JP4114117B2 - ポリエステルエラストマ樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱エージング性、耐油性、耐グリース性および耐屈曲疲労性に優れ、特に高温のグリースが接触した場合の耐屈曲疲労性にきわめて優れ、高い溶融粘度と、その粘度を長時間維持する優れた溶融粘度安定性を有すると共に、ブロー成形性が良好で、特にフレキシブルブーツなどの成形用途に適したポリエステルエラストマ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリブチレンテレフタレート単位のような結晶性芳香族ポリエステル単位をハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールのような脂肪族ポリエーテル単位をソフトセグメントとするポリエーテルエステルブロック共重合体は、押出成形性、射出成形性に優れ、機械的強度が高く、耐衝撃性、弾性回復性、柔軟性などのゴム的性質、低温および高温特性、耐水性などに優れ、さらに熱可塑性で成形加工が容易であるため、自動車部品および電気・電子部品、繊維、フィルムなどに用途を拡大している。
【0003】
しかるに、ポリエーテルエステルブロック共重合体は、上記のような優れた特性を有する反面、耐油性は不十分で、特に高温の油に長期にわたって浸漬すると、強度や伸びが徐々に低下してしまうため、高温の油に触れるような用途においては、その使用に制限を受けているのが実状である。
【0004】
また、ポリエーテルエステルブロック共重合体は、酸化劣化を受けやすいことに起因して耐熱エージング性が劣り、高温雰囲気で使用した場合に、比較的短時間で強度や伸びが低下して使用できなくなったり、成形品の表面に亀裂が発生して外観が悪くなったりするため、高温雰囲気で使用されるような用途においては、その使用に制限を受けているのが実状である。
【0005】
さらに、ポリエーテルエステルブロック共重合体は、押出成形や射出成形だけでなくブロー成形を行おうとした場合に、十分に高い溶融粘度を得ることと、それを溶融状態で長時間安定に保つことがむずかしいことから、ブロー成形性に劣るという問題を有していた。
【0006】
また、ブロー成形で製造したフレキシブルブーツなどでは、優れた耐屈曲疲労性が要求されるが、ポリエーテルエステルブロック共重合体は、単体では十分な耐屈曲疲労性を有しないブロー成形体しか与え得なかった。
【0007】
このような実状に鑑み、ポリエーテルエステルブロック共重合体の耐熱エージング性、耐油性および溶融安定性などを改良する試みが、従来から数や多く行われており、例えば、特公昭46−38911号公報には、ポリエーテルエステルブロック共重合体にヒンダードフェノール系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤および/またはリン系酸化防止剤を配合することにより、ポリエーテルエステルブロック共重合体の耐熱エージング性を改良した樹脂組成物が開示されている。 また、特開昭48−89955号公報にはポリエーテルエステルブロック共重合体にアリールアミン系酸化防止剤を配合して耐熱エージング性を改良した樹脂組成物が開示されている。
【0008】
さらに、特開昭58−23848号公報には、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体とポリアミドとアリールアミン酸化防止剤の混合物が、高温における酸化劣化に対する耐性が著しく増強された組成物であり、ASTM No.3オイルに対する高温での耐性も良好であることが開示されている。
【0009】
さらにまた、特開平2−173059号公報には、ポリエーテルエステルブロック共重合体にポリアミド樹脂と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、イオウ系酸化防止剤および/またはリン系酸化防止剤を配合した樹脂組成物が開示されているし、特開昭58−91758号公報には、ポリエーテルエステルブロック共重合体にグリシジルエステル化合物を配合することにより、ポリエーテルエステルブロック共重合体の耐熱エージング性を改良した樹脂組成物が、耐熱劣化性と耐加水分解性の改良された樹脂組成物が開示されている。
【0010】
さらに加えるに、特開昭48−100495号公報には、ポリエーテルエステルブロック共重合体と約2よりも小さくない官能性を有するポリエポキシドを反応させた樹脂組成物によって、ポリエーテルエステルブロック共重合体の溶融安定性を向上させる試みが開示されており、同公報には、ポリエーテルエステルブロック共重合体と約2よりも小さくない官能性を有するポリエポキシドを反応させる際に、エポキシ触媒の存在下で高温での長時間の攪拌と、長時間のポストキュアによって変性した樹脂組成物は、溶融粘度が高く、屈曲寿命が改良されることも開示されている。
【0011】
またさらに、特開昭49−13298号公報には、ポリエーテルエステルブロック共重合体と、約2よりも小さくない官能性を有するポリエポキシドと、エポキシ硬化剤を反応させることにより、高温における機械的強度、低温における耐衝撃性、および耐加水分解性を改良した樹脂組成物が開示されている。
【0012】
しかるに、上記特公昭46−38911号公報および特開昭48−89955号公報に開示された樹脂組成物は、確かに、耐熱エージング性が改善された樹脂組成物であるが、その改善の程度は十分とは言い難く、過酷な状況下でのエージングには耐え難い。また、ASTM No.3オイルに代表される潤滑油に対する耐性も不十分である。
【0013】
また、上記特開昭58−23848号公報に開示された樹脂組成物は、確かに耐熱エージング性が改善されていて、ASTM No.3オイルに代表される潤滑油に対する耐性も向上したものであるが、この樹脂組成物は、ASTM No.3オイルのような粘性の低い潤滑油に対する耐油性ではなく、高級リチウム石けんや二硫化モリブデン等を含有する半固体状潤滑剤であるグリースに対する耐性は十分とは言い難いし、ブロー成形に適した溶融粘度を有していないことから、溶融安定性も不十分であって、耐屈曲疲労性も劣るものである。
【0014】
さらに、上記特開平2−173059号公報に開示された樹脂組成物は、成形品の表面にブリードアウトや黄変の無い組成物であって確かに耐熱エージング性が改良されたものであるが、耐油性や耐グリース性は未だに不十分であり、ブロー成形に適した溶融粘度を有していないことから、溶融安定性も不十分であって、耐屈曲疲労性も劣るものである。
