JP6358852B2 - 環状オレフィン共重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、環状オレフィン共重合体の製造方法に関する。
環状オレフィン重合体及び環状オレフィン共重合体(それぞれ「COP」及び「COC」等とも呼ばれる。)は、低吸湿性及び高透明性を有し、光ディスク基板、光学フィルム、光学ファイバー等の光学材料の分野をはじめ、様々な用途に使用されている。代表的なCOCとして環状オレフィンとエチレンとの共重合体があるが、共重合体のガラス転移温度が環状オレフィンとエチレンとの共重合組成で変えることが可能なため、COPよりガラス転移温度(Tg)の高い共重合体として製造することができ、COPでは困難な200℃超のTgを実現することも可能であるが、硬くて脆い性質を有しており、機械的強度が低く、ハンドリング性及び加工性が悪いという問題点があった。
また、高Tg重合体は種々存在するが、これらは、極性基を持っているため、吸湿性及び誘電特性に限界がある。そのため、極性基を有さず、オレフィン系骨格からなり、光学特性、誘電特性、及び機械的強度に優れた高Tg重合体が求められている。
高TgCOCの機械的強度を改善する方法の1つとして、環状オレフィンとエチレン以外のα−オレフィン(以下、「特定α−オレフィン」という)とを共重合させる方法がある。環状オレフィンと特定α−オレフィンとの共重合については、種々の研究がなされている。
環状オレフィンと特定α−オレフィンとの共重合は、環状オレフィンとエチレンとの共重合とは大きく異なる。環状オレフィンとエチレンとの共重合で高分子量体が得られる条件では、環状オレフィンと特定α−オレフィンとの共重合において、特定α−オレフィンに起因する連鎖移動反応が生じるため、これまで高分子量体が得られにくかった。よって、環状オレフィンと特定α−オレフィンとの共重合体は、成形材料には適さないとされていた(例えば、非特許文献1を参照)。
特許文献1には、特定のTi系触媒により環状オレフィンと特定α−オレフィンからなる高分子量体が得られ、Tgが245から262℃であり、低吸湿であり、線膨張係数が80ppm未満である優れた物性のフィルムが得られたことが記載されている。しかし、特許文献1で開示されている重合法では触媒及び助触媒を多量に使用するため、省資源化を図りにくく、共重合体を得るのにかかる費用が高価であるとともに、触媒及び助触媒が残存してフィルムの透明性を損なう問題があった。なお、特許文献1では、触媒1g当たり92−164gの共重合体が得られることが記載されている。
特許文献2には、打抜き特性に優れたフィルムが開示されているが、Tgは170℃未満である。また、特許文献2では、触媒及び助触媒を多量に使用するため、省資源化を図りにくく、共重合体を得るのにかかる費用が高価であるとともに、フィルムの透明性や熱安定性が損なわれる問題があった。なお、特許文献2では、触媒1g当たり127−275gの共重合体が得られることが記載されている。
特開2009−298999号公報 特許第5017222号公報
Jung, H. Y.ら、Polyhedron、2005年、第24巻、p.1269−1273
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、より少ない触媒量で、力学特性に優れ、かつ通常の成形加工に適した分子量の環状オレフィン共重合体をより多く得ることができる共重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、非架橋のケチミド型ハーフチタノセン触媒とアルキルアルミノキサンからなる助触媒とを組み合わせることで、より少ない量の上記ハーフチタノセン触媒を用いて、力学特性に優れ、かつ通常の成形加工に適した分子量の環状オレフィン共重合体をより多く得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 非架橋のケチミド型ハーフチタノセン触媒とアルキルアルミノキサンからなる助触媒との存在下で、少なくとも、ノルボルネンから誘導される環状オレフィンモノマー(A)とC4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマー(B)とを重合させて共重合体を得る重合工程を含み、前記重合工程において得られる前記共重合体の量は、前記ハーフチタノセン触媒1g当たり1000g以上であり、かつ、前記共重合体の数平均分子量は20,000以上200,000以下である、共重合体の製造方法。
(2) 前記共重合体のガラス転移温度(Tg)は、170℃以上である(1)に記載の製造方法。
本発明によれば、リガンドを最適化したチタノセン触媒をアルキルアルミノキサンからなる助触媒と併用することで、より少ない触媒量で、力学特性に優れ、かつ通常の成形加工に適した分子量の環状オレフィン共重合体をより多く得ることができる共重合体の製造方法を提供することができる。本発明では、使用する触媒の量が少ないため、それに応じて助触媒の量も低減することができる。よって、より少量の触媒及び助触媒で安価に、分子量の範囲を保ちながら、1バッチ当たりの環状オレフィン共重合体量を増やすことができ、省資源化を実現することもできる。また、得られる共重合体に残存する触媒及び助触媒が少ないため、この共重合体から得られるフィルム等の成形体は、透明性及び機械物性が向上しやすい。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
