JP6674493B2 - 界面活性剤組成物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、界面活性剤組成物の製造方法に関する。
不飽和ジカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステル化物のスルホン化物(例えば、スルホコハク酸エステル塩等)は、浸透性及び乳化性を示す(非特許文献1参照)ことから、これらの特性を活かした各種の製品の原料として、洗剤、可溶化剤、処理剤、改質剤、湿潤剤、浸透剤、農薬、塗料、化粧料及び乳化剤等の用途に多く使用されている。
スルホコハク酸エステル塩等のスルホン化物の製造方法としては、エステル化物に、スルホン化剤である亜硫酸塩及び水等を加え、必要によりアルコール等の有機溶媒の存在下で60〜100℃の温度で反応させるのが一般的である。しかしながら、エステル化物の加水分解により、アルコール等の分解生成物が発生し、臭気の原因となる問題がある。そこで、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール等の抗酸化剤を用いることにより、臭気を抑制することが知られている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1の方法では、得られたスルホン化物の使用用途が限られる問題がある。
藤本武彦著、「界面活性剤入門」、三洋化成工業株式会社発行、2007年6月11日、p89
特開平4−368363号公報
本発明は、スルホン化物を含む臭気の少ない界面活性剤組成物の製造方法であって、幅広い用途に使用できる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち本発明は、多価アルコール(A)、水(B)及びスルホン化物(E)を含む界面活性剤組成物の製造方法であって、多価アルコール(A)及び水(B)の存在下で、炭素数4〜22の不飽和ジカルボン酸(c1)と炭素数1〜22の脂肪族モノアルコール(c2)とのエステル化物(C)をスルホン化剤(D)でスルホン化物(E)に変換する工程(1)を有し、スルホン化剤(D)が二亜硫酸及びこの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、工程(1)がエプトン法により測定される(C)から(E)への変換率が75〜95%となるまで90〜115℃でスルホン化する工程(1−1)と更にエプトン法により測定される(C)から(E)への変換率が96%以上となるまで116〜135℃でスルホン化する工程(1−2)とを有する界面活性剤組成物の製造方法である。
本発明の製造方法は、界面活性剤組成物中の炭素数が1〜22であるモノアルコールの含有量が0.5重量%以下である、臭気の少ない界面活性剤組成物を製造することが出来る。
本発明の製造方法は、多価アルコール(A)、水(B)及びスルホン化物(E)を含む界面活性剤組成物の製造方法であって、多価アルコール(A)及び水(B)の存在下で、炭素数4〜22の不飽和ジカルボン酸(c1)と炭素数1〜22の脂肪族モノアルコール(c2)とのエステル化物(C)をスルホン化剤(D)でスルホン化物(E)に変換する工程(1)を有し、スルホン化剤(D)が亜硫酸、亜硫酸水素及び二亜硫酸並びにこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、工程(1)がエプトン法により測定される(C)から(E)への変換率が75〜95%となるまで90〜115℃でスルホン化する工程(1−1)と更にエプトン法により測定される(C)から(E)への変換率が96%以上となるまで116〜135℃でスルホン化する工程(1−2)とを有する界面活性剤組成物の製造方法である。
本発明において、多価アルコール(A)としては、炭素数2〜12の2価以上のアルコールが含まれ、具体的には、炭素数2〜12の直鎖又は分岐の脂肪族2価アルコール[エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール等の直鎖アルコール;1,2−、1,3−又は2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール及びネオペンチルグリコール等の分岐アルコール等];炭素数3〜12の脂肪族3価アルコール[グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール等]、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びこれらの混合物からなる群等が挙げられる。
