JP2008050722A - 立毛布帛およびカーシート部材 - Google Patents

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宏和 林
Manabu Toyao
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Abstract

【課題】熱処理を施すことにより立毛高さが短く、かつ立毛部表面の良好な外観品位を得ることが可能な立毛布帛、および熱処理が施され良好な外観品位を有する立毛布帛、および該立毛布帛を用いてなるカーシート部材を提供する。
【解決手段】地組織部と、潜在捲縮糸を用いた立毛糸からなる立毛部とを有する立毛布帛を織編成した後、該立毛布帛に熱処理を施すことにより立毛糸の捲縮を発現させて、該立毛布帛を用いてカーシート部材を得る。
【選択図】図3

Description

本発明は、熱処理を施すことにより立毛高さが短く、かつ立毛部表面の良好な外観品位を得ることが可能な立毛布帛、および該立毛布帛を用いてなるカーシート部材に関する。
従来、立毛高さが小さい立毛布帛を製造する方法として、地組織部と立毛部とを有する立毛布帛を織編成した後、前記立毛部をシャーリングし、次いで該立毛布帛に熱処理を施すことにより立毛糸を熱収縮させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、かかる方法で得られた立毛布帛において、立毛糸が部分的に凝集し、または立毛糸が同一方向に倒伏することにより立毛部表面の外観品位が損なわれるという問題があった。
他方、扁平断面形状の立毛糸を有する立毛布帛は特許文献2により提案されている。
特開2005−299018号公報 特開2006−45731号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、熱処理を施すことにより立毛高さが短く、かつ立毛部表面の良好な外観品位を得ることが可能な立毛布帛、および熱処理が施され良好な外観品位を有する立毛布帛、および該立毛布帛を用いてなるカーシート部材を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、地組織部と立毛部とを有する立毛布帛において、立毛糸として潜在捲縮糸を用いると、立毛糸が捲縮を発現させながら熱収縮することにより、立毛糸同士が分散し立毛部表面の良好な外観品位が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「ポリエステル繊維糸条からなり編織組織を有する地組織部と、前記地組織部に編み込まれ、または織り込まれた立毛糸からなる立毛部とを有する立毛布帛であって、前記の立毛糸が潜在捲縮糸であることを特徴とする立毛布帛。」が提供される。
ただし、潜在捲縮糸とは、糸条に無荷重で温度150℃、1分間の乾熱熱処理を施した際に捲縮を発現する糸条である。
が好ましい。
また、前記の立毛糸が、2種の繊維形成性熱可塑性ポリマーで形成されたサイドバイサイド型または偏心芯鞘型コンジュゲート糸であることが好ましい。その際、2種の繊維形成性熱可塑性ポリマーがともにポリエステルであり、その固有粘度差が互いに0.1〜0.5の範囲内であることが好ましい。
本発明の立毛布帛において、立毛糸の単糸繊度が、熱処理前において2.5dtex以下であることが好ましい。また、前記立毛糸が無撚であることが好ましい。
また、本発明によれば、前記の その際、前記の立毛糸が、熱水収縮率が10%以上の扁平糸であることが好ましい。特に、前記の扁平糸が2個以上のくびれ部を有する断面扁平率2〜6の扁平断面を有することが好ましい。その際、前記の扁平糸の扁平断面において、その幅の最大値(C1)の、最小値(C2)に対する比(C1/C2)が1.05〜4.00の範囲内であることが好ましい。また、かかる扁平糸が共重合ポリエステル繊維からなること立毛布帛に熱処理を施すことにより、潜在捲縮糸が捲縮を発現してなる立毛布帛が提供される。
その際、前記の熱処理前に立毛部がシャーリングされていることが好ましい。また、立毛糸の立毛高さが0.2〜1.5mmの範囲内であることが好ましい。また、立毛部の立毛糸密度が10000〜500000本/cmの範囲内であることが好ましい。
また、本発明によれば、前記の立毛布帛を用いてなるカーシート部材が提供される。
本発明によれば、熱処理を施すことにより立毛高さが短く、かつ立毛部表面の良好な外観品位を得ることが可能な立毛布帛、および熱処理が施され良好な外観品位を有する立毛布帛、および該立毛布帛を用いてなるカーシート部材が得られる。