本発明に係る共重合体の製造方法は、非架橋のケチミド型ハーフチタノセン触媒とアルキルアルミノキサンからなる助触媒との存在下で、少なくとも、ノルボルネンから誘導される環状オレフィンモノマー(A)とC4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマー(B)とを重合させて共重合体を得る重合工程を含み、上記重合工程において得られる上記共重合体の量は、上記ハーフチタノセン触媒1g当たり1000g以上であり、かつ、上記共重合体の数平均分子量は20,000以上200,000以下である。本発明に係る共重合体の製造方法によれば、より少ない触媒量でも、分子量の範囲を保ちながら、1バッチで高分子量の環状オレフィン共重合体をより多く得ることができる。なお、本発明に係る共重合体の製造方法において、重合工程は、上記ハーフチタノセン触媒及びアルキルアルミノキサンからなる助触媒とともに、連鎖移動剤の存在下で行ってもよい。
[共重合体]
本発明に係る共重合体の製造方法により得られる共重合体は、ノルボルネンから誘導される環状オレフィンモノマー(A)由来の構造単位と、C4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマー(B)由来の構造単位と、を含む。
上記製造方法に含まれる重合工程において得られる上記共重合体の量は、上記重合工程で用いられるチタノセン触媒1g当たり1000g以上であり、好ましくは2000g以上であり、より好ましくは3000g以上である。
本発明における共重合体の数平均分子量は、好ましくは20,000以上200,000以下であり、より好ましくは30,000以上、150,000以下である。上記数平均分子量が20,000以上であると、得られる共重合体は、ガラス転移温度(Tg)が過度に低くなりにくい。上記数平均分子量が200,000以下であると、得られる共重合体の溶液は、粘度が過度に高くなりにくい。なお、本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定されたポリスチレン換算の数平均分子量をいう。
本発明における共重合体のガラス転移温度(Tg)は、170℃以上であり、好ましくは200℃以上、より好ましくは230℃以上、特に好ましくは260℃以上である。上記ガラス転移温度が170℃以上であると、上記共重合体から得られる透明フィルムは、十分な耐熱性を有し、よって、例えば、ITO蒸着用の基板として好適に用いることができる。特に、上記ガラス転移温度が260℃以上であると、上記共重合体から得られる透明フィルムは、更に十分な耐熱性を有するため、例えば、溶融した鉛フリー半田に接しても、変形、亀裂、融解等が生じにくいため、鉛フリー半田用部材として好適に用いることができる。また、上記共重合体のガラス転移温度の上限は特に限定されないが、ガラス転移温度が高くなると共重合体中のα−オレフィン由来の構造単位が少なくなるため、α−オレフィン共重合による機械的強度の改善効果が小さくなる傾向にあることから、上記ガラス転移温度は、350℃以下であることが好ましく、330℃以下であることがより好ましい。なお、本明細書において、ガラス転移温度は、DSC法(JIS K 7121記載の方法)によって昇温速度20℃/分の条件で測定した値を採用する。
[非架橋のケチミド型ハーフチタノセン触媒]
非架橋のケチミド型ハーフチタノセン触媒としては、特に限定されず、公知のものを使用することができる。上記ハーフチタノセン触媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
非架橋のケチミド型ハーフチタノセン触媒としては、例えば、下記式(1)で表されるものが挙げられる。
Figure 0006358852
(式中、Rは下記式(2)で表される置換基を、Rは下記式(3)若しくは(4)で表されるケチミド基又は下記式(5)で表されるフェノキシ基を、R及びRは独立に、ハロゲン原子又はアルキル基を示す。)
Figure 0006358852
(式中、Rはアルキル基を示し、nは0から5までの整数である。)
−N=C(R)(R) (3)
(式中、R及びRは独立にアルキル基又はフェニル基を示す。)
Figure 0006358852
(式中、R及びRは独立にアルキル基又はフェニル基を示す。)
Figure 0006358852
(式中、R10、R11、R12、R13、及びR14は独立に水素原子、アルキル基、又はフェニル基を示す。)
及びRの具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、塩素原子が好ましい。
の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基が挙げられ、tert−ブチル基が好ましい。
及びRの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基が挙げられ、tert−ブチル基が好ましい。
及びRの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基やフェニル基等が挙げられ、tert−ブチル基やフェニル基等が好ましい。
10、R11、R12、R13、及びR14の具体例としては、水素原子や、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基や、フェニル基等が挙げられ、R10及びR14はイソプロピル基であり、R12及びR13は水素原子であることが好ましい。
非架橋のケチミド型ハーフチタノセン触媒の具体例としては、CpTiCl(N=C(t−Bu))、(t−BuC)TiCl(N=C(t−Bu))、下記式(6)又は(7)で表される化合物等が挙げられ(式中、Cpはシクロペンタジエニル基を、t−Buはtert−ブチル基を示す。)、好ましくはCpTiCl(N=C(t−Bu))及び(t−BuC)TiCl(N=C(t−Bu))である。