【0015】
さらにまた、前記、特開昭58−91758号公報に開示された樹脂組成物は、確かに耐熱劣化性と耐加水分解性に優れているが、耐油性や耐グリース性に劣るばかりか、耐屈曲疲労性も十分ではない。
【0016】
さらに加えるに、上記特開昭48−100495号公報および特開昭49−13298号公報に開示された樹脂組成物は、たしかに溶融安定性や高温における機械的強度などが向上したものであるが、ブロー成形できる粘度レベルまで増粘するためには、エポキシ硬化用触媒を使用し、高温で長時間攪拌したうえ、さらに長時間ポストキュアを行う必要があることから、工程的に不経済であり、コストアップになるという問題があった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0018】
したがって、本発明の目的は、過酷な酸化雰囲気における耐熱エージング性や、ASTM No.3オイルに代表される潤滑油に対する耐油性だけではなく、グリースに対する耐性にも優れ、耐屈曲疲労性、特に、高温のグリースが接触した場合の耐屈曲疲労性に優れ、単に配合するだけでブロー成形に適した十分高い溶融粘度が得られ、その高い粘度を長時間維持する優れた溶融粘度安定性を有すると共に、ブロー成形性が良好で、特にフレキシブルブーツなどの成形用途に適したポリエステルエラストマ樹脂組成物を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物は、主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、主として脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエーテルエステルブロック共重合体(A)100重量部に対して、2官能以上のエポキシ化合物(B)0.01〜10重量部と、芳香族アミン系酸化防止剤(C)0.01〜5重量部と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)0.01〜5重量部と、イオウ系酸化防止剤(E)0.01〜5重量部および/またはリン系酸化防止剤(F)0.01〜5重量部とを配合してなるを配合してなることを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物は、主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、主として脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエーテルエステルブロック共重合体(A)100重量部に対して、2官能以上のエポキシ化合物(B)0.01〜10重量部と、芳香族アミン系酸化防止剤(C)0.01〜5重量部と、ポリアミド樹脂(G)0.1〜20重量部とを配合してなることも特徴とする。
【0021】
さらに、本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物は、主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、主として脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエーテルエステルブロック共重合体(A)100重量部に対して、2官能以上のエポキシ化合物(B)0.01〜10重量部と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)0.01〜5重量部と、イオウ系酸化防止剤(E)0.01〜5重量部および/またはリン系酸化防止剤(F)0.01〜5重量部と、ポリアミド樹脂(G)0.1〜20重量部とを配合してなることも特徴とする。
【0022】
さらに、本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物は、主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、主として脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエーテルエステルブロック共重合体(A)100重量部に対して、2官能以上のエポキシ化合物(B)0.01〜10重量部と、芳香族アミン系酸化防止剤(C)0.01〜5重量部と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)0.01〜5重量部と、イオウ系酸化防止剤(E)0.01〜5重量部および/またはリン系酸化防止剤(F)0.01〜5重量部と、ポリアミド樹脂(G)0.1〜20重量部とを配合してなることをも特徴とする。
【0023】
なお、本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物は、上記においてさらに、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)の構成成分である高融点結晶性重合体セグメント(a)が、ポリブチレンテレフタレート単位で構成されること、
ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)の構成成分である低融点重合体セグメント(b)がポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール単位および/あるいはポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体単位で構成されること、
ポリエステルブロック共重合体(A)における低融点重合体セグメント(b)の共重合量が10〜80重量%であること、
2官能以上のエポキシ化合物(B)がグリシジルエステル化合物であること、
芳香族アミン系酸化防止剤(C)がジフェニルアミン系化合物であること、 ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)が分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物であること、
イオウ系酸化防止剤(E)がチオジプロピオン酸エステル化合物であること、
リン系酸化防止剤(F)が分子中にリン原子とともにイオウ原子も有する化合物であること、
リン系酸化防止剤(F)が分子中に2つ以上のリン原子を有する化合物であること、
ポリアミド樹脂(G)が共重合ポリアミド樹脂であること、
