JP3395246B2 - 人工芝用原糸 - Google Patents

人工芝用原糸

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JP3395246B2 JP11569393A JP11569393A JP3395246B2 JP 3395246 B2 JP3395246 B2 JP 3395246B2 JP 11569393 A JP11569393 A JP 11569393A JP 11569393 A JP11569393 A JP 11569393A JP 3395246 B2 JP3395246 B2 JP 3395246B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、すぐれた風合いとすぐ
れた捲縮性を有する単糸繊度の大きい偏平な捲縮糸から
なる人工芝用原糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】人工芝は、天然芝よりも手入れが簡単で
あること、天候の影響を受けにくいこと、および室内に
も施工ができることなどの長所を有することから、広く
用いられている。
【0003】一般に、人工芝の用途は、一般家庭用およ
びスポーツ用の二種類に大別されるが、一般家庭用途に
おいては、家庭の庭やベランダで使用されることから、
見た目や風合いが重要視されるため、捲縮がかかりやす
い比較的単糸低繊度糸を用い、これに高捲縮が付与され
ている。
【0004】一方、最近特に広まってきたスポーツ用途
においては、スライディングなど激しい使用に対しての
耐久性の点から、従来の人工芝より単糸繊度がより太い
原糸が用いられるようになっている。
【0005】また、球技用途に使用される人工芝に関し
ては、球が真っ直ぐ転がることが必要であり、そのため
にはタフティングで生じる方向性を消すだけの高い捲縮
が要求されている。
【0006】しかしながら、単糸繊度が太い原糸に関し
ては一般に捲縮が付与しにくいため、満足な性能を有す
るものは得られていないのが現状であった。
【0007】そこで、特開昭51−47167号公報に
は、300〜2000デニールの偏平糸をよこ編機にて
編成した後編地の状態で熱処理し、次いで解編して屈曲
状の捲縮偏平糸を得る提案がなされているが、この方法
は、単糸繊度が250dと大きな場合には適用が難しく
て十分な捲縮が得られず、またそのような太繊度糸への
適用に関しては開示されていない。すなわち、上記の方
法により得られた人工芝は、耐久性と高捲縮の両者を満
足するものではないため、家庭用途としては使用可能で
あるものの、スポーツ用途としては不適当であった。
【0008】また、特公昭62−14659号公報に
は、ポリアミド系人工芝用パイル糸として、捲縮率およ
び潜在捲縮率を規定することが提案されている。しか
し、この提案においては、圧縮後の回復性については改
良されてはいるものの、原糸の乾熱収縮率を考慮してい
ないために、人工芝としての使用前の捲縮程度がそもそ
も低く、表面形態ならびに風合いが満足されるものでは
なかった。しかも、この提案のごとく意図的に撚りを付
与している場合は、収束性はよいものの捲縮程度が押さ
えられてしまうという問題も生じていた。
【0009】さらに、特開昭62−243820号公報
には、人工芝用原糸として、熱収縮率が異なる2種の熱
可塑性樹脂を張り合わせた、いわゆる複合型の原糸が提
案されている。しかしながら、この提案の場合には、確
かに原糸を複合型にすることにより、捲縮の発現は容易
となるものの、製造工程が複雑となるとともにコスト的
にも不利なものとなるばかりか、異種ポリマが共存する
