JP2021187939A - 樹脂組成物、溶液、フィルム、及び金属樹脂積層体 - Google Patents

樹脂組成物、溶液、フィルム、及び金属樹脂積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、耐熱性及び柔軟性を備える成形品が得られる環状オレフィン重合体含有樹脂組成物を提供することである。【解決手段】本発明は、環構造を有する単量体とα−オレフィンとの付加型重合体である環状オレフィン重合体、及び、非極性エラストマーを含む樹脂組成物であって、前記非極性エラストマーの含有量が、前記樹脂組成物に対して0.5質量%超35質量%以下であり、前記非極性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラストマーであり、前記非極性エラストマーの数平均分子量が110000以上である、樹脂組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、溶液、フィルム、及び金属樹脂積層体に関する。
環状オレフィン重合体は、高い透明性を有し、各種分野で広く利用されている。例えば、環状オレフィン重合体から得られたフィルム等は、光学用途、包装用途等で用いられている。
また、環状オレフィン重合体の特性を生かしつつ、良好な諸特性等を付与する観点から、環状オレフィン重合体含有樹脂組成物に、エラストマー等の成分を配合することが提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
特開2004−156048号公報 特開2016−020412号公報
しかし、環状オレフィン重合体は、半田リフロー加熱等によって機械特性(柔軟性等)を損ないやすく、環状オレフィン重合体から得られたフィルムは、種々の基板(プリント基板、フレキシブルプリント基板等)等の用途には適さない可能性があった。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、耐熱性及び柔軟性を備える成形品が得られる環状オレフィン重合体含有樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、特定の非極性エラストマーが所定量配合された環状オレフィン重合体含有樹脂組成物によれば、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 環構造を有する単量体とα−オレフィンとの付加型重合体である環状オレフィン重合体、及び、非極性エラストマーを含む樹脂組成物であって、
前記非極性エラストマーの含有量が、前記樹脂組成物に対して0.5質量%超35質量%以下であり、
前記非極性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラストマーであり、
前記非極性エラストマーの数平均分子量が110000以上である、
樹脂組成物。
(2) 前記非極性エラストマーの数平均分子量が200000以上である、(1)に記載の樹脂組成物。
(3) 前記α−オレフィンが1−ヘキセン又は1−オクテンである、(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4) 前記樹脂組成物のガラス転移温度が250℃以上である、(1)から(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の樹脂組成物と、溶媒と、を含む溶液。
(6) (5)に記載の溶液から得られたフィルム。
(7) (6)に記載のフィルムからなる樹脂層と、前記樹脂層の片面又は両面に設けられた金属箔層とを含む、金属樹脂積層体。
本発明によれば、耐熱性及び柔軟性を備える成形品が得られる環状オレフィン重合体含有樹脂組成物が提供される。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<本発明の樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、環構造を有する単量体とα−オレフィンとの付加型重合体である環状オレフィン重合体、及び、非極性エラストマーを含み、かつ、該非極性エラストマーは下記の要件を全て満たす。
(要件1)非極性エラストマーの含有量が、樹脂組成物に対して0.5質量%超35質量%以下である。
(要件2)非極性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラストマーである。
(要件3)非極性エラストマーの数平均分子量が110000以上である。
エラストマー(弾性を有する高分子の総称)は、通常、ソフトセグメントと、架橋点の役割を果たすハードセグメントとからなる。これらのうちソフトセグメントは、弾性率が低く、ゴム弾性を有する。このような弾性率の低い成分を含むエラストマーを樹脂組成物に分散させると、樹脂組成物全体の弾性率も下がる。そのため、エラストマーを樹脂組成物に配合することで柔軟性を付与できることが従来知られていた。
しかし、本発明者の検討の結果、上記3要件を全て満たすように非極性エラストマーを用いることで、半田リフロー加熱等によって機械特性(柔軟性等)が損なわれてしまうという環状オレフィン重合体の特性を改善できるという、新規な知見が見出された。
なお、本発明において「非極性エラストマー」とは、極性の官能基(水酸基等)を含まないエラストマーを意味する。
上記3要件を全て満たすように非極性エラストマーを用いることで、半田リフロー加熱等によって機械特性(特に柔軟性)を損ないにくい理由は定かではないが以下のように推察される。
