまたは第2特定位置PX2において、露光光を照射する処理を精密に行うことができる。
温度調節装置60が第2ドラム部材22に巻き付けられる前の基板Pの一部の温度を調整することで、基板Pの伸縮を倍率調整装置及び像シフト調整装置が投影像を補正できる範囲に抑制することができる。このため、露光装置EXは、第1特定位置PX1、特定位置PXまたは第2特定位置PX2において、露光光を照射する処理を精密に行うことができる。
さらに本実施形態では、第2ドラム部材22の外周面(支持面)の温度を制御する基板支持部材温度調節装置73と、第2ドラム部材22の上流側に設けられた温度調節装置60とを設け、基板Pの搬送方向に関してアライメント位置や露光位置の特定位置と、その上流側の位置とで、基板Pに一定の温度差を与えるように温度制御することができる。これにより、第2ドラム部材22に基板Pが支持された時点での基板Pの伸縮量を調整することもできる。その場合、温度調節装置60によって設定される基板Pの温度をTuとし、基板支持部材温度調節装置73によって第2ドラム部材22を介して設定される基板Pの温度をTdとすると、Tu>Td、又はTu<Tdに設定され、その差がほぼ一定となるように温度制御される。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る処理装置の第2実施形態について、図12を参照して説明する。図12は、第2実施形態に係る処理装置(露光装置)の全体構成を示す模式図である。この図において、第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
図12に示すように、温度調節装置60Aは、第2中心軸AX2と平行な平行基準軸BX1から一定半径r3で湾曲した曲面(第2曲面)61Sを有し、曲面61Sに基板Pの一部分が接するガイド部材32Aと、ガイド部材32Aの周囲の空間67に温度調節された媒体を流通させる媒体調節装置71を備えている。搬送装置9は、ガイド部材32Aと媒体送風部材62Aとの間の空間67に基板Pを通過させる。媒体送風部材62Aは、媒体調節装置71から媒体供給配管APを介して供給された媒体をガイド部材32A側に送風する。ガイド部材32Aは、平行基準軸BX1からみて曲面61Sに沿って湾曲していることで、空間67の乱気流を抑制することができる。
温度調節装置60Aは、ガイド部材32Aの周囲の空間67に温度調節された媒体を流通させることにより、媒体の温度が基板Pに伝達される。ガイド部材32Aは、曲面61Sに基板Pの一部分が接するようにしたことにより、ガイド部材32Aから直接基板Pを第2ドラム部材22へ供給し、ガイド部材32Aから第2ドラム部材22までの距離を短くすることができる。このため、処理装置U3は、温度調節装置60Aの温度調整により調整された、基板Pの伸縮状態が、温度調節装置60Aから第2ドラム部材22までの間で変化してしまうことを抑制することができる。
上述したガイド部材32Aの曲面61Sの半径r3は、第2ドラム部材22の半径r2と同じことがより好ましい。この構造により、第2ドラム部材22に巻き付けられる基板Pにかかる張力と、ガイド部材32Aに巻き付けられる基板Pにかかる張力を同じにできる。その結果、アライメントマークの変化から張力の差による誤差を抑制し、温度に起因するアライメントマークの変化を検出できるようになる。
(第3実施形態)
次に、本発明に係る処理装置の第3実施形態について、図13を参照して説明する。図13は、第3実施形態に係る処理装置(露光装置)の全体構成を示す模式図である。この図において、第1実施形態及び第2実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
図13に示すように、第3実施形態に係る処理装置U3は、媒体調節装置71を、ガイド部材32Aを調節するガイド部材温度調節装置としている。媒体調節装置71は、ガイド部材32Aの内部に供給する媒体として高温の媒体と低温の媒体とを混合して流通させることができる。媒体調節装置71は、制御装置14に制御されガイド部材32Aの温度を調整し、ガイド部材32Aに接する基板Pにガイド部材32Aの温度を伝達する。これにより、ガイド部材32Aの曲面61Sに接する基板Pに伝達される熱容量がほぼ一定に維持される。
上述したガイド部材32Aの曲面61Sの半径r3は、第2ドラム部材22の半径r2と同じことがより好ましい。この構造により、第2ドラム部材22に巻き付けられる基板Pにかかる張力と、ガイド部材32Aに巻き付けられる基板Pにかかる張力を同じにできる。例えば、媒体調節装置71が加えるガイド部材32Aの曲面61Sに接する基板Pに伝達される熱容量と、第2ドラム部材22の曲面に接する基板Pに伝達される熱容量とを揃えることで、アライメント顕微鏡PMG1が検出するアライメントマークからアライメント顕微鏡AMG1におけるアライメントマークの変化の予測精度を高めることができる。
