JP2010155439A - 凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法 - Google Patents

凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリマー表面に微細パターンを形成する際に必要なエネルギーを少なくし、凹凸パターンを有するポリマーシートをより簡単に低コストで作製する方法を提供する。
【解決手段】水系のポリマーラテックスを基材上に塗工する塗工工程、塗工したポリマーラテックスを乾燥させてポリマーシートを形成する乾燥工程、およびポリマーシートに凹凸型のパターンを有するモールドを押し当てる転写工程を含む、凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、微細パターンが必要な半導体デバイス、オプトデバイス、ディスプレイ、記憶媒体、バイオチップ等において微細構造を作製するために好適に使用できる、凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法に関する。
半導体デバイス、オプトデバイス、ディスプレイ、記憶媒体、バイオチップ等分野において、微細パターン作製は重要な技術である。近年、微細パターンを作製する方法として、インプリント法の検討が盛んである。インプリント法は、従来の光リソグラフィ方式に比べて、製造装置が比較的安価なことや、プロセスが簡単なことから、ナノメートルオーダーからマイクロメートルオーダーまで微細パターンが低コストで形成できるというメリットがある。ただし、インプリント法にて微細パターンを作製するためには、パターンを形成したい樹脂をモールド形状に合わせて変形させることが必要である。そのため、熱可塑性樹脂を加熱して変形させる方法や、UV硬化性樹脂を光硬化させる方法等によってパターンを形成することが必要である。しかし上記いずれの方法もパターン形成時に大きなエネルギーを必要とするという問題がある。
本発明は、上記の課題を解決し、パターン形成時に必要なエネルギーが少なく、より簡単に低コストで微細パターンを形成することを目的とする。
本発明者らは、前記のような問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は以下の通りである。
[1] 水系のポリマーラテックスを基材上に塗工する塗工工程、
該塗工したポリマーラテックスを乾燥させてポリマーシートを形成する乾燥工程、および
該ポリマーシートに、凹凸型のパターンを有するモールドを押し当てる転写工程
を含む、凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法。
[2] 水系のポリマーラテックスを基材上に塗工する塗工工程、
該塗工したポリマーラテックス中の水性溶媒の一部を乾燥させてポリマーラテックス膜を形成する第1乾燥工程、
ポリマーラテックス膜に、凹凸型のパターンを有するモールドを押し当てる転写工程、および
ポリマーラテックス膜中の残りの水性溶媒を乾燥させる第2乾燥工程
を含む、凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法。
[3] 上記転写工程における転写の温度が5℃から60℃である、上記[1]または[2]に記載の凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法。
[4] 上記ポリマーラテックスがアクリル系ラテックスである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法。
[5] 上記ポリマーラテックスがシリコーン含有ラテックスである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法。
[6] 上記モールドが樹脂モールドである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法。
本発明の製造方法を用いることにより、低エネルギーおよび低コストで微細凹凸パターンを有するポリマーシートを製造することができる。また本発明においては水系であるポリマーラテックスを用いるため、本発明の製造方法は環境負荷が小さいという利点も有する。
本発明は、水系のポリマーラテックスを基材上に塗工する塗工工程、塗工したポリマーラテックスを乾燥させてポリマーシートを形成する乾燥工程、およびポリマーシートに、凹凸型のパターンを有するモールドを押し当てる転写工程を含む、凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法を提供する。
<ポリマーラテックス>
本明細書において、ポリマーラテックスとは、水性溶媒の中に高分子物質が安定して分散しているものをいう。水性溶媒としては、水の他、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの各種アルコールやジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ブタンジオールイソブチレート、グルタル酸ジイソプロピル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコール等の溶媒が挙げられる。ポリマーラテックスとしては、アクリル系ラテックス、塩化ビニリデン系ラテックス、スチレンブタジエン系ラテックス、シリコーン含有ラテックス等を使用できる。特に、耐候性が良好なアクリル系ラテックスおよびシリコーン含有ラテックスが好ましい。
