JP2016073374A - カーペットの製造方法 - Google Patents

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大介 八幡
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Abstract

【課題】本発明の課題は、優れた防汚性を有し、汚染液のこびりつきおよび汚染液の衣服等への移行を抑制でき、十分に染色されたカーペットの製造方法を提供することである。
【解決手段】(1)ポリアミドを含む繊維を染色する工程と、前記の染色された繊維をタフトしカーペット生地を得る工程と、前期カーペット生地を多価フェノール化合物の水溶液で処理する工程を有することを特徴とするカーペットの製造方法。
(2)ポリアミドを含む繊維をタフトしカーペット生地を得る工程と、前記カーペット生地を染色する工程と、前期の染色されたカーペット生地を多価フェノール化合物の水溶液で処理する工程を有することを特徴とするカーペットの製造方法。
である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミドを含むカーペットの製造方法に関する。
カーペットは、ホテル、飲食店、宴会場などの公共施設、また家庭のリビング、ダイニング、さらには、建物の入り口などの敷物として広く使用されているが、使用するにつれ、汚れが付着して外観が損なわれていく。特に飲食物などによる水系の汚れは、一度付着してシミになると、除去するのは難しい。そこで、従来から汚れがつきにくくするために、カーペットに防汚性を付与する検討が行われてきた。
カーペットに防汚性を付与する技術としては、撥水剤を塗布して汚れの吸着を防止する手法が一般的である(特許文献1参照)。
また、ポリアミド繊維からなるカーペットに対しては、原料ポリマーのアミノ末端基量を制御する方法が知られている(特許文献2参照)。
特開昭58−46176号公報 特開平1−221574号公報
特許文献1に記載のポリアミド合成繊維の加工方法は、ポリアミド合成繊維に撥水撥油性を付与して水や油をはじき汚れの吸着を防ぐものである。よって、上記の撥水撥油性を付与したポリアミド合成繊維を用いたカーペットは、優れた防汚性を有するものである。しかし、上記のカーペットに汚れが付着して、間を置かずすぐに拭き取る場合には問題はないが、汚れがカーペットに付着してから拭き取るまでに時間がかかる場合は、汚染液が乾燥してカーペット表面にこびりついてしまい、拭き取りが困難になるという課題がある。また、汚染液が付着してしばらくは、撥水撥油剤の効果で汚れがカーペット表面に水玉状になって乗っているため、汚れた部分に触れる衣類やその他の物品に汚れが移ってしまうという課題がある。
特許文献2に記載の防汚性ポリアミド繊維は、ポリアミド中のアミノ末端基量を少なく調整することで汚染物の吸着を抑制しようとするものである。特許文献2に記載の防汚性ポリアミド繊維は、撥水撥油性を有しないため特許文献1に記載のポリアミド合成繊維を用いたカーペットの上記の課題は有しない。また、ポリアミド中のアミノ末端基量を所望の範囲とする方法としては、アミノ末端基量の異なる原料ポリマーをブレンドする方法が開示されている。しかし、特許文献2に記載の防汚性ポリアミド繊維の製造方法には、原料ポリマーの管理や製糸時の管理が複雑で、生産性に劣るという課題がある。また、ポリアミド中のアミノ末端基量はポリアミド繊維の染色性に影響を及ぼすため、製糸の時点からアミノ末端基量を小さく調整した特許文献2に記載の防汚性ポリアミド繊維および上記の防汚性ポリアミド繊維を用いたカーペットは、それらの染色が十分になされないとの課題がある。
上記課題を解決するために、本発明では次のような手段を採用する。
すなわち、
(1)ポリアミドを含む繊維をタフトしカーペット生地を得る工程と、前記カーペット生地を染色する工程と、染色された前記カーペット生地を多価フェノール化合物の水溶液で処理する工程を有することを特徴とするカーペットの製造方法、
(2)ポリアミドを含む繊維を染色する工程と、染色された前記ポリアミドを含む繊維をタフトしカーペット生地を得る工程と、前期カーペット生地を多価フェノール化合物の水溶液で処理する工程を有することを特徴とするカーペットの製造方法、
(3)前記多価フェノール化合物の水溶液の濃度がカーペット生地全体に対して4〜15%owfであることを特徴とする(1)または(2)のカーペットの製造方法。
本発明によれば、優れた防汚性を有し、汚染液のこびりつきおよび汚染液の衣服等への移行を抑制でき、十分に染色されたカーペットの製造方法を提供することができる。
ポリアミドを含む繊維は、染色時はポリアミドのアミノ末端基に染料成分が吸着することで着色することが知られている。一方で、ポリアミドを含む繊維が汚れる場合、特に水系の汚れが付着した場合も、汚れ成分がアミノ末端基に吸着することでシミ汚れとして定着すると考えられている。したがって、本発明では、ポリアミドを含む繊維またはポリアミドを含む繊維をタフトして得られるカーペット生地(以下、ポリアミドを含む繊維等とする。)を多価フェノール化合物の水溶液で処理することで、多価フェノール化合物がポリアミドを含む繊維等の表面に存在するアミノ末端基に吸着し、皮膜を形成してアミノ末端基を覆うことでポリアミドを含む繊維の表面に露出するアミノ末端基量を少量とすることができ、それにより汚れがアミノ末端基に吸着しにくくなり、防汚性および拭き取り性に優れるカーペットを得ることができる。また、本発明の製造方法では、カーペットに防汚性を付与するのに撥水撥油剤を用いていないため、カーペットに汚染液が付着しても、汚染液のカーペットへのこびりつき、および、汚染液の衣服等への移行が抑制される。
