JP6688358B2 - 液体センサー布帛、及び、繊維製品 - Google Patents
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Description
このポリエステル繊維布帛は、芳香族ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体を0.3重量%以上付与されたポリエステル繊維布帛であって、該繊維布帛の表面に白色顔料が付与されている。
又、特許文献1のポリエステル繊維布帛を含む多くの布帛では、実際に濡れた場合であっても、その濡れた箇所が顕著に目立つものではなく、濡れたか否かや、濡れた箇所を視認し難い問題がある。
尚、本発明における「撥液処理」とは、撥水処理と撥油処理を含む。
その結果、例えば、鉄道車両等でのシート清掃時などの場合であれば、そのシートカバー(パイル布帛1)が水等の液体Eに濡れた際には、その濡部4を清掃者等の目で区別可能となって、必要なシートだけ、液体Eの拭取り・乾燥などを清掃すれば良く、作業の容易化も図れる。
尚、パイル布帛1が液体Eに濡れたか否かや、パイル布帛1において濡れた箇所を清掃者等が視認できることから、「液体センサー布帛」であるとも言える。
その結果、例えば、鉄道車両等でのシート清掃時などの作業を容易化できる。
その結果、例えば、鉄道車両等でのシート清掃時などの作業を容易化できる。
その結果、例えば、鉄道車両等でのシート清掃時などの作業を容易化できる。
その他、パイル布帛1であるパイル織物1’のパイル糸1C’における捲縮糸7の混合率Jを50%以上としたり、パイル布帛1に捲縮糸7を含む撚糸8を用いたり、撥液処理が施された撥液部9を有していたり、捲縮糸7がパイル2に用いられた捲縮部10と捲縮糸7がパイル2に用いられていない非捲縮部11を含む単位面積で捲縮部10の面積率Qを10%以上100%以下としたり、捲縮部10を平面視でストライプ状に配置しても良い。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1、3には、本発明の第1実施形態に係るパイル布帛1が示されており、このパイル布帛1は、パイル2が基布3から立設した布帛である。
パイル布帛1がパイル織物1’の場合、何れの構成でも構わないが、例えば、経糸1A’及び緯糸1B’を平織や綾織、朱子織などに織成した織地を基布3とし、この基布3と一緒に経方向又は緯方向にパイル糸1C’を織成してパイル2を構成しても良い。
この結果、上織地又は下織地を基布3として、切断された連結糸(パイル糸1C’)それぞれをパイル2とするパイル織物1’が2つ同時に出来、このような構成のパイル織物1’をモケットとも言い、この場合、ダブルモケット織機(ジャガード織機やドビー織機等)によって織成される。
尚、パイル糸1C’を経方向に織成するパイル織物1’を、経パイル織物とも言い、パイル糸1C’を緯方向に織成するパイル織物1’を、緯パイル織物とも言う。
この他、パイル編物1”の構成として、例えば、経糸1A”を所定枚(例えば、3枚など)の筬で編成した編地(経編の一種で、デンビー編、トリコットとも言う)を基布3とし、この基布3の一方面か両面を起毛して形成された毛羽をパイル2としたものでも良い。
又、パイル布帛1がパイル織物1’やパイル編物1”等である場合、それらを構成(織成、編成等)する繊維の繊度も、何れの値でも良いが、例えば、総繊度で、20dtex以上3000dtex以下であっても良い。
その他、パイル布帛1に使われる糸の密度も、何れの値でも良いが、パイル布帛1が上述した経パイル織物1’である場合には、パイル布帛1において経方向に織成されたパイル糸1C’(パイル2)の密度は、例えば、50本/10cm以上260本/10cm以下、好ましくは60本/10cm以上240本/10cm以下、更に好ましくは70本/10cm以上220本/10cm以下(80本/10cm、90本/10cm、100本/10cmなど)でも良い。
又、パイル布帛1がパイル織物1’である場合には、その基布3を形成する緯糸1B’の密度は、例えば、100本/10cm以上260本/10cm以下、好ましくは120本/10cm以上240本/10cm以下、更に好ましくは140本/10cm以上220本/10cm以下(160本/10cm、180本/10cm、200本/10cmなど)でも良い。
パイル布帛1は、その模様・図柄については、花や草木などの植物の柄や、動物の柄、幾何学模様、無地、表面凹凸等による模様など何れでも良い。パイル布帛1の色彩(色相)についても、赤色系、橙色系、黄色系、緑色系、青色系、紫色系、黒色系、白色系など何れの色調でも良く、彩度や明度についても何れの値でも構わない。
以下、パイル布帛1は、主にパイル織物(モケット)1’であるとして述べる。
図1、3に示したように、パイル2は、上述したように、パイル糸1C’(1C”等)により形成され、基布3から立設するものである。
パイル2は、その先端2aを切断して毛羽状としたカットパイルであったり、隣接するパイル2同士でループを形成したループパイルの何れでも良い。
以下は、パイル2はカットパイルであるとして述べる。
一方、基布3は、上述したように、経糸1A’(1A”等)や、緯糸1B’(1B”等)から構成された織地や編地であって、シート状となっている。
基布3は、その一方面(パイル面1aではない)側に、樹脂等を塗布されていても良い。