ことで捲縮の均一性が低下したり、風合いがかえって損
なわれるものとなるなどの問題を包含していた。
【0010】一方、特公昭62−45334号公報に
は、流体ノズルによる捲縮処理を用いることにより、寸
法安定性にすぐれたカーペット用捲縮原糸を製造する方
法が開示されている。すなわち、この方法は、ノズル通
過後の糸条を冷却することで潜在捲縮率の高い原糸を得
るものである。しかし、この方法では、捲縮処理前の糸
の密度や結晶化度あるいは乾熱収縮率に対しては何等の
規制もなされていないため、実際には必ずしも高い捲縮
が付与されるというものではなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点を解決するためになされたもので
あり、その目的とするところは、耐久性と高い捲縮性を
有する人工芝用原糸を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の工芝用原糸は、単糸断面形状が偏平度5
〜10の偏平糸で、かつ単糸繊度が250〜410デニ
ールのマルチフィラメントからなり、かつ該マルチフィ
ラメントが実質的に無撚りであり、引張り強度が2.3
〜2.6g/d、伸長率が10.0〜14.2%、乾熱
収縮率が0.6〜1.0%であることを特徴とする
【0013】
【0014】さらに、本発明の人工芝用原糸は、上記の
フィラメントを構成するポリマがポリアミドであること
を特徴とする。
【0015】
【0016】
【実施態様】本発明の最大の特徴は、単糸繊度250デ
ニール以上で、かつ引張り強度2.3g/dという高強
度の太繊度偏平糸に対し、高い伸長率と高い乾熱収縮率
の両者を付与した点にある。
【0017】すなわち、捲縮糸が、上記繊度、偏平率、
強度、伸長率および乾熱収縮率のすべての条件を満足す
ることによって、スポーツ用途など耐久性と高い捲縮性
が要求される用途に適した人工芝用原糸を得ることがは
じめて可能となるのである。
【0018】本発明の人工芝用原糸は、その単糸におい
て単糸断面形状が偏平度5以上の偏平糸であることが必
要である。本発明において、単糸断面形状が偏平度5以
上であるとは、単糸断面を長方形もしくは楕円に近似し
たとき、長辺と短辺の比、もしくは長軸と短軸の比が5
以上であるものを意味する。
【0019】なお、単糸断面において、強度をさらに高
めるためや、光の反射方向を制御するために、偏平性を
変えない範囲で外形を変え、一部突起を設けたり、屈曲
させたり、あるいは溝を設けたりすることは何等差し支
えなく、これらの断面も本発明にもちろん含まれる。
【0020】ここで、偏平度が5未満であると、天然芝
の断面形状から大きく外れてしまい、風合いが損なわれ
る傾向となるため好ましくない。
【0021】本発明の人工芝用原糸は、単糸繊度が25
0デニール以上であることが必要であり、400デニー
ル以上であることがより好ましい。
【0022】ここで、単糸繊度が250デニール未満で
あると、使用時の衝撃に対して耐久性が劣ったものとな
ってしまうばかりか、天然芝に比較して風合いが悪く、
さらには圧縮回復性が低下したり、使用中のパイル部の
含水率が上昇し、乾燥が悪く実用性が低下するため好ま
しくない。
【0023】また、本発明における人工芝用原糸は、引
張り強度が2.3g/d以上でなければならない。
【0024】ここで、引張り強度が2.3g/d未満で
あると、いかに単糸繊度が太くても使用時の衝撃に対し
て耐久性が劣ったものとなり、またタフティングなどの
工程中に糸切れなどを起こしやすくなるため好ましくな
い。
【0025】さらに、本発明における人工芝用原糸は、
伸長率が10.0%以上、より好ましくは、12.0%
以上、乾熱収縮率が0.6%以上、より好ましくは0.
