JP6690325B2 - 熱可塑性エラストマー組成物および成形体 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物および成形体 Download PDF

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Description

本発明は圧縮永久歪性に優れたエラストマー組成物および、その成形体に関するものであり、一般機械、建築構造物、乗物、家電製品、OA機器等の各種構造部材として用いられるものである。さらに詳しくは、ブーツ、ギヤ、チューブ、パッキンなどの成形材料として、例えば自動車、家電部品などの幅広い使用環境下でのシール性、耐熱性、耐久性が要求されるものに適する。
近年、加硫ゴムに代わる材料として、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様の整形加工性を有する熱可塑性エラストマーが、自動車、電気・電子、及び日用品などの分野で幅広く使用されている。特に、シール性が必要とされる分野においてはゴムと熱可塑性樹脂とを含む混合物を、架橋剤の存在下にて、動的架橋したタイプの熱可塑性エラストマーが使用されている。動的架橋タイプの熱可塑性エラストマーの要求特性として、耐熱性、耐油性、耐屈曲疲労性、耐グリース性などがあり、要求レベルが年々上がっている。
この種の熱可塑性エラストマーとしては、例えば下記の特許文献がある。特許文献1と特許文献2の熱可塑性エラストマーは、ポリエステル系重合体に、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)を混合し、動的架橋させてなる。これによって、特許文献1では低硬度で圧縮永久歪に優れた熱可塑性エラストマー、特許文献2では引張特性と圧縮永久歪に優れた熱可塑性エラストマーが得られている。また、特許文献3では、耐熱性と耐油性に優れる熱可塑性エラストマーが得られるとされている。
しかしながら、特許文献1は、融点が低い低硬度ポリエステル系重合体や多量の可塑剤が使用されているため耐熱性が低くなり、高温時の圧縮永久歪性が低下する恐れがある。文献特許2は、融点が高い硬質ポリエステル系重合体が使用されているため、耐熱性が高いものの、ポリエステル系重合体中に多量のエチレングリコールが共重合されているために成形性に劣る。これらの方法によって、圧縮永久歪は改良されているものの十分とは言えない。また、ゴム微分散が引張特性や圧縮永久歪の改善に結びつく知見の記載はあるものの、ゴム平均分散粒径とこれらの特性への関係性は開示されておらず、耐グリース性に関する記載もない。特許文献3では、ゴムの平均分散粒径の記載はあるものの、圧縮永久歪との関係は開示されておらず、こちらも耐グリース性に関する記載はない。
特開2001−55491号公報 特開平11−292990号公報 特開2003−183472号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、リサイクル可能で成形性が良好で、柔軟性に富み、動的架橋時のゴムの平均分散粒径を制御することやアミド化合物を供することで、高温処理の後の圧縮永久歪性や耐グリース性に優れる熱可塑性ポリエステルエラストマーの提供をその目的とする。
上記目的を達成するための鋭意検討した結果、この熱可塑性エラストマー組成物は、ポリエステルエラストマーをマトリックスとし、分散相のNBRを特定の比率で配合し、動的架橋によってNBRを特定の平均分散粒径でマトリックス中に微分散することや、特定のアミド末端濃度を有する化合物を配合することが重要であることを見出し、本発明を完成した。一般に、動的架橋では、熱可塑性ポリマー、ゴム、架橋剤、その他の各種添加剤が混練されつつ加熱され、ゴムが架橋される。そして、架橋されたゴムは、微細粒子として熱可塑性エラストマー中に分散する。この熱可塑性エラストマー組成物は、マトリックスとなるポリエステルエラストマーの特性である熱可塑性を有しているため、この熱可塑性エラストマー組成物から得られる成形体は、再加熱によりリサイクルが可能である。また、この熱可塑性エラストマー組成物は、架橋ゴムの特性を併せ持っており、柔軟性や圧縮特性に優れる。本発明は以下の構成を有する。
[1] ポリエステルエラストマーを主成分とする熱可塑性ポリマーとアクリルニトリル−ブタジエン共重合体を主成分とするゴムとを含む熱可塑性エラストマー組成物であって、前記熱可塑性エラストマー組成物中の熱可塑性ポリマーが20〜80質量%であり、前記ゴムが島相として、前記熱可塑性ポリマー中に、平均分散粒径2.0μm以下の大きさで分散されていることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
[2] ポリエステルエラストマーを主成分とする熱可塑性ポリマーとアクリルニトリル−ブタジエン共重合体を主成分とするゴムとを含む熱可塑性エラストマー組成物であって、前記熱可塑性エラストマー組成物中の熱可塑性ポリマーが20〜80質量%であり、アミン価50〜2,000eq/tonのアミン化合物を0.1〜10質量%含有し、前記ゴムが島相として、前記熱可塑性ポリマー中に、平均分散粒径2.0μm以下の大きさで分散されていることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