本発明者の検討の結果、環状オレフィン重合体とともに、上記3要件を全て満たすように非極性エラストマーが配合された樹脂組成物においては、特に均一な分散系が形成されていることがわかった。そして、このような均一な分散系が、耐熱性の付与、及び、加熱後の柔軟性の維持に寄与していると考えられた。
本発明の樹脂組成物が均一な分散系を形成できる理由としては、例えば以下が挙げられる。
(理由1)エラストマーが非極性であることにより、非極性である環状オレフィン重合体とともに樹脂組成物中に均一に分散しやすい。
(理由2)非極性エラストマーのソフトセグメントを形成しているユニット(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等)が充分に長いため(つまり上記要件2及び3を満たすため)、環状オレフィン重合体中のα−オレフィンユニットと相互作用する。
(理由3)樹脂組成物中の非極性エラストマーの含有量が適度であるため(つまり上記要件1を満たすため)、上記理由2の相互作用が安定的に奏される。
本発明における「耐熱性」とは半田耐熱性を意味し、「耐熱性が良好である」とは本発明の樹脂組成物から得られた成形体(例えば、フィルムや金属樹脂積層体)が、半田リフロー等の高温下にさらされても柔軟性が損なわれにくいことを意味する。なお、半田リフローの温度は、最高温度が260℃程度であり得る(一般社団法人電子情報技術産業協会の推奨によるリフロープロファイルを参照。)。
耐熱性は、実施例に示した方法(「(リフロー前又は後のフィルムの柔軟性)」、「(フィルムの連続耐熱性)」、「(フィルムの半田耐熱性)」の項を参照。)等で評価される。
本発明における「柔軟性」とは成形品(フィルム等)の折れにくさの程度を意味し、「柔軟性が良好である」とは成形品が折れにくいことを意味する。
柔軟性は、実施例に示した方法(耐折性試験(MIT試験))等で評価される。
本発明によれば、半田リフロー加熱の前後にかかわらず、柔軟性が良好である成形品を得ることができる。
以下、本発明の樹脂組成物の組成等について詳述する。
<環状オレフィン重合体>
本発明における環状オレフィン重合体(以下、「本発明の重合体」ともいう。)は、環構造を有する単量体とα−オレフィンとの付加型重合体であれば特に限定されない。
本発明の樹脂組成物に配合される環状オレフィン重合体の種類は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
本発明の重合体は、本発明の効果が奏されやすいという観点から官能基や極性基等を含まないことが好ましいが、官能基や極性基等が含まれる態様は排除されない。
(環構造を有する単量体)
本発明の重合体を構成する環構造を有する単量体は、下記一般式(I)で示されるものが挙げられる。
Figure 2021187939
(式(I)中、R〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R〜Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
ただし、n=0の場合、R〜R及びR〜R12の少なくとも1個は、水素原子ではない。)
とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
環構造を有する単量体は、側鎖を有するものであってもよく、側鎖を有さないものであってもよい。ただし、低い比誘電率及び誘電正接を有する環状オレフィン重合体が得られやすいという観点から、環構造を有する単量体は、側鎖を有さないものが好ましい。
環構造を有する単量体としては、ノルボルネン、テトラドデセンが挙げられる。後述するメタロセン触媒に対する反応性が高いという観点から、環構造を有する単量体としては、ノルボルネンが特に好ましい。
本発明の重合体において、環構造を有する単量体に由来する構造単位の含有量は特に限定されない。
該構造単位の含有量の下限値は、重合体に耐熱性を付与しやすいという観点から、全構造単位に対し、好ましくは65mol%以上、より好ましくは80mol%以上である。
該構造単位の含有量の上限値は、重合体に溶媒に対する良好な溶解性を付与しやすいという観点から、全構造単位に対し、好ましくは97mol%以下、より好ましくは95mol%以下である。
重合体における、環構造を有する単量体に由来する構造単位の含有量は、後述の13C−NMRを用いた方法で特定する。
(α−オレフィン)
本発明の重合体を構成するα−オレフィンとしては特に限定されないが、例えば、好ましくは炭素数2以上20以下、より好ましくは炭素数4以上10以下の、より好ましくは炭素数6以上10以下のα−オレフィンが挙げられる。
α−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。上記のうち、炭素数6以上10以下のα−オレフィンが好ましく、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンがより好ましく、1−ヘキセン、1−オクテンが特に好ましい。
α−オレフィンとして1−ヘキセン又は1−オクテンを用いると、得られる重合体は適度な長さのアルキル側鎖を備えることになる。これにより、溶媒に対する良好な溶解性を有する重合体が得られやすく、さらには、非極性エラストマーとアルキル側鎖とが相互作用することにより、重合体が適度に微細な分散径で溶媒中に分散することができる。その結果、該重合体を含む樹脂組成物から得られる成形品(フィルム等)のフィルムの表面には凹凸が少なくなり、均一な表面を有する成形品が得られやすくなる。
本発明の重合体において、α−オレフィンに由来する構造単位の含有量は特に限定されない。