本発明において使用する、水系であるポリマーラテックスは、環境負荷が少なく取り扱いが容易である点で有利である。またポリマーラテックスを用いることにより比較的低温でのパターン形成が可能であり、低エネルギーおよび低コストで微細凹凸パターンを有するポリマーシートを製造することができる。さらに、ラテックス中のポリマーの粒子径と成膜条件とを制御することで、ポリマー粒子径に起因したナノメートルオーダーの凹凸の形成と本発明の手法によるナノメートルオーダーからマイクロメートルオーダーの微細加工とを同時に行なうことができる。これによって、1回で異なる形状の微細構造をポリマーシートに付与できる。ラテックスはナノメートルからマイクロメートルまで幅広い範囲のポリマー粒子を形成することができるため、ラテックス中のポリマー粒子の粒子形状、例えば、球状の表面形状をポリマーシートに付与できる。つまり、モールドの形状に反映した微細パターンとともに表面にラテックス中のポリマー粒子の粒子径に合わせた球状の微細パターンを同時にしかも簡単に作製することができる。さらにラテックス中のポリマー粒子径は100nm以下の領域まで作製できるので、微細パターンの作製が可能となる。
ポリマーラテックスの材料としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、第3級ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、パーチサック酸ビニル等のビニルエステル類、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、ブタジエン等があり、さらに種々の官能性単量体例えば、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸グリシジル、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジビニルベンゼン、メチルビニルケトン等が挙げられる。
また、各種フッ素系モノマー等も使用できる。ここで、(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等がある。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。
本発明に使用されるシリコーン含有ラテックスを構成するSi含有化合物としては、例えば下記式(1)、
(R1n −Si−(R24-n (1)
(式中nは0〜3の整数であり、R1は水素、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基および炭素数5〜6のシクロアルキル基からなる群から選ばれる基である。n個のR1は同一であっても異なってもよい。R2は炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基および水酸基からなる群から選ばれる基である。4−n個のRは同一であっても異なってもよい。)
で表される化合物が好ましい。
Si含有化合物は、上記式(1)においてn=0の場合であるシラン(I)および上記式(1)においてn=1の場合であるシラン(II)の少なくとも1種を含んでいることが好ましく、ポリマーラテックスの良好な重合安定性を得るためには上記n=1の場合であるシラン(II)を含んでいることが特に好ましい。
シラン(I)について、上記式(1)中の複数のRはそれぞれ独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基および水酸基からなる群より選ばれることが好ましい。シラン(I)の好ましい具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が挙げられる。
シラン(II)について、上記式(1)中のRとしてはメチル基またはフェニル基が好ましく、式(1)中の複数のRはそれぞれ独立して、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基および水酸基からなる群より選ばれることが好ましい。シラン(II)の好ましい具体例としては、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、ポリマーシートに柔軟性が必要とされる場合には、Si含有化合物が、環状シランおよび式(1)においてn=2の場合であるシラン(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。これは、環状シランおよびシラン(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることより、Si含有化合物が形成するシリコーン重合体の架橋密度を低くし、重合体の構造が複雑になるのを防ぐことができ、これによって、ポリマーラテックスから形成される膜に柔軟性を付与することができるためである。ポリマーシートに柔軟性を付与する観点で、シラン(II)と、環状シランおよびシラン(III)からなる群より選ばれる少なくとも1種とを併用することが特に好ましい。
環状シランの具体例としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、等が挙げられる。
シラン(III)の具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルシランが挙げられる。
さらに、Si含有化合物は、加水分解基を有する線状シロキサン、アルコシシシランオリゴマーおよび式(1)においてn=3である場合のシラン(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。
シラン(IV)の具体例として、トリフェニルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン等が挙げられる。
加水分解基を有する線状シロキサンの例としては、下記の一般式(1)、(2)および(3)で表される化合物が挙げられる。
(式(1)〜(3)中、Rはそれぞれ独立して水素、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアクリル酸アルキル基および炭素数1〜10のメタクリル酸アルキル基から選ばれ、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基、水酸基、エポキシ基、アルキレンオキサイド基およびポリアルキレンオキサイド基から選ばれ、mは1〜999の正の整数を表す。)
