JPS6214659B2

JPS6214659B2 -

Info

Publication number: JPS6214659B2
Application number: JP13092182A
Authority: JP
Inventors: Takashi Miura; Fudanobu Maeda; Isao Fujita
Original assignee: Toray Industries Inc
Current assignee: Toray Industries Inc
Priority date: 1982-07-27
Filing date: 1982-07-27
Publication date: 1987-04-03
Also published as: JPS5921738A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はポリアミド系人工芝生用パイル糸及び
その製造方法に関するものである。従来、一般に人工芝生用のパイル糸としては、
鋳型の中に溶融ポリマーを注入し成型したもの
や、フイルムを切断したスリツトヤーンや溶融紡
糸により異形断面孔を有するノズルを通して製造
した扁平糸などが用いられている。それらのパイ
ル糸の植毛方法としては、基材上に編織する方法
や電気植毛する方法、また、近年一般的植毛法と
なつているタフテイングによるもの等がある。一方、人工芝生として要求される特性は、使用
する用途によつて、あるいは施工される場所の環
境によつて大きく異なるが、全般的な特性につい
て言及すれば、物理的、機械的特性の面から引張
強力、引裂強力、パイル糸の抜糸強力等、製品形
態安定性の面からは伸び縮みに関する寸法安定性
等、耐久性の面からはパイル糸の圧縮回復性、耐
摩耗性、耐候性に基づく変退色、強力劣化および
細繊化等、外観および風合の面からは柔らかいと
か硬いといつた感触、色調、パイルの基布に対す
る被覆性が挙げられる。外観および風合の面の特
性以外は、人工芝生が主として屋外に施工される
敷物であるため、屋内施工を主とするカーペツト
に要求されるレベルとは比較にならない高度なレ
ベルのものが要求される。また、人工芝生用パイ
ル糸は、植毛可能な集束性が要求される。さらに
パイルの圧縮回復性は、パイル糸の繊度、扁平
度、パイル糸長、植毛密度、ケン縮形態によつて
も異なるが、特にポリアミド系繊維は、水に濡れ
た湿潤状態で使用される人工芝生の場合、湿潤状
態における圧縮回復性が良好であることが重要で
ある。本発明は、これらの特性のうち、人工芝生とし
ての商品価値、風合および機能上特に重要なパイ
ル糸の圧縮回復性およびパイル糸の基布に対する
被覆性能の改善、さらに、実ヨリを付与せず植毛
可能な集束性を与える人工芝生用パイル糸および
その製造方法に係るものである。即ち、本発明は、 (1) 実質的に扁平な断面形状を有し、単糸繊度
100〜700デニール、総繊度1000〜5000デニール
のポリアミド系マルチフイラメントであり、交
互ヨリ数30〜200個／ｍ、捲縮率0.5〜3.0％、
潜在捲縮率0.5〜3.0％、潜在トルク指数30〜
150T／ＭのＳ字状とＺ字状に変転した交互ヨ
リが付与され、かつ静的湿潤圧縮疲労率が10％
以下であることを特徴とする人工芝生用パイル
糸。 (2) 実質的に扁平な断面形状を有し、単糸繊度
100〜700デニール、総繊度1000〜5000デニール
のポリアミド系マルチフイラメントを加圧スチ
ーム圧が1.9〜2.4Kg／cm²Ｇ、仮ヨリ圧空圧が１
〜５Kg／cm²Ｇ、スチーム処理時間0.15〜5.0
秒、過剰供給率１〜10％で流体仮ヨリ加工と加
圧スチーム処理を同時に行なうことを特徴とす
る人工芝生用パイル糸の製造方法である。本発明に係るポリアミド系人工芝生用パイル糸
は、実質的に扁平な断面形状を有し、単糸繊度
100〜700デニール、総繊度1000〜5000デニールの
範囲が望ましい。単糸繊度が100デニール以下で
は、カーペツトライクになり、天然芝生状の風合
が得られないうえ、圧縮回復性が低下したり、使
用中のパイル部の含水率が上昇し乾燥をおくらせ
実用性が低下する。逆に700デニール以上では、
パイル糸が太すぎて必要以上に植毛密度を向上し
ないと基布に対する被覆性が悪く、実用時にスト
ツキングをやぶつたり、転倒した時ケガをし易い
等の欠点があり望ましくない。一方、総繊度が
1000デニール以下では、充分な植毛密度が確保で
きないため、所望の風合、被覆性や圧縮回復性を
得ることができない。一方、総繊度が5000デニー
ル以上では通常のタフトｍ／ｃでの植毛が出来な
い。もし植毛できたとしても打込み密度を増加し
ないと基布に対する被覆性が悪く望ましくない。本発明の人工芝生用パイル糸は上述する繊度条
件を満足すると共に、Ｓ字状とＺ字状に変転した
ヨリ数30〜200個／ｍの交互ヨリを有し、かつそ
の捲縮率が0.5〜3.0％、潜在捲縮率が0.5〜3.0
％、潜在トルク指数が30〜150T／Ｍ、静的湿潤
圧縮疲労率が10％以下であるという条件を同時に
満足することが必要であり、これにより良効な植
毛性を有すると共にパイル糸の方向性がなく、基
布に対する被覆性及びパイル糸としての湿潤圧縮
回復性に優れ、天然芝生ライクな外観を与えるポ
リアミド系人工芝生用パイル糸を得ることができ
る。交互ヨリ数が30T／ｍ以下では、ヨリ数が少な
すぎて、カツトパイル状に植毛した場合、スタツ
フアー法やギヤー法のようなベンデイング状の捲
縮となり、基布に対する被覆性には優れるが、ス
パイラル状捲縮に比較し、実用時の負荷応力がパ
イルの側面全体に受けるためパイルは根元から倒
伏し圧縮回復性が劣ることになり望ましくない。
逆に200T／Ｍ以上では、スパイラル状捲縮が強
すぎるため、植毛後パイルは立毛するため、圧縮
回復性は良好となるが基布に対する被覆性が低下
するため望ましくない。又、捲縮率が0.5％以下では、植毛後の被覆性
が劣るため望ましくなく、一方、3.0％以上では
捲縮が多すぎて被覆性が劣る。さらに潜在捲縮率が0.5％以下、潜在トルク指
数が30以下では、植毛時の集束性が不十分であ
り、ルーパーからの糸はずれを生じ、単糸のミス
カツトを生じ人工芝生の風合が低下する。一方潜
在捲縮率が3.0％以上、潜在トルク指数が150以上
