JP2009299244A - 仮撚加工糸及びその製造方法 - Google Patents

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徹治 大林
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Abstract

【課題】織物の経糸として使用した際の工程通過性が良好であり、織編物に伸縮性とスパンライク風合いとを同時に付与しうる仮撚加工糸と、この加工糸を安定して製造する方法を提供することを技術的な課題とする。
【解決手段】単糸繊度2.0〜7.0dtexのポリエステル潜在捲縮性繊維と、単糸繊度0.4〜1.0dtexの他のポリエステル繊維とが混繊されてなる仮撚加工糸であって、伸縮伸長率が30%以上であり、高さ0.5mm以上のループ毛羽指数Kが30〜80個/mであると共に高さ2.0mm以上のループ毛羽指数Kが20個/m以下である仮撚加工糸。
【選択図】図1

Description

本発明は、新規な仮撚加工糸及びその製法に関し、特に織編物の経糸として使用した際の工程通過性が良好であり、織編物にスパンライク風合いと伸縮性とを付与しうる嵩高性に富む仮撚加工糸を提供するものである。
従来から混繊交絡糸として、例えば、糸条を流体撹乱処理して、糸条表面に多数のループ毛羽を形成したタスラン加工糸なるものが知られている。一例として、2本の供給糸にオーバーフィード差を設けて仮撚加工した後、タスランノズルで流体撹乱処理した混繊交絡糸が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これらの混繊交絡糸は、流体撹乱処理されたものであるため、繊維同士が複雑に絡みあった構造を呈しており、織編物にスパンライク風合いを付与できる。しかし、この混繊交絡糸では、かかる構造ゆえ仮撚加工糸が本来有していた伸縮性が消失しており、スパンライク風合いに優れた織編物を得ることはできても、伸縮性は得られないという問題があった。
そこで、このような問題を解決するために、糸条を流体撹乱処理して混繊交絡糸とした後、構成繊維の一部を切断させる程度にまで張力が付加されるよう延伸倍率を上げながら仮撚加工して得られる、切れ毛羽加工糸が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この加工糸は、織編物に対しスパンライク風合いの他、伸縮性なども付与できるものである。
特公昭63−27458号公報 特公昭63−31566号公報 特開昭53−130345号公報
しかしながら、上記特許文献3に記載の加工糸には、その表面に紡績糸並みの毛足の長い多数の単フィラメント、すなわち切れ毛羽が多数存在するため、パッケージにするとその表面に多数の毛羽が突き出ることになる。そうすると、パッケージから加工糸を解舒したとき、表面に突き出た毛羽同士が引っ掛かり合い(これをファスナー現象という)、その結果、解舒不良が生じる。そうすると、製織編時に開口不良など種々のトラブルが発生し易くなり、工程通過性が著しく低下するという問題が発生する。
本発明は、上記の問題を解決し、織物の経糸として使用した際の工程通過性が良好であり、織編物に伸縮性とスパンライク風合いとを同時に付与しうる仮撚加工糸と、この加工糸を安定して製造する方法を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、潜在捲縮繊維を含む供給糸を流体撹乱処理して多数のループ毛羽を有する構造の混繊交絡糸とし、これを低解撚張力下で延伸同時仮撚加工すれば、表面のループ毛羽を適度に短くすることができ、製織編時の工程通過性だけでなく織編物の風合い、伸縮性なども改善できることを知見し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、次の構成を要旨とするものである。
