JP6668012B2 - 金属樹脂積層体及び高周波用配線基板 - Google Patents

金属樹脂積層体及び高周波用配線基板 Download PDF

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Description

本発明は、金属樹脂積層体及び高周波用配線基板に関する。
ポリノルボルネン系樹脂は、高い透明性を有し、光学材料、電気部品材料等の分野で広く利用されている。また、ポリノルボルネン系樹脂を、金属積層体(プリント基板等)における樹脂層として用いることも提案されている。金属積層体は、樹脂層と金属箔層とを積層することで得られる。例えば、特許文献1及び2には、ノルボルネン系単量体の開環重合体を含む溶液を金属箔に塗布及び乾燥することで得られる金属積層体が開示されている。
国際公開第98/56011号パンフレット 特開2005−103949号公報
しかし、ノルボルネン系単量体の開環重合体は耐熱性が不十分である可能性があるため、高いガラス転移温度を付与するために、一般的に、重合体の構成単位として官能基や極性基等を含むものを使用する。しかし、このような構成単位から得られる重合体は、比誘電率や誘電正接が高く、高周波特性が要求される用途の材料としては適さない可能性がある。したがって、高いガラス転移温度を有し、かつ、低い比誘電率及び誘電正接を有するノルボルネン系共重合体を含み、耐熱性及び高周波特性が要求される用途に好適な金属積層体が求められていた。
本発明は、高いガラス転移温度、並びに、低い比誘電率及び誘電正接を併せて有するノルボルネン系共重合体を含む金属樹脂積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、所定範囲のガラス転移温度、重量平均分子量及び誘電特性を有する、ノルボルネンとα−オレフィンとのノルボルネン系共重合体を含む樹脂層を、金属樹脂積層体の樹脂層として使用することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 樹脂層と、前記樹脂層の片面又は両面に設けられる金属箔層とを含む金属樹脂積層体であって、
前記樹脂層は、ノルボルネンとα−オレフィンとのノルボルネン系共重合体を含み、
前記ノルボルネン系共重合体は、ガラス転移温度が250℃以上310℃以下であり、かつ、ゲルパーミッションクロマトグラフィで測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000以上300,000以下であり、
前記ノルボルネン系共重合体の5GHzにおける比誘電率は2.3以下であり、かつ、誘電正接は4×10−4以下である金属樹脂積層体。
(2) 前記ノルボルネン系重合体をp−メンタンに溶解させて得られる20重量%溶液を23℃で24時間放置したときの前記20重量%溶液の粘度が31,000mPa・s以下である(1)に記載の金属樹脂積層体。
(3) 前記重量平均分子量は、50,000以上300,000以下である(1)又は(2)に記載の金属樹脂積層体。
(4) 前記ノルボルネン系重合体は、ノルボルネンに由来する構造単位の含有量が全構造単位に対し80モル%以上90モル%以下である(1)から(3)のいずれかに記載の金属樹脂積層体。
(5) 前記樹脂層は、前記ノルボルネン系共重合体の溶液を含浸してなる繊維強化材である(1)から(4)のいずれかに記載の金属樹脂積層体。
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の金属積層体を含む高周波用配線基板。
本発明によれば、高いガラス転移温度、並びに、低い比誘電率及び誘電正接を併せて有するノルボルネン系共重合体を含む金属樹脂積層体が提供される。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
≪金属樹脂積層体≫
本発明に係る金属樹脂積層体は、ノルボルネン系重合体を含む樹脂層と、該樹脂層の片面又は両面に設けられる金属箔層とを含む。該樹脂層に含まれるノルボルネン系重合体は、ノルボルネンとα−オレフィンとのノルボルネン系共重合体であり、かつ、所定範囲の重量平均分子量を有し、かつ、高いガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう。)、並びに、低い比誘電率及び誘電正接を併せて有する。したがって、本発明に係る金属樹脂積層体は、耐熱性及び高周波特性が要求される用途において好適に使用できる。
<樹脂層>