[3] 前記アミン化合物がポリアミドである[2]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[4] 前記ゴムが、架橋剤の存在下、動的架橋されている[1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[5] 前記ゴムが、架橋剤を含み、その配合量がゴムの質量に対して、0.10質量%以上20質量%以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[6] 前記架橋剤が、有機過酸化物、硫黄又はホルムアルデヒド樹脂である[4]〜[5]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[7] 前記有機過酸化物の活性酸素量が3〜15%である[6]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[8] 前記ゴムが、さらに架橋助剤を含み、その配合量がゴムの質量に対して、0.05質量%以上15質量%以下である[5]〜[7]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[9] 前記架橋助剤が、メタクリル酸エステル、イソシアヌレート、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸の塩、酸化亜鉛、炭酸亜鉛又はハロゲン化金属である[8]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[10] 熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して得られた平板の130℃、100時間処理後の圧縮永久歪が、70%以下であり、かつ熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して得られたJIS3号ダンベル試験片の両面に尿素化合物含有グリースを塗布し、130℃、100時間熱処理後の引張伸度保持率が40%以上である[1]〜[9]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体。
本発明で得られた熱可塑性エラストマー組成物は、動的架橋によりゴムの平均分散粒径を制御することで、高温処理後に優れた圧縮永久歪性を有し、柔軟性を兼備した成形性に優れる。前記特性により、シール、ホース、自動車サスペンション等の各種成形材料として使用できる。
以下、本発明における熱可塑性エラストマー組成物について詳細に説明する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ポリエステルエラストマーを主成分とする熱可塑性ポリマーのマトリックス中に、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体を主成分とするゴム粒子が分散したものである。
ポリエステルエラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントからなる。ハードセグメントは、ジカルボン酸及びグリコールを構成成分とするポリエステルである。ハードセグメントのポリエステルを構成するジカルボン酸は、通常の芳香族ジカルボン酸が広く用いられ、主たる芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸であることが好ましい。テレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸の含有量としては、全ジカルボン酸成分100モル%に対して、100〜50モル%であることが好ましく、より好ましくは100〜80モル%、さらに好ましくは100〜90モル%である。
その他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの脂環族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらは樹脂の融点を大きく低下させない範囲で用いられ、その量は全ジカルボン酸成分の20モル%以下が好ましく、より好ましくは10モル%以下である。20モル%超含有すると、結晶性が低下し、エラストマー特性を有さない。
また、ハードセグメントのポリエステルを構成するグリコールは、主たる構成成分が1,4−ブタンジオールであることが好ましい。1,4−ブタンジオ−ルは、全グリコール成分100モル%に対して、60モル%以上含有することが好ましく、更に好ましくは70モル%以上、最も好ましくは80モル%以上である。60モル%未満では、結晶性が低下し、成形性、耐熱性が低下する傾向にある。