これらのうち、工程(1)における用いやすさの観点から、融点が90℃以下のものが好ましく、さらに好ましくは融点が70℃以下のもの、最も好ましくは融点が25℃以下のものである。
また、これらのうち、得られる界面活性剤組成物の皮膚刺激性の観点から、好ましくはプロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びポリエチレングリコール、更に好ましくはプロピレングリコールである。
本発明において、水(B)としては、水道水でも良いが、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。
本発明において、炭素数4〜22(炭素数にはカルボキシル基の炭素も含む。以下において同じ。)の不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸及びアリルマロン酸等が挙げられる。また、これらの無水物を用いてもよい。
これらのうち、得られる界面活性剤組成物の浸透性を向上させる観点から、好ましくは炭素数4〜10の不飽和ジカルボン酸であり、さらに好ましくは炭素数4〜6の不飽和ジカルボン酸であり、最も好ましくはマレイン酸及びフマル酸である。
本発明において、炭素数1〜22の脂肪族モノアルコール(c2)としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、1−デカノール、1−ドデカノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−2−ブタノール、2−エチルヘキサノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール及び3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール等が挙げられる。
これらのうち、得られる界面活性剤組成物の浸透性を向上させる観点から、好ましくは1−オクタノール及び2−エチルヘキサノールであり、更に好ましくは2−エチルヘキサノールである。
また、これらのうち、臭気の少ない界面活性剤を製造するという効果を発揮しやすい観点から、好ましくは炭素数2〜12の脂肪族モノアルコールであり、さらに好ましくは炭素数4〜12の脂肪族モノアルコールであり、最も好ましくは炭素数8の脂肪族モノアルコールである。
本発明において、エステル化物(C)としては、上記(c1)と(c2)とのエステル化物が含まれ、具体的には、シトラコン酸ジへキシル、シトラコン酸ジオクチル、シトラコン酸ビス(2−エチルヘキシル)、シトラコン酸ジデシル、メサコン酸ジへキシル、メサコン酸ジオクチル、メサコン酸ビス(2−エチルヘキシル)、メサコン酸ジデシル、マレイン酸ジヘキシル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ビス(2−エチルヘキシル)、マレイン酸ジノニル、マレイン酸ジデシル、フマル酸ジヘキシル、フマル酸ジオクチル、フマル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジノニル及びフマル酸ジデシル等が挙げられる。
これらのうち、得られる界面活性剤組成物の浸透性の観点から、好ましくはマレイン酸ジヘキシル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ビス(2−エチルヘキシル)、マレイン酸ジノニル、マレイン酸ジデシル、フマル酸ジヘキシル、フマル酸ジオクチル、フマル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジノニル、フマル酸ジデシル及びマレイン酸ビス(2−エチルヘキシル)であり、更に好ましくはマレイン酸ビス(2−エチルヘキシル)及びフマル酸ビス(2−エチルヘキシル)である。
