JP3376676B2 - α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法 - Google Patents

α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、洗浄剤用界面活性剤と
して好適に使用されるα−スルホ脂肪酸アルキルエステ
ル塩の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、α−スルホ脂肪酸アルキルエ
ステルを中和して得られるα−スルホ脂肪酸エステル塩
は、耐硬水性が良好であり、洗浄力にも優れていると共
に、皮膚に対して低刺激性であるため、洗浄剤用界面活
性剤として広く使用されている。ところで、α−スルホ
脂肪酸アルキルエステルは、脂肪酸アルキルエステルを
三酸化硫黄でスルホン化して製造されるものである。具
体的には、脂肪酸アルキルエステルを三酸化硫黄でスル
ホン化した後、所定時間熟成し、その後所望により過酸
化水素で漂白し、次いで水酸化ナトリウム等の水溶液を
添加して中和することによって製造されている。あるい
は、所定時間熟成した後、水酸化ナトリウム等の水溶液
を添加して中和した後、過酸化水素又は次亜塩素酸ソー
ダで漂白することによって製造されている。
【0003】しかしながら、このようにして得られたα
−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩よりなる洗浄用界面
活性剤には、α−スルホ脂肪酸二塩が比較的多量に混合
されている。このα−スルホ脂肪酸二塩は、水に難溶
で、且つ界面活性能に乏しいものであるため、これが混
入していると、洗浄力が低下するという欠点がある。α
−スルホ脂肪酸二塩は、α−スルホ脂肪酸アルキルスル
ホエステルを中和することによって生成するものであ
り、またα−スルホ脂肪酸アルキルスルホエステルは、
脂肪酸アルキルエステルを三酸化硫黄でスルホン化する
際に必然的に生成するものである。
【0004】従って、スルホン化することによって生成
するα−スルホ脂肪酸アルキルスルホエステルを、スル
ホン化後に除去又は減少させる方法として、以下のよう
な方法が提案されている。即ち、スルホン化し、熟成し
た後中和工程前に、スルホン化混合物にアルキルアルコ
ールを添加して、α−スルホ脂肪酸アルキルスルホエス
テルとアルキルアルコールとの間でエステル交換し、α
−スルホ脂肪酸アルキルスルホエステルをα−スルホ脂
肪酸アルキルエステルに転換することが提案されている
(例えば、特公昭59−25369号公報,特公平5−
58428号公報,特公平5−77666号公報)。そ
して、エステル交換した後、直ちに過酸化水素等で漂白
し、更に水酸化ナトリウム等の水溶液で中和して、α−
スルホ脂肪酸アルキルエステル塩よりなる洗浄用界面活
性剤を得るのである。
【0005】しかし、この方法によると、得られた洗浄
用界面活性剤中には、α−スルホ脂肪酸アルキルエステ
ル塩の他に、エステル交換によって副生したアルキルサ
ルフェートが含有されている。また、過剰のアルキルア
ルコールを使用したときには、エステル交換に使用され
なかったアルキルアルコールが含有されている。このよ
うなアルキルサルフェートやアルキルアルコールが含有
されていると、以下のような種々の欠点が生じるという
ことがあった。例えば、得られた界面活性剤に、アルキ
ルアルコール等によって異臭が生じるということもあっ
た。また、得られたα−スルホ脂肪酸アルキルエステル
塩よりなる界面活性剤を噴霧乾燥して粒状洗浄剤とする
場合、プルーミング(pluming)が発生するということ
もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、脂
肪酸アルキルエステルをスルホン化し、熟成して得られ
たスルホン化混合物を、アルキルアルコールによってエ
ステル交換した後、副生したアルキルサルフェート或い
はエステル交換に使用されなかったアルキルアルコール
を除去し、その後漂白及び中和することによって、上記
した種々の欠点を回避して、α−スルホ脂肪酸アルキル
エステル塩よりなる界面活性剤を得ようというものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、脂肪酸
アルキルエステルを、該脂肪酸アルキルエステル1モル
に対して1〜2モルの三酸化硫黄でスルホン化して、反
応混合物を得る工程と、該反応混合物を熟成して、α−
スルホ脂肪酸アルキルエステルとα−スルホ脂肪酸アル
キルスルホエステルとを含有するスルホン化混合物を得
る工程と、該スルホン化混合物に、過剰の三酸化硫黄に
