JP2016204817A - ポリアミド捲縮糸およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】素肌に接触して使用する家庭用ラグカーペットに好適な十分なボリューム感とソフトな風合いを有するとともに、高級感に溢れた空間を提供するための深みのある色調を与え得るポリアミド捲縮糸およびその製造方法の提供。
【解決手段】ポリアミド捲縮糸は、下記の要件(1)〜(4)を満たすポリアミド捲縮糸であって、前記のポリアミド捲縮糸が平均粒子径0.01〜2.10μmの粒子を0.1〜4質量%含むポリアミド捲縮糸。(1)単繊維繊度が、1.5〜3.0dtex、(2)総繊度が、400〜1500dtex、(3)単繊維断面形状が3葉以上の多葉の形状で、異形度が1.5〜5.5、(4)沸騰水処理後の伸長率が、5〜20%。
【選択図】図2
【解決手段】ポリアミド捲縮糸は、下記の要件(1)〜(4)を満たすポリアミド捲縮糸であって、前記のポリアミド捲縮糸が平均粒子径0.01〜2.10μmの粒子を0.1〜4質量%含むポリアミド捲縮糸。(1)単繊維繊度が、1.5〜3.0dtex、(2)総繊度が、400〜1500dtex、(3)単繊維断面形状が3葉以上の多葉の形状で、異形度が1.5〜5.5、(4)沸騰水処理後の伸長率が、5〜20%。
【選択図】図2
Description
本発明は、ポリアミド捲縮糸およびその製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、素肌に接触して使用する家庭用ラグカーペットに好適な十分なボリューム感とソフトな風合いを有するとともに、高級感に溢れた空間を提供するための深みのある色調を与え得るポリアミド捲縮糸およびその製造方法に関するものである。
従来から、ポリアミド捲縮糸は、風合いが柔らかく、優れたバルキー性、発色性および耐摩耗性を生かして、カーペットに代表される種々のインテリア用途素材として用いられている。
カーペットの主な使用目的は、インテリア用途によく適応した機能と雰囲気を提供することであり、色や柄はもちろん、風合いやボリューム感など種々の特性が用途に合わせて要求される。
特に、家庭で使用されるラグカーペットにおいては、そのクッション性やインテリアとしての空間の演出が優れること以外に、保温性に優れ、しかも直接肌がカーペットに接触することから、肌触りが良く柔らかな風合いのカーペットが好まれている。
家庭用ラグカーペットに上記の要求特性を付与することを目的として、近年ではポリエステル繊維やポリプロピレン繊維を主原料とする捲縮糸を使用したカーペットが作製されている。すなわち、ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維を使用した捲縮糸からなるカーペットは、その風合いが柔らかく、一般には原着糸を使用することから鮮やかな色調を発現することができる。しかしながら、これらの繊維素材からなるカーペットは、確かにカーペットを製造した直後の未使用のときには、風合いが柔らかく肌触りが優れているが、捲縮糸の捲縮耐久性が劣るため、すぐに捲縮がへたり、カーペットとしての品質や高級感が低下してしまうという課題があった。
また、これらのなかでも特にポリエステル繊維からなる捲縮糸においては、短繊維を使用する場合が多く、このためにカーペットの遊び毛が発生して汚くなると共に、ボリューム感も低下してしまうという課題があった。
例えば、耐久性に優れたカーペットとして、単繊維繊度が3.0〜7.0デシテックスで、総繊度が200〜700デシテックスであり、沸騰水処理後の捲縮伸長率が5〜20%のポリアミドマルチフィラメント捲縮糸を、2本もしくは3本撚り合わせた撚り捲縮糸、およびこの撚り捲縮糸を含むカーペットあるいはモケットが提案されている(特許文献1参照。)。
また、単繊維繊度が1.5デシテックス以上3.0デシテックス未満であるナイロンBCFが80〜400T/mの撚り数の片撚り構造、またはそれぞれ80〜400T/mの撚り数の下撚りと上撚りが施された諸撚り構造を有するパイル糸から構成され、ソフトな風合いと表面の滑らかさを備えるうえ優れた捲縮耐久性を備え、また質感と審美性に優れるカットパイルカーペットが提案されている(特許文献2参照。)。
更に、ポリ(トリメチレンテレフタレート)を原料とする捲縮を有するマルチフィラメントからなるカーペット用捲縮糸であって、嵩高で、発色性、防汚性および耐へたり性に優れているとともに、タフト時のガイドやニードルなどの擦過による毛羽の発生が抑制された加工安定性の高いカーペット用捲縮糸、その製造方法およびカーペットが提案されている(特許文献3参照。)。
しかしながら、上記の特許文献1で提案されているポリアミドマルチフィラメント捲縮糸は、単繊維繊度が3.0デシテックス以上であるため、捲縮耐久性に優れているものの、肌触りが良くソフトな風合いを十分に高め得るには課題があった。
また、上記の特許文献2の提案では、単繊維繊度が3.0デシテックス未満であるため、肌触りが良くソフトな風合いが得られるものの、近年、家庭用ラグカーペットに高く所望されている高級感に溢れた空間を提供するための深みのある色調を与え得るには不十分であった。
更に、上記の特許文献3の提案では、ポリ(トリメチレンテレフタレート)を原料とする捲縮を有するマルチフィラメントが平均粒径0.01μm〜2μmの粒子を0.1質量%〜4質量%含んでいることから艶消し効果が得られるものの、家庭用ラグカーペットに好適な十分なボリューム感とソフトな風合いを十分に高め得るポリアミド捲縮糸およびその製造方法について開示されたところは存在しない。
そこで本発明の目的は、上述した従来技術の背景に鑑み、素肌に接触して使用する家庭用ラグカーペットに好適な十分なボリューム感とソフトな風合いを有するとともに、近年、高く所望されている高級感に溢れた空間を提供するための深みのある色調を与え得るポリアミド捲縮糸およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決せんとするものであり、本発明のポリアミド捲縮糸は、下記の要件(1)〜(4)を満たすポリアミド捲縮糸であって、前記のポリアミド捲縮糸が平均粒子径0.01μm以上2.10μm以下の粒子を0.1質量%以上4.0質量%以下含有するポリアミド捲縮糸である。
(1)単繊維繊度が、1.5デシテックス以上3.0デシテックス未満、
(2)総繊度が、400デシテックス以上1500デシテックス以下、
(3)単繊維断面形状が3葉以上の多葉の形状で、異形度が1.5以上5.5以下、
