JP6672971B2 - 電極体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電極体の製造方法に関する。
現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウムイオン電池が注目を浴びている。リチウムイオン電池としては、電解液を固体電解質に置換した全固体電池が知られている。固体電解質を用いた全固体電池は、電解液を用いる二次電池と異なり電解液を用いないことから過充電に起因する電解液の分解等を生じないこと、及び高いサイクル特性及びエネルギー密度を有すること等の利点がある。
固体電解質としては、酸化物固体電解質が注目されている。酸化物固体電解質は、大気安定性に優れ、かつ高い安全性を有するリチウムイオン電池を作製することができるためである。酸化物固体電解質としては、アルミニウム置換リン酸チタンリチウム(LATP)及びアルミニウム置換リン酸ゲルマニウムリチウム(LAGP)等、10−4S/cm台の、高いリチウムイオン伝導度を有するものが知られている。
酸化物固体電解質を用いた全固体電池の容量を向上させる観点から、電極活物質と酸化物固体電解質との間の界面の密着性を向上させること、及び電極活物質層と酸化物固体電解質との界面における副生成物の生成を抑制することが、課題となっている。
全固体電池において、電極活物質と固体電解質との間の界面の密着性を向上させる手段、及び電極活物質層と固体電解質との界面における副生成物を抑制する手段としては、特許文献1の手段を挙げることができる。
特許文献1は、電極活物質を含む電極体層を作製し、その上から固体電解質の前駆体を加熱して融解させた液体を滴下することにより、電極活物質層と固体電解質との界面の密着性を向上させるとともに、電極活物質層と固体電解質との界面における副生成物を抑制して、電池の容量及び出力を向上させたリチウムイオン電池の製造方法を開示している。
また、硫化物全固体電池において、電池使用時に正極活物質と硫化物固体電解質とが反応することを抑制する手段として、正極活物質粒子の表面をニオブ酸リチウムなどの金属酸化物で被覆する方法として、特許文献2が知られている。
特許文献2は、電極活物質粒子にニオブ酸リチウムを被覆した複合電極活物質において、ニオブ酸リチウムの被覆の不純物を低減することができる、複合電極活物質の製造方法、及びこの複合電極活物質を使用した全固体電池を開示している。
さらに、酸化物固体電解質であるLiNbOを正極電極体に用いた全固体電池が、部特許文献3に示されている。
特許文献3では、ニオブ酸リチウムの原料を含むゾル液、電極活物質、及び導電助剤を混合してゾル液を作製し、その後このゾル液に水を加えて乾燥させ、加圧し、その後焼成して非晶質のニオブ酸リチウムを含む正極電極体を製造する方法を開示している。
特開2016−025020号公報 特開2013−243107号公報 特開2010−248045号公報
酸化物固体電解質を用いた酸化物全固体電池において、電極活物質と酸化物固体電解質との界面の接触・接合を良好にすることが求められている。
電極活物質と酸化物固体電解質との界面の接触・接合を良好にする従来の手段としては、電極活物質と非晶質の酸化物固体電解質とを有する電極活物質層を600℃以上の高温で焼結し、非晶質の酸化物固体電解質を軟化させて、電極活物質と酸化物固体電解質との界面の接触・接合を行う方法が知られている。
しかしながら、この手段では、電極活物質層を600℃以上の高温で焼結する際に、電極活物質と酸化物固体電解質とが副反応を起こして両者の界面抵抗が増大すること、各材料の熱膨張収縮率が異なるために電極活物質層が割れてしまうこと等の問題があった。また、高温での焼成を行うことによりコストが増大してしまうという問題もあった。