対して等モル以上のアルキルアルコールを添加混合し、
α−スルホ脂肪酸アルキルスルホエステルをエステル交
換して、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルにする工程
と、該エステル交換によって副生したアルキルサルフェ
ート及び、所望により該エステル交換に使用されなかっ
たアルキルアルコールを除去する除去工程と、該除去工
程の後、漂白剤を添加する漂白工程と、α−スルホ脂肪
酸アルキルエステルを中和してα−スルホ脂肪酸アルキ
ルエステル塩を得る中和工程とを、具備することを特徴
とするα−スルホ脂ルキルエステル塩の製造方法に関す
るものである。
【0008】本発明で使用する脂肪酸アルキルエステル
は、一般的には天然に存在する脂肪酸から誘導されるも
のが用いられ、また石油由来の合成脂肪酸から誘導され
るものも用いられる。天然に存在する脂肪酸としては、
やし油,獣脂,パーム油,パーム核油,魚油,大豆油等
から、所望により水素添加を行って、得ることができ
る。本発明で使用する脂肪酸アルキルエステルは、代表
的には、一般式RCH2COOR’(式中、Rは炭素数8
〜22のアルキル基であり、R’は炭素数1〜4のアルキル
基である。)で表わされるものが用いられる。特に、R
の炭素数が12〜18で、且つR’の炭素数が1の脂肪酸ア
ルキルエステルが好適に使用できる。
【0009】この脂肪酸アルキルエステルを三酸化硫黄
(SO3)でスルホン化する。三酸化硫黄の使用量は、
脂肪酸アルキルエステルが完全にスルホン化されるよう
にするため、脂肪酸アルキルエステル1モルに対して1〜
2モル使用する。このスルホン化は、脂肪酸アルキルエ
ステル中に三酸化硫黄ガスを導入することによって行わ
れる。三酸化硫黄ガスは、それ単独で用いられることは
少なく、一般的に不活性ガスと混合して用いられる。不
活性ガスとしては、一般的に、空気或いは窒素ガスが用
いられる。また、反応器としては、バッチ型や気液薄膜
型のものが使用できる。このスルホン化における温度条
件は、0〜150℃の範囲内で設定され、特に好ましくは50
〜100℃の範囲内で設定するのがよい。
【0010】以上のようにしてスルホン化され、得られ
た反応混合物は、熟成される。熟成の温度条件は、60〜
100℃程度が好ましく、また時間条件は20〜120分程度が
好ましい。この熟成は、前の工程であるスルホン化によ
って多量に生成されたα−スルホ脂肪酸アルキルスルホ
エステルを、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルに変換
させるために行われるものである。従って、熟成して得
られたスルホン化混合物は、α−スルホ脂肪酸アルキル
エステルとα−スルホ脂肪酸アルキルスルホエステルと
の混合物よりなるものである。
【0011】以上のスルホン化工程と熟成工程における
反応機構を化学式によって、説明すると以下のとおりで
ある。なお、三酸化硫黄は、脂肪酸アルキルエステル1
モルに対して、1.2モル使用されたものとして説明す
る。
【化1】
【化2】
【0012】熟成して得られたスルホン化混合物には、
過剰の三酸化硫黄に対して等モル以上のアルキルアルコ
ールが添加される。ここで、過剰の三酸化硫黄とは、脂
肪酸アルキルエステル1モルに対して、1モルを超える三
酸化硫黄のことである。例えば、1モルの脂肪酸アルキ
ルエステルに対して、1.2モルの三酸化硫黄が使用され
た場合には、0.2モルの三酸化硫黄が過剰の三酸化硫黄
と呼ばれるのである。従って、この場合に添加されるア
ルキルアルコールは0.2モル以上であることが必要であ
る。アルキルアルコールが添加されることによって、α
−スルホ脂肪酸アルキルスルホエステルがエステル交換
され、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルに変換される
のである。従って、添加されるアルキルアルコールが、
過剰の三酸化硫黄に対して等モル未満であると、スルホ
ン化混合物中のα−スルホ脂肪酸アルキルスルホエステ
ルのエステル交換が不十分となり、最終的にα−スルホ
脂肪酸二塩が残存するため、界面活性能に優れた界面活
性剤が得られず、好ましくない。
【0013】エステル交換に使用されるアルキルアルコ
ールとしては、代表的には、炭素数1〜6の短鎖アルキル
アルコールが使用される。即ち、メタノール,エタノー
ル,n-プロパノール,iso-プロパノール,n-ブタノー
ル,sec-ブタノール,ペンタノール,ヘキサノール等が
使用される。この中でも特に、メタノールを使用するの
が好ましい。何故なら、メタノールは、エステル交換の