本発明における「パイル高さH’」とは、パイル布帛1の基布3の表面3aからパイル2の先端2aまでの高さを意味し、詳解すれば、パイル2が基布3に対して略直角(略90°)に立設(略直立)している(パイル2と基布3のなす角θが略90°である)場合には、パイル2のパイル長2Lと略等しいとも言える。
又、パイル2が基布3に対して斜めに立設している(パイル2と基布3のなす角θが90°未満(例えば、80°や70°、60°、45°など)である)場合には、パイル高さH’は、パイル長2L×sinθに略等しくなる。
図1、3に示したように、ここまで述べたパイル布帛1のうち、液体Eに濡れた部分が濡部4となり、その一方で、当該パイル布帛1のうち、液体Eに濡れていない部分は非濡部6となると言える。尚、濡部4は、後述する液体保持部5を有する。
尚、本発明における「パイル布帛1が液体Eに濡れる」とは、パイル布帛1のパイル2や基布3が液体Eに接触する状態である他、パイル布帛1(パイル2(パイル糸1C’、1C”)や基布3(経糸1A’、1A”及び/又は緯糸1B’、1B”))と液体Eの接触角が90°以下となる状態であっても良い。
これら濡部4か、非濡部6かを切り分ける液体Eや液面Sについて、まず述べる。
図1、3に示したように、液体Eは、パイル布帛1を濡らすものであって、飲料水や蒸留水などの水であったり、又、その他の飲料や、食べ物の汁等であっても良い。
飲料の具体例としては、ミネラルウォーターや水道水、白湯などの水や、紅茶、烏龍茶、緑茶、麦茶などのお茶、コーヒー、炭酸飲料などの清涼飲料水、牛乳、豆乳、果実・野菜飲料、スポーツドリンク、酒類などであっても良い。
この他、液体Eは、分散質と分散媒が共に液体である分散系溶液(エマルション)であっても良く、分散質を水や水溶液とし、分散媒を有機溶剤や有機溶液、油とする水中油滴(O/W型)エマルションや、分散質を有機溶剤や有機溶液、油とし、分散媒を水や水溶液とする油中水滴(W/O型)エマルションの何れであっても構わない。
又、本発明における「液体高さH」とは、濡部4において、パイル布帛1の基布3(基布3の表面(パイル面1a側の表面))3aから液体Eの液面Sまでの高さを意味する他、濡部4において、基布3の表面3aから液体Eの液面Sまでの間に気泡や別の物質(塵や埃、固形の付着物)などがあった場合でも、基布3の表面3aから、当該濡部4における液体Eで最も高い位置にある液面Sまでの高さも含む。
尚、上述したように、液面Sには底S1や縁S2があることから、「液体高さH」とは、基布3の表面3aから液面Sの底S1までの高さ(液体底高さH1)である場合や、基布3の表面3aから液面Sの縁S2までの高さ(液体縁高さH2)である場合の何れでも良い。
従って、濡部4とは、パイル布帛1全体である場合もあれば、パイル布帛1の一部である場合もあり、非濡部6とは、パイル布帛1の一部が濡部4となった場合において、液体Eに濡れていない部分である。
又、液体Eにおける所定量とは、例えば、1ccであったり、パイル布帛1全体(パイル2の先端2aから基布3の裏面3bまで)が浸る量などであっても良い。
図1、3に示したように、液体保持部5は、上述した濡部4のうち、液体高さHがパイル高さH’と略同じである部分を言う。
ここで、本発明における「液体高さHがパイル高さH’と略同じである」とは、詳解すれば、上述した液体底高さH1が、パイル高さH’と略同じである場合と、液体縁高さH2が、パイル高さH’と略同じである場合の2つの場合を含む。
液体保持部5があることで、濡部4におけるパイル2の先端2a近傍等の高位置まで液体Eが保持されるため、パイル布帛1のパイル面1aを真上から視た(平面視で視た)際には、パイル先端2aだけでなく、液体Eも視認される(露出する)こととなり、液体Eに濡れた濡部4と、濡れていない(つまり、液体Eが視認できない)非濡部6で色の違いが生じる(「濡れ状態の明確化」)。
上述した濡部4では、パイル布帛1が液体Eを含んでいるとも言えるが、この液体Eの含まれる割合について述べる。
本発明における「含液率G」とは、濡部4における単位面積当たりに含まれる液体Eの液体重さM1を、当該パイル布帛の同じ単位面積当たりの布帛重さM2で割って100を掛けた値を意味する。
このような含液率Gは、その値が大きい程、上述した液面高さHも高く保持されるとも言え、又、液体Eを含んだパイル布帛1の状況(略水平に載置されたり、略垂直に吊り下げられる等)によるが、例えば、250%以上、好ましくは260%以上、更に好ましくは270%以上、より好ましくは280%以上(例えば、260%や261%、277%など)であっても良い。
次に、上述した濡部4と非濡部6との色差ΔE* abについて述べる。
この色差ΔE* abは、JIS−L−0805:2005に準ずるL* a* b* 表色系による色差である。
濡部4と非濡部6との色差ΔE* abは、5.5以上、好ましくは6.0以上、更に好ましくは7.0以上(6.03や7.34など)であっても良い。
濡部4と非濡部6との色票Tは、4未満、好ましくは3−4以下、更に好ましくは3以下であっても良い。
図1、3に示したように、捲縮糸7は、所定の捲縮率Kで捲縮した糸であり、上述したパイル布帛1に用いられる。
ここで、本発明における「捲縮率K」は、捲縮糸7の最大伸長時の長さL1と非伸張時の長さL2との差を、「捲縮糸7の長さ」で割って100を掛けた値を意味する。
又、最大伸長時の長さL1や、非伸張時の長さL2を測定する際の捲縮糸7は、熱処理をした後のものでも構わない。