(4)沸騰水処理後の捲縮伸長率が、5%以上20%以下。
(1)単繊維繊度が、1.5デシテックス以上3.0デシテックス未満、
(2)総繊度が、400デシテックス以上1500デシテックス以下、
(3)単繊維断面形状が3葉以上の多葉の形状で、異形度が1.5以上5.5以下、
(4)沸騰水処理後の捲縮伸長率が、5%以上20%以下。
本発明のポリアミド捲縮糸の好ましい態様によれば、前記の粒子は酸化チタンである。
本発明のポリアミド捲縮糸の好ましい態様によれば、前記の単繊維断面形状の異形度の変動係数(CV)%は1.0%以上7.0未満であり、単繊維の外接円の直径の最大値と最小値の差は1.0μm以上10.0μm未満である。
本発明のポリアミド捲縮糸の好ましい態様によれば、前記のポリアミド捲縮糸の沸騰水収縮率は3.1〜6.0%である。
本発明の前記のポリアミド捲縮糸は、平均粒子径が0.01μm以上2.10μm以下の粒子を0.1質量%以上4.0質量%以下含有する硫酸相対粘度が2.5以上3.5以下のポリアミドを溶融し、スリット比が4.0以上8.0以下の異形口金から吐出するポリマーの吐出線速度が3.5m/分以上7.0m/分以下での速度で吐出することにより、製造することができる。
本発明によれば、以下に説明するとおり、単繊維繊度が細く、嵩高性と深色性に優れており、素肌に接触して使用する家庭用ラグカーペットに好適な十分なボリューム感とソフトな風合いを有するとともに、高級感に溢れた空間を提供するための深みのある色調を与え得るポリアミド捲縮糸が得られる。
次に、本発明のポリアミド捲縮糸とその製造方法について、更に詳細に説明する。
本発明は、素肌に接触して使用する家庭用ラグカーペットに好適な十分なボリューム感とソフトな風合いを有するとともに、高級感に溢れた空間を提供するための深みのある色調を与え得るポリアミド捲縮糸について鋭意検討し、下記の要件(1)〜(4)を満たすマルチフィラメント捲縮糸であって、前記のマルチフィラメント捲縮糸が平均粒子径が0.01以上2.10μm以下の粒子を0.1質量%以上4.0質量%以下含むポリアミド捲縮糸とすることによって、上記の課題を一挙に解決することを究明したものである。
(1)単繊維繊度が、1.5デシテックス以上3.0デシテックス未満、
(2)総繊度が、400デシテックス以上1500デシテックス以下、
(3)単繊維断面形状が3葉以上の多葉の形状で、異形度が1.5以上5.5以下、
(4)沸騰水処理後の捲縮伸長率が、5%以上20%以下。
(1)単繊維繊度が、1.5デシテックス以上3.0デシテックス未満、
(2)総繊度が、400デシテックス以上1500デシテックス以下、
(3)単繊維断面形状が3葉以上の多葉の形状で、異形度が1.5以上5.5以下、
(4)沸騰水処理後の捲縮伸長率が、5%以上20%以下。
本発明におけるマルチフィラメント捲縮糸は、平均粒子径0.01以上2.10μm以下の粒子を0.1以上4.0質量%以下含んでいることが必須である。
本発明においては、高級感に溢れた空間を提供するための深みのある色調を与え得るため、粒子を添加することが必須である。添加する粒子としては、アルミナの微粒子、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、ヨウ化銅、鉄黒、カーボンブラックやベンガラ、およびフタロシアニン系着色顔料などが挙げられる。最終製品のカラーバリエーション拡充および染色性の観点から、最も好ましい粒子は酸化チタンである。使用する酸化チタンは、アナターゼ型でもルチル型でもよく、艶消し性だけではなく耐摩耗性としての効果も発揮する。
粒子の平均粒径は0.01以上2.10μm以下が必須であり、好ましくは、0.2以上1.3μm以下である。平均粒子径が0.01μm未満の粒子は実用的に得ることが困難であり、また平均粒子径が2.10μmを超える場合は、紡糸時のフィルター詰まりや、製糸時に毛羽が発生し、操業性が悪化する。
粒子の含有量に関しては、0.1質量%以上4.0質量%以下であることが必須であり、好ましくは、0.2質量%以上2.5質量%以下である。粒子の含有量が0.1質量%未満では艶消し性の効果が少なく、光沢が強く安っぽい外観となる。一方、粒子の含有量が4.0質量%を超えると、製糸性が悪化し、毛羽が発生するとともに、二酸化チタンが繊維表面に露出する割合が高くなるため、染色されたポリアミド捲縮糸は酸化チタン本来の白色が強く顕在化したものとなり、深みのある色調が得られない。
粒子(二酸化チタン)の含有量は、紡糸前のポリマチップまたは得られたポリアミド捲縮糸10gを白金ルツボに入れ、550℃の温度の電気炉内で4時間加熱焼成し、完全に灰化させた後、デシケーター内で1時間放冷し、その灰化物の質量(g)を、上記10gの比率を酸化チタン量(質量%)とする。
また、上記の含有量は、高濃度の粒子(二酸化チタン)を含有するマスターチップを、ミコスーパーを用いて、チップ溶融前にバージンチップとブレンドしてから製糸することにより調製することができる。
本発明のポリアミド捲縮糸を構成する原料ポリマーであるポリアミドとしては、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンウンデカミド(ポリアミド611)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンウンデカミド(ポリアミド911)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンスベラミド(ポリアミドMXD8)、ポリメタキシリレンアゼラミド(ポリアミドMXD9)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリメタキシリレンドデカミド(ポリアミドMXD12)、ポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンテレフタラミド(ポリアミドPACMT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンイソフタラミド(ポリアミドPACMI)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリトリメチルへキサメチレンテレフタラミド(ポリアミドTMHT)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリノナメチレンイソフタラミド(ポリアミド9I)、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド10I)、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリデカメチレンへキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリウンデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド11I)、ポリウンデカメチレンナフタラミド(ポリアミド11N)、ポリウンデカメチレンへキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド11T(H))、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリドデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド12I)、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)、およびポリドデカメチレンへキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))等の単独重合体や、これらを形成する原料モノマーを数種用いた共重合体等が挙げられる。
これらのポリアミドは、1種または2種以上を用いることができる。これらのポリアミド中でも、いずれも同一のポリマー骨格を有するポリアミドに統一した方がより好ましい態様である。中でもナイロン6は、染色性が良く、単一色からなるカーペットに見られるタテ筋が生じにくく好ましく用いられる。また、ナイロン66も、耐摩耗性に特に優れて耐久性が良いことから好まし用いられる。
本発明のポリアミド捲縮糸を構成する原料ポリマーであるポリアミドの硫酸相対粘度(ηr)は、2.5〜3.5であることが好ましく、より好ましくは2.8〜3.1である。ηrが3.5以下であると、溶融紡糸する際に十分な製糸性を確保するために紡糸温度を高く設定する必要がなく、ポリマー自体、あるいはポリマーに含まれている着色剤や添加剤等が変質し、着色または変色するという不都合も生じにくい。一方、ηrが2.5以上であると、適正な粘度で安定的に紡出することができ、また単糸繊度斑も発生しにくい。加えて、高異形度の捲縮糸を得るためには、ηrが2.8以上であることがより好ましい態様である。
本発明のポリアミド捲縮糸の単繊維繊度は、1.5デシテックス以上3.0デシテックス未満であることが必須であり、好ましくは2.0デシテックス以上2.8デシテックスで以下ある。単繊維繊度が1.5デシテックス未満になると製糸性が困難であるとともにカーペットにしたとき単糸切れを発生しやすくなり、ピリングや遊び毛の問題を誘発しやすい。一方、単繊維繊度が3.0デシテックス以上になるとソフトな風合いを達成することが難しくなる。
本発明のポリアミド捲縮糸の総繊度は、400デシテックス以上1500デシテックス以下であり、好ましくは400デシテックス以上1100デシテックス以下である。総繊度が400デシテックス未満になると家庭用ラグカーペットに好適な十分なボリューム感が得難くなる。一方、総繊度が1500デシテックスを超えると風合いが重厚となり、ソフトな風合いを達成することが難しくなる。
本発明のポリアミド捲縮糸の単繊維断面形状は3葉以上の多葉の形状であり、異形度が1.5以上5.5以下であることが必須である。好ましくは、3葉または4葉であり、Y型、十字型、H型およびX断面などが挙げられる。特に風合いとボリューム感のバランスおよび原糸製造時の異形度の変動係数(CV)の安定性から、図2に例示したようなY型断面が好ましく、異形度は2.0〜3.5であることが好ましい態様である。
一方、図3に例示した口金孔形状から吐出された扁平断面糸のような繊維断面形状が3葉未満の形状になると、単繊維間の空隙が発現し難くなり、ボリューム感が得難くなる。また、単繊維断面の中心点から放射状に延びて形成された多葉の形状でない場合、カーペットの外観品位にイラツキが発生し易く、高級感不足となる。また、異形度が1.5未満では、単繊維間の空隙が発現し難くなり、ボリューム感が得難くなる。一方、異形度が5.5を超えると風合いが硬くなる。
本発明のポリアミド捲縮糸の沸騰水処理後の捲縮伸長率は、5%以上20%以下であることが必須であり、好ましくは8%以上15%以下である。沸騰水処理後の捲縮伸長率が5%未満になると、所望のボリューム感が得難くなる。一方、沸騰水処理後の捲縮伸長率が20%を超えると風合いが硬くなり、ソフトな風合いを達成することが難しくなる。
本発明のポリアミド捲縮糸の単繊維断面形状の異形度の変動係数(CV)%は、1.0%以上7.0%未満であることが好ましく、より好ましくは1.0%以上5.5%以下である。
CVが1.0%以上7.0%未満の範囲であれば、単繊維間の異形度バラツキが小さいため単繊維間に空隙が発現し易くなり、より一層優れたボリューム感とソフトな風合いが達成できる。
また、単繊維の外接円の直径の最大値と最小値の差は、好ましくは1.0μm以上10.0μm未満であり、より好ましくは1.0μm以上7.0μm以下である。単繊維の外接円の直径の最大値と最小値の差が1.0μm以上10.0μm未満の範囲であれば、単繊維間の繊度バラツキが小さいため、カーペットの外観品位にタテスジやイラツキが発生し難く、高級感のあるカーペットが得られる。
本発明のポリアミド捲縮糸の沸騰水収縮率は、3.1〜6.0%であることが好ましく、より好ましくは3.5%〜5.0%である。
沸騰水収縮率が3.1〜6.0%の範囲であれば、カーペット染色時のパイル縮みが抑制され、所望のボリューム感が得られるとともに、カーペット染色時のパイル縮みに伴う交撚糸の撚り戻りが抑制され、レベルカット先端部の尖端性(所謂ペンシルポイント感)が得られ、高級感に溢れた空間を提供するための深みのある色調を与え得ることができる。
本発明におけるポリアミド捲縮糸の製造方法は、通常の溶融紡糸、冷却、給油、延伸、および捲縮処理からなる捲縮糸製造工程によって製造される。本発明で用いられる溶融紡糸装置は、エクストルーダー型紡糸機でもプレッシャーメルター型紡糸機でも使用可能であるが、製品の均一性および製糸収率等の点で、エクストルーダー型紡糸機が好ましく用いられる。
艶消し剤の添加は、艶消し剤を高濃度で添加したマスターチップをポリアミドチップとブレンドしたチップを紡糸機に投入することができ、それぞれのチップを紡糸機直上で計量しながら投入することもできる。また、艶消し剤を粉体あるいは液体の状態で、直接紡糸機に投入することもできる。