(第4実施形態)
次に、本発明に係る処理装置の第4実施形態について、図14を参照して説明する。図14は、第4実施形態に係る処理装置(露光装置)の全体構成を示す模式図である。この図において、第1実施形態から第3実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。露光装置EX2は、光源から円筒マスクDMに照明される照明光束EL1を出射する。
光源から出射された照明光束EL1を照明モジュールILに導き、照明光学系が複数設けられている場合、光源からの照明光束EL1を複数に分離し、複数の照明光束EL1を複数の照明モジュールILに導く。
ここで、光源から出射された照明光束EL1は、偏光ビームスプリッタSP1、SP2に入射する。偏光ビームスプリッタSP1、SP2では、照明光束EL1の分離によるエネルギーロスを抑制すべく、入射された照明光束EL1が全て反射するような光束にすることが好ましい。ここで、偏光ビームスプリッタSP1、SP2は、S偏光の直線偏光となる光束を反射し、P偏光の直線偏光となる光束を透過する。このため、光源は、偏光ビームスプリッタSP1、SP2に入射する照明光束EL1が直線偏光(S偏光)の光束となる照明光束EL1を第1ドラム部材21に出射する。これにより、光源は、波長及び位相が揃った照明光束EL1を出射する。
偏光ビームスプリッタSP1、SP2は、光源からの照明光束EL1を反射する一方で、円筒マスクDMで反射された結像光束(投影光束)EL2を透過している。換言すれば、照明光学モジュールからの照明光束EL1は、偏光ビームスプリッタSP1、SP2に反射光束として入射し、円筒マスクDMからの結像光束EL2は、偏光ビームスプリッタSP1、SP2に透過光束として入射する。
このように処理部である照明モジュールILは、被処理物体である円筒マスクDM上の所定のパターン(マスクパターン)に照明光束EL1を反射させる処理を行う。これにより、投影光学系PLは、円筒マスクDM上の照明領域IRにおけるパターンの像を、搬送装置9によって搬送されている基板Pの一部(投影領域PA)に投影することができる。露光装置EX2は、円筒マスクDMで反射された投影光束により、第1特定位置PX1、第2特定位置PX2における基板Pに露光光を照射する処理をすることができる。
(第5実施形態)
次に、本発明に係る処理装置の第5実施形態について、図15を参照して説明する。図15は、第5実施形態に係る処理装置(露光装置)の全体構成を示す模式図である。この図において、第1実施形態から第4実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。露光装置EX3は、複数のポリゴン走査ユニットPO1、PO2を備え、各ポリゴン走査ユニットPOが、紫外線レーザ光源からのビームスポットを基板P上で軸である回転中心AX2と平行な方向に高速走査しつつ、不図示のAOM(Acousto-Optic Modulator:音響光学変調素子)等によってビームをパターン描画データ(CADデータ)に基づいて変調(On/Off)することで、パターンを基板P上に描画する。
露光装置EX3は、円筒マスクDMがなくても第1特定位置PX1、第2特定位置PX2における基板Pに露光光(レーザスポット)を照射して、所定のパターンを形成するマスクレス露光装置であり、スポット走査以外にDMD(Digital Micro mirror Device)やSLM(Spatial light modulator:空間光変調器)を使ってパターンを描画する方式であっても良い。
(第6実施形態)
次に、本発明に係る処理装置の第6実施形態について、図16を参照して説明する。図16は、第6実施形態に係る処理装置(露光装置)の全体構成を示す模式図である。この図において、第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
露光装置EX4は、所謂プロキシミティ露光を基板Pに施す処理装置である。露光装置EX4は、円筒マスクDMと、第2ドラム部材22との隙間を微小に設定して、照明機構IUが直接基板Pに照明光束ELを照射し、非接触露光する。本実施形態において、第2ドラム部材22は、電動モーター等のアクチュエータを含む第2駆動部36から供給されるトルクによって回転する。第2駆動部36の回転方向と逆回りとなるように、例えば磁気歯車で連結された駆動ローラMGGが第1ドラム部材21を駆動する。第2駆動部36は、第2ドラム部材22を回転するとともに、駆動ローラMGGと第1ドラム部材21とを連れ回し、第1ドラム部材21(円筒マスクDM)と第2ドラム部材22とを同期移動(同期回転)させる。
