JP2014167183A - 防汚性捲縮糸 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリアミド捲縮糸特有の嵩高性、発色性、耐摩耗性を維持しながら、防汚性に優れたポリアミド捲縮糸を提供する。
【解決手段】ポリアミドを原料とするマルチフィラメント捲縮糸であって、前記捲縮糸100重量%に対し、滑剤を1〜10重量%含み、かつ前記捲縮糸の単糸断面を中空断面とするものである。カーマット、タイルカーペット、ロールカーペット、ラグマット、ダスコンマットといったカーペット用途を中心に好適に使用される。
【選択図】なし
【解決手段】ポリアミドを原料とするマルチフィラメント捲縮糸であって、前記捲縮糸100重量%に対し、滑剤を1〜10重量%含み、かつ前記捲縮糸の単糸断面を中空断面とするものである。カーマット、タイルカーペット、ロールカーペット、ラグマット、ダスコンマットといったカーペット用途を中心に好適に使用される。
【選択図】なし
Description
本発明は、防汚性捲縮糸に関する。更に詳しくは、ポリアミド捲縮糸特有の嵩高性、発色性、耐摩耗性を維持しながら、防汚性に優れたポリアミド捲縮糸に関する。
従来から、ポリアミド捲縮糸は、風合いが柔らかく、優れたバルキー性、発色性、耐摩耗性を生かして、カーペットに代表される種々のインテリア用途素材として用いられている。
カーペットの主な使用目的は、インテリア用途によく適応した機能、雰囲気を提供することであり、色や柄はもちろん、風合いや、ボリューム感など種々の特性が用途に合わせて要求される。
近年、大型ショッピングモールなどの商業施設で使用されるタイルカーペットや家庭用カーペットへの要求特性として、「汚れにくい」・「汚れが落としやすい」・「汚れが目立たない」等の高い防汚性能が求められている。
カーペットの防汚加工方法として、防汚剤が付与されたカーペット用原糸を使用してカーペットを得る方法や,カーペットの状態で染色やバッキング等の仕上げ工程にて防汚加工剤を付与する方法が一般的に採用され,工業化されている。これらの方法に使用されるカーペット用原糸としては,耐摩耗性や発色性,コスト等の点からナイロンやポリエステルの長繊維捲縮糸が用いられ,これらの原糸の断面としては,トリローバル断面,四角中空断面,トリローバル中空断面,扁平断面等が採用されている。従来は,これらの断面を有する原糸によりパイルを形成したカーペットに防汚加工剤を付与した防汚性カーペットが上市されている。
例えば、特許文献1では、防汚性に優れ、かつ、嵩高性に富んだナイロン捲縮糸を得るため、該捲縮糸を構成する単糸断面形状を4つの中空孔を有した略四角形とし、単糸断面積に占める該中空孔の断面積の割合を規定し、中空糸特有の汚染物質を遮蔽する性能を有する防汚性ナイロン捲縮糸が開示されている。また、特許文献2では、優れた防汚性と加工性との兼備する防汚性原着糸を得るため、繊維表面に常温で固状の疎水性平滑剤を主成分とする油剤とその繊維表面が撥水・撥油性を有するフッ素化合物で被覆されていることを特徴とする防汚性原着糸が開示されている。特許文献3では、ナイロン610の低吸湿性を活かし、湿潤時の物性低下の小さいディスプレイパネル洗浄ブラシ用ポリアミド繊維についての技術開示がある。
しかしながら、上記特許文献1に記載された中空糸特有の汚染物質を遮蔽する効果、つまり「汚れが目立たない」という性能だけでは、本発明の目的とする「汚れにくい」、「汚れが落としやすい」という性能を持つ優れた防汚性捲縮糸は達成できない。また、特許文献2に記載された防汚性原着糸はフッ素化合物で被覆されているが、一般的にフッ素化合物が付与された一般衣料やカーペットなどの産業用資材は風合いが硬くなるという問題を包含している。
一方で、本発明者らの検討によればナイロン6やナイロン66に代表されるポリアミドからなる捲縮糸のうち、低いアミノ末端基濃度に由来する低吸水性のナイロン610やナイロン612を原料として用いた場合、水系の食品(酸性)汚れに対し、高い防汚性能が期待されることがわかった。
本発明は、上述した従来技術の背景に鑑み、ポリアミド捲縮糸特有の嵩高性、発色性、耐摩耗性を維持しながら、防汚性に優れたポリアミド捲縮糸を提供することを課題とする。
本発明は、前記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
(1)ポリアミドを原料とするマルチフィラメント捲縮糸であって、前記捲縮糸100重量%に対し、滑剤を1〜10重量%含み、かつ前記捲縮糸の単糸断面が中空断面であることを特徴とする防汚性捲縮糸。
(2)前記滑剤が高級アルキルアミド化合物であることを特徴とする1項に記載の防汚性捲縮糸。
(3)前記高級アルキルアミド化合物が脂肪酸ビスアミド化合物であることを特徴とする1項又は2項に記載の防汚性捲縮糸。
(4)前記ポリアミドは、メチレン基数とアミド基数の比であるメチレン基数/アミド基数が5以上であって、ASTM−D570−98(2005)に従い、23℃の水に24時間浸漬した状態での吸水率が、0.2〜1.0%であることを特徴とする1〜3項のいずれか1項に記載の防汚性捲縮糸。
(5)単糸の断面形状が中空率5〜25%の中空断面であることを特徴とする1〜4項のいずれか1項に記載の防汚性捲縮糸。
(6)総繊度が500〜3000dtex、単糸繊度が5〜50dtex、捲縮伸長率が5〜30%であることを特徴とする1〜5項のいずれか1項に記載の防汚性捲縮糸。