9%以上という条件を満足しなければならない。
【0026】すなわち、本発明のごとく単糸繊度が25
0デニール以上と太い場合には、伸長率が10%未満、
および/または乾熱収縮率が0.6%未満であると、そ
の後の熱処理条件にかかわらず満足な捲縮は発現しな
い。
【0027】したがって、最終的に人工芝を上部から眺
めたとき、各原糸は立ったままの状態に近く、風合いが
損なわれるのはもちろんのこと、ころがり性にくせがつ
いたり、光が反射しないため黒っぽく、見た目にも美観
が損なわれたものになってしまう。
【0028】従来、捲縮糸においては、伸長率のみに着
目し、乾熱収縮率についてはそれほどは注意が払われて
いなかった。しかし、現実の人工芝製造工程において、
最終的な捲縮程度を決定するのは、タフティングおよび
バッキング工程を通過した後の乾燥・熱固定工程であ
り、これらの工程において高い捲縮性を発現させるため
には、乾熱収縮率が高いことが必要となるのである。特
に本発明のごとく単糸繊度が大きい場合には、高い乾熱
収縮率はいっそう重要となる。
【0029】本発明における人工芝用原糸は、効率良く
タフティングし、かつまたその密度を上げるために、通
常マルチフィラメント状態で捲縮加工されまたタフティ
ングに供される。このとき、より高い捲縮を付与するた
めに、すなわち高い伸長率を付与するためには、実質的
にマルチフィラメントは無撚であることが好ましい。
【0030】通常、マルチフィラメントに捲縮を施す際
には、糸を収束させるために仮撚もしくは実撚を施す手
法が用いられる。確かに収束性が高いと単糸間における
捲縮のバラツキが少なく工程通過性が良くなるが、逆に
捲縮程度は押さえられるものとなる。
【0031】したがって、本発明のごとく単糸繊度が太
いと捲縮がかかりにくいために、むしろ無撚であること
が好ましくなる。
【0032】本発明において実質的に無撚りであると
は、工程として特に撚り工程を施さないことを意味し、
ボビンあるいはチーズからの糸取り出しの際に生じる解
除の撚り程度の撚りは実質的に無撚りであると解釈す
る。具体的には、10T/m以下の撚りであれば実質的
に無撚りと考える。本発明の原糸においては捲縮工程の
速度を適宜原糸繊度に合わせて設定すれば、解除の撚り
程度の撚りであっても、十分収束性が高く、工程通過性
も問題ない。
【0033】本発明における人工芝用原糸を構成するポ
リマとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン6、
ナイロン66、ナイロン46、ナイロン12などのポリ
アミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレ
フィン、さらにはポリ塩化ビニルなど公知のポリマを用
いることができるが、風合いや、天然芝に似せるために
使用する顔料の添加の容易さ、さらには耐摩耗性、弾性
反発性、耐熱性および耐光性などの諸特性の点から、ポ
リアミドを使用することが最も好ましく、特にナイロン
66がより好ましく使用される。
【0034】本発明においては、曳糸性を高めたる目的
や捲縮性能を高めるために、共重合成分や耐光剤、難燃
剤などを、ポリマの特性を損ねない範囲でを加えること
は何等差し支えない。通常、共重合成分の添加量は15
重量%以下、好ましくは、10重量%以下である。ま
た、天然芝により類似させるため、最終人工芝としての
特性を損ねない範囲であらかじめポリマ中に銅フタロシ
アニングリーンなどの顔料を添加するなども何等差し支
えない。
【0035】本発明における特性を満足するためには、
人工芝用原糸は単糸の50mm長さ当たりの捲縮山数が一
定値以上あることが好ましくなる。具体的には捲縮山数
は7以上であることが好ましく、より好ましくは10以
上である。
【0036】ここで、単糸の50mm長さ当たりの捲縮山
数が7未満の場合には、立毛長にもよるが、タフティン
グしたときに単糸間で捲縮程度に差が生じてしまい、全
体としてムラになってしまうばかりか、この場合には捲