ASTM D−1238に従って、温度250℃、荷重2160gで測定した溶融粘度指数(MFR値)が5g/10分以下であること、
ブロー成形用として用いること、
フレキシブルブーツ用の成形組成物であること、
が、いずれも好ましい条件であり、これらの条件を適用することにより、一層優れた効果の取得を来たいすることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0025】
本発明に用いられるポリエーテルエステルブロック共重合体(A)の高融点結晶性重合体セグメント(a)は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオールから形成される結晶性芳香族ポリエステル単位であり、好ましくはテレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールとから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位であるが、この他にテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、あるいはこれらのエステル形成性誘導体などのジカルボン酸成分と、分子量300以下のジオール、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニルなどの芳香族ジオールなどから誘導されるポリエステル、あるいはこれらのジカルボン酸成分およびジオール成分を2種以上併用した共重合ポリエステル単位であっても良い。また、3官能以上の多官能カルボン酸成分、多官能オキシ酸成分および多官能ヒドロキシ成分などを5モル%以下の範囲で共重合することも可能である。
【0026】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の低融点重合体セグメント(b)は、脂肪族ポリエーテル単位からなる。脂肪族ポリエーテルの具体例としては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。これらの脂肪族ポリエーテルのなかでも、得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性が優れることからポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物などが好ましい。また、これらの低融点重合体セグメントの数平均分子量としては共重合された状態において300〜6000程度であることが好ましい。
【0027】
本発明に用いられるポリエーテルエステルブロック共重合体(A)における低融点重合体セグメント(b)の共重合量は、好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは15〜75重量%である。
【0028】
本発明に用いられるポリエーテルエステルブロック共重合体(A)は公知の方法で製造することができる。例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコール、および低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法。あるいはジカルボン酸と過剰量のグリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法。また、あらかじめ高融点結晶性セグメントを作っておき、これに低融点セグメント成分を添加してエステル交換反応によりランダム化せしめる方法など、いずれの方法をとってもよい。
【0029】
本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物に用いられる成分の一つである2官能以上のエポキシ化合物(B)の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの縮合反応によって生成するビスフェノールA型エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどのグリコールのジグリシジルエーテル化合物、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどのポリオールのポリグリシジルエーテル化合物、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、ビ安息香酸ジグリシジルエステル、メチルテレフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、ドデカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、オクタデカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステルなどのジカルボン酸のジグリシジルエステル化合物、トリメリット酸トリグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステルなどのポリカルボン酸のポリグリシジルエステル化合物などが挙げられる。これらの中でも化合物中に2個のグリシジル基を有する2官能性のエポキシ化合物が好ましい。また、特にグリシジルエステル化合物が好ましい。
【0030】
このような2官能以上のエポキシ化合物(B)の配合量は、ポリエステルブロック共重合体(A)100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜8重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。2官能以上のエポキシ化合物(C)の配合量が0.01重量部未満では目的とする効果の改良度合いが小さく、配合量が10重量部を越えると成形時の溶融滞留によりゲル化が起こり成形できなくなるため好ましくない。
【0031】
本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物では、基本的にエポキシ硬化触媒を使用しないが、必要であれば2官能以上のエポキシ化合物(B)とともに、エポキシ硬化触媒を用いてもよい。このようなエポキシ硬化触媒としては、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、脂環族ポリアミン、芳香族酸無水物、環状脂肪族酸無水物、イミダゾール化合物、3級アミン化合物などを挙げることができる。
【0032】