本発明の立毛布帛は、ポリエステル繊維糸条からなり編織組織を有する地組織部と、前記地組織部に編み込まれ、または織り込まれた立毛糸からなる立毛部とを有する。
ここで、前記の地組織部用ポリエステル繊維糸条としては通常のポリエステル繊維糸条でよい。
例えば、ジカルボン酸成分とジグリコール成分とから製造される通常のポリエステルからなるポリエステル繊維糸条でよい。ジカルボン酸成分としては、主としてテレフタル酸が用いられることが好ましく、ジグリコール成分としては主としてエチレングリコール、トリメチレングリコール及びテトラメチレングリコールから選ばれた1種以上のアルキレングリコールを用いることが好ましい。また、ポリエステル樹脂には、前記ジカルボン酸成分及びグリコール成分の他に第3成分を含んでいてもよい。第3成分としては、カチオン染料可染性アニオン成分、例えば、ナトリウムスルホイソフタル酸;テレフタル酸以外のジカルボン酸、例えばイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸;及びアルキレングリコール以外のグリコール化合物、例えばジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールスルフォンの1種以上を用いることができる。また、必要に応じて、前記の艶消し剤以外に、微細孔形成剤(有機スルホン酸金属塩)、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤(三酸化二アンチモン)、蛍光増白剤、着色顔料、帯電防止剤(スルホン酸金属塩)、吸湿剤(ポリオキシアルキレングリコール)、抗菌剤、その他の無機粒子の1種以上を含有させてもよい。
かかるポリエステル繊維糸条の単糸繊維繊度および総繊度は、布帛の風合いを損なわない上で、単糸繊維繊度0.5〜5.0dtex、総繊度30〜300dtexであることが好ましい。また、単糸繊維の断面形状には制限はなく、通常の丸型断面のほかに三角、扁平、くびれ付扁平、十字形、六様形、あるいは中空形の断面形状であってもよい。さらに、かかるポリエステル繊維糸条は、仮撚捲縮加工糸や2種以上の構成糸条を空気混繊加工や複合仮撚加工させた複合糸、さらには芯部に弾性糸、鞘部に非弾性糸が位置するカバリング糸であってもよい。
一方、立毛部用糸条としては潜在捲縮糸であることが肝要である。ここで、本発明でいう潜在捲縮糸とは、糸条に無荷重で温度150℃、1分間の乾熱熱処理を施した際に捲縮を発現する糸条である。かかる潜在捲縮糸としては、熱水収縮率が10%以上(好ましくは20〜40%)の扁平糸が好適に例示される。かかる扁平糸は、通常のジカルボン酸成分及びアルキレングリコール成分に加えて、第3成分としてイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などのジカルボン酸類、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類、ビスフェノールA及びビスフェノールスルフォンなどからなる群から選ばれた1種以上を共重合させた共重合ポリエステル樹脂を用いて、加熱された扁平断面形状を有する溶融紡糸孔を通して通常の方法により紡糸、冷却風による冷却固化、延伸したものが好ましい。扁平断面形状を有する溶融紡糸孔を通して溶融紡糸された糸条が冷却風により冷却固化される際、通常、扁平断面形状内において冷却風により不均一に冷却固化されるので熱収縮率差を生じる。このため、かかる糸条を高収縮率で収縮させると捲縮が発現する。
前記の扁平糸として、例えば、図1に示すように2個以上(好ましくは3〜5個)のくびれ部を有する断面扁平率2〜6(好ましくは3〜5)の扁平断面を有することが好ましい。また、その幅の最大値(C1)の、最小値(C2)に対する比(C1/C2)が1.05〜4.00の範囲内であることが好ましい。なお、図1に示されている断面1において、3個のくびれ部が長手中心線に関して対称に形成されている。このようなくびれを有する扁平断面を有する扁平糸を用いることにより、本発明の製造方法で得られる立毛布帛において立毛部がソフトな風合いを呈することとなり好ましい。なお、このようなくびれを有する扁平断面を有する扁平糸を得るには、特開昭56−107044号公報第5ページ第2図Cなどのような吐出孔を有する口金を使用するとよい。