縮発現も小さいてめ好ましくない。
【0037】次に、本発明にかかる人工芝用原糸の製造
方法について説明する。
【0038】本発明の人工芝用原糸は、前述のごとき繊
度および偏平率を満足するマルチフィラメントに対し、
捲縮を付与することにより得られる。
【0039】上記のマルチフィラメントは、通常の溶融
紡糸により形成されるが、このとき口金の吐出孔を適宜
選択することにより、得られる繊維断面形状を目的の偏
平糸にすることが可能となる。また、このとき前述のご
とくポリマ中にあらかじめ顔料を加えておくことで、よ
り天然芝ライクにすることができる。
【0040】偏平糸を得る方法としては、異形口金孔を
用いる方法、複合紡糸法を用いて複合成分から1成分を
取り除く方法、および分割型紡糸方法など任意の方法を
用いることができる。
【0041】フィラメントは、口金より吐出された後、
冷却固化され次いで延伸されるが、本発明のフィラメン
トは太繊度であるため、冷却は空冷に限らず水などの液
浴を用いることも好ましくなる。
【0042】また、延伸を行うに際しては、太繊度糸に
対して均一に加温し延伸する目的で乾熱や熱板方式のほ
か温浴を用いてもよい。
【0043】本発明における人工芝用原糸は、上述のよ
うに捲縮後に高い乾熱収縮率を有する必要があるが、そ
のためには捲縮処理前の原糸が低密度であることが好ま
しくなる。捲縮処理前の原糸段階における原糸密度が高
いと、すでに結晶化がある程度進んでいることから、捲
縮処理における原糸の構造変化が起こりにくく、捲縮処
理条件に因らず捲縮処理後の乾熱収縮率は低いものとな
ってしまう。すなわち、実際にタフティングおよびバッ
キングあがりでの熱処理における捲縮発現がほとんど起
こらない。
【0044】したがって、紡糸・延伸工程の条件は、過
度に結晶化をすすめない、つまり密度を高めないような
条件を、用いるポリマ種などに応じて決める必要があ
る。
【0045】具体的な捲縮処理前の原糸密度は、ポリマ
種や顔料などの添加物の添加量により異なるが、例えば
緑色の顔料を重量で1〜2%含むナイロン66の場合、
1.145g/cm3 以下であることが好ましくなる。
【0046】本発明における捲縮付与処理は、公知の手
法が適用可能であるが、太繊度糸に高い捲縮を付与する
点から、流体噴射ノズルを用いたスチーム処理による方
法がより好ましい手法となる。
【0047】流体噴射ノズルを用いたスチーム処理と
は、スチームをノズルに導き旋回流を生じせしめ、この
ノズル内にフィラメントを通過させる処理をいう。ノズ
ルを通過した高温のフィラメントは、次いで静置または
回転している金網状のフィルタに衝突し、急冷されるこ
とで捲縮が付与されることになる。このとき、ノズル流
入以前に加熱ローラなどを用いてフィラメントを予熱し
ておくことや、スチーム自体を予熱して高温にすること
は何等差支えなく、むしろ本発明に必要な伸長率を付与
するためには好ましい手法となる。
【0048】一方、過度にフィラメントを予熱する場合
には、フィラメントの結晶化が必要以上に進み、乾熱収
縮率が低いものとなってしまう。したがって、本発明に
必要な伸長率と乾熱収縮率を同時に達成するためには、
フィラメントの予熱はその条件を選択する必要がある。
【0049】本発明の人工芝用原糸に作製に用いるノズ
ルは、例えば特公昭62−45334号公報などに記載
してある公知のノズルが使用可能である。すなわち、繊
度やポリマ種などに応じて適宜最適な構造のノズルを使
用すればよく、フィラメントをノズル下部で滞積させる
スタッファー部を有するノズルなども使用可能である。
【0050】ノズルを通過させる加工条件、つまり加圧
スチーム温度、加圧スチーム圧、給糸速度、および予熱
温度などは、その条件により得られる捲縮性能が大きく
異なるため、本発明の物性範囲に入るよう条件を設定す
る必要がある。例えば、ポリマとしてナイロン66を用
いる場合の代表的な加工条件としては、予熱ローラ温
度:210℃〜240℃、加圧スチーム温度:200℃