(1)単糸繊度2.0〜7.0dtexのポリエステル潜在捲縮性繊維と、単糸繊度0.4〜1.0dtexの他のポリエステル繊維とが混繊されてなる仮撚加工糸であって、伸縮伸長率が30%以上であり、高さ0.5mm以上のループ毛羽指数Kが30〜80個/mであると共に高さ2.0mm以上のループ毛羽指数Kが20個/m以下であることを特徴とする仮撚加工糸。
(2)長手方向に集束交絡部を部分的に有することを特徴とする請求項1記載の仮撚加工糸。
(3)単糸繊度2.0〜10.0dtexのポリエステル潜在捲縮性高配向未延伸糸と、単糸繊度0.8〜1.5dtex、複屈折率20×10−3〜80×10−3のポリエステル高配向未延伸糸とを前者に比べ後者のオーバーフィード率を3.0%以上低く設定しながら流体撹乱処理した後、0.50cN/dtex以下の解撚張力下で延伸同時仮撚加工することを特徴とする仮撚加工糸の製造方法。
(4)さらに、連続して混繊交絡処理することを特徴とする前記(3)記載の仮撚加工糸の製造方法。
本発明の仮撚加工糸は、糸条表面に毛足の短いループ毛羽を多数有すると共に、伸縮性及び嵩高性に優れた加工糸である。このため、製織編時の工程通過性を向上させることができ、織物の経糸として好適である。そして、本発明の仮撚加工糸を使用することにより、スパンライク風合いと伸縮性とを兼ね備えた織編物を得ることができる。特に、加工糸長手方向に集束交絡部を部分的に設ければ、織編物の風合いや伸縮性などを損なわずにさらに工程通過性を向上させることもできる。
また、本発明の仮撚加工糸の製造方法によれば、上記の利点を有する仮撚加工糸を安定して製造することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明の仮撚加工糸の一実施態様を示す概略側面図である。
本発明の仮撚加工糸は、基本的な糸条構造として、繊維同士は互いに絡み合っている(混繊している)ものの、加工糸全体として捲縮を有している。また、加工糸表面には緻密で毛足の短いループ毛羽が多数形成されている。
本発明の加工糸は、基本的に2種のポリエステル繊維から構成されるものである。ポリエステル繊維とはポリエステルポリマーからなる繊維をいい、かかるポリエステルポリマーには、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレートといった一般的な芳香族ポリエステルだけでなく、カチオン染料可染性ポリエステルや生分解機能を有するポリ乳酸なども含まれる。特にポリエステル繊維としてポリ乳酸繊維を採用すれば、昨今の環境問題にも対応できることになる。
本発明における2種のポリエステル繊維とは、ポリエステル潜在捲縮性繊維と、他のポリエステル繊維とを指し、ポリエステル潜在捲縮繊維とは、熱収縮特性の異なる2種のポリエステルポリマーをサイドバイサイド型に接合した複合繊維をいい、他のポリエステル繊維とは、当該潜在捲縮繊維以外のポリエステル繊維をいう。本発明では、織編物へ伸縮性を付与する観点から潜在捲縮繊維を使用する。この潜在捲縮繊維を構成するポリエステルポリマーも芳香族ポリエステルに限定されず、カチオン染料可染性ポリエステルやポリ乳酸などでもよい。例えば、0.8〜1.8モル%の5−ナトリウムスルホイソフタル酸と8.0〜15.0モル%のイソフタル酸とを共重合させたポリエステルポリマーと、0.8〜1.8モル%の5−ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合させたポリエステルポリマーとを接合した潜在捲縮性繊維などは、カチオン染料可染性であるため、他のポリエステル繊維としてカチオン染料不染性のものを用いれば、染め分けすることにより織編物に杢感を付与することができる。勿論、潜在捲縮繊維をカチオン染料不染性とし、他のポリエステル繊維をカチオン染料可染性としても杢感を付与することができ、これも本発明の実施態様に含まれることはいうまでもない。
本発明では、効果の観点から上記ポリエステル繊維の単糸繊度を特定範囲に設定する必要がある。具体的には、ポリエステル潜在捲縮繊維は2.0〜7.0dtexに、他のポリエステル繊維は0.4〜1.0dtexに設定する。