ここまで述べた長さL0、L1、L2の測定は、長さが測れるのであれば、何れの方法でも良いが、非伸張時の長さL2を測定する場合には、例えば、同様に取った捲縮糸7の綛に、所定の荷重(例えば、0.002g/デニール)を掛けて長さを測定しても良い。
このような捲縮糸7の捲縮率Kは、0%より大きければ良いが、例えば、5%以上、好ましくは10%以上、更に好ましくは25%以上、より好ましくは35%以上(例えば、10%など)であっても良い。
パイル布帛1がパイル織物1’である場合には、パイル2を構成するパイル糸1C’に捲縮糸7が用いられていれば良く、このパイル糸1C’以外にも、基布3を構成する経糸1A’及び/又は緯糸1B’に捲縮糸7が用いられていても良い。
尚、捲縮糸7は、捲縮率Kが0%である非捲縮糸7’と一緒にパイル2に用いられていても良く、この場合、パイル2(パイル面1a)において、捲縮糸7を多く用いた領域の中で、一部だけ非捲縮糸7’を所定の模様形状(例えば、「+」や「×」形状など)に用いることで、これら捲縮糸7、非捲縮糸7’に跨って液体Eに濡れた際に、非捲縮糸7’による模様形状が浮かぶように構成しても良い(図3の変形例参照)。
ここまで述べた捲縮糸7は、パイル布帛1を構成する糸(経糸1A’、1A”や緯糸1B’、1B”、パイル糸1C’、1C”)のうち、特にパイル糸1C’、1C”の混合率(パイル混合率)Jが所定の値であっても良い。
ここで、本発明における「混合率(パイル混合率)J」とは、パイル布帛1のパイル糸1C’、1C”に用いられる捲縮糸7の重さを、パイル糸1C’、1C”全体の重さで割って100を掛けた値を意味する。
ここまで述べたパイル混合率Jの他、パイル布帛1の基布3を構成する糸(経糸1A’、1A”及び/又は緯糸1B’、1B”)に用いられる捲縮糸7の重さを、基布3を構成する糸全体の重さで割った値である基布混合率J’や、パイル布帛1のパイル2及び基布3を構成する糸(パイル糸1C’、1C”、経糸1A’、1A”及び/又は緯糸1B’、1B”)に用いられる捲縮糸7の重さを、パイル2及び基布3を構成する糸全体の重さで割った値であるパイル布帛混合率J”なども、所定の値としても良い。
図1に示したように、撚糸8は、上述した捲縮糸7を少なくとも1本含む複数本の糸を撚り合わせた糸であり、この撚糸8が、パイル布帛1に用いられていても良い。
撚糸8は、捲縮率Kが異なる複数本の糸を撚り合わせた杢糸8’であっても構わない。
パイル布帛1がパイル織物1’である場合には、パイル2を構成するパイル糸1C’に撚糸8が用いられていれば良く、このパイル糸1C’以外にも、基布3を構成する経糸1A’及び/又は緯糸1B’に撚糸8が用いられていても良い。
この他、撚糸8は、パイル布帛1がパイル編物1”やタフトパイル布帛である場合にも、パイル2を構成するパイル糸1C”等に用いられていれば良く、このパイル糸1C”等以外に、基布3を構成する経糸1A”又は緯糸1B”等に用いられていても良い。
図4には、本発明の第2実施形態に係るパイル布帛1が示されている。
この第2実施形態において第1実施形態と最も異なるのは、撥液部9を有している点である。
図4に示したように、撥液部9は、撥液処理(撥水処理・撥油処理)が施された部分であり、上述したように、水や油などの液体Eを撥水・撥油させる部分である。
撥液部9は、撥液処理が施されていないその他の部分(非撥液部9’)における撥液性(撥水性・撥油性)よりも撥液性が高い部分とも言え、撥液部9における接触角は、非撥液部9’における接触角より大きい。
上述の塗布には、手持ちのローラーによる塗布や、電着塗装、静電塗装、紫外線硬化塗装なども含む。
撥液性を発揮する撥液素材も、撥液部9の接触角が非撥液部9’の接触角よりも大きければ、何れであっても良いが、例えば、フッ素化合物(フッ素樹脂)、ケイ素化合物(シリコーン樹脂)、パラフィン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)又はポリエチレンテレフタレート(PET)で構成されていても良い。又、飽和フルオロアルキル基(特にトリフルオロメチル基CF3 - )や、アルキルシリル基、フルオロシリル基、長鎖アルキル基などを含むものであっても良い。
撥液部9の素材であるフッ素化合物(フッ素樹脂)について、より具体的に述べれば、パーフロロアルキル基(CF3 −(CF2 )n −)を側鎖に有した合成樹脂や、ポリテトラフルオロエチレン(四フッ化エチレン樹脂)(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂)(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂)(ETFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロジオキソールコポリマー (TFE/PDD)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(三フッ化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂)(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ化塩化エチレン共重合樹脂)(PCTFE)などである。