本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物に用いられる成分の一つである芳香族アミン系酸化防止剤(C)の具体例としては、フェニルナフチルアミン、4,4’−ジメトキシジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、および4−イソプロポキシジフェニルアミンなどが挙げられるが、これらの中でもジフェニルアミン系化合物が好ましい。
【0033】
本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物に用いられる成分の一つであるヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)の具体例としては、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,5−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸のジエチルエステル、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチル−ジフェニルメタン、α−オクタデシル−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6−(ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチル−チオ−1,3,5−トリアジン、ヘキサメチレングリコール−ビス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド)、2,2−チオ[ジエチル−ビス−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンホスホン酸のジオクタデシルエステル、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ジ−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、およびトリス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル]イソシアヌレートなどが挙げられる。これらの中でもテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンのよう分子量が500以上のものが好ましい。
【0034】
本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物に用いられる成分の一つであるイオウ系酸化防止剤(E)とは、チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、チオジプロピオンエステル系などのイオウを含む化合物である。これらの中でも、チオジプロピオンエステル系化合物が好ましい。
【0035】
本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物に用いられる成分の一つであるリン系酸化防止剤(F)とは、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸誘導体、フェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイトなどのリンを含む化合物である。これらの中でも、分子中にリン原子とともにイオウ原子も有する化合物および分子中に2つ以上のリン原子を有する化合物が好ましい。
【0036】
これらの酸化防止剤(C)〜(F)の配合量は、いずれもポリエーテルエステルブロック共重合体(A)100重量部に対し0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部である。0.01重量部未満では目的とする効果の改良度合いが小さく、5重量部をこすとブルーミングを生じたり、ポリエーテルエステルブロック共重合体の機械的強度が低下したりするため好ましくない。
【0037】
なお、上記(C)〜(F)は、(C)の1種類のみ、(D)/(E)または(D)/(F)の2種類、(D)/(E)/(F)の3種類、(C)/(D)/(E)または(C)/(D)/(F)の3種類、および(C)/(D)/(E)/(F)の4種類を、それぞれ組合わせて配合することが必須であり、これらの組合わせから1成分でも欠いた場合には、目的とする効果を得ることができない。
【0038】
本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物は、ポリアミド樹脂(G)を配合すると、さらに、優れたポリエーテルエステルエラストマ樹脂組成物となりうる。本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物に用いられるポリアミド樹脂(G)は、分子鎖中にアミド結合を有する高分子化合物であり、ラクタムからの重合体や、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などと、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシレンジアミンなどとの反応により得られる塩の重合体、または、ω−アミノカルボン酸からの重合体などが挙げられる。これらは共重合体でも良いし、異なる重合体を2種類以上組み合わせて使用してもよい。これらのポリアミド樹脂の中でも、共重合ポリアミド樹脂を用いた場合に、さらに高い効果が得られる。
【0039】
ポリアミド樹脂(G)の配合量は、ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)100重量部に対し0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。ポリアミド樹脂(G)の配合量が0.1重量部未満では目的とする効果の改良度合いが小さく、20重量部を越えるとポリエーテルエステルブロック共重合体が本来有している柔軟性やゴム的性質が損なわれるため好ましくない。
【0040】
本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに種々の添加剤を添加することができる。例えば公知の結晶核剤や滑剤などの成形助剤、紫外線吸収剤やヒンダードアミン系の化合物である耐光剤、耐加水分解改良剤、顔料や染料などの着色剤、帯電防止剤、導電剤、難燃剤、補強剤、充填剤、可塑剤、および離型剤などを任意に含有することができる。
