JP3066512B2 - 人工芝生用ポリアミド系パイル糸およびその製造方法 - Google Patents

人工芝生用ポリアミド系パイル糸およびその製造方法

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JP3066512B2 JP4167106A JP16710692A JP3066512B2 JP 3066512 B2 JP3066512 B2 JP 3066512B2 JP 4167106 A JP4167106 A JP 4167106A JP 16710692 A JP16710692 A JP 16710692A JP 3066512 B2 JP3066512 B2 JP 3066512B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人工芝生用としての好
適な特性を有するポリアミド系パイル糸およびその効率
的な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近では、各種スポーツが活発化するに
つれて、競技場の利用頻度が大きくなったことから、メ
ンテナンスが容易で、天候の影響を受けにくい競技場が
要望されており、野球場、テニスコート、サッカー競技
場、ホッケー競技場、ゴルフ場およびゲートボールコー
トなどの競技場においては、天然芝生あるいはクレーコ
ートの代替として、人工芝生が盛んに用いられるように
なっている。
【0003】従来、人工芝生は、ポリアミド、ポリプロ
ピレンおよびポリ塩化ビニリデンなどの合成樹脂を、主
として所望のグリーン系に着色した樹脂素材を用い、こ
れを溶融紡糸した偏平糸、またはフィルム状に成形し、
これを裁断したテープあるいは割繊したスプリット糸を
パイル糸となし、これを基布に対して適宜の方法でタフ
ティングすることにより製造されている。
【0004】なかでも、ポリカプロアミド(以下、ナイ
ロン6と呼ぶ)およびポリヘキサメチレンアジパミド
(以下、ナイロン66と呼ぶ)などのポリアミド系樹脂
からなる偏平糸を用いた人工芝生は、風合および耐ヘタ
リ性などがすぐれていることから、競技場に好適であ
り、広く使用されている。
【0005】そして、上記人工芝生用原糸としてのパイ
ル糸は、基布に対する被覆性が要求されることから、複
数本の集合体とし、これに捲縮加工が施されて実用に供
されるのが通例である。
【0006】ところで、上記人工芝生用原糸の捲縮加工
法としては、例えば特公昭62−14659号公報記載
の方法あるいはスタッファーボックスによる加工法など
のように、一般にスチームによる湿熱処理法がとられて
いるが、これらはいずれもオフラインによる二工程の撚
り加工法がほとんどであり、製造工程が繁雑でコストア
ップを招くという問題があった。
【0007】さらに、捲縮加工されたパイル糸に要求さ
れる重要な特性としては、基布にタフティングするとき
の集束性が挙げられる。すなわち、パイル糸の集束性が
悪いと、タフティング時に単糸が分離し、タフトマシン
のルーパーからの糸外れおよび単糸のミスカットなどの
トラブルが発生するため、実撚方法あるいは仮撚方法な
どにより十分な絡みを加えて、集束性のすぐれたパイル
糸とする必要がある。
【0008】しかるに、従来のナイロン6からなる人工
芝生用原糸は、本来集束性および捲縮性はすぐれている
ものの、その耐へたり性をさらに向上させるためには、
上述した湿熱処理法により製造する必要があった。しか
しながらこの湿熱処理法で得られるナイロン6系原糸
は、その耐候堅牢性が劣り、強度を良好に保持できない
という問題があった。
【0009】すなわち、人工芝生は、一般に屋外に付設
される場合が多く、常時日光や苛酷な天候に暴露される
ことに起因して、光などによる劣化を受けやすいため、
たとえ耐ヘタリ性のすぐれたナイロン6系樹脂からなる
偏平パイル糸を用いた人工芝生とて、競技場に付設して
からの経時変化によって特性が徐々に劣化し、本来の強
度および風合などが阻害されてしまうという欠点を包含
していたのである。
【0010】したがって、とくに耐候堅牢度が要求され
る分野には、ナイロン66からなる原糸が使用されてい
るのが実状であるが、ナイロン66はナイロン6に比較
して紡糸温度が高く、ポリマのゲル化を生じやすいこと
から、紡糸性に劣るため、コストアップを招くという問
題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来のポリアミド系樹脂からなる人工芝生用ポリアミド系
パイル糸が有する問題点を解消すべく検討した結果、達
成されたものである。