この点、前者については、単糸繊度が2.0dtex未満になると、単糸繊度が細いため織編物のハリ・腰感を低減させると同時に伸縮性も付与できなくなる。一方、7.0dtexを超えると、これとは逆に伸縮性を付与できるものの、ハリ・腰感が強くなりすぎ、風合いを硬いものとしてしまう。後者については、単糸繊度が0.4dtex未満になると、加工糸表面のループ毛羽の数が少なくなり、織編物に対しスパンライクに富む風合いを付与できなくなる。一方、1.0dtexを超えると、加工糸表面に毛足の長いループ毛羽が多く混在してしまい、糸を解舒する際、ファスナー現象が発生し、また織編物に対しスパンライクに富む風合いを付与できなくなる。
本発明ではこのようにポリエステル繊維の使用を基本とするが、これは用いるべき繊維がポリエステル繊維に限定されることを意味するものではない。つまり、本発明では、ポリエステル繊維のみの使用が最も好ましいというだけで、必要に応じて、ナイロン繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維などポリエステル繊維以外の繊維を併用してもよいのである。ただ、本発明の効果を考慮すれば、使用量は少ないほど好ましく、具体的には加工糸全質量に対し20質量%未満が好ましい。
また、本発明の加工糸は、前述のように織編物に伸縮性を付与することができる。このため、本発明の加工糸は、伸縮伸長率が30%以上である必要がある。特に30〜70%であるのが好ましい。伸縮伸長率が30%未満であると、織編物組織の拘束に打ち勝つことができず、結果、織編物に伸縮性を付与することができない。
本発明の加工糸は、基本的に2種のポリエステル繊維から構成されるが、その中の特に潜在捲縮性繊維は、伸縮性付与に資するところが大きいことから、加工糸の伸縮伸長率に大きく関与するといえる。また、加工糸全体が仮撚加工されたものであると、捲縮発現することから、同じく織編物に伸縮性を付与しやすい。これらのことから、加工糸の伸縮伸長率を所望の範囲とするには、加工糸中に含まれる潜在捲縮性繊維の質量比率を好ましくは25質量%以上に設定すると同時に、加工糸全体に後述する仮撚加工を付すとよい。一般に伸縮性の点から潜在捲縮性繊維の質量比率は大きい程好ましいが、他のポリエステル繊維が、織編物の風合いに大きく関与することを考慮すると、質量比率の上限は60質量%とするのが好ましい。
さらに、本発明の加工糸は、前述のように製織編時の工程通過性を向上させ、かつ織編物に対しスパンライクに富む風合いを付与できるものである。かかる効果のため、本発明では、加工糸表面に形成されるループ毛羽を、緻密で毛足の短いものとする必要がある。具体的には、高さ0.5mm以上のループ毛羽指数Kを30〜80個/mとし、かつ高さ2.0mm以上のループ毛羽指数Kを20個/m以下とする必要がある。特にKについては、5〜15個/mが好ましい。このように、表面に形成されたループ毛羽が、緻密で毛足の短いものであれば、加工糸をパッケージから円滑に解舒することができる。すると、製織編工程における工程通過性を低減させることがないので、織物の経糸としても使用できる。そして、得られる織編物は、スパンライク風合いと伸縮性を兼ね備えたものとなる。
ここで、Kにつき、指数が30個/m未満になると、ループ毛羽が少なくなり過ぎてスパンライク風合いを有する織編物が得られない。一方、80個/mを超えると、加工糸をパッケージから解舒する際、ファスナー現象が生じたり、経糸として使用する場合、製織編時に開口不良が生じるなど、工程通過性が低減する。同様にKについても、指数が20個/mを超えると、工程通過性が低減する。
なお、ループ毛羽指数とは、毛羽測定器F−インデックス(シキボウ株式会社製)を用いて、ローラ速度30m/分、張力0.049cN/dtexの条件下で測定される毛羽指数であって、Kは、上記毛羽測定器のゲージを0.5mmに設定してカウントしたものであり、一方、Kは、上記毛羽測定器のゲージを2.0mmに設定してカウントしたものである。
