JP2015105445A - 吸水マット - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、吸水性および難燃性に優れた吸水マットを提供することである。【解決手段】ポリアミド56を含む繊維を含有するパイル糸を有することを特徴とする吸水マット。【選択図】なし

Description

本発明は、吸水を目的として使用される吸水マットに関するものである。さらに詳しくは、ポリアミド56を含む繊維を含有するパイル糸を有する吸水マットに関するものである。
吸水マットは、公共施設の入り口や厨房などで使用され、雨天の際に靴底に付いた水分や、厨房から飛散する水分を拭い落とす目的で使用される。公共施設の入り口に設置する場合、主に雨天時に施設利用者の靴底に付着した水分を建物内に持ち込まないよう入り口に設置して利用される。そのため、多数の通行者が持ち込む水分を拭うための高い吸水能力が要求される。また、厨房についても、調理や食器洗浄の際に飛散する水分を確実に吸収することが求められている。同時に、繰り返し踏みつけられても吸水性能と外観を損なわないことが重要となるため、踏みつけに対する耐久性も求められている。
吸水性を向上させるための手法としては、パイル糸内部に間隔を生じさせ、毛細管現象を促進させることが知られている。このことから、従来、コットンやレーヨンの紡績糸が吸水繊維として用いられてきた。ただし、これらの繊維は繊維自体が細く、特に紡績糸の場合は外力が加わることでほつれ等の損傷を受けやすいという欠点があった。また、吸水マットの使用形態として、一定期間の使用毎にマットを洗浄して汚れを除去することが一般的であるが、パイル糸を構成する繊維に紡績糸を使用すると、洗浄時に繊維がほつれたり抜けたりする現象が生じがちである。このことによって、吸水性能が劣化していくばかりでなく、製品の品位も損なうという耐久性の点での課題があった。さらに、これらの紡績糸を用いると、難燃性が悪化するという課題もあった。
また、パイル糸を捲縮性の高い嵩高連続長繊維(Bulked Continuous Filament:以下、BCFとする。)と吸水繊維で構成し、これらが融着糸で接着されてなる吸水マットが開示されている(特許文献1)。さらに、吸水繊維としては、コットン、レーヨン、ビニロン、アクリル、又は、それらの混合などが用いられる旨が開示されている。しかし、上記の吸水繊維を用いた吸水マットでは、吸水率が不十分であるとの課題があった。
特開2005−245488号公報
本発明の課題は、吸水性、耐久性および難燃性に優れた吸水マットを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明では次のような手段を採用する。
すなわち、
(1)ポリアミド56を含む繊維を含有するパイル糸を有することを特徴とする吸水マット、
(2)前記パイル糸が単繊維繊度の差が5dtex以上である2種以上の繊維を含み、そのうちの少なくとも1種がポリアミド56を含む繊維であり、前記ポリアミド56を含む繊維の単繊維繊度が1〜30dtexであることを特徴とする(1)の吸水マット、
(3)前記ポリアミド56を含む繊維がBCFであることを特徴とする(1)または(2)の吸水マット、
(4)前記BCFの沸騰水処理後の捲縮伸長率が40%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの吸水マット
(5)前記パイル糸が、前記沸騰水処理後の捲縮伸長率が40%以下であるBCF(以下、BCF1とする)のほかに、BCF1の沸騰水処理後の捲縮伸長率よりも沸騰水処理後の捲縮伸長率が3%以上高いBCFを含むことを特徴とする(4)の吸水マット、
(6)前記パイル糸が、モノフィラメントを含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかの吸水マット、
(7)前記モノフィラメントが、ポリアミド56を含む繊維であることを特徴とする(6)の吸水マット、
(8)前記パイル糸100重量%に対し40重量%以上のポリアミド56が前記パイル糸に含まれることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかの吸水マット、
である。
本発明によれば吸水性、耐久性および難燃性に優れた吸水マットを提供することができる。
本発明の吸水マットは、ポリアミド56を含む繊維を含有するパイル糸を有することが必要である。
本発明に用いられるポリアミド56は、ペンタメチレンアジパミド単位を主たる繰り返し単位とするポリアミドであり、繰り返し単位の90モル%以上がペンタメチレンアジパミド単位で構成されていることを特徴とする。
ペンタメチレンアジパミド単位とは、1,5−ペンタメチレンジアミンとアジピン酸とから構成される構造単位である。
パイル糸がポリアミド56を含む繊維を含有することで、パイル糸の難燃性および耐久性の低下を抑制しつつ吸水性を高めることができる。吸水性が高まるのは、ペンタメチレンアジパミド単位がアミノ末端基への水分の吸着を促進しやすい分子構造体であるためと考えられる。つまり、ポリアミド56中のペンタメチレンアジパミド単位が、ポリアミド66等に含まれるヘキサメチレンアジパミド単位よりも繰り返し単位の分子量が小さく、親水性が高いアミド結合を単位重量当たりに多く含む構造単位のためであると考えられる。よって繊維がマクロに水分を担持し易くなり、水分とアミノ末端基の吸着が促進されるものと推定される。さらにミクロな分子構造との視点で見た場合、ペンタメチレンアジパミド単位と、ヘキサメチレンアジパミド単位では、前者の方がジアミンの炭素数が少ない。よって、ペンタメチレンアジパミド単位がアミノ末端を構成する場合、アミノ末端基とアミド結合はより近い位置関係となり、水分がアミノ末端基に運搬され易く、吸水性が高まるものと推定される。