また、前記潜在捲縮糸として、2種の繊維形成性熱可塑性ポリマーで形成されたサイドバイサイド型または偏心芯鞘型コンジュゲート糸であってもよい。特に、2種の繊維形成性熱可塑性ポリマーがともにポリエステルであり、その固有粘度差が互いに0.1〜0.5の範囲内であることが好ましい。例えば、高粘度側ポリエステルとして固有粘度0.4〜1.0のポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルを用い、一方、低粘度側ポリエステルとして固有粘度0.3〜0.9のポリエチレンテレフタレートを用い、重量比80:20〜20:80で、加熱されたサイドバイサイド型または偏心芯鞘型断面形状を有する溶融紡糸孔を通して通常の方法により紡糸、冷却風による冷却固化、延伸したものが好ましい。
前記立毛糸用糸条(潜在捲縮糸)において、単糸繊度が2.5dtex以下(好ましくは0.1〜1.3dtex)であると、立毛部がソフトな風合いを呈し好ましい。また、立毛糸用糸条の総繊度として30〜300dtexであることが好ましい。また、立毛糸用糸条は無撚であることが好ましい。立毛糸に撚糸が施されていると本発明の目的とする立毛糸の分散性が損なわれるおそれがある。かかる立毛糸用糸条として、仮撚捲縮加工糸では立毛部をシャーリングする際、立毛長を短くシャーリングすることが難しく好ましくない。
前記の立毛布帛において、編織組織に制限はなく、例えば経パイル織物、緯パイル織物、シンカーパイル編物、ラッセルパイル編物、トリコットパイル編物などが例示される。立毛部は地組織部の両面に形成されていてもよいが、片側面にのみ形成されていることが好ましい。なお、かかる立毛布帛は通常の織機または編機で容易に得ることができる。
かかる立毛布帛に熱処理を施すことにより、潜在捲縮糸である立毛糸がランダムに捲縮を発現する。その結果、立毛糸が部分的に凝集することもなく、また、立毛糸が同一方向に倒伏することもない。すなわち、立毛糸同士が分散し、立毛部表面において良好な外観品位が得られる。かかる熱処理は染色加工仕上げによる熱処理でよく熱処理の回数も複数回でもよい。染色加工仕上げに、通常、プレセット乾熱処理、染色加工、ファイナル乾熱処理が含まれる。その際、プレセット乾熱処理の温度としては150〜200℃、染色加工の温度としては130〜135℃、ファイナル乾熱処理の温度としては140〜160℃の範囲内であることが好ましい。
また、前記熱処理の前に立毛部をシャーリングすることが好ましい。立毛部をシャーリングする方法として、編物の場合、地組織の上に伸び出るシンカーパイル、ポールトリコットパイル、ダブルラッセルパイルなどのループパイルをシャーリング(カット)する方法などが用いられる。 一方、織物の場合には、経パイル織物又は緯パイル織物のループパイルをシャーリング(カット)するか、あるいはモケット織物を製織し、そのパイル糸をセンターカットする。その際、立毛高さとしては、熱処理後の立毛高さを0.22〜2.1mmの範囲内とすることが好ましい。
熱処理後の立毛布帛において、立毛部の立毛糸密度が10000〜500000本/cmの範囲内であると、植毛立毛布帛と同様の高級外観および滑らかなタッチが得られ好ましい。該立毛糸密度が10000本/cmよりも小さいと毛倒れしやすくなるおそれがある。かかる毛倒れ現象は、本発明で得られた立毛布帛を過酷な使用条件であるカーシート部材として用いると顕著である。逆に、該立毛糸密度が500000本/cmよりも大きいと、風合いが硬化するだけでなく製造コストも高くなるおそれがある。なお、前記の立毛糸密度を有する立毛部は、地組織部用糸条として仮撚捲縮加工糸を用いることにより容易に得ることができる。
また、かかる立毛布帛において、立毛糸の立毛高さが0.20〜1.2mmの範囲内であることが好ましい。かかる立毛高さが1.5mmより大きいと、立毛糸の直立状態を保持することが困難となるため高級外観が損なわれるおそれがある。逆に該立毛高さが0.20mmよりも小さいと地組織部の透け感が増加するため、いらついた外観となり高級外観が損なわれるおそれがある。なお、本発明において、立毛糸の立毛高さは無荷重で図2に示すL(mm)を測定するものとし、例えば、以下の方法で測定することができる。すなわち、キーエンス(株)製マイクロスコープ(型式:VH−6300)を用いて、立毛布帛の断面を撮影(倍率50倍)し、全体厚みおよび地組織部の厚みを測定して、下記式により立毛糸の立毛高さLを算出する。
立毛高さL=全体厚み(mm)−地組織部厚み(mm)
なお、前記の立毛布帛の地組織部において、立毛部と反対側の面には、公知のバックコーテイング層やパイル層などの他の層が形成されていてもよい。さらには、常法のエッチングによる模様づけ、エンボス加工、アルカリ減量加工、着色プリント、撥水加工、紫外線遮蔽剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