本発明のカーペットの製造方法においては、処理の順序が重要である。すなわち、はじめにポリアミドを含む繊維等を染色し、その後にポリアミドを含む繊維等を多価フェノール化合物の水溶液で処理することで、ポリアミドを含む繊維等の染色性を損なうことなく、十分な染色を行うことができ、所望の意匠のカーペットを得ることが可能となる。
また、本発明のカーペットの製造方法においては、タフト工程の後に多価フェノール化合物の水溶液で処理する工程を行うことが重要である。多価フェノール化合物の水溶液で処理する工程の後にタフト工程を行うと、得られるカーペットの防汚性が低下する傾向が見られる。多価フェノール化合物によるポリアミド末端基の皮膜が剥がれポリアミドを含む繊維の表面に露出するアミノ末端基量が増加するためと考えられる。また、タフト工程の後に多価フェノール化合物の水溶液で処理する工程を行うことによる効果は、タフトの段階で繊維を切断するカットパイルが含まれるデザインのカーペット(以下、カットパイルカーペットとする)の製造時により顕著なものとなる。具体的には、カットパイルカーペットの防汚性が優れたものとなる。ポリアミドを含む繊維を切断するタフト工程の後に多価フェノール化合物の水溶液で処理する工程を行うことで、ポリアミドを含む繊維の切断面に露出するアミノ末端基にも多価フェノール化合物が吸着し、ポリアミドを含む繊維の表面に露出するアミノ末端基の量をより適切に調整することができるためである。
ここで、多価フェノール化合物としては、例えば、天然タンニンやノボラック型、レゾール型などのフェノールホルマリン樹脂のスルホン化物に代表される合成タンニンなどを挙げることができる。なお、前記天然タンニンを使用する場合は、吐酒石と併用するのがカーペットへの優れた防汚性付与の観点から好ましい。かかる多価フェノール化合物を用いれば、多価フェノール化合物がポリアミド系繊維の表面により皮膜を形成しやすくなり、汚れ成分の吸着を阻止する機能をより発揮するために好ましい。
また、ポリアミドを含む繊維のタフトはタフト織機を用いてポリアミドを含む繊維を表糸として任意の布帛にタフトすればよい。パイルカーペットの意匠としては特に制約はなく、カットやループ形態、カット&ループ形態などがある。
ここで、本発明のカーペットの製造方法の一つの態様は、ポリアミドを含む繊維を染色する工程と、前記の染色された繊維をタフトしカーペット生地を得る工程と、前期カーペット生地を多価フェノール化合物の水溶液で処理する工程を有するものである。この態様においては、様々な色で染色されたポリアミドを含む繊維を用いることができ色彩に優れたカーペットを得ることができる。
ここで、ポリアミドを含む繊維の染色については、カセ染色機、チーズ染色機、ビーム染色機、液流染色機、気流染色機等を用いて、公知の方法などで染色することができる。
次に、本発明のカーペットの製造方法のもう一つの態様は、ポリアミドを含む繊維をタフトしカーペット生地を得る工程と、前記カーペット生地を染色する工程と、前記の染色されたカーペット生地を多価フェノール化合物の水溶液で処理する工程を有するものである。この態様においては、ポリアミドを含む繊維をタフトしたカーペット生地全体にわたって均一に染色処理を施すことができるため、色むらがより抑制されたカーペットを得ることができる。
また、カーペット生地の染色は、タフト織機上でロールアップした生地を、ジッガー、ウインス、ロータリーワッシャーなどを用いた浸漬法や、インクジェットプリントなど、公知の方法で染色すればよい。
また、この態様においては、染色工程と多価フェノール化合物の水溶液による処理工程の加工方法を適切に組み合わせると連続して処理を施すことが可能となり、ロールアップ回数や横持ちを省略することができる。たとえば、ウインス染色機を用いて染色する場合、染料がポリアミドを含む繊維をタフトしたカーペット生地に吸着した後に処理液だけを染料から多価フェノール化合物の水溶液に入れ替えれば、同じウインス染色機で染色後のポリアミドを含む繊維をタフトしたカーペット生地に多価フェノール化合物の水溶液による処理を施すことができる。
また、カーペット生地の多価フェノール化合物の水溶液による処理は、パッドキュアー法やグラビア法、スプレー法またはジッガー、ウインスもしくはロータリーワッシャーなどを用いた浸漬法により行うことができる。上記のカーペット生地の多価フェノール化合物の水溶液による処理の方法は、用いる多価フェノール化合物の種類や溶媒の種類等により適宜選択することができる。