したがって、本発明は、高温での焼成を必要とせずに、電極活物質と酸化物固体電解質との界面の接触・接合を良好にし、リチウムイオン電池の容量を向上させる、電極体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、下記のとおりである:
(A)リチウム元素を含有する電極活物質粒子と第1の溶媒とを含む電極活物質スラリーを集電体の表面に塗布し、乾燥させて電極体前駆体を作製する工程、
(B)前記電極体前駆体に固体電解質前駆体溶液を含浸させる工程、及び
(C)前記固体電解質前駆体溶液を含浸させた前記電極体前駆体を乾燥させる工程、
を含み、
前記固体電解質前駆体溶液は、第2の溶媒、前記第2の溶媒に溶解した第1の酸化物固体電解質原料、及び前記第2の溶媒に溶解した第2の酸化物固体電解質原料を有し、
前記第2の溶媒は、水系溶媒であり、かつ有機溶媒を含まず、かつ
前記第2の溶媒に溶解した前記第1の酸化物固体電解質原料、及び前記第2の溶媒に溶解した前記第2の酸化物固体電解質原料は、炭素元素を有さない、
電極体の製造方法。
本発明によれば、高温での焼成を必要とせずに、電極活物質と酸化物固体電解質との界面の接触・接合を良好にし、リチウムイオン電池の容量を向上させる、電極体の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明のある実施形態に基づく、電極体の製造方法の概略図である。 図2は、本発明の他の実施形態に基づく製造方法によって作製した正極電極体の断面のSEM−EDX画像である。 図3は、従来の方法によって作製した正極集電体の断面のSEM−EDX画像である。 図4は、実施例2のサイクリックボルタンメトリーに用いた酸化物全固体電池の構成を表す概略図である。 図5は、実施例2のサイクリックボルタンメトリーの結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるのではなく、発明の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。
電極体を製造する本発明の製造方法は、(A)リチウム元素を含有する電極活物質粒子と第1の溶媒とを含む電極活物質スラリーを集電体の表面に塗布し、乾燥させて電極体前駆体を作製する工程、(B)電極体前駆体に固体電解質前駆体溶液を含浸させる工程、及び(C)固体電解質前駆体溶液を含浸させた電極体前駆体を乾燥させる工程を含んでいる。ここで、固体電解質前駆体溶液は、第2の溶媒、第2の溶媒に溶解した第1の酸化物固体電解質原料、及び第2の溶媒に溶解した第2の酸化物固体電解質原料を有している。また、この第2の溶媒は水系溶媒であり、かつ有機溶媒を含まない。さらに、第2の溶媒に溶解した第1の酸化物固体電解質原料、及び第2の溶媒に溶解した第2の酸化物固体電解質原料は、炭素元素を有さない。
図1は、本発明のある実施形態に基づく、電極体の製造方法の略図である。図1の(a)〜(c)は、それぞれ工程A〜Cに対応している。
図1の(a)は、工程Aによって形成した電極体前駆体(30)を示している。図1の(a)において、電極体前駆体(30)は電極活物質粒子(10)及び集電体(20)を有する。
図1の(b)は、工程Bによって固体電解質前駆体溶液(40)を含浸させた電極体前駆体(30)を示している。
図1の(c)は、工程Cによって固体電解質前駆体溶液を含浸させた電極体前駆体を乾燥させて形成した電極体(60)を示している。図1の(c)において、形成された電極体(60)は、電極活物質と酸化物固体電解質との界面の接触・接合をさらに向上させ、かつエネルギー密度を向上させるため、加圧(50)されている。
原理によって限定されるものではないが、本発明の作用原理は以下のとおりであると考える。
酸化物全固体電池の電極体を製造するための従来の方法では、電極活物質と酸化物固体電解質を含むスラリーを集電体上に塗布・乾燥させて正極集電体を形成し、さらに600℃以上の高温で焼結することにより、電極活物質と酸化物固体電解質との界面を接触・接合していた。