本発明の吸水マットが有するパイル糸に含有されるポリアミド56を含む繊維は、アミノ末端基濃度が30〜100eq/tonであることが好ましい。アミノ末端基濃度が高いほど、親水性が高まる傾向にある。より好ましくは40eq/ton以上、さらに好ましくは50eq/ton以上、特に好ましくは60eq/ton以上である。一方で、アミノ末端基濃度が100eq/tonを超えると、空気中、包装材料中に存在する窒素酸化物によって繊維が黄変したりする場合もあるため、100eq/ton以下とすることが好ましい。より好ましくは95eq/ton以下であり、さらに好ましくは90eq/ton以下であり、特に好ましくは85eq/ton以下である。ここで、ポリアミド56を含む繊維のアミノ末端基濃度は、特開2009−179899で開示されているような加熱重合方法で製造したポリアミド56樹脂を用いることで調整することができる。なお、アミノ末端基濃度は実施例にて記載の方法で測定することができる。アミノ末端基濃度を上記範囲とすることで、ポリアミド56を含む繊維の吸水性が高まり、ポリアミド56を含む繊維を含有するパイル糸の吸水性が向上する。繊維の吸水性は、室温20℃、相対湿度65%の雰囲気中に24時間放置した後の繊維の平衡吸湿率で表すことができ、平衡吸湿率が高い繊維ほど吸水性に優れた繊維といえる。本発明のパイル糸に含まれるポリアミド56からなる繊維は、平衡吸湿率が5.0%以上であることが好ましい。
また、1,5−ペンタメチレンジアミンは、サトウキビなどから精製される糖から合成される植物油来の物質であり、枯渇する石油資源の消費を抑えることができる。
本発明の吸水マットが有するパイル糸に含有されるポリアミド56を含む繊維は、長繊維であっても良いし、適度な長さに切断された短繊維であってもよい。ポリアミド56は他のポリアミド系樹脂同様、溶融紡糸法による繊維化が可能なため、繊維形態は任意に選択することができるが、耐久性の面から長繊維であることが好ましい。吸水マットの使用形態として、一定期間の使用毎にマットを洗浄して汚れを除去することが一般的であるが、パイル糸を構成する繊維を長繊維とすることで、短繊維が使用される場合に生じるクリーニング時の繊維のほつれなどの現象を防ぎ、長期間にわたって品位と性能を維持することができ耐久性に優れた吸水マットを得ることができる。
本発明の吸水マットが有するパイル糸に含有されるポリアミド56を含む繊維は、単繊維の横断面形状が、丸型、Y型、多葉型、多角形型、扁平型、中空型、田型などの多種多様の断面形状を取ることができ、例えば横断面形状がY断面であり、断面内に中空部をも有するY中空断面等の横断面形状を採用することもできる。またパイル糸に含有されるポリアミド56を含む繊維がマルチフィラメントである場合、それぞれの単繊維の断面形状は同一であっても異なっていても良い。
本発明の吸水マットが有するパイル糸に含有されるポリアミド56を含む繊維は、本発明の目的効果を損なわない範囲で、芯鞘複合糸、バイメタル複合糸などの単繊維内複合糸であったり、他のポリマーとアロイ化したアロイ繊維であったりしてもよい。芯鞘複合糸としては、単芯、多芯、芯成分部分露出のものが例示できる。複合、アロイ化する場合の他のポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド56以外のポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオキシメチレン、ポリメタクリルメタクリレート、ポリエチレングリコールなどを挙げることができ、それらのホモポリマーや共重合ポリマーなどを適宜選択することができる。ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸などが例示でき、ポリアミドとしてはポリアミド6やポリアミド66などが例示できる。また、本発明の吸水カーペットが優れた吸水性を発現せしめるためには、ポリアミド56がポリアミド56を含む繊維の表面の一部を形成していることが好ましい。
また本発明の吸水マットが有するパイル糸に含有されるポリアミド56を含む繊維は、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤、耐候剤、顔料、光沢改善剤、染料、結晶核剤、可塑剤、帯電防止剤及び難燃剤等からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい。耐熱安定剤としてはヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、リン系化合物、イミダゾール系化合物、チアゾール系化合物およびこれらの置換体、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物等が例示でき、耐候剤としてはレゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等が例示でき、顔料としては硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等が例示でき、光沢改善剤としては酸化チタン、炭酸カルシウム等が例示でき、染料としてはニグロシン、アニリンブラック等が例示でき、結晶核剤としてはタルク、シリカ、カオリン、クレー等が例示でき、可塑剤としてはp−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等が例示でき、帯電防止剤としてはアルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等が例示でき、難燃剤としてはメラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等が例示できる。