本発明に係る金属樹脂積層体の樹脂層に含まれるノルボルネン系重合体は、ガラス転移温度が250℃以上310℃以下であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000以上300,000以下である。また、ノルボルネン系重合体の5GHzにおける比誘電率は2.3以下であり、かつ、誘電正接は4.0×10−4以下である。ノルボルネン系重合体は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ノルボルネン系重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常、250℃以上であり、好ましくは260℃以上であり、より好ましくは270℃以上である。上記ガラス転移温度が250℃未満であると、ノルボルネン系重合体を含む樹脂層は、耐熱性に劣ったものとなりやすい。上記ガラス転移温度が250℃以上であると、ノルボルネン系重合体を含む樹脂層は、十分な耐熱性を有するため、例えば、溶融した鉛フリー半田に接しても、変形、亀裂、融解等が生じにくいため、鉛フリー半田用部材として好適に用いることができる。
ノルボルネン系重合体のガラス転移温度(Tg)は、通常、310℃以下であり、好ましくは300℃以下であり、より好ましくは295℃以下である。上記ガラス転移温度が310℃超であると、ノルボルネン系重合体が溶媒に溶解しにくく、ノルボルネン系重合体の加工性に劣り得る。上記ガラス転移温度が310℃以下であると、ノルボルネン系重合体が溶媒に溶解し、後述する粘度特性を有するノルボルネン系重合体溶液が得られやすいので、ノルボルネン系重合体の加工性に優れる。
なお、本明細書において、ガラス転移温度は、DSC法(JIS K 7121記載の方法)によって昇温速度20℃/分の条件で測定した値を採用する。
ノルボルネン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、5,000以上300,000以下であり、好ましくは30,000以上300,000以下であり、さらに好ましくは50,000以上300,000以下、より好ましくは100,000超300,000以下であり、最も好ましくは250,000超300,000以下である。上記重量平均分子量が5,000未満であると、ノルボルネン系重合体を含む樹脂層の機械的強度が低下する恐れがある。上記重量平均分子量が300,000超であると、得られるノルボルネン系重合体溶液の粘度が過度に高くなり、樹脂膜の製造や繊維布等への含浸が困難になる場合がある。
ノルボルネン系重合体の重量平均分子量は、重合時に添加する連鎖移動剤の量を適宜調整することによって、所望の値に調整できる。
ノルボルネン系重合体をp−メンタンに溶解させて得られる20重量%溶液を23℃で24時間放置したときの上記20重量%溶液の粘度は、通常、31,000mPa・s以下であり、好ましくは30,000mPa・s以下である。上記粘度が31,000mPa・s超であると、樹脂膜の製造や繊維布への含浸をするときにノルボルネン系重合体溶液は流動性が低くなり過ぎる恐れがあり、公知の塗布方法や含浸方法を用いて、このノルボルネン系重合体溶液から、金属樹脂積層体の樹脂層を製造することが困難となりやすい。ノルボルネン系重合体をp−メンタンに溶解させて得られる20重量%溶液を23℃で24時間放置したときの上記20重量%溶液の粘度の下限値は、特に限定されないが、500mPa・s以上、好ましくは1,000mPa・s超であってもよい。
なお、本明細書において、溶液粘度は、JIS K 7117−2に準拠して測定した値を採用する。
ノルボルネン系重合体の上記溶液粘度は、適度な分子量を有するノルボルネン系重合体や溶媒の種類を適宜選択したり、溶媒量の調整等によってノルボルネン系重合体溶液濃度を調整したりすることによって、所望の値に調整できる。
ノルボルネン系重合体の5GHzにおける比誘電率は、通常、2.3以下であり、かつ、誘電正接は4.0×10−4以下、好ましくは3.5×10−4以下、さらに好ましくは3.0×10−4以下である。
従来より、ノルボルネン系単量体とエチレンとの付加共重合体(COC)やノルボルネン系単量体の開環重合体の水添物(COP)は、低い値の比誘電率、誘電正接及び吸水率を有していることが知られていたが、通常、COCやCOPは、高いTg(例えば、250℃以上)を有しておらず、耐熱性が不足していた。COPやCOCの耐熱性を改善する目的で、COPやCOCの分子に反応性官能基を導入して架橋する方法、又は、COPやCOCの分子に極性基を導入して分子間相互作用を強化して耐熱性を改善する方法等が行われている。しかし、反応性官能基や極性基を導入すると、COPやCOCの比誘電率、誘電正接、及び吸水率を増加させてしまう可能性がある。したがって、反応性官能基や極性基が導入されたCOCやCOPは、高周波特性(比誘電率及び誘電正接等が低いという特性)が要求される用途(高周波基板の絶縁層の材料等)の材料としては適さない可能性がある。
しかし、本発明者の検討の結果、ノルボルネンとα−オレフィンとのノルボルネン系重合体において、ノルボルネンとα−オレフィンの組成比及び重量平均分子量を調整することより、適度な溶液粘度を有しつつ、高いTgを有し、かつ、低い比誘電率及び誘電正接を有するノルボルネン系共重合体が得られることが見出された。したがって、本発明におけるノルボルネン系重合体は、高いTgであることから高い耐熱性を有し、かつ、低い比誘電率及び誘電正接を有することから優れた高周波特性を有する。
ノルボルネン系重合体の5GHzにおける比誘電率の下限は、特に限定されないが、2以上(この値は、例えば、重合体に対して、空気等の誘電率が低い成分を混入させる処理(発泡成形等)を行わない場合に達成され得る)であってもよい。
ノルボルネン系重合体の5GHzにおける比誘電率及び誘電正接は、実施例に示した方法で特定する。
本発明におけるノルボルネン系重合体は、ノルボルネンとα−オレフィンとのノルボルネン系共重合体であり、かつ、上記のガラス転移温度、重量平均分子量、比誘電率、及び誘電正接が上記範囲を満たす限り、特に限定されない。
ノルボルネン系重合体は、ノルボルネンに由来する構造単位の含有量が全構造単位に対し80モル%以上90モル%以下であることが好ましい。ノルボルネン系重合体におけるノルボルネンに由来する構造単位が上記の範囲であると、ノルボルネン系重合体のガラス転移温度が250℃以上310℃以下の範囲になりやすく、溶解性、耐熱性及び誘電特性のバランスに優れる重合体が得られやすい。ノルボルネン系重合体において、ノルボルネンに由来する構造単位の含有量が全構造単位に対し80モル%以上90モル%以下である場合、α−オレフィンに由来する構造単位の含有量は、全構造単位に対して、10モル%以上20モル%以下である。
ノルボルネン系重合体は、ノルボルネンとα−オレフィンとから構成されていれば特に限定されず、任意の形態の共重合体であってもよく、交互共重合体やランダム共重合体等であってもよい。
ノルボルネン系重合体を構成するノルボルネンは、置換されていても、置換されていなくともよい。低い比誘電率及び誘電正接を有するノルボルネン系重合体が得られやすいという点で、置換されたノルボルネンである場合は、ノルボルネン系重合体を構成するノルボルネンは分極率が高い官能基を含まないか、又は少量含むノルボルネンが好ましく、分極率の低い基のみが導入されているか、又は全く置換されていないノルボルネンが特に好ましい。
置換ノルボルネンとしては特に限定されず、この置換ノルボルネンが有する置換基としては、例えば、ハロゲン原子、1価又は2価の炭化水素基が挙げられる。置換ノルボルネンの具体例としては、下記一般式(I)で示されるものが挙げられる。
Figure 0006668012
(式中、R〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R〜Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
ただし、n=0の場合、R〜R及びR〜R12の少なくとも1個は、水素原子ではない。)
一般式(I)で示される置換ノルボルネンについて説明する。一般式(I)におけるR〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。
〜Rの具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;炭素数1以上20以下のアルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
また、R〜R12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;炭素数1以上20以下のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等の置換又は無置換の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、その他アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
一般式(I)で示される置換ノルボルネンの具体例としては、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の2環の環状オレフィン;
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン;トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン;5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンといった3環の環状オレフィン;