このような従来の方法では、600℃以上の高温において電極活物質に含まれるコバルト、ニッケル、マンガン等の遷移金属と、LATPやLAGPに代表されるガラス電解質中のリンが相互拡散し、電極活物質と酸化物固体電解質との界面に新たな反応層が生成される。この反応層はリチウムイオン伝導率が低く、電極活物質と酸化物固体電解質との界面におけるリチウムイオンの伝導が阻害される。これにより、電極活物質と酸化物固体電解質との界面における界面抵抗が増大し、電池の容量が低下する。
これに対して、本発明の方法では、固体電解質の原料成分を溶解した溶液を用い、化学反応によって、電極活物質と酸化物固体電解質との界面を接触・接合している。
具体的には、本発明では、固体電解質の原料成分を、極性が大きい水を含む溶媒に溶解させた溶液を、電極活物質粒子を含む多孔体である電極体前駆体に含浸させ、乾燥させている。
このような方法を行うことにより、アモルファスの酸化物固体電解質は正極電極活物質多孔体電極の隙間を埋め、かつ酸化物固体電解質の原料を溶解した溶液と正極電極活物質との化学反応により、電極活物質と酸化物固体電解質との界面が接触・接合される。そして、この化学反応において電極活物質のリチウムが電極活物質と酸化物固体電解質との界面に移動し、電極活物質と酸化物固体電解質との界面においてリチウムイオン伝導パスが形成される。これにより、電極活物質と酸化物固体電解質との界面抵抗が低減し、電池の容量が増加する。
なお、炭素元素が電極活物質と酸化物固体電解質との界面に存在する場合、リチウムイオンの伝導を阻害すると考えられる。そのため、本発明において、酸化物固体電解質は、炭素元素を有さない。また、酸化物固体電解質の原料を溶解させるために用いる溶媒は、水系溶媒であり、かつ有機溶媒を含まない。
ここで、「炭素元素を有さず」、又は「有機溶媒を含まない」とは、不純物としての炭素元素又は有機溶媒の存在を否定する趣旨ではない。
〈電極体を製造する本発明の製造方法〉
電極体を製造する本発明の製造方法は、下記の工程A、B及びCを含んでいる。
〈工程A〉
工程Aは、リチウム元素を含有する電極活物質粒子と第1の溶媒とを含む電極活物質スラリーを集電体の表面に塗布し、乾燥させて電極体前駆体を作製する工程である。
電極活物質スラリーは、電極活物質粒子及び第1の溶媒、並びに随意にバインダーを含んでいる。
電極活物質粒子は、リチウムイオン電池の正極電極体又は負極電極体に用いることができる活物質の粒子のうち、リチウム元素を含有するものであれば、特に限定されない。
電極活物質粒子としては、例えばコバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(Li1+xNi1/3Co1/3Mn1/3)、マンガン酸リチウム(LiMn)、Li1+xMn2−x−y(MがAl、Mg、Co、Fe、Ni、Znから選ばれる一種類以上)で表される組成の異種元素置換Li−Mnスピネル、チタン酸リチウム(LiTiO)、若しくはLiMPO4(MがFe、Mn、Co、Niから選ばれる一種類以上)で表される組成のリン酸金属リチウム等の粒子、又はこれらの組み合わせ、若しくはLiとTi、Mg、In若しくはAlとの合金等の粒子を挙げることができる。
第1の溶媒は、電極活物質粒子を分散させることができ、かつ随意のバインダーを分散又は溶解することができる溶媒であれば特に限定されない。
第1の溶媒としては、例えば、ヘプタン、キシレン、若しくはトルエン等の無極性溶媒、又は第三級アミン系溶媒、エーテル系溶媒、チオール系溶媒、若しくはエステル系溶媒等の極性溶媒を挙げることができる。さらに、第三級アミン系溶媒、例えば、トリエチルアミン等;エーテル系溶媒、例えば、シクロペンチルメチルエーテル等;チオール系溶媒、例えば、エタンメルカプタン等;若しくはエステル系溶媒、例えば、酪酸ブチル等;又はこれらの組み合わせ等も、第1の溶媒として挙げることができる。