該構造単位の含有量の下限値は、重合体に溶媒に対する良好な溶解性を付与しやすいという観点から、全構造単位に対し、好ましくは3mol%以上、より好ましくは5mol%以上である。
該構造単位の含有量の上限値は、重合体に耐熱性を付与しやすいという観点から、全構造単位に対し、好ましくは35mol%以下、より好ましくは20mol%以下である。
重合体におけるα−オレフィンに由来する構造単位の含有量は、13C−NMRのα−オレフィンユニット由来炭素の積分値と、環構造を有する単量体由来の炭素の積分値とを用いて、各成分の導入量を算出し、その比率から重合体中の共重合組成比を算出することで特定される。
具体的には、まず、本発明の重合体において、1級炭素は全てα−オレフィンユニットに帰属する。そのため、1級炭素由来のピーク(14ppm近辺の最も高磁場に存在する)、及び、該ピークの隣に現れる、1級炭素由来のピークと同等の積分値を有する2級炭素のピークに基づき、α−オレフィンユニット由来の炭素の積分値を特定できる。
一方、25ppmから55ppmには、α−オレフィンユニット由来の2級炭素及び3級炭素のピーク、並びに、環構造を有する単量体由来の2級炭素及び3級炭素のピークが重なり合った状態で発現する。
なお、環構造を有する単量体に由来する構造単位の含有量は、上記の全ピークの積分値と、α−オレフィンユニット由来の積分値との差から特定できる。
(本発明の重合体の特性)
本発明の重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう。)は、充分な耐熱性を奏する観点から、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上である。本発明の重合体のTgは、溶媒への溶解性や加工性が良好であるという観点から、好ましくは320℃以下、より好ましくは290℃以下である。
なお、本発明において、「ガラス転移温度」は、DSC法(JIS K 7121記載の方法)によって昇温速度20℃/分の条件で測定した値を採用する。
本発明の重合体の数平均分子量(Mn)は、重合体から得られる樹脂膜の強度が良好となりやすいという観点から、好ましくは40000以上、より好ましくは60000以上である。また、本発明の重合体のMnは、溶媒へ溶解させた場合の粘度が高くなり過ぎにくいという観点から、好ましくは200000以下、より好ましくは150000以下である。
なお、本発明において、「数平均分子量(Mn)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量として特定される。
(本発明の重合体の含有量)
本発明の樹脂組成物中の本発明の重合体の含有量は、本発明の重合体がベース樹脂として機能し、後述する非極性エラストマーを充分に配合できる量であれば特に限定されない。
本発明の重合体の含有量の下限値は、樹脂組成物から得られる成形品へ良好な耐熱性及び強度を付与しやすいという観点から、本発明の樹脂組成物に対し、好ましくは65質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
本発明の重合体の含有量の上限値は、樹脂組成物から得られる成形品へ良好な柔軟性を付与しやすいという観点から、本発明の樹脂組成物に対し、好ましくは99.5質量%以下、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは96質量%以下である。
(本発明の重合体の製造方法)
本発明の重合体は、付加型重合体の製造方法として知られる任意の手法を採用して製造することができる。
重合触媒としては、メタロセン系触媒を特に好適に用いることができる。本発明で重合触媒として好適に用いられるメタロセン触媒の具体的な例としては、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル、ラセミ−エチリデン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ−ジメチルシリル−ビス(2−メチル−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ−イソプロピリデン−ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(1−インデニル)(3−イソプロピル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランジルコニウムジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(3,6−ジメチルフルオレニル)シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(i−プロピル)フルオレニル]シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[2,7−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランジルコニウムジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)シランジルコニウムジメチル、ラセミ−エチリデン−ビス(インデニル)チタンジクロライド、ラセミ−ジメチルシリル−ビス(2−メチル−ベンゾインデニル)チタンジクロライド、ラセミ−イソプロピリデン−ビス(テトラヒドロインデニル)チタンジクロライド、イソプロピリデン(1−インデニル)(3−イソプロピル−シクロペンタジエニル)チタンジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジクロリド、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(3,6−ジメチルフルオレニル)シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(i−プロピル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[3,6−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−[2,7−ジ(t−ブチル)フルオレニル]シランチタンジメチル、(t−ブチルアミド)ジメチル−9−(2,3,6,7−テトラメチルフルオレニル)シランチタンジメチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の重合体は、上記重合触媒とともに、助触媒を使用するとより容易に得られやすい。助触媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
助触媒としては、アルキルアルミノキサンが好ましく、本発明の重合体を容易に製造するに際しては、少なくも1種類の助触媒を用いる必要がある。アルキルアルミノキサンは、触媒を反応中心の環境に変え、触媒を活性化させるために有効である。
アルキルアルミノキサンの製造方法としては、特に限定されないが、通常、アルキルアルミニウムを適度に加水分解することで得られる。アルキルアルミノキサンとしては、市販品を用いてもよい。アルキルアルミノキサンの市販品としては、例えば、MMAO−3A、TMAO−200シリーズ、TMAO−340シリーズ(いずれも東ソー・ファインケム(株)製)やメチルアルミノキサン溶液(アルベマール社製)等が挙げられる。
その他の助触媒としては、アルキルアルミニウムを用いてもよい。アルキルアルミニウムは触媒活性を低下させる水等と反応するため、スカベンジャー(捕捉剤)として有効である。アルキルアルミニウムの具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;ジメチルアルミニウムメトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシドが挙げられる。これらの助触媒は単独で用いてもよく、これらの助触媒のうち1以上をアルキルアルミノキサンと組み合わせて用いてもよい。
本発明の重合体の重合条件等は、従来知られる任意のものを採用できる。
<非極性エラストマー>
本発明において「非極性エラストマー」とは、数平均分子量が110000以上であり、かつ、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、及び動的加硫系熱可塑性エラストマーからなる群より選択される1以上である。
本発明の効果が奏されやすいという観点から、本発明の樹脂組成物には、スチレン系熱可塑性エラストマーが含まれていることが好ましい。
本発明の樹脂組成物に配合される非極性エラストマーの種類は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
(スチレン系熱可塑性エラストマー)
本発明において「スチレン系熱可塑性エラストマー」とは、ハードセグメントとソフトセグメントとからなるブロック共重合体であって、ハードセグメントがポリスチレンであるものである。該エラストマーにおけるソフトセグメントの種類は特に限定されず、エチレン、プロピレン、スチレン、ブチレン等が挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーは水素添加物であってもよい。水素添加物であるスチレン系熱可塑性エラストマーによれば、エラストマーを構成する分子内の二重結合量が少ないため、熱酸化が生じにくく、耐熱性に優れる樹脂組成物が得られやすい。
本発明におけるスチレン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、例えば、以下が挙げられる:
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、及びその水素添加物(水添スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS))、
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、及びその水素添加物(水添スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS))、並びに、
スチレン−イソプレンブロック共重合体(SI)、及びその水素添加物(水添スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP))。
本発明におけるスチレン系熱可塑性エラストマーは市販品であってもよく、例えば、実施例に用いられたものが挙げられる。
(非極性エラストマーの数平均分子量)
本発明における非極性エラストマーは、数平均分子量が110000以上であるものが用いられる。このような数平均分子量である非極性エラストマーを樹脂組成物に所定量配合することにより、樹脂組成物から得られる成形品に対して、耐熱性を損なわずに良好な柔軟性を付与することができる。
非極性エラストマーの数平均分子量が110000以上であると、樹脂組成物から得られる成形品の柔軟性を損ないにくく、さらには、本発明の樹脂組成物から溶液(後述)を調製する場合、非極性エラストマーと溶媒(ワニス等)等とが分離する結果、成形(フィルム化等)が困難となる等の問題を回避しやすくなる。