撥液素材には、増粘剤や、水などの溶媒を、所定の割合(例えば、撥液素材を30.0部、増粘剤を1.5部、水を70.0部など)で混ぜて塗布しても良く、その粘度も、所定の測定器(例えば、B形粘度計 BM形 ローターNo.3 回転数12rpmなど)で測定した所定の値(例えば、6100mPa・s)であっても構わない。
又、撥液素材の塗布量は、乾燥重量であれば、例えば、4.00g/m2 以上10.00g/m2 以下、好ましくは5.00g/m2 以上9.00g/m2 以下、更に好ましくは6.00g/m2 以上8.00g/m2 以下(7.09g/m2 など)であっても構わない。
その他のパイル布帛1の構成、作用効果及び使用態様は、第1実施形態と同様である。
図5には、本発明の第3実施形態に係るパイル布帛1が示されている。
この第3実施形態において第1、2実施形態と最も異なるのは、捲縮部10と非捲縮部11を有している点である。
図5に示したように、捲縮部10は、上述した捲縮糸7がパイル2に用いられた部分であり、非捲縮部11は、上述した捲縮糸7がパイル2に用いられていない部分である。
つまり、パイル布帛1は、上述したパイル2の少なくとも一部に、捲縮糸7が用いられていることとなる。
尚、パイル布帛1が何れの模様・図柄(例えば、後述するストライプ等)であったとしても、そのパイル2に捲縮糸7を用いるか否か(つまり、捲縮部10であるか非捲縮部11であるか)に関わらず、当該パイル布帛1の基布3を織成(形成)する糸(経糸や緯糸)は、特に限定されず、例えば、普通糸(つまり、非捲縮糸7’)や、捲縮糸7であっても良い。
ここまで述べた捲縮部10は、パイル布帛1のパイル面1aにおいて、その面積率Qが所定の値であっても良い。
ここで、本発明における「捲縮部10の面積率Q」とは、捲縮部10と非捲縮部11を含む単位面積における捲縮部10の面積の割合を意味する。
この面積率Qも、特に限定はないが、例えば、10%以上100%以下、好ましくは10%以上90%以下、更に好ましくは20%以上80%以下、より更に好ましくは30%以上70%以下(50%など)であっても良い。
上述した捲縮部10と非捲縮部11は、平面視で、何れの配置をされていても良いが、例えば、ストライプ状に配置されていたり(略帯状の捲縮部10と、略帯状の非捲縮部11が、交互に配置されていたり、図5参照)、水玉状や、チェック柄状等に配置されていても良い。
以下、捲縮部10(つまり、捲縮部10と非捲縮部11)は、平面視で、ストライプ状に配置されていることを、主として述べる。
又、捲縮部10と次の捲縮部10との間の幅方向における距離(つまり、略帯状の非捲縮部11の幅)W’も、特に限定はないが、上述した捲縮部10の幅Wと略同じ値であったり、異なった値であっても良く、例えば、1mm以上200mm以下、好ましくは3mm以上100mm以下、更に好ましくは5mm以上70mm以下、より更に好ましくは5mm以上50mm以下(8mm、16mm、32mm、64mm、100mm(又は、110mm(100羽))など)であっても構わない。
又、捲縮部10の幅Wと非捲縮部11の幅W’が異なる値である場合は、上述した捲縮部10の面積率Qは、当然に、50%以外の値となるが、例えば、10%以上100%以下(50%を除く)、好ましくは10%以上90%以下、更に好ましくは20%以上80%以下(50%を除く)、より更に好ましくは30%以上70%以下(50%を除く)であっても良い。
尚、パイル織物1’等のパイル布帛1におけるストライプは、当該パイル織物1’等の経方向や緯方向やバイアス方向(斜め方向)など、何れの方向に沿って配置しても良い。
第3実施形態のパイル布帛1において、捲縮部10のパイル長2L(パイル高さ)は、非捲縮部11のパイル長2L(パイル高さ)より低くても良い。
その他のパイル布帛1の構成、作用効果及び使用態様は、第1、2実施形態と同様である。
図1、3〜5に示したように、繊維製品20は、上述したパイル布帛1を少なくとも一部に用いていた製品である。
繊維製品20は、例えば、鉄道車両や自動車、航空機、船舶等のシートを覆うシートカバーや、鉄道車両や自動車等の内装材など乗物内装用途や、ベルト、重布、袋類などの産業資材用途、カーテン、カーペット等のインテリア用途、シャツやブルゾン、パンツといった衣料用途、カップやパッド等の衣料資材用途であっても良い。
ここからは、まずパイル布帛1の具体例1〜6について言及する。
これらの具体例1〜6を用いて、後述する試験1〜3−1、3−2を行う。
尚、後述する具体例1〜6における基布3を織成(形成)する糸(経糸や緯糸)は、特に限定されず、例えば、普通糸(つまり、非捲縮糸7’)や、捲縮糸7であっても良い。
具体例1におけるパイル布帛1は、上段・中段・下段を有したダブルモケット織機によるモケット(経パイル織物)1’であって、パイル2(パイル糸1C’)すべてに、捲縮率Kが0%の非捲縮糸7’を用いて織成した。
つまり、具体例1では、捲縮率Kが約10%の捲縮糸7は一切用いられておらず、この捲縮糸7の混合率(パイル混合率)Jは「0.0%」となる。
尚、このモケット1’は、色の違うパイル糸1C’が所定の位置で立設することで図柄が形成され、そのパイル糸1C’(パイル2)は、色の違う4つの部(以下、色によってA部、B部、C部、D部)とベース部を有しており、これらA〜D部とベース部すべてには、3本の非捲縮糸7’を撚り合わせた撚糸8が用いられている。
又、具体例1のモケット1’のパイル長2Lは2.6mmで、目付は680g/m2 、基布3の緯糸1B’の密度は、200本/10cmである。
具体例1のモケット1’において、A〜D部とベース部のうち、A部とD部とベース部には、そのまま3本の非捲縮糸7’を撚り合わせた撚糸8を用いるが、B部とC部には、2本の捲縮糸7を撚り合わせた撚糸8を用いて織成することで、捲縮糸7の混合率Jを「17.6%」に変えて、具体例2のモケット1’とした。
尚、具体例2のモケット1’も、パイル長2L・基布3の緯糸1B’の密度は具体例1と同じ値だが、目付は658g/m2 となった。
具体例1のモケット1’において、A〜D部とベース部のうち、A部とD部には、2本の捲縮糸7を撚り合わせた撚糸8を用い、B部とC部とベース部には、3本の非捲縮糸7’を撚り合わせた撚糸を用いて織成することで、捲縮糸7の混合率Jを「17.5%」に変えて、具体例3のモケット1’とした。
尚、具体例3のモケット1’も、パイル長2L・基布3の緯糸1B’の密度は具体例1と同じ値だが、目付は667g/m2 となった。
具体例1のモケット1’において、A〜D部とベース部のパイル2すべてに、1本の捲縮糸7と、2本の非捲縮糸7’を撚り合わせた杢糸8’を用いて織成することで、捲縮糸7の混合率Jを「35.7%」に変えて、具体例4のモケット1’とした。
尚、具体例4のモケット1’も、パイル長2L・基布3の緯糸1B’の密度は具体例1と同じ値だが、目付は711g/m2 となった。
具体例1のモケット1’において、A〜D部とベース部のパイル2すべてに、2本の捲縮糸7と、1本の非捲縮糸7’を撚り合わせた杢糸8’を用いて織成することで、捲縮糸7の混合率Jを「69.2%」に変えて、具体例5のモケット1’とした。
尚、具体例5のモケット1’も、パイル長2L・基布3の緯糸1B’の密度は具体例1と同じ値だが、目付は725g/m2 となった。
具体例1のモケット1’において、A〜D部とベース部のパイル2すべてに、2本の捲縮糸7を撚り合わせた撚糸8を用いて織成することで、捲縮糸7の混合率Jを「100.0%」に変えて、具体例6のモケット1’とした。
尚、具体例6のモケット1’は、パイル長2L・基布3の緯糸1B’の密度は具体例1と同じ値だが、目付は558g/m2 となった。
試験1では、上述した具体例1〜6のモケット1’に対して、所定量の蒸留水を滴下し、所定範囲のパイル2及び基布3全体が濡れた状態となった後に、モケット1’のパイル面1aにおいて、液体Eに濡れたか否かや、濡れた箇所を視認できるかの濡れ評価をした。
この濡れ評価の結果と共に、具体例1〜6において、A〜D部とベース部でのパイル糸1C’の用い方や混合率Jを、以下の表1に示す。
尚、表1中の濡れ評価は、パイル面1aにおいて、「蒸留水に濡れたか否かや、濡れた箇所を全く視認できない」とき「×」とし、「蒸留水に濡れたか否かや、濡れた箇所を視認し難い」とき「△」とし、「蒸留水に濡れたか否かや、濡れた箇所を視認できる」とき「○」とし、「蒸留水に濡れたか否かや、濡れた箇所を明確に視認できる」とき「◎」としている。
又、図1には、具体例6のモケット1’に蒸留水を滴下した際の断面が示され、図2には、具体例1のモケット1’に蒸留水を滴下した際の断面が示されている。
表1で示されたように、具体例1〜6において、具体例1以外の具体例2〜6は、蒸留水を滴下することによって、パイル面1aに何らかの色の変化が出ており、実施例であるとも言える。
一方、具体例1は、蒸留水に濡れたか否かや、濡れた箇所を全く視認できず、又、図2に示したように、濡部4において、液体保持部5を有していないことから、比較例であるとも言える。
又、具体例1〜6においては、捲縮糸7の混合率Jが徐々に上がるにつれて、濡れ評価の結果も、「×」から「◎」に上がっていることから、混合率Jが所定値を境に濡れ評価が「○」以上になると言える。
その所定値は、具体例4、5をふまえれば、濡れ評価が「△」から「○」に変わる混合率Jが「35.7%」と「69.2%」の間に存在し、その混合率Jの所定値は「50.0%」であると言え、混合率Jが50.0%以上であれば、具体例5、6のように、更に「濡れ状態の明確化」が図れるとも言える。
試験2では、上述した具体例1〜6のモケット1’に対して、所定量の蒸留水を滴下する前の非濡部6と、所定量の蒸留水を滴下して所定範囲のパイル2及び基布3全体が濡れた状態となった後の濡部4両方において、モケット1’のパイル面1aの所定部分(B部とベース部を含む部分)を、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製 CM−2600d)にて、JIS−L−0805:2005に準ずるL* a* b* 表色系によるL* 、a* 、b* の値を測色した。
この測色した濡部4と非濡部6におけるL* 、a* 、b* の差に基づいて、濡部4と非濡部6との色差ΔE* abを算出し、L* 、a* 、b* と、濡部4と非濡部6におけるそれぞれの差ΔL* 、Δa* 、Δb* と、色差ΔE* abと共に、表1でも示した濡れ評価を、以下の表2に示す。
ここで、表2において、具体例3のL* 、a* 、b* から色差ΔE* abまでの値として、「−」が入力されているのは、具体例3のB部・ベース部におけるパイル糸1C’の用い方が、具体例1と全く同じためである。