〜235℃、加圧スチーム圧:3.0Kg/cm2 〜4.5
Kg/cm2 、給糸速度:50m/min〜500m/mi
nの条件が具体的に例示される。
【0051】ノズルを通過したフィラメントは、次い
で、捲縮形状を固定させるために、前述のごとく急冷を
させながらフィルタ類に衝突させる。ここで金網のよう
なフィルタを用いるのは、冷却と同時に流体と糸条とを
分離するためである。フィルタは、固定式であっても回
転式のごとく移動式であってもどちらでもよい。フィル
タの裏面より吸引することは、さらに冷却を強化し、衝
突を強め、捲縮をかかりやすくするため好ましい手法と
なる。また、針状の突起を設けたフィルタ表面に糸を衝
突させる方法も捲縮をかかりやすくするための好ましい
手法である。
【0052】次いで、冷却されたフィラメントは巻取機
により巻き取られる。
【0053】これら捲縮加工処理は、紡糸と直結して行
ってもよく、また紡糸・延伸後、一端巻き取ったフィラ
メントを別途捲縮加工してもよい。
【0054】本発明の人工芝用原糸を得るための上記ノ
ズル条件は、捲縮処理前の延伸糸段階での糸物性により
最適条件は異なる。したがって、延伸糸物性に合わせて
捲縮処理条件を設定する必要がある。
【0055】以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明するが、本文もしくは実施例中の伸長率、乾熱収縮
率、捲縮数、相対粘度ならびにL値は、次の条件により
測定した。
【0056】(1)伸長率:カセ取りした試料を沸騰水
で20分処理した後、標準大気中で24時間放縮し、繊
度の2/1000の初荷重をかけ30秒後に測長する。
次いで、初荷重を除き繊度の1/10の規定荷重をかけ
て30秒後に測長する。このとき、伸長率は下記式によ
り求められる。 伸長率(%)=(L2 −L1 )/L1 ×100 ただし、L1 :初荷重時の長さ(mm) L2 :規定荷重時の長さ(mm)。
【0057】(2)乾熱収縮率:JIS−L−1013
B法に従って測定した。処理条件は、150℃・30分
とした。
【0058】(3)捲縮数:カセ取りした試料を標準大
気中で24時間放縮し、ついで滑沢紙に糊付けする。接
着剤を風乾により乾燥させた後、山数を読みとる。その
後繊度の1/20の初荷重をかけ30秒後に測長する。
このとき、捲縮数は下記式により求められる。 捲縮数(山/25mm)=n/L1 ×25 ただし、n=読み取り値(山) L1 :初荷重をかけたときの単糸の長さ(mm)。
【0059】(4)硫酸相対粘度η 試料を98%硫酸に1重量%の濃度で溶解し、オストワ
ルド粘度計を用いて25℃で測定した。
【0060】(5)L値測定 タフティング、バッキング終了した人工芝の表面をスガ
試験機株式会社製の多色源分光測色計にて測定し、L値
として評価した。L値が大きいほど白色の輝度が高く、
光の反射程度が高い。これは、原糸先端がより捲縮して
いることを示しており、本発明において好ましいことに
なる。一方、L値が小さい場合は、捲縮程度が小さいた
め原糸が基布面に対して垂直に立っている割合が多く、
光の反射が少ないため黒に近い結果を与える。
【0061】(6)耐ヘタリ性 敷物試験法JIS−L−1021のロータリー形法(B
法)により1万回負荷後のパイルの倒れ具合を評価し
た。
【0062】
【実施例】
実施例1〜3および比較例1〜3 銅フタロシアニングリーンを主成分とした顔料を重量で
1.5%含む相対粘度ηが3.15のナイロン66チ
ップを、通常のスクリュー型紡糸機に供し、溶融紡糸を
行った。このときシリンダー温度は285℃、口金パッ
ク温度は286℃の条件にて紡糸した。口金は0.21
mm巾、4.60mm長さのスリット状ノズル孔4個を有す
るものを使用した。
【0063】溶融紡糸された糸を、20℃の水浴で固化
冷却した後、速度40m/minのローラーに導き、次
いで90℃の温水にて一段目の延伸を、引き続き110
℃の乾熱中にて二段目の延伸を、トータル延伸倍率3.