【0012】したがって、本発明の目的は、タフティン
グ性(集束性)、捲縮性および耐久性(強度保持率)が
均衡してすぐれた人工芝生用ポリアミド系パイル糸およ
びその効率的な製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意検討した結果、偏平断面を有す
るポリカプロアミド系マルチフィラメントに対する捲縮
加工を、乾熱条件での空気仮撚捲縮により連続して一貫
的に行うことにより、従来にないすぐれた特性を有する
人工芝生用ポリアミド系パイル糸が効率的に製造できる
ことを見出し、本発明に到達した。
【0014】すなわち、本発明の人工芝生用ポリアミド
系パイル糸は、実質的に偏平な断面形状を有し、単糸繊
度100〜700デニール(d)、総繊度1000〜5
000デニール(D)のポリカプロアミド系マルチフィ
ラメントからなり、単糸の長さ1m当たりの交互撚数:
30〜200回、JIS L1090で測定した伸縮復
元率:1〜5%、パイル糸を水槽に浸漬したままこれを
屋外に3ケ月間暴露した後、この暴露処理の前後の強力
(JIS L1013)測定結果から算出した保持
率:40%以上の特性を有することを特徴とする。
【0015】また、本発明の人工芝生用ポリアミド系パ
イル糸の製造方法は、ポリカプロアミド系樹脂を、スリ
ット状の紡糸孔を有するノズルを用いて偏平断面糸とし
て溶融紡糸する工程、紡出糸条を2〜60℃の冷媒中で
冷却し、次いでただちに40〜90℃の熱媒中で2.5
〜4.5倍に延伸する工程、延伸糸を熱処理機およびこ
の熱処理機の後段に設けた空気仮撚りノズルに供し、圧
空圧力1〜7Kg/cm2、温度:120〜220℃、弛緩
率:0.95〜0.80の乾熱条件で空気仮撚捲縮を付
与する工程を、連続して一貫的に行うことを特徴とす
る。
【0016】本発明の人工芝生用原糸を形成するポリア
ミド系樹脂としては、ナイロン6が主として用いられる
が、このナイロン6は本発明の目的を阻害しない範囲で
ナイロン66、ナイロン12などを少割合含む共重合体
またはポリマブレンドであってもよい。
【0017】なお、使用するナイロン6は、耐候剤、耐
光剤、耐熱剤、着色剤、可塑剤、難燃剤および滑剤など
の通常の添加剤を含有することができる。
【0018】次に、本発明の構成および効果について詳
述するが、まず本発明の人工芝生用ポリアミド系パイル
糸の製造方法を説明し、次いで得られる人工芝生用ポリ
アミド系パイル糸の特性を説明する。
【0019】本発明の人工芝生用ポリアミド系パイル糸
を製造するに際しては、偏平断面を有するナイロン6マ
ルチフィラメントに対する捲縮加工を、空気仮撚加工と
乾熱捲縮加工の一貫した組合わせで行うことが重要であ
る。
【0020】この製造方法について、以下に図1にした
がって説明する。図1は本発明の製造工程を示す概略説
明図である。
【0021】図1において、1は溶融紡糸機、2はノズ
ル、3は冷却浴、4は第1延伸ローラ、5は第2延伸ロ
ーラ、6は第3延伸ローラ、7は引取ローラ、8は第1
延伸浴、9は第2延伸浴、10は熱処理機、11は仮撚
ノズル、12は捲取機を示す。
【0022】図1に示したプロセスによって、本発明の
人工芝生用ポリアミド系パイル糸を製造するに際して
は、まずナイロン6を、溶融紡糸機1に供し、溶融混練
してスリット状の紡糸孔を有するノズル2を用いて偏平
断面糸Aを単糸とするマルチフィラメントとして溶融紡
糸し、2〜60℃の冷媒を含む冷却浴3中で冷却した
後、次いでただちに40〜90℃の熱媒からなる延伸浴
8、9中で、第1延伸ローラ4、第2延伸ローラ5およ
び第3延伸ローラ6の作用により2.5〜4.5倍に延
伸し、延伸糸Bを得る。
【0023】この場合、パイル糸に天然芝に近い風合を
持たせることから、紡出糸条を断面比が5〜20程度の
偏平断面糸Aとする必要があり、延伸された延伸糸Bの
単糸繊度は、人口芝生の用途、例えばテニス、ゲートボ
ール、野球およびサッカーなどの競技場の種類に応じて
異なるが、100〜700デニール(d)の範囲が好ま
しく、またマルチフィラメントの総繊度は、1000〜
5000デニール(D)の範囲とすることが好適であ
る。
【0024】次に、延伸された延伸糸Bには、基布に対
するるタフティング性(集束性)および耐ヘタリ性など
を満たすために、捲縮加工が付与される。
【0025】この捲縮加工工程は、延伸した延伸糸Bを
引き続いてただちに熱処理機10およびこの熱処理機1
0の後段に設けた空気仮撚りノズル11に供し、圧空圧
力1〜7Kg/cm2 、とくに2〜5Kg/cm2 、温度:12
0〜220℃、とくに160〜205℃、弛緩率:0.