本発明の吸水マットには、使用時には濡れた靴底で繰り返し強く踏み込まれることによる汚れを目立たなくする観点から、繊維に顔料を練りこんで着色する原着糸を用いることが好ましい。
本発明の吸水マットが有するパイル糸の構造は、単独の糸を複数本撚り合わせてもよいし、適度に繊度の違う糸を混繊してもよい。また、繊維表面積を増やして吸水性を高めるという観点からはマルチフィラメント糸が好ましいが、さらに繊維表面積を高めるために、短繊維からなる紡績糸を混繊しても良い。
本発明の吸水マットが有するパイル糸は単繊維繊度の差が5dtex以上である2種以上の繊維を含み、そのうちの少なくとも1種がポリアミド56を含む繊維であり、上記のポリアミド56を含む繊維の単繊維繊度が1〜30dtexであることが好ましい。上記のポリアミド56を含む繊維の単繊維繊度が1dtex以上であることで、度々の踏みつけやクリーニングによるパイル糸の耐久性の低下を抑制することができる。次に、上記のポリアミド56を含む繊維の単繊維繊度が30dtex以下であることで、その繊維の繊維表面積を大きくし毛細管現象を促進させることでパイル糸の吸水性をより向上させることができる。上記のポリアミド56を含む繊維の単繊維繊度は、2〜20dtexであることがより好ましく、3〜10dtexであることがさらに好ましい。また、上記のポリアミド56を含む繊維(以下、繊維1とする)のほかに、繊維1の単繊維繊度との差が5dtex以上であり踏み付けや磨耗に対する耐久性により優れる繊維(以下、繊維2とする)を含有することで耐久性により優れる吸水マットを得ることができる。また、繊維1の単繊維繊度との差が5dtex以上、すなわち上記のポリアミド56を含む繊維の単繊維繊度よりも単繊維繊度が大きい繊維2を含むことで、繊維同士の間に大きな間隔を形成することができる。ここで、繊維同士の間の間隔が大きい程、吸い取った水分の保持性に優れるため、吸水性と保持性により優れた吸水マットを得ることができる。上記の単繊維繊度の差は10dtex以上であることがより好ましく、15dtex以上であることがさらに好ましい。
さらに、繊維2は、ポリアミド56を含む繊維であることが好ましい。繊維2を平衡吸湿率に優れるポリアミド56とすることで、それを含むパイル糸および吸水マットの吸水性をより向上させることができる。
繊維1および/または繊維2は、後述するBCFであることが好ましい。
本発明の吸水マットが有するパイル糸が含有するポリアミド56を含む繊維は、BCFであることが好ましい。BCFは、単繊維の屈曲や、単繊維同士の絡み合いによって嵩高性を有する嵩高連続長繊維である。ポリアミド56を含む繊維がBCFであることで上記のポリアミド56を含む繊維の嵩高性をより向上させることができるとともに、クリーニングや繰り返し踏みつけに対する耐久性もより向上するため好ましい。
さらに、上記のBCFは、単繊維の異形度が1.3〜8であることが好ましく、異形度が1.3以上であることで嵩高性に優れるパイル糸を得ることができる。また、異形度が1.3以上であることで単繊維の表面積が大きくなりパイル糸の吸水性がより向上する。一方、異形度が8以下であることで踏み付けや摩耗による単繊維の断裂がより起こりにくく耐久性により優れるパイル糸を得ることができる。単繊維の異形度は1.5〜7.5がより好ましく、2〜7がさらに好ましく、2.5〜6.5が特に好ましい。ここで、単繊維の異形度は、実施例に記載の方法で単繊維の横断面を観察し、横断面の外接円の直径D1と、内接円の直径D2の比(D1/D2)として定義する。
さらに、上記のBCFは、その沸騰水処理後の捲縮伸長率が40%以下であることが好ましい。上記のBCFの沸騰水処理後の捲縮伸長率が40%以下であることで、繊維同士の間の間隔が小さくなり毛細管現象が促進されパイル糸の吸水性がより向上し、上記パイル糸を用いたカーペットの吸水性をより向上させることができる。次に、ポリアミド56を含む繊維の沸騰水処理後の捲縮伸長率の下限については特に限定されないが、パイル糸の嵩高さを向上させることができる点で、5%以上であることが好ましい。上記のBCFの沸騰水処理後の捲縮伸長率は20%以下がより好ましく、15%以下がさらに好ましい。
また、弾力性、耐久性およびボリューム感により優れたパイル糸を得ることができ、上記のパイル糸を吸水マットに用いることで弾力性、耐久性およびボリューム感により優れた吸水マットを得ることができる観点から、上記の沸騰水処理後の捲縮伸長率が40%以下であるBCF(以下、BCF1とする)のほかに、BCF1の沸騰水処理後の捲縮伸長率よりも、沸騰水処理後の捲縮伸長率が3%以上高く嵩高性に優れるBCF(以下、BCF2とする)をパイル糸が含むことが好ましい。
さらに、BCF2は、ポリアミド56を含む繊維であることが好ましい。BCF2を平衡吸湿率に優れるポリアミド56とすることで、それを含むパイル糸および吸水マットの吸水性をより向上させることができる。
さらに、BCFの総繊度は500〜4000dtexであることが好ましい。BCFの総繊度を500dtex以上とすることで、生産性が向上する。一方、BCFの総繊度を4000dtex以下とすることで、風合いに優れた吸水マットを得ることができる。
本発明の吸水マットが有するパイル糸は、モノフィラメントを含有することが好ましい。パイル糸がモノフィラメントを含有することで、パイル糸の弾力性がより増し、踏みつけ等に対する耐久性が向上する。