また、露光装置EX4は、基板Pに対して照明光束(結像光束)ELの主光線が基板Pに入射する特定位置のスケール部GPの位置PX6を検出するエンコーダヘッドEN6を備えている。ここで、第2ドラム部材22の外周面のうち基板Pが巻き付けられる外周面の直径と、スケール円盤SDのスケール部GPの直径とを揃えているので、位置PX6は、第2中心軸AX2からみて上述した特定位置と一致する。そして、エンコーダヘッドEN7は、基板Pの送り方向の後方側に向かってエンコーダヘッドEN6の設置方位線Le6を回転中心線AX2の軸回りに、ほぼ90°回転した設置方位線Le7上に設定される。
本実施形態の露光装置EX4は、エンコーダヘッドEN7を第1読み取り装置とし、エンコーダヘッドEN6を第2読み取り装置とし、スケール部GPの読み取り出力から求めた、第2ドラム部材22の軸の位置と特定位置とを結び、かつ軸に直交する方向の変位の成分を、第1読み取り装置の読み取り出力で補正した処理を施すことができる。
以上説明した第1から第6実施形態は、処理装置として露光装置を例示している。処理装置としては、露光装置に限られず、処理部がインクジェットのインク滴下装置により被処理物体である基板Pにパターンを印刷する装置であってもよい。または処理部は、検査装置であってもよい。
<デバイス製造方法>
次に、図17を参照して、デバイス製造方法について説明する。図17は、第1実施形態に係る処理装置(露光装置)を用いたデバイス製造方法を示すフローチャートである。
図17に示すデバイス製造方法では、まず、例えば有機EL等の自発光素子による表示パネルの機能・性能設計を行い、必要な回路パターンや配線パターンをCAD等で設計する(ステップS201)。次いで、CAD等で設計された各種レイヤー毎のパターンに基づいて、必要なレイヤー分の円筒マスクDMを製作する(ステップS202)。また、表示パネルの基材となる可撓性の基板P(樹脂フィルム、金属箔膜、プラスチック等)が巻かれた供給用ロールFR1を準備しておく(ステップS203)。なお、このステップS203にて用意しておくロール状の基板Pは、必要に応じてその表面を改質したもの、下地層(例えばインプリント方式による微小凹凸)を事前形成したもの、光感応性の機能膜や透明膜(絶縁材料)を予めラミネートしたもの、でも良い。
次いで、基板P上に表示パネルデバイスを構成する電極や配線、絶縁膜、TFT(薄膜半導体)等によって構成されるバックプレーン層を形成すると共に、そのバックプレーンに積層されるように、有機EL等の自発光素子による発光層(表示画素部)が形成される(ステップS204)。このステップS204には、先の各実施形態で説明した露光装置EX、EX2、EX3、EX4を用いて、フォトレジスト層を露光する従来のフォトリソグラフィ工程も含まれるが、フォトレジストの代わりに感光性シランカップリング材を塗布した基板Pをパターン露光して表面に親撥水性によるパターンを形成する露光工程、光感応性の触媒層をパターン露光し無電解メッキ法によって金属膜のパターン(配線、電極等)を形成する湿式工程、或いは、銀ナノ粒子を含有した導電性インク等によってパターンを描画する印刷工程、等による処理も含まれる。
次いで、ロール方式で長尺の基板P上に連続的に製造される表示パネルデバイス毎に、基板Pをダイシングしたり、各表示パネルデバイスの表面に、保護フィルム(対環境バリア層)やカラーフィルターシート等を貼り合せたりして、デバイスを組み立てる(ステップS205)。次いで、表示パネルデバイスが正常に機能するか、所望の性能や特性を満たしているかの検査工程が行なわれる(ステップS206)。以上のようにして、表示パネル(フレキシブル・ディスプレイ)を製造することができる。
1 デバイス製造システム
2 基板供給装置
3 基板回収装置
5 上位制御装置
9 搬送装置
12 マスク保持装置
13 光源装置
14 制御装置
22 第2ドラム部材
DR1〜DR8 駆動ローラ
31 第1ガイド部材
32 第2ガイド部材
33 第3ガイド部材
35 第2検出器
44 フォーカス補正光学部材
45 像シフト補正光学部材
46 ローテーション補正機構
47 倍率補正用光学部材
60、60A 温度調節装置
61、32A ガイド部材
61S 曲面
62、62A 媒体送風部材
63 送風圧力均一化部材
64、65 規制部材
66 ボイスコイルモータ
67 空間
71 媒体調節装置
72H、72C、74H、74C 流量調整弁
73 基板支持部材温度調節装置