本発明のポリアミド捲縮糸の特定の総繊度、単繊維繊度および断面形状などを満足させるには、ポリアミドの粘度、紡糸温度、口金孔形状、吐出量および冷却等の紡糸条件を適切に設定して溶融紡糸する。
特に、Y型断面用口金孔のスリット比は、好ましくは4.0以上8.0以下であり、より好ましくは5.0以上7.0以下である。ここで、スリット比とは、スリット長(図1のa)をスリット巾(図1のb)で除した値を示す。スリット比が4.0以上8.0以下の範囲であれば、1.5以上5.5以下の単繊維断面の異形度が得られることにより、ボリューム感とソフトな風合いが達成できる。
また、ポリアミドの溶融体は、弾性項の強い挙動を示し、バラス効果による膨らみが大きくなる傾向にある。そのため、口金吐出孔での吐出線速度は、バラス効果による糸条の膨らみを抑制するとともに、安定して伸長させ細化させて紡糸調子を向上させるために、異形口金から吐出するポリマーの吐出線速度は、好ましくは3.5m/分以上7.0m/分以下であり、より好ましくは4.0以上6.5m/分以下である。
ここで吐出線速度(m/分)とは、単位時間あたりのポリマーの単孔吐出量を単孔吐出断面積で除した値をいう。具体的には、溶融ポリマーの密度ρを1g/cm3として、次の式により定義される。
・吐出線速度=単孔吐出量/(ρ×単孔吐出断面積)
吐出線速度が3.5m/分以上7.0m/分以下の範囲であれば、単繊維内および単繊維間に太細斑が発生し難く、単繊維断面の異形度のCVが1.0以上7.0未満となり、本発明の目的とするボリューム感とソフトな風合いが得られる。また、単繊維の外接円の直径の最大値と最小値の差が1.0μm以上10.0μm未満となり、カーペットの外観品位にタテスジやイラツキが発生し難く、高級感のあるカーペットが得られる。
・吐出線速度=単孔吐出量/(ρ×単孔吐出断面積)
吐出線速度が3.5m/分以上7.0m/分以下の範囲であれば、単繊維内および単繊維間に太細斑が発生し難く、単繊維断面の異形度のCVが1.0以上7.0未満となり、本発明の目的とするボリューム感とソフトな風合いが得られる。また、単繊維の外接円の直径の最大値と最小値の差が1.0μm以上10.0μm未満となり、カーペットの外観品位にタテスジやイラツキが発生し難く、高級感のあるカーペットが得られる。
溶融紡糸された糸条は、冷風によって冷却固化され、次いで油剤を付与された後、所定の引き取り速度で回転する引き取りローラに捲回して引き取られる。引き取り速度は、300〜1500m/分であることが好ましい。引き取られた糸条は、通常、引き続き延伸工程および捲縮加工を連続して行われる。別の方法として、未延伸糸で一旦巻き取った後、別工程で延伸工程および捲縮加工を行う方法、あるいは延伸糸を一旦巻き取った後、別工程で捲縮加工を行う方法も可能である。
本発明において、ポリアミド捲縮糸が5%以上20%以下の沸水処理後の伸長率を有するためには、延伸工程で十分に分子鎖の配向を高めてから捲縮加工することが好ましい態様である。延伸倍率は、好ましくは2.0〜4.0倍の範囲で行い、伸度が30〜100%となるように延伸することが好ましい。
次いで、延伸された糸条は、捲縮付与装置を通して捲縮加工処理すされる。捲縮加工処理は、飽和蒸気、過熱蒸気または加熱空気等の加熱流体加工処理によって行われる。捲縮加工装置は、例えば、特開2004−84080号公報で開示された捲縮加工ノズル装置などを使用することができる。通常は、その捲縮加工ノズルを有するジェットノズル方式で捲縮加工され、ニードル内を通過する糸条に周囲から過熱蒸気や加熱空気等の高圧の高温流体を接触させ、大気中に放出し冷却することにより捲縮が付与される。更に、捲縮を固定する目的で、捲縮ノズルを通過した捲縮糸に冷風を吹きつけたり、内部に吸引するロータリーフィルターの表面に捲縮糸を堆積させて冷却する方法等も採用することができる。
捲縮加工する際の捲縮ノズルの温度は、190〜250℃であることが好ましく、より好ましくは200〜240℃である。捲縮ノズルの温度が190℃未満になると、熱処理が不十分なため捲縮を十分に付与することが困難となる。また、捲縮ノズルの温度が250℃を超えると、熱処理が過多となり、ポリマーの融着や劣化が起こり、捲縮糸の強度、伸度および伸長率等の物性が低下することがある。
捲縮加工された捲縮糸に適度なストレッチを与えて、捲縮を一部潜在化させた後、巻取り前に集束性を付与するため交絡処理を与え、巻取り機で巻き取る。
本発明のポリアミド捲縮糸は、十分なボリューム感とソフトな風合いを有するとともに、高級感に溢れた空間を提供するための深みのある色調を与え得るポリアミド捲縮糸として、特に素肌に接触して使用する家庭用ラグカーペットに好適に使用されるものである。
また、ポリアミド捲縮糸は、従来から、風合いが柔らかく、優れたバルキー性、発色性および耐摩耗性を生かして、カーペットに代表される種々のインテリア用途素材として用いられている。更に、カーペットの主な使用目的は、インテリア用途によく適応した機能と雰囲気を提供することであり、色や柄はもちろん、風合いやボリューム感など種々の特性が用途に合わせて要求されるものである。
次に、本発明のポリアミド捲縮糸とその製造方法に関し、実施例を用いて詳細に説明する。実施例中の各測定値の測定方法は、次のとおりである。
(1)二酸化チタンの平均粒子径:
試料(ポリマチップまたはポリアミド捲縮糸)5mgをスライドガラスに載せ、280℃の温度の熱板で溶融し、カバーガラスに挟んでフィルム状にした後、透過型顕微鏡(TEM)でポリマー中に分布する二酸化チタンを画像(倍率1000倍)として取り込む。取り込んだ画像から、二酸化チタンの粒径を測長した。粒子が真円でない場合は、長径をその粒子径として測定した。平均粒子径は、写真から任意の50個以上の粒子直径を測長し、その算術平均を求めることにより算出した。溶融し、フィルム状にした後、透過型顕微鏡(TEM)でポリマー中に分布する二酸化チタンを画像(倍率1000倍)として取り込む。取り込んだ画像から、二酸化チタンの粒径を測長した。粒子が真円でない場合は、長径をその粒子径として測定した。平均粒子径は、写真から任意の50個以上の粒子直径を測長し、その算術平均を求めることにより算出した。