さらに、上記のモノフィラメントは、ポリアミド56を含む繊維であることが好ましい。上記のモノフィラメントを平衡吸湿率に優れるポリアミド56とすることで、それを含むパイル糸および吸水マットの吸水性をより向上させることができる。
さらに、上記のモノフィラメントの繊度は100〜2000dtexであることが好ましい。繊度が100dtex以上であることで、パイル糸の弾力性がより一層向上し、踏みつけ等に対する耐久性がより向上する。一方、繊度が2000dtex以下であることで、繊維の表面積が増大し、毛細管現象が促進されるため、パイル糸の吸水性がより向上し、より吸水性に優れた吸水マットを得ることができる。
また、上記のモノフィラメントは、上記の繊維1並びに繊維2および/または上記のBCF繊維とともにパイル糸に含まれることが好ましい。
本発明の吸水マットが有するパイル糸の収束性を高めるために、融着糸をパイル糸に混繊することが好ましい。タフト後にマットに熱を加えることで、融着糸がパイルを構成する繊維同士を接着し、繰り返し踏みつけられてもパイルがほつれにくく、初期の性能を維持しやすくなる。
また、ポリアミド56を含む繊維をパイル糸の外周面に螺旋状に巻きつけるように撚り合わせてもよい。これによってパイル糸の収束性が高まり耐久性が増すとともに、パイル糸表面にポリアミド56が露出することで、吸水性能が向上するため好ましい。
本発明の吸水マットが有するパイル糸を構成する繊維は、すべてポリアミド56を含む繊維としても良いし、他の繊維と混繊、混紡、混撚等を施して使用することも可能である。他の繊維としては、木綿、麻、羊毛、絹などの天然繊維や、レーヨン、キュプラなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ポリアミド56以外のポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトルおよびポリ塩化ビニルなどの合成繊維などが適用できる。ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等が例示できる。
また、ポリアミド56の優れた吸水性を活かす観点から、パイル糸100重量%に対し40重量%以上のポリアミド56が前記パイル糸に含まれることが好ましく、パイル糸100重量%に対し50重量%以上のポリアミド56が前記パイル糸に含まれることがより好ましく、パイル糸100重量%に対し70重量%以上のポリアミド56が前記パイル糸に含まれることがさらに好ましい。
また、本発明の吸水マットが有するパイル糸は無撚、片撚であってもよく、2〜3本の捲縮糸を諸撚としたものであってもよい。撚り数に制限は無いが、片撚の場合は20〜60t/mであればよく、諸撚の場合は、上撚、下撚ともに50〜200t/mの範囲であればよい。諸撚りを実施するに際しては、撚りを固定させるために公知の熱処理を組合せることが可能である。
本発明の吸水マットは、パイル糸を含む表地と、表地のほつれを防止する目止め剤からなる。吸水マットの表地の加工形態としては、例えば、段通、ウイルトン、ダブルフェイス、アキスミンスター等の織りカーペットや、タフティング、フックドラグ等の刺繍カーペットや、ボンデッド、電着、コード等の接着カーペットや、ニット、ラッセル等の編みカーペットや、ニードルパンチ等の圧縮カーペットに代表されるカーペット、あるいはその組み合わせを用いることができるが、より低コストでボリューム感に富むカーペットが得られる点で、タフティングカーペットであることが好ましい。本発明のタフティングカーペットは、少なくとも基布にタフティングされた表糸と、表糸が植え込まれた基布を含むものである。基布としては従来公知のものを使用することができ、例えばスパンボンド法にて製造されたポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性フィラメントからなる不織布や長繊維織物が用いられる。
目止め剤としては公知のものが用いられ、合成ゴムまたは天然ゴムのゴム、ラテックス、ビチューメンやエチレン酢酸ビニル樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ニトリル−ブタジエンラバー等が用いられ、必要に応じて、加硫剤、加硫促進剤、可塑剤、着色剤、老化防止剤、充填剤、分散剤、難燃剤等の公知の添加剤を含んでもよい。
また、クッション性や耐久性を向上させるため、必要に応じて裏材を貼り付けてもよい意。裏材としては、合成ゴムまたは天然ゴムのゴムからなるシート、不織布、織物等が用いられる。
また、本発明の吸水マットは、パイル糸が長繊維を主体に構成されているため、燃焼性にも優れる。燃焼性はFMVSS302で定められた水平法で測定した場合の燃焼速度が100mm/分以下であることが好ましい。より好ましくは80mm/分以下であり、さらに好ましくは70mm/分以下である。
またパイル糸の形態はループ、カットはどちらのパイルでもよく、カットパターンは目的、柄に応じて選択できる。またパイル糸の打ち込み間隔や、パイル高さも目的用途に応じて選択できる。またカーペット中の糸の重量、すなわち目付は、100〜3000g/mであればよい。
以下、本発明を、実施例を用いて詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
A.アミノ末端基濃度
試料(捲縮糸または樹脂)1gを50mLのフェノール/エタノール混合溶液(フェノール/エタノール=80/20)に、30℃で振とう溶解させて溶液とし、この溶液を0.02Nの塩酸で中和滴定し要した0.02N塩酸量を求めた。また、上記フェノール/エタノール混合溶媒(上記と同量)のみを0.02N塩酸で中和滴定し要した0.02N塩酸の量を求める。そしてその差から試料1tonあたりのアミノ末端基量を求めた。