なお、第1の溶媒は有機溶媒を使用してもよいが、これは、工程Aにおける乾燥により、第1の溶媒が電極体前駆体から実質的に除去され、後の工程B及びCを経て製造される電極体において電極活物質と酸化物固体電解質との界面に第1の溶媒が実質的に残留しないためである。
バインダーとしては、特に限定されないが、ポリマー樹脂、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、若しくはカルボキシメチルセルロース(CMC)等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
集電体としては、特に限定されることなく、各種金属、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、若しくはチタン等、又はこれらの合金の集電体を用いることができる。化学的安定性の観点から、製造する電極体が正極電極体である場合には、集電体としてはアルミニウムの集電体が好ましく、製造する電極体が不極電極体である場合には、集電体としては銅の集電体好ましい。
集電体に塗布した電極活物質スラリーを乾燥させる手段は特に限定されず、例えば加熱したホットプレート上で放置することによって乾燥させることができる。
電極体前駆体は、集電体上に塗布された電極活物質スラリーを乾燥して形成されるため、集電体上に、電極活物質粒子からなる多孔質の層が積層された構造を有する。
〈工程B〉
工程Bは、電極体前駆体に固体電解質前駆体溶液を含浸させる工程である。
固体電解質前駆体溶液は、第2の溶媒、第2の溶媒に溶解した第1の酸化物固体電解質原料、及び第2の溶媒に溶解した第2の酸化物固体電解質原料を有する。
第2の溶媒は、有機溶媒を含まない。第2の溶媒としては、具体的には水を挙げることができる。
酸化物固体電解質原料は、炭素元素を有さない。酸化物固体電解質原料の具体例としては、例えば酸化物固体電解質としてのニオブ酸リチウム(LiNbO)の材料として、第1の酸化物固体電解質原料としての水酸化リチウム(LiOH)、及び第2の酸化物固体電解質原料としてのニオブ酸(Nb−nHO)を用いることができる。他の例として、酸化物固体電解質としてのリン酸三リチウム(LiPO)の材料として、第1の酸化物固体電解質原料としての水酸化リチウム(LiOH)、及び第2の酸化物固体電解質原料としてのリン酸(HPO)を用いることができる。さらに他の例として、酸化物固体電解質としてのリン酸三リチウム(LiPO)の材料として、第1の酸化物固体電解質原料としての水酸化リチウム(LiOH)、及び第2の酸化物固体電解質原料としてのリン酸二水素アンモニウム(NHPO)を用いることができる。
また、固体電解質前駆体溶液は、その他の成分として、例えばアンモニア、及び過酸化水素等を含んでいてよい。
電極体前駆体に固体電解質前駆体溶液を含浸させる方法としては、多孔質の電極体前駆体の間隙内に固体電解質前駆体溶液を充填することができる方法であれば特に限定されない。含浸の方法としては、例えば真空差圧方式、又は単純浸漬方式等を挙げることができる。
〈工程C〉
工程Cは、固体電解質前駆体溶液を含浸させた電極体前駆体を乾燥させる工程である。
固体電解質前駆体溶液を含浸させた電極体前駆体を乾燥させる手段は特に限定されず、例えば加熱したホットプレート上で放置することによって乾燥させることができる。
電極活物質と酸化物固体電解質との界面の接触・接合をさらに向上させ、かつエネルギー密度を向上させるため、乾燥後の電極体前駆体に対してさらに加圧を行ってもよい。加圧の具体的な方法としては、例えばロールプレス、又は一軸プレスなどを挙げることができる。
〈電池の評価及び正極電極体の断面のSEM観察〉
下記のようにして、本発明の製造方法により製造した正極電極体を有する全固体電池(実施例1)、及び本発明の製造方法によらずに製造した正極電極体を有する全固体電池(比較例1及び2)を作製し、その電池容量(mAh/g)を測定した。また、本発明の製造方法により製造した正極電極体を有する全固体電池(実施例1)、及び本発明の製造方法によらずに製造した正極電極体を有する全固体電池(比較例1)について、それぞれ正極電極体の断面のSEM観察を行い、その断面構造を比較した。