(7)アミノ末端基濃度が20〜100eq/tonであることを特徴とする1〜6項のいずれか1項に記載の防汚性捲縮糸。
(1)ポリアミドを原料とするマルチフィラメント捲縮糸であって、前記捲縮糸100重量%に対し、滑剤を1〜10重量%含み、かつ前記捲縮糸の単糸断面が中空断面であることを特徴とする防汚性捲縮糸。
(2)前記滑剤が高級アルキルアミド化合物であることを特徴とする1項に記載の防汚性捲縮糸。
(3)前記高級アルキルアミド化合物が脂肪酸ビスアミド化合物であることを特徴とする1項又は2項に記載の防汚性捲縮糸。
(4)前記ポリアミドは、メチレン基数とアミド基数の比であるメチレン基数/アミド基数が5以上であって、ASTM−D570−98(2005)に従い、23℃の水に24時間浸漬した状態での吸水率が、0.2〜1.0%であることを特徴とする1〜3項のいずれか1項に記載の防汚性捲縮糸。
(5)単糸の断面形状が中空率5〜25%の中空断面であることを特徴とする1〜4項のいずれか1項に記載の防汚性捲縮糸。
(6)総繊度が500〜3000dtex、単糸繊度が5〜50dtex、捲縮伸長率が5〜30%であることを特徴とする1〜5項のいずれか1項に記載の防汚性捲縮糸。
(7)アミノ末端基濃度が20〜100eq/tonであることを特徴とする1〜6項のいずれか1項に記載の防汚性捲縮糸。
ポリアミド捲縮糸特有の嵩高性、発色性、耐摩耗性を維持しながら、防汚性に優れたポリアミド捲縮糸を提供することができる。
以下に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、ポリアミド捲縮糸特有の嵩高性、発色性、耐摩耗性を維持しながら、防汚性に優れたポリアミド捲縮糸について鋭意検討し、ポリアミドを原料とするマルチフィラメント捲縮糸に特定量の滑剤を混合し、前記捲縮糸の単糸断面を中空断面とすることによって、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
本発明における防汚性捲縮糸に添加する滑剤は、繊維表面の摩擦力を小さくさせる効果があり、土砂汚れ等の汚染物質が、「付着しにくい(汚れにくい)」、「汚れが落としやすい」という点で効果が得られるものであり、前記捲縮糸100重量%に対し、滑剤を1〜10重量%含むことが必要であり、好ましくは3〜7重量%である。滑剤が1重量%未満では本発明の目的とする防汚性能が発揮されず、10重量%を超える場合には、得られる捲縮糸の物性の低下、ならびに製糸性の悪化を生じるほか、防汚性の効果はそれ以上は改善されず、経済的観点から好ましくない。また、「汚れが目立たない」という点については、前記捲縮糸の単糸断面が中空断面であることが必要である。
本発明に用いられる滑剤としては、高級アルキルアミド化合物であることが好ましい。また本発明にかかる高級アルキルアミド化合物としては、脂肪族ビスアミドおよびアルキル置換型の脂肪族モノアミドが好ましい。
上記脂肪族ビスアミドは、一分子中にアミド結合を2つ有する化合物であり、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミドおよび芳香族系脂肪酸ビスアミド等が好ましく挙げられる。脂肪族ビスアミドとしては、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミドが好ましく、例えば、メチレンビスカブリル酸アミド、メチレンビスカブリン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスミリスチン酸アミド、メチレンビスパルミチン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、メチリンビスミリスチン酸アミド、メチレンビスパルミチン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスミリスチン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスイソステアリン酸アミド、メチレンビスベヘニン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ブチレンビススベヘニン酸アミド、ブチレンビスオレイン酸アミド、ブチレンビスラウリン酸アミド、ブチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスエルカ酸アミド等である。特に、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、およびエチレンビスオレイン酸アミド等が好ましい。
また、上記アルキル置換型の脂肪族モノアミドとしては、飽和脂肪酸モノアミドや不飽和脂肪酸モノアミド等のアミド水素をアルキル基で置き換えた構造の化合物が挙げられ、例えば、N−ラウリルラウリン酸アミド、N−パルミチルパルミチン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ベヘニルベヘニン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド等である。
以上の高級アルキルアミド化合物の中でも滑剤としての性能、得られるポリアミド捲縮糸の白度、光沢感の観点から、特にエチレンビスステアリン酸アミドを用いることが好ましい。