本発明の加工糸は、このように、表面に緻密で毛足の短いループ毛羽を有するものであるが、長手方向にさらに集束交絡部を部分的に設けると、ループ毛羽がより緻密となり、パッケージからの解舒性がより良好となり、工程通過性を一段と高めることができる。勿論、織編物におけるスパンライクな風合いも同様に高めることができる。集束交絡部の個数としては、具体的に40〜80個/mが好ましい。
次に、本発明の伸縮性嵩高加工糸の製造方法について説明する。
かかる製造方法の骨子は、2本の供給糸を同時に流体撹乱処理し、その後、延伸同時仮撚加工することにある。
本発明の仮撚加工糸は、表面に緻密で毛足の短いループ毛羽を有し、具体的には、上記した特定の毛羽指数を有している。この要件を達成するための基本的な原理としては、まず、流体撹乱処理を経て、表面に粗大ループ毛羽を有してなる混繊交絡糸を得、次に、この糸を延伸同時仮撚加工して、かかる粗大ループ毛羽を複雑に集束及び収縮させる。つまり、本発明では、緻密で毛足の短いループ毛羽の源たる粗大ループ毛羽の態様が適切なものでない場合、後の延伸同時仮撚加工をどのように行っても所望のループ毛羽を得難い傾向にある。
ここで、所望の粗大ループ毛羽を得るための手法を例示すると、流体撹乱処理すべき2本の供給糸を特定のものにすると共に、糸間のオーバーフィード率差を所定のものとするのが好ましい。
具体的に、本発明では、2本の供給糸として、単糸繊度2.0〜10.0dtexのポリエステル潜在捲縮性高配向未延伸糸と、単糸繊度0.8〜1.5dtex、複屈折率20×10−3〜80×10−3のポリエステル高配向未延伸糸とを用いる。なお、ここでいう単糸繊度とは、供給糸全体の繊度(トータル繊度)ではなく、供給糸を構成する個々の繊維(構成繊維)の繊度を指す。
前者(ポリエステル潜在捲縮性高配向未延伸糸)については、単糸繊度が2.0dtex未満になると、織編物の伸縮性やハリ・腰感などが低減する。一方、10.0dtexを超えると、混繊交絡糸の混繊性が低下し、織編物の風合いが硬くなってしまう。
そして、後者(ポリエステル高配向未延伸糸)については、単糸繊度が0.8dtex未満になると、ループ毛羽を形成すること自体が困難となる。一方、1.5dtexを超えると、ループ毛羽が大きくなりすぎてしまい、後に仮撚加工することによりこれを集束、収縮させても所望の緻密さを実現することができない。また、複屈折率が20×10−3未満になると、ポリマー配向が低下するため、仮撚加工によって繊維に太さムラが発生し、その結果、加工糸の捲縮発現が経時変化することがある。一方、80×10−3を超えると、ポリマー配向が進むため、繊維を十分に延伸できなくなり、結果、加工糸の捲縮発現が低減する。
他方、糸間のオーバーフィード率差については、前者に比べ後者のオーバーフィード率を3.0%以上低く設定すればよく、絶対的数値については特に限定されない。しかし、極端に大きいもしくは小さい数値を採用すると、工程管理やコストの点で不利となる傾向にあるため、絶対的なオーバーフィード率として、前者では4.0〜15.0%が、後者では1.0〜8.0%がそれぞれ好ましい。
2本の供給糸にはこのように所定のオーバーフィード率差が設けられているので、混繊交絡糸の外層には主として潜在捲縮性高配向未延伸糸が、内層には主としてポリエステル高配向未延伸糸が配されることになる。つまり、両糸条間には糸長差が存在する。この状態で混繊交絡糸を仮撚加工すると、一般に前者は後者より大きく捲縮発現するから、見かけ上大きく収縮する。そうすると、構成繊維たる2種のポリエステル繊維は加工糸中に略均等かつ混繊された状態で配されることになる。この点から、本発明の加工糸は均斉度が高いといえ、図1に示すように、加工糸内部だけでなく表面のループ毛羽も2種のポリエステル繊維から略均等に形成されるから、織編物に与える風合いはナチュラル感に富むものとなる。以上の点を踏まえ、流体撹乱処理の際には、供給糸間のオーバーフィード率差を所定のものとするのが好ましいのである。