多価フェノール化合物の水溶液による処理を浸漬法にて行う場合、多価フェノール化合物がカーペット生地全体に対し、4〜15%owfとなるよう調整された多価フェノール化合物の水溶液で処理することが好ましい。ここで、多価フェノール化合物の水溶液の濃度の下限は、5%owf以上がより好ましく、上限は、10%owf以下がより好ましい。上記範囲に多価フェノール化合物の水溶液の濃度を調整することで、短時間の処理でポリアミド繊維中のアミノ末端基に多価フェノール化合物を吸着させることができ、また、多価フェノール化合物によるポリアミド繊維の変色も最小限に抑えることができる。具体的には、多価フェノール化合物の水溶液の濃度を4%owf以上とすることで、アミノ末端基への多価フェノール化合物の吸着がより促進され、多価フェノール化合物の水溶液による処理の時間をより短くすることができるとともに、多価フェノール化合物のポリアミド繊維への吸着が強固になり、工業洗濯を繰り返しに対しても加工剤が脱落することを防ぐことができ、汚れの拭き取り性を長く維持することができる。また、一方で、多価フェノール化合物の水溶液の濃度を15%owf以下とすることで、ポリアミドを含む繊維に多価ポリフェノール化合物の色が付着して得られるカーペットの色目がずれるのをより抑制することができる。
また、多価フェノール化合物の水溶液による処理の温度は80℃〜120℃とすることが好ましく、より好ましくは、下限が90℃以上であり、上限が100℃以下である。処理の温度を80℃以上とすることで、多価ポリフェノール化合物のポリアミドを含む繊維への吸着速度が早くなり処理時間の短縮が可能となるとともに、多価ポリフェノール化合物のポリアミドを含む繊維への吸着力もより強くなる。また、処理温度を120℃以下とすることで、ポリアミドを含む繊維をタフトしたカーペット生地の風合いの変化をより抑制することができる。
すなわち、多価フェノール化合物の水溶液の濃度および多価フェノール化合物の水溶液による処理温度を上記の範囲に調整することで、ポリアミドを含む繊維表面に形成された多価フェノール化合物による皮膜の、磨耗や洗浄に対する耐久性を向上させることができる。特に、ダストコントロールマットは、一定期間使用した後に工業洗濯によって汚れを除去して繰り返し使用することが一般的である。繰り返しの工業洗濯に対するカーペットの防汚機能の耐久性が高ければ、使用および洗濯の回数を重ねた後も防汚性能が低下しないため、好ましい。また、洗濯の際に洗い出された洗浄液の汚れがカーペットに付着する再汚染の問題があるが、本発明の多価フェノール化合物の水溶液による処理は、汚れの吸着を防ぐ効果があるため、再汚染も汚れと同様の原理で防ぐことができる。
さらに、汚染物のカーペットへの吸着性を低下させつつ、汚染物のカーペットからの脱落性も向上させることから、カーペットの洗濯の条件を緩和することができる。すなわち、洗浄時間の短縮、洗剤濃度の低減、または洗浄温度の抑制は洗浄費用の削減につながるだけでなく環境負荷を低減させる観点からも好ましい。
本発明で用いるポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド56、ポリアミド46や、これらポリアミドのコポリマーなどからなるポリアミド系繊維であればよく、特に限定されるものではないが、カーペットとしての耐候性、摩耗性の良好なポリアミド6、または、ポリアミド66であることがより好ましい。
また、本発明で用いるポリアミドを用いる繊維は、目的効果を損なわない範囲で、共重合成分を含んでいても良い。
また、ポリアミドを含む繊維の形態は、芯鞘複合糸、バイメタル複合糸などの単繊維内複合糸であったり、他のポリマーとアロイ化したアロイ繊維であったりしてもよい。芯鞘複合糸としては、単芯、多芯、芯成分部分露出のものが例示できる。
また本発明で用いるポリアミドを含む繊維は、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤、耐候剤、光沢改善剤、結晶核剤、可塑剤、帯電防止剤及び難燃剤等からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい。なお、耐候剤として銅化合物などをポリアミドを含む繊維中に存在させる場合にも、それらの添加は紡糸前に行われるが、その添加方法は添加する化合物の種類や特性に応じて決定すればよい。
本発明で用いるポリアミドを含む繊維は、公知の溶融紡糸法などで製造すればよい。溶融紡糸装置は、エクストルーダー型紡糸機またはプレッシャー型紡糸機のいずれも使用可能であるが、生産性や品質の均一性の点からエクストルーダー型紡糸機が好ましい。
本発明で用いるポリアミドを含む繊維は、単繊維の横断面形状が、丸型、Y型、多葉型、多角形型、扁平型、中空型、田型などの多種多様の断面形状を取ることができ、例えば横断面形状がY断面であり、断面内に中空部をも有するY中空断面等の横断面形状を採用することもできる。またパイル糸を構成するポリアミド繊維がマルチフィラメントである場合、それぞれの単繊維の断面形状は同一であっても異なっていても良い。
さらに、本発明で用いるポリアミドを含む繊維は、単繊維の異形度が1.3〜8であることが好ましく、異形度が1.3以上であることで嵩高性に優れるパイル糸を得ることができる。また、異形度が1.3以上であることで単繊維の表面積が大きくなりパイル糸の吸水性がより向上する。一方、異形度が8以下であることで踏み付けや摩耗による単繊維の断裂がより起こりにくく耐久性により優れるパイル糸を得ることができる。単繊維の異形度は、下限は1.5以上がより好ましく、2以上がさらに好ましい。一方で、上限は、7.5以下がより好ましく、7以下がさらに好ましく、5以下が特に好ましい。ここで、単繊維の異形度は、実施例に記載の方法で単繊維の横断面を観察し、横断面の外接円の直径D1と、内接円の直径D2の比(D1/D2)として定義する。