本発明における防汚性捲縮糸の原料であるポリアミドとしては、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンウンデカミド(ポリアミド611)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンウンデカミド(ポリアミド911)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンスベラミド(ポリアミドMXD8)、ポリメタキシリレンアゼラミド(ポリアミドMXD9)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリメタキシリレンドデカミド(ポリアミドMXD12)、ポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンテレフタラミド(ポリアミドPACMT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンイソフタラミド(ポリアミドPACMI)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリトリメチルへキサメチレンテレフタラミド(ポリアミドTMHT)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリノナメチレンイソフタラミド(ポリアミド9I)、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド10I)、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリデカメチレンへキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリウンデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド11I)、ポリウンデカメチレンナフタラミド(ポリアミド11N)、ポリウンデカメチレンへキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド11T(H))、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリドデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド12I)、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)、ポリドデカメチレンへキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))等の単独重合体やこれらを形成する原料モノマーを数種用いた共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、メチレン基数とアミド基数の比であるメチレン基数/アミド基数が5以上であるポリアミドが好ましく、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
メチレン基数とアミド基数の比としては、例えば、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)の場合、[CH2]/[NHCO]=7、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)の場合、[CH2]/[NHCO]=8、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)の場合、[CH2]/[NHCO]=10、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)の場合[CH2]/[NHCO]=11であり、メチレン基数とアミド基数の比が5以上の脂肪族ポリアミドである。
また、本発明で用いるポリアミドは、吸水率が0.2%〜1.0%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜0.7%である。吸水率が0.2%以上であることで染色加工や水溶性機能加工剤の付与を効果的に行うためことができる。また、1.0%以下とすることで、本発明の目的とする水系の食品(酸性)汚れに対し、優れた防汚効果が発揮される。ここで、吸水率とはASTM−D570−98(2005)に従い、23℃の水に24時間浸漬した状態での吸水率のことである。
例えば、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)の吸水率は0.4%、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)の吸水率は0.25%であり、いずれも23℃の水に浸漬した状態での吸水率が0.2〜1.0%の脂肪族ポリアミドである。この中でも、重合性が安定し、染色性が良好なポリアミド610が最も好ましい。
