JP5403983B2 - パイル布帛およびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、パイル糸として潜在捲縮糸(単糸繊度は2.5dtex以下、好ましくは0.1〜1.3dtex)、好ましくは熱水収縮率が10%以上の潜在捲縮扁平繊維糸を用いた布帛を熱処理することにより、捲縮を発現させてなるパイル布帛が開示されている。パイル糸がランダムに捲縮を発現することにより、パイル糸が同一方向に倒伏することなく、フィンガーマークの発生がないと説明されている。
本発明はまた、地組織部と、捲縮伸長率が80〜150%である極細繊維からなるパイル部とからなるパイル布帛の製造方法であって、パイル部に、無荷重で190℃1分間熱処理後の捲縮率が5〜40%であり、極細化処理により繊度が0.07〜0.5dtexである極細繊維を発生可能な複合繊維を用いて布帛を形成した後、熱処理により捲縮を発現させる工程、および、極細化処理により極細繊維を発生させる工程を順序を問わずに含んでなることを特徴とする、パイル布帛の製造方法である。
本発明においてパイル布帛とは、地組織部と、その表面に立毛状に伸び出る複数のパイル(繊維1本1本を指す)からなるパイル部、とからなる布帛をいう。地組織部の形態としては、編物、織物、不織布などの布帛であることができる。また、パイル部は、編成や織成によって形成されたものであっても、起毛処理によって形成されたものであっても構わない。編成や織成によって形成されたものとしては、ダブルラッセル編物やモケット織物のパイル糸(繊維束)をセンターカットしたもの;ポールトリコット編物;有線モケット織物などを挙げることができ、起毛処理によって形成されたものとしては、浮きの長い編組織または織組織にて編成または織成した織編物の浮きの長い組織部の糸条を起毛したものや、不織布を起毛したものなどを挙げることができる。なかでも、パイルが所望の捲縮特性(後述する)を発現し易いという理由により、編成や織成によって形成されたものであることが好ましい。したがって、地組織部の形態は編物または織物であることが好ましい。
捲縮伸長率(%)={(L2−L1)/L1}×100
一方、地組織部を構成する繊維も特に限定されるものでなく、その素材としては、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維など、従来公知の繊維を挙げることができ、これらが2種以上組み合わされていてもよい。なかでも、耐熱性や耐光性などの点から、合成繊維が好ましく、ポリエステル繊維がより好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。さらに、地組織部を構成する繊維は、後述するように、潜在捲縮性または熱収縮性を有する繊維の、捲縮または収縮が発現している繊維であることが好ましい。
まず、パイル部に、無荷重で190℃1分間熱処理後の捲縮率が5〜40%であり、極細化処理により繊度が0.07〜0.5dtexである極細繊維を発生可能な複合繊維を用いて布帛を形成する。パイル部の形成に潜在捲縮性を有する極細繊維発生型複合繊維を用いることにより、後工程により、所望の捲縮伸長率と繊度を有する極細繊維からなるパイル部を容易に形成することができる。パイル部の形成に捲縮が顕在化されている極細繊維を用いると、編成や織成時に加わる張力により捲縮が解かれ、所望の捲縮伸長率が得られない虞がある。
なお、延伸加工と同時に仮撚加工を施すことも可能である。本発明において潜在捲縮性繊維とは、熱処理により捲縮を発現する繊維をいい、その限りにおいて、熱処理前よりわずかの捲縮を発現していてもよい。ただし、通常の仮撚加工により捲縮が顕在化されている繊維とは区別される。
捲縮率(%)={(L3−L4)/L3}×100
一方、地組織部の形態は、編物、織物、不織布などの布帛であることができるが、編物または織物であることが好ましい。
地組織部を構成する繊維の素材も特に限定されないが、合成繊維が好ましく、ポリエステル繊維がより好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。さらに、地組織部を構成する繊維は、潜在捲縮性または熱収縮性を有していることが好ましい。かかる繊維を用いて地組織部を形成することにより、後工程の熱処理の際に、繊維が捲縮または収縮して地組織部の密度が高くなることで、立毛性をより一層向上させることができる。また、糸条の形態は特に限定されないが、風合いの観点から、マルチフィラメント糸を用いることが好ましい。
また、熱処理時間は、30秒〜3分間であることが好ましく、1〜2分間であることがより好ましい。時間が30秒未満であると、捲縮が十分に発現せず、所望の捲縮伸長率を有する極細繊維を得ることができない虞がある。時間が3分間を超えると、繊維が粗硬化し、触感が損なわれる虞がある。
得られたパイル布帛の評価は、以下の方法に従った。
官能評価を行い、下記の基準に従って判定した。
○:滑らかさに優れる。
△:滑らかさにやや劣る。
×:滑らかさに劣る。
官能評価を行い、下記の基準に従って判定した。
○:パイルの毛倒れがない。
△:パイルの毛倒れがやや見られる。
×:パイルの毛倒れが見られる。
パイル布帛を長手方向が上下に、幅方向が左右になるように水平に置く。指で幅方向に対して60度の角度で上から下へ続いて下から上へ、パイル布帛の表面を10cmほどなぞる。次に、幅方向に対して45度の角度で同様になぞり、最後に30度の角度で同様になぞる。それぞれの角度におけるフィンガーマークを確認し、下記の基準に従って判定した。
5級:ほとんどフィンガーマークが確認できない。
4級:特定の角度でしかフィンガーマークが確認できない。