試料(ポリマチップまたはポリアミド捲縮糸)5mgをスライドガラスに載せ、280℃の温度の熱板で溶融し、カバーガラスに挟んでフィルム状にした後、透過型顕微鏡(TEM)でポリマー中に分布する二酸化チタンを画像(倍率1000倍)として取り込む。取り込んだ画像から、二酸化チタンの粒径を測長した。粒子が真円でない場合は、長径をその粒子径として測定した。平均粒子径は、写真から任意の50個以上の粒子直径を測長し、その算術平均を求めることにより算出した。溶融し、フィルム状にした後、透過型顕微鏡(TEM)でポリマー中に分布する二酸化チタンを画像(倍率1000倍)として取り込む。取り込んだ画像から、二酸化チタンの粒径を測長した。粒子が真円でない場合は、長径をその粒子径として測定した。平均粒子径は、写真から任意の50個以上の粒子直径を測長し、その算術平均を求めることにより算出した。
(2)二酸化チタン量(質量%):
試料(ポリマチップまたはポリアミド捲縮糸)10gを白金ルツボに入れ、550℃の温度の電気炉内で4時間加熱焼成し、完全に灰化させた後、デシケーター内で1時間放冷し、その灰化物の質量(g)を、上記10gの比率を酸化チタン量(質量%)とした。
試料(ポリマチップまたはポリアミド捲縮糸)10gを白金ルツボに入れ、550℃の温度の電気炉内で4時間加熱焼成し、完全に灰化させた後、デシケーター内で1時間放冷し、その灰化物の質量(g)を、上記10gの比率を酸化チタン量(質量%)とした。
(3)硫酸相対粘度(ηr):
試料(ポリマチップ)0.25gを98%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃の温度で測定し、次の式から硫酸相対粘度(ηr)を求めた。硫酸相対粘度(ηr)を、5サンプルの平均値から求めた。
・ηr=試料溶液の流下秒数/硫酸のみの流下秒数。
試料(ポリマチップ)0.25gを98%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃の温度で測定し、次の式から硫酸相対粘度(ηr)を求めた。硫酸相対粘度(ηr)を、5サンプルの平均値から求めた。
・ηr=試料溶液の流下秒数/硫酸のみの流下秒数。
(4)固有粘度(IV):
試料(ポリマチップ)8.0gにオルソクロロフェノール100mlを加えて、160℃の温度で10分間加熱溶解した溶液の硫酸相対粘度ηrを、オストワルド粘度計を用いて測定し、次の式から固有粘度(IV)を求めた。固有粘度を、5サンプルの平均値から求めた。
・IV=0.0242ηr+0.02634。
試料(ポリマチップ)8.0gにオルソクロロフェノール100mlを加えて、160℃の温度で10分間加熱溶解した溶液の硫酸相対粘度ηrを、オストワルド粘度計を用いて測定し、次の式から固有粘度(IV)を求めた。固有粘度を、5サンプルの平均値から求めた。
・IV=0.0242ηr+0.02634。
(5)総繊度:
JIS L1013(2010) 8.3.1 b)B法により、正量繊度を測定して総繊度とした。
JIS L1013(2010) 8.3.1 b)B法により、正量繊度を測定して総繊度とした。
(6)単繊維繊度:
総繊度をフィラメント数で除して、単繊維繊度を求めた。
総繊度をフィラメント数で除して、単繊維繊度を求めた。
(7)強度および伸度:
JIS L1013(2010) 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。試料(ポリアミド捲縮糸)を、オリエンテック社製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100を用い、掴み間隔は25cmで、引張り速度は30cm/分で行った。伸度は、S−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。強度と伸度を、5サンプルの平均値から求めた。
JIS L1013(2010) 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。試料(ポリアミド捲縮糸)を、オリエンテック社製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100を用い、掴み間隔は25cmで、引張り速度は30cm/分で行った。伸度は、S−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。強度と伸度を、5サンプルの平均値から求めた。
(8)捲縮伸長率:
捲縮糸をかせ状にとり、20℃の温度で湿度が65%RHの室内に3時間放置して放縮させた。次いで、沸騰水中に20分間浸漬して沸騰水処理を行った。沸騰水処理を施したかせ状の糸条を12時間、前記の20℃の温度で湿度が65%RHの室内で放置乾燥させた。次に、得られた糸条を1m程度の長さに切り取り、糸条の総繊度をA(dtex)とすると、17.7A(μN)(1.8A(mg))の初荷重を30秒間加えた後の糸条の長さL1を先ず測定した。
捲縮糸をかせ状にとり、20℃の温度で湿度が65%RHの室内に3時間放置して放縮させた。次いで、沸騰水中に20分間浸漬して沸騰水処理を行った。沸騰水処理を施したかせ状の糸条を12時間、前記の20℃の温度で湿度が65%RHの室内で放置乾燥させた。次に、得られた糸条を1m程度の長さに切り取り、糸条の総繊度をA(dtex)とすると、17.7A(μN)(1.8A(mg))の初荷重を30秒間加えた後の糸条の長さL1を先ず測定した。
次に、883A(μN)(90A(mg))の定荷重を30秒間加えた後の糸条の長さL2を測定した。本発明における捲縮伸長率(%)は、上記のL1とL2より、次の式から求めた。捲縮伸長率を、5サンプルの平均値から求めた。
・捲縮伸長率=((L2−L1)/L1)×100(%)。
・捲縮伸長率=((L2−L1)/L1)×100(%)。
(9)沸騰水収縮率:
沸騰水収縮率は、JIS L1013(2010)8.18.1 b)フィラメント寸法変化率(B法)に従って測定した。
沸騰水収縮率は、JIS L1013(2010)8.18.1 b)フィラメント寸法変化率(B法)に従って測定した。
(10)異形度:
レーヨンステープルで包んだポリアミド捲縮糸の糸端を、厚さ0.5mmのステンレス製プレパラートに設けた穴(穴径1.0mm)に通し、安全カミソリでプレパラートの両面に沿って平行にカットしたものを断面観察用の試料とした。この試料を、KEYENCE社製デジタルマイクロスコープ「VHX−500」を用いて500倍で観察し、単繊維横断面の外接円の直径Dと単繊維横断面の内接円の直径dから、下記式により異形度を求めた。任意の30サンプルの平均値から求めた。
・異形度=D/d
(ここで、外接円の直径Dとは、Y型断面の場合では三つの頂点を通る円の直径を表し、また、内接円の直径dとは、Y型断面の場合では三つの凹部を通る円の直径を表す。)。
