JP2003193344A - カーペット用捲縮糸およびカットパイルカーペット - Google Patents

カーペット用捲縮糸およびカットパイルカーペット

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JP2003193344A JP2002044500A JP2002044500A JP2003193344A JP 2003193344 A JP2003193344 A JP 2003193344A JP 2002044500 A JP2002044500 A JP 2002044500A JP 2002044500 A JP2002044500 A JP 2002044500A JP 2003193344 A JP2003193344 A JP 2003193344A
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Hiroaki Ozawa
宏明 小澤
Shozo Inoue
正三 井上
Tatsuro Mizuki
水木  達郎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、十分な反発弾性、嵩高性、耐久性を
有し、かつソフトタッチな風合いとスパンライクな表面
外観を有するするカットパイルカーペットを作り出すこ
とができるカーペット用捲縮糸およびカットパイルカー
ペットを提供せんとするものである。 【解決手段】本発明のカーペット用捲縮糸は、異形断面
フィラメントからなるポリアミド捲縮糸であり、単糸繊
度(Tm)が5〜15dtex、沸騰水処理後の捲縮伸
長率が15〜30%、交絡数が20個/m以下、単糸断
面の外接円直径(Dm)が下記式(1)の範囲にあるこ
とを特徴とするカーペット用捲縮糸である。 19(Tm)1/2≦Dm≦24(Tm)1/2 ・・・
(1) 式中、単糸断面の外接円直径(Dm)の単位:μm また、本発明のカットパイルカーペットは、かかるカー
ペット用捲縮糸を、カーペットを構成するパイルに用い
たことを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、十分な反発弾性、
嵩高性、耐久性を有し、かつソフトタッチな風合いとス
パンライクな表面外観を有するカットパイルカーペット
を作り出すことができるカーペット用捲縮糸、およびそ
の捲縮糸を用いたカットパイルカーペットに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】カーペットの主な使用目的は、インテリ
ア用途によく適応した機能、雰囲気を提供することであ
り、色や柄はもちろん、風合いや、ボリューム感など種
々の特性が用途に合わせて要求される。
【0003】自動車内に敷設されるオプションカーペッ
ト、ラインカーペットといった車両用カーペット分野に
おいては、反発弾性、嵩高性、耐久性といった実用性能
に加えて、車内空間の演出性に優れること、具体的には
落ち着きのある雰囲気、高級感が求められてきた。
【0004】こうして種々の特性が必要とされる中で、
嵩高連続長繊維(以下、BCF糸)を用いた車両用カー
ペットにおいては、これまで反発弾性、嵩高性、耐久性
といった実用性能が第一に求められた。そしてY型断面
糸などの異形断面糸を用いて嵩高性を高める取り組み、
捲縮レベルを高めることで反発弾性を高める試みなどが
なされてきた。
【0005】一方、落ち着きのある雰囲気、高級感の向
上はこれまで十分に達成されず限界があった。そこでス
パン糸の捲縮糸を用いた車両用カーペットも使用されて
いる。スパン糸の捲縮糸を用いたカーペットは、ソフト
タッチな風合いを有し、またスパン糸の特徴である粒感
のない深みのある外観を有しており、落ち着いた雰囲気
と高級感に優れている。
【0006】しかしスパン糸の捲縮糸はBCF糸に比べ
て製造コストが格段に高いというデメリットがある。こ
のため一部の最高級車に搭載されるのみで広く普及して
いない。スパン糸のような粒感のない深みのある外観、
すなわちスパンライク性をBCF糸に付与する手法はこ
れまで見いだされていない。
【0007】特公昭59−34815号公報には、全捲
縮率、捲縮堅牢度、インターレース度などが特定の範囲
内にある捲縮糸を使用したベロア調カットカーペットが
提案されている。該提案のカーペットは、嵩高性と反発
弾性があり、捲縮のへたりが比較的少なく耐久性のある
カーペットが得られた。しかし該提案はこれらの実用性
能と、ある程度の風合いの向上を目的としており、ソフ
トタッチの風合い、スパンライク性はともに得られなか
った。またタテ筋改善については何ら触れられていな
い。
【0008】実公昭62−36869号公報には異形
度、捲縮率が特定の範囲内にあるベロア調カーペットに
適した嵩高低捲縮加工糸が提案されている。該提案の捲
縮糸は異形度を特定の範囲とすることで嵩高性に優れた
捲縮糸が得られた。しかしフェルトライクな外観になる
のを嫌って捲縮率を低く設定した低捲縮加工糸であり、
反発弾性は低めであった。また該提案は低捲縮加工糸の
バルキー性向上を目的としており、ソフトタッチの風合
い、スパンライク性はともに得られなかった。また本発
明についてもタテ筋改善については何ら触れられていな
い。
【0009】特公平1−23577号公報には、収縮特
性の異なるポリマーを用いた捲縮糸を混在させ、スパン
ライクな嵩高性や風合いを示すとされるカーペットが提
案されている。該提案のカーペットにおいては、2種の
ポリマーを使用するため製造工程が煩雑で製造コストが
高く、また往々にして共重合成分の高い共重合ポリマー
を1種のポリマーとして使用するため捲縮糸の耐久性が
劣るという問題があった。またスパンライク性はある程
度得られたが十分ではなく、ソフトタッチな風合いは得
られなかった。また本発明についてもタテ筋改善につい
ては何ら触れられていない。
【0010】特開2000−220050号公報には単
糸繊度、扁平度、捲縮伸長率が特定の範囲内にある扁平
断面ポリアミドフィラメントを用いた、柔らかな風合い
で肌触りが良く、かつ腰が強いと共に耐久性に優れたカ
ーペット用捲縮糸、およびカーペットが提案されてい
る。該提案においては、確かにソフトタッチな風合いが
得られ、また単糸繊度、扁平度、捲縮伸長率を特定の範
囲内にすることで、腰の強さと耐久性がある程度優れた
カーペットが得られた。しかし扁平断面フィラメントで
構成されるため、その腰の強さと耐久性は十分に満足で
きるものではなく、またスパンライク性は得られなかっ
た。また本発明についてもタテ筋改善については何ら触
れられていない。
【0011】一方カーペットのタテ筋を低減するため
に、従来からいろいろな提案がなされてきた。
【0012】例えばタフトを実施するメーカーでは、タ
テ筋を低減させるために、1つのカーペットに用いる捲
縮糸として、ほぼ同時期に同一マシンで製造された捲縮
糸を使用するなどの手段により、できる限り同質の捲縮
糸を使用したり、また使用する捲縮糸の変形度やL値が
一定の範囲内のもののみを使用するなどの、複雑な管理
を実施してきている。しかしこのような手段を講じても
なお、タテ筋の発生は皆無にはなっていない。
【0013】また、タテ筋低減の手段として巻き取った
捲縮糸のチーズの内層と外層における特性の差を低減す
るために、巻き取り張力を低くしたり、また例えば特公
昭57−2627号公報に記載のごとく、巻き取る直前
の糸に水を付与して安定にさせたりする工夫も提案され