本発明で用いるポリアミド繊維は、長繊維であっても良いし、適度な長さに切断された短繊維であってもよい。ポリアミドは、溶融紡糸法による繊維化が可能なため、繊維形態は任意に選択することができるが、耐久性の面から長繊維であることが好ましい。パイル糸を構成する繊維を長繊維とすることで、歩行による踏みつけやワゴンのキャスターによる磨耗への耐久性が増し、長期間にわたって品位と性能を維持することができ耐久性に優れたカーペットを得ることができる。
また、本発明で用いるポリアミドを含む繊維は、BCFであることが好ましい。BCFは、単繊維の屈曲や、単繊維同士の絡み合いによって嵩高性を有する嵩高連続長繊維(Bulked Continuous Filament:以下、BCFとする。)である。ポリアミドを含む繊維がBCFであることで上記のポリアミドを含む繊維の嵩高性をより向上させることができるとともに、クリーニングや繰り返し踏みつけに対する耐久性もより向上するため好ましい。
ポリアミドを含む繊維をBCFとする方法、すなわち、ポリアミドを含む繊維への捲縮付与方法としては、例えば、スタッフィングボックス法、押し込み加熱ギア法、高速エアー噴射押し込み法、流体座屈圧縮法等が挙げられる。これらの捲縮付与は、紡糸して得た糸条をいったん巻き取ってから別工程で処理しても良いし、紡糸された糸条を巻き取ることなくそのまま捲縮付与装置に導き、処置してもよい。
本発明のポリアミドを含む繊維がBCFである場合、その単繊維繊度は、好ましくは3〜30デシテックスである。下限については、10デシテックス以上がより好ましく、上限については25デシテックス以下がより好ましい。単繊維繊度が3デシテックス以上では、流体捲縮加工において十分な捲縮が得られ、またカーペットの風合いもより良好なものとなり、摩耗も抑制され、さらにはカーペット使用中にピリングと呼ばれる糸玉の発生も抑制される。また、単繊維繊度が30デシテックス以下では、紡糸時の冷却が十分になされるので、球晶成長が抑制され、延伸時の単繊維切れの発生が抑制される。また、単繊維繊度が30デシテックス以下では、カーペットとしての風合いもより良好なものとなる。
また、BCFは、複数本を合糸して撚りをかけた撚糸とすることも、カーペットの意匠性、風合い、手触り等の点で良い。撚りの回数としては、50回/m以上が好ましく、80回/m以上がより好ましい。一方で、250回/m以下が好ましく、200回/m以下がより好ましい。かかる範囲内とすることで、タフト後の意匠性、風合い、手触り等に優れた特徴を発現する。また、撚りをかけた後に、形態を保持させる為に熱セットを施すことが好ましい。その熱セット温度としては、80〜150℃が撚糸後の糸の形態安定性を良好なものとする上で好ましい。
本発明の製造方法から得られるカーペットは、上記ポリアミドを含む繊維以外の繊維をパイル部に含んでいてもよい。混繊の具体的な態様としては例えば、片撚りや諸撚り、インターミングル機による混繊などを挙げることができる。また、タフト時に異なる2種類以上の繊維を仕掛けてタフトしてもよい。ただし、水系汚れに対する拭き取り性を活かすために、カーペットのパイル部における上記ポリアミドを含む繊維の含有量としては、カーペットのパイル部100質量%に対し、50質量%以上とすることが好ましい。
本発明のポリアミドを含む繊維をタフトする工程、すなわち、タフティング工程では、表糸を基布に植え込んでカーペット生地を製造する。基布としては従来公知のものを使用することができ、例えばスパンボンド法にて製造されたポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性フィラメントからなる不織布や長繊維織物が用いられる。
タフト工程で得られたカーペット生地は、多価フェノール化合物の水溶液により処理された後、表地のほつれを防止する目的から、目止め加工を施す。上記の目止め加工に用いる目止め剤としては、SBR系やNBR系のラテックスが例示できる。目止め加工を施した後、裏加工を施す。ジュートや布職布をラテックスによって接着しても良いし、カーペット生地の裏面にラテックスをシート状に押し出して接着しても良い。
以下、本発明を、実施例を用いて詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
A.アミノ末端基量
試料(捲縮糸または樹脂)1gを50mLのフェノール/エタノール混合溶液(フェノール/エタノール=80/20)に、30℃で振とう溶解させて溶液とし、この溶液を0.02Nの塩酸で中和滴定し要した0.02N塩酸量を求めた。また、上記フェノール/エタノール混合溶媒(上記と同量)のみを0.02N塩酸で中和滴定し要した0.02N塩酸の量を求める。そしてその差から試料1tonあたりのアミノ末端基量を求めた。
B.総繊度および単繊維繊度
1m/周の検尺機にて0.05cN/dtexの張力を掛けながら10回転させて得た、全長10mのかせの重量を測定し、1000倍することで総繊度を求めた。そして総繊度をフィラメント数で除することで単繊維繊度を求めた。
C.沸騰水処理後の捲縮伸長率