非極性エラストマーの数平均分子量は、好ましくは200000以上、より好ましくは250000以上である。
非極性エラストマーの数平均分子量の上限値は特に限定されないが、好ましくは500000以下である。
(非極性エラストマーの含有量)
本発明の樹脂組成物中の非極性エラストマーの含有量は、本発明の樹脂組成物に対して0.5質量%超35質量%以下である。かかる範囲内において、非極性エラストマーの含有量が多いほど、本発明の効果が奏しやすくなる傾向にある。
非極性エラストマーの含有量の下限値は、樹脂組成物から得られる成形品へ良好な柔軟性付与及び強度を付与しやすいという観点から、本発明の樹脂組成物に対し、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上である。
非極性エラストマーの含有量の上限値は、樹脂組成物から得られる成形品へ良好な耐熱性を付与しやすいという観点から、本発明の樹脂組成物に対し、好ましくは35質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記成分だけではなく従来の樹脂組成物に配合されることが知られる任意の成分が含まれていてもよい。このような成分として、例えば、溶媒、本発明の重合体以外の樹脂、核剤、顔料、酸化防止剤、安定剤、可塑剤、滑剤、離型剤等が挙げられる。これらの成分の種類や配合量等は、得ようとする効果等に応じて適宜選択される。
<本発明の樹脂組成物の製造方法等>
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、樹脂組成物の製造方法として知られる任意の方法を採用できる。樹脂組成物の製造方法としては、例えば、本発明の樹脂組成物を構成する成分を混合及び撹拌する方法等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物の形態は特に限定されず、例えばペレット等であってもよい。
本発明の樹脂組成物のガラス転移温度は、好ましくは250℃以上、より好ましくは270℃以上である。
本発明の樹脂組成物は、任意の用途に用いることができ、所望の成形品の成形に供することができる。例えば、後述のように溶液の調製や、成形品の成形等に供することができる。
本発明の樹脂組成物には非極性エラストマーが含まれるため、電気信号に対する誘電損失を小さくすることが期待できる。
<溶液>
本発明の溶液は、本発明の樹脂組成物が、任意の溶媒とともに配合されたものである。このような溶液は様々な用途に利用でき、例えば、後述するフィルムや金属樹脂積層体を作製することができる。
溶媒は、環状オレフィン重合体や非極性エラストマーを分散できるものであれば特に限定されず、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、p−メンタン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系炭化水素溶媒等が挙げられる。これらのうち、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、p−メンタン、トルエン、及びキシレンが好ましい。溶媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明の溶液には、本発明の樹脂組成物及び溶媒のほか、本発明の目的を阻害しない範囲で公知の添加剤等を適宜配合してもよい。添加剤としては、特に限定されないが、無機フィラー、酸化防止剤、密着剤等が挙げられる。
本発明の溶液における樹脂組成物及び溶媒の割合は特に限定されず、得ようとする特性(粘度等)に応じて適宜設定できる。
(本発明の溶液を用いたフィルムの形成)
本発明の溶液はフィルム形成のために好ましく用いられる。フィルム形成の方法としては、例えば、本発明の溶液を支持体上に塗布し、塗布した溶液から溶媒を除去することにより、本発明の樹脂組成物を含むフィルム(樹脂膜)を得ることができる。
本発明の溶液の塗布方法は特に限定されず、マイクログラビアコート法、ダイコート法、コンマコート法、スピンコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
本発明の溶液から得られるフィルムは、耐熱性及び柔軟性が良好であり、半導体パッケージ用配線フィルム、フレキシブルプリント配線基板用フィルム、フレキシブル銅張積層板用フィルム等として好適に使用できる。
<金属樹脂積層体>
本発明の金属樹脂積層体は、本発明の溶液から得られるフィルムからなる樹脂層と、該樹脂層の片面又は両面に設けられる金属箔層とを含む。
(樹脂層)
樹脂層としては、本発明の溶液から得られるものであれば任意の形態であり得る。例えば、樹脂層は、(1)上述のように本発明の溶液から得られるフィルム、(2)繊維(ガラス繊維布、PTFE繊維布、等)に本発明の溶液を含浸して得られる繊維強化材、及び、(3)これらを任意の組み合わせで重ねたもの等が挙げられる。樹脂層は単層であってもよく、多層であってもよい。
樹脂層の厚さは、特に限定されず、例えば、一般的に採用される値である12.5μm〜150μmであってもよい。
(金属箔層)
本発明の金属樹脂積層体を構成する金属箔層の材料としては、特に限定されず、配線基板において通常使用される金属であってもよく、例えば、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、等が挙げられる。これらのうち、電気伝導度が高く、コストが低い等の観点から、金属箔層の材料としては、銅が好ましい。