では、植毛時にヨリトルクにより植毛不能にな
る。又、静的圧縮疲労率が10％を上廻る場合はパイ
ル糸の折れや曲がりが激しく、特に湿潤状態にお
ける圧縮回復性が劣り、人工芝生として致命的な
性能低下を生ずるので望ましくない。次に本発明のポリアミド系人工芝生用パイルは
前述のごとき繊度条件を満足するポリアミド系マ
ルチフイラメントに特定の流体仮ヨリ加工と加工
スチーム処理を同時に施すことにより製造され
る。即ち圧縮した高圧空気を仮ヨリノズルに導い
て旋回流を生ぜしめ、交互ヨリを付与しながら、
加工スチーム筒内にパイル用原糸を連続的に通過
させることにより、仮ヨリと同時に熱処理する。
その際の加工条件、つまり加圧スチーム圧、圧空
圧、スチーム処理時間及びパイル用原糸の過剰供
給率が特定の条件を同時に満足する場合には本発
明を満足するパイル糸が得られるのである。加圧スチーム圧が1.9Kg／cm²Ｇ以下では、捲縮
の安定性が悪いうえ湿潤圧縮回復性も劣るものと
なる。逆に、2.4Kg／cm²Ｇ以上では、パイル糸が
融着状態となり開繊性不良となり基布に対する被
覆性を低下し、パイルも剛直となり人工芝生用パ
イルとしては適さなくなる。又圧空圧が１Kg／cm²
Ｇ以下では、捲縮が少なく上述の捲縮糸を得るこ
とは出来ない。一方、５Kg／cm²Ｇ以上では、捲縮
が細かく多すぎるものしか得られないため基布に
対する被覆性が低下したり、ヨリトルクが強すぎ
て植毛できないなどの不都合を生じる。スチーム
処理時間0.15秒以下の場合は、湿潤圧縮回復性が
悪くなるうえ、捲縮の安定性が劣り、ムラを発生
しやすくなるので望ましくない。一方、5.0秒以
上では、パイルが融着状態となり望ましくない。
パイル用原糸の過剰供給率が１％以下では、圧空
圧を増加しても捲縮の発現性にとぼしく、所望の
捲縮糸は得られない。逆に、10％以上では捲縮が
細かく多すぎるものしか得られないため、基布に
対する被覆性が低下する。以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明において、交互ヨリ数、捲縮率、潜在
捲縮率、潜在トルク指数及び静的湿潤圧縮疲労率
はそれぞれ次の方法により測定したものである。 (1) 交互ヨリ数上述した多繊糸条のスチーム仮ヨリ糸をカセ
状にして、沸騰水中で30分処理し、一昼夜風乾
する。次に風乾された単糸１本を取出し、２
mg／デニールの張力をかけた状態で固定し、拡
大鏡を用いて単位長さ当りのＳ字状とＺ字状の
交互ヨリ数を読みとり、１メートル当りの交互
ヨリ数を算出する。 (2) 捲縮率、潜在捲縮率一定長さの多繊糸条に、0.1ｇ／ｄの荷重下
で１分後の糸長l₀を測定する。次に荷重を外し
て３分後に再び２mg／ｄの荷重をかけた状態で
１分後の糸長l₁を測定する。続いてフリーの状
態にして沸騰水中で30分処理し、一昼夜風乾す
る。次に0.1ｇ／ｄの荷重をかけ１分後の糸長l₂を
測定する。続いて、フリーで３分間放置した後
２mg／ｄの荷重下で１分後の糸長l₃を測定し次
式より算出する。捲縮率＝（l₂−l₃）×100／l₂ 潜在捲縮率＝［（l₂−l₃）×100／l₂］ −［（l₀−l₁）×100／l₀］ (3) 潜在トルク指数一定長さの多繊糸条を取り出し、約30cmに切
断し、片端に油性インクで印をつけ、飽和水蒸
気中で５分間片端フリーの状態で吊す。その後
風乾で１昼夜放置した後、糸が回転して生じた
ヨリ数を数えて１ｍ当りのヨリ数を換算する。 (4) 静的湿潤圧縮疲労率上述した人工芝生用パイル糸を５インチ／32
ゲージのカツトパイル用タフテイングｍ／ｃ
で、パイル長さ８mm、パイル目付500ｇ／m²に
なるようにステツチで調整、植毛し、裏面に
SBRエマルジヨンを塗布し人工芝生を作成す
る。次にパイル高さT₁をダイヤルゲージで測
定する。続いて室温で水に24時間浸漬しておき
その後試料をすばやく取出し、常温で１Kg／cm²
の荷重を人工芝生の上に24時間放置し、除重後
さらに常温で96時間風乾し、再びパイル高さ
T₂をダイヤルゲージで測定し次式より算出す
る。静的湿潤圧縮疲労率＝Ｔ_１−Ｔ_２／Ｔ_１×100 実施例 98％濃度の硫酸を溶媒とした場合の相対粘度が
2.98のナイロン６を92％および銅フエタロシアニ
ングリーンを主成分とした顔料を15％含んだナイ
ロン６ベースのマスターペレツトを８％秤量後ブ
レンドし、通常のスクリユー型紡糸機でシリンダ
ー部が260℃、口金パツク部が280℃で溶融紡出し
た。口金は0.15mm巾、4.6mm長さのスリツト状ノ
ズル孔10個を有するものを使用した。口金より吐
出されたポリマーを水冷固化し、50ｍ／分で引取
ることの出来るニツプ式第１ローラに通し、続い
て188ｍ／分で引取ることの出来る第２ローラを
通し、175ｍ／分で巻取つた。第１ローラと第２
ローラの間には、ポリマーの延伸を良好にするた
め、100cm長さの熱板を置き、表面温度を180℃に
保つた。尚、テストNo.17は紡糸時の第１、第２ローラ、
巻取速度を増加し単糸繊度を75デニールとし、10
本合糸して仮ヨリ加工を行なつた。テストNo.18
は、紡糸口金ノズル孔５個のものを使用し、単糸
繊度750デニールになる様に引取つた。次に、このようにして得られたパイル原糸を蒸
熱・空気仮ヨリ加工装置（供給・ニツプローラー
高圧スチーム筒−圧空仮ヨリノズル−引取ニツプ
ローラ）によつて、高圧スチーム筒内で仮ヨリと
加圧スチーム処理とを同時にかつ連続的に施す。
テストした仮ヨリ条件と人工芝特性を表１に示
す。このようにして得られた糸をパイル糸としてタ
フテイングし、人工芝生を作成した。タフテイン
グに際しては、ゲージを5/32インチ、パイル長を
８mm、パイル目付は、500ｇ／m²になるようにス
テツチで調整した。得られたパイル糸の捲縮特性、植毛性及び人工
芝特性についての評価結果を表１に示す。表１のテストNo.14はパイル用原糸を取ニツプロ
ーラの周速度より５％増の供給速度で供給（過剰
供給率５％）し、スチーム圧2.0Kg／cm²Ｇ、圧空
圧3.0Kg／cm²Ｇ、スチーム処理時間（スチーム筒
内滞溜時間）4.5秒で加工した場合である。この
条件で得られたパイル糸による人工芝特性は風合
良好でかつ静的湿潤圧縮疲労率の少ない人工芝で
あつた。