3級:特定の角度ではフィンガーマークが十分に確認できない
2級:いずれの角度においてもまずまずフィンガーマークが確認できる
1級:いずれの角度においてもはっきりとフィンガーマークが確認できる。
28ゲージで6枚の筬を有するダブルラッセル編機を使用して、筬L3、L4にパイル糸として潜在捲縮性(無荷重で190℃1分間熱処理後の捲縮率が22%)を有するアルカリ溶解分割型複合繊維(アルカリ難溶解成分:ポリエチレンテレフタレート、アルカリ易溶解成分:共重合ポリエチレンテレフタレート(カチオン染料可染型ポリエチレンテレフタレート、以下CDPと称す))からなる84dtex/25f(単糸繊度3.36dtex)のマルチフィラメント糸(KBセーレン株式会社製)を1IN1OUTで用い、筬L1、L6、L2、L5に地糸として潜在捲縮性を有するサイドバイサイド型複合繊維(2種ともにポリエチレンテレフタレート)からなる110dtex/25fのマルチフィラメント糸をフルセットで用いて、筬L1、L6は1−0/1−2、筬L2、L5は1−2/1−0、筬L3、L4は1−2/1−0、1−0/1−2の組織で、釜間を2.8m/mとし、編機上の密度が59コース/インチのダブルラッセル編地を編成した。このダブルラッセル編地をセンターカットして、パイル部を形成した。
筬L1、L6に地糸としてポリエチレンテレフタレートからなる84dtex/36fのマルチフィラメントウーリー加工糸を用いてダブルラッセル編地を編成した以外は、実施例1と同様にして本発明のパイル布帛を得た。
28ゲージで3枚の筬を有するトリコット編機を使用して、筬L3にパイル糸として潜在捲縮性(無荷重で190℃1分間熱処理後の捲縮率が22%)を有するアルカリ溶解分割型複合繊維(アルカリ難溶解成分:ポリエチレンテレフタレート、アルカリ易溶解成分:CDP)からなる84dtex/25f(単糸繊度3.36dtex)のマルチフィラメント糸(KBセーレン株式会社製)をフルセットで用い、筬L1、L2に地糸として潜在捲縮性を有するサイドバイサイド型複合繊維(2種ともにポリエチレンテレフタレート)からなる110dtex/25fのマルチフィラメント糸をフルセットで用いて、筬L1は2−3/1−0、筬L2は1−0/1−2、筬L3は1−0/4−5の組織で、編機上の密度が78コース/インチのトリコット編地を編成した。このトリコット編地を針布起毛機によりフルカット起毛して、パイル部を形成した。
70羽/インチの2重ビロード織機を使用して、パイル糸として潜在捲縮性(無荷重で190℃1分間熱処理後の捲縮率が22%)を有するアルカリ溶解分割型複合繊維(アルカリ難溶解成分:ポリエチレンテレフタレート、アルカリ易溶解成分:CDP)からなる84dtex/25f(単糸繊度3.36dtex)のマルチフィラメント糸(KBセーレン株式会社製)を用い、経糸および緯糸として潜在捲縮性を有するサイドバイサイド型複合繊維(2種ともにポリエチレンテレフタレート)からなる110dtex/25fのマルチフィラメント糸を用いて、パイル長が1.9mm、緯糸密度が80本/インチの規格で、モケット織布を製織した。このモケット織布をセンターカットして、パイル部を形成した。
次いで、モケット織布の裏面に、アクリル樹脂水溶液(30重量%)を、ナイフコーターにて塗布量が80g/m2(固形分換算)となるように塗布した後、ヒートセッターにより160℃で4分間熱処理して乾燥・セットし(仕上げセット)、本発明のパイル布帛を得た。
熱処理により捲縮を発現させる工程と、アルカリ処理により極細繊維を発生させる工程の順序を入れ替えた(すなわち、アルカリ処理により極細繊維を発生させた後、熱処理により捲縮を発現させた)以外は、実施例1と同様にして本発明のパイル布帛を得た。
筬L3、L4にパイル糸として潜在捲縮性(無荷重で190℃1分間熱処理後の捲縮率が15%)を有するポリエチレンテレフタレートからなる84dtex/72fのマルチフィラメント糸(帝人ファイバー株式会社製)を用いてダブルラッセル編地を編成し、さらにアルカリ処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてパイル布帛を得た。
筬L3、L4にパイル糸として潜在捲縮性(無荷重で190℃1分間熱処理後の捲縮率が4%)を有するポリエチレンテレフタレートからなる84dtex/144fのマルチフィラメント糸(東レ株式会社製)を用いてダブルラッセル編地を編成し、さらにアルカリ処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてパイル布帛を得た。
Claims (2)
- 地組織部とパイル部とからなるパイル布帛であって、パイル部が、極細繊維発生型複合繊維から形成され、捲縮伸長率が80〜150%であり、繊度が0.07〜0.5dtexである極細繊維からなることを特徴とするパイル布帛。
- 地組織部と、捲縮伸長率が80〜150%である極細繊維からなるパイル部とからなるパイル布帛の製造方法であって、パイル部に、無荷重で190℃1分間熱処理後の捲縮率が5〜40%であり、極細化処理により繊度が0.07〜0.5dtexである極細繊維を発生可能な複合繊維を用いて布帛を形成した後、熱処理により捲縮を発現させる工程、および、極細化処理により極細繊維を発生させる工程を順序を問わずに含んでなることを特徴とする、パイル布帛の製造方法。
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JP2008253626A JP5403983B2 (ja) | 2008-09-30 | 2008-09-30 | パイル布帛およびその製造方法 |
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