また、ポリアミドの硫酸相対粘度(ηr)は、2.5〜3.5であることが好ましく、2.7〜3.2であることがより好ましい。ηrが3.5以下であると、溶融紡糸する際に十分な製糸性を確保するために紡糸温度を高く設定する必要がなく、ポリマー自体、或いはポリマーに含まれている着色剤や添加剤等が変質し着色又は変色するといった不都合も生じにくい。一方、ηrが2.5以上であると、適正な粘度で安定的に紡出でき、或いは単糸繊度斑も発生しにくい。加えて、高異形度および/または高中空率の捲縮糸を得るためには、ηrが2.9以上であることがより好ましい。
また、ポリアミドは、前記の単独重合体の混合物、前記の共重合体の混合物、単独重合体と共重合体の混合物であってもよいし、あるいは他のポリアミド系樹脂又はその他の熱可塑性樹脂との混合物であってもよい。ポリアミドの含有率は両者の合計量中、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
また、混合するその他の熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂及び、カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基等の官能基が含有された上記ポリオレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル(LCP)等のポリエステル系樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)等のポリエーテル系樹脂、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)等のポリサルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)等のポリケトン系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)等のポリニトリル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体等のポリビニル系樹脂、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(TFE/HFP,FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド共重合体(TFE/HFP/VDF,THV)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂、ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
また、本発明で用いられるポリアミドには、必要に応じて着色剤、艶消剤、安定剤、紫外線吸収剤、静電剤、難燃剤および抗菌剤などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で任意に添加しても良い。
本発明の防汚性捲縮糸の単糸断面は、中空部を有することが必要である。断面形状としては、例えば、公知の四角、三角、Y型、扁平断面などが挙げられる。図1は田型中空防汚性捲縮糸の一例を示す単糸断面図である。図2はY型中空防汚性捲縮糸の一例を示す単糸断面図である。図1,2中、単糸断面には中空部sが存在する。
その中でもカーペットの防汚性、嵩高性、耐摩耗性を両立するためには四角中空断面(田型断面)とすることがより好ましく、田型断面形状は表面の凹凸が少ないため、汚れが付着し難く、また汚れが落ちやすい。
その中でもカーペットの防汚性、嵩高性、耐摩耗性を両立するためには四角中空断面(田型断面)とすることがより好ましく、田型断面形状は表面の凹凸が少ないため、汚れが付着し難く、また汚れが落ちやすい。
また、中空断面の場合、中空率が5〜25%であることが好ましく、10〜20%であることがより好ましい。中空率が5%未満であると、カーペットの嵩高性や耐摩耗性が低下すると共に、汚れが目立ち易くなり、防汚性不良に繋がることがある。また、中空率が25%を超える断面形状を通常の製造方法で製造することは技術的に困難である。中空部は、1つでも複数(田型断面など)でも良いが、汚染物質を遮蔽する(外部からの光が乱反射し、汚れが目立ち難くなる)効果としては複数の場合が好ましい。複数の場合は、それらの中空部の合計の中空率が5〜25%であれば良い。
本発明における防汚性捲縮糸は、総繊度が500〜3000dtexであることが好ましく、700〜2500dtexがより好ましい。総繊度が500dtex未満の場合は、捲縮糸の製造コストが高くなり、またカーペットの嵩高性が低下しやすくなる傾向にある。総繊度が3000dtexを超えると、カーペット加工におけるタフト工程通過性が低下しやすく、またカーペットの風合いが硬くなりやすくなる傾向にある。
本発明における防汚性捲縮糸は、単糸繊度が5〜50dtexであることが好ましく、10〜40dtexがより好ましい。単糸繊度が5dtex未満の場合は、カーペットの嵩高性や耐摩耗性が低下しやすく、耐久性不良に繋がることがある。単糸繊度が50dtexを超えると、カーペットの風合いが硬くなる傾向にある。
本発明における防汚性捲縮糸は、捲縮伸長率が5〜30%であることが好ましく、15〜30%がより好ましい。捲縮伸長率が5%未満であると、カーペットの嵩高性や風合いが低下すると共に、耐摩耗性の低下により耐久性不良に繋がることがある。また、捲縮伸長率が30%を超える捲縮糸を通常の製造方法で製造することは技術的に困難である。