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンといった4環の環状オレフィン;
8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン;テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−へキサヒドロアントラセンともいう);ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]−4−ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]−14−エイコセン;シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィンを挙げることができる。
中でも、アルキル置換ノルボルネン(例えば、1個以上のアルキル基で置換されたビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン)、アルキリデン置換ノルボルネン(例えば、1個以上のアルキリデン基で置換されたビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン)が好ましく、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:5−エチリデン−2−ノルボルネン、又は、単にエチリデンノルボルネン)が特に好ましい。
ノルボルネン系重合体の製造方法は、ガラス転移温度、重量平均分子量、比誘電率、及び誘電正接が上記範囲を満たすノルボルネン系重合体を得ることができるものである限り、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができ、重合温度、重合圧力、重合時間等は適宜調整される。共重合体を得る場合、重合の形態はランダム共重合であることが好ましい。重合触媒としては、メタロセン系触媒を特に好適に用いることができる。本発明で重合触媒として好適に用いられるメタロセン触媒の具体的な例としては、ラセミ−エチリデン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ−ジメチルシリル−ビス(2−メチル−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ−イソプロピリデン−ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(1−インデニル)(3−イソプロピル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランジルコニウムジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(3,6−ジメチルフルオレニル)シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(i−プロピル)フルオレニル]シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[2,7−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)シランジルコニウムジメチル、ラセミ−エチリデン−ビス(インデニル)チタンジクロライド、ラセミ−ジメチルシリル−ビス(2−メチル−ベンゾインデニル)チタンジクロライド、ラセミ−イソプロピリデン−ビス(テトラヒドロインデニル)チタンジクロライド、イソプロピリデン(1−インデニル)(3−イソプロピル−シクロペンタジエニル)チタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(3,6−ジメチルフルオレニル)シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(i−プロピル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[2,7−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)シランチタンジメチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ノルボルネン系重合体を構成するα−オレフィンとしては特に限定されないが、例えば、炭素数2以上20以下のα−オレフィンが挙げられる。具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。中でも、炭素数6以上10以下のα−オレフィンが好ましく、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、が特に好ましい。