さらに、図面を用いて、本発明の加工糸を製造する方法を詳しく説明する。
図2は、本発明の伸縮性嵩高加工糸を製造する方法の一実施態様を示す概略工程図である。
まず、流体撹乱処理は、一般に流体撹乱ノズル3を用いて行う。使用できるノズルとしては、構成繊維を混繊させかつループを形成できるものであれば、特に限定されるものでないが、一般にタスランノズルが好ましく採用できる。
流体撹乱処理は、この流体撹乱ノズル3に圧縮エアーを供給して行われる。図2の場合では、ポリエステル潜在捲縮性高配向未延伸糸Y1と、ポリエステル高配向未延伸糸Y2とを、それぞれフィードローラ1、2を介して流体撹乱ノズル3へ導入する。このときの各糸のオーバーフィード率は、上記の通りである。
圧縮エアー圧力としては、流体撹乱ノズルの種類、糸条の繊度、フィラメント数、形態などにもよるが、一般に260〜980KPaが好ましい。
このような流体撹乱処理を経て、Y1、Y2を構成する繊維同士が混繊交絡され、表面に多数の粗大ループ毛羽を有すると共に、構成繊維が複雑に絡みあう構造を呈する混繊交絡糸が得られる。
混繊交絡糸を得た後は、これを低解撚張力下で延伸同時仮撚加工すれば、本発明の仮撚加工糸を得ることができる。
具体的には、第1デリベリローラ4と第2デリベリローラ7と間に設置されたヒータ5及び仮撚装置6を用いて、低解撚張力下で加工される。仮撚装置6としては、ピン、フリクションディスクなど、糸条に対し捲縮が付与できるものであればどのようなものでも使用できる。
また、延伸倍率としては、1.20〜1.70倍が好ましい。また、具体的な解撚張力としては、0.50cN/dtex以下が好ましく、0.10〜0.40cN/dtexがより好ましい。張力が0.50cN/dtexを超えると、繊維が切断されやすくなり、毛足の長い切れ毛羽が多数混在した形態となるので好ましくない。
仮撚加工におけるその他の条件としては、例えば、仮撚装置としてフリクションディスクを使用した場合は、解撚張力を加撚張力で除した値たるK値を1.0以下とすることが、未解撚防止の点から好ましい。フリクションディスクの材質としては、ポリウレタン、セラミックスなどが好ましく、厚みとしては、5〜10mmが好ましい。ディスクの使用枚数としては、加工張力と糸条形態を把握して適切な枚数を決めればよい。そして、仮撚ヒータ温度としては、融着が発生しない範囲に設定することが好ましい。その他、加工速度としては捲縮付与を阻害しない範囲に設定すればよく、例えば、同じく仮撚装置がフリクションディスクの場合は、300.0〜600.0m/分が好ましい。また、油剤付与はY1、Y2のラスター、糸質物性などを考慮して適宜行えばよい。
延伸同時仮撚加工を経て得られた本発明の仮撚加工糸は、その後、巻取ローラ8を介してパッケージ9へ巻き取られる。
このように、混繊交絡糸を仮撚加工すれば、糸条全体にねじりや熱セットなどを付すことができるので、糸条全体に捲縮を与えることができ、また、粗大ループ毛羽を複雑に集束及び収縮させることができる。これにより、仮撚加工糸には、優れた伸縮性と嵩高性とが付与され、かつ表面に緻密で毛足の短いループ毛羽が形成される。
本発明の製造方法では、基本的に、図2に示すように混繊交絡糸を得た後は、直ちに延伸同時仮撚加工するという連続的な工程を採用するのが好ましいが、得られた混繊交絡糸をいったんパッケージに巻き取り、しかる後に混繊交絡糸を延伸同時仮撚加工するという不連続的な工程を採用してもよい。
また、本発明の仮撚加工糸は、仮撚加工の後、さらに糸条長手方向に集束交絡部を部分的に設けると、前述したように本発明の効果をより高めることができる。
集束交絡部を部分的に設けるには、インターレースノズルを用いて混繊交絡処理すればよい。条件としては、エアー圧力を好ましくは120〜300KPaに、オーバーフィード率を好ましくは0.5〜3.0%に設定する。なお、この混繊交絡処理も目的に応じて、連続又は不連続的な工程のいずれかを選択すればよい。