本発明の防汚性捲縮糸は、アミノ末端基濃度が、20〜100eq/tonであることが好ましい。より好ましくは、30〜90eq/ton、さらに好ましくは、35〜80eq/tonである。アミノ末端基は、ポリアミドを染色するための染料である酸性染料や含金染料の染着部位となるが、ナイロン6やナイロン66に比べて、アミノ末端基濃度が低くなることが一般的であり、本発明における防汚性捲縮糸の染色性を低下させる要因となる。そこで、染色性を確保するために、アミノ末端基濃度は20eq/ton以上であることが好ましい。一方で、アミノ末端基濃度が高すぎると、本発明の目的とする防汚性の効果が小さく、溶融紡糸工程において、アミノ末端基起因のポリマー変性により捲縮糸が黄化したり、製糸性が悪化する場合がある。また、捲縮糸あるいはカーペット製品の保管中や使用時において、アミノ末端基起因の光や熱でのポリマー変性や排気ガス成分の付着により捲縮糸が黄化する場合があるため、アミノ末端基濃度は100eq/ton以下であることが好ましい。
本発明における防汚性捲縮糸は、カーペット用途に好適に使用することができる。カーペットとしては、カーマット、タイルカーペット、ロールカーペット、ラグマット、ダスコンマットなど、幅広い分野で使用することができる。カーペットの形態は、カットパイル、ループパイル、それらの組合せなど、所望のカーペット製品となるように適宜選択することができる。
本発明における防汚性捲縮糸の製造方法は、基本工程としては通常の溶融紡糸、冷却、給油、延伸、および捲縮処理からなる捲縮糸製造工程によって製造される。本発明に用いる溶融紡糸装置はエクストルーダー型紡糸機でもプレッシャーメルター型紡糸機でも使用可能であるが、製品の均一性、製糸収率等の点でエクストルーダー型紡糸機が好ましい。滑剤の添加は、高濃度で内添したマスターチップをポリアミドチップとブレンドして紡糸機に投入しても良いし、紡糸機投入前のポリアミドチップの乾燥時に滑剤を外添しても良い。また、滑剤を粉体或いは液体の状態で直接紡糸機に投入しても良い。
かかる捲縮糸の好ましい総繊度、単糸繊度及び断面形状などを満足させるには、ポリアミドの粘度、紡糸温度、口金孔形状、吐出量、冷却等の紡糸条件を適切に設定して溶融紡糸する。
溶融紡糸された糸条は、冷風によって冷却固化され、次いで油剤を付与された後、所定の引き取り速度で回転する引き取りローラに捲回して引き取られる。引き取り速度は300〜1500m/分が好ましい。引き取った糸条は、通常、引き続き延伸および捲縮加工を連続して行う。別の方法として、未延伸糸で一旦巻き取った後、別工程で延伸および捲縮加工を行う方法、あるいは延伸糸を一旦巻き取った後、別工程で捲縮加工を行う方法も可能である。
本発明にかかる防汚性捲縮糸は、5〜30%の捲縮伸長率を有することが好ましい。そのためには延伸工程で十分に分子鎖の配向を高めてから捲縮加工するのが好ましい。延伸倍率は2.0〜4.0倍の範囲で行い、伸度が30〜100%となるよう延伸することが好ましい。次いで、延伸された糸条は捲縮付与装置を通して捲縮加工処理する。捲縮は飽和蒸気、過熱蒸気または加熱空気等の加熱流体加工処理によって行われる。捲縮加工装置は、例えば、特開2004−84080号公報で開示された捲縮加工ノズル装置などを使用することができる。通常は、該捲縮加工ノズルを有するジェットノズル方式で捲縮加工され、ニードル内を通過する糸条に周囲から過熱蒸気や加熱空気等の高圧の高温流体を接触させ、大気中に放出し冷却することで捲縮を付与する。更に、捲縮を固定する目的で、捲縮ノズルを通過した捲縮糸に冷風を吹きつけたり、内部に吸引するロータリーフィルターの表面に捲縮糸を堆積させて冷却する方法等も採用することができる。
捲縮加工する際の捲縮ノズルの温度は190〜250℃が好ましく、210〜240℃がさらに好ましい。捲縮ノズルの温度が190℃未満であると、熱処理が不十分なため捲縮を十分に付与できない。また、250℃を超えると、熱処理が過多となり、ポリマーの融着や劣化が起こり、捲縮糸の物性(強度、伸度、捲縮伸長率)や耐摩耗性が低下することがある。
捲縮加工された捲縮糸は適度なストレッチを与えて、捲縮を一部潜在化させた後、巻取り機で巻き取る。捲縮糸は巻取り前に集束性を付与するため交絡処理を与えることもある。
かくして、本発明における防汚性捲縮糸が得られる。
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何等限定されるものではない。なお、実施例中の各測定値の測定方法は以下の通りである。
(1)硫酸相対粘度(ηr):ポリマーチップを試料として、試料0.25gを98%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いていて25℃で測定し、以下の式から求めた。5サンプルの平均値から求めた。
ηr=試料溶液の流下秒数/硫酸のみの流下秒数
ηr=試料溶液の流下秒数/硫酸のみの流下秒数
(2)総繊度:JIS L1013(2010) 8.3.1 b)B法により、正量繊度を測定して総繊度とした。
(3)単糸繊度:総繊度をフィラメント数で除して求めた。
(4)強度、伸度: JIS L1013(2010) 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。試料をオリエンテック社製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100を用い、掴み間隔は25cm、引張り速度は30cm/分で行った。なお、伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