B.総繊度および単繊維繊度
1m/周の検尺機にて0.05cN/dtexの張力を掛けながら10回転させて得た、全長10mのかせの重量を測定し、1000倍することで総繊度を求めた。そして総繊度をフィラメント数で除することで単繊維繊度を求めた。
C.沸騰水処理後の捲縮伸長率
室温25℃、相対湿度65%の雰囲気中に24時間放置されていたパッケージから解舒した捲縮糸を、無荷重状態で、30分間沸騰水で浸漬処理した後、室温25℃、相対湿度65%で24時間乾燥し、これを沸騰水処理後の捲縮伸長率を測定する試料とした。この試料に、室温25℃、相対湿度65%の雰囲気下において、2mg/dtexの初荷重をかけ、30秒経過した後に試料長50cm(L1)にマーキングをした。次いで初荷重を除去した後、同試料に100mg/dtexの定荷重をかけて30秒経過後に伸びた試料長(L2)を測定する。そして下記式により、沸騰水処理後の伸長率(%)を求めた。
沸騰水処理後の捲縮伸長率(%)=[(L2−L1)/L1]×100。
D.異形度
BCFを包埋材で固定して切片を切り出し、脱包埋後、光学顕微鏡で500倍に拡大して写真撮影した。また同じく500倍でスケールも撮影した。該画像をデジタル化した後、三谷商事(株)の画像解析ソフト「WinROOF、ver5.0」を用い、単繊維の横断面の外接円の直径D1と、単繊維の横断面の内接円の直径D2を計測した。そして次式により単繊維の異形度を求めた。そしてBCFを構成する全ての単繊維の異形度を算出した後、大きいものから10個を選択して平均化し、少数第2位を四捨五入した値を異形度とした。
異形度=D1/D2
なお外接円とは、単繊維の横断面の輪郭と少なくとも2点で接し、単繊維の横断面を包含する円の内で直径が最小のものと定義する。また内接円とは、単繊維の横断面の輪郭と少なくとも2点で接し、単繊維の横断面に包含される円の内で直径が最大のものと定義する。
E.平衡吸湿率
JIS L1013(2010)に従い、室温20℃、相対湿度65%の雰囲気中に24時間放置されていた繊維の平衡吸湿率を求めた。
F.撚り数
JISL1013(2010)に従い、浅野機器(株)製の検撚機を用いて、つかみ間隔を50cmとして8.82mN×表示dtexの初荷重の下で試料を取り付け、撚り数を測定し、2倍して1mあたりの撚り数を求めた。
G.パイル糸の目付
タフト前の基布を50cm角に切り出して基布重量を測定する。続いて、タフト後のカーペットを50cm角に切り出してカーペット重量を測定する。カーペット重量から基布重量を差し引き、当該試料におけるパイル糸の重量を得る。パイル糸の重量を単位面積(1m)あたりに換算したものをパイル糸の目付とした。
H:マット吸水率
8×12cmの大きさのスポンジを用意し重量W1(g)を測定する。また、吸水マットを15×30cmにカットし、重量W2(g)を測定する。十分に水を含ませたスポンジを吸水マット上に置き、スポンジに1kgの荷重をかけ、30秒間維持する。その後、スポンジの重量W3(g)とマットの重量W4(g)を測定する。これを10回繰り返し、次式によりマット吸水率を求めた。
マット吸水率(%)=Σ(W4−W2)÷{Σ(W4−W2)+Σ(W3−W1)}。
I.摩耗減量率
実施例、比較例で作成した吸水マットを直径120mmの円形状に切り出し、中央に6mmの穴を空けて試験片とした。該試験片を、ASTM D 1175(1994)に規定されるテーバー摩耗試験機(Rotary Abraster)に表糸を上に向けて取り付け、H#18摩耗綸、圧縮荷重1kgf(9.8N)、試料ホルダ回転速度70rpm、摩耗回数5000回の摩耗試験を行った前後の試料重量を測定した。これらの測定値と下記の式を用いて摩耗減量率を算出した。
摩耗減量率(%)=(W0−W1)×100/(W2×A1)
W0:測定前の円形カーペットの重量(g)
W1:測定後の円形カーペットの重量(g)
W2:カーペットの目付(g/m
A0:円形カーペットの全面積(m
A1:摩耗輪が接触する部分の全面積(m)。
J.毛倒れ性
摩耗減量率と同様にサンプルを調整し、ASTM D 1175(1994)に規定されるテーバー摩耗試験機に表糸を上に向けて取り付け、H#18摩耗綸、圧縮荷重10kgf(98N)、試料ホルダ回転速度70rpm、摩耗回数300回の摩耗試験を行った後の外観変化を観察し、JIS L−1021−13(2007)に従い耐摩耗性に優れ外観変化が見られないものを5級とする5段階の等級評価を行った。
K.洗濯耐久性
浴比1:10となるように60±2℃の水を入れ、「無リンダッシュ」(ライオンハイジーン(株)製)2g/Lとメタ珪酸ソーダ 2g/Lを添加した洗剤を使用し、ドラム型洗濯乾燥機(Miere製 WT946wps)を用いて以下の処理を1サイクルとして、40サイクル処理したあとの外観変化を観察しJIS L−1021−13(2007)に従い洗濯耐久性に優れ外観変化が見られないものを5級とする5段階の等級評価を行った。
洗い:60℃×15分間
水洗い:(常温×1分間ですすぎ、脱水)を3回
乾燥:80℃×1時間。
L.難燃性
FMVSS302法に基づき測定した。巾102mm、長さ356mmの試験片を織物のタテ方向およびヨコ方向のそれぞれについて5枚ずつ作成し、試験を行い、次式より燃焼速度を算出した。燃焼速度が小さいほど難燃性に優れるとして評価した。
B=60×(D/T)
B:燃焼速度(mm/min)
D:炎が進行した距離(mm)
T:炎がDmm進行するために要した時間(秒)
得られた燃焼速度の中で、最も速度の早い値を、本測定の燃焼速度とした。
[実施例1]
(紡糸・延伸・捲縮加工)