1.実施例1
(1)正極電極体の作製
正極活物質としてのコバルト酸リチウム(LiCoO)、バインダーとしての5重量%のPVDF、及び分散媒としてのN−メチルピロリドンを混合してペーストを作製した。このペーストを、集電体としてのアルミニウム箔に塗布し、乾燥させることにより、多孔質の正極電極体前駆体を作製した。この正極電極体前駆体を直径16mmの円形に打抜いた。
次に、水酸化リチウム(LiOH)とニオブ酸水和物(Nb−nHO)を、ニオブ酸リチウム(LiNbO)の組成比になるように、1:1のモル比で、過酸化水素水及びアンモニアを溶解させた水に溶解させて、固体電解質前駆体溶液としてのニオブ酸リチウム(LiNbO)水溶液を作製した。
その後、多孔質の正極電極体前駆体に固体電解質前駆体溶液を含浸させ、ホットプレート上で、100℃で乾燥させ、ロールプレスを用いて加圧して、正極電極体を作製した。
(2)全固体電池の作製
作製した正極電極体を、硫化物固体電解質としてのLiS−Pを用いて作製した固体電解質層、及び負極電極体としてインジウムとリチウムとの合金と組み合わせて全固体電池を作製した。
(3)電池の評価
作製した全固体電池を60℃に保温しつつ、2.4V(vs.InLi)〜3.6V(vs.InLi)で定電流評価を行い、上下限電圧に到達後にその電圧で1/100Cまで電流を減少させ、その放電容量を評価した。なお、「vs.InLi」は、負極電極体としてのインジウムとリチウムとの合金に対する電位を意味している。
(4)正極電極体の断面のSEM観察
上記3の電池評価後、全固体電池を解体し、正極電極体の断面について、SEM−EDXにより観察を行った。
2.比較例1
ニオブ酸リチウム(LiNbO)の粉末、コバルト酸リチウム(LiCoO)、及びPVDFを、実施例1と同様の組成比になるようにし混合し、正極集電体としてのアルミニウム箔上に塗布し、乾燥させ、プレスして、正極電極体を作製した。
その後、実施例1と同様にして、全固体電池の作製、電池評価、及び正極電極体の断面のSEM観察を行った。
3.比較例2
LiOC及びNb(OC)を、ニオブ酸リチウム(LiNbO)の組成比になるように、1:1のモル比で、エタノールに溶解させて、固体電解質前駆体溶液を作製したことを除いて、実施例1と同様にして正極電極体を作製した。
その後、実施例1と同様にして、全固体電池の作製、及び電池評価を行った(正極電極体の断面のSEM観察は行わなかった)。
4.結果
(1)電池の評価の結果
表1は、実施例1、比較例1、及び比較例2の正極電極体を用いて作成した全固体電池のそれぞれの電池評価の結果を示している。
表1に示されるように、実施例1の正極電極体を使用した全固体電池の放電容量は、理論容量の90%に近い値となった。これに対して、比較例1及び2の正極電極体を使用した全固体電池の放電容量は、それぞれ理論容量と比較して、非常に低い値となっている。なお、表1に記載のように、実施例1、比較例1及び2の全固体電池の理論容量は、140mAh/gであった。
(2)正極電極体の断面のSEM観察の結果
実施例1の正極電極体の断面のSEM観察の結果を図2の(a)〜(d)に示した。また、比較例1の正極電極体の断面のSEM観察の結果を、図3に示した。なお、図2の(b)〜(d)では、それぞれLα1線、Lα2線、及びKα1線を用いている。
実施例1の正極電極体において、図2(a)のように、固体電解質としてのニオブ酸リチウムが正極活物質としてのコバルト酸リチウム粒子間の隙間を均一に埋めていることが観察された。なお、図2(b)〜(d)において、白い部分はそれぞれニオブ原子、コバルト原子、アルミニウム原子の分布を示している。