CC 媒体供給配管
CU 冷却ユニット
HH 媒体供給配管
HU 加熱ユニット
AMG1、AMG2、PMG1 アライメント顕微鏡
DM 円筒マスク
EN1、EN2、EN3、EN4、EN5 エンコーダヘッド
EX、EX2、EX3、EX4 露光装置(基板処理装置)
PO1、PO2 ポリゴン走査ユニット

Claims (9)

  1. フレキシブルな長尺の基板上に電子デバイスを形成する為に、前記基板の表面に所定の処理を施す基板処理装置であって、
    中心軸から一定半径で円筒面状に湾曲した外周面を有し、前記基板の長尺方向の一部を、前記外周面のうちの前記基板が接触し始める進入位置から前記基板が外れる離脱位置までの範囲に渡って支持した状態で、前記中心軸の回りに回転して前記基板を前記長尺方向に搬送する回転ドラムと、
    前記進入位置と前記離脱位置との間の特定位置で、前記回転ドラムの外周面に支持された前記基板の表面に所定の処理を施す処理装置と、
    前記回転ドラムの外周面を第1の温度に調整する第1の温度調節装置と、
    前記基板の搬送方向に関して前記進入位置の上流側に位置する前記基板を、前記第1の温度と異なる第2の温度に調整する第2の温度調節装置と、
    前記第1の温度と前記第2の温度とが、前記特定位置における前記基板の伸縮状態を安定させるような所定の温度差を持つように、前記第1の温度調節装置又は前記第2の温度調節装置を制御する制御装置と、
    を備える基板処理装置。
  2. 請求項1に記載の基板処理装置であって、
    前記処理装置は、マスクに形成された前記電子デバイス用のパターンを前記基板に転写する露光装置、または前記電子デバイス用のパターンのCADデータに基づいて前記基板にパターンを描画するマスクレス露光装置である、
    基板処理装置。
  3. 請求項1に記載の基板処理装置であって、
    前記処理装置は、インクジェットのインク滴下によって前記電子デバイス用のパターンを前記基板に印刷する装置である、
    基板処理装置。
  4. 請求項1に記載の基板処理装置であって、
    前記第1の温度調節装置によって設定される前記基板の温度をTd、前記第2の温度調節装置によって設定される前記基板の温度をTuとしたとき、
    前記制御装置は、Tu>Td、又はTu<Tdであって、その差が維持されるように温度制御する、
    基板処理装置。
  5. 請求項1に記載の基板処理装置であって、
    前記第2の温度調節装置に搬送される前の前記基板の温度、又は前記第2の温度調節装置によって温度調整された前記基板の温度を検出する温度測定装置を、更に備え、
    前記制御装置は、前記温度測定装置の検出結果に基づいて前記第2の温度調節装置をフィードフォワード制御、又はフィードバック制御する、
    板処理装置。
  6. 請求項5に記載の基板処理装置であって、
    前記第1の温度調節装置は、前記回転ドラムの外周面の温度を予め設定された前記第1の温度から変化しないように調節し、
    前記制御装置は、前記第1の温度に対して前記第2の温度が所定の温度差に維持されるように、前記温度測定装置の検出結果に基づいて前記第2の温度調節装置を制御する、
    基板処理装置。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の基板処理装置であって、
    前記第2の温度調節装置は、
    前記回転ドラムの上流側の搬送空間で、前記基板の長尺方向の所定の長さに渡って、前記第2の温度に温調された媒体を前記基板に吹き付ける送風部材を有する、
    基板処理装置。
  8. 請求項1から6のいずれか一項に記載の基板処理装置であって、
    前記第2の温度調節装置は、
    前記回転ドラムの上流側の搬送空間に配置され、前記回転ドラムの中心軸と平行に配置された基準軸から一定半径で湾曲した曲面で前記基板の長尺方向の一部を巻き付けると共に、前記第2の温度に温調されるガイド部材を有する、
    基板処理装置。
  9. フレキシブルな長尺の基板上に電子デバイスを形成する為に、前記基板の表面に所定の処理を施すデバイス製造方法であって、
    インプリント方式により凹凸構造を前記基板の表面に形成した状態にする前処理工程と、
    前記前処理工程により前記凹凸構造が形成された前記基板を、請求項1から8のいずれか一項に記載の基板処理装置に搬入し、前記処理装置によって前記基板の表面に前記電子デバイスを形成する為の処理を施す形成工程と、
    を含むデバイス製造方法。
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