ているが、いずれもタテ筋の解決には至っていない。
【0014】特公昭58−51048号公報には、捲縮
ノズルにおける捲縮付与時の熱収縮率と予熱温度を規定
することにより、均一な捲縮糸を得ようとする試みが提
案されているが、この方法では均一性に限界があり、ま
たその後の工程変動に耐え得る捲縮糸は得られず、カー
ペットのタテ筋低減には至っていない。
【0015】いったん形成された捲縮糸に、巻き返しや
染色時の加工工程で、捲縮糸の一部に何らかの異常張力
がかかり、捲縮が一部伸びてしまう場合にも、形態差に
よるタテ筋が発生すると考えられる。このため、捲縮糸
の捲縮レベルを高くすることにより、加工工程での工程
変動に強い捲縮糸とすることで、タテ筋を低減しようと
する試みもある。しかし、この方法のみでは、工程変動
の影響を完全に吸収することはできないため、得られる
タテ筋低減効果はわずかであり、また捲縮糸の平均的な
捲縮レベルが高いため、カーペットとしての風合いが堅
く、フェルトライクになってしまうという欠点があっ
た。
【0016】特公昭63−16487号公報には、捲縮
糸をスチーム熱セットすることにより、安定した低捲縮
糸を得る方法が開示されている。しかしながら、この方
法では、セット後の巻き取り張力の変動などに耐え得る
だけのセットは不可能であり、完全にタテ筋を解決する
ことは困難であるばかりか、捲縮糸をスチームパイプに
通すにあたっての工程通過性が悪く、安定な捲縮糸が得
られないという欠点があった。
【0017】以上のように各種の改良提案がなされてい
るが、これらの提案はいずれも、より均一な捲縮糸を作
ることによりタテ筋を軽減しようとするものであり、い
ずれの提案の場合にもその改良効果には限界があった。
【0018】さらに、特公平8−13287号公報や特
許第2853873号公報には、異なる変形度や繊度の
マルチフィラメントを組み合わせることにより、表面タ
ッチがやわらかく、かつ腰のしっかりしたカーペット用
の捲縮糸ならびにカーペットを得る方法が提案されてい
る。しかし、この提案においては、混在させる各々のマ
ルチフィラメントの構成が適当でなく、得られるカーペ
ットの風合いはかわるものの、タテ筋低減効果は十分で
はなかった。またスパンライク性は得られていなかっ
た。
【0019】また、用いるパイルの色を1色だけではな
く、類似した2色のパイルを並べてパイルとしたり、撚
りをかけたサキソニーとすることにより、タテ筋を低減
する手法もとられているが、これらの手法はいずれも求
められる品質や規格の点から限られた範囲にしか使用で
きないものであった。
【0020】一方、特開昭63−120134号公報に
は、ポリエステル系マルチフィラメントに、3種類以上
の断面糸を使用した織物が提案されているが、この提案
は衣料用途においての繊維の風合いを絹に近づけること
を目的としたものであり、この繊維をカーペット用捲縮
糸に適用してタテ筋を低減するという発想については全
く言及されてはいない。
【0021】このように十分な反発弾性、嵩高性、耐久
性を有し、かつソフトタッチな風合いと、スパンライク
な表面外観、すなわち粒感のない深みのある外観を有す
るカットパイルカーペットを作り出すことができるカー
ペット用捲縮糸およびカットパイルカーペットは得られ
ていなかった。
【0022】ましてやそれと同時に、特に単色のカット
パイルカーペットによく見られるタテ筋の発生を低減す
ることができるカーペット用捲縮糸、およびカットパイ
ルカーペットは得られていなかった。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術の背景に鑑み、十分な反発弾性、嵩高性、耐久性
を有し、かつソフトタッチな風合いとスパンライクな表
面外観を有するカットパイルカーペットを作り出すこと
ができるカーペット用捲縮糸およびカットパイルカーペ
ットを提供せんとするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明のカーペット用捲縮糸は、異形断
面フィラメントからなるポリアミド捲縮糸であり、単糸
繊度(Tm)が5〜15dtex、沸騰水処理後の捲縮
伸長率が15〜30%、交絡数が20個/m以下、単糸
断面の外接円直径(Dm)が下記式(1)の範囲にある
ことを特徴とするものである。
【0025】19(Tm)1/2≦Dm≦24(Tm)1/2
・・・(1)式中、単糸断面の外接円直径(Dm)の
単位:μmまた、本発明のカットパイルカーペットは、
かかるカーペット用捲縮糸を、カーペットを構成するパ
イルに用いたことを特徴とするものである。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり十分
な反発弾性、嵩高性、耐久性を有し、かつソフトタッチ
な風合いとスパンライクな表面外観を有するカーペット
用捲縮糸およびカットパイルカーペットについて、鋭意
検討し、沸騰水処理後の捲縮伸長率と交絡数が特定であ
り、かつ、その単糸断面の外接円直径と、単糸繊度の平
方根が特定な関係にある捲縮糸をパイルとして用いてカ
ットパイルカーペットつくってみたところ、かかる課題
を一挙に解決することを究明したものである。
【0027】まず本発明のカーペット用捲縮糸がスパン
ライク性を有する理由と従来技術との差異を説明する。
【0028】従来、異形断面のBCF糸、一般的にはY
型断面のBCF糸を使用したカットパイルカーペットに
おいては、フェルトライクになるのを嫌って捲縮レベル
を低めに設定するのが一般的であった。フェルトライク
とは、染色などの熱処理により捲縮が発現する際に、カ
ットパイルの単糸の先端が折れ曲がり寝てしまうと同時
に、単糸間に絡みが生じてフェルト状になった外観のこ
とである。
【0029】捲縮レベルが高い場合には反発弾性が大き
い利点があるが、染色時に単糸同士の絡まりが大きく、
また単糸先端の折れ曲がりが大きいため特にフェルトラ
イクな外観となっていた。
【0030】そこで捲縮レベルを低めに設定し、これに
より低下する反発弾性、嵩高性を補うために異形度を高
くする手法(Y型断面の場合には高変形度化)が用いら
れる場合があった。実公昭62−36869号公報が一
例である。さらに捲縮レベルが低い場合は、染色時のへ
たりが生じやすいため特公昭59−34815号公報で
は捲縮堅牢度を特定の範囲としていた。
【0031】我々はBCF糸にてスパンライク性を発現
させる検討を行った結果、高捲縮の状態でフェルトライ
クになるのを防止した場合にスパンライク性が生じるこ
とを見いだした。
【0032】より詳しくは、単糸繊度(Tm)が15d
tex以下の低い単糸繊度、捲縮伸長率が15〜30%
の高い捲縮伸長率、単糸断面の外接円直径(Dm)が下
記式(1)の範囲にある場合、すなわち異形度が高い場
合にスパンライク性が生じる。
【0033】 19(Tm)1/2≦Dm≦24(Tm)1/2 ・・・(1) 式中、単糸断面の外接円直径(Dm)の単位:μm 従来の高捲縮糸は、単糸繊度が大きいために、単糸間の
摩擦が大きく、染色時に単糸間の絡みが大きく、フェル
トライクになっていた。
【0034】ここで単糸繊度を小さくした場合には、高
捲縮ではあるが単糸間のからみが小さくなり、スパンラ
イクな表面外観に近づけることができ、加えて、断面を
異形度が高い状態とすることで、単糸先端の折れ曲がり
が小さくなり、さらにスパンライクな表面外観に近づけ
ることができたものである。
【0035】このように断面の異形度を高く、単糸繊度