また、これらのうち、臭気の少ない界面活性剤組成物を得るという効果を発揮しやすい観点から、好ましくは炭素数4〜10の不飽和ジカルボン酸と炭素数2〜12の脂肪族モノアルコールとのエステル化物であり、さらに好ましくは炭素数4〜10の不飽和ジカルボン酸と炭素数4〜12の脂肪族モノアルコールとのエステル化物であり、次にさらに好ましくは炭素数4〜6の不飽和ジカルボン酸と炭素数4〜12の脂肪族モノアルコールとのエステル化物であり、最も好ましくは炭素数4の不飽和ジカルボン酸と炭素数4〜12の脂肪族モノアルコールとのエステル化物である。
本発明において、スルホン化剤(D)は、亜硫酸、亜硫酸水素及び二亜硫酸並びにこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、得られる界面活性剤組成物を家庭用に使用するという観点から、ハロゲン化物を実質的に含まないものが好ましく、具体的には、亜硫酸、亜硫酸塩(例えば、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸カリウム及び亜硫酸ナトリウム等)、亜硫酸水素、亜硫酸水素塩(例えば、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素カリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等)、二亜硫酸、二亜硫酸塩(二亜硫酸カリウム及び二亜硫酸ナトリウム等)等が挙げられる。
なお、ハロゲン化物を実質的に含まないとは、好ましくはハロゲン化物の含有量が500ppm以下のもの、さらに好ましくは100ppm以下のものを意味する。
これらのうち、臭気の少ない界面活性剤組成物を得る観点から、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩及び二亜硫酸塩が好ましく、さらに好ましくは亜硫酸水素塩及び二亜硫酸塩であり、特に好ましくは二亜硫酸塩である。
本発明の製造方法は、上記エステル化物(C)をスルホン化剤(D)でスルホン化物(E)に変換する工程(1)を有する。具体的には、エステル化物(C)中の炭素−炭素二重結合にスルホン化剤(D)に由来するスルホン基(−SO3H)が付加する反応を行う工程である。
工程(1)において、エプトン法により測定される(C)から(E)への変換率が75〜95%となるまで90〜115℃でスルホン化する工程(1−1)と更にエプトン法により測定される(C)から(E)への変換率が96%以上となるまで116〜135℃でスルホン化する工程(1−2)とを有する。
本発明においては、工程(1−1)及び工程(1−2)を有することにより、界面活性剤組成物中の炭素数が1〜22であるモノアルコールの含有量が0.5重量%以下である、臭気の少ない界面活性剤組成物を製造することが出来る。これは、理由は定かではないが、工程(1−1)及び工程(1−2)の合計時間が短時間でも、(C)から(E)への変換率が高いものを得ることができるためであると考えられる。また、工程(1−1)を有することにより、工程(1−2)での反応時間が短くなるためであると考えられる。
本発明において、エステル化物(C)からスルホン化物(E)への変換率は、エプトン法(JIS K 3362)によって結合硫酸(重量%)を定量し、下記計算式(1)に当てはめることにより算出した値である。
変換率(%)=定量した結合硫酸×〔r/(r−p−q)〕×(スルホン化物(E)の分子量)/80 (1)
p:多価アルコール(A)の仕込量及び途中で添加した量
q:水(B)の仕込量及び途中で添加した量
r:全体の仕込量{多価アルコール(A)、水(B)、エステル化物(C)及びスルホン化剤(D)の合計量}及び途中で添加した量
工程(1−1)における変換率は75〜95%であり、スルホン化物(E)の加水分解を起こりにくくする観点から、下限としては好ましくは78%以上、さらに好ましくは82%以上である。上限としては、好ましくは93%以下、更に好ましくは90%以下である。本発明においては、工程(1−1)における変換率が75〜95%であることで、工程(1−2)の後の変換率が96%以上であるような高変換率のものを得ようとした場合でも、加水分解反応が起こりにくく、臭気の少ない界面活性剤組成物を製造することができる。