その他のグリコールとしては、分子量250以下のグリコールが好ましく、具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール,1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール,2−メチル−1、5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどが挙げられる。1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、3,8−ビスビドロキシメチルトリシクロジシカン、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、TCDグリコールなどの脂環族グリコールも挙げられる。これらを単独又は2種類以上併用して使用できるが、全グリコール成分中、40モル%以下であることが好ましい。分子量が250を超えるグリコール成分を共重合すると、結晶性が低下して、成形性、耐熱性が低下する傾向にある。
上記のハードセグメントのポリエステルを構成する成分としては、ブチレンテレフタレート単位あるいはブチレンナフタレート単位よりなるものが、物性および成形性の点で好ましく、ブチレンテレフタレートはコスト面でより好ましい。なお、ナフタレート単位の場合は、2,6体が好ましい。
また、本発明におけるポリエステルエラストマーにおけるハードセグメントを構成するポリエステルとして好適な芳香族ポリエステルを事前に製造し、その後ソフトセグメント成分と共重合させる場合、該芳香族ポリエステルは、通常のポリエステルの製造法に従って容易に得ることができる。また、かかるポリエステルは、一般に数平均分子量10,000〜60,000を有しているものが望ましい。
また、本発明におけるポリエステルエラストマーのソフトセグメントとしては、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペートなどのポリエステル、ポリカーボネートジオールが上げられる。
ポリアルキレングリコールとしては、分子量(数平均分子量)が400〜6,000であることが好ましい。ポリアルキレングリコールの分子量が400未満では得られるポリエステルエラストマーのブロック性が低下するため、ポリマーの融点・軟化点が低くなる。また、分子量が6,000を超えるとポリエステルエラストマーが相分離し、不透明・パール状になる等の問題点がある。
また、場合によりポリアルキレングリコールに他成分を共重合させた共重合体であってもよい。具体的なポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール、ポリ1,3−プロピレングリコール、ポリ1,2−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリネオペンチルグリコール、ポリ3−メチルペンタンジーオール、ポリ1,5−ペンタンジオール、ビスA−エチレンオキサイド付加物、ビスA−プロピレンオキサイド付加物、ビスS−エチレンオキサイド付加物等とその誘導体が上げられる。具体的な誘導体として、例えばポリネオペンチルグリコールとポリエチレングリコールとの共重合体等が上げられる。
ポリカーボネートジオールを用いる場合、脂肪族のポリカーボネートが好ましく、脂肪族ポリカーボネート鎖は、主として炭素数5〜12の脂肪族ジオール残基からなるものであることが好ましい。炭素数5〜12の脂肪族ジオール残基は、脂肪族ポリカーボネートの全脂肪族ジオール残基のうち、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、100モル%であっても良い。これらの脂肪族ジオールとしては、例えば、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどが挙げられる。得られるポリエステルエラストマーの柔軟性や低温特性の点より、炭素数5〜12の脂肪族ジオールが好ましい。これらの成分は、以下に説明する事例に基づき、単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上を併用してもよい。これらの脂肪族ジオール以外として、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなども20モル%以下であれば、使用可能である。
上記の脂肪族ポリカーボネートジオールは、必ずしもポリカーボネート成分のみから構成される必要はなく、他のグリコール、ジカルボン酸、エステル化合物やエーテル化合物などを少量共重合したものでもよい。共重合成分の例として、例えばダイマージオール、水添ダイマージオール及びこれらの変性体などのグリコール、ダイマー酸、水添ダイマー酸などのジカルボン酸、脂肪族、芳香族、または脂環族のジカルボン酸とグリコールとからなるポリ又はオリゴエステル、ε−カプロラクトンなどからなるポリエステル又はオリゴエステル、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール又はオリゴアルキレングリコールなどが挙げられる。
上記共重合成分は、実質的に脂肪族ポリカーボネートセグメントの効果を消失させない程度用いることができる。具体的には、脂肪族ポリカーボネートセグメント100質量部に対して好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。共重合量が多すぎる場合、得られたポリエステルエラストマーの耐熱性が劣ったものになる。