室温25℃、相対湿度65%の雰囲気中に24時間放置されていたパッケージから解舒した捲縮糸を、無荷重状態で、30分間沸騰水で浸漬処理した後、室温25℃、相対湿度65%で24時間乾燥し、これを沸騰水処理後の捲縮伸長率を測定する試料とした。この試料に、室温25℃、相対湿度65%の雰囲気下において、2mg/dtexの初荷重をかけ、30秒経過した後に試料長50cm(L1)にマーキングをした。次いで初荷重を除去した後、同試料に100mg/dtexの定荷重をかけて30秒経過後に伸びた試料長(L2)を測定する。そして下記式により、沸騰水処理後の伸長率(%)を求めた。
沸騰水処理後の捲縮伸長率(%)=[(L2−L1)/L1]×100。
D.異形度
BCFを包埋材で固定して切片を切り出し、脱包埋後、光学顕微鏡で500倍に拡大して写真撮影した。また同じく500倍でスケールも撮影した。該画像をデジタル化した後、三谷商事(株)の画像解析ソフト「WinROOF、ver5.0」を用い、単繊維の横断面の外接円の直径D1と、単繊維の横断面の内接円の直径D2を計測した。そして次式により単繊維の異形度を求めた。そしてBCFを構成する全ての単繊維の異形度を算出した後、大きいものから10個を選択して平均化し、少数第2位を四捨五入した値を異形度とした。
異形度=D1/D2
なお外接円とは、単繊維の横断面の輪郭と少なくとも2点で接し、単繊維の横断面を包含する円の内で直径が最小のものと定義する。また内接円とは、単繊維の横断面の輪郭と少なくとも2点で接し、単繊維の横断面に包含される円の内で直径が最大のものと定義する。
E.撚り数
JISL1013(2010)に従い、浅野機器(株)製の検撚機を用いて、つかみ間隔を50cmとして8.82mN×表示dtexの初荷重の下で試料を取り付け、撚り数を測定し、2倍して1mあたりの撚り数を求めた。
F.パイル糸の目付
タフト前の基布を50cm角に切り出して基布重量を測定する。続いて、タフト後のカーペットを50cm角に切り出してカーペット重量を測定する。カーペット重量から基布重量を差し引き、当該試料におけるパイル糸の重量を得る。パイル糸の重量を単位面積(1m)あたりに換算したものをパイル糸の目付とした。
G.アルカリ洗浄処理
pH=12に調整した水酸化ナトリウム溶液を、浴比1:30となるように準備し、「無リンダッシュ」(ライオンハイジーン(株)製)を5g/L添加した洗浄液に試料を投入し、多色ポット染色試験機(テクサム技研社製(UR・MINI−COLOR)にて、2℃/分で90℃まで昇温し、90℃に達してから360分間処理する。冷却後、洗濯機によって20分間のすすぎを行い、脱水したうえで、100℃で30分間乾燥するまでを1サイクルとして、5サイクル繰り返し処理する。
H.アルカリ洗浄後のアミノ末端基量
「G.アルカリ洗浄処理」の方法でアルカリ洗浄処理を施した試料のアミノ末端基濃度を前述の「A.アミノ末端基量」の方法で測定した。
I.摩耗減量率
カーペットを直径120mmの円形状に切り出し、中央に6mmの穴を空けて試験片とした。該試験片を、ASTM D 1175(1994)に規定されるテーバー摩耗試験機(Rotary Abraster)に表糸を上に向けて取り付け、H#18摩耗綸、圧縮荷重1kgf(9.8N)、試料ホルダ回転速度70rpm、摩耗回数1000回の摩耗試験を行った前後の試料重量を測定した。これらの測定値と下記の式を用いて摩耗減量率を算出した。
摩耗減量率(%)=(W0−W1)×100/(W2×A1)
W0:測定前の円形カーペットの重量(g)
W1:測定後の円形カーペットの重量(g)
W2:カーペットの目付(g/m
A1:摩耗輪が接触する部分の全面積(m)。
J.アルカリ洗浄後の摩耗減量率
「G.アルカリ洗浄処理」の方法でアルカリ洗浄処理を施したカーペットの試料の摩耗減量率を前述の「I.摩耗減量率」の方法で測定した。
K.防汚性
試料カーペットのうえに直径4cmのシリンダーを置き、その中に汚染液として“ニッキ水”(ハタ鉱泉製)を0.50ml/cm(6.28ml)となるように滴下し、薬さじで均等になじませたのちに、70℃×1hrで乾燥する。24hr放置したのちに流水で軽く洗浄し、試験片を70℃×1hrで乾燥し、汚れの状態を観察し、次の4段階で評価した。
a.汚染なし
b.僅かに汚染が認められる
c.汚れが認められる
d.著しい汚染。
L.アルカリ洗浄後の防汚性
「G.アルカリ洗浄処理」の方法でアルカリ洗浄処理を施したカーペットの試料の防汚性を前述の「K.防汚性」の方法で測定した。
M.多価フェノール化合物の水溶液による処理前後の色変化度
多価フェノール化合物の水溶液による処理の前後のカーペット生地を、ミノルタ社製色彩色差計(CR−310)を用いてL*値を測定し、次の式を用いて処理前後の色変化の程度を求めた。
色変化度=|La−Lb|/La ×100
ここで、
La:多価フェノール化合物の水溶液による処理前のL*値、
Lb:多価フェノール化合物の水溶液による処理後のL*値であり、
色変化度の数値が大きいものほど、色変化が大きいことを表す。
N.カーぺットの染色性
完成したカーペットのL*値を、ミノルタ社製色彩色差計(CR−310)を用いて測定した。
L*値の数値が小さいほど、優れた染色性を有することを表す。
O.カーペットの吸水性