シラン(III)またはシラン(IV)において、Rとしてはメチル基、フェニル基が特に好ましく、Rとしてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が特に好ましい。
Si含有化合物は、上述したシラン(II)、ならびに環状シラン、シラン(III)、線状シロキサン、アルコキシシランオリゴマーおよびシラン(IV)からなる群から選ばれる少なくとも1種に加え、クロロシラン、例えばメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、を含むことができる。
本発明においては、Si含有化合物を用いてポリマーラテックスを形成する場合、得られるポリマーシートの耐候性を改善することができる。上記した各種シラン縮合物の存在は、29SiNMR(29Si核磁気共鳴スペクトル)またはHNMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)によって知ることができる。例えば、シラン(II)の縮合物は、29SiNMRのケミカルシフトが−40〜−80PPMにピークを示すことで同定することができる。
本発明において使用するポリマーラテックスの製造方法としては例えば通常の多段乳化重合法を採用できる。その代表例としては、水中にて乳化剤および重合開始剤等の存在下で、pHが4以下の状態で不飽和単量体を通常60〜90℃の加温下で乳化重合し、この工程を複数段回繰り返し行なう方法が挙げられる。乳化剤としては、特に限定はなく、例えばアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤等を使用することができる。例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪酸塩や、高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシノニルフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールエーテル硫酸塩、スルホン酸基または硫酸エステル基と重合性の不飽和二重結合とを分子中に有する、いわゆる反応性乳化剤等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、または前述の骨格と重合性の不飽和二重結合とを分子中に有する反応性ノニオン性界面活性剤等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;(変性)ポリビニルアルコール等が挙げられる。
乳化剤の使用量は、特に限定はされないが、例えば、全重合性単量体成分の合計使用量に対して1.0〜5.0質量%が好ましい。1.0質量%以上である場合重合安定性が向上し、5.0質量%以下である場合耐水性が向上する。
本発明において使用するポリマーラテックスを乳化重合によって得る際の重合方法は、単量体を一括して仕込む単量体一括仕込み法や、単量体を連続的に滴下する単量体滴下法、単量体と水と乳化剤とを予め混合乳化しておき、これらを滴下するプレエマルション法、あるいは、これらを組み合わせる方法等が挙げられる。重合開始剤を使用する場合の使用方法は特に限定されるものではない。また、Si含有化合物を使用する場合の重合方法としては、加水分解性シランの縮合反応と不飽和単量体のラジカル重合とを同時に進行させる方法、加水分解性シランの縮合反応を先行させた後に不飽和単量体のラジカル重合を進行させる乳化重合方法または不飽和単量体のラジカル重合を進行させた後に加水分解性シランの縮合反応を進行させる方法等が用いられる。
重合開始剤としては、一般に用いられるラジカル開始剤が挙げられる。ラジカル重合開始剤は、熱または還元性物質等によってラジカルを生成して重合性単量体の付加重合を起こさせるもので、水溶性または油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物が挙げられる。具体的には過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、好ましくは水溶性のものである。なお、重合速度の促進や低温反応を望む場合には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドスルホオキシレート塩等の還元剤をラジカル重合開始剤と組み合わせて用いることができる。
乳化重合に際して、必要に応じて分子量調整剤を使用することができ、具体的にはドデシルメルカプタン、ブチルメルカプタン等が挙げられる。使用方法は特に限定されるものではないが、好ましくはシェル部に使用し、使用量は全重合性単量体量に対して2質量%以下が好ましい。
本発明において使用するポリマーラテックスは、エマルジョンの長期の分散安定性を保つため、塩基性物質、例えばアンモニア、ジメチルアミノエタノール等のアミン類を始めとする塩基性有機化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩を始めとする塩基性無機化合物等を用いてpH5〜10の範囲に調整することが好ましい。
ラテックス構造は、特に限定されるものではないが、ラテックス中のポリマー粒子の中心部(コア)と外殻部(シェル)とで組成が違うもの、コアとシェルとで組成が同じもの、コアに無機粒子を有するもの、コアが空気であるもの(中空ラテックス)等を使用することができる。コアに無機粒子を有するものとしては、酸化チタン複合ラテックス、ジルコニア複合ラテックス、酸化亜鉛複合ラテックス等の無機物複合ラテックスが挙げられる。無機物複合ラテックスの作製方法は、例えば小沢邦夫監修「新しい分散・乳化の科学と応用技術の新展開」、株式会社テクノシステム発行のp.861,862,863に記載されている。また、中空ラテックスは、特開2006−225486号公報に記載されている製造方法、小沢邦夫監修「新しい分散・乳化の科学と応用技術の新展開」、株式会社テクノシステム発行のp.856,857,858に記載されている製造方法等を利用して作製できる。