を低くすることで、高捲縮状態のままフェルトライクに
なるのを防止して、スパンライクな表面外観のカーペッ
トを提供することができたものである。
【0036】本発明のカーペット用捲縮糸は、異形断面
フィラメントからなることが必要である。異形断面であ
るからこそ、十分な嵩高性を生み出すことができる。こ
こでいう異形断面とは、単糸の長手方向に垂直な断面に
おいて、3つ以上の凸部を有する断面を有することを意
味するものである。具体的には、Y型断面、十型断面、
H型断面、X型断面、T型断面、#型断面などがあげら
れる。図1〜6にそれぞれの断面の一例を模式的に示
す。なお断面内に中空部を有していても差し支えない。
一方、2つの凸部を有する扁平断面、また円形断面、田
型断面など突部を有さない断面のものは本発明の異形断
面には該当しない。
【0037】本発明のカーペット用捲縮糸においては、
捲縮糸の素材がポリアミドであることが必要である。す
なわち、本発明の捲縮糸は、単糸繊度が小さく、また単
糸断面の外接円直径が大きい異形断面であるため、摩耗
の点で不利である。そこで単糸繊度の下限、外接円直径
の上限に制限を設けているが、十分な耐久性を達成する
ために、素材自身の耐摩耗性も求められることとなる。
かかる課題を解決するために、耐摩耗性に優れたポリア
ミドを採用することが必要なのである。したがって、ポ
リエチレンテレフタレートやポリプロピレンなどでは、
十分な耐久性を達成することができないのである。
【0038】本発明のカーペット用捲縮糸においては、
単糸繊度(Tm)が5〜15dtex、好ましくは8〜
13dtexであることが必要である。すなわち、単糸
繊度が5dtex未満の場合には、スパンライク性、ソ
フトタッチの風合いはともに十分であるが、摩耗しやす
く耐久性が劣るカーペットとなってしまう。また単糸繊
度が15dtexを越える場合には、ソフトタッチの風
合い、スパンライク性ともに不十分なカーペットになっ
てしまう。
【0039】本発明のカーペット用捲縮糸においては、
沸騰水処理後の捲縮伸長率が15〜30%、好ましくは
18〜25%であることが必要である。すなわち、反発
弾性の面では、捲縮伸長率は10%以上あれば良いが、
捲縮伸長率が15%未満の場合には、スパンライク性が
不十分なカーペットになってしまう。また捲縮伸長率が
30%を越える場合は、反発弾性は十分であるが、スパ
ンライクではなく、フェルトライクで表面外観が劣った
カーペットになってしまう。また、連染プロセスを用い
てスパンライクにするためには、毛割などの仕上げ工程
を加えることが好ましいが、この加工はパイルの捲縮を
伸ばしてしまうので、元の捲縮糸の捲縮レベルは高め
に、すなわち18〜25%の沸騰水処理後の捲縮伸長率
を有する捲縮糸を用いることが好ましいのである。
【0040】沸騰水処理後の捲縮伸長率が30%を越え
る場合であっても、例えば、特公昭60−47949号
公報に記載されるごとく、捲縮原糸を別工程にて解舒し
ながら低張力下で熱処理したり、チーズの状態で熱処理
を施して、沸騰水処理後の捲縮伸長率を30%以下に下
げることにより、本発明に好ましい捲縮糸とすることが
できる。
【0041】かかる低張力下での熱処理は、チーズやボ
ビンの状態で行ってもよいし、一旦巻き取った捲縮糸を
解除しながらセットしてもよい。ここで付与する張力
は、細かな微捲縮を残しつつ、捲縮を適度に落とすため
のものであり、捲縮糸の捲縮レベルや断面構造にもよる
が、好ましくは0.0079〜0.119cN/dte
x(0.009〜0.135g/dtex)の張力が選
択して採用される。また、熱処理の温度は80〜130
℃の範囲内の条件を採用するのが好ましい。かかる熱処
理は、該当温度での浴中処理や、乾熱・スチーム中の雰
囲気内での処理、あるいはこれらの雰囲気を通過させる
ことなどの方法を採用することができる。
【0042】さらには、沸騰水処理後の捲縮伸長率を本
発明の好ましい範囲にするための別の手段として、撚糸
セット処理を施してもよい。
【0043】本発明におけるカーペット用捲縮糸は、交
絡数が20個/m以下であることが必要である。すなわ
ち、交絡数が20個/mを越えると、集束性が強くカー
ペットとしたときのボリューム感すなわち嵩高性が損な
われてしまう。特にカットパイルの場合、交絡が往々に
して残ってしまい風合いが硬く地透けのするカーペット
になってしまう。
【0044】本発明のカーペット用捲縮糸においては、
単糸断面の外接円直径(Dm)が下記式(1)の範囲に
あることが必要である。
【0045】 19(Tm)1/2≦Dm≦24(Tm)1/2 ・・・(1) 式中、単糸断面の外接円直径(Dm)の単位:μm 単糸断面の外接円直径(Dm)は、単糸の長手方向に垂
直な断面において、断面の重心を中心として、単糸を取
り囲んで外接する円の直径である。異形断面の複数ある
凸部の先端と重心の距離が同一でない場合は、各凸部に
外接するそれぞれの円の直径の平均値とする。
【0046】式(1)は、隣接する単糸間の反発を高め
るため、単糸繊度に応じて、一定以上の凸部の存在が必
要であり、その見掛けの外接円の直径が大きいことが必
要であることを示しているものである。
【0047】該外接円直径(Dm)が、19(Tm)
1/2未満の場合には、スパンライク性が不十分なカーペ
ットになってしまう。また、該外接円直径(Dm)が2
4(Tm)1/2を越える場合は、嵩高性、スパンライク
性ともに十分であるが、異形断面の凸部が長くなりすぎ
て、摩耗しやすく、耐久性が劣るカーペットになってし
まう。また同時に紡糸時の糸揺れが大きく、捲縮糸の製
糸が比較的困難になってしまう。
【0048】本発明のカーペット用捲縮糸について、図
面を用いて説明する。
【0049】すなわち、本発明のカーペット用捲縮糸と
しては、異形断面であることが必要であるが、中でもY
型断面であることが、凸部の数が3つと少なく、凸部を
厚くすることができるので、耐摩耗性が特に優れる上
に、比較的製糸し易いという利点があるので好ましく採
用される。
【0050】Y型断面フィラメントは、図1に示すよう
に、単糸の長手方向に垂直な断面において、3方に凸部
を有し、かつ3つの凸部の間がなめらかな凹部で結ばれ
ている単糸からなるフィラメントである。例えば特公平
2−8044号公報の第1図に記載されている。3つの
凸部が優れた嵩高性を生み出す。ここでY断面の外接円
2の半径をg、内接円1の半径をhとした場合、異形度
の尺度である変形度Rは、R=g/hとして定義され
る。(図7参照) 本発明では先に述べたように、単糸断面の外接円直径
(Dm)が前記式(1)の範囲にあることが必要であ
る。これは高異形であることを示している。断面がY型
断面の場合には、この外接円直径(Dm)の範囲は、だ
いたい変形度が3.7〜6.0であることに相当する。
【0051】なお、本発明のY型断面マルチフィラメン
トは、Y型断面であれば、断面内に1つ以上の中空部を
有していても差し支えない。このような断面は一般的に
はY型中空断面と呼ばれる。Y型中空断面の一例を図8
に示す。Y型断面と同様に3つの凸部が優れた嵩高性を
生み出す。また中空部が存在するために汚れを目立たな
くさせて防汚効果が生じ、また占有体積が大きくなるた
めより高い嵩高性が生じる。中空部は3つの凸部それぞ
れに存在していても良いし、3つの凸部の交わる中心に
1つだけ存在してもよい。Y型中空断面フィラメントは
例えば米国特許2945739号公報に記載されてい
る。
【0052】本発明のカーペット用捲縮糸は、互いに異