レーヨンステープルで包んだポリアミド捲縮糸の糸端を、厚さ0.5mmのステンレス製プレパラートに設けた穴(穴径1.0mm)に通し、安全カミソリでプレパラートの両面に沿って平行にカットしたものを断面観察用の試料とした。この試料を、KEYENCE社製デジタルマイクロスコープ「VHX−500」を用いて500倍で観察し、単繊維横断面の外接円の直径Dと単繊維横断面の内接円の直径dから、下記式により異形度を求めた。任意の30サンプルの平均値から求めた。
・異形度=D/d
(ここで、外接円の直径Dとは、Y型断面の場合では三つの頂点を通る円の直径を表し、また、内接円の直径dとは、Y型断面の場合では三つの凹部を通る円の直径を表す。)。
(11)異形度の変動係数(CV):
異形度の変動係数(CV)は、上記の(10)項で測定した変形度30サンプルの標準偏差を、算術平均で除した値から算出した。
異形度の変動係数(CV)は、上記の(10)項で測定した変形度30サンプルの標準偏差を、算術平均で除した値から算出した。
(12)単繊維の外接円の直径の最大値と最小値の差:
単繊維の外接円の直径の最大値と最小値の差は、上記の(10)項で測定した外接円の最大値と最小値の差から求めた。
単繊維の外接円の直径の最大値と最小値の差は、上記の(10)項で測定した外接円の最大値と最小値の差から求めた。
(13)扁平度:
レーヨンステープルで包んだポリアミド捲縮糸の糸端を、厚さ0.5mmのステンレス製プレパラートに設けた穴(穴径1.0mm)に通し、安全カミソリでプレパラートの両面に沿って平行にカットしたものを断面観察用の試料とした。この試料を、KEYENCE社製デジタルマイクロスコープ「VHX−500」を用いて500倍で観察し、単繊維横断面を長方形に近似させ、そのタテとヨコの比から扁平度を算出した。扁平度を、10サンプルの平均値から求めた。
レーヨンステープルで包んだポリアミド捲縮糸の糸端を、厚さ0.5mmのステンレス製プレパラートに設けた穴(穴径1.0mm)に通し、安全カミソリでプレパラートの両面に沿って平行にカットしたものを断面観察用の試料とした。この試料を、KEYENCE社製デジタルマイクロスコープ「VHX−500」を用いて500倍で観察し、単繊維横断面を長方形に近似させ、そのタテとヨコの比から扁平度を算出した。扁平度を、10サンプルの平均値から求めた。
(14)製糸性:
1t生産あたりの糸切れ回数を、次の基準で判断した。◎と○を、合格とした。
◎:0.0〜2.0回/t
○:2.1〜4.0回/t
△:4.1〜6.0回/t
×:6.1〜 回/t。
1t生産あたりの糸切れ回数を、次の基準で判断した。◎と○を、合格とした。
◎:0.0〜2.0回/t
○:2.1〜4.0回/t
△:4.1〜6.0回/t
×:6.1〜 回/t。
(15)風合い:
カーペットを静置し、素手による触感から、次の指標で風合い評価した。評価者10人の平均で判定し、7.0以上を合格とした。
・10:きわめて柔らかく、肌触りがきわめてよい。
・7:柔らかく、肌触りがきわめてよい。
・3:やや柔らかさに劣り、肌触りは普通。
・1:柔らかさに劣り、肌触りが悪い。
カーペットを静置し、素手による触感から、次の指標で風合い評価した。評価者10人の平均で判定し、7.0以上を合格とした。
・10:きわめて柔らかく、肌触りがきわめてよい。
・7:柔らかく、肌触りがきわめてよい。
・3:やや柔らかさに劣り、肌触りは普通。
・1:柔らかさに劣り、肌触りが悪い。
(16)ボリューム感:
カーペットを静置し、素手による触感から、次の指標でボリューム感を評価した。評価者10人の平均で判定し、7.0以上を合格とした。
・10:弾力性と反発性が高く、腰がきわめて強い。
・7:弾力性と反発性が優れ、腰が強い。
・3:弾力性と反発性がやや低く、腰が弱い。
・1:弾力性と反発性が低く、腰がきわめて弱い。
カーペットを静置し、素手による触感から、次の指標でボリューム感を評価した。評価者10人の平均で判定し、7.0以上を合格とした。
・10:弾力性と反発性が高く、腰がきわめて強い。
・7:弾力性と反発性が優れ、腰が強い。
・3:弾力性と反発性がやや低く、腰が弱い。
・1:弾力性と反発性が低く、腰がきわめて弱い。
(17)高級感:
カーペットを静置し、目視による外観から、次の指標で高級感を評価した。評価者10人の平均で判定し、7.0以上を合格とした。
・10:きわめて深みのある色調であり、高級感が優れている。
・7:深みのある色調であり、高級感がある。
・3:色調にやや深みがなく、高級感に欠ける。
・1:イラツキがあり、色調に深みがなく、高級感がない。
カーペットを静置し、目視による外観から、次の指標で高級感を評価した。評価者10人の平均で判定し、7.0以上を合格とした。
・10:きわめて深みのある色調であり、高級感が優れている。
・7:深みのある色調であり、高級感がある。
・3:色調にやや深みがなく、高級感に欠ける。
・1:イラツキがあり、色調に深みがなく、高級感がない。
[実施例1]
硫酸相対粘度が2.8で、平均粒子径が0.03μmの二酸化チタンを4.0質量%含むナイロン6チップを、エクストルーダー型紡糸機に投入して溶融紡糸した。紡糸温度が250℃で、Y型断面用の孔スリット比5.2を有する口金を用いて、吐出線速度が5.2m/分になるようにポリマー(ナイロン6)を吐出し、捲縮糸の総繊度が970dtexで、フィラメント数が360、単繊維繊度が2.7dtexとなるように製糸した。
硫酸相対粘度が2.8で、平均粒子径が0.03μmの二酸化チタンを4.0質量%含むナイロン6チップを、エクストルーダー型紡糸機に投入して溶融紡糸した。紡糸温度が250℃で、Y型断面用の孔スリット比5.2を有する口金を用いて、吐出線速度が5.2m/分になるようにポリマー(ナイロン6)を吐出し、捲縮糸の総繊度が970dtexで、フィラメント数が360、単繊維繊度が2.7dtexとなるように製糸した。
引取速度は1000m/分、トータル延伸倍率2.8倍(1段目延伸倍率2.5倍、2段目延伸倍率1.1倍)、1段目延伸温度50℃、2段目延伸温度110℃、セット温度200℃で熱延伸した。次いで、延伸糸条は連続して、特開2004−84080号公報中の図6で示される捲縮ノズルで0.8MPaの過熱蒸気により、捲縮ノズル温度215℃で捲縮処理を施した後、冷却ロールで冷却した後、0.12cN/dtexをかけてストレッチし、捲縮を潜在化させた後、交絡ノズルを通して、6個/mの交絡を付与して、2470m/分で巻き取った。得られた捲縮糸(ポリアミド捲縮糸)の特性を、表1に示す。