95〜0.80、とくに0.90〜0.85の乾熱条件
で空気仮撚捲縮を付与する工程を、連続して一貫的に行
うことにより行われる。
【0026】すなわち、この捲縮加工工程においては、
熱処理機10から排出された複数本の延伸糸Bが、空気
仮撚りノズル11によって撚りを付与されると同時に、
熱処理機10により熱固定されるのである。さらに詳述
すれば、延伸糸Bに対し空気仮撚りノズル11でかけら
れた撚りは、伝播されて熱処理機10をさかのぼって第
3延伸ローラ6に至っており、熱処理機10を通過する
延伸糸Bはここで片撚り状態で熱固定される。そして、
片撚りをかけられた複数本の延伸糸Bは、空気仮撚りノ
ズル11を通過するときに逆の撚り方向で解撚されて、
交互撚りが施されたパイル糸Cとなり、このパイル糸C
は次いで引取ローラ7を経てボビンに巻き取られるので
ある。
【0027】この捲縮加工工程における捲縮の程度は、
単糸の長さ1m当たりの交互撚数が30〜200回、好
ましくは40〜100回の範囲とすることが望ましく、
また、空気仮撚りノズル9からの空気流量は20〜17
0Nl/分、とくに50〜130Nl/分が好ましい。
【0028】捲縮加工工程における圧空圧力が1Kg/cm
2 未満では捲縮が弱く伸縮復元率が低くなり、また7Kg
/cm2 を越えると工程ロスが増大するため好ましくな
い。
【0029】また、捲縮加工工程における温度が120
℃未満では伸縮復元率が低くなり、また220℃を越え
る場合には、フィラメントが融着傾向となるため好まし
くない。
【0030】さらに、捲縮加工工程における弛緩率が
0.95を越える場合および0.80未満の場合には、
交互撚り数が低くなるためため好ましくない。
【0031】なお、上記した交互撚り数の程度は、第3
延伸ローラ6と引取ローラ7の回転比、空気仮撚りノズ
ル11の空気圧力、および空気流量などによって調整す
ることができる。例えば交互撚り数を30〜200回/
mにするには、第3延伸ローラ6と引取ローラ7の回転
比を1.0:0.95〜0.80、空気圧力を1〜7Kg
/cm2 、空気流量を20〜170Nl/分とすることが
好ましい。
【0032】また、乾熱処理機10内の空間温度は12
0〜220℃の範囲で、なおかつ一定の温度に保つこと
が望ましい。
【0033】かくして、効率的な乾熱処理法により得ら
れる本発明の人工芝生用ポリアミド系パイル糸は、これ
を適宜の長さに切断し、通常の方法で基布に植毛される
が、捲縮性および集束性に好適な交互撚り数30〜20
0回/mの特性を有していることから、基布に対するタ
フティング性がきわめて良好であり、しかも伸縮復元率
が1〜5%という特性から耐ヘタリ性もきわめてすぐれ
ている。
【0034】また、屋外水浸漬暴露試験を3ケ月経過後
の強度保持率が40%以上の特性を有していることか
ら、耐候性にすぐれ、長期間使用してもパイル脱落を起
こすことがない人工芝生を得ることができる。
【0035】以下に実施例を挙げて、本発明の人工芝生
用ポリアミド系パイル糸の構成および効果をさらに説明
する。
【0036】
【実施例】98%硫酸法で測定した相対粘度ηrが3.