Figure 0006358852
Figure 0006358852
[アルキルアルミノキサンからなる助触媒]
本発明において用いられる助触媒は、アルキルアルミノキサンからなる。上記助触媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
アルキルアルミノキサンとしては、特に限定されず、例えば、下記式(8)又は(9)で表される化合物が挙げられる。下記式(8)又は(9)で表されるアルキルアルミノキサンは、トリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる生成物である。
Figure 0006358852
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。)
アルキルアルミノキサンとしては、メチルアルミノキサン及びメチルアルミノキサンのメチル基の一部を他のアルキル基で置換した修飾メチルアルミノキサンが挙げられる。修飾メチルアルミノキサンとしては、例えば、置換後のアルキル基として、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等の炭素数2〜4のアルキル基を有する修飾メチルアルミノキサンが好ましく、特に、メチル基の一部をイソブチル基で置換した修飾メチルアルミノキサンがより好ましい。アルキルアルミノキサンの具体例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、メチルエチルアルミノキサン、メチルブチルアルミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサン等が挙げられ、中でも、メチルアルミノキサン及びメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。
アルキルアルミノキサンは、公知の方法で調製することができる。また、アルキルアルミノキサンとしては、市販品を用いてもよい。アルキルアルミノキサンの市販品としては、例えば、MMAO−3A、TMAO−200シリーズ、TMAO−340シリーズ(いずれも東ソー・ファインケム(株)製)やメチルアルミノキサン溶液(アルベマール社製)等が挙げられる。
[環状オレフィンモノマー(A)]
ノルボルネンから誘導される環状オレフィンモノマー(A)としては、例えば、ノルボルネン及び置換ノルボルネンが挙げられ、ノルボルネンが好ましい。上記環状オレフィンモノマー(A)は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記置換ノルボルネンは特に限定されず、この置換ノルボルネンが有する置換基としては、例えば、ハロゲン原子、1価又は2価の炭化水素基が挙げられる。置換ノルボルネンの具体例としては、下記一般式(I)で示されるものが挙げられる。
Figure 0006358852
(式中、R〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、
とR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、
又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。
また、nは、0又は正の整数を示し、
nが2以上の場合には、R〜Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
ただし、n=0の場合、R〜R及びR〜R12の少なくとも1個は、水素原子ではない。)
一般式(I)で示される置換ノルボルネンについて説明する。一般式(I)におけるR〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。
〜Rの具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;炭素数1以上20以下のアルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
また、R〜R12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;炭素数1以上20以下のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等の置換又は無置換の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、その他アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
一般式(I)で示される置換ノルボルネンの具体例としては、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の2環の環状オレフィン;
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン;トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン;5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンといった3環の環状オレフィン;
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンといった4環の環状オレフィン;