なる断面を有する2群以上の異形断面マルチフィラメン
トが混在してなることが好ましい。
【0053】ここで「群」とは、特定の断面形状、単糸
繊度、異形度を有する異形断面マルチフィラメントであ
る。つまり、「互いに異なる断面を有する2群の異形断
面マルチフィラメントが混在してなる」とは、特定の断
面形状、単糸繊度、異形度を有する異形断面マルチフィ
ラメントの群が2群混在することを示す。各群の断面が
異形度ではなくその形状自体が異なった構成になってい
ても問題ない。例えば、1群をY型断面、1群をX型断
面とすることができる。
【0054】このような構成とした場合、単色のカット
パイルカーペットによく見られるタテ筋の発生を低減で
きるという顕著な効果が付加されるため好ましいのであ
る。
【0055】タテ筋の発生が低減できる理由は、適度な
バラツキを存在させることによる。捲縮糸を製造した場
合、当然ながら断面の異形度など各種の特性はバラツキ
により、ある分布を持ったものとなる。ここで特定の断
面形状、単糸繊度、異形度を有する従来の一般的な捲縮
糸の場合、各種の特性は比較的狭い1山の分布をとる。
この場合、カーペット反全体の表面は比較的均一である
ため、例えば分布の1方の端に近い捲縮糸ともう一方の
端に近い捲縮糸が隣り合ってタフトされると、明確なタ
テ筋として目立ってしまう。一方、本発明のように2群
以上のマルチフィラメントの群が混在する場合は、各種
の特性は各群毎にバラツキが生じ、2山以上の分布をと
る。その結果、各種の特性の分布は幅広いものになり、
カーペット全体の表面はある程度バラツキを持ったもの
となる。このため分布の端に近い捲縮糸であっても明確
なタテ筋として目立ちにくく、タテ筋の発生が低減する
のである。
【0056】またこの互いに異なる断面を有する2群の
異形断面マルチフィラメントが混在してなる捲縮糸につ
いて検討したところ、基本的には単一断面の場合の式
(1)にて、単糸繊度(Tm)を単糸繊度の平均値とし
て、単糸断面の外接円直径(Dm)を単糸断面の外接円
直径の平均値として満足すれば、同様にスパンライクで
あることを見いだした。
【0057】つまりこの互いに異なる断面を有する2群
の異形断面マルチフィラメントが混在してなる捲縮糸に
ついては、式(1)の単糸繊度Dmは単糸繊度の平均
値、単糸断面の外接円直径(Dm)は単糸断面の外接円
直径の平均値である。
【0058】単糸繊度の平均値(Tm)は全単糸の単糸
繊度の平均として得られる値である。例えば、1群のマ
ルチフィラメントが単糸繊度10dtex、単糸数50
本、1群のマルチフィラメントが単糸繊度15det
x、単糸数30本の2群のマルチフィラメントが混在し
ている場合、Tmは次のように計算される。
【0059】Tm=(50×10+30×15)/(5
0+30)=11.9dtex 単糸断面の外接円直径の平均値(Dm)は全単糸の外接
円直径の平均として得られる値である。例えば、1群の
マルチフィラメントが単糸数50本、外接円直径50μ
m、1群のマルチフィラメントが単糸数30本、外接円
直径70μmの2群のマルチフィラメントが混在してい
る場合、Dmは次のように計算される。
【0060】Dm=(50×50+30×70)/(5
0+30)=57.5dtex また2群の異形断面マルチフィラメントが混在すること
で、先に述べたタテ筋の低減効果に加えて、スパンライ
ク性をより向上させるという付加的な効果もある。
【0061】本発明のカーペット用捲縮糸は、各群の単
糸繊度が1.5倍以上異なり、かつ各群の変形度が実質
的に同一である、2群のY型断面マルチフィラメントか
らなることが好ましい。ここでいう変形度が実質的に同
一とは、1群のマルチフィラメントの変形度をMa1
一群のフィラメントの変形度をMa2とした場合、 1/1.15≦(Ma1/Ma2)≦1.15 の関係を満たすことを言う。さらには 1/1.10≦(Ma1/Ma2)≦1.10 の関係を満たすことが好ましい。
【0062】このような構成の捲縮糸は、スパンライク
性が特に高いという特徴がある。
【0063】また本発明のカーペット用捲縮糸は、各群
の単糸繊度が実質的に同一であり、かつ各群の変形度が
1.5倍以上異なる、2群のY型断面マルチフィラメン
トからなることも好ましい。ここでいう単糸繊度が実質
的に同一とは、1群のフィラメントの単糸繊度をT
1、一群のフィラメントの単糸繊度をTb2とした場
合、 1/1.15≦(Ta1/Tb2)≦1.15 の関係を満たすことを言う。さらには 1/1.10≦(Ta1/Tb2)≦1.10 の関係を満たすことが好ましい。
【0064】このような構成の捲縮糸は、タテ筋の低減
効果が特に高いという特徴がある。
【0065】本発明のカーペット用捲縮糸は、1群のY
型断面マルチフィラメントと1群のY型中空断面マルチ
フィラメントからなることも好ましい。
【0066】1群のY型断面マルチフィラメントと1群
のY型中空断面マルチフィラメントからなる構成の捲縮
糸は、Y型中空糸に由来する嵩高性の向上に加えて防汚
性が付与されるという好ましい効果がある。
【0067】本発明のカーペット用捲縮糸は、各群のマ
ルチフィラメントの総繊度が実質的に同一であることが
好ましい。ここでいう総繊度が実質的に同一とは、1群
のフィラメントの総繊度をDa、一群のフィラメントの
総繊度をDbとしたばあい、 1/1.15≦(Da/Db)≦1.15 の関係を満たすことを言う。さらには 1/1.10≦(Da/Db)≦1.10 の関係を満たすことが好ましい。
【0068】各群の総繊度が実質的に同一である場合
は、各群のフィラメントの特徴が平均化されてカーペッ
トの表面に現れ、タテ筋低減効果がより一層効果的に発
現することになるので好ましいのである。
【0069】本発明のカーペット用捲縮糸は、総繊度が
800〜1500dtexであることが好ましく、10
00〜1300dtexであることがさらに好ましい。
【0070】総繊度が800dtexより低い場合に
は、カーペットの目付を保つために必要以上の合糸工程
を要したり、ゲージやステッチを上げる必要が出てくる
ために、タフト時の単繊維切れやパイル抜けなどが多発
し、工程安定性に欠けるものとなり易い。また1500
dtexを越えると、オプションカーペットやラインカ
ーペットとしては逆にゲージやステッチを下げる必要が
あるため粒感が生じてスパンライクな外観を損ね易く、
またタフトが比較的難しくなりタフト条件を工夫する必
要がある。
【0071】本発明のカーペット用捲縮糸の素材である
ポリアミドは、ポリカプラミド(ナイロン6)またはポ
リヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)であるこ
とが好ましい。ポリカプラミドは染色性が良いため染色
しやすくタテ筋が生じにくくて好ましい。一方、ポリヘ
キサメチレンアジパミドは耐摩耗性に特に優れて耐久性
が良いため好ましい。
【0072】なおポリマーは本発明の効果を損なわない
程度に共重合成分を含むコポリマーであってもよい。さ
らには、製糸性改善や最終製品の品質改善のために、共
重合成分を添加すること、また艶消し剤などの粒子を添
加することはは何等差し支えない。具体的な共重合成分
として、ε−カプロアミド、ヘキサメチレンアジパミ
ド、テトラメチレンアジパミド、ヘキサメチレンセバカ
ミド、ヘキサメチレンイソフタラミド、テトラメチレン
テレフタラミド、およびキシリレンフタラミドなどが挙
げられる。艶消し剤としては、酸化チタンが好ましく用