本発明におけるポリエステルエラストマーにおいて、ハードセグメントを構成するポリエステルと、ソフトセグメントを構成するポリアルキレングリコール、ポリエステル及び/又はポリカーボネートジオールとの質量比(ハードセグメントの含有量)は以下が好ましい。ハードセグメントは15質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上である。ハードセグメントは95質量%以下が好ましく、より好ましくは90質量%以下が好ましく、88質量%以下がさらに好ましい。ハードセグメントが95質量%より上であれば、エラストマー特性を有さず、15量%より下であれば耐熱性に劣る。
本発明におけるポリエステルエラストマーは、上記のようなポリエステルからなるハードセグメント及びポリアルキレングリコール、ポリエステル及び/又はポリカーボネートジオールからなるソフトセグメントが結合されてなるポリエステルエラストマーである。ここで、結合されてなるとは、ハードセグメントとソフトセグメントがイソシアネート化合物などの鎖延長剤で結合されるのではなく、ハードセグメントやソフトセグメントを構成する単位が直接エステル結合やカーボネート結合で結合されている状態をいう。たとえば、ハードセグメントを構成するポリエステル、ソフトセグメントを構成するポリアルキレングリコール、ポリエステル、及び/又はポリカーボネートジオールを加熱下、一定時間のエステル化、エステル交換反応及び解重合反応を繰返しながら得ることが好ましい(以下ブロック化反応と称することもある)。ソフトセグメントは、同時に添加しても良いし、別々に添加しても良いし、添加時期も別々で構わない。また、反応後のポリエステルエラストマー中でのソフトセグメントを構成するポリアルキレングリコール、ポリエステル及び/又はポリカーボネートジオールの分子量が400〜6,000であれば、仕込みのソフトセグメントを構成するポリアルキレングリコール、ポリエステル、及び/又はポリカーボネートジオールの分子量は6,000より大きくとも構わない。
上記反応は、反応温度、触媒濃度、反応時間の組み合わせを任意に決定して行なうことができる。すなわち、反応条件は、用いるハードセグメント及びソフトセグメントの種類及び量比、用いる装置の形状、攪拌状況などの種々の要因によってその適正値が変化する。
上記反応によって得られた溶融混合物中の残存触媒は、任意の方法によってできる限り完全に失活しておくことが望ましい。触媒が必要以上に残存している場合、コンパウンド時、成形時などにエステル交換反応がさらに進行し、得られたポリマーの物性が変動することが考えられる。
失活反応は、例えば、亜燐酸、燐酸、燐酸トリフェニル、燐酸トリストリエチレングリコール、オルト燐酸、ホスホン酸カルベトキジメチルジエチル、亜燐酸トリフェニル、燐酸トリメチル、亜燐酸トリメチルなどの燐化合物などを添加することによって行われるが、これに限られるわけではない。
また、ポリエステルエラストマーの重合時における熱劣化等を抑制するため、通常用いられる酸化防止剤等の安定剤を重合時に添加しても良い。
本発明におけるポリエステルエラストマーは、少量に限り三官能以上のポリカルボン酸、ポリオールを含んでもよい。例えば無水トリメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸などを使用できる。
本発明においては、主たるハードセグメントがポリブチレンテレフタレート単位である場合、得られるポリエステルエラストマーの融点が160〜220℃であることが好ましい。さらに好ましくは165〜215℃である。
また、本発明においては、主たるハードセグメントがポリブチレンナフタレート単位である場合、得られる熱可塑性ポリエステルエラストマーの融点が170〜240℃であることが好ましい。さらに好ましくは190〜235℃である。
熱可塑性エラストマー組成物のマトリックス、すなわち熱可塑性ポリマーには、耐オゾン性向上などの目的で、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー成分が配合されても良い。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーは、二重結合に水素が付加しているため、化学的に安定である。水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン−エチレン/プロピレンースチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)などが上げられる。
また、熱可塑性ポリマーのマトリックスには、柔軟性向上などの目的で、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂が配合されても良い。
熱可塑性ポリマーのマトリックスに、ポリエステルエラストマー以外の熱可塑性ポリマーを併用する場合、ポリエステルラストマーは40質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上である。ポリエステルエラストマー以外の熱可塑性ポリマーの質量が60質量%より上であれば、ポリエステルエラストマーの特性である耐熱性と柔軟性のバランスが取れなくなってしまうことがある。