反応速度が非常に速いからである。また、原料である脂
肪酸アルキルエステルにエステル結合されているアルキ
ル基(一般式で言えばR’)と同一の炭素数を持つアル
キルアルコールを使用することも好ましいことである。
その他の使用されるアルキルアルコールとしては、上記
した以外の脂肪族アルコール,或いは各種二価アルコー
ル等の従来公知のアルキルアルコールを用いることもで
きる。
【0014】アルキルアルコールの使用量は、過剰の三
酸化硫黄に対して等モル以上であるが、特に好ましくは
過剰の三酸化硫黄に対して1.0〜10モルの範囲であるの
がよく、最も好ましくは2〜5モルの範囲であるのがよ
い。アルキルアルコールの使用量が、過剰の三酸化硫黄
に対して10モルを超えると、エステル交換に使用されな
いアルキルアルコールの量が増大し、その後のアルキル
アルコールの除去に時間がかかり、合理的ではない。エ
ステル交換における温度条件や時間条件は、使用するア
ルキルアルコールの量や反応速度によって、任意に設定
すればよい。アルキルアルコールとしてメタノールを使
用した場合において、エステル交換の一般的な温度条件
は、40℃以上でメタノールの沸点以下の温度である。ま
た、一般的な時間条件は、0.1〜3時間程度である。
【0015】スルホン化混合物が、アルキルアルコール
によってエステル交換される反応機構を化学式で説明す
れば、以下のとおりである。なお、スルホン化混合物
は、前述した化2で熟成されたものを使用することと
し、アルキルアルコールは過剰の三酸化硫黄と等モル
(0.2モル)使用されたものとして説明する。
【化3】
【0016】化3に基づく説明から明らかなように、エ
ステル交換によってアルキルサルフェート(R' OSO
3 H)が副生する。また、過剰の三酸化硫黄に対して等
モルを超えてアルキルアルコールを使用すれば、エステ
ル交換に使用されないアルキルアルコールが残存するこ
とは明らかである。本発明においては、このようなアル
キルサルフェート及び、必要によりアルキルアルコール
を、エステル交換の後、漂白工程や中和工程の前に除去
するのである。アルキルサルフェート及びアルキルアル
コールの除去は、それらの沸点以上で且つα−スルホ脂
肪酸アルキルエステルの沸点未満の温度で、それらを蒸
発させることによって行う。アルキルアルコール及びア
ルキルサルフェートの蒸発除去には、薄膜式蒸発器を使
用するのが好ましい。これは、α−スルホ脂肪酸アルキ
ルエステルに熱的影響を与えにくいため、その着色や変
質を防止することができるからである。なお、アルキル
サルフェやアルキルアルコールの残存量は、エステル交
換後の混合物中において、1重量%以下となるようにす
ることが好ましい。
【0017】以上のようにしてエステル交換で副生した
アルキルサルフェート、及び必要により、エステル交換
に使用されなかったアルキルアルコールを除去した後、
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル(又は中和によって
得られた塩)は漂白工程に導入される。漂白工程は、α
−スルホ脂肪酸アルキルエステル(又は塩)に漂白剤を
添加することによって行われる。漂白剤としては、一般
的に過酸化水素又は次亜塩素酸(又は塩)が使用される
が、その他の漂白剤を使用しても差し支えない。特に、
α−スルホ脂肪酸アルキルエステルを中和する前に漂白
する場合には、過酸化水素を使用し、α−スルホ脂肪酸
エステルエステルを中和した後に漂白する場合には、過
酸化水素又は次亜塩素酸ソーダが使用される。過酸化水
素や次亜塩素酸(又は塩)は、一般的に水溶液の形態
で、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル(又は塩)に添
加される。漂白剤の使用量は、十分な漂白効果が実現で
きる程度に、任意の量を使用すればよい。例えば、漂白
剤として過酸化水素を使用した場合において、その添加
量は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル(又は塩)1
00重量部に対して、0.2〜5重量部であるのが好ま
しく、特に0.5〜2.0重量部であるのが最も好まし
い。過酸化水素の添加量が0.2重量部未満となると、
漂白効果が不十分となる傾向が生じる。また、過酸化水
素の添加量が5重量部を超えても、漂白効果に殆ど差異
がなく、それ以上の過酸化水素の使用は不経済である。
【0018】アルキルサルフェート及び、必要によりア
ルキルアルコールの除去工程の後、α−スルホ脂肪酸ア
ルキルエステルは中和工程に導入される。この中和工程
は、漂白工程の前、漂白工程と同時に、若しくは漂白工