いられる。また、汚染性を改善するために、特開平3−
137221号公報に記載されるようなアルカリ金属塩
を含有するスルホン化した共重合ポリアミドを使用して
もよい。
【0073】顔料により着色したポリマーも使用可能で
ある。顔料としては、有機物および無機物のどらちでも
差し支えないが、一般には、カーボンブラックやベンガ
ラ、フタロシアニン系の顔料が好ましく用いられる。
【0074】さらには原料ポリマー中には、必要に応じ
て本発明の効果を損ねない範囲で、耐候剤、耐熱剤、お
よび酸化防止剤などの添加剤を併用添加してもよい。
【0075】本発明のカーペット用捲縮糸は、捲縮収縮
率を測定した場合、捲縮収縮率が最大となる乾熱温度
(捲縮収縮率ピーク温度)が160℃以上であることが
好ましい。
【0076】捲縮収縮率は次のように求められる。室温
(25〜35℃)、相対湿度50〜75%の雰囲気中に
20時間以上放置されていたパッケージから解舒した捲
縮糸を、Lawson−Hemphill社製のTYT
−Eを用いて下記測定条件にて測定して求める。該測定
機にて得られるCrimp Outが捲縮収縮率であ
る。 (1)インプットロール前の糸条張力 :980μN/dtex(100mg/dtex) (2)ヒーター前の糸条張力 :9.8μN/dtex(1.0mg/dtex) (3)アウトプットロール前の糸条張力 :980μN/dtex(100mg/dtex) (4)テスト速度:20m/分 測定においてはヒーター温度を100℃から上昇させ連
続的に捲縮収縮率を測定して乾熱温度依存性を測定し
た。測定結果より捲縮収縮率が最大値をとる乾熱温度
(捲縮収縮率ピーク温度)を求めた。
【0077】染色時の熱処理によるパイルのへたりは、
皺やタテスジにつながりカーペット表面外観を劣化させ
てスパンライク性を低下させてしまう。しかし該捲縮収
縮率ピーク温度が160℃以上である捲縮糸を用いた場
合は、染色時の熱処理によるパイルのへたりが小さく好
ましい。該捲縮収縮率ピーク温度が160℃以上の場合
は、湿熱処理にて捲縮が最も発現する温度が100℃に
近いため染色によるパイルのへたりが小さいのである。
【0078】捲縮加工条件を特定の条件とすることで、
該捲縮収縮率ピーク温度を160℃以上とすることがで
きる。
【0079】なお特開平10−27834号公報では染
色時のへたりを防止するために、湿熱収縮率(FTA
値)が特定の範囲内にある捲縮糸を提案している。該提
案も染色時のへたりを防止することを目的としている。
しかし湿熱収縮率(FTA値)は捲縮と糸条の収縮を分
離しないパラメータである。このため該提案はパイルの
へたりの改善効果が低い範囲を含んでいる。
【0080】本発明のカットパイルカーペットは、上記
カーペット用捲縮糸をカーペットを構成するパイルに用
いたカットパイルカーペットである。好ましくは、構成
するパイル重量の80%以上、さらに好ましくは90%
以上を上記カーペット用捲縮糸で構成したカットパイル
カーペットである。
【0081】上記カーペット用捲縮糸を80%以上使用
することで、十分な反発弾性、嵩高性、耐久性を有し、
かつソフトタッチな風合いとスパンライクな表面外観を
有するカットパイルカーペットが得られる。パイルであ
る表糸と、この表糸をタフトした基布と、この基布の裏
に貼りつけたバッキング材とから構成されたカーペット
が代表的なカーペット形態である。
【0082】本発明のカーペットは、無撚りのカットパ
イルカーペットで高い効果が得られる。中でも特にスパ
ンライク性が求められる車両用のオプションカーペッ
ト、ラインカーペット用途において特に高い効果が得ら
れる。
【0083】上述のとおり、本発明の捲縮糸に対して撚
糸セットを施しても良い。撚糸の形態としては、片撚り
のみを施してもよいし、2本または3本を合糸して下撚
りと上撚りからなる諸撚りを施しても良い。
【0084】本発明においてカーペットとして総合的に
より高い品質のものを得るために、上記した本発明のカ
ーペット用捲縮糸に、その効果を損ねない範囲で他のフ
ィラメントをパイルの一部として組み合わせて使用する
ことも何等差し支えない。例えばカーペットの摩擦帯電
圧を下げるために、制電性を有する繊維を混繊したりす
ることは差し支えない。
【0085】次に、本発明のカーペット用捲縮糸の代表
的な製造方法について説明する。
【0086】本発明のカーペット用捲縮糸は、基本的に
公知の方法で製造される。すなわち溶融ポリマーを口金
より押し出して紡糸し、引き続き冷却、給油、延伸、捲
縮付与する通常の方法によって製造される。
【0087】本発明で用いる溶融紡糸装置は、エクスト
ルーダー型紡糸機およびプレッシャー型紡糸機のいずれ
も使用可能であるが、製品の均一性および製糸工程にお
ける収率の点から前者が好ましい。特に原着ポリマーを
用いる場合はエクストルーダー型紡糸機が有利である。
【0088】本発明では異形断面用の吐出孔を有する口
金を用いて紡糸される。吐出量、冷却条件、引取り速度
などの紡糸条件を考慮して、目的とする単糸外接円直
径、単糸繊度の糸条を得るべく吐出孔のスリット比など
の形状が選択される。
【0089】2群の異形断面マルチフィラメントが混在
する捲縮糸とする場合は、種々の方法が採用可能であ
る。1枚の紡糸口金に、目的とする異なる2群の異形断
面用の孔を設け、紡糸・冷却時に引き揃えて目的の2群
の異形断面マルチフィラメントを得る方法、それぞれ別
々の口金を用いて、2群の異形断面マルチフィラメント
を別々に吐出させ、巻き取りまでに引き揃えて目的の捲
縮糸を得る方法、一旦別々に巻き取った2群の異形断面
マルチフィラメントを別工程にて引き揃えて、ひとつの
捲縮糸にする方法などが挙げられる。工程の簡易さ、単
糸レベルでの優れた混ざり具合などの点からは、1枚の
口金に、目的とする2群の異形断面用の吐出孔を有する
口金を用いて目的の捲縮糸を得る方法が好ましい。もち
ろんここで、吐出量、冷却条件、引き取り速度などの紡
糸条件を考慮して、断面形状、単糸外接円直径、単糸繊
度など、目的とするフィラメントに合わせて、吐出孔が
設計され、選択されて使用される。
【0090】溶融紡糸された糸条は、冷風により冷却固
化された後に、給油され500〜1500m/分程度で
引き取られる。引き取られた糸条は引き続いて延伸が施
される。延伸に際しては、補助的に延伸点を固定するな
どの目的でスチーム処理装置などを併用してもよい。高
捲縮を付与するためには、ある程度の配向と結晶化が必
要であるので、2〜5倍の延伸を行うことが好ましい。
【0091】延伸糸は加熱された延伸ローラーにて15
0〜220℃に予熱された後に、捲縮付与装置に導かれ
捲縮が付与される。捲縮は通常の加熱流体加工処理によ
り付与すればよく、ジェットノズル、ジェットスタッフ
ァーなど各種の捲縮付与方法が採用されうる。
【0092】捲縮が付与された糸条は次いで特開平5−
321058号公報に記載の冷却装置や、ロータリーフ
ィルタなどによって冷却され捲縮が固定される。
【0093】ここで捲縮収縮率ピーク温度は、捲縮加工
条件によって調整することが可能である。捲縮付与装置
からの糸条のロータリーフィルター等への引き取り速度
が一定の場合、通常は延伸ローラーの予熱ローラー温度
が高いほど捲縮伸長率、捲縮収縮率ピーク温度ともに大
きくなる。
【0094】延伸ローラー温度が一定の場合は、糸条の
ロータリーフィルター等への引き取り速度を上げると相
対的に捲縮が潜在化して捲縮収縮率ピーク温度は上昇す
る傾向にある。糸条の引き取り速度を下げると相対的に