次いで、得られた上記ポリアミド捲縮糸に上撚り、下撚りとも190t/mの諸撚りを施した後、熱処理を行い、熱セットを実施した諸撚り糸を得た。
得られた上記諸撚り糸を用い、通常のレベルカットにて、ゲージ、目付が900g/m2 となるようにステッチを調節してタフトした。その後、常法に従い染色とバッキングを実施した。このようにして得られたカーペットの「風合い」、「ボリューム感」および「高級感」について、評価した結果を表1に示す。
[実施例2]
平均粒子径が0.30μmの二酸化チタンを0.3質量%含むナイロン6チップを使用したこと以外は、実施例1と同様に実施して捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表1に示す。
平均粒子径が0.30μmの二酸化チタンを0.3質量%含むナイロン6チップを使用したこと以外は、実施例1と同様に実施して捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表1に示す。
[実施例3]
平均粒子径が2.00μmの二酸化チタンを0.1質量%含むナイロン6チップを使用したこと以外は、実施例1と同様に実施して捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表1に示す。
平均粒子径が2.00μmの二酸化チタンを0.1質量%含むナイロン6チップを使用したこと以外は、実施例1と同様に実施して捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表1に示す。
[実施例4]
捲縮ノズル温度を225℃として捲縮処理を施したこと以外は、実施例2と同様に実施して捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表1に示す。
捲縮ノズル温度を225℃として捲縮処理を施したこと以外は、実施例2と同様に実施して捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表1に示す。
[実施例5]
平均粒子径が0.30μmの二酸化チタンを0.3質量%含むナイロン6チップを使用し、Y型断面用の孔スリット比8.0を有する口金を用いて、吐出線速度が4.4m/分になるようにポリマーを吐出したこと以外は、実施例1と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表2に示す。
平均粒子径が0.30μmの二酸化チタンを0.3質量%含むナイロン6チップを使用し、Y型断面用の孔スリット比8.0を有する口金を用いて、吐出線速度が4.4m/分になるようにポリマーを吐出したこと以外は、実施例1と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表2に示す。
[実施例6]
平均粒子径が0.30μmの二酸化チタンを0.3質量%含むナイロン6チップを使用し、Y型断面用の孔スリット比5.2を有する口金を用いて、吐出線速度4.3m/分になるようにポリマーを吐出し、捲縮糸の総繊度が700dtex、フィラメント数360、単繊維繊度が1.9dtexとなるように製糸したこと以外は、実施例1と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表2に示す。
平均粒子径が0.30μmの二酸化チタンを0.3質量%含むナイロン6チップを使用し、Y型断面用の孔スリット比5.2を有する口金を用いて、吐出線速度4.3m/分になるようにポリマーを吐出し、捲縮糸の総繊度が700dtex、フィラメント数360、単繊維繊度が1.9dtexとなるように製糸したこと以外は、実施例1と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表2に示す。
[実施例7]
平均粒子径が0.30μmの二酸化チタンを0.3質量%含むナイロン6チップを使用し、Y型断面用の孔スリット比5.2を有する口金を用いて、吐出線速度3.5m/分になるようにポリマーを吐出したこと以外は、実施例1と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表2に示す。
平均粒子径が0.30μmの二酸化チタンを0.3質量%含むナイロン6チップを使用し、Y型断面用の孔スリット比5.2を有する口金を用いて、吐出線速度3.5m/分になるようにポリマーを吐出したこと以外は、実施例1と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表2に示す。
[実施例8]
平均粒子径が0.30μmの二酸化チタンを0.3質量%含むナイロン6チップを使用し、Y型断面用の孔スリット比6.0を有する口金を用いて、吐出線速度7.0m/分になるようにポリマーを吐出したこと以外は、実施例1と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表2に示す。
平均粒子径が0.30μmの二酸化チタンを0.3質量%含むナイロン6チップを使用し、Y型断面用の孔スリット比6.0を有する口金を用いて、吐出線速度7.0m/分になるようにポリマーを吐出したこと以外は、実施例1と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表2に示す。
[比較例1]
固有粘度が1.4のポリ(トリメチレンテレフタレート)チップを使用し、Y型断面用の孔スリット比4.5を有する口金を用いて、吐出線速度8.1m/分になるようにポリマーを吐出し、総繊度が1450dtex、フィラメント数が54、単繊維繊度が26.9dtexとなるように製糸したこと以外は、実施例2と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸(ポリアミド捲縮糸)の特性、およびカーペットの評価結果を表3に示す。
固有粘度が1.4のポリ(トリメチレンテレフタレート)チップを使用し、Y型断面用の孔スリット比4.5を有する口金を用いて、吐出線速度8.1m/分になるようにポリマーを吐出し、総繊度が1450dtex、フィラメント数が54、単繊維繊度が26.9dtexとなるように製糸したこと以外は、実施例2と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸(ポリアミド捲縮糸)の特性、およびカーペットの評価結果を表3に示す。
[比較例2〜4]
表2のとおり、二酸化チタンの平均粒子径と添加量を変更したこと以外は、実施例2と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を、表3に示す。