ポリアミド56チップにカーボンブラックを5重量%混練して着色したマスターチップを準備した。無着色のポリアミド56チップにマスターチップを5重量%の割合で配合しながら一軸押出混練機に投入し混練温度265℃で溶融および混練し、紡糸機に供給した。
紡糸機における紡糸温度は275℃とし、紡糸パック中でメッシュサイズ20μmの金属不織布フィルターで濾過した後、Y型孔を有する孔数54の口金を通じて糸条を吐出した。口金から吐出された紡糸糸条は、チムニー風により冷却固化した後、糸条を巻き取ることなく2段階で延伸した。
糸条を巻き取ることなく引き続いて、延伸糸条を捲縮加工装置に導き、170℃、0.8MPaの加熱圧空によって捲縮加工し、回転移送装置上に噴出させ、冷却した。次に、プラグ状の捲縮糸の塊を2個1対のセパレートロールにてストレッチをかけ、塊を解した。該捲縮糸に交絡処理を施し、チーズ状に巻き取り、沸騰水処理後の捲縮伸長率が25%の1330dtex−54filのBCF(A)を得た。
また、Y型孔を有する孔数180の口金を用いたほかはBCF(A)と同様の装置を用い、沸騰水処理後の捲縮伸長率が9%となるように延伸条件および捲縮加工条件を調整して、1330dtex−180filのBCF(B)を得た。
次に、ポリアミド56チップを一軸押出混練機にて混練温度265℃で溶融および混練し、紡糸機に供給した。
紡糸機における紡糸温度は275℃とし、紡糸パック中でメッシュサイズ20μmの金属不織布フィルターで濾過した後、ドラフト率1.06で溶融紡糸し、直ちに温度10℃の冷却水中で急冷固化させて未延伸モノフィラメントを得た。冷却した未延伸モノフィラメントを連続的に2段階で延伸し、引き続き200℃で乾熱弛緩熱処理を行い330dtexのモノフィラメント(A)を得た。ここで得られた繊維について表1および2にまとめる。
(撚糸)
上記BCF(A)およびBCF(B)に下撚りとしてS撚りを190回/mかけ、モノフィラメント(A)を加えた3本を引きそろえ、上撚りとしてZ撚りを190回/mかけ、130℃にて熱セットを施した。
(タフティング)
前記撚糸を基布であるポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布に、1/8ゲージ、ステッチ8.5個/2.54cmでタフトし、パイル目付850g/mのレベルカットの吸水マットを得た。
得られた吸水マットの、パイル糸100重量%に対するポリアミド56の含有率、単繊維繊度の差、吸水率、毛倒れ性、磨耗減量率、難燃性および洗濯耐久性について表3にまとめる。
得られた吸水マットは、吸水性、耐ヘタリ性、耐摩耗性、洗濯耐久性、難燃性のすべてにおいて優れたものであった。
[実施例2]
(紡糸・延伸・捲縮加工)
BCF(B)と同様の手順で、沸騰水処理後の捲縮伸長率が14%となるように延伸条件および捲縮加工条件を調整して、1330dtex−180filのBCF(C)を得た。
また、ポリアミド66チップを一軸押出混練機にて混練温度265℃で溶融および混練し、実施例1におけるモノフィラメント(A)を製造したものと同様の手順で、330dtexのモノフィラメント(B)を得た。ここで得られた繊維について表1および2にまとめる。
(撚糸)
上記BCF(B)と実施例1で得たBCF(A)に下撚りとしてS撚りを190回/mかけ、モノフィラメント(B)を加えた3本を引きそろえ、上撚りとしてZ撚りを190回/mかけ、130℃にて熱セットを施した。
(タフティング)
前記撚糸を実施例1と同様の手順でタフトし、パイル目付850g/mのレベルカットの吸水マットを得た。
得られた吸水マットの、パイル糸100重量%に対するポリアミド56の含有率、単繊維繊度の差、吸水率、毛倒れ性、磨耗減量率、難燃性および洗濯耐久性について表3にまとめる。
得られた吸水マットは、吸水性、耐ヘタリ性、耐摩耗性、洗濯耐久性、難燃性のすべてにおいて優れたものであった。
[実施例3]
(撚糸)
実施例1で得たBCF(A)に下撚りとしてS撚りを190回/mかけたもの2本を準備し、上撚りとしてZ撚りを190回/mかけ、130℃にて熱セットを施した。
(タフティング)
前記撚糸を基布であるポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布に、1/8ゲージ、ステッチ8.5個/2.54cmでタフトし、パイル目付850g/mのレベルカットの吸水マットを得た。
得られた吸水マットの、パイル糸100重量%に対するポリアミド56の含有率、単繊維繊度の差、吸水率、毛倒れ性、磨耗減量率、難燃性および洗濯耐久性について表3にまとめる。
得られた吸水マットは、吸水性、耐ヘタリ性、耐摩耗性、洗濯耐久性、難燃性のすべてにおいて優れたものであった。
[実施例4]
(紡糸・延伸・捲縮加工)
BCF(A)と同様の手順で、ポリアミド56チップにカーボンブラックを5重量%混練して着色したマスターチップを準備した。無着色のポリアミド56チップにマスターチップを5重量%の割合で配合しながら一軸押出混練機に投入し混練温度265℃で溶融および混練し、紡糸機に供給した。
紡糸機における紡糸温度は275℃とし、紡糸パック中でメッシュサイズ20μmの金属不織布フィルターで濾過した後、Y型孔を有する孔数54の口金を通じて糸条を吐出した。口金から吐出された紡糸糸条は、チムニー風により冷却固化した後、糸条を巻き取ることなく2段階で延伸した。
該糸条に交絡処理を施し、チーズ状に巻き取り、1330dtex−54filの直線糸(A)を得た。ここで得られた繊維について表2にまとめる。
(撚糸)
上記直線糸(A)に下撚りとしてS撚りを190回/mかけ、2本を引きそろえ、上撚りとしてZ撚りを190回/mかけ、130℃にて熱セットを施した。
(タフティング)