捲縮が顕在化し捲縮収縮率ピーク温度は低下する傾向に
ある。
【0095】冷却され捲縮が固定された糸条は弛みを消
去するためにストレッチが施される。また続いて後工程
の通過性改善などのため、必要に応じて交絡を付与する
ことができる。交絡は公知の方法で付与が可能である。
ただし、あまり多くの交絡を捲縮糸に付与すると、前述
のように捲縮糸の特性を損ね嵩高性を阻害するため、2
0個/m以下にすることが必要である。交絡が施された
糸条は続いてワインダーにてパッケージに巻き取られ
る。
【0096】こうして得られた本発明のカーペット用捲
縮糸には、目的に応じて撚りや熱処理を施すことが可能
だが、いずれも公知の方法を採りうる。
【0097】タフティングは公知の方法で行うことが可
能である。本発明のカーペット用捲縮糸はカットパイル
としてタフトされた時に特に効果を発現するが、カット
パイル、カットアンドループパイルなど種々の形態で使
用できる。本発明のカーペットのパイル高さは、用途に
より適宜設定すればよいが、3mmから20mm、好ま
しくは4mmから10mmの範囲が通常選択される。ま
た本発明のカーペットの目付は、好ましくは300〜8
00g/m2 である。目付をこの範囲とすることでカー
ペットのコストと高級感のバランスをとることができ
る。
【0098】続いて、公知の方法により、染色・バッキ
ングが施される。染色方法は、連続染色、ウィンス染
色、さらにはロープ染色などが、特に制限なく使用可能
である。
【0099】もちろん、原着糸を使用している場合や、
タフト前にチーズ染色を施している場合などには、タフ
ト後の染色は省略することができ、直接バッキングを実
施してもよい。
【0100】この場合に必要に応じシャーリングや毛割
りを実施することは、より好ましい手法として推奨され
る。
【0101】本発明のカーペットには、防汚性を高める
ために、防汚剤を塗布することも好ましい。
【0102】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。
【0103】上述の説明中、および以下に述べる実施例
における各物性値は、具体的には下記の方法で測定した
値である。 [硫酸相対粘度]ポリマー試料を98%硫酸に1重量%
の濃度で溶解し、オストワルド式粘度計を用いて25℃
で測定した。 [総繊度]JIS L 1090により測定した。 [単糸繊度 Dm] (単一断面からなる場合)捲縮糸の総繊度を捲縮糸の単
糸数で除して算出した。 (2群のマルチフィラメントが混在してなる場合)捲縮
糸の総繊度を捲縮糸の全単糸数で除して算出した。別な
方法としては、各群の単糸繊度と単糸数から、発明の実
施の形態に記載の通り、全単糸の平均として単糸繊度を
算出した。
【0104】ここで各群の単糸繊度は次のように求め
た。
【0105】捲縮糸の断面写真を撮影しA3サイズ程度
に拡大コピーした。次にコピー紙に印刷された全単糸を
はさみでカットし、各群の断面タイプ別の全単糸の重量
を電子天秤にて測定した。ある群の全単糸の重量をA、
単糸数をB、捲縮糸の全単糸の重量をD、捲縮糸の総繊
度をCとして、 ある群の単糸繊度=C×A/(D×B) として算出した。なお中空断面についてはコピー紙をカ
ットする際に、当然中空部も切り落とした。 [沸騰水処理後の捲縮伸長率]室温(25〜35℃)、
相対湿度50〜75%の雰囲気中に20時間以上放置さ
れていたパッケージから解舒した捲縮糸を、無荷重状態
で30分間沸騰水で浸漬処理した後、平衡水分率まで乾
燥し、これを沸騰水処理後捲縮糸の試料とする。この試
料糸に表示dtex×0.0176mN(1.8mg/
dtex)の張力を与える初荷重をかけ30秒経過した
後に、試料長50cm(L1)にマーキングをする。次
いで、同試料に表示dtex×0.882mN(90m
g/dtex)の張力を与える定荷重をかけて30秒経
過後に、伸びた試料長(L2)を測定する。次いで、下
記式により、捲縮伸長率(%)を求める。
【0106】 捲縮伸長率(%)=[(L2−L1)/L1]×100 なお、沸騰水処理前に糸条を放置する際の雰囲気条件
は、実際のカーペット製造工程において使用される時の
捲縮糸状態、つまり吸湿により捲縮特性が平衡状態に達
した状態とするためのものであり、平衡状態に達するの
に時間がかかり過ぎず、かつ結露を生じないという点か
ら選定したものである。 [単糸断面の外接円直径 Dm] (単一断面からなる場合)基準スケールと捲縮糸の断面
写真を同一倍率で撮影し、単糸の外接円の直径を算出し
た。単糸5本の測定の平均値として算出した。 (2群のマルチフィラメントが混在してなる場合)基準
スケールと捲縮糸の断面写真を同一倍率で撮影し、各群
ごとに単糸の外接円の直径を算出した。各群とも単糸5
本の測定の平均値として算出した。こうして求めた各群
の外接円直径と単糸数から、発明の実施の形態に記載の
通り、全単糸の平均として外接円直径を算出した。 [変形度]Y型断面のフィラメントについて断面写真を
拡大し、単糸の外接円と内接円の各直径の比を変形度と
した。単糸5本の測定の平均値として算出した。 [交絡数]目視にて1m当たりの交絡数を測定した。捲
縮糸の長手方向に5回測定しその平均値として算出し
た。 [捲縮収縮率]室温(25〜35℃)、相対湿度50〜
75%の雰囲気中に20時間以上放置されていたパッケ
ージから解除した糸を、Lawson−Hemphil
l社製のTYT−Eを用いて下記測定条件にて測定して
求めた。該測定機にて得られるCrimp Outが捲
縮収縮率に相当する。 (1)インプットロール前の糸条張力 :980μN/dtex(100mg/dtex) (2)ヒーター前の糸条張力 :9.8μN/dtex(1.0mg/dtex) (3)アウトプットロール前の糸条張力 :980μN/dtex(100mg/dtex) (4)テスト速度:20m/分 測定においてはヒーター温度を、0.1℃/分から5℃
/分の昇温速度で100℃から上昇させて連続的に捲縮
収縮率を測定してヒーター温度依存性を測定した。測定
結果より捲縮収縮率が最大値をとる乾熱温度(捲縮収縮
率ピーク温度)を求めた。 [カーペットの反発弾性]カーペットを用意し、手で押
したり、乗って踏んでみたりして反発性を相対的に、評
価の高い順に◎、○、△、×の4段階評価した。△以上
が合格である。 [カーペットの嵩高性]カーペットを晴れた日に屋外の
直射日光があたる場所に静置し、カーペットの地透け感
から嵩高性を、評価の高い順に◎、○、△、×の4段階
評価した。△以上が合格である。 [カーペットの耐久性]カーペットを一般的な事務所の
入口に設置し、1ヶ月使用後にそのへたり具合からカー
ペットの耐久性を、評価の高い順に◎、○、△、×の4
段階評価した。△以上が合格である。 [カーペットの風合い]カーペットを用意し、手で触れ
たりしてソフト感のある良好な風合いかどうかを相対的
に、評価の高い順に◎、○、△、×の4段階評価した。
△以上が合格である。 [カーペットのスパンライク性]カーペットを十分明る
い室内に静置し、目視にてスパン糸のような粒感のない
深みのある表面外観であるかどうかを評価の高い順に
◎、○、△、×の4段階評価した。△以上が合格であ
る。 [カーペットのタテ筋]カーペットを十分明るい室内に
静置し、約3m離れた位置からパイルのタフト方向に沿
ってカーペットの表面を観察し、タテ筋の発生状況を、
評価の高い順に◎、○、△、×の4段階評価した。△以
上が合格である。
【0107】 ◎・・・タテ筋はなく、表面が均一できれい。