熱可塑性ポリマーとして、他のポリマー成分を含まず、ポリエステルエラストマーのみからなる場合も、好ましい態様である。
本発明で用いられるゴムは、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)を主成分とする。本発明で用いられるゴムは、後記するように架橋剤、及び必要により架橋助剤を含んで架橋構造を有することが好ましい。最初に未架橋の状態のゴム成分について説明する。
用いられるNBRとしては、アクリルニトリル量が10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは15質量%以上である。10質量%より低ければ、耐熱性や圧縮永久歪性に劣る。また、NBRのアクリルニトリル量は80質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下である。アクリルニトリル量が80質量%より上であれば、耐寒性などの特性が低下するおそれがある。また、NBRの性状は、固形でも液体でも構わない。
また、通常のNBRとともに、水素添加NBR、部分架橋NBR、カルボキシル基含有NBR、イソプレン共重合NBRなどが併用されても良い。
ゴム(未架橋ゴム)として、NBRとともに、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)が併用されても良い。EPDMは、主鎖が飽和炭化水素結合であるために、主鎖切断による劣化が生じにくい。よって、熱可塑性エラストマー組成物の耐侯性、耐オゾン性が向上する。NBRとEPDMが併用される場合、NBRは50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上である。NBRが50質量%より下であれば、アクリルニトリル量が少なくなるため、耐寒性などの特性が低下するおそれがある。
この熱可塑性エラストマー組成物には、NBRの特性を損なわない範囲で、EPDM以外のゴムを配合しても良い。配合されるゴムとしては、天然ゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。
いずれにしろ、通常のNBRとともに、他のゴムを併用する場合、全ゴム量に占めるNBRは50%質量以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上である。NBRが50質量%より下であれば、アクリルニトリル量が少なくなるため、耐寒性などの特性が低下するおそれがある。
ゴム(未架橋ゴム)として、他のゴム成分を含まず、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)のみからなる場合も、好ましい態様である。
熱可塑性エラストマー組成物中の熱可塑性ポリマーとゴムの割合において、熱可塑性ポリマーは20質量%以上であり、好ましくは25質量%以上である。熱可塑性ポリマーが20質量%より下であれば、熱可塑性エラストマー組成物の可塑化が難しくなる。熱可塑性ポリマーは80質量%以下であり、好ましくは75質量%以下である。熱可塑性ポリマーが80質量%より上であれば、圧縮永久歪特性が損なわれるおそれがある。
ここで熱可塑性ポリマーは、ポリエステルエラストマーの重合時に用いた触媒、触媒の失活剤、酸化防止剤等の安定剤を含んだものであり、熱可塑性ポリマーの質量割合は、これら成分を含んだ質量割合である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物中のゴムの平均分散粒径(直径)は2.0μm以下である。平均分散粒径は、実施例の項に記載の方法で測定される。平均分散粒径は、好ましくは1.5μm以下である。これにより、熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪を向上することができる。また、ゴムの分散状態は均一である必要はなく、不均一でも良い。
ゴムの平均分散粒径(直径)は2.0μm以下とするには、熱可塑性ポリマー成分と未架橋のゴム成分を二軸押出機等で混練した後、架橋剤の存在下で動的架橋することにより達成できる。
本発明に用いられるアミド化合物は、脂肪族性または芳香族性の化合物であっても良く、アミン価が50〜2,000eq/tonであれば良い。アミン価が50eq/ton未満であれば、グリースを塗布した際に、グリース中に配合される尿素化合物を補足したり溶解したりして、熱可塑性エラストマー組成物中への浸入を抑制するなどして、熱可塑性エラストマーの劣化を抑制する作用が弱まり、アミン価2,000eq/tonより大きい場合、熱可塑性エラストマー組成物の分解が生じる恐れがある。
アミド化合物として、ポリアミドを用いる場合、ポリアミド6、ポリアミド9、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド611、ポリアミド610、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/610共重合体、ポリアミド6T/6I共重合体等が上げられる。