本発明に係る金属樹脂積層体の樹脂層を、ノルボルネン系重合体と溶媒とを含むノルボルネン系重合体溶液から形成する場合、該溶液中の溶媒は、上記ノルボルネン系重合体を溶解できるものである限り、特に限定されず、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、p−メンタン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系炭化水素溶媒等が挙げられ、中でも、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、p−メンタン、トルエン、及びキシレンが好ましい。溶媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
溶媒は、ノルボルネン系重合体溶液の用途や使用態様に応じて適宜選択できる。例えば、トルエン等は人体に有害であるため、密閉構造を有する空間(クリーンルーム等)内での作業時における使用は適さない可能性がある。密閉構造を有する空間においては、例えば、p−メンタンやメチルシクロヘキサンを使用することが好ましい可能性がある。
本発明に係る金属樹脂積層体の樹脂層をノルボルネン系重合体溶液から形成する場合、塗布する手法によって異なり、必ずしも限定されるものではないが、例えば、該溶液中のノルボルネン系重合体の含有量は、本発明に係るノルボルネン系重合体溶液中の固形分として、10重量%以上80重量%以下、あるいは10重量%以上60重量%以下、あるいは25重量%以上60重量%以下が好ましい。上記含有量がこの範囲内であると、得られるノルボルネン系重合体溶液は、十分な流動性や含浸性を有するため、公知の塗布方法を用いて、このノルボルネン系重合体溶液から、樹脂層を容易に製造することができる。
樹脂層には、本発明の目的を阻害しない範囲で公知の添加剤を適宜配合してもよい。このような添加剤としては、酸化防止剤、密着剤、銅害防止剤等が挙げられる。
樹脂層の厚さは、特に限定されないが、50〜200μmであってもよい。樹脂層の形状は、フィルム状(膜状)であってもよい。
樹脂層は、上記ノルボルネン系重合体溶液からなる層(例えば、ノルボルネン系重合体フィルム)であってもよいが、繊維(ガラス繊維布、PTFE繊維布、等)に上記ノルボルネン系共重合体の溶液を含浸して得られる繊維強化材であってもよい。樹脂層が繊維強化材であると、機械的強度や剛性を向上させやすいという点で好ましい。繊維強化材の製造方法としては、特に限定されないが、樹脂溶液を繊維布に含浸した後乾燥加熱プレスの方法が挙げられる。
樹脂層は、ノルボルネン系重合体溶液からなる層及び繊維強化材を積層させた多層の積層体であってもよい。かかる場合、積層体を構成する各層の厚さは、特に限定されないが、繊維布の厚さが20μm〜300μmの布のなかから、目的に応じて適切なものが通常選定される。積層体を構成する繊維布層の数は、特に限定されないが、目的とする積層体の誘電特性と機械強度の両方を鑑みて適切な層数に決定される。
<金属箔層>
本発明に係る金属樹脂積層体を構成する金属箔層の材料としては、特に限定されず、配線基板において通常使用される金属であってもよく、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、等が挙げられる。本発明に係る金属樹脂積層体は、電気伝導度とコストという理由で、CCL(copper clad laminate)として好適に使用できるため、金属箔層の材料としては、銅が好ましい。金属箔層としては、圧延等によって得られた金属箔を用いてもよいが、樹脂層の表面に直接形成したものを使用してもよい。
金属箔層の厚さは、特に限定されないが、1〜50μmであってもよい。
<金属樹脂積層体の製造方法>
金属樹脂積層体の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、金属箔層及び樹脂層をそれぞれ別個に調製し、樹脂層と、金属箔層とを接着剤やラミネート処理等によって貼り合わせる方法が挙げられる。かかる方法の場合、金属箔層は、金属材料を圧延等することで調製できる。樹脂層は、ノルボルネン系重合体と溶媒とを少なくとも含むノルボルネン系重合体溶液を支持体上に塗布し、塗布した上記ノルボルネン系重合体溶液から溶媒を除去することにより調製できる。
金属樹脂積層体の別の製造方法としては、金属箔層(又は樹脂層)の表面に、ノルボルネン系重合体を含む溶液(又は金属箔)を塗布等する方法が挙げられる。
金属箔層は、樹脂層の片面又は両面に形成してもよい。金属箔層は、樹脂層の表面の全面に形成してもよいし、表面の一部にのみ形成してもよい。