以上、本発明の製造方法によれば、加工糸表面に形成されるループ毛羽の高さを安定して所望のものに調整することができる。また、加工糸全体に捲縮を均一に付与することができるので、加工糸の伸縮伸長率を向上させることもできる。そして、本発明の製造方法を採用することにより、このような仮撚加工糸を効率良く安定して製造することができる。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、実施例、比較例における各物性は、次の方法にて測定、評価した。
(1)繊度
JIS L1013に準じた。
(2)伸縮伸長率
JIS L1013のB法に準じた。
(3)集束交絡部の個数
JIS L1013に準じた。
(4)解舒性の評価
パッケージから糸条を素手で解舒し、次の3段階で評価した。
○:毛羽同士の引っ掛かりが少ない
△:毛羽同士の引っ掛かりがやや多い
×:毛羽同士の引っ掛かりが多い
(5)織物評価
伸縮性、スパンライク風合いについて、それぞれ官能検査により次の3段階で評価した。
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
(実施例1、3、比較例1)
表1記載の条件で図2に示す工程にて各仮撚加工糸を得た。すなわち、実施例1、比較例1では、Y1として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸1.2モル%とイソフタル酸12.0モル%とを共重合させた、極限粘度0.65の高収縮性ポリエステルポリマーと、5−ナトリウムスルホイソフタル酸1.8モル%を共重合させた、極限粘度0.46の低収縮性ポリエステルポリマーとをサイドバイサイド型に接合した、単糸繊度8.3dtexの繊維から構成されるカチオン染料可染性のポリエステル潜在捲縮性高配向未延伸糸を用いた。また、実施例3では、Y1として、ポリエチレンテレフタレートからなる極限粘度0.78の高収縮性ポリエステルポリマーと、ポリエチレンテレフタレートからなる極限粘度0.47の低収縮性ポリエステルポリマーとをサイドバイサイド型に接合した、単糸繊度7.5dtexの繊維から構成される分散染料可染性のポリエステル潜在捲縮性高配向未延伸糸を用いた。
一方、Y2としては、実施例1、3では、単糸繊度0.9dtex、複屈折率55×10−3のポリエステル高配向未延伸糸を、比較例1では、単糸繊度3.5dtex、複屈折率55×10−3のポリエステル高配向未延伸糸を用いた。
そして、フィードローラ1、2を介して、Y1、Y2を流体撹乱ノズル3へ導入して流体撹乱処理し、引き続いて延伸同時仮撚加工して、目的の仮撚加工糸を得た。なお、実施例、比較例ともに、流体撹乱処理における流体撹乱ノズルとしてはタスランノズルを、仮撚加工における仮撚装置としてはフリクションディスクを使用した。
その後、実施例1、比較例1については、得られた糸をそれぞれ経緯糸に用いて、経糸密度97本/2.54cm、緯糸密度78本/2.54cmで2/2綾組織に製織し、精練の後、カチオン染料(保土谷化学工業(株)製、「Aizen Cathilon Blue CD F2RLH(商品名)」)1.0%omfを用いて染色し、ヒートセットすることで2種の織物を得た。一方、実施例3については、得られた糸を経緯糸に用いて、経糸密度102本/2.54cm、緯糸密度83本/2.54cmで2/2綾組織に製織し、精練の後、分散染料(ダイスタージャパン(株)製、「Dianix Blue UN SE(商品名)」)1.0%omfを用いて染色し、ヒートセットすることで織物を得た。
(実施例2)
実施例1で得た仮撚加工糸を、インターレースノズルを使用し、エアー圧力を180KPaに、オーバーフィード率を2.0%に設定して混繊交絡処理し、長手方向に部分的に集束交絡部52個/mを備えてなる、本発明の仮撚加工糸を得た。
新たな仮撚加工糸を得た後は、実施例1の場合と同様にして織物を得た。
(比較例2、3)