本発明にポリアミドを用いる場合、熱可塑性エラストマー組成物100質量%に対し、10質量%以下か好ましく、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは4質量%以下であり、ポリアミドのアミン価は、70〜1,000eq/tonであることが好ましく、より好ましくは100〜800eq/tonである。0.1質量%未満ではグリース中の尿素化合物を十分に補足できないおそれがある。
本発明において、ゴムを動的架橋するための架橋剤としては、ゴムの架橋剤として一般的に用いられている架橋剤を用いることができる。架橋剤の例としては、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤などが挙げられる。中でも有機過酸化物系架橋剤が好ましく用いられる。
本発明に用いられる有機過酸化物架橋剤の活性酸素量が3〜15%であれば良い。活性水素量が3%未満であればゴムの架橋が進みにくく、活性酸素量15%より大きい場合、熱可塑性ポリマーの分解が生じる恐れがある。有機過酸化物架橋剤の活性酸素量は15%以下が好ましく、より好ましくは13%、特に好ましくは12%以下である。
架橋剤の配合量は、全ゴム量に対して、0.10質量%以上20質量%以下が好ましく、より好ましくは0.50質量%以上15質量%以下である。架橋剤量が0.10質量%より下であるときは、ゴムの架橋が不足し、熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪や耐グリース性が向上しないことがある。また、架橋剤量が20質量%を超えると、熱可塑性エラストマー組成物の硬度が高くなり柔軟性が損なわれたり、熱可塑性ポリマー(ポリエステルエラストマー)の引張特性が損なわれることがある。
また、動的架橋は架橋助剤を併用することが望ましい。架橋助剤により架橋反応が促進される。架橋助剤としては、メタクリル酸エステル、イソシアヌレート、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、酸化亜鉛、炭酸亜鉛又はハロゲン化金属が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上が併用されても良い。これらの中で、メタクリル酸エステルやイソシアヌレートが好ましく用いられる。
架橋助剤の配合量は、全ゴム量に対して、0.05質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは0.10質量%以上10質量%以下である。架橋助剤量が0.05質量%より下であるときは、ゴムの架橋促進の効果が少なく、熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪や耐グリース性が向上しないことがある。また、架橋助剤量が15質量%を超えると、熱可塑性エラストマー組成物の硬度が高くなり柔軟性が損なわれたり、熱可塑性ポリマー(ポリエステルエラストマー)の引張特性が損なわれることがある。
本発明における全ゴム量とは、未架橋ゴムに架橋剤、架橋助剤が配合された場合は、未架橋ゴムの質量に架橋剤、架橋助剤の質量を加えた質量を言う。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の表面硬度は60D以下が好ましく、より好ましくは50D以下である。表面硬度が60Dより上であるときは、熱可塑性エラストマーの柔軟性が損なわれることがある。また、表面硬度の下限は特に言及しないが、本発明の組成の場合、10D以上である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、実質的には、ポリエステルエラストマーを主成分とする熱可塑性ポリマーとアクリルニトリル−ブタジエン共重合体を主成分とするゴムとからなる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、目的に応じて種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、公知のヒンダードフェノール系、硫黄系、燐系、アミン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル系などの光安定剤、帯電防止剤、滑剤、過酸化物などの分子調整剤、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物などの反応基を有する化合物、金属不活性剤、有機及び無機系の核剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、有機及び無機系の顔料などを添加することができる。これら添加剤は、合計量で、熱可塑性エラストマー組成物中、5質量%以下であることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性ポリマーとゴム(架橋剤、架橋助剤を含む)、並びに酸化防止剤のみからなる構成、または、熱可塑性ポリマー、ゴム(架橋剤、架橋助剤を含む)及びアミン価50〜2,000eq/tonのアミン化合物、並びに酸化防止剤のみからなる構成も好ましい態様である。