これに対して、図3に示されるように、比較例1の正極電極体において、固体電解質としてのニオブ酸リチウムが正極活物質としてのコバルト酸リチウム粒子間の隙間を十分に埋めることができていないことが観察された。なお、図3の画像では、比較例1の正極電極体の断面の構造に加え、Co原子(200)の分布、Nb原子(210)の分布、Al原子(220)の分布を示している。
〈本発明の製造方法により作製した正極電極体を用いた酸化物全固体電池の評価〉
本発明の正極電極体を、酸化物固体電解質層を有する酸化物全固体電池に適用することができることを実証するため、下記の実施例2のようにして、酸化物全固体電池を作製し、サイクリックボルタンメトリー評価を行った。
1.実施例2
(1)酸化物全固体電池の作製
膜厚2mmの酸化物固体電解質LLZ(LiLaZr12)の固体電解質層に、実施例1におけるものと同じ組成のニオブ酸リチウム水溶液を若干量滴下した。この固体電解質層の上に、実施例1と同様にして作製した正極電極体を乗せ、ホットプレートの上で、100℃で加熱・乾燥し、固体電解質層と正極電極体の積層体を作製した。さらに、この積層体の固体電解質層側に金属リチウムを積層して、実施例2の酸化物全固体電池を作製した。
なお、図4は、両端がステンレス鋼(100)によって挟まれている、実施例2の酸化物全固体電池である。図4において、酸化物全固体電池は、実施例1と同様にして作製した正極電極体(70)、固体電解質層(80)、及び負極電極体(90)としての金属リチウムを有する。ここで、正極電極体(70)は、正極集電体(71)としてのアルミニウム箔、及び正極活物質としてのコバルト酸リチウム、及び固体電解質としてのニオブ酸リチウムを有する正極活物質層(72)によって形成されている。また、酸化物全固体電池は、その両端がステンレス鋼(100)によって挟まれている。
(2)サイクリックボルタンメトリー評価
作成した酸化物全固体電池に対して、3〜4.2V(vs.Li/Li)、0.05mV/sec、60℃にてサイクリックボルタンメトリーを行った。なお、「vs.Li/Li」は、リチウム析出電位に対する電位を意味している。
2.結果
図5は、サイクリックボルタンメトリーの結果を示している。図5のように、実施例2の酸化物全固体電池では、3.7V(vs.Li/Li)付近においてピークがみられ、酸化還元反応が確認された。
したがって、実施例1の方法により作製した正極電極体を組み込んだ酸化物全固体電池が作動することが確認された。
10 電極活物質粒子
20 集電体
30 電極体前駆体
40 固体電解質前駆体溶液
50 加圧
60 電極体
70 正極電極体
71 正極集電体
72 正極活物質層
80 固体電解質層
90 負極電極体
100 ステンレス鋼
200 Co原子
210 Nb原子
220 Al原子

Claims (1)

  1. (A)リチウム元素を含有する電極活物質粒子と第1の溶媒とを含む電極活物質スラリーを集電体の表面に塗布し、乾燥させて電極体前駆体を作製する工程、
    (B)前記電極体前駆体に固体電解質前駆体溶液を含浸させる工程、及び
    (C)前記固体電解質前駆体溶液を含浸させた前記電極体前駆体を乾燥させる工程、
    を含み、
    前記固体電解質前駆体溶液は、第2の溶媒、前記第2の溶媒に溶解した第1の酸化物固体電解質原料、及び前記第2の溶媒に溶解した第2の酸化物固体電解質原料を有し、
    前記第2の溶媒は、水系溶媒であり、かつ有機溶媒を含まず、かつ
    前記第2の溶媒に溶解した前記第1の酸化物固体電解質原料、及び前記第2の溶媒に溶解した前記第2の酸化物固体電解質原料は、炭素元素を有さない、
    電極体製造工程、
    前記電極体製造工程で製造された電極体と硫化物固体電解質層と対極電極体とを組み合わせる工程、
    とを有する、全固体電池の製造方法。
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