実施例1を準用して加工糸を得た。すなわち、表1記載の条件で図2に示す工程を準用して目的の加工糸を得た。具体的に、比較例2では、図2における工程のうち延伸同時仮撚加工を、比較例3では、流体撹乱処理をそれぞれ省略した。加工糸を得た後は、実施例1の場合と同様にして織物を得た。
以下、織物評価と併せ、加工条件を表1に示す。なお、表中、FR1とはフィードローラ1の速度を、FR2とはフィードローラ2の速度をそれぞれ指し、OF率とはオーバーフィード率を指す。
実施例1〜3で得られた仮撚加工糸は、糸条表面に毛足の短いループ毛羽を多数有する、伸縮性及び嵩高性に優れた加工糸であった。この加工糸を用いて織物を得たが、パッケージから糸条を解舒する際、ファスナー現象に起因するトラブルが非常に少なく、工程通過性は概ね良好であった。そして、得られた織物は、ソフトで膨らみ感のあるスパンライク風合いを有すると共に、伸縮性が付加された新感覚のものであった。特に、実施例1、2では、加工糸中にカチオン染料可染性の潜在捲縮繊維が含まれているため、織物は杢感に富むものであった。
一方、比較例1で得られた仮撚加工糸では、供給糸たるポリエステル高配向未延伸糸の単糸繊度が太すぎたため、加工糸表面に毛足の長いループ毛羽が少なからず残されていた。それゆえ、該加工糸にあっては解舒性にやや難点があり、製織時に解舒不良に伴うトラブルが発生した。また、得られた織物もスパンライク性に欠けるものであった。
比較例2では、仮撚加工を省略したため、得られた糸の表面には、粗大ループ毛羽が多数残っていた。その結果、パッケージから円滑に加工糸を解舒できず、製織時の工程通過性は著しく低減する結果となった。また、加工糸に捲縮が付与されていないため、織物は伸縮性に欠けるものであった。
さらに、比較例3で得られた加工糸は捲縮を有しているので、織物は伸縮性を有していた。しかし、加工糸は混繊されたものでないため均斉度の点で劣り、また、表面にはループ毛羽がないため、織物はスパンライク性に欠けるものとなった。
本発明の仮撚加工糸の一実施態様を示す概略側面図である。 本発明の仮撚加工糸を製造する方法の一実施態様を示す概略工程図である。
符号の説明
Y1 ポリエステル潜在捲縮性高配向未延伸糸
Y2 ポリエステル高配向未延伸糸
1、2 フィードローラ
3 流体撹乱ノズル
4 第1デリベリローラ
5 ヒータ
6 仮撚装置
7 第2デリベリローラ
8 捲取ローラ
9 パッケージ

Claims (4)

  1. 単糸繊度2.0〜7.0dtexのポリエステル潜在捲縮性繊維と、単糸繊度0.4〜1.0dtexの他のポリエステル繊維とが混繊されてなる仮撚加工糸であって、伸縮伸長率が30%以上であり、高さ0.5mm以上のループ毛羽指数Kが30〜80個/mであると共に高さ2.0mm以上のループ毛羽指数Kが20個/m以下であることを特徴とする仮撚加工糸。
  2. 長手方向に集束交絡部を部分的に有することを特徴とする請求項1記載の仮撚加工糸。
  3. 単糸繊度2.0〜10.0dtexのポリエステル潜在捲縮性高配向未延伸糸と、単糸繊度0.8〜1.5dtex、複屈折率20×10−3〜80×10−3のポリエステル高配向未延伸糸とを前者に比べ後者のオーバーフィード率を3.0%以上低く設定しながら流体撹乱処理した後、0.50cN/dtex以下の解撚張力下で延伸同時仮撚加工することを特徴とする仮撚加工糸の製造方法。
  4. さらに、連続して混繊交絡処理することを特徴とする請求項3記載の仮撚加工糸の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017172101A (ja) * 2017-06-01 2017-09-28 ユニチカトレーディング株式会社 混繊交絡糸、その製造方法、及び混繊交絡糸を用いた織編物
JP2018053414A (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 ユニチカトレーディング株式会社 混繊交絡糸、その製造方法、及び混繊交絡糸を用いた織編物

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