金属箔層として銅箔を採用する場合、圧延銅箔や電解銅箔等を好適に使用できる。
金属箔層の厚さは、特に限定されず、市販の金属箔と同様の厚さを任意に採用できる。
(金属樹脂積層体の製造方法)
金属樹脂積層体の製造方法としては、ラミネート方式、スパッタリング方式、キャスト方式、ボンディングシート等を用いた接着方式を利用できる。
金属樹脂積層体の別の製造方法としては、金属箔層(又は樹脂層)の表面に、本発明の溶液(又は金属箔)を塗布等する方法が挙げられる。
金属樹脂積層体のさらに別の製造方法としては、本発明の溶液から環状オレフィン重合体フィルムを作製して、該フィルムの表面に金属(特に、銅)をスパッタリングやイオンプレーティング等の方法により金属層を形成する方法も挙げられる。
金属箔層は、樹脂層の片面又は両面に形成してもよい。金属箔層は、樹脂層の表面の全面に形成してもよいし、表面の一部にのみ形成してもよい。
樹脂層と金属箔層との間には、その他の層(接着剤層等)が存在していてもよいし、存在していなくてもよい。必要に応じて、金属箔層の表面をキレート剤で処理して金属箔層と樹脂層との密着性を改善させてもよい。
本発明の金属樹脂積層体は、耐熱性、柔軟性、金属への接着性、及び高周波特性等が要求される任意の用途に好適に使用できる。例えば、本発明の金属樹脂積層体は、種々の基板(プリント基板(フレキシブルプリント基板等)、金属樹脂積層体を複数重ね合わせた多層基板、高周波用配線基板)、半導体パッケージ用配線フィルム等として好適に使用できる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<付加型重合体の作製>
以下の材料及び重合方法に基づき、付加型重合体(環状オレフィン重合体)を作製した。
(付加型重合体の材料)
以下のモノマー、触媒、及び助触媒を用いた。なお、溶媒としてトルエンを用いた。各材料の仕込み組成比を表1に示す。
(モノマー)
2−ノルボルネン(NB):環構造を有する単量体に相当する。
1−オクテン(1−Oct):α−オレフィンに相当する。
1−ヘキセン(1−Hex):α−オレフィンに相当する。
(触媒)
(t−ブチルアミド)ジメチル−9−フルオレニルシランチタンジメチル((t−BuNSiMeFlu)TiMe
助触媒は以下のうち1種、又は2種を組み合わせて用いた。表1中、例えば「製造例2」の場合は、「助触媒A」を7.5質量部、及び「助触媒C」を0.54質量部組み合わせたことを意味する。
(助触媒A)
TMAO−211トルエン溶液(メチルアルミノキサンの溶液、東ソー・ファインケム(株)製)
(助触媒B)
MMAO−3Aトルエン溶液([(CH)0.7(iso−C)0.3AlO]nで表されるメチルイソブチルアルミノキサンの溶液、東ソー・ファインケム(株)製)
(助触媒C)
トリイソブチルアルミニウム
(付加型重合体の重合方法)
乾燥し、窒素雰囲気下に保ったガラス反応器に、表1に記載された量(単位:質量部)の各モノマー、助触媒を加え、40℃の重合温度に保ったのち、表1に記載された量(単位:質量部)の触媒を加えた。なお、触媒及び助触媒は、それぞれトルエンに溶解させた状態で反応器に加えた。
40℃の重合温度及び5時間の重合時間で、反応器内を撹拌して重合を継続した後、2−プロパノール(1質量部)を添加して反応を終了させた。次いで、得られた重合反応液に、12mol/Lの塩酸水溶液を、重合反応液に含まれる金属量の10倍量となるように加えた後、蒸留水による洗浄を行って金属塩を除いた。
洗浄後の重合反応液をポリマー溶液に対し1.5倍量のアセトンに注いで重合体を完全に析出させ、濾別及び洗浄を行った後、80℃で12時間以上減圧乾燥して、各付加型重合体を得た。
Figure 2021187939
<付加型重合体の諸特性の評価>
得られた各付加型重合体について、下記の各種測定を行った。その結果を表2に示す。
(α−オレフィンの比率)
以下の方法で、各付加型重合体における、α−オレフィンの比率(α−オレフィンに由来する構造単位の含有量)を特定した。
用いた装置及び条件は下記のとおりである。
NMR装置:「BrukerAVANCE600」
測定溶媒:1,1,2,2−テトラクロロエタン−d
測定核種:13
測定温度:353K
サンプル濃度:80mg/mL
サンプルチューブ径:5mm
測定方法:Inverse gate法
デカップリング:完全デカップリング
積算回数:4096回
パルス繰り返し時間:10秒
ケミカルシフトのリファレンス:1,1,2,2−テトラクロロエタン−dに含まれる、重水素化されていない1,1,2,2−テトラクロロエタンのピークを74.47ppmとした。
13C−NMRスペクトルを取得し、該スペクトルにおいて、α−オレフィンのα位の炭素と反対側の末端の1級炭素(約14ppm)、及び、その隣接炭素(約23ppm)の積分値に基づき、α−オレフィン由来炭素の積分値を算出した。
次いで、25〜55ppmの上記2種の炭素以外の炭素の積分値から、オクテン又はヘキセン由来炭素の積分値を引いた積分値を、ノルボルネン(環構造を有する単量体に相当する。)ユニット由来の積分値として特定した。
下記の式に基づき、α−オレフィンの比率を算出した。
α−オレフィンの比率(mol%)=α−オレフィン由来炭素の積分値/(α−オレフィン由来炭素の積分値+環構造を有する単量体ユニット由来の積分値)×100
(ガラス転移温度(Tg))
JIS K 7121に準拠して、DSC法に基づく下記の条件で、各付加型重合体のガラス転移温度(単位:℃)を測定した。
DSC装置:示差走査熱量計「DSC−7000X」(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
測定雰囲気:窒素