次に、本発明のカーシート部材は前記の立毛布帛を用いてなるカーシート部材である。かかるカーシート部材は前記の立毛布帛を用いているので立毛部の分散性がよく高級な外観を呈する。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
(1)立毛糸の立毛高さL(mm)
キーエンス(株)製マイクロスコープ(型式:VH−6300)を用いて、立毛布帛の断面を撮影(倍率50倍)し、全体厚みおよび地組織部の厚みを測定して、下記式により立毛糸の立毛高さを算出した。なお、全体厚みは地組織部の最底部から立毛糸の最高部までの距離を測定した。n数は5でその平均値を求めた。
立毛高さL(mm)=全体厚み(mm)−地組織部厚み(mm)
(2)立毛糸密度
キーエンス(株)製マイクロスコープ(型式:VH−6300)を用いて、立毛布帛の表面を撮影(倍率500倍)し、1cm(1cm×1cm)あたりの立毛糸本数を測定した。
(3)熱水収縮率(BWS)
供試フィラメント糸条を、周長1.125mの検尺機のまわりに10回巻きつけて、かせを調製し、このかせを、スケール板の吊るし釘に懸垂し、懸垂しているかせの下端に、かせの総質量の1/30の荷重をかけて、かせの収縮処理前の長さL1を測定する。
このかせから荷重を除き、かせを木綿袋に入れ、このかせを収容している木綿袋を沸騰水から取り出し、この木綿袋からかせを取り出し、かせに含まれる水をろ紙により吸収除去した後、これを室温において24時間風乾する。この風乾されたかせを、前記スケール板の吊し釘に懸垂し、かせの下部分に、前記と同様に、かせの総質量の1/3の荷重をかけて、収縮処理後のかせの長さL2を測定する。
供試フィラメント糸条の熱水収縮率(BWS)を、下記式により算出する。
BWS(%)=((L1−L2)/L1)×100
(4)潜在捲縮糸かどうかの判定
供試フィラメント糸条を、周長1.125mの検尺機のまわりに10回巻きつけて、かせを調製した。次いで、無荷重で温度150℃、1分間の乾熱熱処理を施し、捲縮が発現した場合、該糸条を潜在捲縮糸と判定し、捲縮が発現しなかった場合、非潜在捲縮糸とした。
(5)外観評価
試験者3名により、外観を目視判定した。立毛糸同士の分散性の点で優れているものを3級、やや劣るものを2級、立毛糸同士が部分的に凝集していたり同じ方向に倒伏しているものを1級とした。
(6)表面タッチの評価
試験者3名により、表面タッチを官能評価した。滑らかさに優れるものを3級、滑らかさにやや劣るものを2級、滑らかさに劣るものを1級とした。
(7)固有粘度
オルソクロロフェノールを溶媒として使用し温度35℃で測定した。
[実施例1]
酸成分がモル比93/7のテレフタル酸及びイソフタル酸からなり、グリコール成分がエチレングリコールからなり、固有粘度1.45を有する共重合ポリエステルを調製した。この共重合ポリエステルを、紡糸口金に穿孔され、かつ図1に示されているフィラメント断面形状に対応する形状を有する72個の溶融紡糸孔(長手中心線の両側に、片側4個の円弧状膨出部と、その間に形成された3個のくびれ部を有する)を通して、紡糸温度300℃で押し出し、通常の方法により冷却固化、延伸することにより、ヤーンカウントが88dtex/72フィラメント(単糸繊度1.2dtex)の延伸マルチフィラメント糸条を作製し、パイル糸用糸条(無撚、熱水収縮率30%)とした。このパイル糸用糸条は、図1に示されているような断面形状を有するフィラメント(単繊維)からなり、その断面形状の断面扁平率(B/C1)は3.2であり、扁平断面において、その幅の最大値(C1)の、最小値(C2)に対する比(C1/C2)が1.2であった。該扁平糸は潜在捲縮糸であった。
一方、通常のポリエチレンテレフタレート樹脂を、通常の丸断面形状の溶融紡糸孔を通して、紡糸、延伸した後、通常の仮撚捲縮加工を施すことにより、ヤーンカウントが167dtex/48フィラメントの仮撚マルチフィラメント糸条(非潜在捲縮糸)を作製し地糸用糸条とした。
次いで、通常のポールシンカー編機(カールマイヤー社製、28ゲージ、ポールシンカー高さ1mm)を用いて、前記地組織用糸条をバック筬に、前記パイル用糸条をフロント筬にフルセット配列し、編み方(フロント:10/01、バック:10/12)で、ループパイルのパイル高さが2.0mmの立毛編地を得た。