表2で示したように、具体例1〜6において、パイル2中のB部やベース部に捲縮糸7を用いた具体例2、4〜6は、それぞれの色差ΔE* abが「4.92」、「5.18」、「6.03」、「7.34」となっており、これは、蒸留水を滴下することによってパイル面1aに、JIS−L−0805:2005に準ずる色票Tで「4未満」に区分される色の変化が出ており、実施例であるとも言える。尚、JIS−L−0805:2005は、汚染用グレースケールに関する規格であり、色票Tの数値が小さいほど、色の違いが大きいことを示す。
これに対して、特に具体例1は、蒸留水を滴下してもパイル面1aには、色差ΔE* abが「3.57」と、JIS−L−0805:2005に準ずる色票Tで「4を越える」色の変化しか出ておらず、この程度の変化では、蒸留水に濡れたか否かや、濡れた箇所を視認できないことからも、比較例であるとも言える。
又、具体例1〜6においては、濡部4と非濡部6との色差ΔE* abも、これが徐々に上がるにつれて、濡れ評価の結果が「×」から「◎」に上がっていることから、色差ΔE* abが所定値を境に濡れ評価が「○」以上になると言える。
その所定値は、具体例4、5をふまえれば、濡れ評価が「△」から「○」に変わる色差ΔE* abが「5.18」と「6.03」の間に存在し、その色差ΔE* abの所定値は「5.5」であると言え、色差ΔE* abが5.5以上であれば、具体例5、6のように、更に「濡れ状態の明確化」が図れるとも言える。
試験3−1では、上述した具体例1、6のモケット1’に対して、それぞれを10cm×4cmの大きさに裁断したサンプルの重さ(布帛重さM2)を測定する。
次に、具体例1、6の各サンプルを水に2分間浸漬し、略水平な場所に2分間静置した後(静かに載置した後)、水を含んだ状態の各サンプルの重さ(含液布重さM3)を測定し、この含液布重さM3から布帛重さM2を引いて、液体重さM1と含液率Gを算出した。
この試験3−1における布帛重さM2、含液布重さM3、液体重さM1、含液率Gを、以下の表3に示す。
尚、この試験3−1における単位面積とは、サンプルの大きさ10cm×4cm=40cm2 であるとも言え、例えば、布帛重さM2や液体重さM1を40で割ることで、1cm2 当りの値がそれぞれ算出できるが、布帛重さM2と液体重さM1の両方を同じ40で割るため、サンプルの大きさ10cm×4cmそのままの布帛重さM2や液体重さM1を使っても、結局、含液率Gは変わらない。
試験3−2では、上述した試験3−1における具体例1、6の各サンプルを、同じく水に2分間浸漬し、今度は略垂直に吊り下げ、この吊下げ開始から5分後と10分後に、水を含んだ状態の各サンプルの重さ(含液布重さM3)を測定し、この含液布重さM3から布帛重さM2を引いて、液体重さM1と含液率Gを算出した。
この試験3−2における布帛重さM2と、吊下げ開始から5分後及び10分後の含液布重さM3、液体重さM1、含液率Gを、以下の表4に示す。
表3、4で示したように、具体例1、6において、略水平な場所に静置した場合、略垂直に吊り下げた場合の両方で、捲縮糸7の混合率Jの高い具体例6の方が、含液率Gが高くなっている。
又、略水平な場所に静置した場合では、具体例1、6の含液率Gの差は約「33%」であるが、略垂直に吊り下げた場合では、具体例1、6の含液率Gの差は約「100%」と、略垂直に吊り下げた場合の方が、具体例1、6の含液率Gの差が大きくなっている。
更に、各含液率Gの具体的な値まで言及すれば、具体例1の場合は、最も高い含液率Gでも「234.1%」止まりであるが、捲縮糸7の混合率Jが高い具体例6の場合は、最も低くとも「255.9%」で、これよりも高い「260.8%」や「277.0%」などの値も出ている。
従って、具体例1、6においては、含液率Gが上がるにつれて、表1、2で示したように、濡れ評価の結果も「×」から「◎」に上がると言えることから、含液率Gが所定値を境に濡れ評価が「◎」に近づくと言える。
その所定値は、具体例1、6をふまえれば、含液率Gが「234.1%」と「255.9%」の間に存在し、その含液率Gの所定値はおおよそ「250%」であると言え、含液率Gが250%以上であれば、具体例6のように、更に「濡れ状態の明確化」が図れるとも言える。
又、このような座部や背凭れ部等を問わない「濡れ状態の明確化」は、含液率Gを260%以上とするだけでなく、上述してきた濡部4が液体保持部5を有したり、濡部4と非濡部6との色差ΔE* abが5.5以上であったり、濡部4と非濡部6との色票Tが4未満であったり、捲縮糸7の混合率(パイル混合率)Jが50%以上である等の場合でも同様であると言える。
ここからは、まずパイル布帛1の具体例7〜10について言及する。
これらの具体例7〜10と、上述した具体例1を用いて、後述する試験4を行う。
尚、後述する具体例7〜10における基布3を織成(形成)する糸(経糸や緯糸)も、特に限定されず、例えば、普通糸(つまり、非捲縮糸7’)や、捲縮糸7であっても良い。
具体例1のモケット1’において、当該具体例1と同じA〜D部とベース部の模様・図柄・色彩(色相)を有するものの、これらの模様・図柄・色彩(色相)等とは関係なく、捲縮率Kが約10%の捲縮糸7がパイル2(パイル糸1C’)に用いられた捲縮部10と、捲縮率Kが0%の非捲縮糸7’がパイル2(パイル糸1C’)に用いられた(つまり、捲縮率Kが約10%の捲縮糸7はパイル2に用いられていない)非捲縮部11を、当該モケット1’の経方向に8列(8羽)ごとに用いて織成することで、捲縮部10と非捲縮部11をストライプ状(縞状)に配置して、捲縮部10の面積率Qを「50.0%」に変えて、具体例7のモケット1’とした。