4のナイロン6に対し、原着用グリーンマスターチップ
を混合したものを溶融紡糸機に供して270℃で溶融
し、実質的に偏平な口金ノズルから押出して、20℃の
冷却浴にて冷却した。
【0037】次いで、ただちに紡出糸条を70℃の温水
浴からなる第1延伸浴で3.0倍に、また90℃の熱水
浴からなる第2延伸浴で1.3倍に延伸した後、引き続
いて延伸糸を10本束ね、これを空間乾熱温度180
℃、弛緩率0.9の熱処理機に導いて、この熱処理機の
後段に設けた空気仮撚ノズルから圧空圧力5Kg/cm2
空気を吹付けつつ、180m/分の速度で、約1.3秒
の乾熱弛緩熱処理を行ない、交互撚りが施されたパイル
糸(単糸繊度300d、総繊度3000D)を得た。
【0038】上記の方法において、熱処理機内の乾熱温
度、同じく弛緩率、および空気仮撚ノズルから圧空圧力
を表1に示したように変更することによって、さらに8
種類のパイル糸を製造した。
【0039】また、上記熱処理機の代わりに、スチーム
圧力2Kg/cm2 の水蒸気雰囲気からなる湿熱処理機を用
い、オフラインで湿熱処理法によりパイル糸(比較例
1)を製造した。
【0040】上記で得られた10種類のパイル糸につい
て、下記の方法により交互撚り数、伸縮復元率および強
力保持率を測定した結果を表1に併せて示す。
【0041】交互撚り数:仮撚糸をカセ状にして、沸騰
水中で30分処理し、一昼夜風乾する。次に風乾された
単糸を1本取り出し、2mg/デニールの張力を掛けた状
態で固定し、拡大鏡を用いて単位長さ当りのS字状とZ
字状の交互撚り数を読取り、1m当りの交互撚り数を算
出する。
【0042】伸縮復元率:JIS L1090の方法に
準じて測定。
【0043】強力保持率:パイル糸を水槽に浸漬したま
まこれを屋外に3ケ月間暴露した後、この暴露処理の前
後の強力(JIS L1013)測定結果から保持率
(%)を算出した。
【0044】
【表1】
【0045】表1の結果から明らかなように、本発明の
方法で得た人工芝生用ポリアミド系パイル糸は、いずれ
もタフティング性(集束性)、捲縮性および耐久性(強
度保持率)が均衡してすぐれすぐれている。
【0046】これに対し、湿熱処理法(比較例1)によ
れば、耐久性にきわめて劣るパイル糸しか得ることがで
きない。
【0047】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の人
工芝生用ポリアミド系パイル糸は、タフティング性(集
束性)、捲縮性および耐久性(強度保持率)が均衡して
すぐれすぐれている。また、本発明の製造方法によれ
ば、上記性能を有するパイル糸を、工程的に有利な乾熱
処理法により効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の製造工程を示す概略説明図であ
る。
【符号の説明】
1 溶融紡糸機 2 ノズル 3 冷却浴 4 第1延伸ローラ 5 第2延伸ローラ 6 第3延伸ローラ 7 引取ローラ 8 第1延伸浴 9 第2延伸浴 10 熱処理機 11 仮撚ノズル 12 捲取機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D02J 1/22 D02J 1/22 R E01C 13/08 E01C 13/00 B (56)参考文献 特公 昭62−14659(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 3/44 D01D 5/22 D02G 1/16 D02J 1/22

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に偏平な断面形状を有し、単糸繊
    度100〜700デニール(d)、総繊度1000〜5
    000デニール(D)のポリカプロアミド系マルチフィ
    ラメントからなり、単糸の長さ1m当たりの交互撚数:
    30〜200回、JIS L1090で測定した伸縮復
    元率:1〜5%、パイル糸を水槽に浸漬したままこれを
    屋外に3ケ月間暴露した後、この暴露処理の前後の強力
    (JISL1013)測定結果から算出した保持
    率:40%以上の特性を有することを特徴とする人工芝
    生用ポリアミド系パイル糸。
  2. 【請求項2】ポリカプロアミド系樹脂を、スリット状の
    紡糸孔を有するノズルを用いて偏平断面糸として溶融紡
    糸する工程、紡出糸条を2〜60℃の冷媒中で冷却し、
    次いでただちに40〜90℃の熱媒中で2.5〜4.5
    倍に延伸する工程、延伸糸を熱処理機およびこの熱処理
    機の後段に設けた空気仮撚りノズルに供し、圧空圧力1
    〜7Kg/cm2 、温度:120〜220℃、弛緩率:0.
    95〜0.80の乾熱条件で空気仮撚捲縮を付与する工
    程を、連続して一貫的に行うことを特徴とする請求項1
    に記載の特性を有する人工芝生用ポリアミド系パイル糸
    の製造方法。
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KR20190000402A (ko) * 2014-03-27 2019-01-02 폴리텍스 스포르트베래게 프로둑티온스 게엠베하 인조 잔디 및 그 제조방법
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