【0108】○・・・表面の均一感は◎のレベルよりは
やや劣るがタテ筋はない。
【0109】△・・・明確なタテ筋はないが、ややパイ
ル毎にむらがある。
【0110】 ×・・・筋っぽく見える。、またはタテ筋あり。 [カーペットの総合評価]カーペットとしての適合性を
相対的に下記のように総合評価した。
【0111】 ◎…適合性きわめて良好 ○…適合性良好 △…適合性やや不良 ×…適合性不良。
【0112】[実施例1]硫酸相対粘度2.8のナイロ
ン6のチップを、エクストルーダータイプの紡糸機によ
り溶融紡糸しY型断面フィラメントを同時に得た。
【0113】ここで変形度が4.5、単糸数が96本と
なるように、口金の吐出孔の形状、深さ、孔数などを設
計した。
【0114】紡出された糸条は冷却固化後直ちに引き揃
えられ、給油された後に引き取られた。引き取られた糸
条は続いて延伸が施され、引き続き巻き取ることなく公
知のジェットスタッファーノズルを用いて捲縮が付与さ
れた。
【0115】捲縮が付与された糸条はジェットスタッフ
ァーノズル内で円筒形のプラグ状に圧縮され、ロータリ
ーフィルターにて引き取られた。ここで捲縮ノズル前の
延伸ローラーの予熱温度を180℃、ロータリーフィル
ターの引き取り速度を40m/分とした。
【0116】続いてストレッチが施された後に交絡付与
装置にて交絡が付与され、最終的にワインダーにて巻き
取られた。
【0117】こうして総繊度1100dtex、96ホ
ール、単糸繊度11.5dtex、単糸断面の外接円直
径71μm、捲縮伸長率18%、捲縮収縮率ピーク温度
170℃、交絡数10個/mの捲縮糸を得た。
【0118】次いで通常のレベルカットにて、1/10
ゲージ、パイルハイ5mmにて、目付が400g/m2
となるようにステッチを調節してタフトした。
【0119】その後、常法に従い染色、バッキングを実
施した。
【0120】こうして得られたカーペットの「反発弾
性」、「嵩高性」、「耐久性」、「風合い」、「スパン
ライク性」、「タテ筋」の評価結果を表1に示す。
【0121】[実施例2]2群のフィラメントともに変
形度が4.5、単糸数が48本となり、2群間の単糸繊
度の比が2:1になるように、2群の吐出孔の形状、深
さ、孔数などを設計した、2種のY型断面用の吐出孔を
有する1枚の口金を用いた以外は実施例1と同様にし
た。
【0122】こうして1群のフィラメントが繊度800
dtex、1群のフィラメントが繊度400dtexで
あり、総繊度1200dtex、96ホール、単糸繊度
12.5dtex、単糸断面の外接円直径73μm、捲
縮伸長率18%、捲縮収縮率ピーク温度170℃、交絡
数10個/mの捲縮糸を得た。
【0123】次いで実施例1と同様にしてカーペットを
得た。カーペットの評価結果を表1に示す。
【0124】[実施例3]1群のフィラメントの変形度
が4.5、単糸数が32本、もう1群のフィラメントの
変形度が4.5、単糸数が64本となり、前者の群と後
者の群の単糸繊度の比が2:1になるように、2群の吐
出孔の形状、深さ、孔数などを設計した口金を使用し、
吐出量を調節した。それ以外は実施例2と同様にして、
2群のフィラメントとも繊度550dtexであり、総
繊度1100dtex、96ホール、単糸繊度11.5
dtex、単糸断面の外接円直径70μm、捲縮伸長率
18%、捲縮収縮率ピーク温度170℃、交絡数10個
/mの捲縮糸を得た。
【0125】次いで実施例1と同様にしてカーペットを
得た。カーペットの評価結果を表1に示す。
【0126】[実施例4]1群のフィラメントの変形度
が3.2、単糸数が48本、もう1群のフィラメントの
変形度が4.8、単糸数が48本となり、前者の群と後
者の群の単糸繊度の比が1:1になるように、2群の吐
出孔の形状、深さ、孔数などを設計した口金を使用し
た。それ以外は実施例3と同様にして、2群のフィラメ
ントとも繊度550dtexであり、総繊度1100d
tex、96ホール、単糸繊度11.5dtex、単糸
断面の外接円直径67μm、捲縮伸長率18%、捲縮収
縮率ピーク温度170℃、交絡数10個/mの捲縮糸を
得た。
【0127】次いで実施例1と同様にしてカーペットを
得た。カーペットの評価結果を表1に示す。
【0128】[実施例5]1群のフィラメントがY型断
面で変形度が4.5、単糸数が32本、もう1群のフィ
ラメントがY型中空断面で変形度が2.6、中空率10
%、単糸数が64本となり、前者の群と後者の群の単糸
繊度の比が2:1になるように、2群の吐出孔の形状、
深さ、孔数などを設計した口金を使用した。それ以外は
実施例3と同様にして、2群のフィラメントとも繊度5
50dtexであり、総繊度1100dtex、96ホ
ール、単糸繊度11.5dtex、単糸断面の外接円直
径66μm、捲縮伸長率18%、捲縮収縮率ピーク温度
170℃、交絡数10個/mの捲縮糸を得た。
【0129】次いで実施例1と同様にしてカーペットを
得た。カーペットの評価結果を表1に示す。
【0130】[実施例6]延伸ローラーの予熱温度を1
85℃、ロータリーフィルターの引き取り速度を35m
/分に変更した以外は実施例3と同様にして、総繊度1
100dtex、96ホール、単糸繊度11.5dte
x、単糸断面の外接円直径70μm、捲縮伸長率24
%、捲縮収縮率ピーク温度170℃、交絡数10個/m
の捲縮糸を得た。
【0131】次いで実施例1と同様にしてカーペットを
得た。カーペットの評価結果を表1に示す。
【0132】[実施例7]延伸ローラーの予熱温度を1
90℃、ロータリーフィルターの引き取り速度を35m
/分に変更した以外は実施例3と同様にして、総繊度1
100dtex、96ホール、単糸繊度11.5dte
x、単糸断面の外接円直径70μm、捲縮伸長率26
%、捲縮収縮率ピーク温度190℃、交絡数10個/m
の捲縮糸を得た。
【0133】次いで実施例1と同様にしてカーペットを
得た。カーペットの評価結果を表1に示す。
【0134】[実施例8]延伸ローラーの予熱温度を1
78℃、ロータリーフィルターの引き取り速度を35m
/分に変更した以外は実施例3と同様にして、総繊度1
100dtex、96ホール、単糸繊度11.5dte
x、単糸断面の外接円直径70μm、捲縮伸長率16
%、捲縮収縮率ピーク温度140℃、交絡数10個/m
の捲縮糸を得た。
【0135】次いで実施例1と同様にしてカーペットを
得た。カーペットの評価結果を表1に示す。
【0136】[実施例9]硫酸相対粘度2.8のナイロ
ン66チップを用い、紡糸条件、および延伸ローラーの
予熱温度を200℃、ロータリーフィルターの引き取り
速度を35m/分に変更した以外は実施例3と同様にし
て、総繊度1100dtex、96ホール、単糸繊度1
1.5dtex、単糸断面の外接円直径70μm、捲縮
伸長率18%、捲縮収縮率ピーク温度220℃、交絡数
10個/mの捲縮糸を得た。
【0137】次いで実施例1と同様にしてカーペットを
得た。カーペットの評価結果を表1に示す。
【0138】
【表1】
【0139】表1の結果から明らかなように、本発明の
実施例においては、いずれもカーペットの反発弾性、嵩
高性、耐久性、風合い、スパンライク性ともに満足でき
るレベルであった。また2群の異形断面マルチフィラメ
ントが混在した捲縮糸である実施例2〜9ではいずれも
顕著なタテ筋軽減効果が認められた。
【0140】[比較例1〜6]実施例1において、口金
の吐出孔形状を変更することで、Y型断面糸の単糸断面
の変形度が3.6、外接円直径58μmになるようにし
た場合を比較例1とした。