尚、具体例7のモケット1’は、捲縮部10の幅Wが「8mm(又は、8.8mm)」で、非捲縮部11の幅W’も「8mm(又は、8.8mm)」であり、捲縮糸7の混合率(パイル混合率)Jは「50.0%」で、パイル長2L・基布3の緯糸1B’の密度は具体例1と同じ値だが、目付は633g/m2 となった。
具体例1のモケット1’において、当該具体例1と同じA〜D部とベース部の模様・図柄・色彩(色相)を有するものの、これらの模様・図柄・色彩(色相)等とは関係なく、捲縮率Kが約10%の捲縮糸7がパイル2に用いられた捲縮部10と、捲縮率Kが0%の非捲縮糸7’がパイル2に用いられた非捲縮部11を、当該モケット1’の経方向に16列(16羽)ごとに用いて織成することで、捲縮部10と非捲縮部11をストライプ状(縞状)に配置して、捲縮部10の面積率Qを「50.0%」に変えて、具体例8のモケット1’とした。
尚、具体例8のモケット1’は、捲縮部10の幅Wが「16mm(又は、17.6mm)」で、非捲縮部11の幅W’も「16mm(又は、17.6mm)」であり、捲縮糸7の混合率(パイル混合率)Jは「50.0%」で、パイル長2L・基布3の緯糸1B’の密度は具体例1と同じ値だが、目付は633g/m2 となった。
具体例1のモケット1’において、当該具体例1と同じA〜D部とベース部の模様・図柄・色彩(色相)を有するものの、これらの模様・図柄・色彩(色相)等とは関係なく、捲縮率Kが約10%の捲縮糸7がパイル2に用いられた捲縮部10と、捲縮率Kが0%の非捲縮糸7’がパイル2に用いられた非捲縮部11を、当該モケット1’の経方向に32列(32羽)ごとに用いて織成することで、捲縮部10と非捲縮部11をストライプ状(縞状)に配置して、捲縮部10の面積率Qを「50.0%」に変えて、具体例9のモケット1’とした。
尚、具体例9のモケット1’は、捲縮部10の幅Wが「32mm(又は、35.2mm)」で、非捲縮部11の幅W’も「32mm(又は、35.2mm)」であり、捲縮糸7の混合率(パイル混合率)Jは「50.0%」で、パイル長2L・基布3の緯糸1B’の密度は具体例1と同じ値だが、目付は633g/m2 となった。
具体例1のモケット1’において、当該具体例1と同じA〜D部とベース部の模様・図柄・色彩(色相)を有するものの、これらの模様・図柄・色彩(色相)等とは関係なく、捲縮率Kが約10%の捲縮糸7がパイル2に用いられた捲縮部10と、捲縮率Kが0%の非捲縮糸7’がパイル2に用いられた非捲縮部11を、当該モケット1’の経方向に64列(64羽)ごとに用いて織成することで、捲縮部10と非捲縮部11をストライプ状(縞状)に配置して、捲縮部10の面積率Qを「50.0%」に変えて、具体例10のモケット1’とした。
尚、具体例10のモケット1’は、捲縮部10の幅Wが「64mm(又は、70.4mm)」で、非捲縮部11の幅W’も「64mm(又は、70.4mm)」であり、捲縮糸7の混合率(パイル混合率)Jは「50.0%」で、パイル長2L・基布3の緯糸1B’の密度は具体例1と同じ値だが、目付は633g/m2 となった。
試験4では、上述した具体例7〜10と具体例1のモケット1’に対して、所定量の蒸留水を滴下し、所定範囲のパイル2及び基布3全体が濡れた状態となった後に、モケット1’のパイル面1aにおいて、液体Eに濡れたか否かや、濡れた箇所を視認できるかの濡れ評価をした。
この濡れ評価の結果と共に、具体例7〜10、1において、捲縮部10や非捲縮部11の幅W、W’と、捲縮部10の面積率Qを、以下の表5や図5に示す。
尚、表5中の濡れ評価は、パイル面1aにおいて、「蒸留水に濡れた部分において、ストライプ(縞)が確認できず、濡れた箇所を視認し難い」とき「×」とし、「蒸留水に濡れた部分において、ストライプ(縞)が確認でき、濡れた箇所を視認できる」とき「○」とし、「蒸留水に濡れた部分において、ストライプ(縞)がはっきり確認でき、濡れた箇所もはっきり視認できる」とき「◎」としている。
又、図5(a)〜(e)には、具体例7〜10、1のモケット1’に蒸留水を滴下した際のパイル面1aの状態が示されている。
表5や図5で示されたように、具体例7〜10、1において、具体例1以外の具体例7〜10は、蒸留水を滴下することによって、パイル面1a中の蒸留水に濡れた部分において、少なくともストライプ(縞)が確認でき、濡れた箇所を視認できることから、実施例であるとも言える。
一方、具体例1は、パイル面1a中の蒸留水に濡れた部分において、ストライプ(縞)が確認できず、濡れた箇所を視認し難く、又、そもそも捲縮部10が無いことから、比較例であるとも言える。
又、具体例7〜10、1においては、捲縮部10が設けられたり、捲縮部10の幅Wや、非捲縮部11の幅W’が徐々に広がるにつれて、濡れ評価の結果も、「×」から「○」や、「○」から「◎」に上がっていることから、非捲縮部11の幅W’等が所定値を境に濡れ評価が「○」以上になると言える。
その所定値は、具体例1、10をふまえれば、濡れ評価が「×」から「○」に変わる「捲縮部10が無し(謂わば、非捲縮部11の幅W’が無限大)」と「非捲縮部11の幅W’が64mm」の間に存在し、その非捲縮部11の幅W’の所定値は「200mm」であると言え、非捲縮部11の幅W’が200mm以下であれば、具体例7〜10のように、「濡れ状態の明確化」が図れるとも言える。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。パイル布帛1、繊維製品20等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