工程(1−1)における温度は、90〜115℃であり、スルホン化物(E)の加水分解を起こりにくくする観点から、好ましくは90〜110℃であり、更に好ましくは95〜110℃である。
工程(1−1)の時間は、(E)への変換率及び臭気の少ない界面活性剤組成物を得る観点から、2〜5時間が好ましい。
工程(1−2)における温度は、116〜135℃であり、反応系中の増粘による撹拌効率の低下及びスルホン化物(E)の加水分解を起こりにくくする観点から、好ましくは120〜135℃であり、更に好ましくは120〜130℃である。
上記反応により、多価アルコール(A)、水(B)及びスルホン化物(E)を含む界面活性剤組成物を得ることが出来る。
工程(1−2)における変換率は、得られる界面活性剤組成物の性能及び臭気の観点から、96〜99%が好ましい。
工程(1−2)の時間は、(E)への変換率及び臭気の少ない界面活性剤組成物を得る観点から、3〜8時間が好ましい。
工程(1−1)と工程(1−2)との合計時間は、(E)への変換率及び臭気の少ない界面活性剤組成物を得る観点から、10時間以下が好ましく、さらに好ましくは8〜10時間である。
上記スルホン化物(E)を製造する工程は空気雰囲気下で行ってもよいし、アルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気下で行ってもよいが、不活性ガス雰囲気下で行うことがより好ましい。
本発明は、以前に製造した界面活性剤組成物を可溶化剤として使用してもよい。可溶化剤の使用により、水溶性の乏しいエステル化物(C)を、水中に溶解しやすくすることが出来る。可溶化剤の使用量は、エステル化物(C)100重量部に対して、(C)の水への溶解性及び生産性効率の観点から、好ましくは1〜5重量部である。
工程(1)において存在させたエステル化物(C)に対する多価アルコール(A)のモル比率{(A)/(C)}は、スルホン化物(E)の加水分解を起こりにくくする観点から、好ましくは0.2〜0.7であり、更に好ましくは0.25〜0.6であり、最も好ましくは0.3〜0.5である。
なお、「工程(1)において存在させた」とは、工程(1)における仕込み及び途中で添加したもの等、工程(1)の全過程において添加したものを含む。
工程(1)において存在させたエステル化物(C)に対する水(B)のモル比率{(B)/(C)}は、撹拌効率及び反応性の観点から、好ましくは1.0〜4.0であり、更に好ましくは1.5〜3.5であり、最も好ましくは2.0〜3.0である。
スルホン化剤(D)が二亜硫酸塩である場合、工程(1)において存在させたエステル化物(C)に対するスルホン化剤(D)のモル比率{(D)/(C)}は、好ましくは0.480〜0.498であり、更に好ましくは0.485〜0.496であり、最も好ましくは0.490〜0.494である。0.480以上であることでスルホン化率を高くすることができるので好ましく、0.498以下であることで未反応のスルホン化剤(D)が多すぎず、処理しやすいので好ましい。
本発明において、スルホン化剤(D)が亜硫酸水素塩及び/又は二亜硫酸塩である場合、工程(1)の後、未反応のスルホン化剤(D)又は(D)の加水分解物を中和剤(F)で中和して中和塩(G)を得る工程(2)及び中和塩(G)を酸化剤(H)で酸化して硫酸塩(I)を得る工程(3)を含んでもよい。
工程(2)において、中和剤(F)は、スルホン化物(E)の精製を阻害せず、未反応のスルホン化剤(D)を中和できるものであれば特に限定されない。例えば、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物並びに炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩等が挙げられる。(F)はそのまま用いてもよく、水溶液として用いてもよい。
(F)を水溶液として用いる場合、水溶液中の(F)の含有量は、スルホン化物(E)の分解を起こりにくくする観点から、好ましくは1〜20重量%であり、さらに好ましくは2〜8重量%である。
これらの中でも、スルホン化物(E)の加水分解を起こしにくく、処理効率も比較的高いことから、好ましくはアルカリ金属炭酸塩であり、さらに好ましくは炭酸ナトリウムである。