ピペットで0.1mlの水滴をカーペットの表面に滴下し30秒間放置したのちに、日本製紙クレシア社製ペーパータオル(キムタオル)を被せて軽く押さえて水分を拭き取り、ぺーパータオルに転写した水分の跡の最大幅を記録した。ここでは、上記の水分の跡の最大幅の値が小さいほど、カーペットの表面の吸水性は高いといえる。カーペットの表面の吸水性が高いと、汚染水がカーペットの表面の局所に留まり乾燥してカーペットの表面にこびりつくのを抑制することができ、また、汚染水がカーペットの表面に水玉状となって留まり、そこに触れる衣服等に移行するのを抑制することができる。
[実施例1]
(紡糸・延伸・捲縮加工)
硫酸相対粘度2.8、融点225℃でアミノ末端基濃度が59mol/tonのポリアミド6チップを一軸押出混練機に投入し混練温度250℃で溶融および混練し、紡糸機に供給した。
紡糸機における紡糸温度は250℃とし、紡糸パック中でメッシュサイズ20μmの金属不織布フィルターで濾過した後、Y型孔を有する孔数68の口金を通じて糸条を吐出した。口金から吐出された紡糸糸条は、チムニー風により冷却固化した後、糸条を巻き取ることなく2段階で延伸した。
糸条を巻き取ることなく引き続いて、延伸糸条を捲縮加工装置に導き、230℃、0.8MPaの加熱圧空によって捲縮加工し、回転移送装置上に噴出させ、冷却した。次に、プラグ状の捲縮糸の塊を2個1対のセパレートロールにてストレッチをかけ、塊を解した。該捲縮糸に交絡処理を施し、チーズ状に巻き取り、沸騰水処理後の捲縮伸長率が20%の1450dtex−68filのBCFを得た。
(撚糸)
上記BCFに下撚りとしてS撚りを190回/mかけ、2本を引きそろえ、上撚りとしてZ撚りを190回/mかけ、スペルバ社製スチームセット機を用いて120℃で熱セットを施し撚りセット糸を得た。
(染色)
前記撚りセット糸をチーズ染色機を用いて酸性染料を用いて染色した。染料(Irgalan Blue、Irgalan Bordeau、および、Irgalan Yellow)、均染剤ならびにpH調整剤を下記のとおり投入し浴比1:40となるように水を加えて染色液を得た。上記の染色液と前記撚りセット糸をチーズ染色機に投入し、1℃/分で90℃まで昇温し、続いて30分間染色処理を施す。その後、60℃まで上記試料を含む染色液を冷却し、さらに、試料を60℃の水で70分間洗浄を行い、脱水および乾燥させ染め糸を得た。
染料:Irgalan Blue 0.1%owf
Irgalan Bordeau 0.1%owf
Irgalan Yellow 0.1%owf
均染剤:ニューボーンTS−400 1%owf
pH調整剤:酢酸 3%owf
(タフティング)
前記染色糸を基布であるポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布に、1/8ゲージ、ステッチ8.5個/2.54cmでタフトし、パイル目付800g/mのレベルカットのカーペット生地を得た。
(多価フェノール化合物の水溶液による処理)
前期カーペット生地を、常圧型ウインス染色機を用いて、多価フェノール化合物として合成タンニンである“ナイロンフィックス501”(センカ株式会社製)を8%owf、浴比1:30となるように調液し、90℃×30分間処理を行ったのち、連続乾燥機内で135℃×20分間乾燥した。
(バッキング)
カーペットの裏面にSBRラテックスを500g/m塗布して目止めを施したうえにSBRラテックスをシート状に押出し圧着して裏材とした。
得られたカーペットの、アルカリ処理前後におけるパイル糸のアミノ末端基濃度、防汚性、磨耗減量率、アルカリ洗浄後のアミノ末端基量、防汚性、ならびに磨耗減量率、色変化度、染色性および吸水性について表1にまとめる。得られたカーペットは、防汚性および染色性に優れ、さらに、吸水性に優れるものでもあったためカーペットへの汚染水のこびりつき、および汚染水のカーペットから衣服等への移行が抑制されたものであった。
[実施例2〜8]
(タフティング)
実施例1で得た撚りセット糸を基布であるポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布に、1/8ゲージ、ステッチ8.5個/2.54cmでタフトし、パイル目付800g/mのレベルカットのカーペット生地を得た。
(染色)
得られたカーペット生地を、常圧型ウインス染色機にて酸性染料で染色した。染料(Irgalan Blue、Irgalan Bordeau、および、Irgalan Yellow)、均染剤ならびにpH調整剤を下記のとおり投入し浴比1:40となるように水を加えて染色液を得た。上記の染色液と前記カーペット生地を常圧型ウインス染色機に投入し、1℃/分で90℃まで昇温し、続いて30分間染色処理を施す。その後、60℃まで上記試料を含む染色液を冷却し、さらに、試料を60℃の水で70分間洗浄を行った。
染料:Irgalan Blue 0.1%owf
Irgalan Bordeau 0.1%owf
Irgalan Yellow 0.1%owf
均染剤:ニューボーンTS−400 1%owf
pH調整剤:酢酸 3%owf。
(多価フェノール化合物の水溶液による処理)
前記の染色加工後、同浴で多価フェノール化合物として合成タンニンである“ナイロンフィックス501”(センカ株式会社製)を表1および表2に示す濃度、浴比となるように調液し、表1および表2の条件で処理を行った。
(バッキング)