昇温条件:20℃/分
Figure 2021187939
<樹脂組成物の溶液及びフィルムの作製>
上記で作製した各付加型重合体を用いて、表3に示す組成に基づき、樹脂組成物の溶液、及びフィルムを作製した。
なお、表3中、「樹脂の種類」の項に示した番号は、付加型重合体の製造例の番号に対応する。例えば、「樹脂の種類」が「1」である場合、「製造例1」で得た付加型重合体を用いたことを意味する。
ただし、「樹脂の種類」が「4」である場合、付加型重合体として下記を使用した。
「TOPAS(登録商標)6013S−04」:2−ノルボルネンとエチレンの付加型共重合体、Tg138℃、ポリプラスチックス株式会社製
(材料)
以下、非極性エラストマー(いずれもスチレン系熱可塑性エラストマー)として下記のいずれかを用いた。
「セプトン 1020」:スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP)、数平均分子量84000、スチレンに由来する構成単位の含有量36質量%、比重0.92、株式会社クラレ製
「セプトン 2002」:スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、数平均分子量54000、スチレンに由来する構成単位の含有量30質量%、比重0.91、株式会社クラレ製
「セプトン 2006」:スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、数平均分子量260000、スチレンに由来する構成単位の含有量35質量%、比重0.92、株式会社クラレ製
「セプトン 2104」:スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、数平均分子量75000、スチレンに由来する構成単位の含有量65質量%、比重0.98、株式会社クラレ製
「セプトン 4033」:スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、数平均分子量94000、スチレンに由来する構成単位の含有量30質量%、比重0.91、株式会社クラレ製
「ハイブラー 7311F」:スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、数平均分子量150000、スチレンに由来する構成単位の含有量12質量%、比重0.92、株式会社クラレ製
「セプトン 8004」:スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、数平均分子量104000、スチレンに由来する構成単位の含有量31質量%、比重0.91、株式会社クラレ製
「セプトン 8104」:スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、数平均分子量109000、スチレンに由来する構成単位の含有量60質量%、比重0.97、株式会社クラレ製
「タフテック N504」:スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、数平均分子量230000、スチレンに由来する構成単位の含有量32質量%、比重0.94、旭化成ケミカルズ株式会社製
「タフテック H1041」:スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、数平均分子量95000、スチレンに由来する構成単位の含有量30質量%、比重0.91、旭化成ケミカルズ株式会社製
「タフテック H1043」:スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、数平均分子量47000、スチレンに由来する構成単位の含有量67質量%、比重0.97、旭化成ケミカルズ株式会社製
「タフテック H1051」:スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、数平均分子量65000、スチレンに由来する構成単位の含有量42質量%、比重0.93、旭化成ケミカルズ株式会社製
「タフテック H1062」:スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、数平均分子量95000、スチレンに由来する構成単位の含有量18質量%、比重0.89、旭化成ケミカルズ株式会社製
「アサプレンT−411」:スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、数平均分子量430000、スチレンに由来する構成単位の含有量30質量%、比重0.94、旭化成株式会社製
なお、非極性エラストマーの数平均分子量は、下記の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算の数平均分子量として特定した。
装置:「Viscotek TDA302検出器」、及び「Pump autosampler装置」(いずれもMalvern社製)
検出器:RI
溶媒:トルエン
カラム:「TSKgel GMHHR−M」(300mm×7.8mmφ、東ソー社製)
流速:1mL/分
温度:75℃
試料濃度:2.5mg/mL
注入量:100μL
標準試料:単分散ポリスチレン
(樹脂組成物の作製方法)
以下、樹脂組成物は、樹脂組成物を構成する全成分を混合及び撹拌することで得た。
(樹脂組成物の溶液の作製方法)
以下、樹脂組成物の溶液は、各樹脂組成物(20g)を溶媒であるトルエン(80g)に溶解させ、20質量%のトルエン溶液として作製した。
(フィルムの作製方法)