ポリマーラテックスには、高屈折材料の無機粒子として例えば酸化チタン、ジルコニア、酸化亜鉛等を配合することができる。また、低屈折率化を目的として、中空シリカを配合することができる。
その他、ポリマーラテックスには、例えば、増粘剤、成膜助剤、可塑剤、凍結防止剤、消泡剤、染料、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を任意に配合することができる。
増粘剤として具体的には、ポリビニルアルコール(部分鹸化ポリ酢酸ビニル等を含む)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の高分子分散安定剤等、その他ポリエーテル系、ポリカルボン酸系増粘剤等が挙げられる。
成膜助剤として具体的には、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ブタンジオールイソブチレート、グルタル酸ジイソプロピル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、等が挙げられる。これら成膜助剤は、単独または複数種の併用で任意に配合することができる。
可塑剤として具体的には、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等が挙げられる。
凍結防止剤として具体的には、プロピレングリコール、エチレングルコール等が挙げられる。
紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系が挙げられ、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤として具体的には、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ステアリルオキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ラジカル重合性ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤として具体的には、2−ヒドロキシ−4−アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−メタクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−ジエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−トリエトキシ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として具体的には、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール)、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量300)との縮合物(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN1130)、イソオクチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN384)、2−(3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN571)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN900)等が挙げられる。
ラジカル重合性ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤として具体的には、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製、製品名:RUVA−93)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチル−3−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリリルオキシプロピル−3−tert−ブチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、3−メタクリロイル−2−ヒドロキシプロピル−3−〔3’−(2’’−ベンゾトリアゾリル)−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチル〕フェニルプロピオネート(日本チバガイギー(株)製、製品名:CGL−104)等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤として具体的には、TINUVIN400(製品名、日本チバガイギー(株)製)等がある。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、その中で塩基性の低いものがより好ましく、塩基定数(pKb)が8以上のものが特に好ましい。具体的には、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−セバケートの混合物(日本チバガイギー(株)製、製品名:TINUVIN292)、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、TINUVIN123(製品名、日本チバガイギー(株)製)等が挙げられる。
ラジカル重合性ヒンダードアミン系光安定剤として具体的には、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、2,2,6,6,−テトラメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−シアノ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート等が挙げられる。