8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン;テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−へキサヒドロアントラセンともいう);ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]−4−ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]−14−エイコセン;シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィンを挙げることができる。
中でも、アルキル置換ノルボルネン(例えば、1個以上のアルキル基で置換されたビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン)、アルキリデン置換ノルボルネン(例えば、1個以上のアルキリデン基で置換されたビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン)が好ましく、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:5−エチリデン−2−ノルボルネン、又は、単にエチリデンノルボルネン)が特に好ましい。
[α−オレフィンモノマー(B)]
C4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマー(B)としては、例えば、C4〜C12のα−オレフィンや、ハロゲン原子等の少なくとも1種の置換基を有するC4〜C12のα−オレフィンが挙げられ、C4〜C12のα−オレフィンが好ましく、C6〜C10のα−オレフィンがより好ましい。
C4〜C12のα−オレフィンは特に限定されないが、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−へキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。中でも、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンが好ましい。
[重合工程の条件]
重合工程の条件は、所望の共重合体が得られる限り、特に限定されず、公知の条件を用いることができ、重合温度、重合圧力、重合時間等は適宜調整される。また、各成分の使用量は、以下のとおりに例示される。
α−オレフィンモノマー(B)の添加量は、環状オレフィンモノマー(A)100質量部に対し、1質量部以上500質量部以下であることが好ましく、10質量部以上300質量部以下であることがより好ましい。
非架橋のケチミド型ハーフチタノセン触媒の使用量は、環状オレフィンモノマー(A)100質量部に対し、0.00001質量部以上0.1質量部以下であることが好ましく、0.0001量部以上0.05質量部以下であることがより好ましい。
アルキルアルミノキサンの使用量は、環状オレフィンモノマー(A)100質量部に対し、Al基準で0.0001質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.01質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。特に断らない限り、量を表す「部」は「質量部」を意味する。
[共重合体の作製]
乾燥し、窒素雰囲気下に保ったガラス反応器に、表1に記載された各モノマー、及び表2に記載された助触媒を加え、重合温度に保ったのち、表2に記載された触媒を加えた。なお、触媒及び助触媒は、それぞれトルエンに溶解させた状態で反応器に加えた。表3に示す重合温度及び重合時間で、反応器内を撹拌して重合を継続した後、2−プロパノール1質量部を添加して反応を終了させた。次いで、得られた重合反応液を多量の塩酸酸性メタノールに注いで重合体を完全に析出させ、濾別及び洗浄を行った後、60℃で1日間以上減圧乾燥して共重合体を得た。得られた共重合体の質量を測定した(表3中の「収量」)。使用した触媒量に対する得られた共重合体の割合を算出した(表3中の「g(共重合体)/g(触媒)」)。
なお、使用した触媒及び助触媒の種類は下記のとおりである。ここで、t−Buはtert−ブチル基を、Fluはフルオレニル基を、Cpはシクロペンタジエニル基を示す。
触媒A:(t−BuNSiMeFlu)TiMe
触媒B:CpTiCl(N=C(t−Bu)
触媒C:(t−BuC)TiCl(N=C(t−Bu)
助触媒:6.5質量%(Al原子の含有量として)MMAO−3Aのトルエン溶液(東ソー・ファインケム(株)製)
各共重合体の数平均分子量、Tgを表3に示した。
表1、表2、及び表3中の「部」の値は、2−ノルボルネン100部に対する値である。また、表2中の助触媒について、「部」の値はトルエン溶液としての値である。
Figure 0006358852
Figure 0006358852
Figure 0006358852
表3に示されるとおり、本発明によれば、使用した触媒量に対して得られる共重合体の割合が高い。

Claims (2)

  1. 非架橋のケチミド型ハーフチタノセン触媒とアルキルアルミノキサンからなる助触媒との存在下で、少なくとも、ノルボルネンから誘導される環状オレフィンモノマー(A)とC4〜C12のα−オレフィンから誘導されるα−オレフィンモノマー(B)とを重合させて共重合体を得る重合工程を含み、
    前記重合工程において得られる前記共重合体の量は、前記ハーフチタノセン触媒1g当たり1000g以上であり、かつ、前記共重合体の数平均分子量は20,000以上200,000以下である、共重合体の製造方法。
  2. 前記共重合体のガラス転移温度(Tg)は、170℃以上である請求項1に記載の製造方法。
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