6倍で行い、引続き延伸糸を巻き取った。
【0064】得られた延伸糸の物性は、単糸繊度:41
デニール、偏平:10、フィラメント数:4、密
度:1.137g/cm3 、強度:3.5g/d、伸度:
53.0%であった。
【0065】次いで、上記の延伸フィラメントを2糸条
合糸しながら流体加工ノズルに導き、その後内部より吸
引している回転式の金網フィルターに糸を衝突させるこ
とにより、糸の冷却および形状固定を行った。このと
き、ノズル入り口直前において加熱ロールを用いること
により糸を予熱した。糸のノズルへの給糸速度は150
m/minとし、フィルタ通過後は巻き取り張力80g
/糸条で巻き取った。
【0066】このときに、予熱ロール温度、蒸気圧力お
よび蒸気温度を表1に示したように変更した場合の捲縮
後の原糸物性を、表1にあわせて示す。
【0067】なお、捲縮処理後の糸の撚りは、捲縮処理
時の解舒撚りのみであり、撚り数6T/mであったが、
工程通過性や単糸間の捲縮程度のバラツキはほとんど認
められなかった。
【0068】さらに、上記捲縮糸を用いて5/32×2
5.4mm間隔の打ち込みで、またカット長さを10mmと
してタフティングを行った。
【0069】次いで、常法によりバッキングを施し、そ
の後L値および耐ヘタリ性を評価した。結果を表1にあ
わせて示す。
【0070】比較例4 実施例1において、口金を0.15mm巾、3.29mm長
さ孔の巾形状とし、さらに吐出量を変更することによっ
て、延伸糸の物性において、単糸繊度:150デニー
ル、フィラメント数:4、密度:1.135g/cm3
強度:3.7g/d、伸度:61.0%のフィラメント
を得た。
【0071】上記のフィラメントを、実施例1と同様に
して、流体加工ノズルを用いて捲縮処理を行った。捲縮
処理後の糸物性およびタフト後のL値および耐ヘタリ性
評価の結果を表1にあわせて示す。
【0072】比較例5 上記実施例1において、用いるポリマの相対粘度を2.
0に変更した以外は同条件で紡糸、延伸、捲縮処理を行
った。
【0073】捲縮処理前の原糸物性は強度:2.7g/
d、伸度:34%であり、捲縮処理後の強度は1.8g
/dであった。
【0074】上記のフィラメントを実施例1と同様にし
て、タフティングした。タフト後のL値および耐ヘタリ
性評価の結果を表1にあわせて示す。
【0075】
【表1】 比較例6 上記実施例1において用いた口金の孔形状を変更し、偏
平度:2.5の断面形状を有する偏平糸を得た。
【0076】上記の糸を捲縮処理し、次いでタフティン
グしたところ風合いが固く、人工芝としては使用不可能
であった。
【0077】
【発明の効果】本発明の人工芝用原糸は、単糸断面形状
が偏平度5以上の偏平糸で、かつ単糸繊度が250デニ
ール以上、引張り強度が2.3g/d以上、伸長率が1
0.0%以上、乾熱収縮率が0.6%以上であるマルチ
フィラメントとすることで、高い捲縮性能を有し、かつ
風合いや耐久性にすぐれた人工芝を作製することができ
る。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−85109(JP,A) 特開 昭54−139227(JP,A) 特開 昭59−21738(JP,A) 特開 平3−146737(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 1/00 - 3/48 D01F 6/00 - 6/96

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単糸断面形状が偏平度5〜10の偏平糸
    で、かつ単糸繊度が250〜410デニールのマルチフ
    ィラメントからなり、かつ該マルチフィラメントが実質
    的に無撚りであり、引張り強度が2.3〜2.6g/
    d、伸長率が10.0〜14.2%、乾熱収縮率が0.
    〜1.0%であることを特徴とする人工芝用原糸。
  2. 【請求項2】フィラメントを構成するポリマがポリアミ
    ドであることを特徴とする請求項1に記載の人工芝用原
    糸。
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