【0041】
本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエーテルエステルブロック共重合体に、2官能以上のエポキシ化合物およびその他の所定の酸化防止剤を配合した原料、あるいはポリエーテルエステルブロック共重合体に、2官能以上のエポキシ化合物と所定の酸化防止剤とポリアミド樹脂を配合した原料を、スクリュー型押出機に供給し溶融混練する方法、またスクリュー型押出機に、まずポリエーテルエステルブロック共重合体を供給して溶融し、さらに他の供給口より2官能以上のエポキシ化合物や酸化防止剤や他の配合物を供給して混練し、さらに他の供給口よりポリアミド樹脂を供給混練する方法など、適宜採用することができる。
【0042】
本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物は、ASTM D−1238に従って、温度250℃、荷重2160gで測定した溶融粘度指数(MFR値)が5g/10分以下であることが好ましく、特に好ましくは3g/10分以下である。
【0043】
このように構成される本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物は、柔軟性、反発性、弾性回復性などのゴム的性質を備え、耐熱エージング性、耐油性、耐グリース性に優れ、耐屈曲疲労性、特に、高温のグリースが接触しても耐屈曲疲労性にきわめて優れ、高い溶融粘度と、その粘度を長時間維持する優れた溶融粘度安定性を有する。
【0044】
そして本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物は、ブロー成形性が良好で、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツなどのフレキシブルブーツをはじめとする、自動車部品、電気・電子部品などの成形材料として極めて有用である。
【0045】
【実施例】
以下に実施例によって本発明の構成・効果をさらに説明する。なお、実施例中の%および部とは、ことわりのない場合すべて重量基準である。また、参考例中に示される物性は次のように測定した。
【0046】
[相対粘度]
o−クロロフェノールを溶媒とした0.5%のポリマ溶液を25℃で測定した。
【0047】
[融点]
差動走査熱量計(Du Pont社製DSC−910型)を使用して、窒素ガス雰囲気下、10℃/分の昇温速度で加熱した時の融解ピークの頂上温度を測定した。
【0048】
[硬度(ショアDスケ−ル)]
JIS K−7215に従って測定した。
【0049】
[参考例]
[ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−1)の製造]
テレフタル酸302部、1,4−ブタンジオール327部および数平均分子量約1400のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール216部を、チタンテトラブトキシド0.15部と共にヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱して反応水を系外に留出しながらエステル化反応を行なった。反応混合物に”イルガノックス”1010(チバガイギー社製ヒンダ−ドフェノ−ル系酸化防止剤)0.75部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で2時間45分重合を行わせた。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行ってペレットとした。
【0050】
[ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−2)の製造]
ジメチルテレフタレ−ト297部、1,4−ブタンジオール243部およびポリ(テトラメチレンオキシド)グリコ−ル(数平均分子量約2000)300部を、チタンテトラブトキシド0.15部と共にヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、210℃で2時間加熱して、理論メタノ−ル量の95%のメタノ−ルを系外に留出させた。反応混合物に”イルガノックス”1010 0.75部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で2時間20分重合を行わせた。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行ってペレットとした。
【0051】
[ポリエーテルエステルブロック共重合体(A−3)の製造]
ジメチルテレフタレ−ト189部、1,4−ブタンジオール160部、エチレンオキサイドで末端をキャッピングしたポリ(プロピレンオキシド)グリコ−ル(数平均分子量約2200,EO含量26.8%)297部を、チタンテトラブトキシド0.15部およびトリメリット酸無水物3部と共にヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応容器に仕込み、210℃で2時間30分加熱して、理論メタノ−ル量の95%のメタノ−ルを系外に留出させた。反応混合物に”イルガノックス”1010 0.75部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で1時間50分重合を行わせた。得られたポリマを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行ってペレットとした。
【0052】
表1にA−1、A−2、A−3の組成と物性を示す。
【0053】
【表1】
Figure 0004114117
[エポキシ化合物]
実施例において使用したエポキシ化合物の略号と構造式を表2に示す。
【0054】
【表2】
Figure 0004114117
[酸化防止剤]
実施例において使用した酸化防止剤の略号と構造式を表3に示す。
【0055】
【表3】
Figure 0004114117
[ポリアミド樹脂の製造]
ポリカプロラクタムとポリヘキサメチレンアジパミドの組成比が約65/35からなる共重合体(ポリアミド樹脂(G−1))、ポリカプロラクタム、ポリヘキサメチレンアジパミドおよびポリヘキサメチレンセバカミドの組成比が約45/35/20からなる3元共重合体(ポリアミド樹脂(G−2))を製造した。
【0056】
[実施例1〜6]