【0141】実施例3において、口金の吐出孔径状を変
更することで、2群の変形度をともに3.0とすること
で単糸断面の外接円直径が57μmとなるようにした場
合を比較例2とした。
【0142】実施例3において、口金の吐出孔径状を変
更することで、2群の変形度をともに6.5とすること
で単糸断面の外接円直径が84μmとなるようにした場
合を比較例3とした。
【0143】実施例3において、口金の吐出孔数を変更
することで、1群の単糸数を20本、もう1群の単糸数
を40本とすることで単糸繊度が18.3dtexとな
るようにした場合を比較例4とした。
【0144】実施例3において、口金の吐出孔数を変更
することで、1群の単糸数を90本、もう1群の単糸数
を180本とすることで単糸繊度が4.1dtexとな
るようにした場合を比較例5とした。
【0145】実施例3において延伸ローラーの予熱温度
を175℃、ロータリーフィルターの引き取り速度を4
5m/分に変更することで捲縮伸長率が13%になるよ
うにした場合を比較例6とした。
【0146】実施例3において交絡条件を変更すること
で交絡数を23個/mとなるようにした場合を比較例7
とした。
【0147】次いでそれぞれ得られた捲縮糸から、実施
例1と同様にしてカーペットを得た。比較例1〜7のカ
ーペットの評価結果を表2に示す。
【0148】
【表2】
【0149】表2から明らかなように、実施例1〜9に
比して、比較例1においては単糸断面の外接円直径が小
さいため、嵩高性、スパンライク性が不十分となった。
比較例2においては単糸断面の外接円直径が小さいた
め、スパンライク性が不十分となった。比較例3におい
ては単糸断面の外接円直径が大きいため、耐久性が不十
分となった。比較例4においては単糸繊度が大きいた
め、ソフトタッチの風合いとスパンライク性が不十分と
なった。比較例5においては単糸繊度が小さいため、耐
久性が不十分となった。比較例6においては捲縮伸長率
が小さいため、スパンライク性が不十分となった。比較
例7においては交絡数が多いためにカーペットの地透け
があり嵩高性が不十分となった。
【0150】
【発明の効果】本発明によれば、十分な反発弾性、嵩高
性、耐久性を有し、かつソフトタッチな風合いとスパン
ライクな表面外観を有するカットパイルカーペット、特
にオプションカーペット、ラインカーペットを提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この図は、本発明の捲縮糸を構成するY型断面
フィラメントの一例を示す断面図である。
【図2】この図は、本発明の捲縮糸を構成する十型断面
フィラメントの一例を示す断面図である。
【図3】この図は、本発明の捲縮糸を構成するH型断面
フィラメントの一例を示す断面図である。
【図4】この図は、本発明の捲縮糸を構成するX型断面
フィラメントの一例を示す断面図である。
【図5】この図は、本発明の捲縮糸を構成するT型断面
フィラメントの一例を示す断面図である。
【図6】この図は、本発明の捲縮糸を構成する#型断面
フィラメントの一例を示す断面図である。
【図7】この図は、Y型断面単糸の変形度の測定に用い
る内接円、外接円を例示した模式図である。
【図8】この図は、本発明の捲縮糸を構成するY型断面
フィラメントの一例としてのY型中空断面を示す断面図
である。
【符号の説明】
1:内接円 2:外接円
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B120 AA15 AA35 AA42 BA30 EB16 4L036 MA06 MA19 MA20 MA24 MA33 MA39 MA40 PA33 PA36 PA41 PA46 UA12

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異形断面フィラメントからなるポリアミ
    ド捲縮糸であり、単糸繊度(Tm)が5〜15dte
    x、沸騰水処理後の捲縮伸長率が15〜30%、交絡数
    が20個/m以下、単糸断面の外接円直径(Dm)が下
    記式(1)の範囲にあることを特徴とするカーペット用
    捲縮糸。 19(Tm)1/2≦Dm≦24(Tm)1/2 ・・・(1) 式中、単糸断面の外接円直径(Dm)の単位:μm
  2. 【請求項2】 該異形断面フィラメントが、Y型断面の
    単糸断面を有するものであることを特徴とする請求項1
    に記載のカーペット用捲縮糸。
  3. 【請求項3】 前記異形断面フィラメントからなるポリ
    アミド捲縮糸が、互いに異なる断面を有する2群の異形
    断面マルチフィラメントが混在してなることを特徴とす
    る請求項1または2に記載のカーペット用捲縮糸。
  4. 【請求項4】 該捲縮糸が、各群の単糸繊度が1.5倍
    以上異なり、かつ各群の変形度が実質的に同一である、
    2群のY型断面マルチフィラメントからなることを特徴
    とする請求項3に記載のカーペット用捲縮糸。
  5. 【請求項5】 該捲縮糸が、各群の単糸繊度が実質的に
    同一であり、かつ各群の変形度が1.5倍以上異なる、
    2群のY型断面マルチフィラメントからなることを特徴
    とする請求項3に記載のカーペット用捲縮糸。
  6. 【請求項6】 該捲縮糸が、1群のY型断面マルチフィ
    ラメントと1群のY型中空断面マルチフィラメントから
    なることを特徴とする請求項3に記載のカーペット用捲
    縮糸。
  7. 【請求項7】 各群のマルチフィラメントの総繊度が実
    質的に同一であることを特徴とする請求項3〜6のいず
    れかに記載のカーペット用捲縮糸。
  8. 【請求項8】 該捲縮糸の総繊度が800〜1500d
    texであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
    に記載のカーペット用捲縮糸。
  9. 【請求項9】 該捲縮糸が、ポリカプラミドまたはポリ
    ヘキサメチレンアジパミドを素材とするものであること
    を特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のカーペッ
    ト用捲縮糸。
  10. 【請求項10】 捲縮収縮率を測定したときの捲縮収縮
    率が最大となる乾熱温度(捲縮収縮率ピーク温度)が1
    60℃以上であることを特徴とする請求項1〜9のいず
    れかに記載のカーペット用捲縮糸。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載のカ
    ーペット用捲縮糸を、カーペットを構成するパイルに用
    いたことを特徴とするカットパイルカーペット。
  12. 【請求項12】 該パイルが、そのパイル重量の少なく
    とも80%を該カーペット用捲縮糸で構成したことを特
    徴とする請求項11に記載のカットパイルカーペット。
  13. 【請求項13】 該パイルが、無撚りであることを特徴
    とする請求項11または12のいずれかに記載のカット
    パイルカーペット。
  14. 【請求項14】 該カーペットが、オプションカーペッ
    トまたはラインカーペットであることを特徴とする請求
    項11〜13のいずれかに記載のカットパイルカーペッ
    ト。
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