カーペットの裏面にSBRラテックスを500g/m塗布して目止めを施したうえにSBRラテックスをシート状に押出し圧着して裏材とした。
得られたカーペットの、パイル糸のアミノ末端基濃度、防汚性、磨耗減量率、アルカリ洗浄後のアミノ末端基量、防汚性、ならびに磨耗減量率、色変化度、染色性および吸水性について表1および表2にまとめる。得られたカーペットは、防汚性および染色性に優れ、さらに、吸水性に優れるものでもあったためカーペットへの汚染水のこびりつき、および汚染水のカーペットから衣服等への移行が抑制されたものであった。
ここで、実施例1、2、4および6〜8では、多価フェノール化合物の水溶液の濃度が4%owf以上であり、実施例1、2、4および6〜8のカーペットは実施例3のカーペットと比較し、アルカリ処理後の防汚性により優れるものであった。また、実施例1、2、4および6〜8では、多価フェノール化合物の水溶液による処理の温度が80℃以上であり、実施例1、2、4および6〜8のカーペットは実施例5のカーペットと比較し、アルカリ処理後の防汚性により優れるものであった。また、実施例1〜6では、多価フェノール化合物の水溶液の濃度が15%owf以下であり、実施例1〜6のカーペットは実施例7および8のカーペットと比較し、多価フェノール化合物の水溶液による処理の前後の色変化度が小さいものであった。
[比較例1]
(染色)
実施例1で得た撚りセット糸を、実施例1と同じ条件でチーズ染色機を用いて染色した。
(多価フェノール化合物の水溶液による処理)
染色処理ののち、チーズ染色機に、多価フェノール化合物として合成タンニンである“ナイロンフィックス501”(センカ株式会社製)を5%owf、浴比1:30となるように調液した多価フェノール化合物の水溶液を投入し、80℃×20分間処理を行った。
(タフティング)
前記染色糸を基布であるポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布に、1/8ゲージ、ステッチ8.5個/2.54cmでタフトし、パイル目付800g/mのレベルカットのカーペット生地を得た。
(バッキング)
カーペットの裏面にSBRラテックスを500g/m塗布して目止めを施したうえにSBRラテックスをシート状に押出し圧着して裏材とした。
得られたカーペットの、パイル糸のアミノ末端基濃度、防汚性、磨耗減量率、アルカリ洗浄後のアミノ末端基量、防汚性、ならびに磨耗減量率、色変化度、染色性および吸水性について表3にまとめる。得られたカーペットは、染色性に優れ、さらに、吸水性に優れるものでもあったためカーペットへの汚染水のこびりつき、および汚染水のカーペットから衣服等への移行が抑制されたものであった。しかし、防汚性に劣るものであった。
[比較例2]
(多価フェノール化合物の水溶液による処理)
実施例1で得た撚りセット糸を、チーズ染色機を用いて多価フェノール化合物として合成タンニンである“ナイロンフィックス501”(センカ株式会社製)を5%owf、浴比1:30となるように調液した多価フェノール化合物の水溶液を投入し、80℃×20分間処理を行った。
(染色)
続いて、実施例1と同じ条件でチーズ染色機を用いて染色したが染色性が悪く所定の色味が出なかった。
(タフティング)
前記染色糸を基布であるポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布に、1/8ゲージ、ステッチ8.5個/2.54cmでタフトし、パイル目付800g/mのレベルカットのカーペット生地を得た。
(バッキング)
カーペットの裏面にSBRラテックスを500g/m塗布して目止めを施したうえにSBRラテックスをシート状に押出し圧着して裏材とした。
得られたカーペットの、パイル糸のアミノ末端基濃度、防汚性、磨耗減量率、アルカリ洗浄後のアミノ末端基量、防汚性、ならびに磨耗減量率、色変化度、染色性および吸水性について表3にまとめる。得られたカーペットは、吸水性に優れるものでもあったためカーペットへの汚染水のこびりつき、および汚染水のカーペットから衣服等への移行が抑制されたものであった。しかし、得られたカーペットは防汚性および染色性に劣るものであった。
[比較例3]
(タフティング)
実施例1で得た撚りセット糸を基布であるポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布に、1/8ゲージ、ステッチ8.5個/2.54cmでタフトし、パイル目付800g/mのレベルカットのカーペット生地を得た。
(多価フェノール化合物の水溶液による処理)
実施例2で得たカーペット生地を、常圧型ウインス染色機を用いて、多価フェノール化合物として合成タンニンである“ナイロンフィックス501”(センカ株式会社製)を5%owf、浴比1:30となるように調液し、80℃×20分間処理を行った。
(染色)
そのまま、常圧型ウインス染色機にて実施例2の染色と同じ条件で染色し、連続乾燥機内で135℃×20分間乾燥した。
(バッキング)
カーペットの裏面にSBRラテックスを500g/m塗布して目止めを施したうえにSBRラテックスをシート状に押出し圧着して裏材とした。