樹脂層と金属箔層との間には、その他の層(接着剤層等)が存在していてもよいし、存在していなくてもよい。必要に応じて、金属箔層の表面をキレート剤で処理して金属箔層と樹脂層との密着性を改善させてもよい。本発明に係る金属樹脂積層体においては、樹脂層と金属箔層との密着性が比較的良好であるので、好ましくは、樹脂層と金属箔層とは直接接触しており、樹脂層と金属箔層との間に他の層等が存在しない。
金属樹脂積層体のさらに別の製造方法として、ノルボルネン系重合体溶液からノルボルネン系重合体フィルムを作製して、該フィルムの表面に金属(特に、銅)をスパッタリングやイオンプレーティング等の方法により金属層を形成する方法も挙げられる。
本発明に係る金属樹脂積層体は、高いガラス転移温度、並びに、低い比誘電率及び誘電正接を併せて有するノルボルネン系共重合体を含むので、耐熱性及び高周波特性が要求される用途に好適に使用できる。例えば、本発明に係る金属樹脂積層体は、種々の基板として使用でき、プリント基板(フレキシブルプリント基板等)、金属樹脂積層体を複数重ね合わせた多層基板、高周波用配線基板等として好適に使用できる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<材料>
モノマー:
ノルボルネン
1−オクテン(1−Oct)
1−デセン(1−Dec)
1−ヘキセン(1−Hex)
触媒:
(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル
助触媒A:
6.5質量%(Al原子の含有量として)MMAO−3Aトルエン溶液([(CH0.7(iso−C0.3AlO]で表されるメチルイソブチルアルミノキサンの溶液、東ソー・ファインケム(株)製、なお全Alに対して6mol%のトリメチルアルミニウムを含有する)
助触媒B:
9.0質量%(Al原子の含有量として)TMAO−211トルエン溶液(メチルアルミノキサンの溶液、東ソー・ファインケム(株)製、なお全Alに対して26mol%のトリメチルアルミニウムを含有する)
溶媒:
トルエン
[実施例1〜5、比較例1〜3]
(重合体の調製)
乾燥し、窒素雰囲気下に保ったガラス反応器に、表1に記載された量(単位:重量部)の各モノマー、溶媒(トルエン)及び助触媒A及びBを加え、40℃に保ったのち、表1に記載された量(単位:重量部)の触媒を加えた。なお、触媒及び助触媒は、それぞれトルエンに溶解させた状態で反応器に加えた。表1に示す重合温度(単位:℃)及び重合時間(単位:時間)で、反応器内を撹拌して重合を継続した後、2−プロパノール1重量部を添加して反応を終了させた。次いで、塩酸100mLを系内に加え、室温で30分間撹拌させたのち、この溶液を同容積の蒸留水で3回洗浄させたのち、重合溶液と同容量積のアセトンに注ぐことで重合体を完全に析出させた。その後、濾別及び洗浄を行った後、60℃で1日間以上減圧乾燥して重合体を得た。
(ノルボルネン系重合体及びその溶液の評価)
以下のとおりにして、得られた重合体又はその溶液のモノマー組成、ガラス転移温度、平均分子量、溶解性、及び溶液粘度を評価した。結果を表2に示す。
・モノマー組成
得られた重合体約70mgをテトラクロロエタン−d2 0.6mlに溶解して、BRUKER AVANCE 600を用いて、381°KでパルスプログラムZGPG45により繰り返し時間3秒、積算2万回で13C−NMRスペクトルを測定した。得られたスペクトルから、Macromolecules 2010, 43, 4527−4531に記載の方法によりモノマー組成を算出した。
・ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121に準拠して、示差走査熱量分析装置(TA Instrument製Q−1000)にて、室温から20℃/分の昇温条件で重合体のガラス転移温度を測定した。
・平均分子量
得られた重合体について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。
・溶解性
得られた重合体を溶媒(p−メンタン又はトルエン)に重合体/溶媒=10mg/1mlの割合で添加した。この混合物を室温(23℃)24時間撹拌して、上記重合体が溶解するか否かを目視で観察した。
・溶液粘度
得られた重合体を溶媒(p−メンタン又はトルエン)に溶解させて20重量%溶液を得た。23℃で24時間放置した上記20重量%溶液の粘度を測定した。粘度の測定は、JIS K 7117−2に準拠して、東機産業製TVE−22HT型粘度計(回転粘度計(円錐−平板システム)、コーンロータ:3°×R17.65(R17.65は半径17.65mmを表す))を用いて行った。
(ノルボルネン系重合体から得られた樹脂膜又は成形体の評価)
以下のとおりにして、得られた重合体から樹脂膜又は成形体を作製し、その比誘電率、誘電正接、絶縁破壊強さ、耐屈曲性及び引張弾性率を評価した。結果を表3又は4に示す。