程の後の任意の時期に行われる。α−スルホ脂肪酸アル
キルエステルの中和は、従来公知の任意の方法で行うこ
とができ、例えば水酸化ナトリウム等の塩基性物質を、
水溶液の形態で添加することによって行われる。塩基性
物質の添加量は、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルが
中和される、即ちPH7 となるように、任意に設定すれ
ばよい。この中和によって、α−スルホ脂肪酸アルキル
エステル塩が得られるのである。
【0019】化3でエステル交換されて得られたα−ス
ルホ脂肪酸アルキルエステルが中和される反応機構を化
学式で示せば、以下のとおりである。
【化4】
【0020】化4から明らかなとおり、本発明に係る方
法によれば、α−スルホ脂肪酸二塩の生成を十分に抑制
することができる。これに対し、熟成後エステル交換せ
ずに中和した場合には、多量のα−スルホ脂肪酸二塩が
生成することは、その反応機構を示した化5から明らか
であろう。
【化5】
【0021】
【実施例】
実施例1〜7 硬化蒸留脂肪酸メチルエステル(ヨーソ価0.1以下、平
均分子量282)1モルに、三酸化硫黄ガスを表1記載のモ
ル値とするように導入し、反応温度60℃で気液接触薄膜
反応器を用いて反応させた。得られた反応混合物を、80
℃で60分間熟成してスルホン化混合物を得た。その後、
このスルホン化混合物に、表1に記載したモル値のメタ
ノールを添加混合して、エステル交換を行った。エステ
ル交換の温度は70℃で、時間は30分間であった。次い
で、1.0mmHgに減圧して70℃に加熱し、エステル交換に
使用されなかったメタノール、及びエステル交換によっ
て副生したメチルサルフェートを除去した。除去工程を
終えた後の混合物中におけるメタノール及びメチルサル
フェートの残存量は、1重量%以下であった。
【0022】以上のようにして得られたα−スルホ脂肪
酸メチルエステル100gに、60重量%濃度の過酸化水素
水1.0gを添加して、70℃で0.5時間の条件で攪拌混合
し、漂白した。その後、4.3重量%濃度の水酸化ナトリ
ウム水溶液を、PH7になるまで添加することによっ
て、中和した。このようにして、α−スルホ脂肪酸メチ
ルエステルナトリウム塩25重量%を含有する界面活性剤
溶液を得た。
【0023】この界面活性剤溶液をイオン交換水で10重
量%に希釈した、希釈溶液を1cmの石英セルに入れ、波
長420μmの光線を用いて、吸光度(logI0/I:I0
入射光の明度であり、Iは透過光の明度である。)を測
定し、その値を1000倍にして、界面活性剤溶液の色調
(濃淡)を評価した。また、この界面活性剤溶液の臭い
を嗅いて、その評価も行った。これらの結果を表1に示
した。
【0024】また、界面活性剤溶液中に、α−スルホ脂
肪酸二塩(α−スルホ脂肪酸ジナトリウム塩)がどの程
度含有されているか否かを、以下の方法によって測定し
た。即ち、エプトン法による界面活性剤良の定量を、同
一量の試料を用いてアルカリ性及び酸性にて行い、その
滴定値の差より次式によって二塩含量(モル%)を求
め、これより重量%に換算した。二塩含量(モル%)=
[(A−B)/B]×100(但し、Aはアルカリエプト
ン滴定値であり、Bは酸性エプトン滴定値である。)。
この結果も表1に示した。
【0025】
【0026】
【表1】
【0027】比較例1 エステル交換後にメタノール及びメチルサルフェートの
除去を行わない他は、実施例1と同一の方法で界面活性
剤溶液を得た。この界面活性剤溶液の吸光度,視覚評
価,臭い評価及びα−スルホ脂肪酸二塩(α−スルホ脂
肪酸ジナトリウム塩)の含有量を測定し、表1に示し
た。
【0028】比較例2 エステル交換後にメタノール及びメチルサルフェートの
除去を行わない他は、実施例3と同一の方法で界面活性
剤溶液を得た。この界面活性剤溶液の吸光度,視覚評
価,臭い評価及びα−スルホ脂肪酸二塩(α−スルホ脂
肪酸ジナトリウム塩)の含有量を測定し、表1に示し
た。
【0029】比較例3 熟成後メタノールの添加をせずに、エステル交換を行わ
ない他は、実施例1と同様にして界面活性剤溶液を得
た。この界面活性剤溶液の吸光度,視覚評価,臭い評価
及びα−スルホ脂肪酸二塩(α−スルホ脂肪酸ジナトリ
ウム塩)の含有量を測定し、表1に示した。
【0030】実施例1〜及び比較例1〜3とを対比す
れば明らかなとおり、エステル交換後に、エステル交換
に使用されなかったメタノール及びエステル交換によっ
て副生したメチルサルフェートを除去した場合には、漂
白効果が十分に発揮され、淡色の界面活性剤溶液が得ら
れることが判る。これに対して、エステル交換後に、メ
タノール等の除去を行わない場合には(比較例1及び