各種添加物の配合方法としては、加熱ロール、押出機、バンバリミキサーなどの混練機を用いて配合することができる。
以下に実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明するがそれらに限定されるものではない。なお、本明細書において各測定は、以下の方法に従って行った。
(1)アミン価(eq/ton)
試料3gを秤量し、m−クレゾール80mlに溶解させた溶液を京都電子工業社製「AT−500N」を用い、滴定液として0.05mol/lの過塩素酸メタノール溶液を用いて電位差滴定法で滴定し、KOHのmg換算で求めた。
(2)圧縮永久歪(%)
JIS K6262に従い、射出成形で作製した100mm×100mm×2mm厚の平板を使用し、25%の圧縮率で、130℃、100時間の圧縮条件下で圧縮永久歪を測定した。圧縮永久歪の値は小さい方が好ましい。また、加熱下で圧縮しているため、熱可塑性ポリマーとゴムの種類と配合量、更に添加剤の種類や配合量が同じ場合、圧縮永久歪が小さいほど耐熱性が高いといえる。
(3)耐グリース性熱老化試験
JIS K6215:2010に従い、射出成形で作製した100mm×100mm×2mm厚の平板を樹脂の流動方向に対し、直角方向にJIS3号ダンベル形状に打ち抜き試験片を作製した。試験片の両面にグリース(尿素化合物を含有するグリース(レアマックスUBZ))3gを塗布した状態で、130℃の熱風乾燥機で100時間熱処理し、その後、引張伸度(破断時の伸び)を測定し、熱処理前に対する引張伸度保持率を算出した。
(4)表面硬度
ASTM D2240に従い、射出成形で作製した100mm×100mm×2mm厚の平板を使用し、表面硬度を測定した。
(5)ゴム平均分散粒径
射出成形で作製した100mm×100mm×2mm厚の平板を使用し、クライオミクロトームを用いて凍結切片を作製した。電子染色剤には四酸化オスミウムを使用し、気相中で30分間染色を行い、NBRを選択的に染色した。染色後カーボン蒸着を施して、透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JEM−2100」)を加速電圧200kVで使用した。ゴムの平均分散粒径は、透過電子顕微鏡で撮影した画像に表示されるスケールマーカーとゴム粒径を比較して求めた。
実施例1
精留塔付反応機にDMT(テレフタル酸ジメチルエステル)47.2kg、BD(ブタンジール)416.4kg、ポリテトラメチレングリコール48.6kg(数平均分子量2,000)、酸化防止剤IRGANOX1330(BASF社製)200g、TBT(テトラブチルチタネート)100gを仕込み、130℃から220℃まで2時間掛けて昇温し、常圧エステル交換反応を行った。次いで、220℃から245℃まで1時間掛けて昇温し、2hPa以下に減圧し、245℃で所定の溶融粘度まで重合反応を行った。得られたポリエステルエラストマーの還元粘度は2.10dl/gであった。
ポリエステルエラストマー80質量部に対して、未架橋NBRペレット(JSR株式会社製「N220S」)20質量部、ヒンダートフェノール系酸化防止剤(BASF社製「Irganox1010」0.2質量部を混合し、二軸押出機(東芝機械株式会社製「TEM−26SS」)にて混練した。得られたポリエステルエラストマーと未架橋NBRの混合物に、架橋剤として有機過酸化物(日本油脂株式会社製「パーヘキシン25B−40」(活性酸素量11.2%))1質量%(全ゴム成分に対して)、架橋助剤としてメタクリル酸エステル(三新化学工業株式会社製「サンエステルTMP」)0.5質量%(全ゴム成分に対して)を混合し、同押出機にて動的架橋し熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物ペレットを80℃で5時間以上熱風乾燥し、射出成形機(三菱重工−ファナック株式会社製「S−2000i」)にてシリンダー温度200〜260℃と金型温度40℃で射出成形し、100mm×100mm×2mm厚の平板を作製した。ゲート切れなどの成形性に問題は見られなかった。得られた熱可塑性エラストマー組成物からなる成形品の各種特性を測定し、その結果を表1に示す。本実施例で得られた熱可塑性エラストマー組成物は、ゴムの平均分散粒径は2.0μm以下であり、130℃、100時間後の圧縮永久歪と130℃、100時間後の耐グリース性も良好であり高品質であった。
実施例2〜4
実施例1の方法により得られたポリエステルエラストマーを用いて、ポリエステルエラストマー、ゴム、架橋剤、架橋助剤の配合量を表1に示すように変更し、実施例1と同様にして混練して得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物は、いずれの特性も良好であった。
実施例5〜6
実施例5では、実施例2の架橋剤を日本油脂株式会社製「パーヘキサ25B−40」(活性酸素量11.0%)に変更し、実施例6では、実施例2の架橋剤を日本油脂株式会社製「パークミルD−40」(活性酸素量5.92%)に変更した。活性酸素量を減らすことでポリエステルエラストマー分解とNBR架橋の協奏反応を制御し、圧縮永久歪と耐グリース性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を得た。