(5)捲縮伸長率:捲縮糸をかせ状にとり、20℃、65%RHの室内に3時間放置して放縮させた。次いで、沸騰水中に20分間浸漬して沸騰水処理を行った。沸騰水処理したかせ状の糸条を12時間前記室内で放置乾燥させた。次に、該糸条を1m程度の長さに切り取り、糸条の総繊度をA(dtex)とすると17.7A(μN)(1.8A(mg))の初荷重を30秒間加えた後の糸条の長さL1を先ず測定した。
次に、883A(μN)(90A(mg))の定荷重を30秒間加えた後の糸条の長さL2を測定した。本発明における捲縮伸長率G(%)はL1,L2より、以下の式から求めた。5サンプルの平均値から求めた。
G=((L2−L1)/L1)×100(%)。
G=((L2−L1)/L1)×100(%)。
(6)変形度:レーヨンステープルで包んだ捲縮糸の糸端を、厚さ0.5mmのステンレス製プレパラートに設けた穴(穴径1.0mm)に通し、安全カミソリでプレパラートの両面に沿って平行にカットしたものを断面観察用の試料とした。この試料をKEYENCE社製デジタルマイクロスコープ「VHX−500」を用いて500倍で観察し、単糸横断面の外接円の直径Dと、単糸横断面の内接円の直径dから下記式により求めた。10サンプルの平均値から求めた。
変形度=D/d
変形度=D/d
(7)中空率:レーヨンステープルで包んだ捲縮糸の糸端を、厚さ0.5mmのステンレス製プレパラートに設けた穴(穴径1.0mm)に通し、安全カミソリでプレパラートの両面に沿って平行にカットしたものを断面観察用の試料とした。この試料をKEYENCE社製デジタルマイクロスコープ「VHX−500」を用いて500倍で観察し、面積計測機能により、中空部を含む繊維の断面積Aと中空部の面積aから次式により求めた。10サンプルの平均値から求めた。
中空率=(a/A)×100(%)
中空率=(a/A)×100(%)
(8)アミノ末端基濃度:ポリマーチップ、或いはトリクロロエチレンに10分間浸漬・振とうして油剤を落とした後、25℃で1時間風乾し、15時間真空乾燥した捲縮糸を試料とした。試料1gを50mlのフェノール/エタノール混合溶液(フェノール/エタノール=83.5/16.5)に、25℃で振とう溶解させて試料溶液とし、この溶液を0.02Nの塩酸で中和滴定する際に要した0.02N塩酸量を求めた。また、上記フェノール/エタノール混合溶液のみを0.02Nの塩酸で中和滴定する際に要した0.02N塩酸量を求めた。それらの差から、試料1tonあたりのアミノ末端基量を求めた。5サンプルの平均値から求めた。
(9)耐摩耗性(糸切断回転数):安藤鉄工所製のトワイン摩耗試験機を用い、図4に示すように、P600番サンドペーパー2を直径40mmのローラー3に巻き付け、糸の接触長:31mm、ローラー回転速度:200rpm、測定荷重:0.4cN/dtexの条件にて、試料(捲縮糸)1を固定し、ローラー3にかけ、他端に荷重4をつるした。矢印で示されるローラーの回転方向hにローラーを回転させ、糸切断までのローラー回転数を測定した。図4は、本発明のポリアミド捲縮糸の耐摩耗性(糸切断回転数)を評価するための摩耗試験機のモデル図である。
(10)染色性(筒編地のL*値):捲縮糸からなる筒編地(コース:14本/inch、ウェール:11本/inch)を試料とした。試料を酸性染料(日本化薬社製 Kayanol Navy Blue R)0.5%owf、浴比1:100、pH=7、98℃、30分の条件で染色した後、水洗し、65℃で1時間熱風乾燥し、25℃で12時間風乾した。得られた筒編地を、スガ試験機社製SMカラーコンピューター(型式:SM−P)を用い、C光2°視野、8°照明・拡散光受光(正反射光除く)、測定孔径30mmの条件で測色し、明度(L*値)を求めた。筒編地の5箇所の平均値から求めた。なお、L*値が小さい程、試料は濃色に染色されている、即ち染色性が良いことを示し、逆に、L*値が大きい程、試料は淡色、即ち染色性が悪いことを示す。
(11)防汚性(耐食品汚れ):捲縮糸からなる筒編地(コース:14本/inch、ウェール:11本/inch)を試料とした。98℃、30分の条件で熱水処理した後、脱水1分、65℃で1時間熱風乾燥し、25℃で12時間風乾した試料の中央部に0.50ml/cm2の各種水系汚染液(ジュース:ハタ鉱泉(株)ニッキ水、赤ワイン:メルシャン(株)ボン・ルージュ、コーヒー:サントリー(株)BOSSレインボーマウンテン)を滴下し、薬さじで全体に馴染ませた後、25℃で24時間風乾し、前記の各種水系汚染液を付着させた筒編地を水洗し、すすぎ1分、脱水1分、25℃で24時間風乾した。得られた筒編地の汚れ状態を等級にて判定した。
5級:汚れの見られないもの、4級:僅かであるが汚れの見られるもの、
3級:汚れが見られるが目立たないもの、2級:汚れが付着しているもの
1級:著しく汚れが付着しているもの
5級:汚れの見られないもの、4級:僅かであるが汚れの見られるもの、
3級:汚れが見られるが目立たないもの、2級:汚れが付着しているもの
1級:著しく汚れが付着しているもの