工程(2)の温度は、スルホン化物(E)の分解を起こりにくくする観点から、好ましくは20〜70℃であり、更に好ましくは25〜60℃であり、最も好ましくは30〜50℃である。
工程(2)の開始から終了までの時間において、上記温度である時間は、スルホン化物(E)の分解を起こりにくくする観点から、好ましくは80%以上である。なお、工程(2)の開始とは、中和剤(F)を入れた時点であり、終了とは酸化剤(H)を入れるまでの時点である。
工程(2)において存在させた未反応のスルホン化剤(D)と中和剤(F)とのモル比率{(D)/(F)}は、処理効率及びスルホン化物(E)の分解を起こりにくくする観点から、0.9〜1.1が好ましい。なお、スルホン化剤(D)が二亜硫酸塩である場合は、反応系中の水により加水分解され、亜硫酸水素塩となっており、上記モル比率は、加水分解後のモル比率を意味する。
なお、未反応のスルホン化剤(D)の含有量は下記に示すヨウ素滴定法で求めることができる。
<未反応のスルホン化剤(D)の含有量>
(a)200mL三角フラスコ内に、試料1g、イオン交換水50mLを加え、混合する。
(b)0.1mol/Lヨウ素滴定溶液で滴定し、溶液の色が微黄色になった点を終点とする。
(c)滴定量に基づき、下記式より未反応のスルホン化剤(D)の含有量を算出する。
スルホン化剤(D)の含有量(mg/g)=t×4.754 (3)
t:0.1mol/Lヨウ素滴定用溶液の滴定量(mL)
工程(3)において、中和塩(G)としては、スルホン化剤(D)と中和剤(F)との反応で生成する塩が含まれ、スルホン化剤(D)が亜硫酸水素塩又は二亜硫酸塩であり、中和剤(F)がアルカリ金属炭酸水素塩である場合は、例えば、亜硫酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
工程(3)において、酸化剤(H)は、スルホン化物(E)の精製を阻害せず、中和塩(G)を酸化できるものであれば特に限定されない。例えば、過酸化水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の過酸化物、次亜塩素酸、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の次亜塩素酸塩及び過マンガン酸カリウム等が挙げられる。
これらの中でも、スルホン化物(E)の分解を起こしにくく、処理効率が比較的高く、コストが低いことから、好ましくは過酸化水素である。
(H)を水溶液として用いる場合、水溶液中の(H)の含有量は、スルホン化物(E)の分解を起こりにくくする観点から、好ましくは1〜20重量%であり、さらに好ましくは2〜8重量%である。
工程(3)の温度は、スルホン化物(E)の分解を起こりにくくする観点から、好ましくは20〜70℃であり、更に好ましくは25〜60℃であり、最も好ましくは30〜50℃である。
工程(3)の開始から終了までの時間において、上記温度である時間は、スルホン化物(E)の分解を起こりにくくする観点から、好ましくは80%以上である。なお、工程(3)の開始とは、酸化剤(H)を入れた時点であり、(H)を入れてから1時間経過すれば、(F)と(H)との反応は完了しており、工程(3)が終了したと見なすことができる。
工程(2)及び(3)において存在させた酸化剤(H)と中和剤(F)とのモル比率{(H)/(F)}は、処理効率及びスルホン化物(E)の分解を起こりにくくする観点から、好ましくは0.9〜1.1である。
本発明の界面活性剤組成物は、取扱い易さを与える液体組成物にする観点から、(A)、(B)及び(E)の合計重量に基づいて、好ましくは多価アルコール(A)を10〜20重量%、水(B)を10〜20重量%、及びスルホン化物(E)を60〜80重量%含有するものであり、さらに好ましくは多価アルコール(A)を10〜18重量%、水(B)を11〜18重量%、及びスルホン化物(E)を64〜79重量%含有するものであり、特に好ましくは多価アルコール(A)を11〜16重量%、水(B)を11〜16重量%、及びスルホン化物(E)を68〜78重量%含有するものである。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