本発明において、紫外線吸収剤および/または光安定剤は、ラテックスを製造する乳化重合時に存在させることによりポリマーラテックスに導入する方法、紫外線吸収剤および/または光安定剤を成膜助剤等と混合してラテックスに添加することにより導入する方法、紫外線吸収剤および/または光安定剤を成膜助剤と混合し、界面活性剤および水を加え乳化させた後、ラテックスに添加することにより導入する方法等によりポリマーラテックス中に存在させることができる。また、紫外線吸収剤と光安定剤とを併用すると、相乗効果により卓越した耐久性が付与される。
<塗工工程>
塗工工程においては、ポリマーラテックスを基材上に塗工する。基材としては、ガラス基材、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板、ポリイミド基板、ポリカーボネート(PC)基板、環状ポリオレフィン基板、ポリメチルメタクリレート(PMMA)基板、ポリエチレンナフタレート(PEN)基板、ポリプロピレン(PP)基板、ガラス含浸プラスチック基板等を使用できるが、これらに限ったものではない。基材がプラスチックの場合は、光の波長が450nmから600nmにて、光線透過率が50%以上であれば基材の材料は何でもよい。また、基材は電子部品でもよい。基材が電子部品の場合は光線透過率は50%以下でもよい。例えば、配線、電極、LEDや有機EL等の発光体、太陽電池、トランジスタ等、ある機能素子がついた凹凸のある基板に直接ポリマーラテックスを塗工してもよい。ラテックスの塗工方法としては、正回転ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、カーテンコーター、ファウンテンコーター、キスコーター、スピンコーター、キャスト塗工、スプレー塗工、等が挙げられる。また、基板の一部に塗りたい場合は印刷方式により塗工することもでき、例えば、フレキソ印刷やオフセット印刷、グラビア印刷等を使用することができる。
<乾燥工程>
乾燥工程では、塗工したポリマーラテックス中の水性溶媒を乾燥させる。ポリマーラテックスの成膜過程を図1に示す。図1に示す成膜過程に関しては、高分子学会編集川口春馬、室井宗一著「ポリマーコロイド」共立出版株式会社発行のp.45、46、47に記載されている。乾燥に伴って、分散状態(図1(a))のラテックス中のポリマー粒子表面間距離はしだいに短縮されてポリマー粒子が互いに接触してポリマーラテックス膜を形成し、ラテックスは流動性を失うにいたる。その過程でポリマー粒子が最密充填になる(図1(b))。ラテックスが多分散性である場合、ポリマー粒子の充填の状態と充填密度とは多少変化する。この状態からさらに乾燥が進むと、フィルム形成性をもつラテックスでは、ポリマー粒子が変形、融着する。圧着によって、ポリマー粒子周囲の保護層が破壊され、ポリマー粒子同士が直接接触して融着が進行する。これは凝固物生成の機構と同様である。ポリマー粒子が吸着層で保護されている場合には、破壊された吸着層の吸着種は粒子間ポケットに集積されることになる。化学結合的保護層の場合には、水が存在する限り保護層は破壊されない。しかし水和水が蒸発すると、親水基がポリマー粒子内部に拡散してしまい、やはり保護層は消滅する。これによりポリマー粒子が相互に自己接触する。以上のようにして連続フィルムが形成される(図1(c))。連続フィルムが形成できる最低温度を最低成膜温度といい、MFTと呼ばれる。MFTはポリマー組成で決定されるが、粒子構造によっても制御できる。たとえばラテックス中のポリマー粒子をコア/シェル構造とし、コア部を高Tg、シェル部を低Tgとすることで、MFTを下げることができる。また、成膜助剤を添加することで、MFTを下げることもできる。さらに連続フィルムが乾燥されると連続フィルム表面が平坦化しポリマーシートが形成される(図1(d))。
本発明においては、第1の方法として、乾燥工程においてポリマーラテックスを実質的に完全に乾燥させてポリマーシートを形成した(例えば図1(d)に対応)後、後述の転写工程による微細加工を行なってよい。また、第2の方法として、乾燥工程を、塗工したポリマーラテックス中の水性溶媒の一部を乾燥させてポリマーラテックス膜を形成する第1乾燥工程と、ポリマーラテックス膜中の残りの水性溶媒を乾燥させる第2乾燥工程とに分け、第1乾燥工程後かつ第2乾燥工程前(例えば図1中の(b)または(c)に対応)にモールドを用いた転写工程による微細加工を行なってもよい。第2の方法は、図1(b),(c)の過程ではポリマーラテックス膜の変形が容易であり、後述の転写工程における転写の温度5℃〜60℃にて微細構造(微細凹凸パターン)を有するポリマーシートを容易に形成できるという点で好ましい。上記第1の方法、第2の方法ともに、成膜助剤を用いて行なっても用いずに行なってもよい。第2の方法における第1乾燥工程の終了時点は、ポリマーラテックス膜が完全な透明になる前として判断できる。ただし、成膜助剤を用いている場合は、膜が透明になった後でもよい。
前述したような手法により、MFTを5℃〜60℃に調整することで、微細構造付与がさらに容易になる。成膜助剤を用いた場合には、モールドからポリマー膜への表面形状転写後に、膜を乾燥させて成膜助剤を気化させ、膜内の成膜助剤含有量を減らすことにより、より硬い膜を形成できる。よって、ガラス転移温度(Tg)が60℃以上の硬い膜に対しても、転写温度5℃〜60℃にて微細加工を施すことができる。MFTは、さらに好ましくは10℃〜60℃である。
キズ防止等の観点から、ポリマーシートには高硬度が望まれるため、Tgの高い樹脂のラテックスに成膜助剤を加えてMFTを下げる方法、またはコア/シェル構造粒子のラテックスを用いてMFTを下げる方法等を採用し、かつ上記第2の方法を用いて第1乾燥工程後に後述の転写工程を行なうことが好ましい。
<転写工程>