前記撚糸を基布であるポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布に、1/8ゲージ、ステッチ8.5個/2.54cmでタフトし、パイル目付1,600g/mのレベルカットの吸水マットを得た。
得られた吸水マットの、パイル糸100重量%に対するポリアミド56の含有率、単繊維繊度の差、吸水率、毛倒れ性、磨耗減量率、難燃性および洗濯耐久性について表3にまとめる。
得られた吸水マットは、吸水性、耐ヘタリ性、耐摩耗性、洗濯耐久性、難燃性のすべてにおいて優れたものであった。
[比較例1]
(紡糸・延伸・捲縮加工)
ポリアミド6チップにカーボンブラックを5重量%混練して着色したマスターチップを準備した。無着色のポリアミド6チップにマスターチップを5重量%の割合で配合しながら一軸押出混練機に投入し混練温度250℃で溶融および混練し、紡糸機に供給した。
紡糸機における紡糸温度は260℃とし、紡糸パック中でメッシュサイズ20μmの金属不織布フィルターで濾過した後、Y型孔を有する孔数54の口金を通じて糸条を吐出した。口金から吐出された紡糸糸条は、チムニー風により冷却固化した後、糸条を巻き取ることなく2段階で延伸した。
糸条を巻き取ることなく引き続いて、延伸糸条を捲縮加工装置に導き、170℃、0.8MPaの加熱圧空によって捲縮加工し、回転移送装置上に噴出させ、冷却した。次に、プラグ状の捲縮糸の塊を2個1対のセパレートロールにてストレッチをかけ、塊を解した。該捲縮糸に交絡処理を施し、チーズ状に巻き取り、沸騰水処理後の捲縮伸長率が25%、1330dtex−54filのBCF(D)を得た。
また、Y型孔を有する孔数180の口金を用いたほかはBCF(D)と同様の装置を用い、沸騰水処理後の捲縮伸長率が15%となるように延伸条件および捲縮加工条件を調整して、1330dtex−180filのBCF(E)を得た。ここで得られた繊維について表1にまとめる。
(撚糸)
上記BCF(D)とBCF(E)に下撚りとしてS撚りを190回/mかけ、さらに実施例2で得たモノフィラメント(B)を加えた3本を引きそろえ、上撚りとしてZ撚りを190回/mかけ、130℃にて熱セットを施した。
(タフティング)
前記撚糸を実施例1と同様の手順でタフトし、パイル目付850g/mのレベルカットの吸水マットを得た。
得られた吸水マットの、パイル糸100重量%に対するポリアミド56の含有率、単繊維繊度の差、吸水率、毛倒れ性、磨耗減量率、難燃性および洗濯耐久性について表4にまとめる。
得られた吸水マットは、耐ヘタリ性、耐摩耗性、洗濯耐久性および難燃性に優れたものであったが、吸水性に劣るものであった。
[比較例2]
(紡糸・延伸・捲縮加工)
繊度が1.7dtexで繊維長が51mmのレーヨン単繊維と、繊度が3.3dtexで繊維長が51mmのポリエステル単繊維を7:3の割合で混紡し、下撚りとしてS撚りを200回/mかけて繊度900dtexの紡績糸を用意した。
(撚糸)
上記紡績糸3本と実施例2で得たモノフィラメント(B)を引きそろえ、上撚りとしてZ撚りを190回/mかけ、130℃にて熱セットを施した。
(タフティング)
前記撚糸を基布であるポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布に、1/8ゲージ、ステッチ8.5個/2.54cmでタフトし、パイル目付850g/mのレベルカットの吸水マットを得た。
得られた吸水マットの、パイル糸100重量%に対するポリアミド56の含有率、単繊維繊度の差、吸水率、毛倒れ性、磨耗減量率、難燃性および洗濯耐久性について表4にまとめる。
得られた吸水マットは、吸水性に優れたものであったが、耐ヘタリ性、耐摩耗性、洗濯耐久性および難燃性に劣るものであった。
[比較例3]
(撚糸)
実施例2で得たBCF(D)に下撚りとしてS撚りを190回/mかけ、比較例2で得た紡績糸と実施例2で得たモノフィラメント(B)を加えた3本を引きそろえ、上撚りとしてZ撚りを190回/mかけ、130℃にて熱セットを施した。
(タフティング)
前記撚糸を基布であるポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布に、1/8ゲージ、ステッチ8.5個/2.54cmでタフトし、パイル目付850g/mのレベルカットの吸水マットを得た。
得られた吸水マットの、パイル糸100重量%に対するポリアミド56の含有率、単繊維繊度の差、吸水率、毛倒れ性、磨耗減量率、難燃性および洗濯耐久性について表4にまとめる。
得られた吸水マットは、吸水性に優れたものであったが、耐ヘタリ性、耐摩耗性、洗濯耐久性および難燃性に劣るものであった。
[比較例4]
(撚糸)
比較例1で得たBCF(D)に下撚りとしてS撚りを190回/mかけたもの2本を準備し、上撚りとしてZ撚りを190回/mかけ、130℃にて熱セットを施した。
(タフティング)
前記撚糸を実施例3と同様の手順でタフトし、パイル目付850g/mのレベルカットの吸水マットを得た。
得られた吸水マットの、パイル糸100重量%に対するポリアミド56の含有率、単繊維繊度の差、吸水率、毛倒れ性、磨耗減量率、難燃性および洗濯耐久性について表4にまとめる。
得られた吸水マットは、耐ヘタリ性、耐摩耗性、洗濯耐久性および難燃性に優れたものであったが、吸水性に劣るものであった。
実施例1から3と比較例1から4を比較すると分かるように、ポリアミド56を使用することで吸水性能を向上させることができる。これは、ポリアミド56が、親水性が高いアミド結合を単位重量当たりに多く含む構造単位のためであると考えられる。