・比誘電率及び誘電正接
ノルボルネン系重合体から、真空プレス機で1.8mm×1.8mm×長さ80mmの試験片を350℃でプレス成形して、Agilent社製ネットワークアナライザー8757D及び関東電子株式会社製空洞共振器複素誘電率測定装置を用い、1、5、又は10GHzにおける比誘電率及び誘電正接を空洞共振器摂動法により23℃で測定した。なお、比較例3のノルボルネン系重合体はTgが高過ぎ、真空プレスによって試験片を作製できず、測定ができなかった。
・絶縁破壊強さ
ノルボルネン系重合体から、真空プレス機で70mm×70mm×厚さ1mmの平板を350℃でプレス成形した。ヤマヨ試験器社製絶縁破壊試験装置YST−243−100ADを用いて、その平板の絶縁破壊強さをIEC60243−1に準拠して測定した。絶縁破壊強さの測定の際、絶縁破壊電圧の測定をしたところ、貫通絶縁破壊をせず、フラッシュオーバー(平板表面を通して電流が流れる現象)が起こった。そこで、フラッシュオーバーが発生した時点での電圧を求め、絶縁破壊強さを、フラッシュオーバー電圧以上の値として特定した。なお、比較例3のノルボルネン系重合体はTgが高過ぎ、真空プレスによって試験片を作製できず、測定ができなかった。
・耐屈曲性
マルチコーターを用いて、ノルボルネン系重合体のトルエン溶液をPETフィルム上にコートして、その後、210℃で3時間真空乾燥して、厚さ100μmのフィルム(樹脂膜)を作製した。得られたフィルムを1×10cm角に裁断して試料片を調製し、耐屈曲性を下記の方法に基づいて判定した。すなわち、円筒形マンドレル法(JISK5600−5−1)に基づき、直径の異なる複数のマンドレルに、試料片を巻き付け、その巻き付け部分にクラックが生じるか否かを目視で評価した。クラックが生じたマンドレルの直径を記録した。マンドレル径2mmでクラックを発生しない場合は2mm以下とした。直径が2mm以下であるマンドレルにおいてクラックが生じない場合、耐屈曲性に優れると評価できる。
・引張弾性率
耐屈曲性の試験方法で述べた厚さ100μmのフィルムを打ち抜いて2号ダンベル試験片を作製して、室温(23℃)で、ISO527−3に準拠した引張試験を行い、引張弾性率を算出した。
(金属樹脂積層体の評価)
上記の各ノルボルネン系重合体の100μm厚フィルム(樹脂層に相当する。)に対して、芝浦メカトロニクス社製スパッタリング装置CFS−4E−231を用いて銅スパッタリングを行い、厚さ2μmの銅(金属箔層に相当する。)をコーティングした金属樹脂積層体を作製した。得られた金属樹脂積層体の銅膜接着性及び半田耐熱性を評価した。結果を表4に示す。
・銅膜接着性
金属樹脂積層体の金属箔層(銅層)を、カッターを用いて縦横2mm間隔に切って100個の2mm正方形セルを作った。その上にセロテープ(登録商標)を貼った後、そのセロテープを剥がしてフィルム上に残存したセル数を数えて、100個中に残存したセルの割合(単位:%)を銅膜接着性とした。銅膜接着性の値が高いほど、金属樹脂積層体と金属箔層との接着性が高いことを示す。
・半田耐熱性
260℃に加熱した半田浴に、金属樹脂積層体を30秒間浸漬した後の変形状態を目視で観察し、金属樹脂積層体の変形の有無を確認した。
Figure 0006668012
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Figure 0006668012
表2〜4に示されるとおり、所定範囲の組成比及び重量平均分子量を有する、ノルボルネンとα−オレフィンとのノルボルネン系重合体を使用することにより、高いガラス転移温度、並びに、低い比誘電率及び誘電正接を併せて有するノルボルネン系重合体を含む溶液が得られる。また、該ノルボルネン系重合体を含む溶液から得られる樹脂膜又は成形体は、絶縁破壊強さ、耐屈曲性、引張弾性率に優れる傾向にあった。
本発明におけるノルボルネン系重合体を含む溶液から得られる樹脂層を含む金属樹脂積層体は、銅膜接着性が高く、樹脂層と金属箔層とが良好に接着していた。また、該金属樹脂積層体は、半田耐熱性にも優れていた。
[実施例6及び7、比較例4]
(ノルボルネン系共重合体の溶液を含浸してなる繊維強化材の作製)
トリエトキシビニルシラン(TEVS)にエタノール加え、5質量%TEVS溶液を調製した。ガラス繊維布(高開繊ガラスクロス A1027(E−ガラス、平織、厚さ0.020mm、質量19g/m、密度;縦74本/25mm、横74本/25mm、日東紡績株式会社製))をアセトンで洗浄した後、該ガラス繊維布を、5質量%TEVS溶液に10分間浸漬した。ガラス繊維布をTEVS溶液から取り出した後、135℃で3時間加熱処理してTEVS処理ガラス繊維布を得た。