次いで、通常のシャーリング機(日機(株)製)を用いて、前記立毛編地のパイルの先端部を0.3mmカットし、立毛高さが1.70mmである立毛糸(カットパイル)を有する立毛布帛とした。その後、該立毛布帛を、通常の乾熱セッターを用いて190℃の温度で45秒間乾熱処理を行うことにより立毛糸を熱収縮させかつ捲縮を発現させ、立毛糸の立毛高さが1.19mmの立毛布帛を得た。
該立毛布帛を、通常の液流染色機((株)日阪製作所製)を使用して通常の分散染料で、温度130℃、時間30分間で染色した。そして、最後に通常の乾熱セッター((株)ヒラノテクシード製)で温度180℃、時間1分間の乾熱処理を行い、立毛糸の立毛高さが1.52mm、コース数:95コース/2.54cm、ウエール数:36ウエール/2.54cm、立毛糸密度76,300本/cmの立毛布帛を得た。
得られた立毛布帛において、図3に示すように立毛糸同士が分散しており(外観評価3級)、また、滑らか表面タッチ(3級)を呈していた。
次いで、該立毛布帛を用いてカーシート部材を得たところ植毛品と同様の高級外観を呈しており、また、フィンガーマークの発生がないものであった。
[比較例1]
実施例1において、パイル糸用糸条として、通常の丸断面形状の溶融紡糸孔を通して、紡糸、冷却固化、延伸することにより非潜在捲縮糸とすること以外は実施例1と同様にした。
得られた立毛布帛において、図4に示すように立毛糸同士が部分的に凝集しており(外観評価1級)、また、滑らか表面タッチ(2級)を呈していた。
本発明によれば、熱処理を施すことにより立毛高さが短く、かつ立毛部表面の良好な外観品位を得ることが可能な立毛布帛、および熱処理が施され良好な外観品位を有する立毛布帛、および該立毛布帛を用いてなるカーシート部材が提供され、その工業的価値は極めて大である。
本発明の立毛布帛を構成する立毛糸の、用いることのできる単繊維断面形状の1例を模式的に示す図である。 本発明の立毛布帛の厚み方向断面を模式的に示す図である。 本発明の立毛布帛において、立毛糸同士が分散している立毛部を立毛部表面から撮影した図面代用写真である。 従来の立毛布帛において、立毛糸同士が部分的に凝集している立毛部を立毛部表面から撮影した図面代用写真である。
符号の説明
1 単繊維の断面
2 立毛部
3 地組織部

Claims (14)

  1. ポリエステル繊維糸条からなり編織組織を有する地組織部と、前記地組織部に編み込まれ、または織り込まれた立毛糸からなる立毛部とを有する立毛布帛であって、前記の立毛糸が潜在捲縮糸であることを特徴とする立毛布帛。
    ただし、潜在捲縮糸とは、糸条に無荷重で温度150℃、1分間の乾熱熱処理を施した際に捲縮を発現する糸条である。
  2. 前記の立毛糸が、熱水収縮率が10%以上の扁平糸である、請求項1に記載の立毛布帛。
  3. 前記の扁平糸が2個以上のくびれ部を有する断面扁平率2〜6の扁平断面を有する、請求項2に記載の立毛布帛。
  4. 前記の扁平糸の扁平断面において、その幅の最大値(C1)の、最小値(C2)に対する比(C1/C2)が1.05〜4.00の範囲内である、請求項3に記載の立毛布帛。
  5. 前記の扁平糸が共重合ポリエステル繊維からなる、請求項2〜4のいずれかに記載の立毛布帛。
  6. 前記の立毛糸が、2種の繊維形成性熱可塑性ポリマーで形成されたサイドバイサイド型または偏心芯鞘型コンジュゲート糸である、請求項1に記載の立毛布帛。
  7. 2種の繊維形成性熱可塑性ポリマーがともにポリエステルであり、その固有粘度差が互いに0.1〜0.5の範囲内である、請求項6に記載の立毛布帛。
  8. 前記立毛糸の単糸繊度が、熱処理前において2.5dtex以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の立毛布帛。
  9. 前記立毛糸が無撚である、請求項1〜8のいずれかに記載の立毛布帛。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の立毛布帛に熱処理を施すことにより、潜在捲縮糸が捲縮を発現してなる立毛布帛。
  11. 前記の熱処理前に立毛部をシャーリングしてなる、請求項10に記載の立毛布帛。
  12. 立毛糸の立毛高さが0.2〜1.5mmの範囲内である、請求項10または請求項11に記載の立毛布帛。
  13. 立毛部の立毛糸密度が10000〜500000本/cmの範囲内である、請求項10から12のいずれかに記載の立毛布帛。
  14. 請求項10〜13のいずれかに記載の立毛布帛を用いてなるカーシート部材。
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