得られたカーペットの、パイル糸のアミノ末端基濃度、防汚性、磨耗減量率、アルカリ洗浄後のアミノ末端基量、防汚性、ならびに磨耗減量率、色変化度、染色性および吸水性について表3にまとめる。得られたカーペットは、防汚性に優れ、さらに、吸水性に優れるものでもあったためカーペットへの汚染水のこびりつき、および汚染水のカーペットから衣服等への移行が抑制されたものであった。しかし、得られたカーペットは染色性に劣るものであった。
[比較例4]
(多価フェノール化合物の水溶液による処理)
実施例1で得た撚りセット糸を、チーズ染色機を用いて多価フェノール化合物として合成タンニンである“ナイロンフィックス501”(センカ株式会社製)を5%owf、浴比1:30となるように調液した多価フェノール化合物の水溶液を投入し、80℃×20分間処理を行った。
(タフティング)
前記多価フェノール化合物で処理した撚りセット糸を基布であるポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布に、1/8ゲージ、ステッチ8.5個/2.54cmでタフトし、パイル目付800g/mのレベルカットのカーペット生地を得た。
(染色)
得られたカーペット生地を、常圧型ウインス染色機を用いて実施例2と同じ条件で染色し、連続乾燥機内で135℃×20分間乾燥した。
(バッキング)
カーペットの裏面にSBRラテックスを500g/m塗布して目止めを施したうえにSBRラテックスをシート状に押出し圧着して裏材とした。
得られたカーペットの、パイル糸のアミノ末端基濃度、防汚性、磨耗減量率、アルカリ洗浄後のアミノ末端基量、防汚性、ならびに磨耗減量率、色変化度、染色性および吸水性について表4にまとめる。得られたカーペットは、防汚性に優れ、さらに、吸水性に優れるものでもあったためカーペットへの汚染水のこびりつき、および汚染水のカーペットから衣服等への移行が抑制されたものであった。しかし、得られたカーペットは染色性に劣るものであった。
[比較例5]
(タフティング)
実施例1で得た撚りセット糸を基布であるポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布に、1/8ゲージ、ステッチ8.5個/2.54cmでタフトし、パイル目付800g/mのレベルカットのカーペット生地を得た。
(染色)
得られたカーペット生地を、常圧型ウインス染色機を用いて実施例2と同じ条件で染色し、連続乾燥機内で135℃×20分間乾燥した。
(バッキング)
カーペットの裏面にSBRラテックスを500g/m塗布して目止めを施したうえにSBRラテックスをシート状に押出し圧着して裏材とした。
得られたカーペットの、パイル糸のアミノ末端基濃度、防汚性、磨耗減量率、アルカリ洗浄後のアミノ末端基量、防汚性、ならびに磨耗減量率、染色性および吸水性について表4にまとめる。得られたカーペットは、染色性に優れ、さらに、吸水性に優れるものでもあったためカーペットへの汚染水のこびりつき、および汚染水のカーペットから衣服等への移行が抑制されたものであった。しかし、得られたカーペットは防汚性に劣るものであった。
[比較例6]
(タフティング)
実施例1で得た撚りセット糸を基布であるポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布に、1/8ゲージ、ステッチ8.5個/2.54cmでタフトし、パイル目付800g/mのレベルカットのカーペット生地を得た。
(染色)
得られたカーペット生地を、常圧型ウインス染色機を用いて実施例2と同じ条件で染色し、連続乾燥機内で135℃×20分間乾燥した。
(撥水加工)
カーペット表面に、フッ素系撥水剤(旭硝子製AsahiGuard E−Series AG−E082)を20g/Lスプレー塗布し、連続乾燥機内で135℃×20分間乾燥した。
(バッキング)
カーペットの裏面にSBRラテックスを500g/m塗布して目止めを施したうえにSBRラテックスをシート状に押出し圧着して裏材とした。
得られたカーペットの、パイル糸のアミノ末端基濃度、防汚性、磨耗減量率、アルカリ洗浄後のアミノ末端基量、防汚性、および磨耗減量率、染色性および吸水性について表4にまとめる。得られたカーペットは、アルカリ処理前の防汚性および染色性に優れるものであった。しかし、アルカリ処理後の防汚性および吸水性に劣るものであり、吸水性に劣るものであることからカーペットへの汚染水のこびりつき、および汚染水のカーペットから衣服等への移行が頻発するものであった。
Figure 2016073374
Figure 2016073374
Figure 2016073374
Figure 2016073374

Claims (3)

  1. ポリアミドを含む繊維をタフトしカーペット生地を得る工程と、前記カーペット生地を染色する工程と、染色された前記カーペット生地を多価フェノール化合物の水溶液で処理する工程を有することを特徴とするカーペットの製造方法。
  2. ポリアミドを含む繊維を染色する工程と、染色された前記ポリアミドを含む繊維をタフトしカーペット生地を得る工程と、前期カーペット生地を多価フェノール化合物の水溶液で処理する工程を有することを特徴とするカーペットの製造方法。
  3. 前記多価フェノール化合物の水溶液の濃度がカーペット生地全体に対して4〜15%owfであることを特徴とする請求項1または2に記載のカーペットの製造方法。
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