パイル布帛1のパイル2は、上述のように、基布3の一方面(結果的に、この一方面が表面3aと言える)から立設した片面パイル布帛1だけでなく、基布3の両面(表面3a及び裏面3b)から立設した両面パイル布帛1であっても良い。
パイル布帛1は、必ずしも捲縮糸7が用いられていなくとも、例えば、パイル糸1Cの密度が所定値以上であること等によって、濡部4において液体高さHがパイル高さH’と略同じである液体保持部5を有していたり、濡部4において含液率Gが270%以上であったり、濡部4と非濡部6との色差ΔE* abが5.5以上であったり、濡部4と非濡部6との色票Tが4未満であれば、本発明に係るパイル布帛1であるとも言える。
この場合、撥液部9のように、撥水性・撥油性を発揮させる撥液素材を、パイル布帛1のパイル面1aに塗布等しないため、より風合い等を維持し易くなる。
パイル布帛1は、撚糸8を用いていなくとも良く、又、撥液部9を有していなくとも構わない。
又、捲縮部10と非捲縮部11が平面視でチェック柄状や、その他の模様状に配置されている場合であっても、捲縮部10と次の捲縮部10との間の経方向、緯方向又はバイアス方向における距離が、例えば、1mm以上200mm以下、好ましくは3mm以上100mm以下、更に好ましくは5mm以上70mm以下、より更に好ましくは5mm以上50mm以下であっても構わない。
1’ パイル織物
1A’ パイル織物の経糸
1B’ パイル織物の緯糸
1C’ パイル織物のパイル糸
2 パイル
2a パイルの先端
3 基布
4 濡部
5 液体保持部
6 非濡部
7 捲縮糸
8 撚糸
9 撥液部
10 捲縮部
11 非捲縮部
20 繊維製品
E 液体
S 液面
H 液体高さ
H’ パイル高さ
M1 液体重さ
M2 布帛重さ
G 含液率
ΔE* ab 色差
T 色票
K 捲縮率
J 混合率(パイル混合率)
Q 捲縮部の面積率
Claims (8)
- パイル(2)が基布(3)から立設したパイル布帛であって、
前記パイル(2)の少なくとも一部に、捲縮糸(7)が用いられており、
この捲縮糸(7)がパイル(2)に用いられた捲縮部(10)と、
前記捲縮糸(7)がパイル(2)に用いられていない非捲縮部(11)を有し、
前記捲縮部(10)と非捲縮部(11)を含む単位面積において、前記捲縮部(10)の面積率(Q)が、10%以上90%以下であり、
前記パイル(2)は複数本であり、
これら複数本のパイル(2)における隣接するパイル同士のパイル高さ(H’)が略同じであり、且つ、前記複数本のパイル(2)の先端で形成される当該パイル布帛のパイル面(1a)が略平面であることを特徴とするパイル布帛。 - 前記捲縮部(10)は、平面視で、ストライプ状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のパイル布帛。
- 当該パイル布帛は、そのパイル布帛が液体(E)に濡れた際にのみ当該濡れた箇所に濡部(4)が形成され、
前記濡部(4)は、10cm×4cmの大きさに裁断された当該パイル布帛のサンプルを液体(E)に2分間浸漬し、略水平な場所に2分間静置した後において、前記濡部(4)で単位面積当たりに含まれる液体(E)の液体重さ(M1)を、当該パイル布帛の単位面積当たりの布帛重さ(M2)で割った値に100を掛けた含液率(G)が250%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパイル布帛。 - 当該パイル布帛は、そのパイル布帛が液体(E)に濡れた際にのみ当該濡れた箇所に濡部(4)が形成され、
前記濡部(4)と、当該パイル布帛のうち液体(E)に濡れていない非濡部(6)とにおけるJIS−L−0805:2005に準ずるL* a* b* 表色系による色差(ΔE* ab)が5.5以上である、及び/又は、
前記濡部(4)と、当該パイル布帛のうち液体(E)に濡れていない非濡部(6)とにおけるJIS−L−0805:2005に準ずる色票(T)が4未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパイル布帛。 - 当該パイル布帛は、経糸と緯糸とパイル糸を有したパイル織物で構成され、
このパイル織物のパイル糸には、前記捲縮糸(7)が用いられ、
この捲縮糸(7)の重さを、前記パイル糸全体の重さで割った値に100を掛けた混合率(J)が50%以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のパイル布帛。 - 当該パイル布帛には、前記捲縮糸(7)を少なくとも1本含む複数本の糸を撚り合わせた撚糸(8)が用いられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のパイル布帛。
- 当該パイル布帛は、撥液処理が施された撥液部(9)を有していることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のパイル布帛。
- 請求項1〜7の何れか1項に記載のパイル布帛を少なくとも一部に用いていることを特徴とする繊維製品。
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