2)、漂白効果が減殺され、比較的濃色の界面活性剤溶
液しか得られないことが判る。また、メタノールを添加
せずにエステル交換を行わない場合には(比較例3)、
極端に濃色で且つα−スルホ脂肪酸二塩の含有量の多い
界面活性剤溶液しか得られないことが判る。
【0031】
【発明の効果】本発明に係るα−スルホ脂肪酸アルキル
エステル塩の製造方法は、脂肪酸アルキルエステルをス
ルホン化した場合に副生するα−スルホ脂肪酸アルキル
スルホエステルを、アルキルアルコールによってエステ
ル交換し、最終的にα−スルホ脂肪酸アルキルスルホエ
ステルに由来するα−スルホ脂肪酸二塩の生成を抑制す
るというものである。そして、この際、エステル交換に
よって副生したアルキルサルフェート、及び所望により
エステル交換に使用されなかったアルキルアルコール
を、エステル交換後で次工程(漂白工程及び中和工程)
前に、除去するというものである。
【0032】従って、本発明に係る方法によれば、α−
スルホ脂肪酸アルキルエステルを漂白する場合、漂白効
果が低下することを防止しうる。依って、淡色で透明感
のある、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩よりなる
界面活性剤溶液が得られるという効果を奏するものであ
る。また、得られた界面活性剤溶液中には、アルキルア
ルコール及びアルキルサルフェートが殆ど含有されてい
ないため、界面活性剤溶液に異臭が生じるのを防止でき
るという効果を奏する。更に、得られたα−スルホ脂肪
酸アルキルエステル塩を含有する界面活性剤溶液を噴霧
乾燥して粒状洗浄剤とする場合、界面活性剤溶液中にア
ルキルアルコール及びアルキルサルフェートが殆ど含有
されていないため、プルーミング(pluming)が
発生するのを防止しうるという効果をも奏する。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 303/06 C07C 309/17

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪酸アルキルエステルを、該脂肪酸ア
    ルキルエステル1モルに対して1〜2モルの三酸化硫黄
    でスルホン化して、反応混合物を得る工程と、 該反応混合物を熟成して、α−スルホ脂肪酸アルキルエ
    ステルとα−スルホ脂肪酸アルキルスルホエステルとを
    含有するスルホン化混合物を得る工程と、 該スルホン化混合物に、過剰の三酸化硫黄に対して等モ
    ル以上のアルキルアルコールを添加混合し、α−スルホ
    脂肪酸アルキルスルホエステルをエステル交換して、α
    −スルホ脂肪酸アルキルエステルにする工程と、 該エステル交換によって副生したアルキルサルフェート
    を除去する除去工程と、 該除去工程の後、漂白剤を添加する漂白工程と、 該除去工程の後、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルを
    中和してα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を得る中
    和工程とを、 具備することを特徴とするα−スルホ脂肪酸アルキルエ
    ステル塩の製造方法。
  2. 【請求項2】 脂肪酸アルキルエステルを、該脂肪酸ア
    ルキルエステル1モルに対して1〜2モルの三酸化硫黄
    でスルホン化して、反応混合物を得る工程と、 該反応混合物を熟成して、α−スルホ脂肪酸アルキルエ
    ステルとα−スルホ脂肪酸アルキルスルホエステルとを
    含有するスルホン化混合物を得る工程と、 該スルホン化混合物に、過剰の三酸化硫黄に対して等モ
    ル以上のアルキルアルコールを添加混合し、α−スルホ
    脂肪酸アルキルスルホエステルをエステル交換して、α
    −スルホ脂肪酸アルキルエステルにする工程と、 該エステル交換によって副生したアルキルサルフェー
    ト、及び該エステル交換に使用されなかったアルキルア
    ルコールを除去する除去工程と、 該除去工程の後、漂白剤を添加する漂白工程と、 該除去工程の後、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルを
    中和してα−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を得る中
    和工程とを、 具備することを特徴とするα−スルホ脂肪酸アルキルエ
    ステル塩の製造方法。
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