実施例7
ポリアミド樹脂(アルケマ社製「PLATAMID HX2651、アミン価490eq/ton)3.0質量部を架橋剤添加前に混合し、それ以外は実施例5と同様に混練して得た。アミド化合物を添加することで、圧縮永久歪と耐グリース性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を得た。
実施例8
ポリアミド樹脂(アルケマ社製「PLATAMID HX2651、アミン価490eq/ton)3.0質量部を架橋剤添加前に混合し、架橋助剤としてトリアリルシアヌレート(日本化成株式会社製「TAIC」)0.5質量%(全ゴム成分に対して)添加した以外は実施例5と同様に混練して得た。アミド化合物を添加し、三官能の架橋助剤を用いることで、圧縮永久歪と耐グリース性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を得た。
実施例9
ポリエステルエラストマー70質量部に対して、未架橋NBRペレット15質量部、未架橋水素添加NBRペレット(ランクセス社製「テルバンAT4364」)15質量部、ポリアミド樹脂(アルケマ社製「PLATAMID HX2651、アミン価490eq/ton)3.0質量部を架橋剤添加前に混合し、それ以外は実施例5と同様に混練して得た。水素添加NBRやアミド化合物を添加することで、圧縮永久歪と耐グリース性に優れる熱可塑性エラストマー組成物を得た。
比較例1
比較例1は、実施例1記載のポリエステルエラストマーにゴムを配合しなかった。本比較例で得られたエラストマー組成物は、圧縮永久歪性に劣る。
比較例2〜5
比較例2〜5は、表1に示すポリエステルエラストマー、ゴム、架橋剤、架橋助剤の種類と配合量で混練し、熱可塑性エラストマー組成物を得た。本比較例で得られた熱可塑性エラストマー組成物は、NBRの分散粒径が大きく、圧縮永久歪性、耐グリース性に劣る。
比較例6
実施例1記載のポリエステルエラストマーに、表1に示すゴム、架橋剤、架橋助剤の種類と配合量で混練したが、NBR量が多すぎるために、動的架橋時のせん断発熱が大きくなり、NBRの分解が生じ、成形用のサンプルを得ることができなかった。
本発明で得られる熱可塑性エラストマー組成物は、圧縮永久歪、耐グリース性に優れているという特徴を有するので、シートをはじめとする各種成形材料として使用できる。

Claims (9)

  1. ポリエステルエラストマーを主成分とする熱可塑性ポリマーとアクリルニトリル−ブタジエン共重合体を主成分とするゴムとを含む熱可塑性エラストマー組成物であって、前記熱可塑性エラストマー組成物中の熱可塑性ポリマーが20〜80質量%であり、アミン価50〜2,000eq/tonのアミン化合物を0.1〜10質量%含有し、前記ゴムが、架橋剤の存在下、動的架橋されており、前記ゴムが島相として、前記熱可塑性ポリマー中に、平均分散粒径2.0μm以下の大きさで分散されていることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記アミン化合物がポリアミドである請求項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記ゴムが、架橋剤を含み、その配合量がゴムの質量に対して、0.10質量%以上20質量%以下である請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記架橋剤が、有機過酸化物、硫黄又はホルムアルデヒド樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 前記有機過酸化物の活性酸素量が3〜15%である請求項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 前記ゴムが、さらに架橋助剤を含み、その配合量がゴムの質量に対して、0.05質量%以上15質量%以下である請求項3〜5のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  7. 前記架橋助剤が、メタクリル酸エステル、イソシアヌレート、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸の塩、酸化亜鉛、炭酸亜鉛又はハロゲン化金属である請求項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  8. 熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して得られた平板の130℃、100時間処理後の圧縮永久歪が70%以下であり、かつ熱可塑性エラストマー組成物を射出成形して得られたJIS3号ダンベル試験片の両面に尿素化合物含有グリースを塗布し、130℃、100時間熱処理後の引張伸度保持率が40%以上である請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物からなる成形体。
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