参考例で得られたポリエーテルエステルブロック共重合体(A−1)、(A−2)、(A−3)に、エポキシ化合物酸化防止剤、、およびポリアミド樹脂を表4に示すような配合比率でドライブレンドし、45mmφのスクリューを有する2軸押出機を用いて、シリンダー設定温度240℃で溶融混練したのちペレット化した。これらのペレットを80℃で5時間乾燥後、成形温度250℃、金型温度60℃で、JIS 2号型ダンベルに射出成形した。このダンベルを、120℃の昭和石油(株)製「昭石サンライトグリースSW−2」(高級リチウム石けんグリース)に浸漬し、引張破断伸度が初期の半分に低下する時間を測定した。
【0057】
また、射出成形したダンベルを160℃の熱風オーブン中でエージングし、引張破断伸びが初期の半分に低下する時間と、ダンベルを180度折り曲げた際に破損するまでの時間を測定した。
【0058】
次に、80℃で5時間乾燥した各ペレットを温度250℃でプレス成形して、厚さ2mm、幅20mmの試験片を作った。試験片の中央部分の屈曲を生じる箇所の片面に、協同油脂(株)製「モリレックスNo.2」(高級リチウム石けんグリースに二硫化モリブデンを配合)を塗布し、120℃の熱風オーブン中で3日間のエージングを行った。試験片を熱風オーブンから取り出したのち、付着しているグリースを拭き取り、下記の条件で耐屈曲疲労性を試験し、50万回の屈曲サイクル後の亀裂長さを測定した。
【0059】
試験条件:
試験機 :デマッチャ屈曲疲労試験機
試験温度 :100℃
チャック間距離:25mm←→5.6mm
屈曲サイクル :300回/分
この試験において、亀裂の発生が小さい方が耐久性に優れる。
【0060】
次いで、80℃で5時間乾燥した各ペレットを用いて、ASTM D−1238に従って溶融粘度指数(MFR値)を、温度250℃、荷重2160gで、滞留時間5分の場合と、滞留時間60分の場合の2点について測定した。
【0061】
さらに、80℃で5時間熱風乾燥した各ペレットを、プレスブロー成形機(オスバーガー社製SBE50/140型)を用いて、シリンダー温度230℃、ノズル温度250℃、金型温度30℃の成形条件で、大口径部と小口径部を、5つの山と5つの谷を有する肉厚0.5mmの蛇腹部によって連結した形状を有する重量60gの等速ジョイント用フレキシブルブーツに成形することを試みることによって、ブロー成形性を評価した。
【0062】
これらの評価結果を表5に示す。
【0063】
【表4】
Figure 0004114117
【表5】
Figure 0004114117
[比較例1〜9]
表4に示すような配合比率でドライブレンドし、実施例1〜6と同様にペレット化を行った。これらのペレットと、参考例で得られたポリエステルブロック共重合体(A−1)、(A−2)、(A−3)そのものを実施例1〜6と同様に射出成形してダンベルを作り同様に評価した。結果を表5に示す。
【0064】
表5の結果から明らかなように、ポリエーテルエステルブロック共重合体に、2官能以上のエポキシ化合物と、芳香族アミン系酸化防止剤と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、リン系酸化防止剤とをを配合した本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物(実施例1)、あるいは、ポリエーテルエステルブロック共重合体に、2官能以上のエポキシ化合物と、芳香族アミン系酸化防止剤と、ポリアミド樹脂とを配合した本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物(実施例2)、あるいは、ポリエーテルエステルブロック共重合体に、2官能以上のエポキシ化合物と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、イオウ系酸化防止剤および/またはリン系酸化防止剤と、ポリアミド樹脂とを配合した本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物(実施例3〜5)、これにさらに芳香族アミン系酸化防止剤を配合した本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物(実施例6)は、いずれも耐油性、耐グリース性、耐熱エージング性に優れ、高温のグリースに接触しても優れた耐屈曲疲労性を有する。また、ブロー成形に適した溶融粘度を有し、さらにそれが長時間維持される。
【0065】
一方、本発明の条件を欠く比較例1〜9のポリエステルエラストマ樹脂組成物は、上記の特性すべて満足することはなく、特に、高温のグリースに接触した際の耐屈曲疲労性と、ブロー成形に適した溶融粘度の長時間の維持の点で劣っている。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポリエステルエラストマ樹脂組成物は、ポリエーテルエステルブロック共重合体に、2官能以上のエポキシ化合物と、芳香族アミン系酸化防止剤と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、イオウ系酸化防止剤および/またはリン系酸化防止剤とをを配合すること、ポリエーテルエステルブロック共重合体に、2官能以上のエポキシ化合物と、芳香族アミン系酸化防止剤と、ポリアミド樹脂とを配合すること、あるいは、ポリエーテルエステルブロック共重合体に、ポリアミド樹脂と、2官能以上のエポキシ化合物と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、イオウ系酸化防止剤および/またはリン系酸化防止剤とを配合すること、および、これにさらに芳香族アミン系酸化防止剤を配合することにより、耐油性、耐グリース性、耐熱エージング性、高温グリース接触時の耐屈曲疲労性、ブロー成形性、および溶融滞留安定性に優れた特性を有しており、特に等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツなどのフレキシブルブーツをはじめとする自動車部品、電気・電子部品などの成形材料として極めて有用である。

Claims (17)