また、パイル糸にポリアミド56を含むBCFおよび/またはモノフィラメントを使用することで、耐摩耗性、耐ヘタリ性、洗濯耐久性、燃焼性を向上させることができる。これは、BCFやモノフィラメントは長繊維であり、繰り返し踏みつけられたり、クリーニングに対する耐久性の向上に貢献しているためである。また、パイルの弾力性も増し、踏みつけに対するヘタリ性が改善したためである。
[実施例5]
(紡糸・延伸・捲縮加工)
Y型孔を有する孔数72の口金を用いたほかはBCF(A)と同様の装置を用い、沸騰水処理後の捲縮伸長率が21%となるように延伸条件および捲縮加工条件を調整して、1330dtex−72filのBCF(F)を得た。ここで得られた繊維について表1および2にまとめる。
(撚糸)
上記BCF(F)と実施例1で得たBCF(A)に下撚りとしてS撚りを190回/mかけ、モノフィラメント(B)を加えた3本を引きそろえ、上撚りとしてZ撚りを190回/mかけ、130℃にて熱セットを施した。実施例1と同様に染色処理を施した。
(タフティング)
前記撚糸を実施例1と同様の手順でタフトし、パイル目付850g/mのレベルカットの吸水マットを得た。
得られた吸水マットの、パイル糸100重量%に対するポリアミド56の含有率、単繊維繊度の差、吸水率、毛倒れ性、磨耗減量率、難燃性および洗濯耐久性について表3にまとめる。
得られた吸水マットは、吸水性、耐ヘタリ性、耐摩耗性、洗濯耐久性、難燃性のすべてにおいて優れたものであった。
[実施例6]
(紡糸・延伸・捲縮加工)
Y型孔を有する孔数120の口金を用いたほかはBCF(A)と同様の装置を用い、沸騰水処理後の捲縮伸長率が21%となるように延伸条件および捲縮加工条件を調整して、1330dtex−120filのBCF(G)を得た。ここで得られた繊維について表1にまとめる。
(撚糸)
上記BCF(G)と実施例1で得たBCF(A)に下撚りとしてS撚りを190回/mかけ、モノフィラメント(B)を加えた3本を引きそろえ、上撚りとしてZ撚りを190回/mかけ、130℃にて熱セットを施した。実施例1と同様に染色処理を施した。
(タフティング)
前記撚糸を実施例1と同様の手順でタフトし、パイル目付850g/mのレベルカットの吸水マットを得た。
得られた吸水マットの、パイル糸100重量%に対するポリアミド56の含有率、単繊維繊度の差、吸水率、毛倒れ性、磨耗減量率、難燃性および洗濯耐久性について表3にまとめる。
得られた吸水マットは、吸水性、耐ヘタリ性、耐摩耗性、洗濯耐久性、難燃性のすべてにおいて優れたものであった。
[実施例7]
(撚糸)
実施例1で得たBCF(A)に下撚りとしてS撚りを190回/mかけたもの2本を準備し、実施例2で得たモノフィラメント(B)を加えた3本を引きそろえ、上撚りとしてZ撚りを190回/mかけ、130℃にて熱セットを施した。
(タフティング)
前記撚糸を基布であるポリエチレンテレフタレートからなるスパンボンド不織布に、1/8ゲージ、ステッチ8.5個/2.54cmでタフトし、パイル目付850g/mのレベルカットの吸水マットを得た。
得られた吸水マットの、パイル糸100重量%に対するポリアミド56の含有率、単繊維繊度の差、吸水率、毛倒れ性、磨耗減量率、難燃性および洗濯耐久性について表3にまとめる。
得られた吸水マットは、吸水性、耐ヘタリ性、耐摩耗性、洗濯耐久性、難燃性のすべてにおいて優れたものであった。
実施例2、4、5および6を比較することで、パイル糸に使用するBCFのうちの一種類の単繊維繊度を小さくすることで吸水性が向上することが分かる。
また、実施例1、2および5を比較することで、パイル糸に使用するBCFのうちの一種類の沸騰水処理後の捲縮伸長率を小さくすることで吸水性が向上することが分かる。
これらの結果から、BCFの単繊維繊度を小さくして繊維表面積を大きくしたり、沸騰水処理後の捲縮伸長率を低く設定して単繊維同士の隙間を細かくすることで、毛細管現象を促進させ吸水マットの吸水性を向上させることができる。
Figure 2015105445
Figure 2015105445
Figure 2015105445
Figure 2015105445

Claims (8)

  1. ポリアミド56を含む繊維を含有するパイル糸を有することを特徴とする吸水マット。
  2. 前記パイル糸が単繊維繊度の差が5dtex以上である2種以上の繊維を含み、そのうちの少なくとも1種がポリアミド56を含む繊維であり、前記ポリアミド56を含む繊維の単繊維繊度が1〜30dtexであることを特徴とする請求項1に記載の吸水マット。
  3. 前記ポリアミド56を含む繊維がBCFであることを特徴とする請求項1または2に記載の吸水マット。
  4. 前記BCFの沸騰水処理後の捲縮伸長率が40%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸水マット。
  5. 前記パイル糸が、前記沸騰水処理後の捲縮伸長率が40%以下であるBCF(以下、BCF1とする)のほかに、BCF1の沸騰水処理後の捲縮伸長率よりも沸騰水処理後の捲縮伸長率が3%以上高いBCFを含むことを特徴とする請求項4に記載の吸水マット。
  6. 前記パイル糸が、モノフィラメントを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の吸水マット。
  7. 前記モノフィラメントが、ポリアミド56を含む繊維であることを特徴とする請求項6に記載の吸水マット。
  8. 前記パイル糸100重量%に対し40重量%以上のポリアミド56が前記パイル糸に含まれることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の吸水マット。
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