温度計及び攪拌機を備えたSUS製オートクレーブに、フマル酸と2−エチルヘキサノールとのジエステル化物(マキシモールFOK−670、川崎化成工業(株)製)542.6kg、プロピレングリコール44.3kg、イオン交換水80.8kg及び二亜硫酸ナトリウム150.1kgを順に仕込み、撹拌を開始し、減圧にて窒素置換後、昇温し、温度を100℃に保持し、エステル化物からスルホン化物への変換率が88%になるまで3時間撹拌した(工程(1−1))。さらに、125℃へ昇温し、エステル化物からスルホン化物への変換率が97%になるまで5時間撹拌した(工程(1−2))。なお、昇温過程において、116℃に到達した時点での変換率測定用サンプルを採取し、変換率を測定した。
次いで、95℃まで冷却し、プロピレングリコール93.0kgを反応物に添加した。そして、40℃まで冷却し、ヨウ素滴定法により未反応の二亜硫酸ナトリウムの含有量を求めたところ、0.4mg/gであった。そこで、5重量%の炭酸ナトリウム水溶液4.1kgを投入し、1時間撹拌した(工程(2))。さらに、5重量%の過酸化水素水2.6kgを投入し、1時間撹拌し(工程(3))、界面活性剤組成物(1)を得た。得られた界面活性剤組成物中の炭素数1〜22の脂肪族モノアルコール(2−エチルヘキサノール)の含有量は0.2重量%であった。臭気はほとんどしなかった。
<実施例2〜7>
実施例1において、エステル化物(C)の種類及び量、スルホン化剤(D)の量、工程(1−1)〜工程(3)における温度、変換率並びに中和剤(F)及び酸化剤(H)の量を表1に記載のものとする以外は同様に実施して、界面活性剤組成物(2)〜(7)を得た。得られた界面活性剤組成物中の炭素数1〜22の脂肪族モノアルコールの含有量及び臭気を評価した。結果を表1に示す。なお、炭素数1〜22の脂肪族モノアルコールとしては、実施例2〜4及び7においては2−エチルヘキサノール、実施例5においおては1−ブタノール、実施例6においては1−ドデカノールが検出された。
Figure 0006674493
<比較例1>
温度計及び攪拌機を備えたSUS製オートクレーブに、フマル酸と2−エチルヘキサノールとのジエステル化物(マキシモールFOK−670、川崎化成工業(株)製)542.9kg、プロピレングリコール165.8kg、イオン交換水56.1kg及び二亜硫酸ナトリウム146.3kgを順に仕込み、撹拌を開始し、減圧にて窒素置換後、昇温し、温度を145℃に保持し、エステル化物からスルホン化物への変換率が94%になるまで8時間撹拌した。90℃まで冷却し、ヨウ素滴定法により未反応の二亜硫酸ナトリウムの含有量を求めたところ、0.8mg/gであった。そこで、5重量%の炭酸ナトリウム水溶液8.1kgを投入し1時間撹拌した(工程(2))。さらに、5重量%の過酸化水素水5.2kgを投入し、1時間撹拌し(工程(3))、界面活性剤組成物(1’)を得た。得られた界面活性剤組成物中の炭素数1〜22の脂肪族モノアルコール(2−エチルヘキサノール)の含有量は1.2重量%であった。不快な臭気があった。
<比較例2〜5>
実施例1において、工程(1−1)〜工程(1−2)における温度及び変換率を表2に記載のものとする以外は同様に実施して、界面活性剤組成物(2’)〜(5’)を得た。得られた界面活性剤組成物中の炭素数1〜22の脂肪族モノアルコール(2−エチルヘキサノール)の含有量及び臭気を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0006674493
<評価方法>
・炭素数1〜22の脂肪族モノアルコールの含有量の測定方法
界面活性剤組成物中の炭素数1〜22の脂肪族モノアルコールの含有量は、キャピラリーガスクロマトグラフ((株)島津製作所製:GC−1700)で分析することにより求めた。GC条件を以下に示す。
カラム:DB−5(J&W社製、(5%フェニル)−メチルポリシロキサン系カラム、
長さ30m、内径0.25mmφ、膜厚0.25μm)
カラム温度:初期温度50℃(保持時間5min)
到達温度300℃
昇温スピード10℃/min
注入量:1μl
スプリット比:1:25
制御モード:圧力
キャリアガス(He)圧力:103kPa
Injection温度:150℃
Detector温度:310℃
・臭気
界面活性剤組成物の臭気を、下記の評価基準に基づいて評価した。