【表】表１から明らかなように本発明を満足するNo.
４、５、６、９、10、13及び14のパイル糸は、植
毛性、風合、耐湿潤圧縮性すべて良好であること
がわかる。

Claims

【特許請求の範囲】１実質的に扁平な断面形状を有し、単糸繊度
100〜700デニール、総繊度1000〜5000デニールの
ポリアミド系マルチフイラメントであり、交互ヨ
リ数30〜200個／ｍ、捲縮率0.5〜3.0％、潜在捲
縮率0.5〜3.0％、潜在トルク指数30〜150T／Ｍの
Ｓ字状とＺ字状に変転した交互ヨリが付与され、
かつ静的湿潤圧縮疲労率が10％以下であることを
特徴とする人工芝生用パイル糸。２実質的に扁平な断面形状を有し、単糸繊度
100〜700デニール、総繊度1000〜5000デニールの
ポリアミド系マルチフイラメントを加圧スチーム
圧が1.9〜2.4Kg／cm²Ｇ、仮ヨリ圧空圧が１〜５
Kg／cm²Ｇ、スチーム処理時間0.15〜5.0秒、過剰
供給率１〜10％で流体仮ヨリ加工と加圧スチーム
処理を同時に行なうことを特徴とする人工芝生用
パイル糸の製造方法。