一方、比較例2、実施例1及び2で得た各ノルボルネン系重合体を、それぞれトルエンに溶解させてポリマー濃度20質量%のノルボルネン系共重合体の溶液を作製した。次いで、過酸化物(パーヘキサC−80(S)、日油株式会社製)を、ノルボルネン系重合体100質量部に対し2質量部添加して、過酸化物添加ポリマー溶液を調製した。該過酸化物添加ポリマー溶液をTEVS処理ガラス繊維布にニップロールを用いて含浸して、100℃で10分間乾燥した後、135℃で3時間真空乾燥してポリマー含浸ガラス繊維布(以下、「P−GC」ともいう。)を作製した。該ポリマー含浸ガラス繊維布は、「ノルボルネン系共重合体の溶液を含浸してなる繊維強化材」である樹脂層に相当する。なお、以下、比較例4は、比較例2で得たノルボルネン系重合体を使用した試験例であり、実施例6は、実施例1で得たノルボルネン系重合体を使用した試験例であり、実施例7は、実施例2で得たノルボルネン系重合体を使用した試験例である。
(ノルボルネン系重合体溶液からなる層及び繊維強化材の多層体の作製)
比較例2、実施例1及び2で得た各ノルボルネン系重合体を用いて、各重合体からなる厚さ15μmのノルボルネン系重合体フィルム(以下、「Nb−F」ともいう。)を作製した。10cm四角にカットしたP−GC及びNb−Fを用いて、Nb−F/P−GC/Nb−F/P−GC/Nb−Fの順で、ノルボルネン系重合体フィルム及びポリマー含浸ガラス繊維布を重ね、その周辺に60μm厚のスペーサーを置いて、真空プレス機を用いて340℃でプレスをし、厚さ60μmの多層体を作製した。該多層体は、本発明における「樹脂層」に相当する。
(多層体の評価)
上記で得られた多層体について、その比誘電率及び誘電正接を評価した。結果を表5に示す。
・比誘電率及び誘電正接
多層体を幅1.8mm、長さ85mmにカットした短冊状成形片を6枚準備した。この6枚の成形片を重ね、試験片を作製した。Agilent社製ネットワークアナライザー8757D及び関東電子株式会社製空洞共振器複素誘電率測定装置を用い、5GHzにおける比誘電率及び誘電正接を空洞共振器摂動法により23℃で測定した。
(多層体と金属箔層とを含む金属樹脂積層体の評価)
上記の多層体に対して、芝浦メカトロニクス社製スパッタリング装置CFS−4E−231を用いて銅スパッタリングを行い、厚さ2μmの銅(金属箔層に相当する。)をコーティングした金属樹脂積層体を作製した。得られた金属樹脂積層体の銅膜接着性及び半田耐熱性を評価した。結果を表5に示す。
・銅膜接着性
金属樹脂積層体の金属箔層(銅層)を、カッターを用いて縦横2mm間隔に切って100個の2mm正方形セルを作った。その上にセロテープを貼った後、そのセロテープを剥がしてフィルム上に残存したセル数を数えて、100個中に残存したセルの割合(単位:%)を銅膜接着性とした。銅膜接着性の値が高いほど、金属樹脂積層体と金属箔層との接着性が高いことを示す。
・半田耐熱性
260℃に加熱した半田浴に、金属樹脂積層体を30秒間浸漬した後の変形状態を目視で観察し、金属樹脂積層体の変形の有無を確認した。
Figure 0006668012
表5に示されるとおり、本発明における樹脂層を繊維強化材として調製しても、低い比誘電率及び誘電正接を実現できた。さらには、該繊維強化材を含む金属樹脂積層体は、高い銅膜接着性を有し、半田耐熱性において特に優れていた。

Claims (4)

  1. 金属積層体を含む高周波用配線基板であって、
    前記金属積層体は、樹脂層と、前記樹脂層の片面又は両面に設けられる箔層とを含
    前記樹脂層は、ノルボルネンとα−オレフィンとのノルボルネン系共重合体を含み、
    前記ノルボルネン系共重合体は、ガラス転移温度が250℃以上310℃以下であり、かつ、ゲルパーミッションクロマトグラフィで測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000以上300,000以下であり、
    前記ノルボルネン系共重合体の5GHzにおける比誘電率は2.3以下であり、かつ、誘電正接は4×10−4以下であり、
    前記ノルボルネン系重合体は、ノルボルネンに由来する構造単位の含有量が全構造単位に対し80モル%以上90モル%以下である、
    高周波用配線基板
  2. 前記ノルボルネン系重合体をp−メンタンに溶解させて得られる20重量%溶液を23℃で24時間放置したときの前記20重量%溶液の粘度が31,000mPa・s以下である請求項1に記載の高周波用配線基板
  3. 前記重量平均分子量は、50,000以上300,000以下である請求項1又は2に記載の高周波用配線基板
  4. 前記樹脂層は、前記ノルボルネン系共重合体の溶液を含浸してなる繊維強化材である請求項1からのいずれかに記載の高周波用配線基板
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