表2のとおり、二酸化チタンの平均粒子径と添加量を変更したこと以外は、実施例2と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を、表3に示す。
[比較例5〜6]
表2のとおり、Y型断面用の孔スリット比と吐出線速度を変更したこと以外は、実施例2と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表3と表4(比較例6)に示す。
表2のとおり、Y型断面用の孔スリット比と吐出線速度を変更したこと以外は、実施例2と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表3と表4(比較例6)に示す。
[比較例7]
Y型断面用の孔スリット比が5.2を有する口金を用いて、吐出線速度が3.3m/分になるようにポリマーを吐出し、総繊度が500dtex、フィラメント数が360、単繊維繊度が1.4dtexとなるように製糸したこと以外は、実施例2と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表4示す。
Y型断面用の孔スリット比が5.2を有する口金を用いて、吐出線速度が3.3m/分になるようにポリマーを吐出し、総繊度が500dtex、フィラメント数が360、単繊維繊度が1.4dtexとなるように製糸したこと以外は、実施例2と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表4示す。
[比較例8]
Y型断面用の孔スリット比が5.2を有する口金を用いて、吐出線速度が4.2m/分になるようにポリマーを吐出し、総繊度が1080dtex、フィラメント数が360、単繊維繊度が3.0dtexとなるように製糸したこと以外は、実施例2と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表4に示す。
Y型断面用の孔スリット比が5.2を有する口金を用いて、吐出線速度が4.2m/分になるようにポリマーを吐出し、総繊度が1080dtex、フィラメント数が360、単繊維繊度が3.0dtexとなるように製糸したこと以外は、実施例2と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表4に示す。
[比較例9]
図3に示される扁平断面用口金を使用し、総繊度が500dtex、フィラメント数が180、単繊維繊度が2.8dtexとなるように製糸したこと以外は、実施例2と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表4に示す。
図3に示される扁平断面用口金を使用し、総繊度が500dtex、フィラメント数が180、単繊維繊度が2.8dtexとなるように製糸したこと以外は、実施例2と同様に実施して、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性、およびカーペットの評価結果を表4に示す。
表1と表2から明らかなように、実施例1〜8は、ポリアミド捲縮糸の製糸性およびカーペットの高級感とも合格基準であった。
また、表3と表4から明らかなように、比較例1、比較例7および比較例8は、単繊維繊度が1.5dtex未満3.0dtex以上であり、柔らかく肌触りのよい風合いが得られなかった。また、比較例1、比較例7および比較例9は、捲縮伸長率が5%未満と低く、十分なボリューム感が得られなかった。また、比較例7は、ポリマーの吐出線速度が3.5m/分以下と低く、ポリマー吐出直後にポリマー長手方向に太細が発生し、得られる捲縮糸の異形度CVおよび単繊維の外接円の直径の最大値と最小値の差が大きくなり、得られたカーペットは高級感に欠けるものであった。また、比較例2は、二酸化チタン無添加のため、光沢感が強く、高級感に欠ける。また、比較例3と比較例4は、二酸化チタンの平均粒子径が大きく、粒子添加量が多いため、二酸化チタンが繊維表面に露出する割合が高くなり、染色されたポリアミド捲縮糸は二酸化チタン本来の白色が強く顕在化したものとなり、深みのある色調が得られなかった。比較例5は、異形度が1.5以下と小さく、十分なボリューム感が得られなかった。また、比較例6は、異形度が5.5以上であり、ボリューム感は得られるものの、スリット比が8.0以上と高いため、ポリマー吐出直後の冷却固化点が単糸間で異なり、異形度CVおよび単繊維の外接円の直径の最大値と最小値の差が大きくなり、得られたカーペットは高級感に欠けるものであった。
a:3葉断面(Y型)用口金の吐出孔のスリット長
b:3葉断面(Y型)用口金の吐出孔のスリット巾
b:3葉断面(Y型)用口金の吐出孔のスリット巾
Claims (5)
- 下記の要件(1)〜(4)を満たすポリアミド捲縮糸であって、前記ポリアミド捲縮糸が平均粒子径0.01μm以上2.10μm以下の粒子を0.1質量%以上4質量%以下含有することを特徴とするポリアミド捲縮糸。
(1)単繊維繊度が、1.5デシテックス以上3.0デシテックス未満、
(2)総繊度が、400デシテックス以上1500デシテックス以下、
(3)単繊維断面形状が3葉以上の多葉の形状で、異形度が1.5以上5.5以下、
(4)沸騰水処理後の捲縮伸長率が、5%以上20%以下。 - 粒子が酸化チタンであることを特徴とする請求項1記載のポリアミド捲縮糸。
- 単繊維断面形状の異形度の変動係数(CV)%が1.0%以上7.0%未満であり、かつ単繊維の外接円の直径の最大値と最小値の差が1.0μm以上10.0μm未満であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド捲縮糸。
- ポリアミド捲縮糸の沸騰水収縮率が3.1〜6.0%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド捲縮糸。
- 平均粒子径が0.01μm以上2.10μm以下の粒子を0.1質量%以上4質量%以下含有する硫酸相対粘度が2.5以上3.5以下のポリアミドを溶融し、スリット比が4.0以上8.0以下の異形口金から吐出するポリマーの吐出線速度が3.5m/分以上7.0m/分以下の速度で吐出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド捲縮糸の製造方法。
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