以下、フィルムは、樹脂組成物の溶液を、フィルムアプリケータ(隙間厚250μm)を用いてPETフィルムに塗布し、90℃で8分間乾燥した後、さらに真空乾燥機によって150℃で12時間乾燥することで作製した。得られた各フィルムの厚さは50μmだった。
<樹脂組成物の溶液及びフィルムの評価>
上記で作製した樹脂組成物の溶液、及びフィルムの諸特性を以下の方法で評価した。その結果を表3に示す。
(樹脂組成物の溶液の分離)
樹脂組成物の溶液を作製後、一晩経過後に目視にて観察し、以下の基準に基づき、樹脂組成物の溶液の分離を評価した。
[溶液の分離の判断基準]
○:樹脂組成物と溶媒とが分離していない。
×:樹脂組成物と溶媒とが分離している。
(フィルムの外観)
フィルムの表面を目視にて観察し、以下の基準に基づき、フィルムの外観を評価した。
[フィルムの外観の判断基準]
○:皺がなく、平坦かつ均一な面である。
△:皺がないが、不均一な面(表面に粒上の凹凸等が認められる)である。
×:皺があり、不均一な面である。
(フィルムの耐折性)
JIS P8115に準拠し、耐折性試験(MIT試験)を行い、破断するまでの折り曲げ回数を測定した。
[フィルムの耐折性の判断基準]
◎:破断するまでの折り曲げ回数が15回以上である。
〇:破断するまでの折り曲げ回数が10回以上14回以下である。
△:破断するまでの折り曲げ回数が5回以上9回以下である。
×:破断するまでの折り曲げ回数が4回以下である。
(フィルムの柔軟性)
下記の方法で半田リフローを行い、以下の基準に基づき、リフロー加熱後のフィルムの柔軟性を評価した。
[リフロー条件]
測定機:(株)二葉科学製コンベア式熱風循環乾燥機DFC−27−022S
試料送り速度:0.45mm/min
リフロー炉通過時間:5分
プレヒートゾーンの温度条件:185℃
リフローゾーンの温度条件:295℃
ピーク温度:257℃
[フィルムの柔軟性の判断基準]
○:折り曲げても折れない。
△:折り曲げたときに半分折れる。
×:折り曲げたら折れ、ばらばらの試験片になる。
(フィルムのガラス転移温度(Tg))
各フィルムのガラス転移温度(単位:℃)を固体レオメータを用いて測定した。
固体レオメータ装置:「RSA III」(Rheometric Scientific社製)
測定対象の大きさ:幅10mm×長さ50mm
測定条件:チャック間20mm、幅10mm、フィルム厚は実測値
:周波数1Hz(固定)
:温度条件 30℃〜310℃、昇温速度6℃/分
(フィルムの連続耐熱性)
エスペック社製のギヤオーブン(装置名:GPHH−102)を用い、幅2cm、長さ5cmに切り出したフィルムの試験片を一定速度で回転する台に設置し、連続耐熱性試験(加熱時間は150℃、1週間)を行った。加熱後に得られた試験片を、1日1回、手で折り曲げ、以下の基準に基づき、各フィルムの連続耐熱性を評価した。
[フィルムの連続耐熱性の判断基準]
○:折れてばらばらにならない日にちが5日以上である。
△:折れてばらばらにならない日にちが2日以上4日以下である。
×:折れてばらばらにならない日にちが1日以下である。
(フィルムの半田耐熱性)
リフロー後のフィルムを目視にて観察し、以下の基準に基づき、各フィルムの半田耐熱性を評価した。
[フィルムの半田耐熱性の判断基準]
○:リフロー炉通過後に、フィルムに皺が認められず、形状が保たれていた。
△:リフロー炉通過後に、フィルムに皺が認められたものの、形状が保たれていた。
×:リフロー炉通過後に、フィルムが溶けており、形状が保たれていなかった。
(総合評価)
上記の評価結果に基づき、以下の基準で総合評価を行った。
○:全ての項目が〇又は◎である。
△:フィルムの柔軟性、フィルムの連続耐熱性、フィルムの半田耐熱性のいずれかの項目が△又は×である。
×:樹脂組成物の溶液の分離、フィルムの外観、フィルムの耐折性のいずれかの項目が×である。
Figure 2021187939
表3に示されるとおり、数平均分子量が110000以上である非極性エラストマーを樹脂組成物に配合することで、フィルムの柔軟性、さらにはフィルムの耐熱性を高めることができた。
この効果は、樹脂組成物中の非極性エラストマーの含有量が5質量%以上であるとより強まる傾向にあった。

Claims (7)

  1. 環構造を有する単量体とα−オレフィンとの付加型重合体である環状オレフィン重合体、及び、非極性エラストマーを含む樹脂組成物であって、
    前記非極性エラストマーの含有量が、前記樹脂組成物に対して0.5質量%超35質量%以下であり、
    前記非極性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラストマーであり、
    前記非極性エラストマーの数平均分子量が110000以上である、
    樹脂組成物。
  2. 前記非極性エラストマーの数平均分子量が200000以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記α−オレフィンが1−ヘキセン又は1−オクテンである、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記樹脂組成物のガラス転移温度が250℃以上である、請求項1から3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の樹脂組成物と、溶媒と、を含む溶液。
  6. 請求項5に記載の溶液から得られたフィルム。
  7. 請求項6に記載のフィルムからなる樹脂層と、前記樹脂層の片面又は両面に設けられた金属箔層とを含む、金属樹脂積層体。
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