○:臭気がほとんどない
×:不快な臭気がある
表1及び2の結果から、実施例1〜7のように本発明の製造方法を用いれば、短時間で(E)への変換率の高いものを得られ、炭素数1〜22の脂肪族モノアルコールの含有量が少なく、臭気の少ない界面活性剤組成物を得ることが出来ることがわかる。
一方、145℃と高温で反応させた比較例1では、最終的な(E)への変換率が94%と低いにもかかわらず、脂肪族モノアルコールの含有量が多く、得られた界面活性剤組成物は臭気があることがわかる。また、工程(1−1)を85℃と低温で実施した場合、(E)への変換率が低くなり、その後に工程(1−2)として116℃で反応させても変換率が思うように高くならず、反応時間が長時間になるために、脂肪族モノアルコールの含有量も多くなることから、得られた界面活性剤組成物は臭気があることがわかる。また、比較例3では、工程(1−2)での温度が145℃と高いため、脂肪族モノアルコールの含有量も多くなることから、得られた界面活性剤組成物は臭気があることがわかる。また、比較例4では、工程(1−1)での(E)への変換率が低いため、その後に工程(1−2)として125℃で反応させても変換率が思うように高くならず、反応時間が長時間になるために、脂肪族モノアルコールの含有量も多くなり、得られた界面活性剤組成物は臭気があることがわかる。また、比較例5では、工程(1−1)での(E)への変換率を96%と高くするために反応時間が長くなり、脂肪族モノアルコールの含有量も多くなることから、得られた界面活性剤組成物は臭気があることがわかる。
本発明の界面活性剤組成物は、浸透性および乳化性を示す添加剤として、洗剤、可溶化剤、処理剤、改質剤、湿潤剤、浸透剤、農薬、塗料、化粧料、乳化剤等の用途に多く使用できる。特に、本発明の界面活性剤組成物は、臭気が良好であるため、家庭用洗浄剤及び家庭用芳香剤用香料可溶化剤等の家庭用品用途にも好ましく使用することが出来る。

Claims (7)

  1. 多価アルコール(A)、水(B)及びスルホン化物(E)を含む界面活性剤組成物の製造方法であって、多価アルコール(A)及び水(B)の存在下で、炭素数4〜22の不飽和ジカルボン酸(c1)と炭素数1〜22の脂肪族モノアルコール(c2)とのエステル化物(C)をスルホン化剤(D)でスルホン化物(E)に変換する工程(1)を有し、スルホン化剤(D)が二亜硫酸及びこの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、工程(1)がエプトン法により測定される(C)から(E)への変換率が75〜95%となるまで90〜115℃でスルホン化する工程(1−1)と更にエプトン法により測定される(C)から(E)への変換率が96%以上となるまで116〜135℃でスルホン化する工程(1−2)とを有する界面活性剤組成物の製造方法。
  2. 工程(1)において存在させたエステル化物(C)に対する多価アルコール(A)のモル比率{(A)/(C)}が0.2〜0.7である請求項1に記載の界面活性剤組成物の製造方法。
  3. 工程(1)において存在させたエステル化物(C)に対する水(B)のモル比率{(B)/(C)}が1.0〜4.0である請求項1又は2に記載の界面活性剤組成物の製造方法。
  4. スルホン化剤(D)が二亜硫酸塩であり、工程(1)において存在させたエステル化物(C)に対するスルホン化剤(D)のモル比率{(D)/(C)}が0.480〜0.499である請求項1〜3のいずれか1項に記載の界面活性剤組成物の製造方法。
  5. スルホン化剤(D)が二亜硫酸塩であり、工程(1)の後、未反応のスルホン化剤(D)又は(D)の加水分解物を中和剤(F)で中和して中和塩(G)を得る工程(2)及び中和塩(G)を酸化剤(H)で酸化して硫酸塩(I)を得る工程(3)を含む請求項1〜4のいずれかに記載の界面活性剤組成物の製造方法。
  6. 工程(2)の開始から終了までの時間の80%以上を20〜70℃で行う請求項5に記載の界面活性剤組成物の製造方法。
  7. 工程(3)の開始から終了までの時間の80%以上を20〜70℃で行う請求項5又は6に記載の界面活性剤組成物の製造方法。
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