(12)防汚性(耐土砂汚れ):捲縮糸からなる筒編地(コース:14本/inch、ウェール:11本/inch)を試料とした。98℃、30分の条件で熱水処理した後、脱水1分、65℃で1時間熱風乾燥し、25℃で12時間風乾した試料の中央部に標準汚れ物質(JIS L1021−18:2007)1gを付着させた後、500gの荷重を5cmの高さから繰り返し20回落下させ、金網越しに掃除機(東芝社製「VC-PA7E(L)」の「強」)で20秒間吸引した。得られた筒編み地の汚れ状態を等級にて判定した。
5級:汚れの見られないもの、4級:僅かであるが汚れの見られるもの、
3級:汚れが見られるが目立たないもの、2級:汚れが付着しているもの
1級:著しく汚れが付着しているもの
5級:汚れの見られないもの、4級:僅かであるが汚れの見られるもの、
3級:汚れが見られるが目立たないもの、2級:汚れが付着しているもの
1級:著しく汚れが付着しているもの
(13)製糸性:1トン生産あたりの糸切れ回数を以下の基準で判断した。○以上を合格した。
◎:0.0〜2.0 回/t
○:2.1〜4.0 回/t
△:4.1〜6.0 回/t
×:6.1回〜 回/t
◎:0.0〜2.0 回/t
○:2.1〜4.0 回/t
△:4.1〜6.0 回/t
×:6.1回〜 回/t
[実施例1]
硫酸相対粘度2.7、アミノ末端基濃度45eq/ton、エチレンビスステアリン酸アミド(ライオンアクゾ社製アーモワックスEBSパウダー)を1.0重量%含むナイロン6チップを、エクストルーダー型紡糸機に投入し、溶融紡糸した。紡糸温度265℃、田型中空断面用の孔スペックを有する口金を用いて、捲縮糸の総繊度が970dtex、フィラメント数54、単糸繊度が18dtexとなるように製糸した。
硫酸相対粘度2.7、アミノ末端基濃度45eq/ton、エチレンビスステアリン酸アミド(ライオンアクゾ社製アーモワックスEBSパウダー)を1.0重量%含むナイロン6チップを、エクストルーダー型紡糸機に投入し、溶融紡糸した。紡糸温度265℃、田型中空断面用の孔スペックを有する口金を用いて、捲縮糸の総繊度が970dtex、フィラメント数54、単糸繊度が18dtexとなるように製糸した。
引取速度は1000m/分、トータル延伸倍率3.0倍(1段目延伸倍率2.6倍、2段目延伸倍率1.15倍)、1段目延伸温度50℃、2段目延伸温度140℃、セット温度195℃で熱延伸した。次いで延伸糸条は連続して、特開2004−84080号公報中の図6で示される捲縮ノズルで0.9MPaの過熱蒸気により、捲縮ノズル温度225℃にて捲縮処理した後、冷却ロールで冷却した後、0.12cN/dtexをかけてストレッチし、捲縮を潜在化した後、交絡ノズルを通して、10個/mの交絡を付与して、2700m/分で巻き取った。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
[実施例2]
エチレンビスステアリン酸アミドを5.0重量%含むナイロン6チップを使用した以外は実施例1と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
エチレンビスステアリン酸アミドを5.0重量%含むナイロン6チップを使用した以外は実施例1と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
[実施例3]
エチレンビスステアリン酸アミドを10.0重量%含むナイロン6チップを使用した以外は実施例1と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
エチレンビスステアリン酸アミドを10.0重量%含むナイロン6チップを使用した以外は実施例1と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
[実施例4]
3葉中空断面(Y型中空)用の口金に変更した以外は、実施例2と同様にして、図3に示すY型の単糸断面を有する捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。図3はY型捲縮糸の一例を示す単糸断面図である。
3葉中空断面(Y型中空)用の口金に変更した以外は、実施例2と同様にして、図3に示すY型の単糸断面を有する捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。図3はY型捲縮糸の一例を示す単糸断面図である。
[実施例5]
硫酸相対粘度2.7、アミノ末端基濃度35eq/ton、エチレンビスステアリン酸アミドを5.0重量%含むナイロン610チップを使用した以外は、実施例2と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
硫酸相対粘度2.7、アミノ末端基濃度35eq/ton、エチレンビスステアリン酸アミドを5.0重量%含むナイロン610チップを使用した以外は、実施例2と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
[実施例6]
硫酸相対粘度3.2、アミノ末端基濃度35eq/ton、エチレンビスステアリン酸アミドを5.0重量%含むナイロン610チップを使用した以外は、実施例2と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
硫酸相対粘度3.2、アミノ末端基濃度35eq/ton、エチレンビスステアリン酸アミドを5.0重量%含むナイロン610チップを使用した以外は、実施例2と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