転写工程においては、上記第1の方法においてはポリマーシート、上記第2の方法においては第1乾燥工程後のポリマーラテックス膜に、凹凸型のパターンを有するモールドを押し当てる。本発明に用いるモールドは、微細加工を施すための凹凸型のパターンが付与された原型である。モールドとして、金属金型、Si型、石英型、SiC型、Ni電鋳型、樹脂型(樹脂モールド)等が使用できるが、モールド作製が容易である点で樹脂モールドが好ましい。本発明の製造方法においては、ポリマーラテックスを用いることにより比較的低温で転写工程を実施でき、モールドの作製が容易な樹脂モールドを使用することができるため、低コスト化が可能となる。また、ポリマーラテックスは水系であるため、樹脂モールドを溶解することなく使用できる。樹脂モールドの作製方法としては、フォトリソグラフィー法やレーザー彫刻法を用いることができる。
モールドには離型剤をコーティングしてもよい。離型剤を用いることで、ポリマーラテックス膜とモールドとが密着することを防止できる。離型剤としては市販のシリコン系、フッ素系樹脂等の離型剤を用いることができる。また、蒸着、CVD、スパッター等による表面処理によって離型性を向上させることも可能である。
モールドの構造は、表面に凹凸の形状が付与されていればよく、ロール状、平板等の形態であることができる。
モールドには、ポリマーシートまたはポリマーラテックス膜に転写させたい構造を予め形成しておき、該構造を転写工程においてポリマーシートまたはポリマーラテックス膜に反転転写する。上記第2の方法に従って、ポリマーラテックスの乾燥途中に転写工程の転写を行なう場合、通常の熱インプリントとは異なり、より低い温度での転写が可能となる。
転写工程における転写の温度は、5〜60℃の範囲であることが好ましい。モールド温度が5℃以上である場合凹凸パターンの転写を精度よく行なうことができ、60℃以下である場合転写工程を加熱するためのエネルギーが少なく低コスト化が可能である。転写温度は10〜60℃の範囲であることがより好ましい。
本発明により製造される、凹凸パターンを有するポリマーシートは、半導体デバイス、オプトデバイス、ディスプレイ、記憶媒体、バイオチップ等の分野に利用できる。さらに具体的な例を挙げると、オプトデバイス等に使用されるマイクロレンズアレイやディスプレイ部材のプリズムシート、拡散シート、反射防止シート等に利用できる。また、有機ELのディスプレイや照明等の光取り出し効率向上シートとして用いることもできる。
以下に本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
[実施例1]
旭化成ケミカルズ社製のSB系のラテックスL−1571を、200μmのアプリケータを用いてガラス基板に塗工した(塗工工程)。塗工後、ガラス基板をホットプレート上にて40℃に温めて、ラテックス中の水を乾燥させてポリマーラテックス膜を形成し、流動性を失ったことが認められた時点で(すなわち該膜が透明になる前に)乾燥を終了させた(第1乾燥工程)。次にポリマーラテックス膜に樹脂モールドを押し当て、40℃で保持した(転写工程)。樹脂モールドは、旭化成ケミカルズ社製のネガ型感光性樹脂のAPRを用いて、露光と現像工程とを経て作製したものである。樹脂モールドをポリマーラテックス膜から剥離し、ガラス基板上のポリマーラテックス膜の乾燥を続けた(第2乾燥工程)。40℃で30分間ホットプレートの上でポリマーラテックス膜を乾燥させた後、レーザー顕微鏡にて膜の表面形状を観察した。観察結果を図2に示す。図2(a)に示す樹脂モールドの穴の径は43μm、図2(b)に示す、ポリマーラテックスから形成された膜の賦型後(転写後)の突起径は42μmであった。以上の結果から、本実施例においてはポリマーラテックスから形成される膜に対して簡便に表面凹凸形状を付与できることが分かる。
本発明は、微細パターンが必要な半導体デバイス、オプトデバイス、ディスプレイ、記憶媒体、バイオチップ等において微細構造を作製するために好適に使用できる。
ラテックスの成膜過程を示す図である。 レーザー顕微鏡の観察結果を示す図であり、(a)は樹脂モールドの形状、(b)はポリマーラテックスから形成された膜の転写後の形状を示す。

Claims (6)

  1. 水系のポリマーラテックスを基材上に塗工する塗工工程、
    前記塗工したポリマーラテックスを乾燥させてポリマーシートを形成する乾燥工程、および
    前記ポリマーシートに、凹凸型のパターンを有するモールドを押し当てる転写工程
    を含む、凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法。
  2. 水系のポリマーラテックスを基材上に塗工する塗工工程、
    前記塗工したポリマーラテックス中の水性溶媒の一部を乾燥させてポリマーラテックス膜を形成する第1乾燥工程、
    前記ポリマーラテックス膜に、凹凸型のパターンを有するモールドを押し当てる転写工程、および
    前記ポリマーラテックス膜中の残りの水性溶媒を乾燥させる第2乾燥工程
    を含む、凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法。
  3. 前記転写工程における転写の温度が5℃から60℃である、請求項1または2に記載の凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法。
  4. 前記ポリマーラテックスがアクリル系ラテックスである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法。
  5. 前記ポリマーラテックスがシリコーン含有ラテックスである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法。
  6. 前記モールドが樹脂モールドである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の凹凸パターンを有するポリマーシートの製造方法。
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