  1. 主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、主として脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエーテルエステルブロック共重合体(A)100重量部に対して、2官能以上のエポキシ化合物(B)0.01〜10重量部と、芳香族アミン系酸化防止剤(C)0.01〜5重量部と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)0.01〜5重量部と、イオウ系酸化防止剤(E)0.01〜5重量部および/またはリン系酸化防止剤(F)0.01〜5重量部とを配合してなるポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  2. 主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、主として脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエーテルエステルブロック共重合体(A)100重量部に対して、2官能以上のエポキシ化合物(B)0.01〜10重量部と、芳香族アミン系酸化防止剤(C)0.01〜5重量部と、ポリアミド樹脂(G)0.1〜20重量部とを配合してなるポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  3. 主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、主として脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエーテルエステルブロック共重合体(A)100重量部に対して、2官能以上のエポキシ化合物(B)0.01〜10重量部と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)0.01〜5重量部と、イオウ系酸化防止剤(E)0.01〜5重量部および/またはリン系酸化防止剤(F)0.01〜5重量部と、ポリアミド樹脂(G)0.1〜20重量部とを配合してなるポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  4. 主として結晶性芳香族ポリエステル単位からなる高融点結晶性重合体セグメント(a)と、主として脂肪族ポリエーテル単位からなる低融点重合体セグメント(b)とを主たる構成成分とするポリエーテルエステルブロック共重合体(A)100重量部に対して、2官能以上のエポキシ化合物(B)0.01〜10重量部と、芳香族アミン系酸化防止剤(C)0.01〜5重量部と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)0.01〜5重量部と、イオウ系酸化防止剤(E)0.01〜5重量部および/またはリン系酸化防止剤(F)0.01〜5重量部と、ポリアミド樹脂(G)0.1〜20重量部とを配合してなるポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  5. 前記ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)の構成成分である高融点結晶性重合体セグメント(a)が、ポリブチレンテレフタレート単位で構成される請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  6. 前記ポリエーテルエステルブロック共重合体(A)の構成成分である低融点重合体セグメント(b)が、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール単位および/あるいはポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体単位で構成される請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  7. 前記ポリエステルブロック共重合体(A)における低融点重合体セグメント(b)の共重合量が10〜80重量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  8. 前記2官能以上のエポキシ化合物(B)がグリシジルエステル化合物である請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  9. 前記芳香族アミン系酸化防止剤(C)がジフェニルアミン系化合物である請求項1、2、4〜8のいずれか1項に記載のポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  10. 前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)が分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物である請求項1、3〜9のいずれか1項に記載のポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  11. 前記イオウ系酸化防止剤(E)がチオジプロピオン酸エステル化合物である請求項1、3〜10のいずれか1項に記載のポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  12. 前記リン系酸化防止剤(F)が分子中にリン原子とともにイオウ原子も有する化合物である請求項1、3〜11のいずれか1項に記載のポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  13. 前記リン系酸化防止剤(F)が分子中に2つ以上のリン原子を有する化合物である請求項1、3〜12のいずれか1項に記載のポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  14. 前記ポリアミド樹脂(G)が共重合ポリアミド樹脂である請求項2〜13のいずれか1項に記載のポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  15. ASTM D−1238に従って、温度250℃、荷重2160gで測定した溶融粘度指数(MFR値)が5g/10分以下である請求項1〜14のいずれか1項に記載のポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  16. ブロー成形用として用いる請求項1〜15のいずれか1項に記載のポリエステルエラストマ樹脂組成物。
  17. フレキシブルブーツ用の成形組成物である請求項1〜16のいずれか1項に記載ポリエステルエラストマの樹脂組成物。
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