[比較例1]
エチレンビスステアリン酸アミドを含有しないナイロン6チップを使用した以外は実施例1と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
エチレンビスステアリン酸アミドを含有しないナイロン6チップを使用した以外は実施例1と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
[比較例2]
エチレンビスステアリン酸アミドを0.4重量%含むナイロン6チップを使用した以外は実施例1と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
エチレンビスステアリン酸アミドを0.4重量%含むナイロン6チップを使用した以外は実施例1と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
[比較例3]
エチレンビスステアリン酸アミドを11.0重量%含むナイロン6チップを使用した以外は実施例1と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
エチレンビスステアリン酸アミドを11.0重量%含むナイロン6チップを使用した以外は実施例1と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
[比較例4]
3葉断面(Y型)中実繊維用の口金に変更した以外は、実施例2と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
3葉断面(Y型)中実繊維用の口金に変更した以外は、実施例2と同様にして、捲縮糸を得た。得られた捲縮糸の特性を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜4のナイロン6を使用した防汚性捲縮糸は、前記捲縮糸100重量%に対し、滑剤を1〜10重量%含み、かつ前記捲縮糸の単糸断面が中空断面であることを特徴とする防汚性捲縮糸であって、滑剤を含有しない比較例1と同等のポリアミド捲縮糸特有の嵩高性、発色性、耐摩耗性を維持し、特に土砂汚れに対する防汚性に優れたポリアミド捲縮糸であると言える。
実施例2の防汚性捲縮糸は、実施例4に比べて、中空部が複数であることから、土砂汚れに対する汚染物質の遮蔽効果が大きく、耐摩耗性も高い。
また、実施例5については、アミノ末端基量の少ないナイロン610樹脂を使用することによって、実施例1〜4に比べて、酸性の食品汚れに対する防汚性が向上したと言える。
一方、比較例2の防汚性捲縮糸は、滑剤を0.4重量%含んでいるが、比較例1と同じく、土砂汚れに対する防汚性が見られない。
比較例3は、滑剤を11.0重量%含み、土砂汚れに対する防汚性が実施例3と同等であるが、比較例1同等のポリアミド捲縮糸特有の嵩高性、耐摩耗性が得られず、製糸性も悪く、長期的な安定生産が難しいことが言える。
比較例4は、単糸断面に中空部を有しない3葉断面(Y型)中実繊維であるため、土砂汚れに対する遮蔽効果が小さいと言える。
本発明は、ポリアミド捲縮糸特有の嵩高性、発色性、耐摩耗性を維持しながら、防汚性に優れたポリアミド捲縮糸として、「汚れにくい」・「汚れが落としやすい」・「汚れが目立たない」等の高い防汚性能が求められる大型ショッピングモールなどの商業施設で使用されるタイルカーペットや家庭用カーペットなどのカーペット業界において好適に使用されるものである。
s:中空部
1:試料(捲縮糸)
2:サンドペーパー
3:ローラー
h:ローラーの回転方向
4:荷重
1:試料(捲縮糸)
2:サンドペーパー
3:ローラー
h:ローラーの回転方向
4:荷重
Claims (7)
- ポリアミドを原料とするマルチフィラメント捲縮糸であって、前記捲縮糸100重量%に対し、滑剤を1〜10重量%含み、かつ前記捲縮糸の単糸断面が中空断面であることを特徴とする防汚性捲縮糸。
- 前記滑剤が高級アルキルアミド化合物であることを特徴とする請求項1に記載の防汚性捲縮糸。
- 前記高級アルキルアミド化合物が脂肪酸ビスアミド化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の防汚性捲縮糸。
- 前記ポリアミドは、メチレン基数とアミド基数の比であるメチレン基数/アミド基数が5以上であって、ASTM−D570−98(2005)に従い、23℃の水に24時間浸漬した状態での吸水率が、0.2〜1.0%であることを特徴とする1〜3項のいずれか1項に記載の防汚性捲縮糸。
- 単糸の断面形状が中空率5〜25%の中空断面であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防汚性捲縮糸。
- 総繊度が500〜3000dtex、単糸繊度が5〜50dtex、捲縮伸長率が5〜30%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の防汚性捲縮糸。
- アミノ末端基濃度が20〜100eq/tonであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の防汚性捲縮糸。
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